説明

切り盤及び案内杆

【課題】この発明は、スポンジケーキなどを所定の厚さに容易に切断できるようにすることを目的としたものである。
【解決手段】この発明は、台板の対向縁部に同一高さの基準杆を固定し、該基準杆へ高さの調整杆を積層可能に取付けたことを特徴とする切り盤により、目的を達成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、まな板、その他の主として食品などを切断する場合の台板であって、被切断物の厚さを規制することを目的とした切り盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来スポンジケーキなどを一定の厚さに切断する為に、切断補助具が提案されている。
【0003】
また、まな板については、水分を集めたり、切った物を集める為に工夫したまな板が提案されているが、切断物の厚みについての工夫は知られていない。
【特許文献1】実公平6−23438
【特許文献2】実用新案登録第3092733号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のように、従来切断物の厚みを規制するには、目分量によるか、寸法規制用の別器具を用いていたので、その場合には態々準備する必要があった。
【0005】
従って熟練者がスポンジケーキなどを切る場合には、目分量によりほぼ等厚に切断できたが、一般には等厚に切ることが難しく、不揃いとなることを免れることができない問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、台板の対向縁に高さ調整用の基準杆を固定し、これに高さ調整杆を積層可能に蝶着し、または調整杆を着脱自在に固定することにより、前記従来の問題点を解決したのである。
【0007】
即ちこの発明は、台板の対向縁部に同一高さの基準杆を固定し、該基準杆へ高さの調整杆を積層可能に取付けたことを特徴とする切り盤であり、台板の対向縁部に同一高さの基準杆を固定し、該基準杆へ高さの調整杆を積層可能に取付け、前記台板の下面対向縁部へ断面矩形の調整杆を取付けたことを特徴とする切り盤であり、台板の対向縁部に、高さの調整杆を回動可能に取付けたことを特徴とする切り盤である。
【0008】
また他の発明は、台板の材質は、木板又は合成樹脂板としたものであり、高さの調整杆の取付けは、蝶番又は磁着としたものである。
【0009】
更に他の発明は、対向縁部へ磁石片を埋設した台板と、台板の対向縁に固定する磁着片付の調整杆を組み合せたことを特徴とする切り盤であり、調整杆は、断面矩形とし、二つの異なる高さに取付けできるものである。
【0010】
前記のように、この発明は台板に基準杆その他高さの案内が付設されているので、態々用意することなく、目的を達成することができる。
【0011】
然して請求項1の発明は、調整杆を積層しない場合と、積層する場合とで、2種類の厚さを規制することができる。
【0012】
また請求項2の発明は厚さを調整し得ると共に、目盛りを付けることによって縦方向の厚さの大凡を定めることができる。
【0013】
前記発明において、磁着する場合には、一方を永久磁石片とし、他方を鉄片とし、又は両方を磁石片として磁着させるが、切り盤に水分の触れる機会が多い場合には、防錆手段(例えば合成樹脂の表面塗布)を講じる必要がある。
【0014】
また調整杆(例えば断面矩形の棒)は、不使用時に台板の裏面へ磁着しておけば、収納上の問題なく台板と一体的に取り扱うことができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、台板の対向縁部に同一高さの基準杆を固定したので、スポンジケーキその他の比較的切りにくい物でも同一厚さに切断できる効果がある。また調整杆の付設によって、基準杆と、調整杆の二つの厚さに対応させることができる効果がある。
【0016】
また切断すべき物によって、その厚さはほぼ一定しているので(例えば二種の厚さで間に合う)、二種の準備でほぼ間に合わせることができる効果がある。
【0017】
前記基準杆と調整杆を断面矩形の杆体で間に合わせることができるので、これを台板と組み合せて磁着すれば、簡易に目的を達成することができる効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
この発明は、木製又は合成樹脂製の台板の対向縁部に調整杆を取付、取外し自在に固定し、必要な厚さ寸法に対応させることにより、スポンジケーキその他の等厚切断が困難な食品等などを簡易に等厚切断することができる。
【0019】
前記において、固定には蝶番又は磁石片を用いる。
【実施例1】
【0020】
この発明の実施例を図1、2に基づいて説明すると、木製の台板1の対向縁部へ基準杆2(断面方形)を平行して固定し、該基準杆2の上部外側へ、調整杆3の一側を蝶番4で取り付け、この発明の切り盤5とする。この場合に、取付け状態で上面は面一平面にしてある。
【0021】
次に調整杆3を矢示6のように180度回転して基準杆2上へ重ねると(図1(a))、二倍以上の高さとなる。
【0022】
前記において、被切断物の厚さの要請に応じ、基準杆2と、調整杆3の高さh、hを決めることにより、切断物の厚さH、Hを決めることができる。
【0023】
=h,H=h+h
前記実施例において、台板1上へスポンジケーキ7を載せ、ナイフ8の先端部及び基部を前記基準杆2の上面(図2(b))又は調整杆3の上面(図2(a))に案内させて、ナイフ8を進めれば、スポンジケーキ7の下部は、厚さH、又はHに切断される。この場合の厚さH、Hは不変であるから、同一厚さに切断することができる。
【実施例2】
【0024】
この発明の他の実施例を図3について説明すると、台板14の対向縁の側壁に永久磁石片16、16を埋め込み、前記対向縁外側壁19へ固定する基準杆17の端側壁17aの下部へ鉄片18、18を埋め込み、前記台板14と、基準杆17を磁着させてこの発明の切り盤20を構成した。前記鉄片18に代えて磁石を用いることもできる。
【0025】
前記実施例において、基準杆17の断面を矩形とすれば、基準杆17の固定形状によりその高さを変えることができる。また基準杆17を台板14の裏面へ固定すれば、高切り盤21となるので、収納などが便利であり切り盤21の使い勝手も良くなる。
【実施例3】
【0026】
この発明の他の実施例を図4について説明すると、合成樹脂製の台板9の対向縁へ、基準杆11を切り出して、回動可能に取り付け(例えば、台板9と基準杆11は、薄片12で連結し)、この発明の切り盤10を構成した。
【0027】
図中13は目盛りであって、基準杆11の長手方向の厚さの目安とすることができる。
【0028】
前記実施例は、基準杆11のみであるが、ほぼ一種類の厚さのみならば十分目的を達成することができる。
【実施例4】
【0029】
この発明の他の実施例を図5に基づいて説明すると、木製の台板1の上面の対向縁部へ、基準杆2(断面方形)を平行して固定し、該基準杆2、2の上部外側へ、調整杆3、3の一側を蝶番4で回転自在に取付け、前記台板1の下面対向縁部へ、断面矩形の調整杆15、15を蝶番4で回転自在に取付けて、この発明の切り盤5aを構成した。前記調整杆3は、図1の実施例と同様に、二つの高さを規制することができる。
【0030】
次に前記台板1の裏面を上部にし、調整杆15を、A位置又はB位置に回転することによって、高さの異なる二つの高さ基準h、hを規制することができる。即ち実施例では、AよりBの方が高くなる。これは調整杆15の断面形状によるもので、高精度を保つことができる。
【0031】
前記実施例において、台板1には、被切断物21の案内杆22が、クリップ23により着脱自在に取付けてある。従って、被切断物21の幅に対応して、前記案内杆22の位置をセットすれば、被切断物21を確実に保持することができる(図6)。
【0032】
前記案内杆22のクリップは、その固定手段であって、磁着その他公知の固定手段に代えて何れも採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】(a)この発明の実施例の一部を省略した斜視図、(b)同じく他の実施例の一部を省略した斜視図。
【図2】(a)同じく切断時の説明図、(b)同じく他の切断時の説明図。
【図3】(a)同じく他の実施例の一部断面斜視図、(b)同じく他の実施例の一部断面斜視図、(c)同じく他の実施例の一部断面斜視図、(d)同じく磁石片又は鉄片の埋設状態を示す斜視図。
【図4】(a)同じく他の実施例の一部を省略した斜視図、(b)同じく使用状態の一部を省略した斜視図、(c)同じく一部断面拡大図。
【図5】(a)同じく他の実施例の一部を省略した斜視図、(b)同じく一部を省略した断面図、(c)同じく案内杆の下面斜視図。
【図6】(a)同じく他の実施例の一部を省略した斜視図、(b)同じく案内杆の一部を省略した斜視図。
【符号の説明】
【0034】
1 台板
2、11、17 基準杆
3、15 調整杆
4 蝶番
5、5a、10、20 切り盤
7 スポンジケーキ
8 ナイフ
9、14 台板
12 薄片
15 調整杆
16 永久磁石片
18 鉄片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台板の対向縁部に同一高さの基準杆を固定し、該基準杆へ高さの調整杆を積層可能に取付けたことを特徴とする切り盤。
【請求項2】
台板の対向縁部に同一高さの基準杆を固定し、該基準杆へ高さの調整杆を積層可能に取付け、前記台板の下面対向縁部へ断面矩形の調整杆を取付けたことを特徴とする切り盤。
【請求項3】
台板の対向縁部に、高さの調整杆を回動可能に取付けたことを特徴とする切り盤。
【請求項4】
台板の材質は、木板又は合成樹脂板としたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の切り盤。
【請求項5】
高さの調整杆の取付けは、蝶番又は磁着としたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の切り盤。
【請求項6】
対向縁部へ磁石片を埋設した台板と、台板の対向縁に固定する磁着片付の調整杆を組み合せたことを特徴とする切り盤。
【請求項7】
調整杆は、断面矩形とし、二つの異なる高さに取付けできることを特徴とした請求項6記載の切り盤。
【請求項8】
請求項1〜3記載の切り盤に用いる固定手段付きの案内杆。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−247382(P2006−247382A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−31240(P2006−31240)
【出願日】平成18年2月8日(2006.2.8)
【出願人】(305008134)有限会社ダッツエンタープライズ (1)
【Fターム(参考)】