説明

分離膜支持体ならびにそれを用いた分離膜および流体分離素子

【課題】分離膜を支持する際に優れた製膜性および機械的強度を有することに加え、流体分離素子製造時に優れた加工性を有する不織布からなる分離膜支持体、ならびにその分離膜支持体を用いた分離膜および流体分離素子を提供する。
【解決手段】分離膜支持体は、分離膜の製膜面側に配置される繊維が、分離膜の非製膜面側に配置される繊維よりも横配向である不織布からなるもので、分離膜の製膜面側に配置される繊維の繊維配向度が35〜90°であり、非製膜面側に配置される繊維の繊維配向度が0〜35°で、両者の繊維配向度差が5°以上であることが好ましい態様である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜および逆浸透膜等の分離膜を支持するための不織布からなる分離膜支持体に関するものである。また、本発明は、その分離膜支持体を用いた分離膜および流体分離素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の水処理には、多くの場合において膜技術が適用されている。例えば、浄水場での水処理には、精密ろ過膜や限外ろ過膜が用いられており、海水の淡水化には、逆浸透膜が用いられている。また、半導体製造用水、ボイラー用水、医療用水およびラボ用純水等の処理には、逆浸透膜やナノろ過膜が用いられている。さらに、下廃水の処理には、精密ろ過膜や限外ろ過膜を用いた膜分離活性汚泥法も適用されている。
【0003】
これらの分離膜は、その形状から平膜と中空糸膜に大別される。これらの分離膜のうち、主に合成重合体から形成される平膜は、分離機能を有する膜単体では機械的強度に劣るため、一般に不織布や織布等の支持体と一体化して使用されることが多い。
【0004】
一般に、分離機能を有する膜と支持体は、不織布や織布等の支持体上に、分離機能を有する膜の原料となる高分子重合体の溶液を流延して固着させる方法により一体化される。また、逆浸透膜等の半透膜においては、不織布や織布等の支持体上に高分子重合体の溶液を流延し支持層を形成させた後に、その支持層上に半透膜を形成させる方法等により一体化される。
【0005】
したがって、支持体となる不織布や織布等には、高分子重合体の溶液を流延した際にそれが過浸透により裏抜けしたり、膜物質が剥離したり、さらには支持体の毛羽立ち等により膜の不均一化やピンホール等の欠点が生じたりすることがないような優れた製膜性が要求される。
【0006】
また、分離膜の取り扱いを容易にするための流体分離素子の形態としては、平膜のプレートフレーム型、プリーツ型およびスパイラル型等のものが挙げられる。例えば、プレートフレーム型であれば所定の大きさにカットした分離膜をフレームに取り付ける工程が必要であり、またスパイラル型であれば所定の大きさにカットした分離膜同士の外周部を貼り合わせて封筒状に加工し集水管の周りに巻き付ける工程が必要である。そのため、分離膜支持体にはこれらの工程で膜が折れ曲がったり、丸まったりすることがないような優れた加工性が要求される。
【0007】
さらに、高圧下で使用されることが多い逆浸透膜等の半透膜の場合は、特に、支持体には高い機械的強度と高い寸法安定性が要求される。
【0008】
従来、このような分離膜支持体として、太い繊維を使用した目開きおよび表面粗度の大きな表面層と、細い繊維を使用した目開きが小で緻密な構造を有する裏面層との二重構造を基本とした多層構造体の不織布からなる分離膜支持体が提案されている(特許文献1参照。)。また、半透膜形成用重合体溶液を流延し膜形成を行うための不織布からなる半透膜支持体において、その不織布が、通気度が5〜50cc/cm/secの低密度層と、通気度が0.1cc/cm/sec以上で5cc/cm/sec未満の高密度層とを積層一体化した二層構造の不織布であり、全体としての通気度が0.1cc/cm/sec〜4.5cc/cm/secの半透膜支持体が提案されている(特許文献2参照。)。また、5%伸長時の縦方向(MD)と横方向(CD)の裂断長の平均値が4.0km以上であり、且つ通気度が0.2〜10.0cc/cm・秒の不織布からなる半透膜支持体が提案されている(特許文献3参照。)。また、熱可塑性連続フィラメントから構成される長繊維不織布が2〜5層に積層されてなる分離膜支持体が提案されている(特許文献4参照。)。また、合成樹脂細繊維からなる主体繊維とバインダー繊維とからなり、抄紙後加熱加圧処理して製造される不織布であって、抄紙流れ方向と幅方向の引張強度比が2:1〜1:1にある半透膜支持体が提案されている(特許文献5参照。)。
【0009】
しかしながら、これらの文献には、分離膜製造時の製膜性や、製膜後の凝固・洗浄槽通過時の加工性については提案や記載があるもの、これらのいずれにも流体分離素子製造時の加工性に関しては何ら記載、提案がなかった。よって、このような分離膜支持体を用いた場合、流体分離素子製造時に分離膜が丸まったり折れたりするなど、優れた加工性が得られないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公平4−21526号公報
【特許文献2】特公平5−35009号公報
【特許文献3】特許第3153487号公報
【特許文献4】特開2009−61373号公報
【特許文献5】特開2002−95937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜および逆浸透膜等の分離膜を支持する際に優れた製膜性および機械的強度を有することに加え、流体分離素子製造時に優れた加工性を有する不織布からなる分離膜支持体、ならびにその分離膜支持体を用いた分離膜および流体分離素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、かかる課題を解決するために、次の手段を採用するものである。
【0013】
(1)分離膜の製膜面側に配置される繊維が、分離膜の非製膜面側に配置される繊維よりも横配向である不織布からなることを特徴とする分離膜支持体。
【0014】
(2)分離膜の製膜面側と非製膜面側に配置される繊維の繊維配向度差が5°以上である不織布からなることを特徴とする上記(1)に記載の分離膜支持体。
【0015】
(3)分離膜の製膜面側に配置される繊維の繊維配向度が35〜90°であり、非製膜面側に配置される繊維の繊維配向度が0〜35°であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の分離膜支持体。
【0016】
(4)不織布が、繊維配向度が35〜90°の不織布Aと、繊維配向度が0〜35°の不織布Bをそれぞれ少なくとも1層含み、かつ前記不織布Aを分離膜の製膜面側に配置し、前記不織布Bを非製膜面側に配置し、合計2〜5層積層された積層不織布であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の分離膜支持体。
【0017】
(5)不織布が、長繊維不織布であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の分離膜支持体。
【0018】
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の分離膜支持体の表面上に、分離機能を有する膜を形成してなる分離膜。
【0019】
(7)上記(6)に記載の分離膜を構成要素として含む流体分離素子。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、不織布からなる分離膜支持体であって、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜および逆浸透膜等の分離膜を支持する際に優れた製膜性および機械的強度を有し、流体分離素子製造時に優れた加工性を有する分離膜支持体が得られる。
【0021】
また、本発明により、上記の分離膜支持体を用いた分離膜および流体分離素子を得ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の分離膜支持体は、その表面上に分離機能を有する膜を形成させる分離膜支持体である。
【0023】
本発明の分離膜支持体は、不織布からなる分離膜支持体であって、分離膜の製膜面側に配置される繊維が、非製膜面側に配置される繊維よりも横配向である不織布からなることが重要である。
【0024】
分離膜の製造には、分離膜支持体上に、分離膜や支持層の原料となる高分子重合体の溶液を流延して固着させる工程が含まれるが、分離膜や支持層が分離膜支持体上で凝固する過程において脱溶媒が進み、分離膜や支持層が収縮する。そのために、分離膜支持体が溶液を流延した面(製膜面)を内側に丸まる現象(カール)が見られる。このカールは、特に製膜後の流体分離素子製造時の加工性や流体分離素子の品質に影響をおよぼし、基材の幅方向の端部が製膜面側に丸まり加工中に工程部材に引っ掛かったり、丸まったまま製品化されて、その部分からの漏れに繋がったりするなどのトラブルを引き起こす。このカールによる流体分離素子製造時のトラブルは、前記特許文献5に提案されているような分離膜支持体の流れ方向と幅方向の引張強度比の調整では防ぐことができないものであり、本発明者らは、そのカールに対して、分離膜支持体を構成する不織布の製膜面側に配置される繊維が、非製膜面側に配置される繊維よりも横配向であることにより抑制できることを見出した。
【0025】
本発明の分離膜支持体は、分離膜の製膜面側に配置される繊維の繊維配向度が非製膜面側に配置される繊維の繊維配向度よりも5°以上大きいことが好ましい。具体的に、上記の繊維配向度の差は、好ましくは5°〜90°である。
製膜面側に配置される繊維の繊維配向度が非製膜面側に配置される繊維の繊維配向度より5°以上大きければ、製膜後に分離膜支持体が製膜面側にカールすることを抑制し、流体分離素子製造時のトラブルを防ぐことができる。製膜面側に配置される繊維の繊維配向度が非製膜面側に配置される繊維の繊維配向度よりも10°以上大きいことがより好ましく、15°以上大きいことがさらに好ましい態様である。
【0026】
本発明の分離膜支持体においては、分離膜の製膜面側に配置される繊維の繊維配向度が35〜90°であることが好ましい。製膜面側に配置される繊維の繊維配向度が35°以上であれば、製膜後に分離膜支持体が製膜面側にカールすることを抑制し流体分離素子製造時のトラブルを防ぐことができる。製膜面側に配置される繊維の繊維配向度のより好ましい範囲は40〜90°であり、さらに好ましい範囲は45°〜90°である。
【0027】
また、本発明の分離膜支持体は、分離膜の非製膜面側に配置される繊維の繊維配向度が0〜35°であることが好ましい。非製膜面側に配置されるの繊維配向度が35°以下であれば、製膜後に分離膜支持体が製膜面側にカールすることを抑制し流体分離素子製造時のトラブルを防ぐことができる。非製膜面側に配置される繊維の繊維配向度のより好ましい範囲は0〜30°であり、さらに好ましい範囲は0〜25°である。
【0028】
ここで繊維配向度とは、分離膜支持体を構成する不織布の繊維の向きを示す指標であり、不織布の縦方向、すなわち不織布の長手方向を0°とし、不織布の横方向、すなわち不織布の幅方向を90°としたときの、不織布を構成する繊維の平均の角度のことを言う。よって、繊維配向度が0°に近いほど縦配向であり、90°に近いほど横配向であることを示す。
【0029】
上記の観点において、本発明の分離膜支持体を構成する不織布においては、分離膜の製膜面側に配置される繊維は、非製膜面側に配置される繊維よりも横配向である。
【0030】
次に、不織布における繊維の繊維配向度を調整する方法について述べる。本発明の分離膜支持体を構成する不織布としては、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、乾式短繊維不織布および抄紙不織布などの不織布や、これらを積層した複合不織布を用いることができる。
【0031】
スパンボンド不織布の場合は、溶融した熱可塑性重合体をノズルから押し出し、これを高速吸引ガスにより吸引延伸して紡糸した後、移動コンベア上に繊維を噴射し捕集することにより繊維ウエブとし、さらに連続的に熱圧着や絡合等を施すことにより一体化してシートとなすが、吸引延伸し繊維を噴射するエジェクターがスリット状の矩形式のものであれば、エジェクターの下部に角度を有する整流板を設けたり、エジェクター自体の角度を変更したりして噴射角度を制御することにより、繊維配向度を調整することができる。また、エジェクターが一定の振り角度で振幅するパイプ状の丸形式のものであれば、その振り角度を制御することにより、繊維配向度を調整することができる。
【0032】
メルトブロー不織布の場合は、溶融した熱可塑性重合体に加熱高速ガス流体を吹き当てることにより、その熱可塑性重合体を引き伸ばして極細繊維化するとともに捕集コンベアや捕集ドラム上に吹き付け、捕集してシートとなすが、加熱高速ガス流体の噴出口の角度を変更したり、また加熱高速ガス流体の噴出口が溶融した熱可塑性重合体の吐出孔の両側にある場合は、それぞれの噴出口から噴出する加熱高速ガス流体の速度を変更したりして極細繊維の吹き付け角度を制御することにより、繊維配向度を調整することができる。
【0033】
本発明の分離膜支持体は、分離膜の製膜面側に配置される繊維の繊維配向度と非製膜面側に配置される繊維の繊維配向度に差を設けるために、繊維配向度が35〜90°の不織布Aと、繊維配向度が0〜35°の不織布Bをそれぞれ少なくとも1層含み、かつ前記不織布Aを製膜面側に配置し、前記不織布Bを非製膜面側に配置し、合計2〜5層積層された積層不織布であることが好ましい。
【0034】
3層積層する場合は、最も製膜面側(分離膜と接する不織布層)に不織布Aを配置し、最も非製膜面側(分離膜と接する不織布層と反対側の表層の不織布層)に不織布Bを配置する積層構造が好ましく、製膜面側からA1/A2/B、A/B1/B2とする積層構造が好ましい態様である。このとき、A1とA2、B1とB2の繊維配向度はそれぞれ、A1≧A2、B1≧B2とすることが好ましい。
【0035】
4層積層する場合は、最も製膜面側に不織布Aを配置し、最も非製膜面側に不織布Bを配置する積層構造が好ましく、製膜面側からA1/A2/A3/B、A1/A2/B1/B2、A/B1/B2/B3とする積層構造がより好ましい態様である。このとき、A1〜A3、B1〜B3の繊維配向度はそれぞれ、A1≧A2≧A3、B1≧B2≧B3とすることが好ましい。
【0036】
5層積層する場合は、最も製膜面側に不織布Aを配置し、最も非製膜面側に不織布Bを配置する積層構造が好ましく、製膜面側からA1/A2/A3/A4/B、A1/A2/A3/B1/B2、A1/A2/B1/B2/B3、A/B1/B2/B3/B4とする積層構造がより好ましい態様である。このとき、A1〜A4、B1〜B4の繊維配向度はそれぞれ、A1≧A2≧A3≧A4、B1≧B2≧B3≧B4とすることが好ましい。
【0037】
不織布を積層する方法として、スパンボンド不織布の場合は、一連の捕集コンベア上部に配された複数のスパンボンド用ノズルからそれぞれ押し出され、繊維化された繊維ウエブを順に捕集し積層し、熱圧着する方法や、一旦巻き取ったスパンボンド不織布を複数層重ね合わせた後、熱圧着により一体化する方法が好ましく用いられる。また、一旦巻き取ったスパンボンド不織布を巻き出し、その上にスパンボンド用ノズルから押し出され、繊維化された繊維ウエブを捕集し熱圧着する方法も好ましい方法である。
【0038】
メルトブロー不織布の場合も、一連の捕集コンベア上部に配された複数のスパンボンド用ノズルからそれぞれ押し出され、繊維化された繊維ウエブを順に捕集し積層する方法や、一旦巻き取ったメルトブロー不織布を複数層重ね合わせた後、熱圧着により一体化する方法や、一旦巻き取ったメルトブロー不織布を巻き出し、その上にメルトブロー用ノズルから押し出され、繊維化された繊維ウエブを捕集する方法を用いることができるが、メルトブロー不織布は一般的に引張強度などの機械的強度が低いため、スパンボンド不織布などと積層し一体化する方法が好ましく用いられる。
【0039】
メルトブロー不織布とスパンボンド不織布を積層した複合不織布としては、2層のスパンボンド不織布の層間にメルトブロー不織布を配した3層構造の積層体が好ましく用いられる。その製造方法としては、一連の捕集コンベア上部に配されたスパンボンド用ノズル、メルトブロー用ノズルおよびスパンボンド用ノズルからそれぞれ押し出され、繊維化された繊維ウエブを順に捕集し積層し、熱圧着する方法や、それぞれ一旦巻き取ったスパンボンド不織布2層の間に、別ラインで製造したメルトブロー不織布を挟むように重ね合わせた後、熱圧着により一体化する方法を好ましく用いることができる。
【0040】
乾式短繊維不織布や抄紙不織布の場合は、一旦巻き取った不織布を複数層重ね合わせた後、熱圧着により一体化する方法を好ましく用いることができる。
【0041】
ここで積層不織布を一体化するための熱圧着の方法としては、分離膜を形成した際に製膜性が良好であり、機械的強度と耐久性に優れる分離膜を得るために、表面が平滑であり機械的強度に優れる点で、上下1対のフラットロールにより不織布を熱圧着し、一体化する方法が好ましく用いられる。このフラットロールとは、ロールの表面に凹凸のない金属製ロールや弾性ロールのことであり、金属製ロールと金属製ロールを対にしたり、金属製ロールと弾性ロールを対にしたりして用いることができる。特に、不織布の表面の繊維の融着を抑え、形態を保持することにより、分離膜支持体として使用した際に分離膜の剥離を抑制する投錨効果を得られることから、不織布を加熱した金属製ロールと弾性ロールにより熱圧着する方式が好ましく用いられる。
【0042】
弾性ロールとは、金属製ロールと比較して弾性を有する材質からなるロールのことである。弾性ロールの材質としては、ペーパー、コットンおよびアラミドペーパー等のいわゆるペーパーロールや、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂および硬質ゴム等の樹脂製ロール等が挙げられる。
【0043】
加熱したフラットロールの温度は、不織布を構成する繊維の少なくとも表面を構成する高分子重合体の融点よりも20〜80℃低いことが好ましく、さらには30〜60℃低いことが好ましい。
【0044】
さらに、熱圧着においては、上下のフラットロール間に温度差を設け、高温側のフラットロールの温度を、不織布を構成する繊維の表面を構成する高分子重合体の融点よりも20〜80℃低い温度とし、かつ、低温側のフラットロールの温度を高温側のフラットロールの温度よりも20〜120℃低い温度とすることが好ましい態様である。低温側のフラットロールと高温側のフラットロールの温度差が20℃以上であれば、不織布の表面に極端な高密度部分が生じることを抑制することができ、高分子重合体溶液の流延時の浸透不足による膜剥離等が少なく、良好な製膜性を得ることができる。一方、低温側のフラットロールと高温側のフラットロールの温度差が120℃以下であれば、積層不織布の層間剥離を抑制することができ、また、高分子重合体溶液の流延時の過浸透等が少なく良好な製膜性を得ることができる。
【0045】
高温側のフラットロールの温度は、不織布を構成する繊維の表面を構成する高分子重合体の融点より30〜60℃低い温度とすることがより好ましい態様である。また、低温側のフラットロールの温度は、高温側のフラットロールの温度よりも40〜100℃低い温度とすることがより好ましい態様である。
【0046】
また、フラットロールの線圧は、20〜500kg/cmであることが好ましい。フラットロールの線圧は、より好ましくは50〜500kg/cmであり、さらに好ましくは100〜500kg/cmである。フラットロールの線圧が20kg/cm以上であれば、積層不織布の層間剥離を抑制することができ、また、高分子重合体溶液の流延時の過浸透等が少なく良好な製膜性を得ることができる。一方、フラットロールの線圧が500kg/cm以下であれば、不織布の表面に極端な高密度部分が生じることを抑制することができ、高分子重合体溶液の流延時の浸透不足による膜剥離等が少なく、良好な製膜性を得ることができる。
【0047】
本発明の分離膜支持体を構成する不織布は、長繊維不織布であることが好ましい。熱可塑性フィラメントから構成された長繊維不織布を用いることにより、短繊維不織布を用いたときに起こりやすい、毛羽立ちによって生じる高分子重合体溶液流延時の不均一化や、膜欠点を抑制することができる。さらに、長繊維不織布の中でも、機械的強度が高く、分離膜支持体として優れた耐久性を発現することができることから、スパンボンド不織布であることがより好ましい態様である。
【0048】
スパンボンド不織布の製造方法としては、前記のとおり溶融した熱可塑性重合体をノズルから押し出し、これを高速吸引ガスにより吸引延伸して紡糸した後、移動コンベア上に繊維を捕集して繊維ウエブとし、さらに連続的に熱圧着や絡合等を施すことにより一体化してシートとなす、いわゆるスパンボンド法により製造することができる。その際、構成する繊維をより高度に配向結晶化させるため、紡糸速度は2000m/分以上であることが好ましく、より好ましくは3000m/分以上であり、さらに好ましくは4000m/分以上である。熱可塑性フィラメントを芯鞘型等の複合形態とする場合は、通常の複合方法を採用することができる。
【0049】
また、スパンボンド不織布の熱圧着方法としては、1対のフラットロールのみで不織布を熱圧着するのではなく、より精密に不織布の特性をコントロールするために、2段階接着方式を採用することもできる。すなわち、不織布を1対のフラットロール間で予備熱圧着して、または1本のフラットロールと繊維ウエブの捕集に用いられる捕集コンベア間で予備熱圧着して、仮接着状態の不織布を得た後に、連続工程であるいは仮接着状態の不織布を巻き取った後に、さらにそれをもう1度フラットロール間で熱圧着するような2段階接着方式も好ましく用いることができる。
【0050】
この2段階接着方式での1段階目の予備熱圧着においては、2段階目の熱圧着時に不織布をより高密度化できることから、その仮接着の状態の不織布の充填密度を0.1〜0.3とすることが好ましい。その際の1段階目の予備熱圧着に用いられるフラットロールの温度は、不織布を構成する繊維の融点よりも20〜120℃低く、線圧は5〜70kg/cmであることが好ましい。
【0051】
本発明の分離膜支持体を構成する不織布を構成する繊維は、単一成分からなる繊維でも、複数成分からなる複合型繊維でもかまわないが、本発明の分離膜支持体においては、高融点重合体の周りに、その高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した、複合型繊維から構成される不織布からなることが好ましい態様である。高融点重合体の周りに、その高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配することにより、熱圧着により不織布を形成し分離膜支持体として使用した際、不織布を構成する繊維同士が強固に接着するため、毛羽立ちによる高分子溶液流延時の不均一化や、膜欠点を抑制することができる。
【0052】
また、このような複合型繊維を用いることにより、不織布を構成する繊維同士が強固に接着することに加え、高融点重合体のみからなる繊維と低融点重合体のみからなる繊維を混合したいわゆる混繊型繊維に比べその接着点の数も多くなるため、分離膜支持体として用いた際の寸法安定性および耐久性につながる。高融点重合体と低融点重合体の融点差が10℃以上であれば、所望の熱接着性を得ることができ、融点差が140℃以下であれば、熱圧着時に熱圧着ロールに低融点重合体成分が融着し生産性が低下することを抑制することができる。高融点重合体と低融点重合体の融点差のより好ましい範囲は20〜120℃であり、さらに好ましい範囲は30〜100℃である。
【0053】
また、本発明の分離膜支持体において、高融点重合体の周りに、高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した、複合型繊維から構成される長繊維不織布からなる場合のその高融点重合体の融点は、本発明の分離膜支持体上に分離膜を形成した際に製膜性が良好であり、耐久性に優れる分離膜を得ることができるものであることから、160〜320℃の範囲であることが好ましい。高融点重合体の融点が160℃以上であれば、不織布を形成し分離膜支持体として使用した際、分離膜または流体分離素子製造時に熱が加わる工程を通過したとしても形態安定性に優れる。また、融点が320℃以下であれば、不織布およびその原料となる繊維の製造時に熱可塑性重合体を溶融するための熱エネルギーを多大に消費し生産性が低下することを抑制することができる。その高融点重合体の融点のより好ましい範囲は170〜300℃であり、さらに好ましい範囲は180〜280℃である。また、低融点重合体の融点は120℃以上であることが好ましく、140℃以上であることがより好ましい態様である。
【0054】
複合型繊維における低融点重合体の占める割合については、分離膜支持体に適した不織布を得ることができるものであることから、10〜70質量%であることが好ましい。低融点重合体の占める割合が10質量%以上であれば、所望の熱接着性を得ることができ、その割合が70質量%以下であれば、熱圧着時に熱圧着ロールに低融点重合体成分が融着し生産性が低下することを抑制することができる。その低融点重合体の占める割合のより好ましい範囲は15〜60質量%であり、さらに好ましい範囲は20〜50質量%である。
【0055】
複合型繊維の複合形態については、分離膜支持体に適した不織布を得ることができるものであり、例えば同心芯鞘型、偏心芯鞘型および海島型等が挙げられる。さらにその繊維断面形状としては、円形断面、扁平断面、多角形断面、多葉断面および中空断面等が挙げられる。なかでも、熱圧着により、繊維同士を強固に接着させることができ、さらには得られる分離膜支持体の厚さを低減し、流体分離素子としたときの省スペース化が図れることから、複合形態については同心芯鞘型を、繊維形状としては円形断面や扁平断面を用いることが好ましい。
【0056】
また、融点の異なる重合体からなり、高融点重合体の周りにその高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した複合型繊維から構成される不織布を一体化する方法として、上下1対のフラットロールによる熱圧着を採用する場合は、フラットロールの温度は、その低融点重合体の融点よりも20〜80℃低いことが好ましく、さらには30〜60℃低いことが好ましい態様である。
【0057】
本発明において不織布を構成する繊維の原料については、分離膜支持体に適した不織布を得ることができるもので、例えば、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体、あるいはこれらの混合物や共重合体等が挙げられるが、より機械的強度、耐熱性、耐水性および耐薬品性等の耐久性に優れた分離膜支持体を得ることができることから、ポリエステル系重合体が好ましく用いられる。
【0058】
本発明で用いられるポリエステル系重合体とは、酸成分とアルコール成分からなるポリエステルである。酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸およびフタル酸などの芳香族カルボン酸、アジピン酸やセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸およびシクロヘキサンカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸などを用いることができる。また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールなどを用いることができる。
【0059】
ポリエステル系重合体の例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂およびポリブチレンサクシネート樹脂等が挙げられ、またこれらの樹脂の共重合体も挙げられる。
【0060】
また、高融点重合体の周りに、その高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した、複合型繊維とする場合の高融点および低融点重合体の組み合わせ(高融点重合体/低融点重合体)についても、分離膜支持体に適した不織布を得ることができるもので、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂/ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂/ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂/ポリ乳酸樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂/共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂等の組み合わせが挙げられる。また、共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂の共重合成分としては、イソフタル酸等が好ましく用いられる。
【0061】
さらに、用済み後に分離膜支持体を廃棄する際、廃棄が容易であり環境負荷が小さいことから、生分解性樹脂も不織布を構成する繊維の原料として好ましく用いられる。本発明で用いられる生分解性樹脂の例としては、ポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリエチレンサクシネート樹脂、ポリグリコール酸樹脂およびポリヒドロキシブチレート系樹脂等が挙げられる。なかでも、石油資源を枯渇させない植物由来の樹脂であり、力学特性や耐熱性も比較的高く、製造コストの低い生分解性樹脂として近年脚光を浴びている、でんぷんの発酵で得られる乳酸を原料としたポリ乳酸樹脂は、不織布を構成する繊維の原料として好ましく用いられる。
【0062】
本発明で用いられるポリ乳酸樹脂としては、ポリ(D−乳酸)と、ポリ(L−乳酸)と、D−乳酸とL−乳酸の共重合体、あるいはこれらのブレンド体が好ましいものである。
【0063】
本発明の分離膜支持体を構成する不織布には、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶核剤、艶消し剤、滑剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤および親水剤等の添加剤を添加してもよい。なかでも、不織布の熱圧着成形の際、熱伝導性を増すことで不織布の接着性を向上させる効果がある酸化チタン等の金属酸化物や、熱圧着ロールとウエブ間の離型性を増すことで接着安定性を向上させる効果があるエチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪族ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミドを添加することが好ましい。また、湿式凝固法により分離膜を製膜する際に、支持体内部での溶媒置換を速やかに進行させる効果がある界面活性剤等の親水剤を添加することも好ましい態様である。
【0064】
これら各種の添加剤は、原料中にあらかじめ練り込んでおくこと等により繊維中に存在させてもよいし、繊維や不織布を製造した後の付与加工等により繊維の表面に存在させてもよい。
【0065】
本発明の分離膜支持体において、不織布を構成する繊維(単繊維)の平均繊維径は、3〜30μmであることが好ましく、より好ましくは5〜25μmであり、さらに好ましくは7〜20μmである。
【0066】
不織布を構成する繊維の平均繊維径が3μm以上であれば、不織布およびその原料となる繊維の製造時に紡糸性が低下することが少なく、また分離膜支持体の通気性を維持できるため高分子重合体溶液の流延時の膜剥離等が少なく、良好な製膜性を得ることができる。一方、不織布を構成する繊維の平均繊維径が30μm以下であれば、均一性に優れた不織布および分離膜支持体を得ることができ、また分離膜支持体を高密度化できるため高分子重合体溶液の流延時の過浸透等が少なく、良好な製膜性を得ることができる。
【0067】
本発明の分離膜支持体を構成する不織布の目付は、20〜150g/mであることが好ましく、より好ましくは30〜120g/mであり、さらに好ましくは40〜90g/mである。不織布の目付が、20g/m以上であれば、高分子重合体溶液の流延時の過浸透等が少なく良好な製膜性を得ることができ、製膜後のカールを抑制することができ、機械的強度と耐久性に優れた分離膜を得ることができる。一方、不織布の目付が150g/m以下であれば、分離膜の厚さを低減し、流体分離素子ユニットあたりの分離膜面積を増大させることができる。
【0068】
本発明の分離膜支持体を構成する不織布の厚さは、0.03〜0.20mmであることが好ましく、より好ましくは0.04〜0.16mmであり、さらに好ましくは0.05〜0.12mmである。不織布の厚さが0.03mm以上であれば、高分子重合体溶液の流延時の過浸透等が少なく良好な製膜性を得ることができ、製膜後のカールを抑制することができ、機械的強度と耐久性に優れた分離膜を得ることができる。一方、不織布の厚さが0.20mm以下であれば、分離膜の厚さを低減し、流体分離素子ユニットあたりの分離膜面積を増大させることができる。
【0069】
本発明の分離膜とは、上記の分離膜支持体の上に、分離機能を有する膜を形成してなる分離膜である。そのような分離膜の例として、精密ろ過膜、限外ろ過膜や、ナノろ過膜および逆浸透膜等の半透膜が挙げられる。分離膜の製造方法としては、上記の分離膜支持体の少なくとも片方の表面上に、高分子重合体溶液を流延して分離機能を有する膜を形成させ分離膜とする方法が好ましく用いられる。また、分離膜が半透膜の場合は、分離機能を有する膜を支持層と半透膜層を含む複合膜とし、この複合膜を分離膜支持体の少なくとも片方の表面上に積層することも好ましい形態である。この場合、支持層は分離機能を有していなくてもかまわない。
【0070】
本発明の分離膜支持体に流延する高分子重合体溶液は、膜となった際に分離機能を有するものであり、例えば、ポリスルホンやポリエーテルスルホンのようなポリアリールエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデンおよび酢酸セルロースなどの溶液が好ましく用いられる。なかでも特に、化学的、機械的および熱的な安定性の点で、ポリスルホンとポリアリールエーテルスルホンの溶液が好ましく用いられる。溶媒は、膜形成物質に応じて、適宜選定することができる。また、分離膜が支持層と半透膜層を含む複合膜の場合の半透膜として、多官能酸ハロゲン化物と多官能アミンとの重縮合などによって得られる架橋ポリアミド膜などが好ましく用いられる。
【0071】
本発明の流体分離素子とは、取り扱いを容易にするため、上記の分離膜を筐体に納めた流体分離素子である。その形態としては、平膜のプレートフレーム型、プリーツ型およびスパイラル型等のものが挙げられ、なかでも特に、分離膜が透過液流路材と供給液流路材と共に集水管の周りにスパイラル状に巻き付けられた、スパイラル型のものが好ましく用いられる。そして、複数の流体分離素子を直列あるいは並列に接続して、分離膜ユニットとすることができる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例に基づき本発明について具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。また、前記した分離膜支持体、その分離膜支持体を構成する不織布、その不織布を構成する繊維の各特性値、および下記実施例における各特性値は、次の方法で測定したものである。
【0073】
(1)融点(℃)
パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。また、示差走査型熱量計において融解吸熱曲線が極値を示さない樹脂については、ホットプレート上で加熱し、顕微鏡観察により樹脂が完全に溶融した温度を融点とした。
【0074】
(2)固有粘度IV
ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度IVは、次の方法で測定した。オルソクロロフェノール100mlに対し試料8gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηを、下記式により求めた。
η=η/η=(t×d)/(t×d
ここで、η:ポリマー溶液の粘度
η:オルソクロロフェノールの粘度
t:溶液の落下時間(秒)
d:溶液の密度(g/cm
:オルソクロロフェノールの落下時間(秒)
:オルソクロロフェノールの密度(g/cm
ついで、相対粘度ηから下記式、
IV=0.0242η+0.2634
により固有粘度IVを算出した。
【0075】
(3)繊維配向度(°)
不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡で100〜1000倍の写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維について、不織布の長手方向(縦方向)を0°とし、不織布の幅方向(横方向)を90°としたときの角度を測定し、それらの平均値を小数点以下第一位を四捨五入して繊維配向度を求めた。
【0076】
(4)平均繊維径(μm)
不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡で500〜3000倍の写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維の直径を測定し、それらの平均値を小数点以下第一位を四捨五入して求めた。
【0077】
(5)不織布の目付(g/m
30cm×50cmの不織布を3個採取して、各試料の重量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算し、小数点以下第一位を四捨五入した。
【0078】
(6)不織布の厚さ(mm)
JIS L 1906(2000年版)の5.1に基づいて、直径10mmの加圧子を使用し、荷重10kPaで不織布の幅方向1mあたり等間隔に10点を0.01mm単位で厚さを測定し、その平均値の小数点以下第三位を四捨五入した。
【0079】
(7)不織布の引張強力(N/5cm)と引張伸度(%)
JIS L 1906(2000年版)の5.3.1に基づいて、5cm×30cmの不織布サンプルについて、つかみ間隔が20cmで、引張速度10cm/minの条件で、縦方向および横方向それぞれ5点について強力と伸度を測定し、破断したときの強力と伸度を読み取り、少数点以下第一位を四捨五入した値を縦方向と横方向の引張強力と引張伸度とし、縦方向と横方向の平均値の小数点以下第一位を四捨五入した値を、それぞれ不織布の引張強力と引張伸度とした。
【0080】
(8)不織布の5%伸長時応力(N/5cm)
JIS L 1906(2000年版)の5.3.1に基づいて、5cm×30cmの不織布サンプルについて、つかみ間隔20cm、引張速度10cm/minの条件で、縦方向および横方向それぞれ5点の測定を実施し、得られた強伸度曲線から5%伸長時の強力を読み取り、少数点以下第一位を四捨五入した値を縦方向と横方向の5%伸長時応力とし、縦方向と横方向の平均値の小数点以下第一位を四捨五入した値を不織布の5%伸張時応力とした。
【0081】
(9)製膜時のキャスト液裏抜け性
[ポリスルホン膜]
50cm幅の各分離膜支持体を、12m/minの速度で巻き出し、その上にポリスルホン(ソルベイアドバンスドポリマーズ社製の“Udel”(登録商標)−P3500)の15重量%ジメチルホルムアミド溶液(キャスト液)をキャスト幅46cm、50μm厚みで、室温(20℃)でキャストし、ただちに純水中に室温(20℃)で10秒間浸漬した後、75℃の温度の純水中に120秒間浸漬し、続いて90℃の温度の純水中に120秒間浸漬し、100N/全幅の張力で巻き取り、ポリスルホン膜を作製した。
【0082】
次に、作製したポリスルホン膜の裏面を目視で観察し、キャスト液の裏抜け性について以下の5段階で評価し、評価点が4点以上のものを合格とした。
5点:キャスト液の裏抜けが全く見られない。
4点:わずかにキャスト液の裏抜けが見られる(面積比率5%未満)。
3点:キャスト液の裏抜けが見られる(面積比率5〜50%)。
2点:大部分でキャスト液の裏抜けが見られる(面積比率51〜80%)。
1点:ほぼ全面でキャスト液の裏抜けが見られる。
【0083】
(10)カール高さ(mm)とカール長さ(mm)
前記(9)で作製したポリスルホン膜から約50cmの長さのサンプルを水に濡れた状態で3枚カットし、製膜面を上にして平らな床面に広げ、3枚それぞれについて両端部の床面から離れ持ち上がっている部分の高さを測定し、それら6点の平均値を、小数点以下第一位を四捨五入してカール高さとした。同じく床面から離れ持ち上がっている部分の膜の長さを測定し、それら6点の平均値を、小数点以下第一位を四捨五入してカール長さとした。
【0084】
(11)分離膜落ち込み量(μm)
メッシュ状織物からなる供給液流路材、上記の海水淡水化用逆浸透膜、耐圧シート、および下記の透過液流路材を用い、有効膜面積40mのスパイラル型の流体分離素子(エレメント)を作製した。
【0085】
[透過液流路材]
溝幅が200μmで、溝深さが150μmで、溝密度が40本/インチで、そして厚さが200μmのポリエステル製シングルトリコットを用いた。
【0086】
次に、作製した流体分離素子について、逆浸透圧が7MPaで、海水塩分濃度が3wt%で、運転温度が40℃の各条件で耐久性試験を実施し、1000時間運転後に流体分離素子を解体し、分離膜の透過液流路材への落ち込み量を測定した。落ち込み量は、1つの流体分離素子における任意の3点の分離膜断面について、走査型電子顕微鏡で500〜3000倍の写真を撮影し測定し(単位:μm)、それらの平均値の小数点以下第一位を四捨五入して求めた。分離膜支持体と透過液流路材の重ね合わせる方向は、透過液流路材の溝方向に対し、分離膜支持体の不織布幅方向(横方向)が直交するようにした。
【0087】
(実施例1)
水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IVが0.65で、融点が260℃であり、酸化チタンを0.3質量%含むポリエチレンテレフタレート樹脂と、水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IVが0.66で、イソフタル酸共重合率が11モル%で、融点が230℃であり、酸化チタンを0.2質量%含む共重合ポリエステル樹脂を、それぞれ295℃と270℃の温度で溶融し、ポリエチレンテレフタレート樹脂を芯成分とし、共重合ポリエステル樹脂を鞘成分として、口金温度300℃、鞘成分比率20質量%で細孔から紡出した後、不織布幅方向にスリットを有する矩形エジェクターにより紡糸速度4400m/分で紡糸して、同心芯鞘型フィラメント(断面円形)とし、該フィラメント群を垂線に対し15°後方に噴射させ、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集した。捕集した繊維ウエブを、上下1対の金属製フラットロール間に通し、各フラットロール表面温度が140℃で、線圧が60kg/cmで予備熱圧着し繊維配向度が28°で、繊維径が10μmで、目付が35g/mで、厚さが0.15mmのスパンボンド不織布(a)を製造した。
【0088】
次に、フィラメント群の噴射角度を垂線に対し0°とした他はスパンボンド不織布(a)と同様の条件とし、繊維配向度が40°で、繊維径が10μmで、目付が35g/mで、厚さが0.15mmのスパンボンド不織布(b)を製造した。
【0089】
得られたスパンボンド不織布(a)とスパンボンド不織布(b)を、スパンボンド不織布(b)が上になるように1枚ずつ重ね合わせ、それを、上側が金属製で、下側が硬質ゴム系樹脂製の1対のフラットロール間に通し、上側の金属製フラットロールのみを温度180℃に加熱し、樹脂製フラットロールを表面温度120℃に安定させたところで、線圧が170kg/cmでさらに熱圧着し、目付が70g/mで、厚さが0.10mmのスパンボンド不織布を製造し、上側を製膜面側とする分離膜支持体を得た。結果を表1に示す。
【0090】
(実施例2)
フィラメント群の噴射角度を垂線に対し10°とした他は実施例1のスパンボンド不織布(a)と同様の条件とし、繊維配向度が33°で、繊維径が10μmで、目付が35g/mで、厚さが0.15mmのスパンボンド不織布(c)を製造した。
【0091】
次に、フィラメント群の噴射角度を垂線に対し20°とした他は実施例1のスパンボンド不織布(a)と同様の条件とし、繊維配向度が24°で、繊維径が10μmで、目付が35g/mで、厚さが0.15mmのスパンボンド不織布(d)を製造した。
【0092】
得られたスパンボンド不織布(c)とスパンボンド不織布(d)を、スパンボンド不織布(c)が上になるように1枚ずつ重ね合わせ、それを、上側が金属製で、下側が硬質ゴム系樹脂製の1対のフラットロール間に通し、上側の金属製フラットロールのみを温度180℃に加熱し、樹脂製フラットロールを表面温度120℃に安定させたところで、線圧が170kg/cmでさらに熱圧着し、目付が70g/mで、厚さが0.10mmのスパンボンド不織布を製造し、上側を製膜面側とする分離膜支持体を得た。結果を表1に示す。
【0093】
(実施例3)
水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IVが0.65で、融点が260℃であり、酸化チタンを0.3質量%含むポリエチレンテレフタレート樹脂と、水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IVが0.66で、イソフタル酸共重合率が11モル%で、融点が230℃であり、酸化チタンを0.2質量%含む共重合ポリエステル樹脂を、それぞれ295℃と270℃の温度で溶融し、ポリエチレンテレフタレート樹脂を芯成分とし、共重合ポリエステル樹脂を鞘成分として、口金温度300℃、鞘成分比率20質量%で細孔から紡出した後、パイプ状の丸形エジェクターにより紡糸速度4400m/分で紡糸して、同心芯鞘型フィラメント(断面円形)とし、丸形エジェクターの先端部を、前方を中心とし26°の振り角度で毎秒4回振幅させながら、該フィラメント群を垂線に対し20°の角度で噴射させ、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集した。捕集した繊維ウエブを、上下1対の金属製フラットロール間に通し、各フラットロール表面温度が140℃で、線圧が60kg/cmで予備熱圧着し繊維配向度が43°で、繊維径が13μmで、目付が35g/mで、厚さが0.17mmのスパンボンド不織布(e)を製造した。
【0094】
得られたスパンボンド不織布(e)と実施例1のスパンボンド不織布(a)を、スパンボンド不織布(e)が上になるように1枚ずつ重ね合わせ、それを、上側が金属製で、下側が硬質ゴム系樹脂製の1対のフラットロール間に通し、上側の金属製フラットロールのみを温度180℃に加熱し、樹脂製フラットロールを表面温度120℃に安定させたところで、線圧が170kg/cmでさらに熱圧着し、目付が70g/mで、厚さが0.11mmのスパンボンド不織布を製造し、上側を製膜面側とする分離膜支持体を得た。結果を表1に示す。
【0095】
(実施例4)
フィラメント群の噴射角度を垂線に対し25°とした他は、実施例1のスパンボンド不織布(a)と同様の条件とし、繊維配向度が20°で、繊維径が10μmで、目付が35g/mで、厚さが0.15mmのスパンボンド不織布(f)を製造した。
【0096】
次に、振り角度を前方を中心とし40°とした他は、実施例3のスパンボンド不織布(e)と同様の条件とし、繊維配向度が50°で、繊維径が13μmで、目付が35g/mで、厚さが0.17mmのスパンボンド不織布(g)を製造した。
【0097】
得られたスパンボンド不織布(f)とスパンボンド不織布(g)を、スパンボンド不織布(g)が上になるように1枚ずつ重ね合わせ、それを、上側が金属製で、下側が硬質ゴム系樹脂製の1対のフラットロール間に通し、上側の金属製フラットロールのみを温度180℃に加熱し、樹脂製フラットロールを表面温度120℃に安定させたところで、線圧が170kg/cmでさらに熱圧着し、目付が70g/mで、厚さが0.11mmのスパンボンド不織布を製造し、上側を製膜面側とする分離膜支持体を得た。結果を表1に示す。
【0098】
(実施例5)
目付を23g/mとした他は実施例1のスパンボンド不織布(b)と同様の条件とし、繊維配向度が40°で、繊維径が10μmで、厚さが0.13mmのスパンボンド不織布(h)を製造した。
【0099】
次に、目付を23g/mとした他は実施例2のスパンボンド不織布(c)と同様の条件とし、繊維配向度が33°で、繊維径が10μmで、厚さが0.13mmのスパンボンド不織布(i)を製造した。
【0100】
さらに、目付を23g/mとした他は実施例1のスパンボンド不織布(a)と同様の条件とし、繊維配向度が28°で、繊維径が10μmで、厚さが0.13mmのスパンボンド不織布(j)を製造した。
【0101】
得られた3種のスパンボンド不織布を、上からスパンボンド不織布(h)、スパンボンド不織布(i)、スパンボンド不織布(j)の順に1枚ずつ重ね合わせ、それを、上側が金属製で、下側が硬質ゴム系樹脂製の1対のフラットロール間に通し、上側の金属製フラットロールのみを温度180℃に加熱し、樹脂製フラットロールを表面温度120℃に安定させたところで、線圧が170kg/cmでさらに熱圧着し、目付が69g/mで、厚さが0.10mmのスパンボンド不織布を製造し、上側を製膜面側とする分離膜支持体を得た。結果を表1に示す。
【0102】
(実施例6)
水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IVが0.65で、融点が260℃であり、酸化チタンを0.3質量%含むポリエチレンテレフタレート樹脂を、295℃の温度で溶融し、口金温度300℃で細孔から紡出した後、不織布幅方向にスリットを有する矩形エジェクターにより紡糸速度4500m/分で紡糸して、同心芯鞘型フィラメント(断面円形)とし、該フィラメント群を垂線に対し15°後方に噴射させ、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集した。このスパンボンド不織布層(イ)の目付は30g/mとなるように吐出量を調整した。
【0103】
続いて、水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IVが0.50で、融点が260℃であるポリエチレンテレフタレート樹脂を、295℃の温度で溶融し、口金温度300℃で細孔から紡出した後、1000Nm/hr/mの加熱空気を吹き当てることにより紡糸して、そのまま垂線に対し0°の角度で噴射させ、移動するネットコンベアー上のスパンボンド不織布層(イ)の上にメルトブロー不織布層(ロ)を捕集した。このメルトブロー不織布層(ロ)の目付は10g/mとなるように吐出量を調整した。
【0104】
さらに、フィラメント群の噴射角度を垂線に対し0°とした他はスパンボンド不織布層(イ)と同様の条件とし、メルトブロー不織布層(ロ)の上にスパンボンド不織布層(ハ)を捕集した。このスパンボンド不織布層(ハ)の目付は30g/mとなるように吐出量を調整した。
【0105】
捕集した積層繊維ウエブを、金属製フラットロールとネットコンベアーの間に通し、フラットロール表面温度が180℃で、線圧が30kg/cmで予備熱圧着し最上層の繊維配向度が40°、最下層の繊維配向度が28°で、目付が70g/mで、厚さが0.35mmのスパンボンド/メルトブロー/スパンボンド複合不織布を製造した。
【0106】
得られた複合不織布を、上側が金属製で、下側が硬質ゴム系樹脂製の1対のフラットロール間に通し、上側の金属製フラットロールのみを温度235℃に加熱し、樹脂製フラットロールを表面温度140℃に安定させたところで、線圧が150kg/cmでさらに熱圧着し、目付が70g/mで、厚さが0.10mmの複合不織布を製造し、上側を製膜面側とする分離膜支持体を得た。結果を表1に示す。
【0107】
(実施例7)
融点が260℃のポリエチレンテレフタレート樹脂からなる、繊維配向度が45°で、繊維径が10μmで、目付が35g/mで、厚さが0.15mmの抄紙不織布(甲)と、融点が260℃のポリエチレンテレフタレート樹脂からなる、繊維配向度が25°で、繊維径が13μmで、目付が35g/mで、厚さが0.17mmの抄紙不織布(乙)を用意した。
【0108】
用意した抄紙不織布(甲)と抄紙不織布(乙)を、抄紙不織布(甲)が上になるように1枚ずつ重ね合わせ、それを、上側が金属製で、下側がコットンペーパー製の1対のフラットロール間に通し、上側の金属製フラットロールのみを温度230℃に加熱し、コットンペーパー製フラットロールを表面温度130℃に安定させたところで、線圧が120kg/cmで熱圧着し、目付が70g/mで、厚さが0.09mmの抄紙不織布を製造し、上側を製膜面側とする分離膜支持体を得た。結果を表1に示す。
【0109】
【表1】

【0110】
得られた分離膜支持体の特性は、表1に示したとおりであり、実施例1〜7の分離膜支持体を用いてポリスルホン膜を作製したところ、いずれも製膜原液の過浸透や毛羽立ちによる膜欠点は見られず製膜性は良好であり、いずれもカール高さは40mm以下で、カール長さは60mm以下であった。さらに、このポリスルホン膜を用いて流体分離素子を作製したところ、加工性は良好であり、さらに作製した流体分離素子の耐久性評価を実施した結果、いずれもポリスルホン膜落ち込み量は50μm以下であり、耐久性に優れたものであった。
【0111】
(比較例1)
実施例1のスパンボンド不織布(a)を2枚重ね合わせ、それを、上側が金属製で、下側が硬質ゴム系樹脂製の1対のフラットロール間に通し、上側の金属製フラットロールのみを温度180℃に加熱し、樹脂製フラットロールを表面温度120℃に安定させたところで、線圧が170kg/cmでさらに熱圧着し、目付が70g/mで、厚さが0.10mmのスパンボンド不織布を製造し、上側を製膜面側とする分離膜支持体を得た。結果を表2に示す。
【0112】
(比較例2)
実施例1のスパンボンド不織布(a)と実施例1のスパンボンド不織布(b)を、スパンボンド不織布(a)が上になるように1枚ずつ重ね合わせ、それを、上側が金属製で、下側が硬質ゴム系樹脂製の1対のフラットロール間に通し、上側の金属製フラットロールのみを温度180℃に加熱し、樹脂製フラットロールを表面温度120℃に安定させたところで、線圧が170kg/cmでさらに熱圧着し、目付が70g/mで、厚さが0.10mmのスパンボンド不織布を製造し、上側を製膜面側とする分離膜支持体を得た。結果を表2に示す。
【0113】
(比較例3)
実施例1のスパンボンド不織布(b)を2枚重ね合わせ、それを、上側が金属製で、下側が硬質ゴム系樹脂製の1対のフラットロール間に通し、上側の金属製フラットロールのみを温度180℃に加熱し、樹脂製フラットロールを表面温度120℃に安定させたところで、線圧が170kg/cmでさらに熱圧着し、目付が70g/mで、厚さが0.10mmのスパンボンド不織布を製造し、上側を製膜面側とする分離膜支持体を得た。結果を表2に示す。
【0114】
【表2】

【0115】
得られた分離膜支持体の特性は、表2に示したとおりであり、比較例1〜3の分離膜支持体を用いてポリスルホン膜を作製したところ、いずれも製膜原液の過浸透や毛羽立ちによる膜欠点は見られず製膜性は良好であったが、カール高さ・カール長さはそれぞれ40mm、60mmを超え、または測定不能であった。さらに、流体分離素子を作製したところ、加工中に分離膜の端部が丸まったり折れ曲がったりするなど加工性は不良であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布からなる分離膜支持体において、分離膜の製膜面側に配置される繊維が、分離膜の非製膜面側に配置される繊維よりも横配向である不織布からなることを特徴とする分離膜支持体。
【請求項2】
分離膜の製膜面側と非製膜面側に配置される繊維の繊維配向度差が5°以上である不織布からなることを特徴とする請求項1記載の分離膜支持体。
【請求項3】
分離膜の製膜面側に配置される繊維の繊維配向度が35〜90°であり、非製膜面側に配置される繊維の繊維配向度が0〜35°であることを特徴とする請求項1または2記載の分離膜支持体。
【請求項4】
不織布が、繊維配向度が35〜90°の不織布Aと、繊維配向度が0〜35°の不織布Bをそれぞれ少なくとも1層含み、かつ前記不織布Aを分離膜の製膜面側に配置し、前記不織布Bを非製膜面側に配置し、合計2〜5層積層された積層不織布であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の分離膜支持体。
【請求項5】
不織布が長繊維不織布であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の分離膜支持体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の分離膜支持体の表面上に、分離機能を有する膜を形成してなる分離膜。
【請求項7】
請求項6に記載の分離膜を構成要素として含む流体分離素子。

【公開番号】特開2011−161344(P2011−161344A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25240(P2010−25240)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】