説明

切断装置

【課題】切断装置全体をより一層小型にすることが可能な切断装置を提供する。
【解決手段】切断装置10は、板材12を切断する第1切断刃48、82と、第1切断刃48、82と交差するように設けられ、且つ板材12を切断する第2切断刃50、84とを備え、板材12が切断可能な切断位置に第1切断刃48、82を配置すると共に、板材12が切断不能な非切断位置に第2切断刃50、84を配置する第1モードと、前記切断位置に第2切断刃50、84を配置すると共に、前記非切断位置に第1切断刃48、82を配置する第2モードとを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを切断する複数の切断刃を備える切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定の切断刃を金型に設け、該金型にて板材をプレス加工することにより、該板材を所定形状に切断するブランキング加工装置が広汎に知られている。
【0003】
このようなブランキング加工装置においては、例えば、前記板材が複数の切断形状(切断線)を有する場合、前記複数の切断線と同一形状の切断刃を前記金型に設けることにより、一度のプレス加工で前記複数の切断線が切断される。
【0004】
しかしながら、前記複数の切断線が前記板材の広範囲に亘って存在する場合、言い換えれば、例えば、各切断線の間隔が広い場合、前記金型の大きさも大きくなるため、ブランキング加工装置全体が大型化することがある。
【0005】
ブランキング加工装置全体の大型化への対策として、板材を複数のブランク形状に切断するブランキング加工装置において、各ブランク形状に対応する刃のそれぞれを離間した状態でプレス機に設け、前記板材を切断する切断位置と前記板材を切断しない非切断位置とに前記プレス機に設けられた複数の刃を変位可能にすることにより、各刃の間隔を各ブランク形状の間隔よりも狭くし、その結果、ブランキング加工装置全体を小型化するものが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−248722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1の装置では、各ブランク形状に対応する刃のそれぞれを離間した状態でプレス機に設けているので、言い換えれば、プレス機に設けられる各刃は交わることがないので、各刃の間には幾らかの隙間が形成されることとなる。そのため、ブランキング加工装置全体の小型化が十分になされないおそれがある。
【0008】
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、切断装置全体をより一層小型にすることが可能な切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る切断装置は、ワークを切断する第1切断刃と、前記第1切断刃と交差するように設けられ、且つ前記ワークを切断する第2切断刃と、前記ワークが切断可能な切断位置に前記第1切断刃を配置すると共に、前記ワークが切断不能な非切断位置に前記第2切断刃を配置する第1モードと、前記切断位置に前記第2切断刃を配置すると共に、前記非切断位置に前記第1切断刃を配置する第2モードと、を切り替える切替手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、第1切断刃と第2切断刃とが交差しているので、前記第1切断刃と前記第2切断刃とを離間した状態で配置する場合と比較して、切断装置全体をより一層小型にすることができる。また、切替手段にて第1モードと第2モードとを切り替えることにより、前記第1切断刃と前記第2切断刃とを使い分けることができる。よって、前記第1切断刃で切断する第1切断線と前記第2切断刃で切断する第2切断線との間隔が広い場合であっても、切断装置全体の小型化を効率的に行うことができる。
【0011】
また、前記第1切断刃及び前記第2切断刃の交点には、該第1切断刃及び該第2切断刃の両方に属する共通刃が設けられ、前記第1切断刃及び前記第2切断刃は、前記共通刃において分割されていてもよい。
【0012】
そうすると、第1切断刃及び第2切断刃の交点に共通刃を設けているので、第1切断刃のうち分割されている刃(第1分割刃)と前記共通刃を切断位置に配置すると共に、第2切断刃のうち分割されている刃(第2分割刃)を非切断位置に配置することにより第1モードを実現することができる。また、同様に、前記第1分割刃を非切断位置に配置すると共に、前記第2分割刃及び前記共通刃を切断位置に配置することにより第2モードを実現することができる。
【0013】
さらに、前記共通刃は、前記第1切断刃又は前記第2切断刃の分割された分割刃が前記ワークを切断する前に、該ワークを打ち抜いてもよい。
【0014】
そうすると、前記第1分割刃又は前記第2分割刃がワークを切断する前に、共通刃が前記ワークを打ち抜くので、前記ワークを切断する際に、共通刃と分割刃の境界部で板材が引っ掛かることを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1切断刃と第2切断刃とが交差しているので、前記第1切断刃と前記第2切断刃とを離間した状態で配置する場合と比較して、切断装置全体をより一層小型にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る切断装置のX方向に沿った概略断面図である。
【図2】本発明に係る切断装置のY方向に沿った概略断面図である。
【図3】図1及び図2のIII−III線に沿った概略断面図である。
【図4】図4Aは、打抜部及び移動部を上方から見たときの概念図であり、図4Bは、固定部及び可動部を上方から見たときの概念図である。
【図5】本発明に係る切断装置を用いた板材の切断手順を示したフローチャートである。
【図6】第1上刃と第1下刃の位置関係を示す説明図において、図6Aは、板材を切断する前の状態を示す説明図であり、図6Bは、板材を切断した状態を示す説明図である。
【図7】第2上刃と第2下刃の位置関係を示す説明図において、図7Aは、板材を切断する前の状態を示す説明図であり、図7Bは、板材を切断した状態を示す説明図である。
【図8】本発明に係る切断装置にて切断される板材の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る切断装置について好適な実施形態を例示し、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
本実施形態に係る切断装置は、いわゆるブランキング加工装置として構成されており、ワークを所定形状に切断するための装置である。
【0019】
図1及び図2に示すように、切断装置10は、不図示のローラにて搬送されるワークとしての板材12が配置される下型14と、下型14に対して近接離間する上型16と、制御部18とを備えている。
【0020】
下型14は、載置面20上に固定された固定部22と、上型16の移動方向(Z方向)に移動可能な可動部24と、可動部24を変位自在に支持する可動支持部26とを有している。
【0021】
図1、図2及び図4Bに示すように、固定部22は、Z方向と直交する方向(X方向)に延びた第1固定部28と、X方向及びZ方向と直行する方向(Y方向)に延び、且つ第1固定部28と一体に形成された第2固定部30とを含んでいる。第1及び第2固定部28、30の境界には、固定部側切欠部32が形成されている(図4B参照)。
【0022】
可動部24は、第2固定部30に接触してX方向に延びた第1可動部34と、第1固定部28に接触してY方向に延びた第2可動部36と、第1及び第2可動部34、36に接触する第3可動部38とを含む。
【0023】
図4Bに示すように、第1可動部34のうち第2可動部36と対向する部位にはL字状の第1切欠部40が、第2可動部36のうち第1可動部34と対向する部位には第2切欠部42が、第3可動部38のうち固定部22と対向する部位には第3切欠部44がそれぞれ形成されている。これにより、固定部側切欠部32及び第1〜第3切欠部40、42、44が組み合わされてZ方向の平面視で四角形状の貫通孔46が形成されることとなる(図1及び図2も参照)。
【0024】
また、固定部22及び可動部24の上型16側(Z1側)の端部には、第1下刃48と、第1下刃48に交差する第2下刃50とが設けられている。
【0025】
具体的には、第1下刃48は、X方向に延びた一対の第1分割下刃52a、52bと、第1分割下刃52a、52b同士を結ぶ共通下刃54とを含む。第1分割下刃52aは、第1可動部34の第3可動部38側(Y1側)の角部に位置しており、第1分割下刃52bは、第1固定部28の第2可動部36側の角部に位置している。また、共通下刃54は、固定部側切欠部32及び第1〜第3切欠部40、42、44の上側端部に位置している。
【0026】
第2下刃50は、Y方向に延びた一対の第2分割下刃56a、56bと、共通下刃54とを含む。つまり、共通下刃54は、第1下刃48と第2下刃50の両方に属しており、第1下刃48と第2下刃50の交点に位置する。第2分割下刃56aは、第2可動部36の第3可動部38側(X2側)の角部に位置しており、第2分割下刃56bは、第2固定部30の第1可動部34側の角部に位置している。
【0027】
図1、図2及び図4Bに示すように、可動支持部26は、第1可動部34に設けられた第1エアシリンダ58と、第2可動部36に設けられた第2エアシリンダ60と、第3可動部38に設けられた第3エアシリンダ62とを含む。
【0028】
図1〜図3に示すように、上型16は、不図示のプレス機構にてZ方向に移動する上型本体66と、上型本体66の略中央部に設けられた打抜部68と、打抜部68に接触した状態でZ方向に移動可能な移動部70と、移動部70をZ方向に移動させる切替手段としての移動機構72とを有している。
【0029】
図1〜図4Aに示すように、打抜部68は、断面四角形状でZ方向に延びており、下型14の貫通孔46に挿入可能に形成されている。
【0030】
移動部70は、X方向に延びた断面略四角形状の第1移動部74及び第2移動部76と、Y方向に延びた断面略四角形状の第3移動部78及び第4移動部80とを含む。また、第1移動部74及び第2移動部76は、打抜部68を挟んでX方向に並列しており、第3移動部78及び第4移動部80は、打抜部68を挟んでY方向に並列している。つまり、第1〜第4移動部74、76、78、80は、Z方向に関して互いに重ならないように配置されている。
【0031】
図4Aに示すように、移動部70の下型14側(Z2側)の端部には、第1上刃82と、第1上刃82に交差する第2上刃84とが設けられている。
【0032】
具体的には、第1上刃82は、X方向に延びた一対の第1分割上刃86a、86bと、第1分割上刃86a、86b同士を結ぶ共通上刃88とを含む。第1分割上刃86aは、第1移動部74の第3移動部78側(Y2側)の角部に位置しており、第1分割上刃86bは、第2移動部76の第3移動部78側の角部に位置している。また、共通上刃88は、打抜部68の下側端面の縁部に位置している。
【0033】
第2上刃84は、Y方向に延びた一対の第2分割上刃90a、90bと、第2分割上刃90a、90b同士を結ぶ共通上刃88とを含む。つまり、共通上刃88は、第1上刃82と第2上刃84の両方に属しており、第1上刃82と第2上刃84の交点に位置する。第2分割上刃90aは、第4移動部80の第2移動部76側(X1側)の角部に位置しており、第2分割上刃90bは、第3移動部78の第2移動部76側の角部に位置している。
【0034】
上述した説明、図4A及び図4Bから諒解されるように、第1下刃48が第1上刃82に、第2下刃50が第2上刃84に対応している。よって、第1下刃48と第1上刃82とを合わせて第1切断刃48、82と称すると共に、第2下刃50と第2上刃84とを合わせて第2切断刃50、84と称することがある。
【0035】
これと同様に、共通下刃54が共通上刃88に、第1分割下刃52a、52bが第1分割上刃86a、86bに、第2分割下刃56a、56bが第2分割上刃90a、90bに対応するので、共通下刃54及び共通上刃88を合わせて共通刃54、88と、第1分割下刃52a、52b及び第1分割上刃86a、86bを合わせて第1分割刃52、56と、第2分割下刃56a、56b及び第2分割上刃90a、90bを合わせて第2分割刃56、90とそれぞれ称することがある。
【0036】
図1〜図3に示すように、移動機構72は、移動部70の一部を上方から覆うように設けられたスライド板92と、スライド板92をX方向に移動させる一対の第1駆動シリンダ94と、スライド板92をY方向に移動させる一対の第2駆動シリンダ96と、移動部70をZ方向に案内すると共にスライド板92側に付勢するガイド部98(図1及び図2参照)と、移動部70のスライド板92側への変位を制限する変位規制部材100とを有している。
【0037】
スライド板92は、平面視で略十字状に形成されており、その中央部には、四角形状の開口部101が形成されている。開口部101には、打抜部68が挿通している。開口部101の大きさは、打抜部68とスライド板92との間隔がスライド板92のスライド幅(移動幅)よりも大きくなるように設定されている。なお、開口部101の形状は、四角形状に限定する必要はなく適宜に変更が可能である。
【0038】
図1及び図3に示すように、一対の第1駆動シリンダ94は、X方向に対向するように上型本体66に配置されている。これにより、例えば、一方の第1駆動シリンダ94のストロークを伸長すると共に、他方の第1駆動シリンダ94のストロークを短縮することで、スライド板92をX方向にスライドさせることができる。
【0039】
図2及び図3に示すように、一対の第2駆動シリンダ96は、Y方向に対向するように上型本体66に配置されている。これにより、例えば、一方の第2駆動シリンダ96のストロークを伸長すると共に、他方の第2駆動シリンダ96のストロークを短縮することで、スライド板92をY方向にスライドさせることができる。
【0040】
図1及び図2に示すように、ガイド部98は、上型本体66に固定されており、例えば、スプリング(ばね)等を利用して移動部をスライド板92側に付勢する。
【0041】
図1〜図3に示すように、変位規制部材100は、第1移動部74に設けられた第1変位規制部100aと、第2移動部76に設けられた第2変位規制部100bと、第3移動部78に設けられた第3変位規制部100cと、第4移動部80に設けられた第4変位規制部100dとを含む。
【0042】
第1〜第4変位規制部100a〜100dのそれぞれには、移動部70の上面に固定された第1係合部材102と、第1係合部材102に対向するようにスライド板92の下面に固定された第2係合部材104とが設けられている。なお、第2係合部材104の幅は、第1係合部材102の幅よりも大きく設定されている(図3参照)。
【0043】
図1及び図2に示すように、第1係合部材102には、移動部70の上面に対向する第1平坦面102aと、第1平坦面102aに対して移動部70の延在方向に傾斜する第1傾斜面102bが形成されている。つまり、第1及び第2変位規制部100a、100bにおいて、第1傾斜面102bはX方向に傾斜しており(図1参照)、第3及び第4変位規制部100c、100dにおいて、第1傾斜面102bはY方向に傾斜している(図2参照)。
【0044】
第2係合部材104には、移動部70の上面に対向すると共に第1平坦面102aに接触可能な第2平坦面104aと、第2平坦面104aに対して第1傾斜面102bの傾斜方向と同一の方向に傾斜する第2傾斜面104bが形成されている。なお、第1傾斜面102b及び第2傾斜面104bの傾斜角度は、略同一に設定されている。
【0045】
制御部18には、第1駆動シリンダ制御部108、及び第2駆動シリンダ制御部110が設けられている。
【0046】
第1駆動シリンダ制御部108は、第1駆動シリンダ94を駆動して、スライド板92をX方向に移動する。
【0047】
第2駆動シリンダ制御部110は、第2駆動シリンダ96を駆動して、スライド板92をY方向に移動する。
【0048】
次に、本実施形態に係る切断装置を用いた板材12の切断手順について図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0049】
先ず、制御部18は上型16を初期状態にセットする(ステップS1)。初期状態では、上型16は下型14の上方に待機しており、第1及び第2変位規制部100a、100bにおいて、第1平坦面102aと第2平坦面104aとが接触すると共に、第3及び第4変位規制部100c、100dにおいて、第1傾斜面102bと第2傾斜面104bとが接触している(図1及び図2参照)。
【0050】
つまり、図1、図2及び図6Aに示すように、第1及び第2移動部74、76が第3及び第4移動部78、80よりも下方(Z2方向)に位置している。言い換えると、第1上刃82が第2上刃84よりもZ2側に位置している。なお、図6Aは、第3及び第4移動部78、80の図示を省略している。この状態において、第1上刃82の位置を切断位置と称し、第2上刃84の位置を非切断位置と称する。また、この状態を第1モードと呼び、第1上刃82を非切断位置に配置すると共に第2上刃84を切断位置に配置した状態(第1モードと逆の状態)を第2モードと呼ぶことがある。
【0051】
なお、上型16は、第1モードにおいて、打抜部68の先端(共通上刃88)が第1上刃82よりもZ2側に位置するように設定されている。つまり、第1モードにおいて、打抜部68は、第1及び第2移動部74、76より所定量だけZ2方向に突出している。打抜部68の突出量dは、板材12の厚みよりも大きく設定されている(図1参照)。これは、第2モードにおいても同様である。
【0052】
続いて、板材12を下型14の固定部22及び可動部24の上面に配置されるように搬送する(ステップS2)。ここで、図3からも諒解されるように、板材の搬送方向(図中矢印A)は、X1方向及びY1方向に対して45度傾斜している。
【0053】
その後、制御部18はプレス機構を駆動して上型16を下降する(ステップS3)。これにより、板材12の第1切断線C1が切断される(図8参照)。ここで、板材12の第1切断線C1の切断について具体的に説明する。
【0054】
先ず、上型16を下降すると、固定部22及び可動部24の上面に配置されている板材12の上面に打抜部68の共通上刃88が接触する。そして、さらに上型16を下降すると、板材12には、共通上刃88の押圧力と共通下刃54の反力が作用するため、剪断力が生じる。
【0055】
その結果、板材12は四角形状に打ち抜かれるに至る。また、板材12が四角形状に打ち抜かれた後、打抜部68が貫通孔46に挿入されると共に、第1分割上刃86a、86bが板材12の上面に接触する。このとき、第1移動部74が第3可動部38の上方に、第2移動部76が第2可動部36の上方に位置している。
【0056】
その後、さらに上型16を下降すると、板材12には、第1分割上刃86a、86bの押圧力と第1分割下刃52a、52bの反力が作用するため、剪断力が生じる。その結果、図6Bに示すように、板材12がX方向に切断されるに至る。なお、図6Bは、板材12の図示を省略しており、第1切断線C1を切断した時の移動部70と可動部24の位置関係を示している。
【0057】
ステップS3では、第1分割刃52、56が板材12を切断する前に、共通刃54、88が板材12を打ち抜いているので、共通刃54、88と第1分割刃52、56の境界部で板材12が引っ掛かることを防止することができる。
【0058】
次に、制御部18はプレス機構を駆動して上型16を上昇し(ステップS4)、板材12を搬送方向に所定量だけ搬送する(ステップS5)。
【0059】
また、制御部18は、第1モードから第2モードに切り替える(ステップS6)。具体的には、第1駆動シリンダ制御部108が、第1駆動シリンダ94を駆動して、スライド板92をX1方向に移動し、第2駆動シリンダ制御部110が、第2駆動シリンダ96を駆動して、スライド板92をY2方向に移動する。
【0060】
スライド板92をX1方向に移動すると、第1及び第2変位規制部100a、100bにおいて、第1平坦面102aと第2平坦面104aの接触状態が解除され(非接触状態となり)、ガイド部98のZ1方向への付勢力によって、第1傾斜面102bと第2傾斜面104bとが接触すると共に、第1及び第2移動部74、76がZ1方向に移動する。
【0061】
また、スライド板92をY2方向に移動すると、第3及び第4変位規制部100c、100dにおいて、第1傾斜面102bと第2傾斜面104bとが接触した状態で第1係合部材102がZ2方向に押し下がる。このとき、第1係合部材102への押下力は、ガイド部98の付勢力よりも大きい。これにより、図7Aに示すように、第3及び第4移動部78、80が第1及び第2移動部74、76よりも下型側に位置される。つまり、第1モードが第2モードに切り替わる。なお、図7Aは、第1及び第2移動部74、76の図示を省略している。
【0062】
なお、第2係合部材104の幅を第1係合部材102の幅よりも広く設定しているので、例えば、第1駆動シリンダ94を駆動している際に、第3及び第4変位規制部100c、100dにおいて、第1傾斜面102bと第2傾斜面104bとの接触が離間することを防ぐことができる。
【0063】
その後、制御部18はプレス機構を駆動して上型16を下降する(ステップS7)。これにより、板材12の第2切断線C2が切断される(図8参照)。なお、板材12の第2切断線C2が切断される原理が板材12の第1切断線C1を切断する原理と同一であるため、板材12の第2切断線C2の切断については簡単に説明する。
【0064】
先ず、上型16を下降すると、打抜部68にて板材12が四角形状に打ち抜かれる。そして、さらに上型16を下降すると、板材12には、第2分割上刃90a、90bの押圧力と第2分割下刃56a、56bの反力が作用するため、剪断力が生じる。その結果、図7Bに示すように、板材12がY方向に切断されるに至る。なお、図7Bは、板材12の図示を省略しており、第2切断線C2を切断した時の移動部70と可動部24の位置関係を示している。
【0065】
次に、制御部18はプレス機構を駆動して上型を上昇する(ステップS8)。その後、本切断手順は終了する。
【0066】
上述した切断手順によれば、図8に示すように、板材12を略三角形状に荒切断することができる。これにより、荒切断された板材12に対して所定の機械加工を施して、例えば、自動車用サイドパネル等の部品を製造することができる。
【0067】
以上のように、本実施形態に係る切断装置によれば、第1上刃82と第2上刃84とが交差しているので、第1上刃と第2上刃とを離間するように上型を形成する場合と比較して、切断装置10全体をより一層小型にすることができる。また、第1モードと第2モードを切り替えて第1上刃82と第2上刃84とを使い分けることができるので、第1切断線C1と第2切断線C2との間隔が広い場合であっても、切断装置10全体の小型化を効率的に行うことができる。
【0068】
本実施形態は、上述した例に限らず種々の変更が可能である。打抜部は、断面四角形状に形成する例に限らない。打抜部は、断面多角形状や断面円形状等に形成してもよいし、中空状に形成してもよい。この場合、貫通孔は、打抜部の形状に合わせて形成される。打抜部を中空状に形成すると、上型の重量を軽くすることができる。
【0069】
本発明は上記実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは当然可能である。
【0070】
本発明に係る切断装置は、2種類の切断線を有する板材を切断する例に限らず、3種類以上の切断線を有する板材を切断できるように構成してもよい。この場合、各切断線の形状と同一形状の上刃を交差するように上型に配置すればよい。
【符号の説明】
【0071】
10…切断装置 12…板材(ワーク)
14…下型 16…上型
48…第1下刃 50…第2下刃
52a、52b…第1分割下刃 54…共通下刃
56a、56b…第2分割下刃 82…第1上刃
84…第2上刃 86a、86b…第1分割上刃
88…共通上刃 90a、90b…第2分割上刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを切断する第1切断刃と、
前記第1切断刃と交差するように設けられ、且つ前記ワークを切断する第2切断刃と、
前記ワークが切断可能な切断位置に前記第1切断刃を配置すると共に、前記ワークが切断不能な非切断位置に前記第2切断刃を配置する第1モードと、前記切断位置に前記第2切断刃を配置すると共に、前記非切断位置に前記第1切断刃を配置する第2モードと、を切り替える切替手段と、を備えることを特徴とする切断装置。
【請求項2】
請求項1記載の切断装置において、
前記第1切断刃及び前記第2切断刃の交点には、該第1切断刃及び該第2切断刃の両方に属する共通刃が設けられ、
前記第1切断刃及び前記第2切断刃は、前記共通刃において分割されていることを特徴とする切断装置。
【請求項3】
請求項2記載の切断装置において、
前記共通刃は、前記第1切断刃又は前記第2切断刃の分割された分割刃が前記ワークを切断する前に、該ワークを打ち抜くことを特徴とする切断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−131254(P2011−131254A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294130(P2009−294130)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】