説明

分注装置

【課題】必要量の液体試料を特に微量吐出において精度良く分注する分注装置を提供する。
【解決手段】内部空間を有するシリンジ1とシリンジ内面に接触しながら往復運動するピストン2と前記ピストン内部空間と連通し、前記ピストンからの流路を2方向に分流する流路4を有する分岐手段3と分流流路の一方とチューブを介して連通されたノズル5と、前記分流流路の他方はポンプ7と連通しており、その経路上に電磁弁6を配置し、前記ピストンと接続されたシャフト9を有するモータ13によってピストンを往復動作させて、前記ノズル先端より液を吸引、吐出させる分注装置において、ノズル先端部にゲート電極を配設して、吐出のタイミングに合わせてゲート電圧を制御することで液切れを良くし、微量・高精度吐出を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を分注する分注装置に係り、特に自動分析装置における微量の液体を分注する際の吐出の安定性と分注量の正確性向上に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液検査等の生化学等自動分析においては、1つのサンプル液で多項目のテストを行うため、試験管内のサンプル液をノズルにより吸引し、検査に応じて別の試験管に移し分けるという分注作業が行われる。この際、所定量の液体を精度よく吐出するための分注装置が用いられる。生化学分析の反応漕へのサンプル液の分注に対しては一般に金属性ノズルが用いられている(例えば、特許文献1参照・従来例1)。従来例1の分注装置およびこれを備えた分析装置は、シリンジに対してピストンを相対移動させられるポンプ機構部と、ピストンを移動させるため駆動力を付与するためのモータと、モータを制御するための制御手段と、目的量の液体を吸引・吐出させるために必要なモータに対する制御量を、目的量の液体を吐出させるときにシリンジに対するピストンの相対位置に応じて演算するための演算手段と、を備えたものである。
【0003】
図11は、従来例1の実施の形態の分注装置の一例を示す断面図である。図11に示した分注装置105は、血液などのサンプル液を吸引し、そのサンプル液を試薬パッド(図示せず)に点着するためのものである。この分注装置105は、ノズル150に対してフレキシブルチューブ151を介してポンプユニット152を連結した構成を有している。ポンプユニット152は、ノズル150に対して吸引力または吐出力を作用させるためのものである。このポンプユニット152は、図12、図13(a)および図13(b)に示したように、支持プレート153に対して、ポンプ機構部154およびパルスモータ155を固定した構成を有しており、ポンプ機構部154とパルスモータ155との間がガイドブロック156によって接続されている。支持プレート153は、ポンプ機構部154を固定するための起立壁153Aと、パルスモータ155を固定するための水平壁153Bとを有しており、起立壁153Aにおいて筐体103の側壁139に固定されている。この支持プレート153には、水平壁153Bから起立壁153Aに連続するスリット153Cが設けられている。このスリット153Cは、水平壁153Bに設けられ部分においてパルスモータ155の直動シャフト155Bが挿通されるのを許容し、起立壁153Aに設けられた部分において後述するガイドブロック156の移動を許容する。ポンプ機構部154は、ノズル150の内部に圧力変動を生じさせるためのものであり、シリンジ154Aの内部に、シリンジ154Aに対して相対動可能にピストン154Bが挿入された構成を有している。シリンジ154Aは、支持プレート153の起立壁153Aに固定されている。ピストン154Bは、ガイドブロック156を介して後述するパルスモータ155の直動シャフト155Bに連結されている。ガイドブロック156には、パルスモータ155の直動シャフト155Bの下端部およびピストン154Bの上端部がそれぞれ固定されているとともに、スリット153Cにおける起立壁153Aに設けられた部分に対して係合されている。パルスモータ155は、ピストン153を上下動させるための動力を発生させるためのものであり、モータ駆動部155A、およびこのモータ駆動部155Aの中心に螺号された直動シャフト155Bを有している。このパルスモータ155は、モータ駆動部155Aによって直動シャフト155Bに回転力を作用させることにより、直動シャフト155Bが上下動するように構成されている。そして、直動シャフト155Bは、上述のようにガイドブロック156を介してピストン154Bに連結されている。そのため、直動シャフト155Bを上下動させた場合には、直動シャフト155Bの運動に連動してピストン154Bが上下動する。これにより、ポンプ機構部154は、ノズル150の内部に圧力変動を生じさせることができる。このようにこれまでの分注装置ではモータ駆動によるシリンジの容積の変動によって液を吐出していた。
【0004】
しかしながら、生化学分析用の分注装置では高価な試薬の使用量を減らすために、サンプル液の吐出量の微量化が必要とされるようになってきた。微量化の1つの方策としてノズル先端を小さく絞る方法が有効であるが、血液を吐出する場合、フィブリンなどの含有成分が詰まりやすくなるためにノズルの小径化にも限界がある。したがって微量化が進むと、従来のモータ駆動の分注装置では移動量が小さってしまう。そうなると加速時間も短くなってしまうため、十分な移動速度を得ることができなくなってくる。その結果、表面張力に打ち勝つだけのエネルギーを液体に与えることができなくなり、液が吐出できなくなるという問題があった。このような問題の対策の1つとして外部から液体を引き出す力を作用させる方法が考えられる。例えば静電引力を使って外部から液を引き出し吐出する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照・従来例2)。
【0005】
従来例2の静電吸引型流体ジェット装置は、吐出液と吐出目標の間に電圧を印加することでノズル先端から帯電した液体を吐出させるものである。図14は、従来例2の実施の形態の静電吸引型流体ジェット装置を示す断面構成図である。インク室201に貯蔵した流体としてのインク202を吐出するためのノズル204を備えている。このノズル204は、インク室201に対してパッキン205を介して連結されている。これにより、インク室201内のインクが202が、ノズル204とインク室201との連結部分から外部に漏れないように封止されている。また、上記ノズル204は、インク室201との連携部とは反対側、すなわちインクの吐出側となる先端部204aに向かって内径が小さくなるように絞りこまれた形状となっている。上記ノズル204の先端部204aのインク吐出孔204bの内径(直径)は、吐出直後のインク202の粒径との関係で設定されている。
さらに、上記ノズル204の内部には、インク202に対して静電界を印加するための静電界印加用電極209が設けられている。この静電界印加用電極209は、プロセス制御部210に接続され、このプロセス製御部210によって図示しない駆動回路からの印加電圧による電界強度が制御されるようになっている。この電界強度を制御することで、ノズル204から吐出する液滴203の液滴径が調整される。つまり、プロセス制御部210は、静電界印加用電極209を介してインク202に印加する電圧を制御する印加電圧制御手段としての機能を有している。上記ノズル204のインク吐出孔4bの対向面側には、所定の距離離れた位置に対向電極207が配設されている。この対向電極207は、ノズル204と対向電極207との間に搬送される被記録媒体8の表面を、ノズル204のインク吐出孔204bから吐出される液滴203の帯電電位の逆極性の電位に帯電させるものである。これにより、ノズル204のインク孔204bから吐出した液滴203を、被記録媒体208の表面に安定して着弾させている。
【特許文献1】特開2006−119067公報(第14,15頁、図2,3,4)
【特許文献2】特開2004−114370公報(第22頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、このような分注機構は、生化学分析装置などに搭載され、サンプル液として血液から摂取した血清からなる検体を分注する作業に用いられてきた。生化学分析装置では、分析用の試薬と血清とを反応させて蛍光観察しているが、試薬が高価であるために試薬量を減らしたいというニーズがあった。その一方、人から採取する血液も、少量であるほうが人への負担が軽減されるために血液の採取量を減らしたいニーズがあった。さらに、環境面からも使用した分析液は、廃液処理されるために、これが低減できれば、無駄なエネルギーを消費することなく処理できるようになるために分析液を少量化するニーズがあった。しかしながら、液体を微量化して分注する場合、液体の質量よりも表面張力や粘度等が、液体の吐出動作に大きく影響を与える。このために、微量な血清を分注する装置がなく、必要とされていたのである。このような点を鑑みると、従来の分注装置では、ポンプの駆動にパルスモータを使用しており、分注量の多い場合はある程度精度よく吐出できるが、パルスモータでは高速度、高加減速度の駆動は困難で吐出時の液切れが悪く、微量吐出はできない、もしくは微量吐出ができたとしても分注精度が悪くなるという問題が生じていた。また、静電吐出型においては、微量吐出をすることができるが、対向電極が必要となり、実際の生化学分析装置に搭載する場合には吐出したセル検体を受けるセルの底面に電極を配置することは困難であり、例え配置できたとしてもノズル先端とセル底面のギャップがあるため液を引き出すのに効果的な電界を得るためには高電圧が必要になるといった問題があった。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、ノズル先端部にゲート電極を配置することで、静電力の作用によって液切れを良くし、これまで困難であった微量を含む所望の吐出量において精度よく分注する分注装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
請求項1に記載の発明は、流路を介してノズルと接続されたシリンジと、前記シリンジに内挿されたプランジャと、前記プランジャを往復運動させる駆動部とからなり、前記ノズル、前記シリンジおよび流路内に充填された圧力伝達液を介して前記ノズルの先端からサンプル液を吸引および吐出する分注装置において、前記ノズル内のサンプル液を帯電させるための電圧印加手段と電圧を制御するための電圧制御手段と帯電されたサンプル液を誘引するためのゲート電極とを有し、前記電圧制御手段によって吐出とゲート電極印加のタイミングおよび電圧値を制御したものである。
請求項2記載の発明は、前記チューブ内径と、前記ノズルが導電性材料もしくは導電性材料の外面に絶縁膜を付加したものである。
請求項3記載の発明は、前記ノズルの主構造が絶縁体であり、その内面に導電性材料を付加したものである。
請求項4記載の発明は、前記ゲート電極は前記ノズルの中心に対して同心円となるような円形の開口部を有したものである。
請求項5記載の発明は、前記ゲート電極は前記ノズルの中心から放射状に伸びた少なくとも2本以上の針形状電極から構成されているものである。
請求項6記載の発明は、前記針形状電極はサンプル液の吐出方向に進むにしたがいノズルの中心軸に近づくように傾斜しているものである。
請求項7記載の発明は、前記起動部をリニアサーボモータとしている。
請求項8記載の発明は、前記サーボモータに搭載されたエンコーダの位置信号を用いてゲート電極の印加電圧のタイミングを制御している。
【発明の効果】
【0009】
請求項1乃至請求項7に記載の発明によると、シリンジから押し出された液体に対して静電引力を働かせることで液切れを良くし、微量の液滴を吐出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【実施例1】
【0011】
図1に本発明による分注装置の構成図を示す。1はシリンジ、2はピストン、3は分岐手段、4は分岐流路、5はノズル、6は電磁弁、7はポンプ、15はチューブ、16は貯水タンク、9はモータシャフト、10A、10Bはリニアブッシュ、8は可動子、11Aは検出器、11Bはリニアスケール、12は固定子、13はモータ、14は分注装置コントローラである。モータ13は、空隙を介して可動子8と固定子12間での磁気的作用により直動移動するリニアモータから構成されている。可動子8にはモータシャフト9が嵌合されて形成され、リニアブッシュ10A、10Bで直動可能に支持されており、モータシャフト9の一端はピストン2が連結され、モータ13で生じる直動動作がモータシャフト9を介してピストン2へ伝えられる。また、他端は、リニアスケール11Bを備えており、可動子8の移動量を検出器11Aで検出し、コントローラ14に位置情報を伝送し、制御されている。また、ピストン2はシリンジ1の内部を図示しないシール材を介して往復移動するように摺動している。シリンジ1の先端には、3方向流路からなる分岐手段3を備えており、電磁弁6を開閉することでシリンジ1からノズル5への分岐流路4と、ポンプ7からの流路を切り替える。各々の流路はシリコン等からなるチューブで連結されている。本実施例で示すようにモータシャフト9の動作方向とピストン2の動作方向と分岐手段内の分岐流路4の方向とチューブ15方向とノズル5の向きを同一直線上になるように配置されている。
【0012】
図2は、本発明による分注装置のノズル部の詳細を示す断面図である。51はノズル部、52はサンプル液、53は空気層、54は押し出し水、55は絶縁部、56はゲート電極、57はゲート電圧印加用電源である。
【0013】
次に、分注装置コントローラの構成について説明する。分注装置コントローラ14は、図3に示すように上位コントローラ17との通信やI/O信号処理、サーボドライブ19への指令を出すモーションコントローラ18と、モーションコントローラ18からの指令を受け、モータ13の制御を行うサーボドライブ19から構成されている。分注装置コントローラ14は上位コントローラ17から作業指令を受け、分注作業に適した移動量、速度および加速度からなる指令をサーボドライブ19に渡し、サーボドライブ19では位置速度制御によって、モータ13へ電流を通電している。モータ13の移動量は検出器11Aからフィードバックされている。
【0014】
次に分注作業について図1を用いて説明する。初期状態においては、シリンジ1の内部、分岐手段4の内部、チューブ15、ノズル5には押し出し水が充填されている。押し出し水をノズル5先端まで充填するためには、電磁弁6を開の状態にし、ポンプ7を駆動させて貯水タンク16よりノズル5へ押し出し水を送液する。ノズル5先端まで押し出し水が充填された後、電磁弁6を閉の状態にする。続いて、モータ13を駆動し、図面上側へ向かってモータシャフト9を動作させる。この動作によりノズル5先端の押し出し水がノズル5内部に吸い込まれ、ノズル5先端に空気層が形成される。この状態で図示しない移動手段を用いてノズル5先端をサンプル液中に挿入し、さらにモータ13を駆動し、図面上側へ向かってモータシャフト9を動作させると、サンプル液がノズル5先端より吸い込まれて、ノズル5内部は図2に示すようにサンプル液、空気層、押し出し水という並びでノズル5内に配置される。吐出の際は、設定吐出量に応じて分注装置コントローラ14よりモータ13の駆動ストロークが演算され、図面下側へ向かってモータシャフト9を動作させると、ノズル5先端部では押し出し水より空気層を介してサンプル液が押し出される。なお、空気層は、サンプル液が押し出し水と接触することによりサンプル液の濃度が希釈され分析の際の誤差とならないように、分離層として機能している。
【0015】
次にノズル先端に配設されたゲート電極の役割について説明する。まず、本ゲート電極の必要性について説明する。従来の分注装置のようにモータの動きだけで液を吐出する場合、吐出を微量化していくにしたがってモータの移動ストロークも短くなる。移動ストロークが短くなると加速時間が十分にとれないため速度を上げることができなくなる。その結果、液に与えるエネルギーは小さくなる。一方、微量化が進むと体積に比例する重量に対して面積に比例する表面張力の影響が大きくなる。したがって、この2つの相乗効果により、微量化が進むとモータから与えられるエネルギーだけでは表面張力に打ち勝つことができず、液滴として吐出されることなく再びノズル内に回収されることになる。したがって、外部から液滴に作用することができれば、これまで困難であった微量吐出が可能になる。このような問題に対して静電気力を用いることで複雑な機器を付加することなしに外部からサンプル液に引き出し力を作用させることが可能になる。ゲート電極とノズル間に電圧を印加すると、サンプル液にノズル内面を介して電荷が移動してサンプル液が帯電することで、サンプル液の突出部とゲート電極の間に静電引力が働く。静電気力は距離の2乗に反比例するためゲート電極をノズル先端に近接させることによって、サンプル液を外部に引き出す力を与えることができる。
【0016】
ゲート電極による動作の様子を図4に示す。図4(a)は初期状態である。この状態で所定量吐出するようにモータを駆動させると同時にゲート電極に電圧を印加することで図4(b)のようにサンプル液はノズル端面から突出し、その先端部はゲート電極に引かれる。次にモータを停止させると表面張力によって液が引き戻されようとするがゲート電極によってサンプル液先端が引っ張られているため、図4(c)のようにノズル先端部でサンプル液が液滴として分離される。これまでに要する時間がおよそ10ms程度である。この後、ゲート電極を切ると図4(d)のように液滴はゲート電極に向かう力で初速を得て吐出されることになる。
【0017】
図5は、本発明の第2実施例を示すノズル構造の断面図で、導電性ノズルの表面に絶縁膜を設けたものである。製作法としては例えば、ノズルの材料をアルミ材としてその表面をアルマイト処理することで製作することができる。その他の方法としては、ノズルをステンレス鋼としその表面にフッ素樹脂をコーティングして作製してもよい。
【0018】
図6は、本発明の第3実施例を示すノズル構造の断面図で絶縁体ノズルの内面に導電性材を付加したものである。製作法としては例えばノズルの材料をガラスとしてその内面に触媒活性化前処理(センシタイジング−アクチベーティング法)を行い、無電解めっきを施すことにより金属膜を形成することで作製することがきる。
【0019】
図7は、本発明の第4実施例を示すゲート電極の構造図を示すもので、ゲート電極が円形の開口部を有したものである。
【0020】
図8は、本発明の第5実施例を示すゲート電極の構造図を示すもので、ゲート電極がノズルの中心から放射状に伸びた少なくとも2本以上の針形状電極から構成されている。
【0021】
図9は、本発明の第6実施例を示すゲート電極の構造図を示すもので、吐出方法に進むにしたがい針電極がノズルの中心に近づくように傾斜している。針電極に傾斜を持たせることで、ゲート電極へのサンプル液の付着を低減することができる。
【0022】
図10は、ゲート電圧印加のタイミングを決める動作フローである。ゲート電圧にはサンプル液の吐出量、粘度に応じて適正なタイミングがあるが、従来の方法ではタイミングを管理するための時間基準がなかった。ここでは、サンプル液の吐出動作と同期しているサーボモータのエンコーダ信号を用いてゲート電圧の印加タイミングを決定する。ゲート電圧印加を決定する流れについて図3と図10を用いて説明する。モータ始動時には、サーボアンプ19で生成される指令パルスとエンコーダ11から送られてくる応答パルスの差(以降、偏差と呼ぶ)が大きくなる。ある閾値を決めて偏差がその閾値を越えた時をモータの始動時とする。モータの始動を確認したところでゲート電極をONにする。吐出が完了した際にはゲート電極をOFFにするが、モータの動作時間は吐出量に依存するため、ゲート電極のON時間を固定値にすることはできない。したがってモータの動きをモニタして、偏差が設定した閾値以内になった時点をモータの動作完了時間とし、ゲート電極をOFFにする。また、サンプル液の粘度によっては液切れが完了するまでの時間が変動するので、動作完了信号から電源OFFの間に種々の粘度に対応するための待ち時間(ウェイト)を配置した。
以上のように、これまでのモータを用いた分注装置のノズル先端にゲート電極を配設し電圧を制御することで液切れの良い、かつ微量吐出が可能な分注装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
なお、ノズル先端における液体試料の粘度による表面張力の違いによらず液体試料を精度良く吐出できるので、吸引・吐出が必要なバイオ関連および医療関連の装置等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施例を示す分注装置の構成図
【図2】本発明による分注装置のノズル部の詳細を示す断面図
【図3】本発明による分注装置のコントローラのシステム構成図
【図4】本発明による分注装置のゲート電極による動作の様子
【図5】本発明の第2実施例を示すノズル構造の断面図
【図6】本発明の第3実施例を示すノズル構造の断面図
【図7】本発明の第4実施例を示すゲート電極の構造図
【図8】本発明の第5実施例を示すゲート電極の構造図
【図9】本発明の第6実施例を示すゲート電極の構造図
【図10】本発明による分注装置のゲート電圧制御のフロー図
【図11】第1の従来例の分注装置を示す断面図
【図12】第1の従来例のポンプユニットの正面図
【図13】(a)第1の従来例のポンプユニットの破断した正面図 (b)第1の従来例のポンプユニットのIvb−Ivb線の断面図
【図14】第2の従来例を示す静電吸引型流体ジェット装置の断面構成図
【符号の説明】
【0025】
1 シリンジ
2 ピストン
3 分岐手段
4 分岐流路
5 ノズル
51 ノズル部
52 サンプル液
53 空気層
54 押し出し水
55 絶縁部
56 ゲート電極
6 電磁弁
7 ポンプ
8 可動子
9 モータシャフト
10A、10B リニアブッシュ
11A 検出器
11B リニアスケール
12 固定子
13 モータ
14 分注装置コントローラ
15 チューブ
16 貯水タンク
17 上位コントローラ
18 モーションコントローラ
19 サーボドライブ
20 テーブル
103 筐体
105 分注装置
139 筐体の側壁
150 ノズル
151 フレキシブルチューブ
152 ポンプユニット
153 支持プレート
153A 起立壁
153B 水平壁
153C スリット
154 ポンプ機構部
154A シリンジ
154B ピストン
155 パルスモータ
155A モータ駆動部
155B 直動シャフト
156 ガイドブロック
156A 係合部
156B 突出部
157 センサ
158 チップ
171 演算部
172 制御部
201 インク室
202 インク
203 液滴
204 ノズル
205 パッキン
207 対向電極
208 被記録媒体
209 静電界印加用電極
210 プロセス製御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を介してノズルと接続されたシリンジと、前記シリンジに内挿されたプランジャと、前記プランジャを往復運動させる駆動部とからなり、前記ノズル、前記シリンジおよび流路内に充填された圧力伝達液を介して前記ノズルの先端からサンプル液を吸引および吐出する分注装置において、
前記ノズル内のサンプル液を帯電させるための電圧印加手段と電圧を制御するための電圧制御手段と帯電されたサンプル液を誘引するためのゲート電極とを有し、
前記電圧制御手段によって吐出とゲート電極印加のタイミングおよび電圧値を制御することを特徴とする分注装置。
【請求項2】
前記ノズルの主構造が導電性材料でありその外面に絶縁膜を付加したことを特徴とする請求項1記載の分注装置。
【請求項3】
前記ノズルの主構造が絶縁体であり、その内面に導電性材料を付加したことを特徴とする請求項1記載の分注装置。
【請求項4】
前記ゲート電極は前記ノズルの中心に対して同心円となるような円形の開口部を有したことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の分注装置。
【請求項5】
前記ゲート電極は前記ノズルの中心から放射状に伸びた少なくとも2本以上の針形状電極から構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の分注装置。
【請求項6】
前記針形状電極はサンプル液の吐出方向に進むにしたがいノズルの中心軸に近づくように傾斜していることを特徴とする請求項5載の分注装置。
【請求項7】
前記起動部がサーボモータであることを特徴とする請求項1乃至請求項6記載の分注装置。
【請求項8】
前記サーボモータに搭載されたエンコーダの位置信号を用いてゲート電極の印加電圧のタイミングを制御することを特徴とする請求項1乃至請求項7記載の分注装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−210353(P2009−210353A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52475(P2008−52475)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】