説明

切り屑除去機械加工用回転工具及びそのためのルーズトップと基体

【課題】本発明は、ルーズトップ工具であって、そのルーズトップを信頼できる好適な仕方で工具の基体におけるジョーに装着したり、取り外したりできるルーズトップ工具を提供することである。
【解決手段】基体は前端にトルクを伝達する二つのドライバ(14a、14b)と軸方向の中心孔(16)が開口している中間底面によって範囲を定められるジョー(13)を含み、ルーズトップ(2)は後端から軸方向に突出するピン(17)を有し、ピンの包絡面(22)には固定ねじ(21)のためのショルダー表面(32)が含まれる。ルーズトップのピン(17)には凹み(35)が端面から軸方向に間隔をあけて形成され、中心孔(16)の内側に配置されるスナップ・イン部材(34)を受けて、固定ねじが締められていないときにピンを中心孔に一時的にクランプする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第一の様態で、本発明は、切り屑除去機械加工のための回転工具であって、一方で基体を含み、他方でルーズトップを含んで成るタイプの回転工具に関する。基体は、前端と後端を有し、その間に第一の中心軸が延伸し、それと包絡面が同心であり、前端は、二つのトルク伝達ドライバと中間底面によって範囲を定められるジョーを含み、基体の内側で軸方向に延伸する中心孔が中間底面に開口し、固定ねじのための穴が中心孔と包絡面の間に延伸している。ルーズトップは、前端と後端を有し、その間に第二の中心軸が延伸し、その延長に後端から突出するピンが延伸し、それは自由端表面と包絡面によって限られ、径方向の穴に配置された固定ねじのためのショルダー表面がそれに含まれる。
【0002】
別の様態で、本発明はまた、このようなルーズトップと基体そのものに関する。
【0003】
問題としているタイプの工具は、鋼、鋳鉄、アルミニウム、チタン、イエローメタル、などの金属の被削材の切り屑除去又は切削機械加工(それぞれ、穴あけ及びフライス加工)に適する。この工具はいろいろなタイプの複合材料の機械加工にも使用できる。
【背景技術】
【0004】
最近、一体型の工具と異なり、二つの部分、すなわち基体と、それに着脱可能に結合された交換可能なヘッドとから構成され、このヘッドに必要な切れ刃を備えた工具、例えばシャンクエンドミルの形の穴あけ工具、並びにミーリング工具、が開発されている。こうすると、工具の大部分は小さな弾性率の比較的安価な材料、例えば鋼、で製造することができ、それ以外の小さな部分、すなわちヘッドはより硬い高価な材料、例えば超硬合金、サーメット、セラミックなど、から製造することができ、必要な切れ刃、良い切り屑除去能力、高い加工精度、及び長い使用寿命が得られる。言い換えると、ヘッドは摩耗した後で廃棄できる摩耗部分であり、基体は何回でも(例えば10回から20回取り替えて)再使用できる。このような切れ刃がついたヘッドには“ルーズトップ”という呼び名が現在では認められており、この明細書でも以下ではこの呼び方が用いられる。
【0005】
ルーズトップ・タイプの穴あけ工具、並びにミーリング工具、は特許文献に広く記載されており、設計の基礎になっている考え方によって複数の異なるカテゴリーに分かれる。これらのカテゴリーの一つに、最初に述べたような基体とルーズトップを用いる工具、すなわち基体が前端のジョーとジョーの底面に開口する孔を有し、その孔にルーズトップのピンを挿入してルーズトップを芯出しすることができる工具、が属する。この工具設計は、ルーズトップを基体のジョーに軸方向に挿入し引き出すことによってルーズトップを取り付けたり取り外したりすることを前提としている。ドリルの形で実現されたこのタイプの工具の一例は、特許文献1に開示されている(特許文献2参照)。別の例は(まだ公開されていない)、特許文献3及び4に開示されている。
【0006】
ルーズトップ・タイプのドリルはしばしば垂直方向下向きに、又は少なくとも略下向きに、駆動マシンのホルダーから突出して装着され、駆動マシンは被削材が載置されるテーブル上に位置している。時間の節約のために、ルーズトップを取り替えるときに、マシンのホルダーに固定された基体から個別の摩耗したルーズトップを直接取り外せるようにすること、すなわちホルダーから最初に基体本体を取り外す必要をなくすこと、が望ましい。同様に、取り替える新しいルーズトップは、ホルダーに残された基体に直接装着される。言い換えると、基体をマシンのホルダーから取り外すのは、それが摩耗したとき、又はそれを別の寸法のドリルと交換しなければならないときだけである。
【0007】
ルーズトップを下向きに軸方向に基体の開かれたジョーに出し入れする必要があるタイプの従来知られている工具は、この点でオペレーターにとって厄介な問題になる。すなわち、装着するとき、オペレーターは片手でルーズトップを保持しながら、別の手で固定ねじを締め付ける作業をしなければならない。しかし、ドリルはしばしばマシン内部の奥の方に位置しており、オペレーターは真下のテーブルに屈み込んだり、大きく体を曲げたりしなければならない。この姿勢を好適にしっかりと支えるためには、オペレーターはもう一つの手でテーブルにもたれる必要があるが、それは夢のような話である。したがって、これら三つの両立できない要求を実際に妥協させるために、オペレーターは片腕をテーブルにもたせかけ、この腕の手を用いてルーズトップを一時的にジョーに保持し、別の腕の手を用いて固定ねじを締め付ける。しかし、このような妥協は、オペレーターの人間工学の点でも、ルーズトップを速やかにしっかりと正しい位置に取り付けるという点でもきわめて不満足なものである。これに関連して、オペレーターがルーズトップを正しく固定する前にルーズトップを握りそこなった場合、ルーズトップが手から離れてマシンの内部に落下して見えなくなってしまい、そうなると、時間がかかる探索作業が発生する可能性があることを指摘しておかなければならない。
【0008】
特許文献5では、ルーズトップ・ドリルが開示されており、このドリルではルーズトップは基体の前端に二つの固定ねじによって固定され、それらのねじは、それぞれ基体の前端に開口するねじ溝つきの軸方向の孔に締め付けられる。ルーズトッップと基体の間には雄部材が配置され、それ自体スプリングで荷重されているが、芯出しピンであって、二つの固定ねじのどちらか一つが締め付けられるまではルーズトップを一時的にクランプする能力を有しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】アメリカ合衆国特許番号第6,012,881号
【特許文献2】アメリカ合衆国特許番号第6,109,841号
【特許文献3】スウェーデン国特許出願第0900844−2号
【特許文献4】スウェーデン国特許出願第0900845−9号
【特許文献5】アメリカ合衆国特許番号第4,950,108号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した問題を回避し、問題としている種類の改良された工具を提供することを目標とする。したがって、本発明の第一の目的は、ルーズトップ工具であって、そのルーズトップを信頼できる好適な仕方で工具の基体におけるジョーに装着したり、取り外したりできるルーズトップ工具を提供することである。特に、必要なルーズトップの取り替えを、摩耗したルーズトップであれ新しいルーズトップであれ、問題の穴あけマシンの内部又はその近くで見失ってしまうという明らかなリスクなしに実行することができなければならない。さらに、ルーズトップをうっかりと誤った位置に装着することを効果的に防止できなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、少なくとも第一の目的は、特許請求の範囲における独立請求項1によって達成される。本発明によるルーズトップ工具の好ましい実施形態は、さらに従属する請求項2〜6によって定められる。
【0012】
別の様態で、本発明はまた、ルーズトップそのものに関する。このルーズトップの基本的特徴は独立請求項7に見られ、その好ましい実施形態は従属する請求項8と9で定められる。
【0013】
第三の様態で、本発明はまた、工具の基体そのものに関する。これは独立請求項10及び従属する請求項11〜14で定められる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ドリルの形態のルーズトップ工具の斜視図であり、その基体とルーズトップが組み立てられた状態で示されている。
【図2】ルーズトップが基体から分離した形態を示す分解斜視図である。
【図3】基体に含まれるジョーを鳥瞰図で示し、ルーズトップを虫瞰図で示す拡大分解図である。
【図4】基体の前部を示す部分側面図である。
【図5】図4のV−V線に沿って切断した断面図である。
【図6】図3に対応する分解図であり、本発明がルーズトップ・ドリルの別の実施形態に適用される態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面で、本発明は二つの異なる実施形態の穴あけ工具の形態で例示されている、すなわち図1〜5による第一の実施形態と図6による第二の実施形態で例示されている。図1と2に示されている穴あけ工具は、基体1とルーズトップ2を含み、ルーズトップに必要な切れ刃3が含まれる。図1による組み立てられた状態で、工具はCで表される中心軸のまわりで回転可能、詳しくは回転方向Rに回転可能である。図2では、基体1が前端と後端4,5を含み、その間に基体に固有の中心軸C1が延伸していることが見られる。前端4から後方へ、円筒状の包絡面6が伸び、そこに二つの切り屑フルート7が凹設されており、この場合それはらせん状であるが、真直であってもよい。この例では、切り屑フルート7は問題の穴あけマシンの駆動ホルダーに取り付けられることになる後部8に含まれるカラーで終止している。
【0016】
ルーズトップ2も前端と後端9,10及び自身の中心軸C2を含み、二つの包絡部分表面11がそれと同心である。ルーズトップにも、二つの切り屑フルート部12が含まれ、それはルーズトップが基体に装着されると基体の切り屑フルート7の延長になる。ルーズトップが基体に対して正しく芯出しされると、個別の中心軸C1とC2は組み立てられたドリルの中心軸Cと一致する。
【0017】
基体1の主要部分は本発明に関連した興味が乏しいので、以下ではその前端部分だけをルーズトップ2と合わせて図示する、詳しくは図3〜5に拡大して図示する。
【0018】
図3に見られるように、ジョー13が基体1の前部に形成され、直径方向に間隔をあけたドライバ14a,14b、並びに平面の形状の中間底面15によって範囲を定められる。この場合ルーズトップの軸方向支持表面の役目をする中間底面15には、中心孔16が開口しており、ルーズトップ1の後端10から後方に突出している芯出しピン17がそれに挿入可能であり、この後端10は平面の形の軸方向接触表面としてジョーの底面15に圧しつけられるようになっている。ドライバ14a,14bは、弾性的に変型するブランチと異なり、変型しないラグである。ドライバ14a,14bの内側18a,18bはルーズトップ2の二つの側方接触表面19a,19bに対する側方支持表面になっている。この場合、中心孔16の孔壁は円筒状で基体1へ軸方向に深く伸び、そこに径方向の孔又は穴(図5を見よ)がその一端で開口できる。この径方向の穴20の他端は包絡面6に開口し、雌ねじ溝を含み、それが固定ねじ21の雄ねじ溝と協同して固定ねじ21が穴20に出入りしてピン17の締め付けデバイスとして働くことができる。
【0019】
中心孔16と同様、芯出しピン17も略円筒状の基本形を有する。詳しくいうと、芯出しピン17は円筒状包絡面22と平面の端面23によって範囲を定められる。包絡面22と端面23の間に円錐状の移行表面を形成して芯出しピンが中心孔16に容易に挿入できるようにすることが有利である。同じように、ジョー13の平面の底面15と中心孔16の間にも円錐状リングの形の表面25が形成される。
【0020】
図3に、固定ねじ21の雄ねじ溝26が固定ねじのほぼ全長にわたって、詳しくはキーグリップ28が形成されている後方又は外側端27と前方又は内側端29の間に、伸びている様子が示されている。図2に見られるように、上記前端は平面の円形端面30と端面30とねじ溝26の間の円錐状移行表面31を含む。
【0021】
さらに図3には、ルーズトップのピン17がショルダー表面32を含み、それが二つの傾斜した面取り表面33a、33bによって囲まれていることが見られる。これらの表面32,33a、及び33bはすべて平面であってよく、表面32と33aの間の鈍角は、固定ねじの前方端面30と円錐状移行表面31の間の角とほぼ同じ大きさであることが有利である。表面32,33a、及び33bは一緒になってピン17の包絡面に開いている樋の範囲を定める。
【0022】
ルーズトップ2をジョー13に装着するとき、ルーズトップはブランチ14a、14bの間に挿入され、ルーズトップの後方端面10がジョーの底面15に圧しつけられるまで芯出しピン17が中心孔16に挿入される。この状態で、固定ねじ21は穴20から少し抜けている。図5に見られるように、芯出しピン17のショルダー表面32は最初、固定ねじの前方端面30に対して傾いている(図2も見よ)。したがって、ルーズトップを固定するために固定ねじを締めると、固定ねじの前方端面30とショルダー表面32の接触によって芯出しピンが、それによってルーズトップ全体が回る。このようにして、ルーズトップの側方接触表面19a、19bがドライバ14a、14bの内側の側方支持表面18a、18bに圧しつけられる。同時に、固定ねじの円錐状表面31と芯出しピンの面取り表面33aの接触によって、ルーズトップの端面10をジョー13の底面15に圧しつける軸方向引っ張り力が芯出しピンに加えられる。言い換えると、ルーズトップの軸方向固定はこの場合固定ねじが芯出しピンの樋と係合することによって保証される。
【0023】
穴あけ工具がマシンに垂直に装着されジョー13が下向きに開いている場合、固定ねじ21が最終的に締め付けられる前、ルーズトップを何らかの仕方でジョーに保持しなければならないことは明らかであろう。序論で言及したように、これは従来、固定ねじを締め付けることに使用していない手で(それに伴う不利益はあるが)行われていた。
【0024】
本発明によれば、装着と取り外しに関連したルーズトップの一時的な固定は、人の手でなく機械的な仕方で、詳しくはルーズトップをジョーにスナップ作用(snap action)で取り付けることによって保証される。このために、34で表されるスナップ・イン部材が基体1の中心孔に配置され、このスナップ・イン部材は、一方において順応して変形することができ、他方ではルーズトップの芯出しピン17の凹み(countersink)35と係合することができる。図示した好ましい実施形態では、スナップ・イン部材34は、スプリング37と共にカートリッジ36に取り付けられるボールの形のロックボディである(図5を見よ)。詳しくいうと、スプリング37は圧縮スプリングであり、ボールをカートリッジに圧し込もうとする作用に抗して常にボールを端の位置の方に圧そうとする。カートリッジ36,及びそれによってボール34は、基体の包絡面6と中心孔16の間に伸びる第二の穴38に取り付けられる。この第二の穴38は、第一の穴20に対してほぼ直径上で反対の位置にあると有利である。カートリッジは穴38にいろいろな仕方で取り付けることができるが、この例ではカートリッジの外側に雄ねじ溝39を含み、穴38に雌ねじ溝を含むねじ接合が好ましい。こうしてカートリッジを穴から容易に、例えば損傷したような場合、取り外すことができる。
【0025】
ルーズトップの芯出しピン17の凹み35は、好適には芯出しピンの包絡面22に沿って周縁方向に伸びる長く狭い溝であり、端面23から間隔があいている。溝がある周縁方向の長さに伸びていることにより、固定ねじ21を締め付けたときに生ずる芯出しピンの小さな回転によってボール34の溝との係合が外れることはない。
【0026】
(発明の機能と利点)
カートリッジ36は、ボール34が通常は中心孔6の内側から1ミリ乃至10分の数ミリメートル突出するように取り付けられる。同時に、固定ねじ21の内側端29も中心孔から距離がとられる。芯出しピンが中心孔16に挿入されると、ボール34はスプリング37の作用に抗して溝35がボールと同じレベルになるまで圧される。この状態で、ボールは芯出しピンを―それによってルーズトップを―一時的に固定し、その後、ルーズトップの最終的な固定を固定ねじ21を締めることによって実行することができる。
【0027】
ボール34を動かすスプリングの力は非常に弱いものであるということを指摘しておかなければならない。したがって、ルーズトップを取り外すとき、固定ねじ21をゆるめた後、ルーズトップを手でジョー13から引き出すことに対してスプリングの力は認められるほどの抵抗を生じない。
【0028】
本発明の基本的な利点は、装着と取り外しの本来の作業にオペレーターは片手を使うだけでよいということ、他方の手を別の目的に、例えば体の上部を支えるために、使用できるということである。基体を協同動作するマシンに垂直以外の形で、例えば水平に取り付ける場合であっても、あるいは基体をそもそもどんなマシンにも用いない場合であっても、ルーズトップの取り替えが容易になる。最後にあげたケースでは、一時的なスナップ・イン固定によってオペレーターは片手を基体の固定のために用いながら、他方の手で固定ねじを締めることができる。
【0029】
次に図6を参照すると、そこには工具の別の実施形態が示されているが、前述した実施形態と異なるのはルーズトップを基体のジョーに固定する態様だけである。すなわち、このケースでは、固定ねじ21のための芯出しピン17のショルダー表面32は、芯出しピンの全長にわたって伸びている。さらに、ルーズトップ2の側方接触表面19a、19bは互いに対して(前述した例のように平行ではなく)傾いており、ドライバ14a、14bの内側の同じように傾いている側方支持表面18a、18bと協同動作する固定ねじ21をショルダー表面32に締め付けるとルーズトップが回って、側方接触表面19a、19bが側方支持表面18a、18bに圧しつけられ、それらが傾斜しているためにあり溝となり、ルーズトップがジョーから軸方向に抜け出すことが防がれる。
【0030】
この実施形態と前述の実施形態のもう一つの相異点は、ルーズトップ2の軸方向接触表面40a、40bがジョー13の底面でなくブランチ14a、14bの前端に形成された側方支持表面41a、41bに圧しつけられることである。その他の点で、ルーズトップの一時的なスナップ・イン固定はカートリッジ36内のスプリング荷重されたボール34がルーズトップの芯出しピン17の溝35と係合するという点で前述の実施形態と同様である。
【0031】
基体1の内側を通っている二つの洗滌(flush)流体チャンネル42は、図1−5の実施形態でルーズトップ2の二つの貫通チャンネル43と協同動作し、対応するチャンネル42はルーズトップを通って伸ばされることなく直接に基体の包絡面に開口することに注意すべきである。しかし、どちらの場合も、基体に形成されるチャンネル42は二つの径方向の穴20,38から満足できる仕方で間隔をあけている。
【0032】
(実施可能な発明の変形)
本発明は図面で示された実施例に限定されない。したがって、スプリングで荷重されたボールの代わりに他のスプリング荷重されたロックボディ、例えばプラグ、も可能である。また、スプリング荷重されたロックボディ以外のスナップ・イン部材を用いて本発明を実現することもできる。中心孔の内側に弾力的な板ばねを取り付け、その板ばねが一方ではルーズトップの溝又は凹みに係合し、他方でルーズトップの装着と取り外しに応じて変形することも可能である。本発明はさらに、ドリル以外の回転切削工具、例えばシャンクエンドミルなどのミーリング工具にも適用できる。結論として、本発明による変形するスナップ・イン部材は、ルーズトップの信頼できる固定はもっぱら固定ねじによって行われるという点で何も実効的な固定機能を有しない。言い換えると、例示されたスプリングによってボールに加えられる減少する力は工具の回転のさいにルーズトップに作用する切削力に抵抗するには全く不十分である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り屑除去機械加工用の回転工具であって、
前端と後端(4,5)を有する基体(1)であって、前端と後端(4,5)の間に第一の中心軸(C1)が延伸し、中心軸と包絡面(6)が同心であり、前端(4)はトルクを伝達する二つのドライバ(14a、14b)と中間底面(15)によって範囲を定められるジョー(13)を含み、中間底面(15)に基体の内側で軸方向に伸びる中心孔(16)が開口し、固定ねじ(21)のための穴(20)が中心孔(16)と包絡面(6)の間で径方向に延びている基体と、
前端と後端(9,10)を含むルーズトップ(2)であって、前端と後端(9,10)の間に第二の中心軸(C2)が延伸し、その延長する方向に後端(10)から突出するピン(17)が延び、自由端面(23)と包絡面(22)によって範囲が定められ、包絡面(22)には径方向の穴に配置される固定ねじ(21)のためのショルダー表面(32)が含まれるルーズトップと、を含む穴あけ工具において、
ルーズトップ(2)のピン(17)上の包絡面(22)に端面(23)から軸方向に間隔をあけて凹み(35)が形成され、凹み(35)が中心孔(16)の内側に沿って配置されるスナップ・イン(部材(34)を受けて固定ねじが締め付けられていないときにピンを中心孔に一時的にクランプする、ことを特徴とする工具。
【請求項2】
スナップ・イン部材(34)は、固定ねじ(21)のための穴(20)と直径上で反対の位置にあり、ルーズトップのピン(17)の凹み(35)はショルダー表面と反対の位置にある、ことを特徴とする請求項1に記載の工具。
【請求項3】
スナップ・イン部材(34)は、スプリング(37)で荷重されたロックボディ(34)である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の工具。
【請求項4】
ロックボディ(34)とスプリング(37)は基体(1)の中心孔(16)と包絡面(6)の間に径方向に伸びる第二の穴(38)に取り付けられるカートリッジ(36)に収容される、ことを特徴とする請求項3に記載の工具。
【請求項5】
カートリッジ(36)は第二の穴(38)の雌ねじ溝に締め付けられる雄ねじ溝(39)を含む、ことを特徴とする請求項4に記載の工具。
【請求項6】
凹みはルーズトップ(2)のピン(17)の包絡面(22)に沿って周縁に伸びる溝(35)である、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の工具。
【請求項7】
切り屑除去機械加工用回転工具のためのルーズトップであって、前端と後端(9,10)を含み、その間に中心軸(C2)が延伸し、中心軸(C2)の延長する方向に後端(10)から突出する自由端面(23)と包絡面(22)によって範囲を定められるピン(17)が延び、包絡面にはショルダー表面(32)を含むルーズトップにおいて、
ピン(17)の包絡面(22)に凹み(35)が端面(23)から軸方向に間隔をあけて形成され、凹み(35)が工具の協同動作する基体におけるスナップ・イン部材を受ける、ことを特徴とするルーズトップ。
【請求項8】
凹みはピンの包絡面(22)に沿って周縁方向に延びる溝(35)である、ことを特徴とする請求項7に記載のルーズトップ。
【請求項9】
凹み(35)はショルダー表面(32)と直径上で反対の位置にある、ことを特徴とする請求項7又は8に記載のルーズトップ。
【請求項10】
切り屑除去機械加工用回転工具のための基体であって、前端と後端(4,5)を含み、その間に中心軸(C1)が延伸し、包絡面(6)がそれと同心であり、前端(4)はトルクを伝達する二つのドライバ(14a、14b)と中間底面(15)によって範囲を定められるジョー(13)を含み、中間底面には協同動作するルーズトップのピンを受けるために基体の内側に延びる中心孔(16)が開口し、固定ねじ(21)のための穴(20)が中心孔(16)と包絡面(6)の間に径方向に延びている基体において、
スナップ・イン部材(34)が固定ねじのための穴(20)から間隔をあけて中心孔(16)の内側に配置され、固定ねじが締め付けられていないときにルーズトップのピンを中心孔に一時的にクランプする、ことを特徴とする基体。
【請求項11】
スナップ・イン部材(34)は固定ねじのための穴(20)と直径上で反対の位置にある、ことを特徴とする請求項10に記載の基体。
【請求項12】
スナップ・イン部材(34)はスプリング(37)で荷重されたロックボディ(34)である、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の基体。
【請求項13】
ロックボディ(34)とスプリング(37)は、中心孔(16)と包絡面(22)の間で径方向に延びる第二の穴(38)に取り付けられるカートリッジ(36)に収容される、ことを特徴とする請求項12に記載の基体。
【請求項14】
カートリッジ(36)は雄ねじ溝(39)を含み、雄ねじ溝(39)が第二の穴(38)における雌ねじ溝に締め付けられる、ことを特徴とする請求項13に記載の基体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−101945(P2011−101945A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250789(P2010−250789)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(505277521)サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ (284)
【Fターム(参考)】