説明

列車無線システムの無線基地局装置

【課題】中央装置と複数の無線基地局装置が縦列接続される列車無線システムの無線基地局装置21で、中央装置への通知を効果的に行う。
【解決手段】上位側へのアプローチ回線と、下位側へのアプローチ回線を備える。上位側障害検出手段32が、上位側へのアプローチ回線の障害を検出する。接続制御手段31、15が、上位側障害検出手段32により上位側へのアプローチ回線の障害が未検出である場合には上位側へのアプローチ回線を介して中央装置と接続するように制御する一方、上位側障害検出手段32により上位側へのアプローチ回線の障害が検出された場合には下位側へのアプローチ回線を介して中央装置と接続するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車無線システムの無線基地局装置に関し、特に、中央装置への通知を効果的に行う無線基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1では無線中継システムが検討されており、これについて説明する。
この無線中継システムでは、無線機と中継装置を有する中継局を介して無線機を有する固定局と移動局との間の通話が為される。そして、固定局に切替器を設けるとともに、固定局の切替器と中継局の中継装置とを有線回線で接続し、固定局と中継局との間の無線機に障害が発生して無線回線が使用できなくなった場合には、切替器で有線回線側に切り替える。これにより、アプローチを構成する双方の無線機のいずれかが故障等により使用できなくなったときにおいても、移動局と固定局との間の通話を確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−326745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、中継システムについては種々な検討が為されていたが、列車無線システムの無線基地局装置において、中央装置への通知を効果的に行うための構成については、未だに不十分な点があり、更なる開発が要求されていた。
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、中央装置への通知を効果的に行うことができる列車無線システムの無線基地局装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、中央装置と複数の無線基地局装置が縦列接続される列車無線システムの無線基地局装置において、次のような構成とした。
すなわち、上位側へのアプローチ回線と、下位側へのアプローチ回線を備える。上位側障害検出手段が、前記上位側へのアプローチ回線の障害を検出する。接続制御手段が、前記上位側障害検出手段により前記上位側へのアプローチ回線の障害が未検出である(つまり、検出されていない)場合には、前記上位側へのアプローチ回線を介して前記中央装置と接続するように制御する一方、前記上位側障害検出手段により前記上位側へのアプローチ回線の障害が検出された場合には、前記下位側へのアプローチ回線を介して前記中央装置と接続するように制御する。
従って、例えば、上位側へのアプローチ回線の障害が発生した場合においても、中央装置への通知を効果的に行うことができる。
【0006】
ここで、中央装置としては、種々なものが用いられてもよい。
また、複数の無線基地局装置の数としては、種々な数が用いられてもよい。
また、アプローチ回線としては、種々な回線が用いられてもよい。
また、アプローチ回線の障害としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、予め、障害とみなす条件が設定されており、その条件を満たすか否かを検出する手段(例えば、センサなど)が設けられる。
また、例えば、上位側へのアプローチ回線を介して中央装置と接続する状態から、下位側へのアプローチ回線を介して中央装置と接続する状態への切り替えは、種々なタイミングで行われてもよく、具体例として、上位側へのアプローチ回線の障害が検出されたタイミングや、或いは、上位側へのアプローチ回線の障害が検出された後に、緊急情報などの所定のイベントが発生したタイミング、などを用いることができる。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本発明に係る列車無線システムの無線基地局装置によると、中央装置への通知を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1実施例に係る無線基地局装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る無線基地局装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
まず、本実施例に係る列車無線システムの構成例を示しておく。
本実施例に係る列車無線システムでは、複数の無線基地局装置(地上装置)が縦列に接続されており、両端の無線基地局装置がそれぞれ中央装置に接続されている。
各無線基地局装置は、列車に搭載された無線機能を有する車上装置との間で無線により通信し、その通信信号(受信信号や送信信号)を中央装置との間で受け渡すことを行い、また、緊急情報等が発生した場合には、その緊急情報等を中央装置へ通知する。なお、緊急情報としては、例えば、車上装置から発せられるものや、或いは、自己又は他の無線基地局装置から発せられるものなどがある。
【0010】
また、複数の無線基地局装置と車上装置との無線通信では、例えば、車上装置からの信号の受信レベルが最大となる1つの無線基地局装置が当該車上装置との間で無線通信を行うこととし、当該無線基地局装置による当該車上装置からの受信信号が中央装置へ伝送されるように、各無線基地局装置の信号伝送路(アプローチ回線)の接続状態が切り替えられる。列車が移動すると、その列車に搭載された車上装置の通信相手となる無線基地局装置が切り替えられていく。
また、無線基地局装置と中央装置との間の通信は、これらの間に他の無線基地局装置がある場合には当該他の無線基地局装置を経由して行われる。基本的には、中央装置を最上位として、上位側の無線基地局装置から下位側の無線基地局装置への方向(流れ)が設定されており、各無線基地局装置は自己の装置よりも上位側へ信号を伝送する方向で中央装置へ信号を伝送する。
【0011】
なお、本実施例では、列車無線システムを例として説明するが、本実施例に係る技術思想を他のシステム等に適用することも可能であり、例えば、列車無線システム等のように、緊急度の高い情報を伝送する必要のある無線システムに使用すると特に有効である。
【実施例1】
【0012】
本発明の第1実施例を説明する。
図1には、本発明の一実施例に係る列車無線システムの無線基地局装置1の構成例を示してある。
本例の無線基地局装置1は、アンテナ11を有する無線機12、制御部13、受信レベル検出部14、自局切替接続部15、上位(例えば、1つ上位)の無線基地局装置と受信レベルの比較を行うS/N(Signal to Noise)比較部16、下位(例えば、1つ下位)の無線基地局装置と受信レベルの比較を行うS/N比較部17、上位局側のデータ伝送接続スイッチ18を備えている。
【0013】
また、図1において、本例の無線基地局装置1の左側には上位の無線基地局装置(図示せず)が存在しており、自局切替制御部15が上位の無線基地局装置の自局切替制御部と上位側のアプローチ回線を介して接続されており、また、上位側のS/N比較部16が上位の無線基地局装置の下位側のS/N比較部と上位側のS/N回線を介して接続されている。
また、図1において、本例の無線基地局装置1の右側には下位の無線基地局装置(図示せず)が存在しており、自局切替制御部15が下位の無線基地局装置の自局切替制御部と下位側のアプローチ回線を介して接続されており、また、下位側のS/N比較部17が下位の無線基地局装置の上位側のS/N比較部と下位側のS/N回線を介して接続されている。
【0014】
無線機12により受信された信号は、伝送対象となる場合には、アプローチ回線を介して中央装置へ伝送される。
無線機12により受信された信号の受信レベルに関する情報(例えば、S/Nに関する情報)は、S/N回線を介して上位又は下位の無線基地局装置との間で伝送される。
また、S/N回線は、例えば、緊急情報が発生した場合に、その旨を通知するための信号を伝送するためにも使用される。
また、緊急情報が発生した場合には、上位局側データ伝送接続スイッチ18が切り替えられることにより、例えば、緊急情報をS/N比較部16から上位側のアプローチ回線を介して中央装置へ伝送することが行われ、又は、緊急情報をS/N比較部16から上位側のS/N回線へ伝送することもでき、又は、これら両方が行われてもよい。
【0015】
本例の無線基地局装置1において行われる動作の例を示す。
無線基地局装置1では、自局の無線機12による受信レベルを受信レベル検出部14で検出し、その検出結果を制御部13へ伝送する。制御部13は、自局の受信レベルを上位側のS/N比較部16と下位側のS/N比較部17へ伝送して、その判定結果をもらう。
【0016】
制御部13は、自局の受信レベルと上位の無線基地局装置の受信レベルとの比較を行った判定結果をS/N比較部16から入力するとともに、自局の受信レベルと下位の無線基地局装置の受信レベルとの比較を行った判定結果をS/N比較部17から入力し、これらの判定結果を比較して、その比較結果に基づいて自局切替接続部15を制御することにより、無線機12で受信した受信信号の接続制御を行っている。
ここで、無線機12で受信した受信信号については、自局及び上位の無線基地局装置、下位の無線基地局装置と比較を行い、その結果に基づいて接続が切替制御されている。
【0017】
上位局側データ伝送接続スイッチ18は、緊急情報を受信した時に、S/N比較の結果にかかわらずに緊急情報を優先的に接続するように制御される。
例えば、上位の無線基地局装置(上位局)の無線機が接続されている時には、自局における上位局と接続されるS/N比較部16から上位局へ緊急情報受信の通知を伝送し、上位局において下位局(本例の無線基地局装置1)と接続されているS/N比較部(S/N比較部17に対応するもの)により下位局からの緊急信号(ここでは、緊急情報受信の通知)を検出し、上位局が自局切替接続部を下位局に切り替えるようにする、つまり、下位局(本例の無線基地局装置1)からの緊急情報が中央装置へ伝送されるように制御する。
以上のように、本例の無線基地局装置1では、中央装置への通知を効果的に行うことができる。
【実施例2】
【0018】
本発明の第2実施例を説明する。
第2実施例では、上記した第1実施例に係る無線基地局装置1を更に改良したものを示す。
(第1実施例の概要)
まず、上記した第1実施例に係る無線基地局装置1に関する事項を示す。
すなわち、上記した第1実施例に係る無線基地局装置1では、下位の無線基地局装置(下位局)側の処理を考えると、単純に、下位局との間で無線基地局装置間の受信レベルの比較を行って、無線機12による受信信号の接続を自局とするか或いは下位局とするかを切り替えているだけである。
【0019】
例えば、無線基地局装置1では、上位の無線基地局装置での受信中に緊急信号等を受信した場合には、無線基地局装置間の受信レベル比較で上位の無線基地局装置の方が受信レベルが高いと判定されるときには、データ伝送接続スイッチで緊急情報を接続することができるが、上位側のアプローチ回線に障害がある場合には、緊急情報を伝送することができないということがあった。
このように、中央装置と縦列接続されている列車無線システムにおいて、無線基地局装置間で受信レベルの情報を伝送してS/N比較を行い、無線機12で受信した信号の中央装置との接続を制御している無線基地局装置1で、上位側のアプローチ回線に障害がある場合には、緊急情報を確実に伝送することができないということがあった。
【0020】
(第2実施例の構成や動作の説明)
そこで、上記した第1実施例に係る無線基地局装置1を更に改良した無線基地局装置について説明する。
図2には、本発明の一実施例に係る無線基地局装置21の構成例を示してある。
本例の無線基地局装置21は、アンテナ11を有する無線機12、制御部31、受信レベル検出部14、自局切替接続部15、上位(例えば、1つ上位)の無線基地局装置と受信レベルの比較を行うS/N比較部16、下位(例えば、1つ下位)の無線基地局装置と受信レベルの比較を行うS/N比較部17、上位局側のデータ伝送接続スイッチ18、上位側のアプローチ回線検出部32、下位局側のデータ伝送接続スイッチ33を備えている。
【0021】
ここで、説明の便宜上から、図2では、上記した第1実施例に係る図1に示される処理部と同様な処理部については、同一の符号を付してあり、本例では、詳しい説明を省略する。
また、本例の無線基地局装置21の説明では、上記した第1実施例に係る無線基地局装置1と同様な構成や動作の部分については、詳しい説明を省略する。概略的には、本例の無線基地局装置21は、上記した第1実施例に係る無線基地局装置1と同様な動作を行い、更に、上位側のアプローチ回線検出部32や下位局側のデータ伝送接続スイッチ33に関する新たな動作が付加されたものである。
【0022】
本例の無線基地局装置21では、上位側のアプローチ回線の状態を検出する上位側アプローチ回線検出部32を設けてあるとともに、下位局と接続するS/N比較部17と無線機12の受信出力を中央装置と接続する回線(アプローチ回線)との間に、下位局側のS/N比較部17の信号を中央装置に接続するための下位局側データ伝送接続スイッチ33を設けてある。これにより、上位側のアプローチ回線に障害が発生した時においても、下位側経由で緊急情報を中央装置と接続することを実現する。上位側のアプローチ回線に障害が発生したときのタイミングや、緊急信号等を受信したときのタイミングなどで、中央装置とのアプローチ回線接続を下位側に切り替えて緊急情報を優先的に接続するものとした。
【0023】
具体的には、本例の無線基地局装置21では、上位側のアプローチ回線が正常である場合には、中央装置を最上位として、上位側の無線基地局装置から下位側の無線基地局装置への方向(流れ)が設定されており、無線基地局装置21は自己の装置よりも上位側へ信号を伝送する方向で中央装置へ信号を伝送する状態(モード)となっている。
一方、本例の無線基地局装置21では、上位側のアプローチ回線検出部32により上位側のアプローチ回線に障害が発生したことが検出された場合には、中央装置を最下位として、下位側の無線基地局装置から上位側の無線基地局装置への方向(流れ)が設定され、無線基地局装置21は自己の装置よりも下位側へ信号を伝送する方向で中央装置へ信号を伝送する状態(モード)に切り替えられる。
【0024】
このように、本例の無線基地局装置21では、上位側のアプローチ回線が正常である場合には、自局切替接続部15により信号を上位側を経由して中央装置へ伝送するように制御し、上位側のアプローチ回線に障害がある場合には、自局切替接続部15により信号を下位側を経由して中央装置へ伝送するように制御する。
ここで、信号を上位側を経由して伝送する状態(モード)と、信号を下位側を経由して伝送する状態(モード)との切り替えのタイミングとしては、例えば、上位側のアプローチ回線検出部32により上位側のアプローチ回線に障害が発生したことが検出されたときに切り替えが行われてもよく、或いは、上位側のアプローチ回線検出部32により上位側のアプローチ回線に障害が発生したことが検出された状態であって、且つ、その後に緊急情報が発生したことが検出されたときに切り替えが行われてもよい。
【0025】
また、上位側に障害がない状態で緊急情報が発生したときにおける処理の例(処理例1)、(処理例2)、(処理例3)を示す。なお、上位側に障害がある状態で緊急情報が発生したときには、これらの処理例(処理例1)、(処理例2)、(処理例3)に対して、上位と下位とが逆になった処理が行われ、上位と下位の方向以外は同様な処理内容となる。
【0026】
(処理例1)自局の無線機12と中央装置とが接続されているときに、緊急情報が発生した場合には、上位局側データ伝送接続スイッチ18を切り替えることにより、例えば、緊急情報をS/N比較部16から上位側のアプローチ回線へ伝送する、又は、緊急情報をS/N比較部16から上位側のS/N回線へ伝送することもでき、又は、これら両方が行われてもよい。
(処理例2)自局より下位の局と中央装置とが接続されているときに、緊急情報が発生した場合には、自局切替接続部15により自局と下位局との接続を切断して、(例えば、自局の無線機12と中央装置とを接続して、)上位局側データ伝送接続スイッチ18を切り替えることにより、例えば、緊急情報をS/N比較部16から上位側のアプローチ回線へ伝送する、又は、緊急情報をS/N比較部16から上位側のS/N回線へ伝送することもでき、又は、これら両方が行われてもよい。
(処理例3)自局より上位の局と中央装置とが接続されているときに、緊急情報が発生した場合には、自局のS/N比較部16から上位局のS/N比較部へ緊急情報が発生した旨を通知し、これに応じて上位局が自局と接続するように制御し、(これにより、例えば、自局の無線機12と中央装置とを接続して、)上位局側データ伝送接続スイッチ18を切り替えることにより、例えば、緊急情報をS/N比較部16から上位側のアプローチ回線へ伝送する、又は、緊急情報をS/N比較部16から上位側のS/N回線へ伝送することもでき、又は、これら両方が行われてもよい。
【0027】
本例の無線基地局装置21において行われる動作の例を示す。
他の無線基地局装置の受信中で、自局切替接続部15が下位局に接続されている場合に、無線機12が緊急信号を受信したときには、制御部31で緊急信号を判定する。そして、制御部31は、自局の受信レベルが低くて、自局切替接続部15で下位局に接続されていても、無線機12を接続するように自局切替接続部15を制御する。
通常時は、緊急情報を確実に伝送するために、上位の無線基地局装置と受信レベルの比較を行うS/N比較部16で緊急信号を出し直し、緊急信号伝送時間はデータ伝送接続スイッチ18を動作させるように制御部31で制御し、且つ、S/N回線で緊急情報を上位局へ伝送する。
【0028】
次に、上位側のアプローチ回線に障害がある場合には、上位側アプローチ回線検出部32からの情報(障害検出の情報)を制御部31へ伝送し、自局切替接続部15の接続を反転させて中央装置と下位局を経由して接続するようにする。同時に、下位局にもアプローチ回線切替情報を伝送して、以降の(つまり、更に下位の)無線基地局装置のアプローチ回線を反転させる。
【0029】
他の無線基地局装置の受信中で、上位側のアプローチ回線に障害があり、自局切替接続部15が他局に接続されており、無線機12が緊急情報を受信した時には、制御部31で緊急情報を判定して自局を接続するように自局切替接続部15を制御し、且つ、下位の無線基地局装置と受信レベルの比較を行うS/N比較部17で緊急信号を出し直し、緊急信号を伝送する時間に下位局側データ伝送接続スイッチ33を動作させるように制御部31で制御し、緊急情報を中央装置側へ伝送する。
【0030】
以上のように、本例では、中央装置と複数の無線基地局装置が縦列接続される列車無線システムにおいて、次のような無線基地局装置21を構成した。
すなわち、本例の無線基地局装置21は、無線機12の受信レベルを検出する受信レベル検出部14、上位の無線基地局装置とデータ伝送により受信レベルを比較するS/N比較部16、下位の無線基地局装置とデータ伝送により受信レベルを比較するS/N比較部17、アプローチ回線検出部32、受信レベル検出部14及びS/N比較部16、17と情報伝送とアプローチ回線検出部32からの情報を得る制御部31を有し、制御部31からの制御により無線機12で受信した信号を自局切替接続部15で接続制御する。そして、上位局及び下位局と接続するS/N比較部16、17と無線機12の受信出力を中央装置と接続する回線(アプローチ回線)との間に上位局及び下位局ともデータ伝送接続スイッチ18、33を設け、上位側のアプローチ回線に障害がある場合には、制御部31からの情報により、中央装置と接続するS/N比較部からの信号を下位局側の無線機受信出力回線へ接続制御する。
【0031】
このように、本例では、列車無線システムにおいて、中央装置と、上位及び下位の無線基地局装置を有し、無線基地局装置21には上位の無線基地局装置とのアプローチ回線に関するアプローチ回線検出部32を備え、上位の無線基地局装置とのアプローチ回線に障害がある場合には、中央装置と下位の無線基地局装置を接続する。
【0032】
従って、本例の無線基地局装置21では、上位側のアプローチ回線に障害がある場合においても、例えば、緊急情報の受信時などに、中央装置とのアプローチ回線接続を下位側に優先的に接続することができる。これにより、上位側のアプローチ回線に障害が発生しても、例えば、緊急信号を受信すると、下位側の無線基地局装置を経由して確実に緊急情報を伝送することができる。
【0033】
なお、本例の列車無線システムの無線基地局装置21では、上位側アプローチ回線検出部32の機能により上位側へのアプローチ回線の障害を検出する上位側障害検出手段が構成されており、例えば制御部31や自局切替接続部15の機能により上位側の方向で中央装置と接続する状態から下位側の方向で中央装置と接続する状態へ切り替える接続制御手段が構成されている。
【0034】
ここで、本発明に係るシステムや装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々なシステムや装置として提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【符号の説明】
【0035】
1、21・・無線基地局装置、 11・・アンテナ、 12・・無線機、 13、31・・制御部、 14・・受信レベル検出部、 15・・自局切替接続部、 16、17・・S/N比較部、 18・・上位局側のデータ伝送接続スイッチ、 32・・上位側のアプローチ回線検出部、 33・・下位局側のデータ伝送接続スイッチ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央装置と複数の無線基地局装置が縦列接続される列車無線システムの無線基地局装置において、
上位側へのアプローチ回線と、
下位側へのアプローチ回線と、
前記上位側へのアプローチ回線の障害を検出する上位側障害検出手段と、
前記上位側障害検出手段により前記上位側へのアプローチ回線の障害が未検出である場合には前記上位側へのアプローチ回線を介して前記中央装置と接続するように制御する一方、前記上位側障害検出手段により前記上位側へのアプローチ回線の障害が検出された場合には前記下位側へのアプローチ回線を介して前記中央装置と接続するように制御する接続制御手段と、
を備えたことを特徴とする無線基地局装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−258566(P2010−258566A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103870(P2009−103870)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】