説明

切断補助手段形成方法及び包装材

【課題】フィルムに形成された切断補助線に深い溝と浅い溝とを交互に設けるための切断補助手段形成方法を提供する。
【解決手段】被包装物を包装する包装材1となるフィルム10,20を、所定周波数の超音波が付与されるホーン200と受け材210とで挟み込んだ状態で、ホーン200に超音波を付与することでフィルム10,20を溶かしてフィルム10、20上に溝状の切断補助線11,16を形成する。受け材210は、ホーン200と共にフィルム10,20を挟み込む先端部212の少なくとも一方向の幅が先端に向かうにつれて幅狭に形成され、フィルム10,20は、切断補助線11,16を形成する予定のライン上に印刷を不連続に施したものとされる。フィルムを受け材210及びホーン200が挟み込み、超音波が付与されたホーン200を切断補助線を形成する予定のライン上を移動させることにより、印刷部分に深い溝を形成し、印刷されていない部分に浅い溝を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品などの被包装物を包装する包装材又は該包装材の一構成となるフィルムに、該フィルムを切断する(引き裂く)ための切断補助線を形成する切断補助手段形成方法、この切断補助手段が形成された包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、おにぎり、寿司等の米飯類や、サンドイッチ、菓子パン、惣菜パン等のパン類等、あるいは菓子類等の食品を包装する包装材として、包装形態に応じて種々のタイプのものが提供されているが、その一つとして包装材全体又は包装材の一部を樹脂製のフィルムで構成したものがある。
【0003】
かかる包装材は、一般的に当該包装材を構成するフィルム上に線状又は帯状の切断補助手段が設けられており、該切断補助手段でフィルムを切り裂くことで開封できるようにされている。
【0004】
ここで、おにぎりを包装する包装材について説明すると、かかる包装材は、幅方向に分割可能に構成された外フィルムと、海苔や薄焼き卵、畳鰯等のシート状食品を介して外フィルムに重ね合わされ、幅方向に分離可能に構成された内フィルムとを備えており、シート状食品を取り囲むように外フィルムの外周端部と内フィルムの外周端部とが溶着されている。
【0005】
前記外フィルムには、幅方向と直交する方向に延びる切断補助手段が設けられている。これに対し、内フィルムは、幅方向に並列に配置された一対のフィルムで構成されたり、外フィルムと同様に、一枚のフィルムに対して幅方向と直交する方向に延びる切断補助手段が設けられたりしている。
【0006】
上記構成の包装材は、内フィルム上におにぎりを載置した状態で該内フィルムを内側にして幅方向と直交する方向に二つ折りにし、対向する内フィルムの端部同士を溶着することで、おにぎりを包装した包装体とされる。
【0007】
そして、該包装体は、外フィルムを切断補助手段で切り裂いて幅方向に分割する(二分割にする)とともに、内フィルムを幅方向に分離させることで、おにぎりとシート状食品との間から内フィルムが引き抜かれるようになっている。これにより、内フィルムを介して分離していたおにぎりとシート状食品とが一体的になり、これらを一緒に食することができるようになっている。
【0008】
そして、切断補助手段の主流としてカットテープが採用されていたが、カットテープは接着剤等を介してフィルムに接着されるため、食品を電子レンジ等で加熱するような場合(レンジアップ体の場合)に、接着剤が軟化してカットテープがフィルムから剥がれたり、接着剤が溶け出したりしてしまう虞があった。
【0009】
このような問題を解決するに当たり、切断補助手段をミシン目によって設けることも提案されている。しかし、ミシン目は、フィルムに対して切り目を破線状に設けたものであることから、フィルムは切り目で内外が連通してしまい、該フィルムを使用した包装体は衛生上好ましくないだけでなく、品質を低下させるものとなる。
【0010】
そこで、ミシン目(切り目)を塞ぐ閉塞用フィルムをフィルムに貼着することもできる。しかし、そうすると、開封しづらくなるだけでなく、また、カットテープの場合と同様に、食品を電子レンジ等で加熱するような場合に、接着剤が軟化して、閉鎖用フィルムがフィルムからはがれたり、接着剤が溶け出したりしてしまう虞があった。
【0011】
このため、切断補助手段として、ハーフカットを採用することが提案されている。かかるハーフカットは、超音波等で包装材になるフィルムを溶かして該フィルム上に形成される細長い溝状のものである。その結果、包装材(フィルム)は、ハーフカットと対応する部分が薄肉になっている。
【0012】
これにより、ハーフカットを採用した包装材(フィルム)は、内外が連通することがないため、水分等の進入がなく食品を衛生上好ましい状態で、しかも品質を低下させることなく包装できる。そして、フィルムに対してハーフカットの延びる方向と直交する方向に引張力を作用させたときに、その力がハーフカットと対応する部分に集中的に作用する(応力集中が発生する)ため、該フィルムを薄肉で脆弱になった部分で容易に切断し、包装体を開封することができるとされている。
【0013】
しかしながら、厚みの薄い包装材(フィルム)にハーフカットが形成された場合、包装体を開封する際に、包装材(フィルム)をハーフカットに沿って切断できない場合があった。すなわち、フィルムの厚みが薄くなると、フィルム上に形成されるハーフカット(溝)の深さが浅くなるため、フィルムを切断する(包装体を開封する)際に、フィルムがハーフカットに誘導されずに該ハーフカットに沿って切断できない場合があった。
【0014】
そこで、本出願人は、フィルムの厚みに関係なく、所定の線上で切断可能な切断補助線をシート状のフィルム上に形成することのできる切断補助線形成方法を特許文献1に開示した。
【0015】
この切断補助線形成方法は、図10(a)に示す如く、食品を包装する包装材又は該包装材の一構成となる長尺フィルムFを、所定周波数の超音波が付与されるホーン200と受け材210とで挟み込んだ状態で、前記ホーン200に超音波を付与することで長尺フィルムFを溶かし、該長尺フィルムF上に溝状の切断補助線Lを形成するものである。
【0016】
ホーン200には、長尺フィルムFの上面に接触する平坦な接触部202が設けられている。また、受け材210は、ホーン200と共に長尺フィルムFを挟み込む先端部212の少なくとも一方向の幅が先端に向かうにつれて幅狭(山形形状)に形成され、ホーン200と受け材210とに挟み込まれた長尺フィルムFに対して受け材210の先端部212の幅方向と直交する方向の張力を作用させつつホーン200に超音波を付与することにより、長尺フィルムF上に受け材210の先端部212の幅方向と直交する方向に延びる切断補助線Lを形成する。
【0017】
この切断補助線形成方法によれば、ホーン200と受け材210とで長尺フィルムFを挟んだ状態にしてホーン200に超音波を付与することにより、ホーン200の振動エネルギーによって長尺フィルムFが溶け、その溶けた部分が受け材210の先端部212の両側(幅方向の両側)に押し退けられることになり、図10(b)に示す如く、受け材210の先端部212が存在する部分と対応する部分が薄肉になる一方で、その薄肉部分の両側に同一形状に盛り上がった隆起部M,Mが形成される。
【0018】
このような長尺フィルムFは、所定の長さで切断されることによって包装体となり、この包装体が被包装物を包装し、所定の部位がシールされると包装材となる。この包装体は、切断補助線Lが形成されたものであり、この切断補助線Lと直交する方向に引っ張られると、厚みが周囲よりも極端に薄肉になった切断補助線Lと対応する部分に引張力(張力)が集中して作用し、薄肉になって脆弱になった部分(切断補助線L上)で引き裂かれる。
【0019】
そして、包装体が引き裂かれるに際し、切断補助線Lの延びる方向に対して交差する方向に包装材(フィルム)が裂けようとしても、切断補助線Lの両側に強度の増した隆起部M,Mが同一形状に形成されているため、包装材(フィルム)は切断補助線Lに沿って裂けることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特許第4264123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところで、特許文献1に記載された切断補助線形成方法によって形成された切断補助線Lに沿って引き裂くという作用・機能も損なわないようにしつつ、開封性をさらに向上させるためには、切断補助線Lが深く形成された部位と浅く形成された部位とを交互に設け、開封のための引張力に強弱を付けるようにすることで実現することができる。切断補助線Lの深さを変更するには、長尺フィルムF上を移動しているホーン200に付与される超音波の周波数を移動途中で変更することが考えられる。
【0022】
しかし、ホーン200に付与される超音波の周波数を変更する信号を出力したところで、ホーン200が瞬時に変更された周波数に追従して振動できないことから、ホーン200に付与される周波数を変更することでは、長尺フィルムFに深い溝と浅い溝が交互に設けられた切断補助線Lを形成することができない。
【0023】
そこで、本発明は、フィルムに形成された切断補助線に深い溝と浅い溝とを交互に設けるための切断補助手段形成方法、及びこの切断補助線が形成された包装材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明に係る切断補助手段形成方法は、被包装物を包装する包装材又は該包装材の一構成となるフィルムを、所定周波数の超音波が付与されるホーンと受け材とで挟み込んだ状態で、前記ホーンに超音波を付与することでフィルムを溶かして該フィルム上に溝状の切断補助線を形成する切断補助手段形成方法であって、前記受け材は、ホーンと共にフィルムを挟み込む先端部の少なくとも一方向の幅が先端に向かうにつれて幅狭に形成され、前記フィルムは、前記切断補助線を形成する予定のライン上に印刷を不連続に施し、又は濃淡の印刷を交互に施したものとされ、該フィルムを前記受け材及びホーンが挟み込み、超音波が付与されたホーンを前記切断補助線を形成する予定のライン上を移動させることにより、印刷部分又は濃い印刷部分に深い溝を形成し、印刷されていない部分又は淡い印刷部分に浅い溝を形成して、深い溝と浅い溝とを交互に設けた切断補助線を形成することを特徴としている。
【0025】
この切断補助手段形成方法によれば、前記受け材は、ホーンと共にフィルムを挟み込む先端部の少なくとも一方の幅が先端に向かうにつれて幅狭に形成され、ホーンに超音波を付与することによって、ホーンと受け材とに挟み込まれたフィルムに受け材の先端部の幅方向と直交する方向に延びる切断補助線を形成するようにしている。
【0026】
ホーンと受け材とでフィルムを挟んだ状態にしてホーンに超音波が付与されることにより、ホーンの振動エネルギーによってフィルムが溶け、その溶けた部分が受け材の先端部の両側(幅方向の両側)に押し退けられることになる。これにより、ホーンに先端部の存在する部分と対応する部分に薄肉の切断補助線が形成される一方で、その薄肉部分の両側に盛り上がった隆起部が形成される。
【0027】
特筆すべきは、フィルムは、切断補助線を形成する予定のライン上に印刷が不連続に施され、又は濃淡の印刷が交互に施されたものとされ、ホーンが切断補助線を形成する予定のライン上を移動することにより、印刷部分又は濃い印刷部分は、印刷されていない部分又は淡い印刷部分よりも高温に発熱し、フィルムが多く溶けることで、深い溝が形成される。したがって、逆に、印刷されていない部分又は淡い印刷部分は、印刷部分又は濃い印刷部分よりも低温に発熱し、フィルムが少なく溶けることで、浅い溝が形成される。このように、印刷が不連続に施され、又は濃淡の印刷が交互に施されることで、深い溝と浅い溝とが交互に設けられた切断補助線が形成される。
【0028】
このフィルムは、切断補助線と直交する方向に引っ張られると、厚みが周囲の厚みと極端に異なる切断補助線と対応する部分に引張力(張力)が集中して作用し、薄肉になって脆弱になった部分(切断補助線上)で切断されることになる。このようにして、フィルムが切断されるに際し、切断補助線の延びる方向に対して交差する方向にフィルムが裂けようとしても、切断補助線の両側に強度の増した隆起部が形成されているため、フィルムは切断補助線に沿って引き裂かれることになる。従って、上記フィルムが包装材全体或いは包装材の一構成となったときに、該包装材を切断補助線に沿って体裁よく引き裂くことができる。
【0029】
そして、切断補助線は、深い溝と浅い溝とを交互に設けたものされることにより、強弱が付けられるようにフィルムを引き裂くことができ、このフィルムは、引き裂く際の操作性が良好にされている。
【0030】
また、前記本発明に係る切断補助手段形成方法において、ホーンと受け材とに挟まれたフィルムに対して受け材の先端部の幅方向と直交する方向の張力を作用させつつホーンに超音波を付与することが好ましい。
【0031】
この切断補助手段形成方法によれば、ホーンと受け材とでフィルムを挟んだ状態で(フィルムを溶かすときに)、該フィルムに対して受け材の先端部の幅方向と直交する方向に張力を作用させておくことで、フィルムは、張力を作用させる二つの作用点間(切断補助線を形成する予定のライン)の両側が内側(作用点間側)に寄ろうとするため、受け材の両側(薄肉になった部分の両側)に押し退けられたフィルムの溶けた部分(隆起部)が互いに接近することになる。これにより、互いに接近した隆起部間に細長く且つ深い溝と浅い溝が交互に設けられた切断補助線が形成されることになる。
【0032】
また、前記本発明の切断補助手段形成方法において、前記フィルムに長尺フィルムを採用して該長尺フィルムを長手方向に間欠搬送し、停止状態にある長尺フィルムを、先端部の幅方向がフィルムの長手方向と一致するように配置された受け材とホーンとで挟み込み、該長尺フィルムに対して長手方向と直交する方向の張力を作用させつつホーンに超音波を付与し、長尺フィルムの長手方向と直交する方向に延びる切断補助線を形成してもよい。
【0033】
長尺フィルムを長手方向に搬送すると、その搬送でフィルムの上流側と下流側との間で張力が作用する場合があるが、このような場合に、切断補助線を長尺フィルムの長手方向(搬送方向)と直交する方向に延びるように形成すると、長尺フィルムの搬送中に該長尺フィルムが切断補助線で裂けてしまうことがある。
【0034】
従って、長尺フィルムを長手方向に搬送する場合、長尺フィルムの長手方向と直交する方向に延びるように切断補助線を形成することは通常、なされていなかったが、上記方法によれば、長尺フィルムに対して長手方向(搬送方向)と直交する方向の張力を作用させるようにしているため、切断補助線を長尺フィルムの長手方向と直交する方向に延びるように形成しても、長尺フィルムが裂けてしまうことがない。これにより、長尺フィルムの供給パターンの選択性が増えるため、種々形態の包装材(包装材の製造)を対象にすることができる。
【0035】
また、前記本発明の切断補助手段形成方法において、前記受け材の先端部は、幅方向の両面が鈍角をなして前記幅が先端に向かうにつれて幅狭に形成されていることが好ましい。
【0036】
この切断補助手段形成方法によれば、受け材の先端部を鈍角に形成されることにより、受け材の先端部が刃先のようにならないことから、切断補助線を形成する際にフィルムが不用意に切断されてしまうことを防止することができ、また、受け材とホーンとでフィルムを挟んで溶かす際に、受け材の先端部の他方側に押し退けられる量が多くなり、他方側の隆起部の盛り上がりを大きくし、強度をより高めることができると共に、溝状に形成される切断補助線の深さを深くすることができる。従って、このフィルムは、より確実に切断補助線に沿って切断されるものとなる。
【0037】
また、本発明に係る包装材は、被包装物を包装する包装材又は該包装材の一構成となるフィルムを、所定周波数の超音波が付与されるホーンと受け材とで挟み込んだ状態で、前記ホーンに超音波を付与することでフィルムを溶かして該フィルム上に溝状の切断補助線を形成した包装材であって、切断補助線上に印刷を不連続に施し、又は濃淡の印刷を交互に施したものとされ、印刷部分又は濃い印刷部分に深い溝を形成し、印刷されていない部分又は淡い印刷部分に浅い溝を形成することにより、深い溝と浅い溝とを交互に設けた切断補助線が形成されていることを特徴としている。
【0038】
この包装材によれば、深い溝と浅い溝とを交互に設けた切断補助線が形成されていることにより、開封に際して強弱が付けられるように包装材を引き裂くことができ、この包装材は、引き裂く際の操作性が良好にされている。
【0039】
また、前記本発明の包装材の位置態様として、印刷又は濃淡の印刷は、フィルムに施された文字及び/又は図案であってもよい。
【0040】
この包装材によれば、深い溝と浅い溝とを交互に設けるためだけの印刷が施されないことから、パッケージのデザインを損ねないようにすることができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、印刷部分又は濃い印刷部分に深い溝を形成し、そして、印刷されていない部分又は淡い印刷部分に浅い溝を形成し、深い溝と浅い溝とが交互に設けられた切断補助線を形成する切断補助手段形成方法及びこのような切断補助線を形成した包装材が提供されることにより、切断補助線に沿って引裂くことができるという機能を備えつつ、開封性を向上させることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態によって形成された切断補助線を有する包装材を示し、一部拡大断面図を含む概略分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態によって形成された切断補助線を有する包装材を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態によって形成された切断補助線を有する包装材によって被包装材を包装した包装体を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態によって切断補助線を形成する製造設備の概念を示す概略斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態によって切断補助線を形成する製造設備における切断補助線形成部のホーン及び受け材を示す概略斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態によって切断補助線を形成する製造設備における切断補助線形成部のホーン及び受け材を示す平面図である。
【図7】本発明の別の実施形態によって切断補助線を形成する製造設備における切断補助線形成部のホーン及び受け材の変形例を示す概略斜視図である。
【図8】本発明のさらに別の実施形態によって切断補助線を形成する製造設備における切断補助線形成部のホーン及び受け材の変形例を示す概略斜視図である。
【図9】本発明のさらに別の実施形態によって切断補助線を形成する製造設備の概念を示す概略斜視図である。
【図10】(a)は従来の切断補助線形成方法を示す要部拡大断面図、(b)は従来の切断補助線形成方法によって形成された切断補助線を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の一実施形態について図1ないし図6を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、おにぎりを包装するための米飯加工食品用包装材(以下、単に包装材という)の製造過程において、該包装材の一構成となるフィルム(包装材用フィルム)に切断補助線を形成する場合を一例に説明することとする。
【0044】
ここで包装材の一構成となるフィルムに対する切断補助線を形成する方法(包装材の製造過程)の説明に先立ち、包装材について概略説明する。
【0045】
かかる包装材は、図1及び図2に示す如く、幅方向に分離可能に構成された内フィルム10と、シート状食品Sを介して内フィルム10に重ね合わされる外フィルム15とを備え、シート状食品Sを取り囲むように内フィルム10の外周端部と外フィルム15の外周端部とが互いに溶着されている。なお、各図において、ドットを付した領域が溶着される領域、或いは溶着された領域を示している。
【0046】
前記内フィルム10及び外フィルム15は、一枚のフィルムで構成されており、同じサイズの長方形状に形成されている。本実施形態に係る内フィルム10及び外フィルム15は、長手方向と直交する方向(短手方向)の略中央を通って長手方向に延びる1本又は図示しない2本の切断補助線11,16を形成したものであり、この切断補助線11,16が深い溝と浅い溝とを交互に設けたものとされている。なお、深い溝と浅い溝とは、切断補助線11,16の全長に亘って、又は部分的に設けられる。
【0047】
いずれにしても、内フィルム10及び外フィルム15は、切断補助線11,16を形成する予定のラインに印刷が不連続に施され又は濃い印刷と淡い印刷とが交互に施されることにより(印刷部分、濃い印刷部分を塗りつぶした状態に図示する。)、深い溝と浅い溝とが交互に形成される。浅い溝であっても当初の厚み(内フィルム10及び外フィルム15になる包装材用フィルムの厚み)よりも薄肉にされ、深い溝は、さらに薄肉にされている。ただし、深い溝が形成された部位であっても、所定の力が加えられない限り、引き裂かれない厚さは確保されている。
【0048】
なお、印刷は、図示したように等間隔に施すほか、内外フィルム10,15にデザインとして施された文字や図案などを利用してもよく、さらに、濃い印刷の部位、淡い印刷の部位、印刷をしない部位を組み合わせてもよい。
【0049】
そして、本実施形態に係る内フィルム10及び外フィルム15は、後述する切断補助手段形成方法によって、切断補助線11,16の両側に該切断補助線11、16に沿って盛り上がった隆起部12,12;17,17が形成されている。該内フィルム10及び外フィルム15の隆起部12,12;17,17は、切断補助線11,16と対応する部位(薄肉になった部位)とは反対に、当初の厚み(内フィルム10、外フィルム15になる包装材用フィルムの厚み)よりも厚肉になっている。これにより、内フィルム10及び外フィルム15は、切断補助線11,16の深さが確保されるとともに、該切断補助線11,16の両側の強度が他の部分よりも強くなっている。
【0050】
なお、印刷が施された部位は、印刷が施されていない部位よりも深い溝が形成されると共に高い隆起部12,12;17,17が形成され、印刷が施されていない部位は、浅い溝が形成されると共に低い隆起部が形成され、あるいは、濃い印刷が施された部位は、淡い印刷が施された部位よりも深い溝が形成されると共に高い隆起部12,12;17,17が形成され、淡い印刷が施された部位は、浅い溝が形成されると共に低い隆起部12,12;17,17が形成される。
【0051】
そして、内フィルム10及び外フィルム15は、海苔等のシート状食品Sを介して重ね合わされた状態で、シート状食品Sを取り囲むように溶着した包装材1とされる。これにより、本実施形態に係る包装材1は、外周の略全周に亘って内フィルム10と外フィルム15とが互いに溶着された溶着部(図1、図2においてドットを付した領域)が形成されている。
【0052】
また、上記包装材1は、切断補助線11,16の配置に対応するように、内フィルム10及び外フィルム15の長手方向の両端部に開封用のノッチ(開封起点となるノッチ)Nが形成されている。かかるノッチNは、内フィルム10及び外フィルム15を部分的に切り欠いた切欠き13,18が重なって形成されている。本実施形態において、ノッチN(内フィルム10及び外フィルム15のそれぞれの切欠き13,18)は、内フィルム10及び外フィルム15を重ね合わせて外周端部同士を溶着させた後に、両フィルム10,15の端部を一緒に打ち抜くことで形成されている。
【0053】
本実施形態に係る包装材1は、以上の構成からなり、続いて、上記構成の包装材1による包装方法と開封方法について説明する。
【0054】
まず、図2の仮想線に示す如く、内フィルム10上におにぎりAを載置し、該おにぎりAを包み込むように包装材1全体を長手方向に二つ折りにする。すなわち、内フィルム10の長手方向の両端部同士が重なり合うように包装材1全体を長手方向に二つ折りにする。このように包装材1を二つ折りにすることで、内フィルム10の長手方向の両端部同士が重なり合うとともに、内フィルム10の短手方向の両端部のそれぞれが重なり合った状態になる。
【0055】
そして、図3に示す如く、包装材1全体を二つ折りにすることによって重なり合った(対向した)内フィルム10の三方の端部同士を溶着(シール)すると包装体2となる。このとき、おにぎりAを包装した状態で内外が連通しないように、内フィルム10の長手方向の両端部同士は、ノッチN(切欠き13,18)全体が含まれるように溶着される。また、ノッチN内に2本の切断補助線11,16の端部が位置している。
【0056】
なお、内フィルム10及び外フィルム15の各切欠き13,18は、該切欠き13,18を画定する両フィルム10,15のエッジと切断補助線11,16とが連続するように形成されるが、内フィルム10の長手方向の両端部同士を溶着する領域に切断補助線11,16が含まれると、開封性が悪くなるため、内フィルム10の長手方向の両端部同士の溶着は、可能な限り切断補助線11,16を含めないように行われる。
【0057】
そして、上述の如く、内フィルム10の端部同士を溶着すると、包装材1は、内フィルム10でおにぎりAとシート状食品Sとを分離した状態(隔絶した状態)でおにぎりAを包装した包装体2になる。
【0058】
この包装体2を開封するには、ノッチNの両側を持って包装体2を短手方向に引っ張り(ノッチNの両側を離間させるように引っ張る)、その引張力をノッチNに集中させる。そうすると、ノッチN(切欠き13,18を画定するエッジと切断補助線11,16との境界(交点))が起点となり、内フィルム10及び外フィルム15のそれぞれが、切断補助線11,16に沿って引き裂かれる(切断される)ことになる。
【0059】
本実施形態に係る包装材1は、内フィルム10及び外フィルム15の切断補助線11,16の両側に強度の増した隆起部12,12;17,17が形成されているため(図1の拡大断面図参照)、上述の如く内フィルム10及び外フィルム15が引き裂かれる際に、その裂け目(切断線)が隆起部12,12;17,17を乗り越えて切断補助線11,16から外れることがなく、両フィルム10,15が切断補助線11,16に沿ってきれいに引き裂かれることになる。
【0060】
そして、内フィルム10及び外フィルム15のそれぞれが切断補助線11,16に沿って切断されることで、包装体2全体(内フィルム10及び外フィルム15)が短手方向で分離される(二分割される)ことになる。
【0061】
そして、特筆すべきは、内フィルム10及び外フィルム15の切断補助線11,16が深い溝と浅い溝とを交互に形成したものとされていることにより、内フィルム10及び外フィルム15を引き裂く力に強弱が付けられ、引き裂く力に強弱が付けられていないときよりも、開封の操作性が良好にされている。
【0062】
そして、上述のように包装体2の端部を短手方向に引っ張ることで、内フィルム10及び外フィルム15のそれぞれが二分割されるのに併せ、包装体2の短手方向の一端側と他端側とが離間する結果、二分割された内フィルム10がおにぎりAとシート状食品Sとの間から引き抜かれる。これにより、おにぎりAとシート状食品Sとが一体になって食することのできる状態となる。
【0063】
次に、図4ないし図6を参照しつつ、内フィルム10になる長尺なフィルム、及び外フィルム15になる長尺なフィルムに対して切断補助線11,16を形成する設備を備えた包装材1の製造設備について説明する。
【0064】
かかる製造設備は、外フィルム15の連続体である長尺なフィルム(以下、第一長尺フィルムという)F1を長手方向に搬送する搬送径路(以下、第一搬送径路という)R1と、内フィルム10の連続体である長尺なフィルム(以下、第二長尺フィルムという)F2を長手方向に搬送する搬送径路(以下、第二搬送径路という)R2とを備えている。
【0065】
第一搬送経路R1、第二搬送径路R2には、それぞれ第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2に切断補助線16,11を形成する第一切断補助線形成部20a、第二切断補助線形成部20bと、第一長尺フィルムF1上に第二長尺フィルムF2を重ね合わせるフィルム重合部22と、第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2とを溶着するフィルム溶着部23と、溶着された第一長尺フィルムF1と該第二長尺フィルムF2とを所定サイズ(長さ)に切断し、枚葉状の包装材1にするフィルム切断部24とがこれらの順に設けられている。また、第一搬送路R1には、第一切断補助線形成部22aとフィルム重合部22との間において、第一長尺フィルムF1上にシート状食品Sを載置する食品載置部21が設けられている。
【0066】
そして、第一切断補助線形成部20a、第二切断補助線形成部20bは、それぞれ超音波によって第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2に対して、溝状の切断補助線16,11を形成するようになっている。なお、第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2には、切断補助線16,11を形成する予定の幅方向のライン上において、印刷が施されている部位と印刷が施されていない部位とが交互に設けられ(印刷が不連続に施され)、或いは、濃い印刷が施されている部位と淡い印刷が施されている部位とが交互に設けられている。
【0067】
そして、第一切断補助線形成部20a、第二切断補助線形成部20bは、図5にも示す如く、所定周波数の超音波が付与されるホーン200と、該ホーン200に対向するように配置される受け材210とを備えている。第一切断補助線形成部20a、第二切断補助線形成部20bは、第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2をホーン200と受け材210とで挟み込んだ状態で、ホーン200に超音波を付与することで第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2を溶かして該第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2上に溝状の切断補助線16,11を形成するようになっている。
【0068】
そして、受け材210は、切断補助線16,11を形成するように、定位置に配置される受け材本体211と、該受け材本体211から第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2を介してホーン200側に突出した第二フィルム接触部212とを備えている。
【0069】
本実施形態に係る第二フィルム接触部212は、図5の一部拡大図に示す如く、幅方向の両面212a,212bが鈍角をなすように形成されている。すなわち、本実施形態に係る第二フィルム接触部212は、受け材本体211から上向きに突出した各二つの面(幅方向の両面)212a,212bが受け材本体211側から先端に向かうにつれて互いに接近した傾斜面で構成されており、両傾斜面212a,212bの内角θが鈍角に設定されている。
【0070】
そして、受け材210は、幅方向の両面212a,212bがつき合って先端に向けて形成される稜線212cが第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2の幅方向に延びるように配置されている。
【0071】
第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2の側部において切断補助線16,11を形成せず、側部をスクラップとして切除する場合は、受け材210の少なくとも第二フィルム接触部212は、第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2の幅よりも若干(切除する幅)短く設定されている。
【0072】
また、第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2に対し、側部をスクラップせずに、切断補助線16,11を幅方向に全長に亘って形成する場合は、受け材210の第二フィルム接触部212は、第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2の幅以上の長さに設定されている。
【0073】
そして、本実施形態に係る第一切断補助線形成部20a、第二切断補助線形成部20bは、図6に示す如く、ホーン200と受け材210とに挟み込まれた第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2に対して受け材210の先端部212の幅方向と直交する方向に張力Tを作用させるようになっている。すなわち、該第一切断補助線形成部20a、第二切断補助線形成部20bは、受け材210及びホーン200の配置に対応して、第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2に対して幅方向に張力Tを作用させる張力発生装置230をさらに備えている。かかる張力発生装置230は、第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2の幅方向の両端部を把持する一対の把持手段231,232を備えている。
【0074】
前記のように、第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2の両側部をスクラップとして切除する場合は、一対の把持手段231,232は、第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2の各側部を受け材210の各端部と隣り合って把持するように構成されている。
【0075】
また、第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2の両端部をスクラップとして切除しないで全幅に亘って受け材210が配置される場合は、図示しないが、各把持手段231,232は、平面視でコ字形に形成され、受け材210の各端部を両側から挟むような位置で第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2の各端部を二箇所ずつ把持するように構成されている。
【0076】
いずれにしても、前記ホーン200は、下端に設けられた第一フィルム接触部202が第二フィルム接触部212の稜線212cの延びる方向、すなわち第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2の幅方向に、且つ受け材210の稜線212cに沿って往復動可能に設けられている。
【0077】
そして、第一搬送径路R1上の食品載置部21では、図4に示す如く、第一切断補助線形成部20aで形成された切断補助線16上にシート状食品Sが配置される。また、フィルム重合部22では、第一長尺フィルムF1上に第二長尺フィルムF2が重ね合わされる。
【0078】
また、前記フィルム溶着部23では、重なった第一搬送径路R1及び第二搬送径路R2上で搬送される第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2との間に介在するシート状食品Sを取り囲むように、第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2を溶着する。
【0079】
また、前記フィルム切断部24では、第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2とが溶着された領域(シート状食品Sを取り囲んだ領域)を包装材1として切り離すようになっている。
【0080】
次に、本実施形態に係る包装材1の製造方法について説明する。本実施形態では、第一切断補助線形成部20aで間欠搬送される第一長尺フィルムF1に対して切断補助線16を形成するとともに、第二切断補助線形成部20bで間欠搬送される第二長尺フィルムF2に対して切断補助線11を形成する。
【0081】
ここで、第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2に対して切断補助線16,11の形成方法について説明する。
【0082】
第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2には、前記のように、切断補助線16,11を形成する予定の幅方向のライン上において、印刷が施されている部位と印刷が施されていない部位とが交互に設けられ、或いは、濃い印刷が施されている部位と淡い印刷が施されている部位とが交互に設けられており、この切断補助線16,11を形成する予定のラインが第一切断補助線形成部20a、第二切断補助線形成部20bで停止するように、長さ方向に間欠的に搬送される。
【0083】
第一切断補助線形成部20a、第二切断補助線形成部20bでは、受け材210とホーン200とによって停止中の長尺フィルムF1,F2を挟み込んだ状態で、張力発生装置230で長尺フィルムF1,F2に張力Tを作用させつつホーン200に超音波を発生させることで、長尺フィルムF1,F2を介して受け材210に超音波が伝わる結果、図1の一部拡大断面図に示す如く、その振動エネルギーが熱になって長尺フィルムF1,F2が受け材210の稜線212cに沿って溶けることになる。
【0084】
これに併せ、長尺フィルムF1,F2の溶けた部分が、受け材210(第二フィルム接触部212)の両側(幅方向両側)に押し退けられて隆起した状態になる。すなわち、本実施形態においては、上述の如く、長尺フィルムF1,F2の幅方向に張力Tを作用させるようにしているため、長尺フィルムF1,F2は、長手方向で張力Tの作用点側(切断補助線16,11を形成する予定位置)に寄ろうとする力が作用する。
【0085】
その結果、受け材210(第二フィルム接触部212)によって両側に押し退けられた部分(隆起部17,17;12,12)が互いに接近することになり、図1の拡大断面図に示す如く、隆起部17,17;12,12間の間隔が間延びすることなく互いに接近することで、長尺フィルムF1,F2の厚みに関係なく、隆起部17,17;12,12間に細長く且つ深さが十分に確保された深い溝状の切断補助線16,17が形成されることになる。
【0086】
そして、特筆すべきは、印刷が施された部位又は濃い印刷が施された部位は、印刷が施されていない部位又は淡い印刷が施された部位よりも強く反応するため、ホーン200が長尺フィルムF1,F2の一方の端部から他方の端部へ移動すると、印刷が施された部位又は濃い印刷が施された部位で深い溝が形成され、印刷が施されていない部位又は淡い印刷が施された部位で浅い溝が形成される。
【0087】
すなわち、ホーン200が切断補助線16,11を形成する予定のライン上を移動することにより、印刷部分又は濃い印刷部分は、印刷されていない部分又は淡い印刷部分よりも高温に発熱し、長尺フィルムフィルムF1,F2が多く溶けることで、深い溝が形成される。したがって、逆に、印刷されていない部分又は淡い印刷部分は、印刷部分又は濃い印刷部分よりも低温に発熱し、長尺フィルムF1,F2が少なく溶けることで、浅い溝が形成される。このように、印刷が不連続に施され、又は濃淡の印刷が交互に施されることで、深い溝と浅い溝とが交互に設けられた切断補助線11,16が形成される。
【0088】
そして、上述の如く、長尺フィルムF1,F2を間欠搬送させつつ切断補助線11,16を形成することで、図4に示す如く、長尺フィルムF1,F2には長手方向の所定間隔毎に切断補助線16,11が形成されることとなる。
【0089】
なお、ホーン200が長尺フィルムF1,F2の一方の端部から他方の端部へ移動して切断補助線11,16を形成した1ピッチ下流側では、ホーン200が長尺フィルムF1,F2の他方の端部から一方の端部へ戻るように移動して切断補助線11,16を形成する。したがって、ホーン200は、往動と復動とをすることによってそれぞれ切断補助線11,16を形成するため、ホーン200の動作に無駄がないようにされている。
【0090】
そして、第一長尺フィルムF1は、第一搬送径路R1上で間欠搬送され、下流側の食品載置部21において、第一長尺フィルムF1の切断補助線16の配置に対応してシート状食品Sが載置される。従って、第一長尺フィルムF1が間欠搬送されることで、食品載置部21において、順々に送られてくる第一長尺フィルムF1の切断補助線16に対応して間隔をあけてシート状食品Sが配置される。
【0091】
そして、フィルム重合部22において、第一長尺フィルムF1上に第二長尺フィルムF2が重ね合わされる。このとき、第一長尺フィルムF1の切断補助線16と第二長尺フィルムF2の切断補助線11とが一致するように、第一長尺フィルムF1上に第二長尺フィルムF2が重ね合わされる。このように、外フィルム15になる第一長尺フィルムF1上に内フィルム10になる第二長尺フィルムF2が供給されることで、第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2との間にシート状食品Sが配置された状態になる。
【0092】
そして、フィルム溶着部23において、重ね合わされた第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2とがシート状食品Sを取り囲むように溶着される。そして、フィルム切断部24で、溶着されて一体となった第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2とが幅方向の溶着部の中心で切断される。この切断に際して、切断補助線11,16の両端と対応する部分を切り欠いて、ノッチN(切欠き13,18)が形成される。これにより、図2に示すような包装材1が完成する。
【0093】
この包装材1は、例えばおにぎりAを挟むように二つ折りにされ、折り側以外の三方が溶着されることで図4に示すような包装体2となる。なお、包装材1が二つ折りにされ、三方が溶着された後に、切断補助線11,16の両端部を含むようにノッチNを形成してもよい。
【0094】
そして、包装体2は、開封するため、ノッチNの両側を持って包装体2の短手方向に引っ張る。すると、前述したようにノッチNを開封起点として、切断補助線11,16に沿って内フィルム10と外フィルム15が引き裂かれる。このとき、切断補助線11,16に深い溝と浅い溝が交互に設けられていることにより、引き裂きの張力に強弱が付けられ、開封性が良好にされている。
【0095】
このようにして、内フィルム10と外フィルム15は切断補助線11,16で完全に二分割される。従って、内フィルム10がシート状食品SとおにぎりAとの間から引き抜かれ、シート状食品SがおにぎりAを包むようにして食することができる。
【0096】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0097】
例えば、印刷部分と印刷しない部分、又は濃い印刷部分と淡い印刷部分とは、フィルムの全長に施さず、部分的に施すことにより、深い溝と浅い溝とを部分的に形成してもよい。
【0098】
また、受け材210としては、図7に示すように、回転式のもの(いわゆる、リング)を使用することもできる。この受け材210は、外周が第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2に向かうにつれて先細りするように形成され、回転軸が第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2の搬送方向(長さ方向)に向けられる。
【0099】
そして、この受け材210とホーン200とは、第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2を挟んだ状態で同期して移動し、第一長尺フィルムF1、第二長尺フィルムF2に長手方向に張力Tを作用させつつ、ホーン200に超音波を付与する。このようにすると、深い溝と浅い溝が交互に設けられた切断補助線11,16が形成される。
【0100】
また、切断補助線11,16は、図8に示す如く、第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2の中心線上又は中心線付近で長手方向(搬送方向)に延びるように形成してもよい。この場合は、第一長尺フィルムF1と第二長尺フィルムF2の切断補助線16,11を形成する予定のライン上である中心線上又は中心線付近に印刷が不連続に施され、又は濃淡の印刷が施され、また、受け材210として回転式のものが使用される。
【0101】
また、本発明によって製造された包装材は、図9に示すように、ピロー包装としても使用することができる。この場合は、搬送径路Rの食品載置部21において、切断補助線形成部20で形成された切断補助線11の配置に対応するように、長尺フィルムF上に食品Aが載せられ、食品包装部22において食品Aを包むように長尺フィルムFの両側部を重ね合わせて溶着し、フィルム切断部24で隣り合っている食品Aと食品Aとの間の長尺フィルムFを幅方向に溶断すると、ピロー包装体が完成する。
【0102】
この場合も、長尺フィルムFの切断補助線を形成する予定のライン上で幅方向に印刷部分と印刷しない部分、又は濃い印刷部分と淡い印刷部分とが施され、受け材210とホーン200とが長尺フィルムFを挟み、長尺フィルムFに長手方向に張力Tを作用させつつ、ホーン200に超音波を付与することにより、幅方向に深い溝と浅い溝が交互に設けられた切断補助線11が形成される。
【0103】
また、切断補助線形成部20と食品載置部21との間において、切断補助線11の両端には、切欠き13が形成され、食品包装部22において、長尺フィルムFが食品Aを包んで両側部が重ね合わされた状態で二つの切欠き13,13が重なって、ピロー包装体は開封起点としてのノッチNを形成したものとされる。
【0104】
また、図9に示したピロー包装する装置においても、受け材210として回転式のものを使用してもよい。さらに、フィルムF1,F2,Fに張力Tを作用させないで切断補助線11,16を形成してもよい。また、包装体2は、おにぎりを包装したもの以外、レンジアップされるものについて好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0105】
1…………包装材
10………内フィルム
11………切断補助線
15………外フィルム
16………切断補助線
200……ホーン
210……受け材
212……先端部(第二フィルム接触部)
F1………(第一)長尺フィルム
F2………(第二)長尺フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物を包装する包装材又は該包装材の一構成となるフィルムを、所定周波数の超音波が付与されるホーンと受け材とで挟み込んだ状態で、前記ホーンに超音波を付与することでフィルムを溶かして該フィルム上に溝状の切断補助線を形成する切断補助手段形成方法であって、前記受け材は、ホーンと共にフィルムを挟み込む先端部の少なくとも一方向の幅が先端に向かうにつれて幅狭に形成され、前記フィルムは、前記切断補助線を形成する予定のライン上に印刷を不連続に施し、又は濃淡の印刷を交互に施したものとされ、該フィルムを前記受け材及びホーンが挟み込み、超音波が付与されたホーンを前記切断補助線を形成する予定のライン上を移動させることにより、印刷部分又は濃い印刷部分に深い溝を形成し、印刷されていない部分又は淡い印刷部分に浅い溝を形成して、深い溝と浅い溝とを交互に設けた切断補助線を形成することを特徴とする切断補助手段形成方法。
【請求項2】
ホーンと受け材とに挟まれたフィルムに対して受け材の先端部の幅方向と直交する方向の張力を作用させつつホーンに超音波を付与する請求項1に記載の切断補助手段形成方法。
【請求項3】
前記フィルムに長尺フィルムを採用して該長尺フィルムを長手方向に間欠搬送し、停止状態にある長尺フィルムを、先端部の幅方向がフィルムの長手方向と一致するように配置された受け材とホーンとで挟み込み、該長尺フィルムに対して長手方向と直交する方向の張力を作用させつつホーンに超音波を付与し、長尺フィルムの長手方向と直交する方向に延びる切断補助線を形成する請求項2に記載の切断補助手段形成方法。
【請求項4】
前記受け材の先端部は、幅方向の両面が鈍角をなして前記幅が先端に向かうにつれて幅狭に形成されている請求項1ないし3のいずれか一項に記載の切断補助手段形成方法。
【請求項5】
被包装物を包装する包装材又は該包装材の一構成となるフィルムを、所定周波数の超音波が付与されるホーンと受け材とで挟み込んだ状態で、前記ホーンに超音波を付与することでフィルムを溶かして該フィルム上に溝状の切断補助線を形成した包装材であって、切断補助線上に印刷を不連続に施し、又は濃淡の印刷を交互に施したものとされ、印刷部分又は濃い印刷部分に深い溝を形成し、印刷されていない部分又は淡い印刷部分に浅い溝を形成することにより、深い溝と浅い溝とを交互に設けた切断補助線が形成されていることを特徴とする包装材。
【請求項6】
前記印刷又は濃淡の印刷は、フィルムに施された文字及び/又は図案である請求項5に記載の包装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−245639(P2011−245639A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118322(P2010−118322)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000241186)朋和産業株式会社 (73)
【Fターム(参考)】