説明

別置式包装処理装置

【課題】円弧状移送経路を有するロータリー型袋移送装置の前記円弧状移送経路を移送される袋に所定の包装処理を行う別置式包装処理装置。包装処理部材を、袋の円弧状移送経路に沿って、かつ袋の移送に同期して移動させる。同時に別置式包装処理装置に、種々のロータリー型袋移送装置に適用し得る汎用性を持たせる。
【解決手段】水平面内で揺動可能かつ伸縮可能に設置されたメインアーム23と、メインアーム23の先端部に昇降可能かつ水平面内で回動可能に軸支されたサブアーム25と、サブアーム25に所定間隔を置いて設置され、複数個の袋5,5に同時に液体を充填する充填ノズル8,9を備える。各部材の作動は互いに独立したサーボモータで行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円弧状移送経路を有するロータリー型容器移送装置に隣接配置され、前記円弧状移送経路を移送される容器に所定の包装処理を行う別置式包装処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
包装機の構成要素として、ロータリー型容器移送装置により水平面上を円弧状移送経路に沿って移送される容器に対し、包装処理部材を同期移動させながら所定の包装処理を施す包装処理装置が知られている。前記包装処理部材は前記円弧状移送経路上の初期位置から、移送される前記容器に同期して前記円弧状移送経路に沿って所定範囲移動(往動)し、往動終点で停止した後、初期位置に復帰移動(復動)する。そして、往動工程(停止時を含む)において前記容器に対し所定の包装処理を施す。
なお、円弧状移送経路を有するロータリー型容器移送装置には、円形の移送経路(円弧状移送経路のみ)又はレーストラック形移送経路(両端に円弧状移送経路)を有するもの等があり、移送方法も連続移送と間欠移送の両方がある。
【0003】
例えば特許文献1に記載されたびん詰め機(本発明の包装機に相当)では、円形移送経路に沿ってびんを間欠移送するテーブル(本発明のロータリー型容器移送装置に相当)の上方位置に液体充填装置(本発明の包装処理装置に相当)を設置している。この充填装置は、前記テーブルの中心(円形移送経路の中心でもある)に位置する支軸と、該支軸に固定された扇状のノズル支持部材と、該ノズル支持部材の周縁に円弧状に所定間隔で配置された複数個の液体充填ノズル(本発明の包装処理部材に相当)を有する。前記支軸の往復回動に伴い、前記充填ノズルがびんの円形(円弧状)移送経路に沿って、びんの移送と同期して間欠移動(往動)し、往動終点で停止後、初期位置に向けて復帰移動(複動)する。また、前記充填ノズルは初期位置で下降し、かつ往動終点で上昇する。前記支軸を往復回動させる機構、すなわち前記充填ノズルを円弧状移送経路に沿って往復動させる機構はテーブルの間欠駆動機構に組み込まれている。
【0004】
特許文献2に記載された包装機では、円形移送経路に沿って袋を間欠移送するテーブル(本発明のロータリー型容器移送装置に相当)の近傍に開口保持装置(本発明の包装処理装置に相当)を設置している。この開口保持装置は、前記円形移送経路の外側に同心円状に設置した円弧状ガイドレールと、該ガイドレールに沿って往復移動可能としたスライダと、該スライダに設置された一対の開口爪(本発明の包装処理部材に相当)及びその開閉機構を有する。前記スライダの往復移動に伴い、前記一対の開口爪が袋の円形(円弧状)移送経路に沿って、袋の移送と同期して間欠移動(往動)し、往動終点で停止後、初期位置に向けて復帰移動(復動)する。また、前記開口爪等は初期位置で下降して、往動開始直後に開き、往動終点で上昇し、初期位置に到達する直前に閉じる。前記スライダを往復移動及び昇降させる機構、すなわち前記開口爪を円弧状移送経路に沿って往復動及び昇降させる機構はテーブルの間欠駆動機構に組み込まれている。
【0005】
特許文献1に記載されたびん詰め機では支軸を中心とした往復回動、特許文献2に記載された包装機ではガイドレールに沿った往復移動というように、いずれも包装処理部材の往復動経路が構造的に定まっている。かつ包装処理部材を往復動させる駆動機構がロータリー型容器移送装置の駆動機構に組み込まれている。このため、包装処理部材を、ロータリー型容器移送装置による円弧状移送経路に沿った容器の移送に同期させて往動させ、かつ初期位置に復帰させることは機構的に比較的容易である。
【0006】
反面、特許文献1,2の装置には次のような問題がある。
(1)包装処理装置を、必要に応じてロータリー型容器移送装置から分離するということが自在にはできない。そのため、例えば特許文献1の装置において、充填液の交換に伴って充填ノズルを洗浄する場合、びん詰め機全体を停止させる必要があり、それによる生産性の低下が避けられない。
(2)包装処理部材は往動時と復動時に必ず同じ経路を通る。そのため、例えば特許文献1の装置において、充填ノズルが復動する際にびんの移送経路上を通り、ノズルから垂れた液体がびんに付着する可能性がある。
【0007】
(3)包装処理装置は、特定のロータリー型容器移送装置に対応させたもので、汎用性がない。例えば同じ包装処理装置を異なる半径の円弧状移送経路をもつロータリー型容器移送装置には適用できない。
(4)同様に、汎用性のなさの一種であるが、包装処理部材の往復動範囲は常に一定で変更がきかない。そのため、例えば特許文献1の装置において、充填する液体の性状や充填量に応じて充填時間を長くとりたい場合は、びんの移送速度を遅くするか停止時間を増やすしかなく、生産性の低下が避けられない。
【0008】
これに対し、駆動機構的にロータリー型容器移送装置から切り離された包装処理装置も存在する。しかし、この種の包装処理装置は、間欠移送式のロータリー型容器移送装置により移送される容器が停止したとき該容器に対し適用されるものか、直線状の移送経路を有するロータリー型容器移送装置により前記直線状移送経路を移送される容器に適用される(直線状移送経路上の容器の移送に同期して包装処理部材を移動させる)ものしか存在しない。前者の場合、包装処理装置は容器の停止位置でのみ作動し(例えば充填ノズルが停止位置で昇降)、容器の移送に同期して移動しない。後者は例えば特許文献3が例示できる。なお、特許文献3に記載された包装処理装置は、駆動機構的にはロータリー型容器移送装置から切り離されているが、容器の移送経路の内側に設置されており、その意味ではロータリー型容器移送装置から構造的に切り離すことはできない。
【0009】
【特許文献1】特公昭59−46874号公報
【特許文献2】特開2009−1322号公報
【特許文献3】特許第4190067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1,2に記載された包装処理装置のように、駆動機構がロータリー型容器移送装置の駆動機構に組み込まれている場合、円弧状移送経路に沿って、かつ容器の移送に同期して包装処理部材を移動させることは、機構的に比較的容易である。しかし、この種の包装処理装置は、もともと先に述べたように汎用性を有しない。
一方、駆動機構的及び構造的にロータリー型容器移送装置から切り離された包装処理装置(別置式包装処理装置という)において、包装処理部材を、容器の円弧状移送経路に沿って、かつ容器の移送に同期して移動させるようにしたものは存在しない。そして、この種の別置式包装処理装置に汎用性を持たせるという発想自体がこれまで存在しなかった。
【0011】
従って、本発明は、円弧状移送経路を有するロータリー型容器移送装置の前記円弧状移送経路を移送される容器に所定の包装処理を行う別置式包装処理装置において、包装処理部材を、容器の円弧状移送経路に沿って、かつ容器の移送に同期して移動させるようにし、同時に前記別置式包装処理装置に、種々のロータリー型容器移送装置に適用し得る汎用性を持たせることを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明(請求項1)は、円弧状移送経路を有するロータリー型容器移送装置に隣接配置され、前記円弧状移送経路を移送される容器に所定の包装処理を行う別置式包装処理装置に関し、前記円弧状移送経路の外側に揺動支点を有し、水平面内で揺動可能でかつ伸縮可能に設置されたアームと、前記アームの先端部に昇降可能に設置された包装処理部材と、前記アームを往復揺動させる駆動源と、前記アームを伸縮させる駆動源と、前記包装処理部材を昇降させる駆動源と、以上の駆動源を制御して、前記包装処理部材を前記円弧状移送経路に沿ってかつ前記容器の移送と同期して往動させ、往動終点に達した後、初期位置に復動させるとともに、往復動行程の所定のタイミングで昇降させる制御装置を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明(請求項2)は、円弧状移送経路を有するロータリー型容器移送装置に隣接配置され、前記円弧状移送経路を移送される容器に所定の包装処理を行う別置式包装処理装置に関し、前記円弧状移送経路の外側に揺動支点を有し、水平面内で揺動可能に設置されたメインアームと、前記メインアームの先端部に水平面内で回動可能に軸支されたサブアームと、前記サブアームに設置され、かつ前記メインアームに対して昇降可能とされた包装処理部材と、前記メインアームを往復揺動させる駆動源と、前記サブアームを軸回りに回動させる駆動源と、前記包装処理部材を昇降させる駆動源と、以上の駆動源を制御して、前記包装処理部材を前記円弧状移送経路に沿ってかつ前記容器の移送と同期して往動させ、往動終点に達した後、初期位置に復動させるとともに、往復動行程の所定のタイミングで昇降させる制御装置を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明(請求項3)は、円弧状移送経路を有するロータリー型容器移送装置に隣接配置され、前記円弧状移送経路を移送される複数個の容器に同時に所定の包装処理を行う別置式包装処理装置に関し、前記円弧状移送経路の外側に揺動支点を有し、水平面内で揺動可能でかつ伸縮可能に設置されたメインアームと、前記メインアームの先端部に水平面内で回動可能に軸支されたサブアームと、前記メインアームに対して昇降可能とされ、かつ前記サブアームに所定間隔を置いて設置されて前記複数個の容器に同時に包装処理を行う複数組の包装処理部材と、前記メインアームを往復揺動させる駆動源と、前記メインアームを伸縮させる駆動源と、前記サブアームを軸回りに回動させる駆動源と、前記包装処理部材を昇降させる駆動源と、以上の駆動源を制御して、前記複数組の包装処理部材を前記円弧状移送経路に沿ってかつ前記複数個の容器の移送と同期して往動させ、往動終点に達した後、初期位置に復動させるとともに、往復動行程の所定のタイミングで昇降させる制御装置を備えることを特徴とする。
【0015】
なお、上記発明(請求項2,3)において、包装処理部材はメインアームに対して昇降可能と記載されているが、これは、サブアームがメインアームに対して昇降可能に設置され、これにより前記包装処理部材がサブアームを介してメインアームに対し昇降可能とされている場合を含む。この場合、包装処理部材を昇降させる駆動源は、前記包装処理部材をサブアームを介してメインアームに対し昇降させる(直接的にはサブアームをメインアームに対して昇降させる)駆動源ということになる。
【0016】
本発明に係るロータリー型容器移送装置と別置式包装処理装置は、いずれも包装機の一部を構成する。別置式包装処理装置は、包装機で行われる包装処理工程の一部を、ロータリー型容器移送装置で移送される容器に対して施す。
本発明でいう円弧状移送経路を有するロータリー型容器移送装置には、円形の移送経路(円弧状移送経路のみ)又はレーストラック形移送経路(両端に円弧状移送経路)等、少なくとも一部に円弧状移送経路を有するロータリー型容器移送装置が含まれる。その移送方法も連続移送と間欠移送の両方が含まれる。
また、本発明でいう包装処理装置(包装処理部材)には、容器の包装処理に用いられる全ての包装処理装置(包装処理部材)が含まれる。例えば、液体充填装置(液体充填ノズル)、ガス充填装置(ガス吹き込みノズル)、キャッピング装置(キャッピングヘッド)等が挙げられる。
【0017】
本発明に係る包装処理装置は、他に次のような具体的形態をとることができる。
(1)包装処理装置を構成する各部位を作動させる駆動源はサーボモータが望ましい。この場合、共通のサーボモータで2以上の作動を行わせてもよく(駆動源の共用)、各作動毎に異なるサーボモータを駆動源として用いてもよい(駆動源の独立)。
(2)包装処理部材の復動経路は往動経路と同一でも、異なっていてもよい。往動経路は容器の円弧状移送経路と同じ円弧状であるが、復動経路は前記円弧状移送経路を外すことができ、また直線状経路を選択することもできる。
(3)包装処理部材は例えば液体充填ノズルである。
(4)包装処理部材は、往動行程と復動行程で移動モードが異なっていてもよい。例えば、往動行程では容器の移送と同期して間欠移動させ、復動行程では連続移動で初期位置に復帰させることもできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る別置式包装処理装置は、包装処理部材を、容器の円弧状移送経路に沿って、かつ容器の移送に同期して移動(往動)させることができ、同時に、種々のロータリー型容器移送装置に適用し得る汎用性を有する。従って、次のような利点を有する。
(1)別置式であるため、必要に応じてロータリー型容器移送装置から分離することができる。これにより、例えば特許文献1に記載されたびん詰め機において、充填液の交換の際、それまで使用した液体充填ノズルの洗浄を待つことなく、別の(液体充填ノズル洗浄済みの)液体充填装置に交換して、直ちにびん詰め機を再稼働させることができ、生産性が向上する。
【0019】
(2)同じ包装処理装置を、例えば異なる半径の円弧状移送経路をもつロータリー型容器移送装置に適用できる。包装処理装置にこの汎用性があることで、包装処理装置の生産コストを低減できる。
(3)包装処理部材の往復動範囲についても汎用性がある。例えば特許文献1に記載されたようなびん詰め機に適用する場合、充填する液体の性状や充填量に応じて長い充填時間が必要であれば、液体充填ノズルの往復動範囲を広げることができる。これによりびんの移送速度(テーブルの回転速度)を落とさずに済み、生産性の低下が避けられる。あるいは必要に応じて液体充填ノズルの往復動範囲を狭めることができる。
【0020】
(4)包装処理部材の復動経路として往動経路とは異なる経路を選択できる。復動経路を容器の円弧状移送経路から外すことで、例えば包装処理部材が液体充填ノズルの場合、ノズルから垂れた液体が容器に付着することが防止できる。また、復動経路として直線状経路を選択すれば復動時間を短縮でき、包装機の生産性を向上できる。
(5)復動行程における包装処理部材の移動モードを選択できる。往動行程で容器の移送と同期して間欠移動させる場合でも、復動行程では連続移動で初期位置に復帰させることもできる。これにより、復動時間を短縮でき、包装機の生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る包装処理装置を備えた包装機の全体斜視図である。
【図2】前記包装機の一部である包装処理装置の平面図である。
【図3】前記包装処理装置の側面図である。
【図4】別の包装処理装置の平面図である。
【図5】さらに別の包装処理装置の平面図である。
【図6】さらに別の包装処理装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1〜図6を参照して、本発明に係る別置式包装処理装置について具体的に説明する。
図1は本発明に係る別置式包装処理装置(液体充填装置1)を備えた間欠回転式袋詰め包装機の斜視図である。また、この袋詰め包装機はロータリー型袋移送装置2を備え、その一部として一方向(図1において左回り)に間欠回転するテーブル3と、その周囲に複数対のグリッパー4,4が等間隔に配置されている。
【0023】
テーブル3の間欠回転に伴い、グリッパー4,4は水平面内で円形の移送経路に沿って間欠的に移動し、テーブル3(グリッパー4,4)が一回転する間に、グリッパー4,4への袋5(図2,3参照)の供給、グリッパー4,4に両側縁を挟持された袋5への液体の充填、袋5の開口部(袋口)のシール等の種々の包装処理工程が実施される。なお、グリッパー4,4の移送経路は袋5の移送経路でもある。
テーブル3の一回転は10回の停止と移動からなり、計10工程にわたり各種の包装処理工程が実施される。
【0024】
図1を参照してより具体的に説明すると、第1工程は給袋工程であり、グリッパー4,4の停止位置(1番目の停止位置)近傍に、該グリッパー4,4に袋5を供給するコンベアマガジン式給袋装置6が配置されている。供給される袋5は上縁が開口した袋で、グリッパー4,4により開口部(袋口)付近の両側縁を挟持され、開口部を上向きにして吊り下げられる。
第2工程は印字工程であり、グリッパー4,4の停止位置(2番目の停止位置)近傍に、該グリッパー4,4に挟持された袋5の袋面に日付等を印字する印字装置(図示省略)が配置されている。
【0025】
第3工程は印字検査工程であり、グリッパー4,4の停止位置(3番目の停止位置)近傍に、該グリッパー4,4に挟持された袋5に施された印字を検査する印字検査装置(図示省略)が配置されている。
第4工程は開口工程であり、グリッパー4,4の停止位置(4番目の停止位置)近傍に、該グリッパー4,4に挟持された袋5の袋口を開口する開口装置7が配置されている。この開口装置7は、互いに接離可能な一対の吸着部材(吸盤)を有する。
【0026】
第5〜7工程は液体充填工程である。この工程は1つの袋5がグリッパー4,4の5番目の停止位置から6番目の停止位置にかけて移送(間欠移送)され、同時にもう1つの袋がグリッパー4,4の6番目の停止位置から7番目の停止位置にかけて移送(間欠移送)される間、各袋5に対し連続して行われる。
液体充填装置1は液体充填工程が行われる袋5の円弧状移送経路の外側に配置され、2つの充填ノズル8,9、各充填ノズル8,9に対応する配管11,12、流路切換弁13,14、容積計量式ポンプ15,16及び共通の液体貯留タンク17、制御盤18等を備え、ロータリー型袋移送装置2から構造上も駆動機構上も独立している。
【0027】
第8工程は第1シール工程であり、グリッパー4,4の停止位置(8番目の停止位置)近傍に、該グリッパー4,4に挟持された袋5の袋口に1回目の熱シールを行う第1シール装置19が配置されている。第1シール装置19は一対のシールバーを有する。
第9工程は第2シール工程であり、グリッパー4,4の停止位置(9番目の停止位置)近傍に、該グリッパー4,4に挟持された袋5の袋口に2回目の熱シールを行う第2シール装置21が配置されている。第2シール装置21は一対のシールバーを有する。
【0028】
第10工程はシール部冷却及び製品放出工程であり、グリッパー4,4の停止位置(10番目の停止位置)近傍に、該グリッパー4,4に挟持された袋5のシール部を冷却するシール部冷却装置22が配置されている。シール装部冷却装置22はシール部を挟持して冷却する一対の冷却バーを有する。
第10工程においてグリッパー4,4が開き、続いて前記冷却バーが開いて、製品となった袋5が落下し、ベルトコンベア等を介して機外に排出される。
なお、20は袋詰め包装機の制御盤である。
【0029】
続いて図2,3を参照して、液体充填装置1についてより詳細に説明する。
液体充填装置1は、袋5の円弧状移送経路の外側に揺動支点を有し、水平面内で揺動可能でかつ伸縮可能に設置されたメインアーム23と、メインアーム23の先端部に昇降可能に設置された鉛直な昇降軸24と、昇降軸24の上端に回動可能に軸支された略V字形のサブアーム25と、サブアーム25の両先端に所定間隔(円弧状移送経路の隣接する2つの停止位置の間隔)を置いて設置された2組の前記充填ノズル8,9を備える。また、メインアーム23を揺動させる駆動源、及びメインアーム23を伸縮させる駆動源が液体充填装置1のボックス26内に収容され、昇降軸24をメインアーム23に対して昇降させる駆動源がメインアーム23の先端部に収納され、サブアーム25を回動させる駆動源がサブアーム25に設置したケース27内に収納されている。各駆動源は互いに独立したサーボモータからなる。
【0030】
各駆動源の作動により、メインアーム23は水平揺動及び伸縮可能であり、サブアーム25及び充填ノズル8,9は軸24(メインアーム23)に対して水平面内で回動し、かつメインアーム23に対して昇降する。
なお、昇降軸24を昇降させる代わりに、サブアーム25に各充填ノズル8,9を昇降自在に設置し、サブアーム25に設置した駆動源により各充填ノズル8,9を昇降させることもできる。また、昇降軸24の上端にサブアーム25を回動自在に設置する代わりに、サブアーム25を昇降軸24の上端に固定するとともに、昇降軸24をメインアーム23に回動自在に設置し、メインアーム23に設置した駆動源により昇降軸24を回動させ、これに伴ってサブアーム25を回動させることもできる。いずれにしても、サブアーム25がメインアーム23に対し水平面内で回動可能とされ、かつ各充填ノズル8,9がメインアーム23に対して昇降可能とされていればよい。
【0031】
液体充填装置1は、以上説明した4つの駆動源(サーボモータ)を制御して、2つの充填ノズル8,9を2つの袋5,5の円弧状移送経路に沿って、かつ前記2つの袋5,5の移送と同期して往動させ、往動終点に達した後、初期位置に復動させるとともに、往復動行程の所定のタイミングで下降及び上昇させる制御装置を備える。ここで、充填ノズル8の初期位置は、円弧状移送経路上の5番目の停止位置(図2にVで示す)であり、往動終点は6番目の停止位置(図2にVIで示す)である。また、充填ノズル9の初期位置は、円弧状移送経路上の6番目の停止位置(図2にVIで示す)であり、往動終点は7番目の停止位置(図2にVIIで示す)である。
【0032】
図2,3を参照しながら、充填ノズル8,9の往復動及び昇降作動を時系列的に説明すると、例えば以下のようになる。
(1)充填ノズル8,9が初期位置において上昇位置にある。ここで、袋口を開口した袋5,5が5,6番目の停止位置に移送されて停止する。
(2)充填ノズル8,9が下降し、その吐出口が袋5,5の袋底付近に達する(図3の仮想線参照)。
(3)流路切換弁13,14が切り換わり、容積計量式ポンプ15,16と充填ノズル8,9との間の流路が連通(容積計量式ポンプ15,16と液体貯留タンク17との間の流路が遮断)し、充填ノズル8,9から袋5,5に液体の充填が開始される。
【0033】
(4)袋5,5が次の停止位置へ向けて移送されるのに伴い、充填ノズル8,9が円弧状移送経路上を袋5,5と同期して移動(往動)し、袋5,5とともに往動終点に到達する。充填ノズル8,9は、往動行程の間及び往動終点に停止している間、袋内の液位の上昇に伴って上昇する。往動行程において、メインアーム23が水平揺動するとともに長さ方向に伸びた状態から縮んで再び伸び、一方、サブアーム25(及び充填ノズル8,9)がメインアーム23に対して回動(図2において左方向に)し、これらの動作が複合して、充填ノズル8,9は前記円弧状経路上を往動する。なお、図2には、充填ノズル8,9が初期位置にあるときのメインアーム23の揺動及び伸縮状態とサブアーム25の回動状態を実線で、充填ノズル8,9が往動行程の中間位置及び往動終点にきたときのメインアーム23の揺動及び伸縮状態とサブアーム25の回動状態を仮想線でそれぞれ図示している。
【0034】
(5)容積計量式ポンプ15,16による充填が終了し、流路切換弁13,14が切り換わり、容積計量式ポンプ15,16と充填ノズル8,9の間との間の流路が遮断(容積計量式ポンプ15,16と液体貯留タンク17との間の流路が連通)し、充填ノズル8,9が上昇し、袋5,5から抜け出る。なお、充填開始までの間に、液体貯留タンク17内の液体が容積計量式ポンプ15,16内に所定量引き込まれる。
(6)続いて袋5,5が次の工程に向けて移送され、その間に、充填ノズル8,9が初期位置に復帰(復動)する。復動経路は往動経路と同じでも、外れていてもよい。外れている場合、充填ノズル8,9から垂れる液体が袋5に付着することが防止できる。また、メインアーム23の伸縮なしに復動させることもできる。
【0035】
次に、図4を参照して別の液体充填装置1Aについて説明する。なお、図4において、図1〜3に示す液体充填装置1の各構成部位と実質的に同等の部位には、同じ番号を付与している。
液体充填装置1Aは、図1〜3に示す液体充填装置1と同様、液体充填工程が行われる袋5の円弧状移送経路の外側に配置され、ロータリー型袋移送装置2から構造上も駆動機構上も独立している。また、図4に図示されていないが、液体充填装置1Aは、流路切換弁や容積計量式ポンプ、及び液体貯留タンク等を備えている。
【0036】
液体充填装置1Aは、袋5の円弧状移送経路の外側に揺動支点を有し、水平面内で揺動可能に設置されたメインアーム23と、メインアーム23の先端部に昇降可能に設置された鉛直な昇降軸(液体充填装置1の昇降軸24と同等の部材)、前記昇降軸の上端に回動可能に設置されたサブアーム25と、サブアーム25の先端に設置された充填ノズル8を備える。また、メインアーム23を揺動させる駆動源が液体充填装置1Aのボックス26内に収容され、前記昇降軸をメインアーム23に対して昇降させる駆動源がメインアーム23の先端部に収納され、サブアーム25を前記昇降軸に対して回動させる駆動源がサブアーム25上部のケース27内に収納されている。各駆動源は互いに独立したサーボモータからなる。このように、液体充填装置1Aは、メインアーム23が伸縮しない点及び充填ノズルが1つである点を除いて、基本構造は図1〜3に示す液体充填装置1とほぼ同じである。
【0037】
各駆動源の作動により、メインアーム23は水平揺動可能であり、サブアーム25及び充填ノズル8はメインアーム23に対して水平面内で回動し、かつ昇降する。
なお、前記昇降軸を昇降させる代わりに、サブアーム25に充填ノズル8を昇降自在に設置し、サブアーム25に設置した駆動源により充填ノズル8を昇降させることもできる。また、昇降軸24の上端にサブアーム25を回動自在に設置する代わりに、サブアーム25を昇降軸24の上端に固定するとともに、昇降軸24をメインアーム23に回動自在に設置し、メインアーム23に設置した駆動源により昇降軸24を回動させ、これに伴ってサブアーム25を回動させることもできる。いずれにしても、サブアーム25がメインアーム23に対し水平面内で回動可能とされ、かつ充填ノズル8がメインアーム23に対して昇降可能とされていればよい。これらの点も、図1〜3に示す液体充填装置1と同じである。
【0038】
液体充填装置1Aは、以上説明した3つの駆動源(サーボモータ)を制御して、充填ノズル8を袋5の円弧状移送経路に沿って、かつ前記袋5の移送と同期して往動させ、往動終点に達した後、初期位置に復動させるとともに、往復動行程の所定のタイミングで下降及び上昇させる制御装置を備える。ここで、ロータリー型袋移送装置2が図1,2に示すものと同じであれば、充填ノズル8の初期位置は、円弧状移送経路上の5番目の停止位置(図4にVで示す)であり、往動終点は6番目の停止位置(図4にVIで示す)である。
【0039】
液体充填装置1Aにおいて、充填ノズル8の往復動及び昇降作動は、図1〜3に示す液体充填装置1とほぼ同様と考えてよい。図4において、充填ノズル8が初期位置にきたときのメインアーム23及びサブアーム25の状態を実線で、充填ノズル8が往動終点にきたときのメインアーム23及びサブアーム25の状態を仮想線で示す。
液体充填装置1Aは、充填ノズル8が1つであるため、袋5が6番目の停止位置(充填ノズル8の往動終点)に停止している間に、往動工程の初期位置に復帰(復動)する必要があり、充填時間及び復動時間が図1〜3に示す液体充填装置1に比べて短くなる。その代わり、図1〜3に示す液体充填装置1では充填工程に使われていた7番目の停止位置(図4にVIIで示す)を、例えばスチーム吹き込みなど、他の包装処理に利用することができる。
【0040】
次に、図5を参照して別の液体充填装置1Bについて説明する。なお、図5において、図2,3に示す液体充填装置1の各構成部位と実質的に同等の部位には、同じ番号を付与している。
液体充填装置1Bは、図2,3に示す液体充填装置1と同様、液体充填工程が行われる袋5の円弧状移送経路の外側に配置され、ロータリー型袋移送装置2から構造上も駆動機構上も独立している。また、図5に図示されていないが、液体充填装置1Bは、流路切換弁や容積計量式ポンプ、及び液体貯留タンク等を備えている。
【0041】
液体充填装置1Bは、袋5の円弧状移送経路の外側に揺動支点を有し、水平面内で揺動可能でかつ伸縮可能に設置されたアーム23と、アーム23の先端部に昇降可能に設置された充填ノズル8を備える。また、アーム23を揺動させる駆動源、及びアーム23を伸縮させる駆動源が液体充填装置1Bのボックス26内に収容され、充填ノズル8を昇降させる駆動源がアーム23の先端部に収容されている。各駆動源は互いに独立したサーボモータからなる。
【0042】
各駆動源の作動により、アーム23は水平揺動可能及び伸縮可能であり、充填ノズル8はアーム23に対して昇降する。
液体充填装置1Bは、以上説明した3つの駆動源(サーボモータ)を制御して、充填ノズル8を袋5の円弧状移送経路に沿って、かつ前記袋5の移送と同期して往動させ、往動終点に達した後、初期位置に復動させるとともに、往復動行程の所定のタイミングで下降及び上昇させる制御装置を備える。ここで、ロータリー型袋移送装置2が図2に示すものと同じであれば、充填ノズル8の初期位置は、円弧状移送経路上の5番目の停止位置(図5にVで示す)であり、往動終点は6番目の停止位置(図5にVIで示す)である。
【0043】
液体充填装置1Bにおいて、充填ノズル8の往復動及び昇降作動は、図4に示す液体充填装置4とほぼ同様である。図5において、充填ノズル8が初期位置にきたときのアーム23の状態を実線で、充填ノズル8が往動終点にきたときのアーム23の状態を仮想線で示す。
液体充填装置1Bでも、充填ノズル8が1つであるため、袋5が6番目の停止位置(充填ノズル8の往動終点)に停止している間に、往動工程の初期位置に復帰(復動)する必要があり、充填時間及び復動時間が図2に示す液体充填装置1に比べて短くなる。その代わり、図2に示す液体充填装置1では充填工程に使われていた7番目の停止位置(図5にVIIで示す)を、例えばスチーム吹き込みなど、他の包装処理に利用することができる。
【0044】
次に、図6を参照して別の液体充填装置1Cについて説明する。なお、図6において、図1〜3に示す液体充填装置1の各構成部位と実質的に同等の部位には、同じ番号を付与している。
液体充填装置1Cは、図1〜3に示す液体充填装置1と同様、液体充填工程が行われる円弧状移送経路の外側に配置され、ロータリー型袋移送装置(図示せず)から構造上も駆動機構上も独立している。
【0045】
液体充填装置1Cは、全工程において2個の袋に対し同時に包装操作を行う、いわゆるW型袋詰め包装機(例えば特開2004−244085号公報参照)に対応させたものである。この場合のロータリー型袋移送装置は、2個の袋を同時に円形移送経路に沿って間欠的に移送するW型である。
液体充填装置1Cは、W型ロータリー型袋移送装置に対応して、合計4個の充填ノズル8,28及び9,29を有する。また、充填ノズル8,28及び9,29のそれぞれに対応する配管11,31及び12,32、流路切換弁13,33及び14,34、容積計量式ポンプ15,35及び16,36を有する。
【0046】
一方、液体充填装置1Cの他の全ての基本構造は、図1〜3に示す液体充填装置1と同一であり、メインアーム23、昇降軸24及びサブアーム25を備え、サブアーム25に前記充填ノズル8,28及び9,29が設置されている。また、メインアーム23、昇降軸24及びサブアーム25の機能は、駆動源を含めて図1〜3に示す液体充填装置1と同一である。
例えば、W型ロータリー型袋移送装置が、図1に示すものと同じく1回転で10回停止し、5番目の停止位置から7番目の停止位置の間で、液体充填装置1Cにより液体の充填が行われるとした場合、充填ノズル8,28の初期位置は、円弧状移送経路上の5番目の停止位置であり、往動終点は6番目の停止位置である。また、充填ノズル9,29の初期位置は、円弧状移送経路上の6番目の停止位置であり、往動終点は7番目の停止位置である。そして、充填ノズル8,28,9,29は、それぞれの初期位置から往動終点まで前記円弧状移送経路上を袋の移送に同期して往動し、往動終点に達した後、初期位置に復動するとともに、往復動行程の所定のタイミングで下降及び上昇する。
【符号の説明】
【0047】
1,1A,1B,1C 液体充填装置
2 ロータリー型袋移送装置
4 グリッパー
5 袋
8,9,28,29 充填ノズル
23 メインアーム
24 昇降軸
25 サブアーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円弧状移送経路を有するロータリー型容器移送装置に隣接配置され、前記円弧状移送経路を移送される容器に所定の包装処理を行う別置式包装処理装置において、前記円弧状移送経路の外側に揺動支点を有し、水平面内で揺動可能でかつ伸縮可能に設置されたアームと、前記アームの先端部に昇降可能に設置された包装処理部材と、前記アームを往復揺動させる駆動源と、前記アームを伸縮させる駆動源と、前記包装処理部材を昇降させる駆動源と、以上の駆動源を制御して、前記包装処理部材を前記円弧状移送経路に沿ってかつ前記容器の移送と同期して往動させ、往動終点に達した後、初期位置に復動させるとともに、往復動行程の所定のタイミングで昇降させる制御装置を備えることを特徴とする別置式包装処理装置。
【請求項2】
円弧状移送経路を有するロータリー型容器移送装置に隣接配置され、前記円弧状移送経路を移送される容器に所定の包装処理を行う別置式包装処理装置において、前記円弧状移送経路の外側に揺動支点を有し、水平面内で揺動可能に設置されたメインアームと、前記メインアームの先端部に水平面内で回動可能に軸支されたサブアームと、前記サブアームに設置され、かつ前記メインアームに対して昇降可能とされた包装処理部材と、前記メインアームを往復揺動させる駆動源と、前記サブアームを軸回りに回動させる駆動源と、前記包装処理部材を昇降させる駆動源と、以上の駆動源を制御して、前記包装処理部材を前記円弧状移送経路に沿ってかつ前記容器の移送と同期して往動させ、往動終点に達した後、初期位置に復動させるとともに、往復動行程の所定のタイミングで昇降させる制御装置を備えることを特徴とする別置式包装処理装置。
【請求項3】
円弧状移送経路を有するロータリー型容器移送装置に隣接配置され、前記円弧状移送経路を移送される複数個の容器に同時に所定の包装処理を行う別置式包装処理装置において、前記円弧状移送経路の外側に揺動支点を有し、水平面内で揺動可能でかつ伸縮可能に設置されたメインアームと、前記メインアームの先端部に水平面内で回動可能に軸支されたサブアームと、前記メインアームに対して昇降可能とされ、かつ前記サブアームに所定間隔を置いて設置されて前記複数個の容器に同時に包装処理を行う複数組の包装処理部材と、前記メインアームを往復揺動させる駆動源と、前記メインアームを伸縮させる駆動源と、前記サブアームを軸回りに回動させる駆動源と、前記包装処理部材を昇降させる駆動源と、以上の駆動源を制御して、前記複数組の包装処理部材を前記円弧状移送経路に沿ってかつ前記複数個の容器の移送と同期して往動させ、往動終点に達した後、初期位置に復動させるとともに、往復動行程の所定のタイミングで昇降させる制御装置を備えることを特徴とする別置式包装処理装置。
【請求項4】
前記各駆動源がそれぞれ独立したサーボモータからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された別置式包装処理装置。
【請求項5】
前記包装処理部材の復動経路が往動経路とは異なることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された別置式包装処理装置。
【請求項6】
前記包装処理部材の復動経路が直線状であることを特徴とする請求項5に記載された別置式包装処理装置。
【請求項7】
前記包装処理部材が液体充填ノズルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載された別置式包装処理装置。
【請求項8】
前記ロータリー型容器移送装置が前記容器を移送経路に沿って間欠的に移送する間欠移送式ロータリー型容器移送装置であり、前記包装処理部材は往動行程において間欠移動し、復動行程において連続移動して初期位置に復帰することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載された別置式包装処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−173644(P2011−173644A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41182(P2010−41182)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000222727)東洋自動機株式会社 (91)
【Fターム(参考)】