説明

分配システムおよび分配方法

【課題】分配パウチを形成するための新規な分配パウチ袋詰め装置を提供する。
【解決手段】トレーを有し、各トレーが、分配すべき少なくとも1つのアイテムを支持できるアイテム分配システム。ケーシングは、アイテムが支持されたトレーを受入れて、その後に貯蔵するための補充容積を有している。貯蔵容積は、トレーを貯蔵のために収容する。任意の選択されたアイテムをトレー上に分配するのに出口を使用する。アームは、ケーシング内でトレーを変位させかつアイテムをトレーから出口へと変位させる。コントローラユニットは、補充容積内に位置したときにトレー内の各アイテムの識別標識を受入れ、かつケーシング内のトレー内の識別された各アイテムの位置をモニタしてアームの作動を制御し、ユーザーインターフェースを介して入力されたオーダーに従って出口を通してアイテムを分配する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年4月25日付カナダ国特許出願第2,585,922号および2008年1月29日付米国仮特許出願第61/024、307号の優先権を主張する。
本願は、所与のアイテムを分配しかつ例えばパウチまたは袋(バッグ)内の所与のアイテムの分配を管理するディスペンシングシステムに関する。本願は、多くの用途のうち、医薬、医療用具および医療製品の分配に使用されるディスペンシングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
在庫を最小にしかつ要求に合致するように製品をいつでも入手できるようにするには多くのファクタを考察すべきであるため、在庫管理は複雑な仕事である。分配および補充(re-stocking)を人に管理させて、在庫のコントロールを維持することは一般に知られている。
医療または医薬の分野では、医療製品および医薬品の価値のため、処方箋、薬量、有効期限および認証等の付加ファクタを考察するより一層複雑なものとなる。したがって、在庫は、しばしば従業員により管理され、これは費用の嵩む解決法である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願の目的は、分配パウチを形成するための新規な分配パウチ袋詰め装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本願の第1実施形態によれば、トレーを有し、各トレーが、分配すべき少なくとも1つのアイテムを支持でき、ケーシングを有し、該ケーシングが、アイテムが支持されたトレーを受入れて、その後に貯蔵するための補充容積(restocking volume)と、トレーを貯蔵のために収容する貯蔵容積と、トレー上のアイテムのうち任意の選択されたアイテムを分配するための出口と、トレーを少なくとも補充容積と貯蔵容積との間で変位させて、アイテムをトレーから出口へと変位させるアームとを備え、少なくとも1つのユーザーインターフェースと、コントローラユニットとを更に有し、該コントローラユニットは、補充容積内に位置したときにトレー内の各アイテムの識別標識を受入れ、かつケーシング内のトレー内の識別された各アイテムの位置をモニタしてアームの作動を制御し、ユーザーインターフェースを介して入力されたオーダーに従って出口を通してアイテムを分配することを特徴とするアイテムを分配するシステムが提供される。
【0005】
また、第1実施形態において、各トレーは、アームの把持ツールにより操作できるように、両縁部に1対のコネクタを有している。
更に第1実施形態において、アームは、3つの並進自由度に沿って把持ツールを変位させる。
【0006】
更に第1実施形態において、補充容積および貯蔵容積の各々が、ケーシング内で互いに向い合った棚を有し、ケーシング内の移行テーブルを更に有し、該移行テーブルは、アームがトレーを下降させることをことを可能にして、把持ツールが、変位されたトレー上で、前記1つのコネクタから前記他のコネクタに切換え、補充容積の棚間の前記変位されたトレーを貯蔵容積の棚に移動させる。
更に第1実施形態において、補充容積および貯蔵容積の各々が、ケーシング内で互いに向い合った棚を有し、前記補充容積には、オペレータがケーシングに補充できるようにケーシングの前方パネルを通ってアクセスできる。
【0007】
更に第1実施形態において、システムは、ケーシングの内部にアクセスできるようにピボット可能な前方パネルを更に有し、該前方パネルには少なくとも1つのユーザーインターフェースが設けられている。
更に第1実施形態において、システムは、ケーシングの内部へのアクセスを更に制限すべく、前方パネルとケーシングの内部との間のロック可能な保護壁を更に有している。
更に第1実施形態において、システムは、袋アイテムが出口を通って分配されるように、ケーシングの出口に袋詰め装置を更に有している。
【0008】
更に第1実施形態において、袋詰め装置は、分配されるアイテムのオーダーに関する情報を袋上に印刷するためのプリンタを有している。
更に第1実施形態において、袋詰め装置は、分配されるアイテムを閉じられたパウチ内に封入すべく、シーリング装置および切断装置を更に有している。
更に第1実施形態において、袋詰め装置は出口にサポートを有し、該サポートは、袋詰めされたアイテムが処理される前に支持すべく垂直に変位できる。
更に第1実施形態において、出口へのアクセスを制御すべく出口に設けられた選択的にロックできる扉を更に有している。
【0009】
更に第1実施形態において、光学センサは、コントローラユニットが在庫データを調節して、コントローラユニットが確実にアイテムの分配ができるようにする。
更に第1実施形態において、ユーザーインターフェースは、タッチスクリーン、モニタ、バーコードリーダーおよびキーボードのうちの少なくとも1つを有している。
更に第1実施形態において、システムは、処理ビンを更に有し、該処理ビンは、アイテムをシステム内に設けられている。度すべくコントローラユニットを介して選択的に開かれるドロップ開口を備えている。
【0010】
更に第1実施形態において、システムは、トレーのうちのいずれか1つにバルクディスペンサを更に有し、該バルクディスペンサは、アイテムのバルクコンテナーから少なくとも1つのアイテムを出力するように作動できる。
更に第1実施形態において、システムは、ケーシング内のリーダーを更に有し、該リーダーは、コントローラユニットがケーシング内で変位される各トレーの同一性を確認できるように、トレー上のデータを読取ることができる。
【0011】
本願の第2実施形態によれば、袋詰めされるべきアイテムを確認する段階と、袋詰めされるべきアイテムに従って長さを変えることができるチューブを分配する段階と、開放した頂端部および閉じられた底端部とを備えたチューブをシュート内に位置決めする段階と、チューブの変化する長さに従って、チューブの下にサポートを位置決めする段階と、アイテムをチューブ内に配置する段階とを有することを特徴とするアイテム袋詰め方法が提供される。
【0012】
更に第2実施形態において、アイテム袋詰め方法は、チューブの開放した頂端部をシールして、アイテムをチューブ内に閉じ込める段階を更に有している。
更に第2実施形態において、アイテム袋詰め方法は、チューブをシーリングする前に、アイテムをチューブ内容物に確実に入れる段階を更に有している。
更に第2実施形態において、アイテムがチューブ内に確実に入れる段階は、アイテムを光学的に検出しかつチューブ内で処理する段階を有している。
更に第2実施形態において、アイテム袋詰め方法は、チューブ上に情報を印刷する段階を更に有し、前記情報は袋詰めされるアイテムに関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本願の一実施形態による袋詰め装置を左側前方から斜視図である。
【図2】図1の袋詰め装置を示す右側前方から見た斜視図である。
【図3】図1の袋詰め装置を示す左側後方から見た斜視図である。
【図4】図1の袋詰め装置のプリンタを示す斜視図である。
【図5】図1の袋詰め装置の切断装置を示す斜視図である。
【図6】図1の袋詰め装置のシュートサポートを示す斜視図である。
【図7】図1の袋詰め装置を示す断面図である。
【図8】図1の袋詰め装置により作られた、シリンジを収容する分配パウチを示す概略図である。
【図9】図1の袋詰め装置により作られた、ピルを収容する分配パウチを示す概略図である。
【図10】本願の一実施形態による分配システムを示す斜視図である。
【図11】図10の分配システムの斜視図であり、該分配システムの内部を示すため外側シェルおよび前方パネルは除去されている。
【図12】図10の分配システムを示す側面図である。
【図13】本願の更に別の実施形態によるバルクディスペンサ装置を示す分解図である。
【図14】本願の更に別の実施形態によるバルクディスペンサ装置を示す分解図である。
【図15】図14のバルクディスペンサ装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面、特に図10を参照すると、本願の一実施形態による分配システムの全体が参照番号10で示されている。分配システム10は、在庫レベルおよび認証等のファクタを考慮して在庫を管理すると同時に、種々のアイテムを分配するのに使用される。一実施形態では、この分配システムは、医薬および医療用の製品/装置を分配するのに使用される。簡単化の目的から、以下の記載は医薬および医療用の製品アイテム/装置について述べるが、この分配システム10は、小形の部品/ピースの在庫を貯蔵しかつ管理すべく複数の他の産業に使用することもできる。
分配システム10はケーシング15を有し、該ケーシング15には前方パネル16がヒンジ連結されている。ケーシング15は、分配システム10の構成物を保護すべく、頑丈な材料で作られている。前方パネル16は、分配システム10のコントローラユニットを収容しており、かつ製品の分配に関連する種々のトランザクションを遂行すべく、使用者が分配システム10と相互作用するユーザインターフェースシステムのユーザインターフェースコンポーネンツを支持している。
【0015】
図1の前方パネル16にはモニタ17が設けられており、該モニタ17には、分配システム10に指令を与える情報が表示される。好ましい実施形態では、モニタ17はタッチスクリーンであり、該タッチスクリーンにより、分配システム10の使用者は、ユーザ識別標識、患者情報、認証コード、注文品および返品の製品識別標識等の情報を入力できる。例えばキーボードまたは他のインターフェースツールを用いる他の方法を考えることもできる。
前方パネル16にはバーコードリーダー18も設けられている。バーコードリーダー18は、識別標識カードのスキャニングによりトランザクションが正当であると認めるために使用される。また、分配システム10には、使用済みシリンジ(注射器)、未使用医薬等の廃棄物を回収する機能をもたせるのが好ましい。後述のように、このような製品は、一般に、当該製品が関連するバーコードを備えたパウチ内にパッケージされる。したがって、バーコードリーダー18は廃棄物として投棄された製品の認証を記録するのに使用される。他の形態では、RFIDおよび他の形式の検出技術を使用できる。
【0016】
分配システム10が何らかの廃棄物を受入れることができるように、前方パネル16にはドロップ開口19が設けられている。一般に、ドロップ開口19は、一般に、分配システム10によりひとたび認証が認可されると開かれるトラップまたは扉を有している。ドロップ開口19は、前方パネル16内の廃棄バスケットまたは処理ビンに連通している。前方パネル16には、分配システム10の廃棄バスケットを空にするためのアクセス扉20が設けられている。アクセス扉20には権限をもつ従業員のみがアクセスでき、このため、アクセス扉20には一般にロックが設けられている。例えば生体認証等の他の識別標識を必要とするように構成することもできる。
【0017】
引続き図1を参照すると、前方パネル16には、分配システム10から種々の製品を分配するための出口21が設けられている。一実施形態では、出口21は、分配システム10内の袋詰め装置に関連している。出口21は、分配システム10によるトランザクション時にのみ開かれるようにするため、ロックできることが好ましい。
前方パネル16にはシーリング装置22が設けられている。種々のアイテムが袋またはパウチ内に入れられて分配システム10に戻されることを考えると、袋/パウチは、戻すべき内容物を保護すべくシールする必要がある。したがって、シーリング装置22はセルフサービスである。
【0018】
前方パネル16には他の特徴も設けられている。例えば、分配システム10によるトランザクションの迅速認証を行うため、指紋識別器を設けることができる。
前方パネル16は、このインターフェースコンポーネンツ用コントローラユニットを組込む内容積を有している。コントローラユニットは、ケーシング内の全ての移動をコントロールしかつ在庫データを評価するコントローラである。コントローラユニットは、システム10のユーザインターフェースに接続されておりかつケーシング15内の全ての作動機構を駆動する。
ケーシング15の内部への権限のないアクセスを防止する第2レベルのセキュリティを付与すべく、前方パネル16とケーシング1の内部との間には保護壁を設けることが望ましい。
【0019】
図11および図12を同時に参照すると、ここにはケーシング15の内部が示されている。分配システム10内に貯蔵された種々の製品は、トレーまたはカセット25に入れて運ばれる。トレー/カセット25とは異なる他の同様な装置を使用することもできる。カセット25はアイテムを支持すべく凹状であり、かつケーシング15内で操作できるように前方および後方のコネクタまたはフック26(後方フックについては図2)を有している。
ケーシング15の後端部には、在庫の貯蔵のための貯蔵容積30が設けられている。図示の実施形態では、貯蔵容積30は複数の棚31からなる。棚31は15個の異なるカセット25を支持するものが示されているが、これより多いまたは少ない位置を設けることもでき、各カセット位置は分配システム10により知られている。
【0020】
ケーシング15の前端部には補充容積35が設けられている。補充容積35は棚36を有し、該棚36内では、補充されたカセットまたは空のカセットが、分配システム10の補充を考慮して位置決めされる。図示の実施形態では、カセット25について5つの異なる位置が設けられているが、これより多いまたは少ない位置を設けることもできる。
以下に述べるように、ロボットアーム40が、貯蔵容積30と、補充容積35と、袋詰め装置との間でカセット25を変位させる。図11および図12の実施形態では、ロボットアーム40はリニアアクチュエーターで作られており、カセットを、3つの並進自由度すなわちX、Y、Zに沿って変位させることができる。ロボットアーム40の一端には把持ツール41が設けられており、該把持ツール41は、カセット25のフック26を掴むべく作動して、カセットを分配システム10内で変位させる。ロボットアーム40および把持ツール41は、分配システム10のコントローラユニットにより駆動される。
【0021】
図示の実施形態では、把持ツール41は、前端フック26を把持することにより貯蔵容積30の棚31内のカセット25にアクセスする。一方、補充容積35の棚36内のカセット25を操作するには、把持ツール41はカセット25の後端フック26を把持する。したがって、把持ツール41が一時的にカセット25を押し下げて後端フック26から前端フック26に切換え、カセット25を補充容積35から貯蔵容積20に変位させることができるようにする移行テーブル42が設けられている。したがって、移行テーブル42を設けることにより、ケーシング15内のスペースを最適に使用できる。移行テーブル42を設けることにより、回転継手を全く設けることなくロボットアーム40を作動できるが、把持ツール41に回転自由度を付与するための回転継手を使用することも考えられる。
【0022】
図1−図7を同時に参照すると、ここには、パウチを製造する袋詰め装置50の全体がより詳細に示されている。この袋詰め装置50は図11の袋詰め装置50′と同様のものである。袋詰め装置50は、全体を符号Cで示すチューブおよびペーパストリップのロールを支持している。袋詰め装置50およびその全てのコンポーネンツは、分配システム10のコントローラユニットにより駆動される。
袋詰め装置50は、チューブを充填領域に送給するフィーディングシステム60と、パウチ上にデータを印刷するプリンタ70とを有している。パウチを適当なサイズに切断しかつシールするための切断装置80が設けられている。シーリング装置90が、内容物が入れられたパウチをシールする。パウチが切断されかつシールされる前にパウチの内容物の重量を支持するためのシュートサポート100が設けられている。アイテムがパウチ内に入れられているか否かを確認するための光学検出システム110が設けられている。
【0023】
図1、図2および図4に示すように、フィーディングシステム60はベルトドライブ61を有し、該ベルトドライブ61によりローラ62が駆動されて、ローラCから袋詰め装置50の充填領域に一定長さのチューブを分配する。ドリブンローラ62と組合せてアイドラローラ63が使用されており、チューブに適当な張力を付与して充填領域にチューブを選択的に送給する。チューブは出口64を通って、袋詰め装置50の充填領域内に送給される。
プリンタ70はドリブンローラ62に隣接しており、形成されるパウチの内容物にしたがってチューブのペーパストリップ上に情報を印刷すべく作動される。プリンタ70は、ペーパストリップとして使用されるペーパの種類に従って選択される。
【0024】
図5に示すように、切断装置80は袋詰め装置50の充填領域の頂端部に配置されており、選択された長さのパウチを形成すべくロールCからのチューブを切断する。また、切断装置80は、パウチ内にアイテムを分配する間に開端パウチを保持しかつ内容物が入れられたパウチをシールする。
切断装置80は切断ツール81を有し、該切断ツールは、図5に符号Xで示す方向に並進運動するようにレール82に取付けられている。この並進運動はギヤ84により駆動されるタイミングベルト83により制御される。切断ツール81は、タイミングベルト83から切断ツール81に運動を伝達するための、タイミングベルト83に連結されたラック85を有している。
【0025】
図1および図7を同時に参照すると、シーリング装置90は1対のジョー91を有し、これらのジョー91は互いに対面しておりかつ袋詰め装置50の充填領域内で切断装置80およびフィーディングシステム60の下に配置されている。各ジョー91は、充填領域内で開端パウチを掴むべく作動する吸引カップ92を有している。両ジョー91は互いに近付く方向に並進移動され、各ジョー91は吸引カップ92の吸引力により充填領域内でパウチのそれぞれのパネルを捕捉する。次に両ジョー91が互いに離れる方向に並進されてパウチを開き、これにより、アイテムは、開いたパウチ内に落下できる。
【0026】
ひとたびアイテム(単一または複数)がパウチ内に入れられたならば、両ジョー91が互いに引戻され、内容物が入れられたパウチを閉じる。次に、ジョー91と一緒に移動するシーリングツール93を使用して、内容物が入れられたパウチを閉じた状態でシールする。他方のジョー91は、シーリングツール93に対向する接着防止バンドを有し、溶けたプラスチックがジョー91に付着するのを防止するように構成されていることを指摘しておく。しかしながら、他の組合せを考えることもできる。また、吸引カップ92はパウチを掴むための多くの手段のうちの1つであり、掴みフィンガ、クリップ等の他の手段を考えることもできる。
【0027】
図1、図3および図6を同時に参照すると、シュートサポート100は支持プレート101を有している。支持プレート101は、Y方向に沿って垂直に並進する。支持プレート101は充填領域の底端部を形成し、袋詰めされるべきアイテムのサイズに関連して垂直方向に位置決めされる。より詳しくは、アイテムがパウチに損傷を与えることを防止するため、充填領域内の支持プレート101の垂直位置は、パウチ内に入れられるアイテムのサイズにしたがって調節される。
シュートサポート100は、作動手段(タイミングベルトおよびギヤ組立体)と支持プレート101との間の境界面であるブラケット102を有している。したがって、ブラケット101は支持プレート101と一緒に並進する。支持プレート101は、その両端部に第1ピン103および第2ピン104を有している。第1ピン103はシュートサポート100のケーシングのガイドスロット105内に収容されていて、該ガイドスロット105に沿って上下に移動する。
【0028】
第2ピン104は、バイアシングスロット106内に収容されることによりブラケット101に連結されている。したがって、ブラケット101が下方に移動すると、バイアシングスロット106により第2ピン104に押圧力が加えられる。第2ピン104がシュートサポート100のケーシングのバランシングスロット107と整合すると、バイアシングスロット106により加えられた押圧力により、第2ピン104がフリッピングスロット107内に押し入れられ、かつ第1ピン103が他の組のフリッピングスロット108内に押し入れられる。これにより、支持プレート101のピボット運動が引起こされ、充填されたパウチがシュートサポート100から落下される。支持プレート101の垂直運動およびピボット運動を生じさせるのに他の構造を考えることもできる。
【0029】
図1および図2に示すように、光学検出システム110は、内容物がパウチ内に入れられているか否かを確認する。システム100はエミッター110Aおよびレシーバー110Bを有し、これらは、これらの間を通るあらゆる移動を検出する。エミッター110Aおよびレシーバー110Bは、パウチの全幅をカバーするサイズを有している。例えば支持プレート上の重量センサ等の他の形式の検出システムを使用することもできる。
図面特に図8を参照すると、袋詰め装置50により作られる本願の一実施形態による分配パウチすなわち袋の全体が参照番号111で示されている。
【0030】
分配パウチ111は、ペーパストリップ114を支持するプラスチックチューブ112で作られる。チューブ112は、該チューブを形成すべくその側縁部が折畳まれまたはシールされたフィルムである。以下に述べるように、チューブ112は、袋詰め装置からチューブ112を分配する間に、頂縁部116および底縁部118でシールされかつ切断され、パウチ111を形成する。
分配パウチ111の一方の側縁部に平行にミシン目接続部120が設けられている。ミシン目接続部120は、手で引裂くことにより、パウチ111の内容物(すなわち、図8の実施形態ではシリンジA)にアクセスできる。
【0031】
ペーパストリップ114上には、パウチ111の内容物に関するデータ122が直接印刷される。データ122は袋詰め装置により印刷するのが好ましい。このため、ペーパストリップ114は、袋詰め装置の印刷ヘッドとの相容性を有するものが選択される。一例では、ペーパストリップ114は、チューブ112に接着できるサーマルペーパである。また、以下に述べるように、ペーパストリップ114およびチューブ112はロールの形態で供給される。袋詰め装置により分配すべきチューブ112にとって必要とされる微小電子部品(チップ)をロールC内に(例えば、ロールCの中央チューブ内にまたはチューブ112に沿って)作ることを考えることもできる。したがって、このようなコントロールにより、分配システム10のオペレータは、例えば分配される製品の汚染を防止すべく、選択された種類の樹脂のみを使用することを確保できる。
【0032】
一実施形態では、パウチ111は医療用ディスペンサーの一部として使用される。したがって、ドラッグ、医薬または適当サイズの任意の類似の薬品が、1つのパウチ111の中に分配される。図8において、シリンジAには、患者に予定された1回分の薬品が入れられている。したがって、データ122には、一般に、患者の名前、薬品の識別標識および服用量、当該服用量を患者に投与すべき時間間隔および服用量を処方した医者または薬剤師の識別標識が含まれる。服用量が分配器具(例えばシリンジ)から投与される場合には、パウチ111は、使い捨て袋として使用できる。
【0033】
図9には分配パウチ111′が図示されている。パウチ111′は図8のパウチ111と同様であり、同じ袋詰め装置により作られる。しかしながら、このパウチ111′はピルBを入れるためのものであり、したがってパウチ111より小さい。
内容物が入れられたパウチ111/111′を作るべく、以下に述べる連続的事象が遂行される。1回分の服用量に対する要求が適当な従業員によりひとたび入力されると、コントローラ(例えば、プロセッサを備えたコンピュータ)が、当該服用量のフォーマットを考慮して、シュートサポート100の支持プレート101を適当な高さまで変位させ、かつプリンタ70を作動させて、ロールCから分配されるチューブ112/ペーパ114の出力端上に適当なデータ122を印刷する。出力端は、これより前の作業により既にシールされている。
【0034】
ペーパ114のストリップ上に印刷される情報に従って、コントローラによりフィーディングシステム60が作動されて、適当な長さのチューブ112/ペーパ114がロールCから供給される。ひとたび適当な長さが切断装置80に到達したならば、チューブ112/ペーパ114が切断されて、パウチ111のサイズを形成する。次の袋詰め作業のために、シーリング装置90によりロールCの自由端がシールされる。
パウチ111の頂縁部116は、シーリング装置90により開いた状態に維持される。次に、製品がシュートを介して開放パウチ111内に分配され、支持プレート101により部分的に支持される。光学検出システム110により、適当な服用量が確実にパウチ111/111′内に分配される。適当な服用量が検出されたならば、コントローラがシーリング装置90を作動させてパウチ111/111′をシールする。次に、シュートサポート100が、製品を分配位置まで下降させる。
【0035】
図13を参照すると、バルクディスペンサ装置の全体が参照番号200で示されている。バルクディスペンサ装置200は、一般に、1つのカセット25内に置かれ、医薬タブレットのようなバルク製品を分配するのに使用される。
バルクディスペンサ装置200はベース201を有し、該ベース201上に容器(図示せず)が取付けられる。ベース201にはトラフ202が形成され、該トラフ202は容器の底と連通しており、これにより容器のバルクタブレットがスロット付きホイール203に向けて案内される。ホイール203は、該ホイール上で半径方向を向いた複数のスロット204を有している。各スロット204は、容器から単一のタブレットを受入れるサイズを有している。したがって、スロット204のサイズは、バルクディスペンサ装置200により分配されるタブレットに従って選択される。
【0036】
ベース201の側部には出口205に設けられており、該出口205はスロット204と整合される。したがって、ホイールが回転すると、スロット204が出口205と1つずつ整合して、スロット204内のタブレットの出口を形成する。
ホイール203の中心にはシャフト206が設けられている。以下に述べるように、ホイール203は、例えばラックアンドピニオン構造により、シャフト206を介して作動される。
【0037】
図14および図15を同時に参照すると、本願の他の実施形態によるバルクディスペンサ装置の全体が参照番号300で示されている。バルクディスペンサ装置300は、種々のタブレットを受入れる容器を形成する円筒状ボディ301を有している。円筒状ボディ301の底にはホイール302が配置されている。該ホイール302は、複数の開口303を有し、各開口303は、タブレットを受入れるサイズを有している。したがって、ホイール302は、バルクディスペンサ装置300が収容するタブレットの寸法にしたがって選択される。
円筒状ボディ301の底には出口304が設けられており、該出口304はホイール302の開口303と整合される。したがって、ホイール302が回転すると、開口303は出口304と次々に整合される。
【0038】
ホイール302を回転させるため、ホイール302にはギヤ外周部305が設けられている。したがって、図14に示すように、バルクディスペンサ装置300をラック306に沿って並進させると、ラック306とギヤ外周部305との相互作用によりホイール302が回転される。把持ツール41によりバルクディスペンサ装置300を操作できるように、円筒状ボディ301の外周部にはフック307が設けられている。
分配システム10を補充するには、オペレータは、種々のカセット25を準備しかつカセット25の内容物を分配システム10のコントローラユニットに記録する必要がある。また、遠隔コンピュータ、無線通信等を用いて内容物データを入力することも考えられる。より詳しくは、種々のアイテム(例えば、医薬、医療用器具、バルクディスペンサ装置)のカセット25上の位置等の情報並びにカセット25が挿入される補充容積35の棚36の識別標識が分配システム10に入力される。
【0039】
ひとたび補充容積35の仕込みが完了したならば、前方パネル16が閉じられる。この時点で、ロボットアーム40により全ての操作が行われる。したがって、貯蔵容積30と、補充容積35と、袋詰め装置50との間の全ての変位が制御され、これにより、カセット25上の製品の位置を知ることができる。したがって、袋詰め装置50により医療用器具が分配される場合には、光学検出システム110により得られた確認により、機械器具を支持したカセット25が機械器具を分配したことを在庫により気付くことができる。全てのトランザクションを気付くことができ、リアルタイムで在庫が更新される。
使用された医療用器具または未使用の医薬を戻すには、これらのアイテムをこれらの元の分配パウチ内に戻すことが推奨される。一般にパウチはバーコードを有するので、バーコードリーダー18により読取りが行われて、パウチの分配が記録される。前方パネル16の検出器は、パウチがアクセス扉20を通って投げ出されたことを確認する。元のパウチを入手できない場合には、システムは、元の日付または患者または使用者の識別標識等の情報が印刷された空のパウチを出力できる。
【0040】
分配システム10を用いた製品の分配は、分配システム10が所与の産業に使用されるときに認証の厳格な管理を含んでいる。例えば、医療用製品および医薬の分配では、製品の分配は、処方箋、許容服用量、麻酔薬の不法使用、禁忌等の多くのファクタを考慮に入れなくてはならない。一方、危険性を考慮に入れて、或る程度のアクセスを行うことが考えられる。
【0041】
一実施形態では、分配システム10によりトランザクション/場所オーダーを遂行するには、分配システム10の使用者は最初に彼自身/彼女自身を識別しなければならない。上記分配システム10の種々のユーザーインターフェースは、識別標識に使用される。分配システム10のコントローラユニットにより認証が認められた後、使用者は患者および処方箋の情報を入力する。コントローラユニットは、モニタ17を介して使用者にメッセージを伝えることができる。そうでない場合には、コントローラユニットは、種々のコンポーネンツを駆動して処方箋を準備しかつ分配システム10の出口を介して処方製品を分配する。
【0042】
他の実施形態では、権限ある従業員が患者を識別する充分な情報(例えば、マニュアルエントリー)を得ることができる場合、またはコントローラユニットに未だ患者のプロファイルまたは処方箋が与えられていない場合には、コントローラユニットは、医薬を暫定的にオーダーできる。このような場合には、権限ある従業員は、製品の分配に部分的権限をもつオペレータとして識別され、入力された情報並びに処方従業員(例えば医者)により与えられた他の任意の表示をパウチまたはチューブ上に印刷できる。しかしながら、重要なことは、禁忌のような製品に関する関連情報を与えることである。コントローラユニットは、患者のプロファイルのこのようなトランザクションを考慮に入れ、処方箋データがコントローラユニットにアップロードされる場合にはメインサーバーに次の調和を与える。調和中に識別される全ての不適当な分配が合図される。
【0043】
また、患者のプロファイルがコントローラユニットに存在する一方、処方箋は未だコントローラユニットにアップデートされていない。このような場合、権限ある従業員は暫定的に医薬を処方できるが、患者のアレルギーおよび他の潜在的問題を識別すべく患者のプロファイルへのアクセスを有している。
コントローラユニットは、特定製品の低い在庫レベルをメインテナンス従業員に警告する。また、複数の分配システム10は、情報を共有すべくネットワークを介して相互接続できる。1つの分配システム10が1つのアイテムを欠いている場合には、使用者は、ネットワークの他の分配システム10が当該アイテムの在庫を有していることを報告する。
【0044】
医療用途に加え、分配システム10は、部品またはツールの分配に使用することもできる。例えば金属加工産業(機械加工、フライス加工、溶接等)では、ドリルビット、ナットおよびボルト等のツールは、分配システム10を用いて分配できる。
他の実施形態では、コントローラユニットは、ケーシング15内のバーコードリーダーまたは他の形式のリーダー(例えばRFIDリーダー)に接続され、各カセット/トレー25はバーコードまたはRFIDタグ等の対応データを有している。また、所与のアイテムおよびバルクディスペンサ装置200、300にも対応データを設けることができる。トレー25が補充容積35内に挿入される場合には、読取りは、トレー25の位置およびその内容物をケーシング15内で開始すべく行うことができる。また、トレー25/製品の変位またはケーシング15内の製品の分配は、バーコードを読取って変位を確認することにより行われ、正しいアイテム(単一または複数)は、達成すべき所与のトランザクションまたはルーチンに従って操作される。
【符号の説明】
【0045】
10 分配システム
30 貯蔵容積
40 ロボットアーム
50 袋詰め装置
60 フィーディングシステム
70 プリンタ
80 切断装置
90 シーリング装置
100 シュートサポート
111 分配パウチ
200、300 バルクディスペンサ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーを有し、各トレーが、分配すべき少なくとも1つのアイテムを支持でき、
ケーシングを有し、該ケーシングが、アイテムが支持されたトレーを受入れて、その後に貯蔵するための補充容積と、トレーを貯蔵のために収容する貯蔵容積と、トレー上のアイテムのうち任意の選択されたアイテムを分配するための出口と、トレーを少なくとも補充容積と貯蔵容積との間で変位させて、アイテムをトレーから出口へと変位させるアームとを備え、
少なくとも1つのユーザーインターフェースと、
コントローラユニットとを更に有し、該コントローラユニットは、補充容積内に位置したときにトレー内の各アイテムの識別標識を受入れ、かつケーシング内のトレー内の識別された各アイテムの位置をモニタしてアームの作動を制御し、ユーザーインターフェースを介して入力されたオーダーに従って出口を通してアイテムを分配することを特徴とするアイテムを分配するシステム。
【請求項2】
前記各トレーは、アームの把持ツールにより操作できるように、両縁部に1対のコネクタを有していることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記アームは、3つの並進自由度に沿って把持ツールを変位させることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記補充容積および貯蔵容積の各々が、ケーシング内で互いに向い合った棚を有し、ケーシング内の移行テーブルを更に有し、該移行テーブルは、アームがトレーを下降させることをことを可能にして、把持ツールが、変位されたトレー上で、前記1つのコネクタから前記他のコネクタに切換え、補充容積の棚間の前記変位されたトレーを貯蔵容積の棚に移動させることを特徴とする請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記補充容積および貯蔵容積の各々が、ケーシング内で互いに向い合った棚を有し、前記補充容積には、オペレータがケーシングに補充できるようにケーシングの前方パネルを通ってアクセスできることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項6】
ケーシングの内部にアクセスできるようにピボット可能な前方パネルを更に有し、該前方パネルには少なくとも1つのユーザーインターフェースが設けられていることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記ケーシングの内部へのアクセスを更に制限すべく、前方パネルとケーシングの内部との間のロック可能な保護壁を更に有することを特徴とする請求項6記載のシステム。
【請求項8】
袋アイテムが出口を通って分配されるように、ケーシングの出口に袋詰め装置を更に有していることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記袋詰め装置は、分配されるアイテムのオーダーに関する情報を袋上に印刷するためのプリンタを有していることを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記袋詰め装置は、分配されるアイテムを閉じられたパウチ内に封入すべく、シーリング装置および切断装置を更に有していることを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項11】
前記袋詰め装置は出口にサポートを有し、該サポートは、袋詰めされたアイテムが処理される前に支持すべく垂直に変位できることを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項12】
前記出口へのアクセスを制御すべく出口に設けられた選択的にロックできる扉を更に有していることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラユニットが在庫データを調節して、コントローラユニットが確実にアイテムの分配ができるようにする光学センサを更に有していることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記ユーザーインターフェースが、タッチスクリーン、モニタ、バーコードリーダーおよびキーボードのうちの少なくとも1つを有していることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項15】
処理ビンを更に有し、該処理ビンは、アイテムをシステム内に設けられている。度すべくコントローラユニットを介して選択的に開かれるドロップ開口を備えていることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項16】
前記トレーのうちのいずれか1つにバルクディスペンサを更に有し、該バルクディスペンサは、アイテムのバルクコンテナーから少なくとも1つのアイテムを出力するように作動できることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項17】
前記ケーシング内のリーダーを更に有し、該リーダーは、コントローラユニットがケーシング内で変位される各トレーの同一性を確認できるように、トレー上のデータを読取ることができることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項18】
袋詰めされるべきアイテムを確認する段階と、
袋詰めされるべきアイテムに従って長さを変えることができるチューブを分配する段階と、
開放した頂端部および閉じられた底端部とを備えたチューブをシュート内に位置決めする段階と、
チューブの変化する長さに従って、チューブの下にサポートを位置決めする段階と、
アイテムをチューブ内に配置する段階とを有することを特徴とするアイテムを袋詰めする方法。
【請求項19】
前記チューブの開放した頂端部をシールして、アイテムをチューブ内に閉じ込める段階を更に有していることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記チューブをシーリングする前に、アイテムをチューブ内容物に確実に入れる段階を更に有していることを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記アイテムがチューブ内に確実に入れる段階は、アイテムを光学的に検出しかつチューブ内で処理する段階を有することを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記チューブ上に情報を印刷する段階を更に有し、前記情報は袋詰めされるアイテムに関するものであることを特徴とする請求項18記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公表番号】特表2010−524790(P2010−524790A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504405(P2010−504405)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【国際出願番号】PCT/CA2008/000799
【国際公開番号】WO2008/131548
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(509296096)プランニング テクノロジーズ インターナショナル インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】