説明

列車無線通信システム

【課題】 車掌乗務員不在時の無線回線の有効利用を図った列車無線通信システムを提供する。
【解決手段】 無線機41を搭載した列車4が走行する線路に沿って間隔をおいて配置される複数の無線基地局3A,3B,3C,〜,3Nと、複数の無線基地局と指令卓2に接続される中央制御局1を備える列車無線通信システムにおいて、列車に備える車掌電話機43に、車掌乗務員不在時に操作する不在スイッチ43Aを設け、不在スイッチを押した場合は不在であることを示す車掌不在情報を、基地局を介して中央制御局に送出し、中央制御局ではその車掌不在情報を中央制御局に備える記憶部に記憶することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指令卓と列車の間で通信を行う列車無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
列車無線通信システムは、無線機を搭載した列車が走行する線路に沿って間隔をおいて配置される複数の無線基地局と、該複数の無線基地局と指令卓に接続される中央制御局を備える。
【0003】
指令卓から指令者が列車に通信を行う際は、走行中の列車に近いと思われる無線基地局を、時刻表や運行スケジュールなどを元に推定し、近いと思われる無線基地局の番号と指令したい列車の番号を指令卓で指定し、中央制御局を介して指定した無線基地局から、指令したい列車に対して無線回線を使用して接続して通知することによって、指令卓と列車間の通信を開始する。
【0004】
列車無線通信システムに関する公知文献としては、例えば、特許文献1等が挙げられる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−278049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の列車無線通信システムでは、指令卓や中央制御局は、指令卓から車掌電話機を呼び出し、応答しない場合に、初めて車掌乗務員が不在であると認識していた。
【0007】
しかし、指令卓から車掌電話機を呼び出すために、無線回線を使用して接続するため、車掌乗務員が不在の場合は、接続した無線回線が無駄となり、その分無線回線の有効利用にはなっていなかった。
【0008】
本発明の目的は、車掌乗務員不在時の無線回線の有効利用を図った列車無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、無線機を搭載した列車が走行する線路に沿って間隔をおいて配置される複数の無線基地局と、該複数の無線基地局と指令卓に接続される中央制御局を備える列車無線通信システムにおいて、前記列車に備える車掌電話機に、車掌乗務員不在時に操作する不在スイッチを設け、該不在スイッチを押した場合は不在であることを示す車掌不在情報を、前記基地局を介して前記中央制御局に送信し、前記中央制御局ではその車掌不在情報を前記中央制御局に備える記憶部に記憶することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記記載の列車無線通信システムにおいて、前記記憶部に記憶した前記情報を前記指令卓に通知して、前記指令卓で前記車掌不在情報を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、中央制御局側で車掌乗務員不在を把握しているため、車掌乗務員不在時に、無線回線を使って列車を呼び出す必要がなく、したがって車掌乗務員不在時の無線回線の有効利用を図った列車無線通信システムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明による列車無線通信システムの実施の形態の構成図である。
【0013】
図1において、1は中央制御局、2は指令卓、3A,3B,3C,〜,3Nは無線基地局、4は列車である。
【0014】
無線基地局3A,3B,3C,〜,3Nは、列車4が走行する線路に沿って間隔をおいて配置される。中央制御局1は、無線基地局3A,3B,3C,〜,3Nと指令卓2に接続される。
【0015】
中央制御局1は、制御部11と、制御部11と無線基地局3A,3B,3C,〜,3Nとを接続する無線基地局接続部12A,12B,12C,〜12Nと、車掌不在情報記憶部13を備える。
【0016】
列車4は、アンテナを有する無線機41と、無線機41に接続の制御部42と、制御部42と通話線で接続の車掌電話機43を搭載する。また制御部42に車掌不在情報制御部42Aを設け、車掌電話機43に不在スイッチ43Aを設け、不在スイッチ43Aを制御線で車掌不在情報制御部42Aに接続する。
【0017】
指令卓2から指令者が列車4に通信を行う際は、走行中の列車4に近いと思われる無線基地局(3A,3B,3C,〜,3Nのいずれか)を、時刻表や運行スケジュールなどを元に推定し、近いと思われる無線基地局の番号と指令したい列車4の番号を指令卓2で指定して、中央制御局1に通知する。
【0018】
中央制御局1では制御部11が無線基地局接続部12A,12B,12C,〜12Nのいずれかを介して指定した無線基地局に通知し、指定した無線基地局から、指令したい列車4に対して無線回線を使用して接続して通知することによって、指令卓2と列車4間の通信を開始する。
【0019】
車掌が、車掌用電話機43の近くから離れる際に不在スイッチ43Aを操作すると、車掌不在情報制御部42Aで車掌不在情報が発生し、無線機41より無線回線を利用して近くの無線基地局(3A,3B,3C,〜,3Nのいずれか)に送出する。
【0020】
近くの無線基地局2(3A,3B,3C,〜,3Nのいずれか)では、その車掌不在情報を中央制御局1に送出する。中央制御局1では制御部11がその車掌不在情報を車掌不在情報記憶部13に伝達して車掌不在情報記憶部13に記憶する。
【0021】
車掌不在情報を車掌不在情報記憶部13に記憶することで、中央制御局1側で車掌乗務員不在を把握することができるため、列車を呼び出す際に車掌乗務員不在の時には、無線回線を使って列車を呼び出すことはしない。このことで、車掌乗務員不在時の無線回線の有効利用を図ることができる。
【0022】
中央制御局1側で車掌乗務員不在を把握する具体例としては、車掌不在情報記憶部13に記憶した車掌不在情報を、制御部11が指令卓2に通知し、指令卓2は、内蔵する図示していない表示処理器で情報処理して、車掌乗務員不在を表示する。
【0023】
図2は、指令卓2での車掌乗務員不在の表示の例を示す図である。図2の例では、列車の番号と、その列車に近い無線基地局の番号と、車掌乗務員在・不在(先方車掌、後方車掌)の項が表示され、車掌乗務員在・不在(先方車掌、後方車掌)の項は当初すべてが在の○表示であるが、車掌不在情報が中央制御局1から通知されたとき、指令卓2は、内蔵する図示していない表示処理器で情報処理して、該当する列車の番号の該当する先方車掌か後方車掌の個所を不在の×表示に変える。
【0024】
したがって、指令者は指令卓2をみることで、今どこの列車のどの車掌が不在かを明瞭に知ることができるので、車掌乗務員不在時の無駄な呼び出しをしないですみ、無線回線の有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による列車無線通信システムの実施の形態の構成図である。
【図2】指令卓での車掌乗務員不在の表示の例を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1:中央制御局、2:指令卓、3A,3B,3C,〜,3N:無線基地局、4:列車、11:制御部、12A,12B,12C,〜12N:無線基地局接続部、13:車掌不在情報記憶部、41:アンテナを有する無線機、42:制御部、42A:車掌不在情報制御部、43:車掌電話機、43A:不在スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線機を搭載した列車が走行する線路に沿って間隔をおいて配置される複数の無線基地局と、該複数の無線基地局と指令卓に接続される中央制御局を備える列車無線通信システムにおいて、前記列車に備える車掌電話機に、車掌乗務員不在時に操作する不在スイッチを設け、該不在スイッチを押した場合は不在であることを示す車掌不在情報を、前記基地局を介して前記中央制御局に送出し、前記中央制御局ではその車掌不在情報を前記中央制御局に備える記憶部に記憶することを特徴とする列車無線通信システム。
【請求項2】
請求項1記載の列車無線通信システムにおいて、前記記憶部に記憶した前記情報を前記指令卓に通知して、前記指令卓で前記車掌不在情報を表示することを特徴とする列車無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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