説明

切削装置

【課題】工場内に張りめぐらされている高圧エアシステムを利用して本装置を作動させる。
【解決手段】高圧エアにて駆動されるエアモータ55を主に形成される駆動装置5と、駆動装置5からの動力を最終的に工具9に伝達する役目を果たす連結装置3と、連結装置3を経由して上記駆動装置5からの動力を工具9に伝達するとともに工具9を適宜保持するクランプ装置1と、これらクランプ装置1、連結装置3、駆動装置5等を一体的に保持するフローティング装置2と、フローティング装置2をマシンのアーム7等に取付ける役目を果たす取付装置6と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円錐形の刃面を有するドリル工具を用いた切削装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の切削工具としては、例えば特開2004−50348号公報記載のもののようなエンドミル装置等が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−50348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のもの(先行技術に関するもの)は、エンドミル等の工具をX−Y方向に平面移動させることによって所定の平面が切削加工されるようになっているものである。すなわち、一つの平面を効率良く切削加工することを目的としているものである。これに対して、本願発明のものは、ワークの端部等に生ずるバリ等を効率良く取り除くことのできるようにした装置に関するものであり、特に複雑な形状を有するワーク端面に生ずるバリの除去作業を効率良く行なうことのできるようにした切削装置を提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明である第一の発明においては、切削装置に関して、高圧エアにて駆動されるエアモータまたは電気にて駆動される電動モータからなる駆動装置と、当該駆動装置と同一軸線上に設けられるものであって本駆動装置からの回転駆動力を工具に伝達する役目を果たす連結装置と、当該連結装置に連続して設けられるものであって上記工具の把持またはその開放を高圧エアにて行なわせるようにしたクランプ装置と、これらクランプ装置、連結装置、及び駆動装置を一体的に保持するものであって高圧エアにて作動するエアーシリンダを主に形成されるフローティング装置と、からなるようにした構成を採ることとした。
【0006】
次に、請求項2記載の発明である第二の発明について説明する。このものも、その基本的な点は上記第一の発明のものと同じである。すなわち、本発明においては、請求項1記載の切削装置に関して、フローティング装置を、平板状の形態からなるものであって、その中心部には上記駆動装置を有するように形成されたフローティングプレートと、当該フローティングプレートを支持するものであって上記駆動装置を中心とした円周上に等間隔状に配置される複数個のエアシリンダと、からなるようにした構成を採ることとした。
【0007】
次に、請求項3記載の発明である第三の発明について説明する。このものも、その基本的な点は上記第一の発明または第二の発明のものと同じである。すなわち、本発明においては、請求項1または請求項2記載の切削装置に関して、クランプ装置を、エアの供給される供給ポートと、当該供給ポートからのエアにて作動するピストンと、当該ピストンの作動面側にウエブワッシャを介して設けられるものであってリング状の形態からなるとともに内径側がテーパ面からなる内径テーパリングと、当該内径テーパリングの内径側に設けられる複数個の鋼球と、当該鋼球を間に挟んで、上記内径テーパリングの内径側の面と対向するように形成された円錐形状のテーパ面を有するとともに、当該テーパ面に対して略直角に設けられるものであって中空状の形態からなり、内部に工具の軸部を収容するように形成された筒状部を有するコレットホルダと、当該コレットホルダを形成する上記筒状部の外側に設けられ、上記コレットホルダをその軸方向にて支持するベアリングと、当該ベアリングの外輪側に設けられるももであって本ベアリングのスラスト力を支持するウエブワッシャと、上記コレットホルダの筒状部の内径部内に収容されて工具の軸部を保持するテーパコレットと、からなるようにした構成を採ることとした。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明である第一の発明について説明する。本発明によれば、上記構成を採ることにより、ワークの端面の加工、特にバリ取り作業等を効率良く行なうことができるようになる。また、駆動装置の駆動を高圧エアにて行なわせるようにしたものについては、すでに工場内等に張りめぐらされている高圧エアシステムを利用することによって作動させることができるようになる。その結果、本装置の作動を効率良く行なわせることができるようになる。そして、このように、各部の作動を高圧エアにて行なわせるようにしたものにおいては、本装置の作動に基づく発熱量を極力小さな値に抑えることができるようになる。その結果、工場内における温度管理を容易にし、延いては工場内における安全性の向上を図ることができるようになる。
【0009】
次に、請求項2記載の発明である第二の発明について説明する。このものも、基本的には上記第一の発明のものと同じである。これらに加えて、本発明のものにおいては、工具を保持する役目を果たすフローティング装置を、円盤状のフローティングプレートと、このフローティングプレートを支持する複数個のエアシリンダと、からなるようにしたので、作動時において工具に過負荷が入力された場合に、この過負荷等を上記フローティング装置のところで逃がしてやることができるようになる。その結果、工具(刃物)の破損防止等を図ることができるようになる。
【0010】
次に、請求項3記載の発明である第三の発明について説明する。このものも、基本的には上記請求項1または請求項2記載のものと同じである。これらに加えて、本発明のものにおいては、工具を保持するクランプ装置を、エアシリンダを主に形成される作動機構にて制御されるものであって2つのテーパ面及びこの間に設けられた鋼球からなるようにしたので、工具の保持力(把持力)を強力に発揮させることができるようになるとともに、工具の取外し作業等は上記エアシリンダの作動により容易に行なうことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】本発明にかかるフローティング装置周りの全体構成を示す縦断面図である。
【図3】本発明にかかるフローティング装置、特にフローティングプレート周りの構成を示す平面図である。
【図4】本発明にかかるクランプ装置周りの構成及びそのクランプ状態を示す縦断面図である。
【図5】本発明にかかるクランプ装置周りの構成及びそのクランプ解除時の状態を示す縦断面図である。
【図6】本発明の作動状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態について、図1ないし図6を基に説明する。本実施の形態にかかるものは、図1に示す如く、ワーク端面のバリ取り加工等を主に形成される切削装置に関するものである。その具体的構成は、高圧エアにて駆動されるエアモータ55を主に形成される駆動装置5と、当該駆動装置5からの動力を最終的に工具9に伝達する役目を果たす連結装置3と、当該連結装置3を経由して上記駆動装置5からの動力を工具9に伝達するとともに工具9を適宜保持するクランプ装置1と、これらクランプ装置1、連結装置3、駆動装置5等を一体的に保持するフローティング装置2と、当該フローティング装置2をマシンのアーム7等に取付ける役目を果たす取付装置6と、からなることを基本とするものである。なお、このような構成からなるものにおいて、上記エアモータ55に関しては、これに代わって電動モータを採用することも考えられる。
【0013】
このような基本構成からなるものにおいて、上記駆動装置5を形成するエアモータ55は、図1、図2に示す如く、筒型の形態からなるものであり、その中心線の下方端部のところには回転軸555が下方へ突出するように設けられるようになっている。なお、このような駆動装置5を形成する筒状のエアモータ55は、図1または図6に示す如く、ボルト・ナット等からなる支持装置51を介して、後に述べるフローティングプレート21のところに取付けられるようになっている。そして、上記回転軸555のところには、スプライン結合手段等を有するカップリング手段31が設けられ、このカップリング手段31を主とした連結装置3によって、上記駆動装置5からの回転駆動力が工具9に伝達されるようになっているものである。なお、このようなカップリング手段31の上端部側にはボールベアリング32が2段に設けられるようになっており(図1参照)、これによって連結装置3の主要部をなすカップリング手段31が保持されるようになっている。そして、この連結装置3は、その全体が、本連結装置3を形成する筒状のケース33を介してフローティング装置2のフローティングプレート21のところに複数本の連結ボルト35等にて取付けられるようになっている(図2,図3参照)。なお、この連結ボルト35は、例えば図3に示す如く、円周上に等間隔状に複数本設けられるようになっているものである。
【0014】
次に、上記フローティング装置2の構成等について説明する。このものは、例えば図1または図2に示す如く、連結装置3及びクランプ装置1を一体化した状態で、これらを上記連結ボルト35を介してフローティングプレート21のところに取付けるようにした構成からなるものである。そして、このようなフローティングプレート21を複数のフローティングアブソーバ25にて支持するようにしているものである。なお、このフローティングアブソーバ25は、高圧エアの導入によって作動するフローティングピストン251を基礎に形成されるようになっている(図2参照)。そして、このようなフローティングアブソーバ25は、例えば図3に示す如く、円盤状の形態からなるベース29のところに、等間隔状に複数個設けられるようになっているものである。そして更に、このような円盤状のベース29は、例えば図1ないし図3に示す如く、取付装置6を介して、最終的にはマシンのアーム7等に取り付けられるようになっているものである。
【0015】
次に、上記カップリング手段31の下方部のところに設けられるものであって、テーパコレット11を主に形成されるクランプ装置1について説明する。このものは、例えば図4に示す如く、テーパコレット11を基礎に形成されるようになっているものである。そして、このテーパコレット11の外側には全体が傘状の形態からなるコレットホルダ15が設けられるようになっている。そして更に、このようなコレットホルダ15の傘状の形態からなる上方テーパ面152の下側のところ及び筒状部155のところにはベアリング12が設けられ、本コレットホルダ15全体を保持(支持)するようになっているものである。そして、このようなコレットホルダ15の上下方向作動により、当該コレットホルダ15の内径テーパ面151と面接触する上記テーパコレット11の下端部に形成されたテーパ部115のところが収縮または解放され、当該テーパコレット11の内径部側に保持される工具9の保持あるいは開放等がなされるようになっている。そして、上記工具9を保持した状態においては工具9に回転駆動力が伝達されることとなる。
【0016】
このようなテーパコレット11の外側に設けられるコレットホルダ15は、全体が傘状の形態からなるものである。すなわち、本コレットホルダ15は、上記テーパコレット11の外側に設けられる中空状の筒状部155と、当該筒状部155の上端部側に設けられ、傘状の形態からなる上方テーパ面152と、上記筒状部155の下端部であって中空部の内面側に設けられる内径テーパ面151と、からなるものである。そして、このような構成からなる本コレットホルダ15の上方テーパ面152のところには複数の鋼球16が設けられるとともに、この鋼球16を間に挟んだ状態で内径テーパリング18が設けられるようになっている。そして、このような内径テーパリング18の上端面のところにはウエブワッシャ13が設けられ、このウエブワッシャ13を介して上記内径テーパリング18はシリンダ17内に収容されるようになっている(図4参照)。
【0017】
このようなシリンダ17の外側には、例えば図4に示す如く、上下にそれぞれエアチャンバ17A、17Bが設けられるようになっており、各チャンバ17A、17Bへの高圧エアの導入によって上記シリンダ17が上下方向に移動をすることができるようになっている。このシリンダ17の上下動によって、上記コレットホルダ15は内径テーパリング18、鋼球16を介して下方へと押付けられたり、あるいはその押付力が除去されたりするようになっている。例えば、上記下方への押付力が生じたときには、上記コレットホルダ15は下方へと押下げられる。これによって、コレットホルダ15の内径テーパ面151と係合するテーパコレット11のテーパ部115のところには下向きの力が伝達され、テーパ部115はすぼめられるようになる。その結果、工具9の軸部91がテーパコレット11のところに保持(把持)されるようになる。
【0018】
一方、これとは逆に、例えば図5に示す如く、下側のエアチャンバ17Bに高圧エアが導入されると、シリンダ17は上方へと移動することとなる。その結果、コレットホルダ15には下向きの荷重が入力されないようになる。従って、テーパコレット11のテーパ部115のところには力が伝達されないようになり、工具9の把持力(保持力)は生じないようになる。このような構成からなるシリンダ17の外側には、図4または図5に示す如く、ハウジング19が設けられ、全体が収容されるとともに、上記連結装置3と一体化されて上記フローティング装置2のところに取付けられるようになっている(図1参照)。
【0019】
次に、このような構成からなる本実施の形態のものについての、その作動態様について、図6を基に説明する。すなわち、本実施の形態のものにおいては、エアモータ55が作動することによって、その回転力が工具9に伝達される。このような状態において、上記工具9の刃面をワークに接触させることによって、ワークは適宜切削加工されることとなる。本実施の形態のものにおいては、上記工具9の刃面にてワーク端面のバリ取り加工等が行われるようになっている。このような加工作業中において、本切削装置は、その全体が、例えば図6の二点鎖線図示の如く、エアモータ55の回転軸555の下端部付近を支点にして首振り運動をすることができるようになっていることより、このような首振り運動にてワーク加工面の凹凸に適宜対応することができるようになっている。このような本切削装置全体の首振り運動によって、ワーク加工面の変化に適宜対応したワーク加工端面のバリ取り作業等が効率良く進められることとなる。
【0020】
このように、本実施の形態のものにおいては、工具の回転駆動、すなわち工具を駆動するモータの回転運動等を初めとした各種作動を、すべて工場内に既に張りめぐらされている高圧エアにて行なわせるようにしたので、電気動力装置を採用する必要がなくなり、これら電気動力装置の作動によって生ずる発熱量を極力少なくすることができるようになる。その結果、工場内における温度管理を容易にし、延いては工場内における安全性の向上等を図ることができるようになる。
【符号の説明】
【0021】
1 クランプ装置
11 テーパコレット
115 テーパ部
12 ベアリング
13 ウエブワッシャ
15 コレットホルダ
151 内径テーパ面
152 上方テーパ面
155 筒状部
16 鋼球
17 シリンダ
17A エアチャンバ
17B エアチャンバ
18 内径テーパリング
181 内径テーパ面
19 ハウジング
2 フローティング装置
21 フローティングプレート
25 フローティングアブソーバ
251 フローティングピストン
29 ベース
3 連結装置
31 カップリング手段
32 ボールベアリング
35 連結ボルト
5 駆動装置
51 支持装置
55 エアモータ
555 回転軸
6 取付装置
7 アーム
9 工具
91 軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧エアにて駆動されるエアモータまたは電気にて駆動される電動モータからなる駆動装置と、当該駆動装置と同一軸線上に設けられるものであって本駆動装置からの回転駆動力を工具に伝達する役目を果たす連結装置と、当該連結装置に連続して設けられるものであって上記工具の把持またはその開放を高圧エアにて行なわせるようにしたクランプ装置と、これらクランプ装置、連結装置、及び駆動装置を一体的に保持するものであって高圧エアにて作動するエアーシリンダを主に形成されるフローティング装置と、からなるようにしたことを特徴とする切削装置。
【請求項2】
請求項1記載の切削装置において、フローティング装置を、平板状の形態からなるものであって、その中心部には上記駆動装置を有するように形成されたフローティングプレートと、当該フローティングプレートを支持するものであって上記駆動装置を中心とした円周上に等間隔状に配置される複数個のエアシリンダと、からなるようにしたことを特徴とする切削装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の切削装置において、クランプ装置を、エアの供給される供給ポートと、当該供給ポートからのエアにて作動するピストンと、当該ピストンの作動面側にウエブワッシャを介して設けられるものであってリング状の形態からなるとともに内径側がテーパ面からなる内径テーパリングと、当該内径テーパリングの内径側に設けられる複数個の鋼球と、当該鋼球を間に挟んで、上記内径テーパリングの内径側の面と対向するように形成された円錐形状のテーパ面を有するとともに、当該テーパ面に対して直角に設けられるものであって中空状の形態からなり、内部に工具の軸部を収容するように形成された筒状部を有するコレットホルダと、当該コレットホルダを形成する上記筒状部の外側に設けられ、上記コレットホルダをその軸方向にて支持するベアリングと、当該ベアリングの外輪側に設けられるももであって本ベアリングのスラスト力を支持するウエブワッシャと、上記コレットホルダの筒状部の内径部内に収容されて工具の軸部を保持するテーパコレットと、からなるようにしたことを特徴とする切削装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−253586(P2010−253586A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103934(P2009−103934)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(507298175)豊岡エンジニアリング株式会社 (3)
【Fターム(参考)】