説明

切削ブレードを装着する回転スピンドルの取り付け状態確認治具および取り付け状態確認方法

【課題】回転スピンドルがY軸方向に対して平行に、Z軸方向と直交する方向に、配設されているかを確認するための回転スピンドルの取り付け状態確認治具および取り付け状態確認方法を提供する。
【解決手段】チャックテーブルと、切削ブレードを備えた切削手段と、切削送り手段と、割り出し送り手段と、切り込み送り手段とを具備し、切削手段はスピンドルハウジング61に回転自在に支持された回転スピンドル62と、切削ブレードを支持するブレードマウントとを備え、ブレードマウントを雌ネジ穴に螺合する締結ボルトによって固定するように構成された回転スピンドル62の取り付け状態確認治具であって、回転スピンドル62に設けられた雌ネジ穴に螺合する雄ネジを備えた回動部材110と、回動部材110に装着されたマイクロメーター120とからなり、マイクロメーター120の検出端子121が該雄ネジの軸心から偏芯した位置に位置付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物を切削する切削ブレードを装着する回転スピンドルの取り付け状態確認治具および取り付け状態確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハをストリートに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々の半導体デバイスを製造している。
【0003】
上述した半導体ウエーハのストリートに沿った切断は、通常、ダイサーと呼ばれる切削装置によって行われている。この切削装置は、ウエーハ等の被加工物を保持する保持面を有するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削するための切削ブレードを備えた切削手段と、チャックテーブルを切削送り方向(X軸方向)に切削送りする切削送り手段と、切削手段をX軸方向と直交する割り出し送り方向(Y軸方向)に割り出し送りする割り出し送り手段と、切削手段をチャックテーブルの保持面に対して垂直な方向(Z軸方向)に切り込み送りする切り込み送り手段を具備している。上記切削手段は、切削ブレードを装着する回転スピンドルおよび回転スピンドルを回転自在に支持するスピンドルハウジングを具備し、このスピンドルハウジングがY軸方向に平行に配設されるとともにチャックテーブルの保持面に対して垂直なZ軸方向に直交して配設される。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−202890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、切削ブレードを装着する回転スピンドルがY軸方向に対して傾いて配設されていたり、Z軸方向と直交する方向に対して傾斜して配設されていると、切削ブレードによる切削幅が増大する。ウエーハの表面に形成されるストリートの幅は略50μmと狭く、切れ刃の厚みが略30μmの切削ブレードを装着した回転スピンドルがY軸方向に対して傾いて配設されていると、ウエーハの表面に形成されるストリートの幅を超えて切削され、デバイスを損傷させるという問題がある。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、切削ブレードを装着する回転スピンドルがY軸方向に対して平行に配設されているか、また回転スピンドルがZ軸方向と直交する方向に配設されているかを確認するための切削ブレードを装着する回転スピンドルの取り付け状態確認治具および取り付け状態確認方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、被加工物を保持する保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードを備えた切削手段と、該チャックテーブルを切削送り方向に切削送りする切削送り手段と、該切削手段を切削送り方向と直交する割り出し送り方向に割り出し送りする割り出し送り手段と、該切削手段を該チャックテーブルの保持面に対して垂直な切り込み送り方向に切り込み送りする切り込み送り手段とを具備し、
該切削手段は、スピンドルハウジングと、該スピンドルハウジングに回転自在に支持され先端部中心に雌ネジ穴を備えた回転スピンドルと、該回転スピンドルの先端部に装着され該切削ブレードを支持するブレードマウントとを備え、該ブレードマウントを該回転スピンドルに設けられた該雌ネジ穴に螺合する締結ボルトによって固定するように構成された切削装置における回転スピンドルの取り付け状態確認治具であって、
該回転スピンドルに設けられた該雌ネジ穴に螺合する雄ネジを備えた回動部材と、該回動部材に装着されたマイクロメーターとからなり、該マイクロメーターの検出端子が該雄ネジの軸心から偏芯した位置に位置付けられている、
ことを特徴とする切削ブレードを装着する回転スピンドルの取り付け状態確認治具が提供される。
【0008】
被加工物を保持する保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードを備えた切削手段と、該チャックテーブルを切削送り方向(X軸方向)に切削送りする切削送り手段と、該切削手段をX軸方向と直交する割り出し送り方向(Y軸方向)に割り出し送りする割り出し送り手段と、該切削手段を該チャックテーブルの保持面に対して垂直な切り込み送り方向(Z軸方向)に切り込み送りする切り込み送り手段とを具備し、
該切削手段は、スピンドルハウジングと、該スピンドルハウジングに回転自在に支持され先端部中心に雌ネジ穴を備えた回転スピンドルと、該回転スピンドルの先端部に装着され該切削ブレードを支持するブレードマウントとを備え、該ブレードマウントを該回転スピンドルに設けられた該雌ネジ穴に螺合する締結ボルトによって固定するように構成された切削装置における回転スピンドルの取り付け状態確認方法であって、
該回転スピンドルに設けられた該雌ネジ穴に螺合する雄ネジを備えた回動部材と、該回動部材に装着されたマイクロメーターとからなり、該マイクロメーターの検出端子が該雄ネジの軸心から偏芯した位置に位置付けられている回転スピンドルの取り付け状態確認治具を構成する該回動部材の雄ネジを該回転スピンドルに設けられた該雌ネジ穴に螺合して装着する取り付け状態確認治具装着工程と、
被検出平面を有する被測定治具を、該チャックテーブルの保持面に該被検出平面を該回転スピンドル側に向けて載置する被測定治具載置工程と、
該取り付け状態確認治具を構成する該マイクロメーターの検出端子を該チャックテーブルの保持面に載置された該被測定治具の該被検出平面に接触させた状態で該チャックテーブルをX軸方向に移動して該マイクロメーターによる計測値の変動を確認し、該マイクロメーターによる計測値が変動する場合には該マイクロメーターによる計測値が一定になるように該チャックテーブルを回動して該被測定治具の該被検出平面がX軸方向と平行になるように調整する被測定治具調整工程と、
該被測定治具調整工程を実施した後に、該取り付け状態確認治具を構成する該マイクロメーターの検出端子を該被測定治具の該被検出平面の第1の点に接触させるとともに、該取り付け状態確認治具が装着された該回転スピンドルを180度回動して該マイクロメーターの検出端子を該被測定治具の該被検出平面の第2の点に接触させ、該マイクロメーターの該第1の点における第1の値と該第2の点における第2の値が同一であるか否かを確認し、該第1の値と該第2の値が同一である場合には該回転スピンドルはY軸方向に対して平行に配設されており、該第1の値と該第2の値が同一でない場合には該回転スピンドルはY軸方向に対して傾斜して配設されていると判定する回転スピンドルの取り付け状態判定工程、とを含む、
ことを特徴とする回転スピンドルの取り付け状態確認方法が提供される。
【0009】
更に、本発明によれば、被加工物を保持する保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードを備えた切削手段と、該チャックテーブルを切削送り方向(X軸方向)に切削送りする切削送り手段と、該切削手段をX軸方向と直交する割り出し送り方向(Y軸方向)に割り出し送りする割り出し送り手段と、該切削手段を該チャックテーブルの保持面に対して垂直な切り込み送り方向(Z軸方向)に切り込み送りする切り込み送り手段とを具備し、
該切削手段は、スピンドルハウジングと、該スピンドルハウジングに回転自在に支持され先端部中心に雌ネジ穴を備えた回転スピンドルと、該回転スピンドルの先端部に装着され該切削ブレードを支持するブレードマウントとを備え、該ブレードマウントを該回転スピンドルに設けられた該雌ネジ穴に螺合する締結ボルトによって固定するように構成された切削装置における回転スピンドルの取り付け状態確認方法であって、
該回転スピンドルに設けられた該雌ネジ穴に螺合する雄ネジを備えた回動部材と、該回動部材に装着されたマイクロメーターとからなり、該マイクロメーターの検出端子が該雄ネジの軸心から偏芯した位置に位置付けられている回転スピンドルの取り付け状態確認治具を構成する該回動部材の雄ネジを該回転スピンドルに設けられた該雌ネジ穴に螺合して装着する取り付け状態確認治具装着工程と、
底面と該底面から直角に立設する外周面を有する円柱治具を、該チャックテーブルの保持面に該底面を載置する円柱治具載置工程と、
該取り付け状態確認治具を構成する該マイクロメーターの検出端子を該チャックテーブルの保持面に載置された該円柱治具の外周面に接触させた状態で該チャックテーブルをX軸方向に移動し、該マイクロメーターの値の第1の最大値を確認する第1の確認工程と、
該第1の確認工程を実施した後に該取り付け状態確認治具が装着された該回転スピンドルを180度回動し、該チャックテーブルをX軸方向に移動して該マイクロメーターの値の第2の最大値を確認する第2の確認工程と、
該第1の確認工程と該第2の確認工程によって確認された第1の最大値と第2の最大値が同一であるか否かを確認し、該第1の最大値と該第2の最大値が同一である場合には該回転スピンドルはZ軸方向と直交して配設されており、該第1の最大値と該第2の最大値が同一でない場合には該回転スピンドルはZ軸方向と直交する方向に対して傾斜して配設されていると判定する回転スピンドルの取り付け状態判定工程、とを含む、
ことを特徴とする回転スピンドルの取り付け状態確認方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明による切削ブレードを装着する回転スピンドルの取り付け状態確認治具は、回転スピンドルに形成された雌ネジ穴に螺合する雄ネジを備えた回動部材と、該回動部材に装着されたマイクロメーターとからなり、該マイクロメーターの検出端子が雄ネジの軸心から偏芯した位置に位置付けられているので、雄ネジを回転スピンドル62に形成された雌ネジ穴に螺合することにより、回転スピンドルに容易に装着することができる。
そして、マイクロメーターの検出端子をチャックテーブルの上面である保持面に載置された被測定治具の被検出平面の第1の点に接触させるとともに、取り付け状態確認治具を回転スピンドルを中心として180度回動してマイクロメーターの検出端子を被測定治具の被検出平面の第2の点に接触させ、第1の点の第1の値と第2の点の第2の値が同一であるか否かを確認することにより、回転スピンドルがY軸方向に対して平行であるか否かを容易に判定することができる。
また、回転スピンドルに装着された回転スピンドルの取り付け状態確認治具を構成するマイクロメーターの検出端子をチャックテーブルの上面である保持面に載置された円柱治具の外周面に接触させてマイクロメーターの値の第1の最大値を確認するとともに、取り付け状態確認治具を回転スピンドルを中心として180度回動して円柱治具の外周面に接触させマイクロメーターの値の第2の最大値を確認することにより、第1の最大値と第2の最大値が同一であるか否かに基づいて回転スピンドルがZ軸方向と直交して配設されているか否かを容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による切削ブレードを装着する回転スピンドルの取り付け状態確認治具を用いて回転スピンドルの取り付け状態を確認する方法を実施する切削装置の斜視図。
【図2】図1に示す切削装置に装備される切削手段を構成するスピンドルユニットの要部を示す斜視図。
【図3】図2に示すスピンドルユニットの分解斜視図。
【図4】本発明による切削ブレードを装着する回転スピンドルの取り付け状態確認治具の斜視図。
【図5】本発明による回転スピンドルの取り付け状態確認方法における取り付け状態確認治具装着工程の説明図。
【図6】本発明による回転スピンドルの取り付け状態確認方法における被測定治具載置工程の説明図。
【図7】本発明による回転スピンドルの取り付け状態確認方法における被測定治具調整工程の説明図。
【図8】本発明による回転スピンドルの取り付け状態確認方法における回転スピンドルの取り付け状態判定工程の説明図。
【図9】本発明による回転スピンドルの取り付け状態確認方法における円柱治具載置工程の説明図。
【図10】本発明による回転スピンドルの取り付け状態確認方法における第1の最大値確認工程の説明図。
【図11】本発明による回転スピンドルの取り付け状態確認方法における第2の最大値確認工程の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明によって構成された切削ブレードを装着する回転スピンドルの取り付け状態確認治具および取り付け状態調整方法の好適な実施形態について、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0013】
図1には、本発明による切削ブレードを装着する回転スピンドルの取り付け状態調整方法が実施される切削装置の斜視図が示されている。
図1に示された切削装置1は、基台2を具備している。この基台2上には、被加工物を保持し矢印Xで示す切削送り方向(X軸方向)に移動せしめるチャックテーブル機構3が配設されている。
【0014】
図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、基台2の上面に配設された一対の案内レール31、31を備えている。この一対の案内レール31、31は、図1において矢印Xで示す切削送り方向(X軸方向)に沿って互いに平行に延設されている。この一対の案内レール31、31上には、チャックテーブル支持基台32が移動可能に配設されている。即ち、チャックテーブル支持基台32には一対の被案内溝321、321が設けられており、この被案内溝321、321を一対の案内レール31、31に嵌合することにより、チャックテーブル支持基台32は一対の案内レール31、31に沿って移動可能に構成される。
【0015】
チャックテーブル支持基台32上には円筒部材33が配設され、この円筒部材33の上端にチャックテーブル34が回転可能に配設されている。このチャックテーブル34は、チャックテーブル本体341と該チャックテーブル本体341の上面に配設された吸着チャック342とからなっており、チャックテーブル本体341が円筒部材33に回転可能に支持されている。吸着チャック342は多孔質セラミッックスの如き適宜の多孔性材料から構成されており、図示しない吸引手段に接続されている。従って、図示しない吸引手段を作動すると、吸着チャック342の上面である保持面に負圧が作用し、吸着チャック342の上面に載置された被加工物を吸引保持する。また、チャックテーブル34は、円筒部材33内に配設されたパルスモータ(図示せず)によって適宜回動せしめられるようになっている。なお、円筒部材33の上端部には、チャックテーブル34を挿通する穴を有しチャックテーブル支持基台32を覆うカバー部材35が配設されている。
【0016】
図1に基づいて説明を続けると、図示の実施形態におけるチャックテーブル機構3は、チャックテーブル34を一対の案内レール31、31に沿って図1において矢印Xで示す切削送り方向(X軸方向)に移動させるための切削送り手段36を備えている。切削送り手段36は、一対の案内レール31、31の間に平行に配設された雄ネジロッド361と、雄ネジロッド361の一端部を回転可能に支持する軸受362と、雄ネジロッド361の他端に連結され該雄ネジロッド361を正転または逆転駆動するサーボモータ363とからなっている。このように構成された切削送り手段36は、雄ネジロッド361が上記チャックテーブル支持基台32に形成された雌ネジ322に螺合される。従って、切削送り手段36は、それぞれサーボモータ363を駆動して雄ネジロッド361を正転または逆転駆動することにより、上記チャックテーブル支持基台32に配設されたチャックテーブル34を一対の案内レール31、31に沿ってX軸方向に移動することができる。
【0017】
図示の実施形態における切削装置1は、上記一対の案内レール31、31を跨いでX軸方向と直交する矢印Yで示す割り出し送り方向(Y軸方向)に沿って配設された門型の支持フレーム4を備えている。この支持フレーム4は、一対の案内レール31、31に沿って移動可能に配設されたチャックテーブル34の移動を許容する開口40が設けられており、その前面4aには一対の案内レール41、41がY軸方向に沿って配設されている。このように構成された支持フレーム4の前面4aの上部に切削手段5が配設されている。切削手段5は、割り出し移動基台51と切り込み移動基台52およびスピンドルユニット6を具備している。割り出し移動基台51は、後面51bに上記支持フレーム4に設けられた一対の案内レール41、41と嵌合する被案内溝511、511が設けられており、この被案内溝511、511を一対の案内レール41、41に嵌合することにより一対の案内レール41、41に沿ってY軸方向に移動可能に構成される。なお、割り出し移動基台51の前面51aには、上記チャックテーブル34の保持面に対して垂直な矢印Zで示す切り込み送り方向(Z軸方向)に沿って一対の案内レール512、512が設けられている。このように構成された割り出し移動基台51は、割り出し送り手段53によって一対の案内レール41、41に沿ってY軸方向に移動せしめられる。割り出し送り手段53は、一対の案内レール41、41の間に平行に配設された雄ネジロッド531と、雄ネジロッド531の一端部を回転可能に支持する軸受532と、雄ネジロッド531の他端に連結され該雄ネジロッド531を正転または逆転駆動するパルスモータ533とからなっている。このように構成された割り出し送り手段53は、雄ネジロッド531が割り出し移動基台51の後面に突出して設けられた突出部に形成された雌ネジ(図示せず)に螺合される。従って、割り出し送り手段53は、パルスモータ533を駆動して雄ネジロッド531を正転または逆転駆動することにより、割り出し移動基台51上を一対の案内レール41、41に沿ってY軸方向に移動することができる。
【0018】
上記切り込み移動基台52は、後面52bに上記割り出し移動基台51の前面51aに設けられた一対の案内レール512、512と嵌合する被案内溝521、521が設けられており、この被案内溝521、521を一対の案内レール512、512に嵌合することにより一対の案内レール512、512に沿ってZ軸方向に移動可能に構成される。このように構成された切り込み移動基台52は、切り込み送り手段54によって一対の案内レール512、512に沿ってZ軸方向に移動せしめられる。切り込み送り手段54は、一対の案内レール512、512の間に平行に配設された雄ネジロッド541と、雄ネジロッド541の一端部を回転可能に支持する軸受(図示せず)と、雄ネジロッド541の他端に連結され該雄ネジロッド541を正転または逆転駆動するパルスモータ543とからなっている。このように構成された切り込み送り手段54は、雄ネジロッド541が切り込み移動基台52の後面に突出して設けられた突出部に形成された雌ネジ(図示せず)に螺合される。従って、切り込み送り手段54は、それぞれパルスモータ543を駆動して雄ネジロッド541を正転または逆転駆動することにより、切り込み移動基台52上を一対の案内レール512、512に沿ってZ軸方向に移動することができる。
【0019】
上記切り込み移動基台52の前面52a(YZ平面)には、スピンドルユニット6を支持するためのスピンドルユニット支持部材55が装着されている。このスピンドルユニット支持部材55はL字状に形成され、取り付け部551と、該取り付け部551の下端から直角に水平に延びる支持部552とからなっている。このように構成されたスピンドルユニット支持部材55は、取り付け部551が切り込み移動基台52の前面52a(YZ平面)に取り付けられる。取り付け部551は、Z軸方向に長い4個の長穴551aが設けられており、この4個の長穴551aをそれぞれ挿通して配設された締結ボルト553によって切り込み移動基台52の前面52aに取り付けられる。また、スピンドルユニット支持部材55を構成する支持部552にはX軸方向に長い4個の長穴552aが設けられており、この4個の長穴552aをそれぞれ挿通して配設された締結ボルト554によって支持部552の下面(XY平面)にスピンドルユニット6のユニットハウジング61を装着する。
【0020】
上述したようにスピンドルユニット支持部材55を構成する支持部552の下面(XY平面)に装着されたスピンドルユニット6について、図2および図3を参照して説明する。
図示の実施形態におけるスピンドルユニット6は、上記支持部552の下面(XY平面)に装着されるスピンドルハウジング61と、該スピンドルハウジング61に回転自在に支持された回転スピンドル62と、該回転スピンドル62の前端部に装着されるブレードマウント63と、該ブレードマウント63を回転スピンドル62の前端部に取り付ける締結ボルト64と、ブレードマウント63に装着される切削ブレード65と、該切削ブレード65をブレードマウント63との間に挟持固定する挟持ナット66とによって構成されている。なお、回転スピンドル62は、サーボモータ67(図1参照)によって回転駆動されるように構成されている。
【0021】
上記回転スピンドル62の前端面には雌ネジ穴421が形成されており、該雌ネジ穴421に締結ボルト64を螺合することにより、ブレードマウント63を回転スピンドル62の前端に固定するようになっている。ブレードマウント63は、円環状のフランジ部631と、該フランジ部631の中心部から側方に突出して形成され中心部に嵌合穴632aを備えた円柱状の装着部632とからなっている。このように形成されたブレードマウント63は、円柱状の装着部632の嵌合穴632aを回転スピンドル62の前端部に嵌合し、締結ボルト64を嵌合穴632aに挿通して回転スピンドル62に形成された雌ネジ穴421に螺合することにより回転スピンドル62の前端部に取り付けられる。なお、ブレードマウント63を構成する装着部632の前端部外周面には、雄ネジ632bが形成されている。
【0022】
上記切削ブレード65は、円環状の基台651と、該円環状の基台651の外周部側面に装着された円環状の切れ刃652とからなっている。円環状の基台651は、中心部に上記ブレードマウント63の装着部632に嵌合する嵌合穴651aが設けられており、外周側に切れ刃装着部651bが設けられている。この切れ刃装着部651bの側面に円環状の切れ刃652が切れ刃装着部651bの外周縁から突出して装着される。図示の実施形態においては円環状の基台651がアルミニウムによって形成されており、環状の切れ刃652は切れ刃装着部651bの側面に砥粒をニッケル等の金属メッキで結合した電鋳ブレードからなっている。
【0023】
上述したように構成された切削ブレード65は、円環状の基台651の嵌合穴651aを回転スピンドル62に取付けられたブレードマウント63の装着部632に嵌合し、装着部632に形成された雄ネジ632bに挟持ナット66を螺合することによって挟持され固定される。
【0024】
以上のように構成されたスピンドルユニット6は、切削ブレード65を装着する回転スピンドル62がX軸方向と直交するY軸方向に対して平行に配設されているとともに、回転スピンドル62がチャックテーブル34の上面である保持面に対して垂直なZ軸方向と直交して配設されていることが重要である。以下、切削ブレード65を装着する回転スピンドル62がY軸方向に対して平行であるか否か、また回転スピンドル62がZ軸方向と直交して配設されているか否かを容易に判定することができる回転スピンドルの取り付け状態確認治具について、図4を参照して説明する。
【0025】
図4に示す回転スピンドルの取り付け状態確認治具10は、上記回転スピンドル62に形成された雌ネジ穴421に装着される回動部材110と、該回動部材110に取り付けられたマイクロメーター120とからなっている。回動部材110は、図示の実施形態においては円柱状に形成され、その一端面に上記回転スピンドル62に形成された雌ネジ穴421に螺合する雄ネジ111が突出して設けられている。この回動部材110の外周には、径方向に突出するマイクロメーター取り付け部材130が設けられている。マイクロメーター120は、マイクロメーター取り付け部材130の先端に適宜の固定手段によって装着される。なお、マイクロメーター取り付け部材130の先端に装着されたマイクロメーター120は、検出端子121が回動部材110の雄ネジ111と反対側に向けて配設される。このようにして、マイクロメーター取り付け部材130に装着されたマイクロメーター120の検出端子121は、回動部材110の雄ネジ111の軸心から偏芯した位置に位置付けられる。
【0026】
次に、上述した回転スピンドルの取り付け状態確認治具10を用いて、上記スピンドルユニット6における切削ブレード65を装着する回転スピンドル62の取り付け状態を確認する方法について説明する。
先ず、回転スピンドル62がY軸方向に対して平行であるか否かを判定する方法について説明する。
回転スピンドル62がY軸方向に対して平行であるか否かを判定するには、先ず回転スピンドルの取り付け状態確認治具10を構成する回動部材110の雄ネジ111を回転スピンドル62に形成された雌ネジ穴421に螺合して、図5に示すように回転スピンドル62の先端に回転スピンドルの取り付け状態確認治具10を装着する(取り付け状態確認治具装着工程)。このようにして、回転スピンドル62の先端に装着された回転スピンドルの取り付け状態確認治具10は、マイクロメーター120の検出端子121が回転スピンドル62の軸心から偏芯した位置に位置付けられる。
【0027】
次に、図6に示すようにチャックテーブル34の上面である保持面に被測定治具15を載置する。この被測定治具15は、図示の実施形態においては四角柱体からなっており、その長さは上記マイクロメーター120の検出端子121が回転スピンドル62を中心として180度旋回する範囲より長く設定されている。このように構成された被測定治具15は、チャックテーブル34の上面である保持面に長手方向がX軸方向に沿って載置される。従って、チャックテーブル34の上面である保持面に載置された被測定治具15は、被検出平面である一つの面151が回転スピンドル62側に向けて位置付けられることになる(被測定治具載置工程)。
【0028】
上述した被測定治具載置工程を実施したならば、上記割り出し送り手段53を作動して切削手段5のスピンドルユニット6を前進させ、図7に示すように回転スピンドル62の先端に装着された回転スピンドルの取り付け状態確認治具10を構成するマイクロメーター120の検出端子121をチャックテーブル34の保持面に載置された被測定治具15の被検出平面151に接触させる。次に、上記切削送り手段36を作動してチャックテーブル34を図7においてX1で示す方向に移動しつつマイクロメーター120による計測値の変動を確認する。そして、マイクロメーター120による計測値が変動する場合には、マイクロメーターによる計測値が一定になるようにチャックテーブル34を回動して被測定治具15の被検出平面151がX軸方向と平行になるように調整する(被測定治具調整工程)。
【0029】
上述した被測定治具調整工程を実施したしたならば、図8において実線で示すように回転スピンドルの取り付け状態確認治具10を構成するマイクロメーター120の検出端子121を被測定治具15の被検出平面151の任意の第1の点に接触させるとともに、図8において2点鎖線で示すように回転スピンドルの取り付け状態確認治具10を回転スピンドル62を中心として180度回動してマイクロメーター120の検出端子121を被測定治具15の被検出平面151の第2の点に接触させる。なお、回転スピンドルの取り付け状態確認治具10の回動は、回転スピンドルの取り付け状態確認治具10をもって回転スピンドル62を回動することによって容易に実施することができる。そして、マイクロメーターによる計測値が第1の点(図8において実線で示す位置)における第1の値と第2の点(図8において2点鎖線で示す位置)における第2の値が同一であるか否かを確認し、第1の値と第2の値が同一である場合には回転スピンドル34はY軸方向に対して平行に配設されており、第1の値と第2の値が同一でない場合には回転スピンドル62はY軸方向に対して傾斜して配設されていると判定する(回転スピンドルの取り付け状態判定工程)。
【0030】
上述した回転スピンドルの取り付け状態判定工程を実施した結果、上記第1の値と第2の値が同一でなく回転スピンドル62がY軸方向に対して傾斜して配設されていると判定した場合には、上記スピンドルユニット支持部材55を構成する支持部552の下面(XY平面)にスピンドルユニット6のユニットハウジング61を装着している4個の締結ボルト554を弛め、スピンドルユニット6のユニットハウジング61を支持部552に形成された4個の長穴552aに沿ってXY平面で微回動し、回転スピンドル62がY軸方向に対して平行となるように調整する(XY平面取り付け状態調整工程)。なお、XY平面取り付け状態調整工程と上記回転スピンドルの取り付け状態判定工程は、交互に実施して回転スピンドル62をY軸方向に対して平行となるように位置付ける。
【0031】
次に、回転スピンドル62がチャックテーブル34の上面である保持面に対して垂直なZ軸方向と直交して配設されているか否かを判定する方法について説明する。
回転スピンドル62がZ軸方向と直交して配設されているか否かを判定する場合にも、先ず回転スピンドルの取り付け状態確認治具10を構成する回動部材110の雄ネジ111を回転スピンドル62に形成された雌ネジ穴421に螺合して、図5に示すように回転スピンドル62の先端に回転スピンドルの取り付け状態確認治具10を装着する(取り付け状態確認治具装着工程)。
【0032】
次に、図9に示すようにチャックテーブル34の上面である保持面に円柱治具16を載置する(円柱治具載置工程)。この円柱治具16は円形の底面161と該底面161から直角に立設する外周面162を有する円柱体からなっており、その長さは上記マイクロメーター120の検出端子121が回転スピンドル62を中心として180度旋回する範囲より長く設定されている。
【0033】
上述した円柱治具載置工程を実施したならば、上記割り出し送り手段53を作動して切削手段5のスピンドルユニット6を前進させ、図10に示すように回転スピンドル62の先端に装着された回転スピンドルの取り付け状態確認治具10を構成するマイクロメーター120の検出端子121をチャックテーブル34の保持面に載置された円柱治具16の外周面162に接触させる。次に、上記切削送り手段36を作動してチャックテーブル34を図10において紙面垂直な方向に移動し、マイクロメーター120の値の第1の最大値を確認する(第1の最大値確認工程)。
【0034】
上述した第1の最大値確認工程を実施したならば、図11に示すように取り付け状態確認治具15を回転スピンドル62を中心として180度回動する。そして、上記切削送り手段36を作動してチャックテーブル34を図11において紙面垂直な方向に移動し、マイクロメーター120の値の第2の最大値を確認する(第2の最大値確認工程)。
【0035】
上記第1の最大値確認工程および第2の最大値確認工程を実施することにより上記第1の最大値と第2の最大値を確認したならば、第1の最大値と第2の最大値に基づいて回転スピンドル62がZ軸方向と直交して配設されているか否かを判定する。即ち、上記第1の最大値と第2の最大値が同一である場合には回転スピンドル62はZ軸方向と直交して配設されており、第1の最大値と第2の最大値が同一でない場合には回転スピンドル62はZ軸方向と直交する方向に対して傾斜して配設されていると判定する(回転スピンドルの取り付け状態判定工程)。
【0036】
上述した回転スピンドルの取り付け状態判定工程を実施した結果、上記第1の最大値と第2の最大値が同一でなく回転スピンドル62がZ軸方向と直交する方向に対して傾斜して配設されていると判定した場合には、上記切り込み移動基台52の前面52a(YZ平面)に上記スピンドルユニット支持部材55を構成する取り付け部551を装着している4個の締結ボルト553を弛め、取り付け部551に形成された4個の長穴551aに沿ってYZ平面で微回動し、回転スピンドル62がZ軸方向と直交するように調整する(YZ平面取り付け状態調整工程)。なお、YZ平面取り付け状態調整工程と上記回転スピンドルの取り付け状態判定工程は、交互に実施して回転スピンドル62をZ軸方向と直交するように位置付ける。
【0037】
以上のように図示の実施形態における回転スピンドルの取り付け状態確認治具10は、上記回転スピンドル62に形成された雌ネジ穴421に螺合する雄ネジ111を備えた回動部材110と、該回動部材110に装着されたマイクロメーター120とからなり、該マイクロメーター120の検出端子121が雄ネジ111の軸心から偏芯した位置に位置付けられているので、雄ネジ111を回転スピンドル62に形成された雌ネジ穴421に螺合することにより、回転スピンドル62に容易に装着することができる。
そして、マイクロメーター120の検出端子121をチャックテーブル34の上面である保持面に載置された被測定治具15の被検出平面151の第1の点に接触させるとともに、取り付け状態確認治具15を回転スピンドル62を中心として180度回動してマイクロメーター120の検出端子121を被測定治具15の被検出平面151の第2の点に接触させ、第1の点の第1の値と第2の点の第2の値が同一であるか否かを確認することにより、回転スピンドル62がY軸方向に対して平行であるか否かを容易に判定することができる。
【0038】
また、回転スピンドル62に装着された回転スピンドルの取り付け状態確認治具10を構成するマイクロメーター120の検出端子121をチャックテーブル34の上面である保持面に載置された円柱治具16の外周面162に接触させてマイクロメーター120の値の第1の最大値を確認するとともに、取り付け状態確認治具15を回転スピンドル62を中心として180度回動して円柱治具16の外周面162に接触させマイクロメーター120の値の第2の最大値を確認することにより、第1の最大値と第2の最大値が同一であるか否かに基づいて回転スピンドル62がZ軸方向と直交して配設されているか否かを容易に判定することができる。
【符号の説明】
【0039】
1:切削装置
2:基台
3:チャックテーブル機構
32:チャックテーブル支持基台
34:チャックテーブル
36:切削送り手段
4:支持フレーム
5:切削手段
51:割り出し移動基台
52:切り込み移動基台
53:割り出し送り手段
54:切り込み送り手段
55:スピンドルユニット支持部材
6:スピンドルユニット
61:ユニットハウジング
62:回転スピンドル
63:ブレードマウント
64:締結ボルト
65:切削ブレード
66:挟持ナット
67:サーボモータ
10:回転スピンドルの取り付け状態確認治具
110:回動部材
120:マイクロメーター
15:被測定治具
16:円柱治具


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を保持する保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードを備えた切削手段と、該チャックテーブルを切削送り方向に切削送りする切削送り手段と、該切削手段を切削送り方向と直交する割り出し送り方向に割り出し送りする割り出し送り手段と、該切削手段を該チャックテーブルの保持面に対して垂直な切り込み送り方向に切り込み送りする切り込み送り手段とを具備し、
該切削手段は、スピンドルハウジングと、該スピンドルハウジングに回転自在に支持され先端部中心に雌ネジ穴を備えた回転スピンドルと、該回転スピンドルの先端部に装着され該切削ブレードを支持するブレードマウントとを備え、該ブレードマウントを該回転スピンドルに設けられた該雌ネジ穴に螺合する締結ボルトによって固定するように構成された切削装置における回転スピンドルの取り付け状態確認治具であって、
該回転スピンドルに設けられた該雌ネジ穴に螺合する雄ネジを備えた回動部材と、該回動部材に装着されたマイクロメーターとからなり、該マイクロメーターの検出端子が該雄ネジの軸心から偏芯した位置に位置付けられている、
ことを特徴とする切削ブレードを装着する回転スピンドルの取り付け状態確認治具。
【請求項2】
被加工物を保持する保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードを備えた切削手段と、該チャックテーブルを切削送り方向(X軸方向)に切削送りする切削送り手段と、該切削手段をX軸方向と直交する割り出し送り方向(Y軸方向)に割り出し送りする割り出し送り手段と、該切削手段を該チャックテーブルの保持面に対して垂直な切り込み送り方向(Z軸方向)に切り込み送りする切り込み送り手段とを具備し、
該切削手段は、スピンドルハウジングと、該スピンドルハウジングに回転自在に支持され先端部中心に雌ネジ穴を備えた回転スピンドルと、該回転スピンドルの先端部に装着され該切削ブレードを支持するブレードマウントとを備え、該ブレードマウントを該回転スピンドルに設けられた該雌ネジ穴に螺合する締結ボルトによって固定するように構成された切削装置における回転スピンドルの取り付け状態確認方法であって、
該回転スピンドルに設けられた該雌ネジ穴に螺合する雄ネジを備えた回動部材と、該回動部材に装着されたマイクロメーターとからなり、該マイクロメーターの検出端子が該雄ネジの軸心から偏芯した位置に位置付けられている回転スピンドルの取り付け状態確認治具を構成する該回動部材の雄ネジを該回転スピンドルに設けられた該雌ネジ穴に螺合して装着する取り付け状態確認治具装着工程と、
被検出平面を有する被測定治具を、該チャックテーブルの保持面に該被検出平面を該回転スピンドル側に向けて載置する被測定治具載置工程と、
該取り付け状態確認治具を構成する該マイクロメーターの検出端子を該チャックテーブルの保持面に載置された該被測定治具の該被検出平面に接触させた状態で該チャックテーブルをX軸方向に移動して該マイクロメーターによる計測値の変動を確認し、該マイクロメーターによる計測値が変動する場合には該マイクロメーターによる計測値が一定になるように該チャックテーブルを回動して該被測定治具の該被検出平面がX軸方向と平行になるように調整する被測定治具調整工程と、
該被測定治具調整工程を実施した後に、該取り付け状態確認治具を構成する該マイクロメーターの検出端子を該被測定治具の該被検出平面の第1の点に接触させるとともに、該取り付け状態確認治具が装着された該回転スピンドルを180度回動して該マイクロメーターの検出端子を該被測定治具の該被検出平面の第2の点に接触させ、該マイクロメーターの該第1の点における第1の値と該第2の点における第2の値が同一であるか否かを確認し、該第1の値と該第2の値が同一である場合には該回転スピンドルはY軸方向に対して平行に配設されており、該第1の値と該第2の値が同一でない場合には該回転スピンドルはY軸方向に対して傾斜して配設されていると判定する回転スピンドルの取り付け状態判定工程、とを含む、
ことを特徴とする回転スピンドルの取り付け状態確認方法。
【請求項3】
被加工物を保持する保持面を備えたチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削する切削ブレードを備えた切削手段と、該チャックテーブルを切削送り方向(X軸方向)に切削送りする切削送り手段と、該切削手段をX軸方向と直交する割り出し送り方向(Y軸方向)に割り出し送りする割り出し送り手段と、該切削手段を該チャックテーブルの保持面に対して垂直な切り込み送り方向(Z軸方向)に切り込み送りする切り込み送り手段とを具備し、
該切削手段は、スピンドルハウジングと、該スピンドルハウジングに回転自在に支持され先端部中心に雌ネジ穴を備えた回転スピンドルと、該回転スピンドルの先端部に装着され該切削ブレードを支持するブレードマウントとを備え、該ブレードマウントを該回転スピンドルに設けられた該雌ネジ穴に螺合する締結ボルトによって固定するように構成された切削装置における回転スピンドルの取り付け状態確認方法であって、
該回転スピンドルに設けられた該雌ネジ穴に螺合する雄ネジを備えた回動部材と、該回動部材に装着されたマイクロメーターとからなり、該マイクロメーターの検出端子が該雄ネジの軸心から偏芯した位置に位置付けられている回転スピンドルの取り付け状態確認治具を構成する該回動部材の雄ネジを該回転スピンドルに設けられた該雌ネジ穴に螺合して装着する取り付け状態確認治具装着工程と、
底面と該底面から直角に立設する外周面を有する円柱治具を、該チャックテーブルの保持面に該底面を載置する円柱治具載置工程と、
該取り付け状態確認治具を構成する該マイクロメーターの検出端子を該チャックテーブルの保持面に載置された該円柱治具の外周面に接触させた状態で該チャックテーブルをX軸方向に移動し、該マイクロメーターの値の第1の最大値を確認する第1の確認工程と、
該第1の確認工程を実施した後に該取り付け状態確認治具が装着された該回転スピンドルを180度回動し、該チャックテーブルをX軸方向に移動して該マイクロメーターの値の第2の最大値を確認する第2の確認工程と、
該第1の確認工程と該第2の確認工程によって確認された第1の最大値と第2の最大値が同一であるか否かを確認し、該第1の最大値と該第2の最大値が同一である場合には該回転スピンドルはZ軸方向と直交して配設されており、該第1の最大値と該第2の最大値が同一でない場合には該回転スピンドルはZ軸方向と直交する方向に対して傾斜して配設されていると判定する回転スピンドルの取り付け状態判定工程、とを含む、
ことを特徴とする回転スピンドルの取り付け状態確認方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−55998(P2012−55998A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200287(P2010−200287)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】