説明

制動灯制御装置および車両用機器の制御装置

【課題】車両に複数の制動灯が設けられる場合において、複数の制動灯が同時に点灯不能になるのを回避することが可能な制動灯制御装置を提供する。
【解決手段】制動灯制御装置100は、車両150に設けられた制動灯153を点灯させる点灯回路1と、車両150に設けられた制動灯154を点灯させる点灯回路2と、点灯回路1および2を制御する制御回路3とを備える。点灯回路1、2、および制御回路3には、入力線4から点灯指令信号が入力される。点灯回路1のグランド線7と、点灯回路2のグランド線8とは別個に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた制動灯などの周辺機器を制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設けられた制動灯の制御に関して、単純な点消灯を行うだけではなく、複雑な制御を行うためにCPU等の制御回路を用いて点消灯制御を行うことが種々知られている(たとえば、特許文献1〜3参照)。これらのCPUを用いた従来の技術では、制動灯の制御において、制動灯を点滅させることや、一つの制動灯を複数の光源で構成し、状況に応じて光源ごとの点消灯を制御するなどの複雑な制御を行なっている。
【0003】
上記特許文献1には、ストップランプと、ストップランプを駆動するストップランプ駆動手段とを備えた車両のストップランプ制御装置が開示されている。このストップランプ制御装置では、車両が制動状態のときに、ストップランプ駆動手段によりストップランプが点灯されるとともに、車両が急制動状態のときに、ストップランプ駆動手段によりストップランプが点滅される。
【0004】
上記特許文献2には、車両の後部灯火と、後部灯火の点灯作動モードを決定する灯火制御ユニットと、車両が障害物に接触する可能性があると判断した場合に、自動的にブレーキを作動させる自動ブレーキ電子制御ユニットと、車両の減速度を検出する減速度センサとを備えた車両用灯火制御装置が記載されている。この車両用灯火制御装置では、自動ブレーキ電子制御ユニットにより自動的にブレーキが作動された後において、減速度が所定値以上になるまでは、灯火制御ユニットにより後部灯火が点滅され、減速度が所定値以上になった場合には、灯火制御ユニットにより後部灯火が点灯される。
【0005】
上記特許文献3には、ストップランプ点灯時にのみ点灯する第1のLED(ストップランプを構成する光源)と、ストップランプ点灯時およびテールランプ点灯時に点灯する第2のLED(テールランプであり、かつ、ストップランプを構成する光源)とを備えた車載用のテール/ストップランプが記載されている。このテール/ストップランプは、ストップランプ点灯時およびテールランプ点灯時の光出力を切り替えることが可能である。
【0006】
ここで、制動灯は、車両に複数設けられる。そして、車両に複数の制動灯が設けられる場合には、制動灯制御装置は、各制動灯の点消灯動作を行う複数の点灯回路を有する場合が多い。さらに、制動灯に対して複雑な制御を行う場合には、制御回路(CPU)からの指令によって各点灯回路が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−195976号公報
【特許文献2】特開2002−52977号公報
【特許文献3】特開2004−34741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のように、各制動灯を点消灯させる複数の点灯回路を有し、各点灯回路を制御回路(CPU)にて制御する制動灯制御装置においては、複数の点灯回路と、複数の点灯回路を制御する制御回路とが1本のグランド線を共有している。その場合には、1本のグランド線が断線することにより、複数の点灯回路および制御回路が同時に作動不能になるので、複数の制動灯が同時に点灯不能になるという問題点がある。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するものであって、その目的とするところは、車両に複数の制動灯が設けられる場合において、複数の制動灯が同時に点灯不能になるのを回避することが可能な制動灯制御装置を提供することである。
【0010】
また、本発明のもう1つの目的は、車両に同様の機能を有する複数の周辺機器が設けられる場合において、複数の周辺機器が同時に作動不能になるのを回避することが可能な車両用機器の制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の制動灯制御装置は、車両に設けられた第1の制動灯を点灯させる第1の点灯回路と、車両に設けられた第2の制動灯を点灯させる第2の点灯回路と、第1の点灯回路および第2の点灯回路を制御する制御回路とを備え、第1の点灯回路、第2の点灯回路、および制御回路には、指令信号の入力線が接続されており、第1の点灯回路のグランド線と、第2の点灯回路のグランド線とが別個に設けられている。
【0012】
このように構成することによって、第1の点灯回路のグランド線が断線することにより、第1の点灯回路が作動不能になり、第1の制動灯が点灯不能になった場合にも、第2の点灯回路のグランド線が別個に設けられているので、第2の点灯回路が作動可能であり、第2の制動灯を点灯させることができる。また、第2の点灯回路のグランド線が断線することにより、第2の点灯回路が作動不能になり、第2の制動灯が点灯不能になった場合にも、第1の点灯回路のグランド線が別個に設けられているので、第1の点灯回路が作動可能であり、第1の制動灯を点灯させることができる。また、制御回路のグランド線が断線することにより、制御回路が作動不能になった場合にも、第1の点灯回路および第2の点灯回路が入力される指令信号に基づいて駆動信号を生成するので、第1の制動灯および第2の制動灯を点灯させることができる。これにより、複数の点灯回路および制御回路が1本のグランド線を共有する場合と異なり、グランド線の断線に起因して、第1の制動灯および第2の制動灯が同時に点灯不能になるのを回避することができる。その結果、後続車の追突事故が発生するのを抑制することができる。
【0013】
上記制動灯制御装置において、制御回路のグランド線は、第1の点灯回路のグランド線、または、第2の点灯回路のグランド線に接続されていてもよい。
【0014】
上記制動灯制御装置において、第1の点灯回路は、第1の点灯回路のグランド線が断線していない状態において、制御回路からの制御信号、および、入力線からの指令信号のうち、少なくともいずれか一方が入力されている場合に、第1の制動灯を点灯し、第2の点灯回路は、第2の点灯回路のグランド線が断線していない状態において、制御回路からの制御信号、および、入力線からの指令信号のうち、少なくともいずれか一方が入力されている場合に、第2の制動灯を点灯するようにしてもよい。
【0015】
上記制動灯制御装置において、第1の制動灯は、車両の後方右側に設けられた制動灯を含み、第2の制動灯は、車両の後方左側に設けられた制動灯を含むようにしてもよい。
【0016】
上記第1の制動灯が後方右側に設けられた制動灯を含み、第2の制動灯が後方左側に設けられた制動灯を含む制動灯制御装置において、第1の制動灯は、車両の後方中央に設けられた制動灯をさらに含むようにしてもよい。
【0017】
上記第1の制動灯が後方右側に設けられた制動灯を含み、第2の制動灯が後方左側に設けられた制動灯を含む制動灯制御装置において、車両に設けられた第3の制動灯を点灯させる第3の点灯回路をさらに備え、第3の点灯回路のグランド線は、第1の点灯回路のグランド線、および、第2の点灯回路のグランド線とは別個に設けられ、第3の制動灯は、車両の後方中央に設けられた制動灯を含むようにしてもよい。
【0018】
また、本発明の車両用機器の制御装置は、車両に設けられた第1の周辺機器を駆動する第1の駆動回路と、車両に設けられ、第1の周辺機器と同様の機能を有する第2の周辺機器を駆動する第2の駆動回路と、第1の駆動回路および第2の駆動回路を制御する制御回路とを備え、第1の駆動回路、第2の駆動回路、および制御回路には、指令信号の入力線が接続されており、第1の駆動回路のグランド線と、第2の駆動回路のグランド線とが別個に設けられている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、車両に複数の制動灯が設けられる場合において、複数の制動灯が同時に点灯不能になるのを回避することが可能な制動灯制御装置を提供することができる。また、車両に同様の機能を有する複数の周辺機器が設けられる場合において、複数の周辺機器が同時に作動不能になるのを回避することが可能な車両用機器の制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態による制動灯制御装置および車両の構成を示したブロック図である。
【図2】図1の制動灯制御装置の正常時の動作を説明するための図である。
【図3】図1の制動灯制御装置のグランド線の断線時の動作を説明するための図である。
【図4】図1の制動灯制御装置のグランド線の断線時の動作を説明するための図である。
【図5】図1の制動灯制御装置のグランド線の断線時の動作を説明するための図である。
【図6】図1の制動灯制御装置のグランド線の断線時の動作を説明するための図である。
【図7】本発明の一実施形態の第1変形例による制動灯制御装置および車両の構成を示したブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態の第2変形例による制動灯制御装置および車両の構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による制動灯制御装置100および車両150の構成について説明する。なお、制動灯制御装置100は、本発明の「車両用機器の制御装置」の一例である。
【0023】
車両150は、図1に示すように、制動装置(ブレーキ)151と、車両制御装置152と、制動灯(ブレーキランプ)153および154と、制動灯制御装置100とを備えている。
【0024】
車両150は、たとえば、自動四輪車である。制動装置151は、走行中の車両150を減速させるために設けられている。車両制御装置152は、車両150の動作を制御する。たとえば、車両制御装置152は、制動装置151が作動することにより制動が開始された場合に、点灯指令信号を制動灯制御装置100に出力する。
【0025】
制動灯153は、車両150の後方右側に設けられ、制動灯154は、車両150の後方左側に設けられている。なお、制動灯153は、本発明の「第1の制動灯」および「第1の周辺機器」の一例であり、制動灯154は、本発明の「第2の制動灯」および「第2の周辺機器」の一例である。
【0026】
本実施形態による制動灯制御装置100は、制動灯153を点灯させる点灯回路1と、制動灯154を点灯させる点灯回路2と、点灯回路1および2を制御する制御回路3とを含んでいる。なお、点灯回路1は、本発明の「第1の点灯回路」および「第1の駆動回路」の一例であり、点灯回路2は、本発明の「第2の点灯回路」および「第2の駆動回路」の一例である。
【0027】
点灯回路1は、入力線4を介して車両制御装置152に接続されるとともに、制御信号線5aを介して制御回路3に接続されている。また、点灯回路1は、駆動信号線6aを介して制動灯153に接続されるとともに、グランド線7を介して接地されている。
【0028】
点灯回路2は、入力線4を介して車両制御装置152に接続されるとともに、制御信号線5bを介して制御回路3に接続されている。また、点灯回路2は、駆動信号線6bを介して制動灯154に接続されるとともに、グランド線8を介して接地されている。この点灯回路2のグランド線8は、点灯回路1のグランド線7とは別個に設けられている。
【0029】
制御回路3は、CPU等から構成されており、入力線4を介して車両制御装置152に接続されるとともに、グランド線9を介して接地されている。このグランド線9は、点灯回路2のグランド線8に接続されている。すなわち、グランド線8および9は、共有部分10を有する。
【0030】
次に、図2〜図6を参照して、本実施形態による制動灯制御装置100の制動時の動作について説明する。なお、図2〜図6においては、信号の流れを矢印で表してある。
【0031】
(正常時)
まず、制動装置151が作動することにより制動が開始される。そして、制動が開始された場合には、図2に示すように、車両制御装置152から点灯指令信号が入力線4に出力される。これにより、車両制御装置152から出力される点灯指令信号が、入力線4を介して制御回路3と点灯回路1および2とに入力される。
【0032】
そして、制御回路3では、入力された点灯指令信号に基づいて制御信号が生成される。その後、生成された制御信号が制御回路3からそれぞれ制御信号線5aおよび5bを介して点灯回路1および2に出力される。
【0033】
そして、点灯回路1および2では、それぞれ、入力された制御信号に基づいて駆動信号が生成される。その後、点灯回路1で生成された駆動信号が駆動信号線6aを介して制動灯153に出力されるとともに、点灯回路2で生成された駆動信号が駆動信号線6bを介して制動灯154に出力される。
【0034】
そして、制動灯153は、点灯回路1から入力される駆動信号に基づいて点灯するとともに、制動灯154は、点灯回路2から入力される駆動信号に基づいて点灯する。
【0035】
(グランド線7の断線時)
図3に示すように、グランド線7が断線しているときには、点灯回路1が作動不能になる。この状態のときに、制動が開始された場合には、車両制御装置152から点灯指令信号が入力線4に出力される。これにより、車両制御装置152から出力される点灯指令信号が、入力線4を介して制御回路3と点灯回路1および2とに入力される。
【0036】
そして、制御回路3では、入力された点灯指令信号に基づいて制御信号が生成される。その後、生成された制御信号が制御回路3からそれぞれ制御信号線5aおよび5bを介して点灯回路1および2に出力される。
【0037】
そして、点灯回路2では、入力された制御信号に基づいて駆動信号が生成される。その後、点灯回路2で生成された駆動信号が駆動信号線6bを介して制動灯154に出力される。このとき、点灯回路1では、グランド線7が断線していることにより、駆動信号が生成されない。
【0038】
そして、制動灯154は、点灯回路2から入力される駆動信号に基づいて点灯する。一方、制動灯153は、点灯回路1から駆動信号が入力されないので、点灯しない。このように、点灯回路1のグランド線7が断線することにより、点灯回路1が作動不能になり、制動灯153が点灯不能になった場合にも、点灯回路2のグランド線8がグランド線7とは別個に設けられているので、点灯回路2が作動可能であり、制動灯154を点灯させることが可能である。
【0039】
(グランド線8の断線時)
図4に示すように、グランド線8の共有部分10以外の部分が断線しているときには、点灯回路2が作動不能になる。この状態のときに、制動が開始された場合には、車両制御装置152から点灯指令信号が入力線4に出力される。これにより、車両制御装置152から出力される点灯指令信号が、入力線4を介して制御回路3と点灯回路1および2とに入力される。
【0040】
そして、制御回路3では、入力された点灯指令信号に基づいて制御信号が生成される。その後、生成された制御信号が制御回路3からそれぞれ制御信号線5aおよび5bを介して点灯回路1および2に出力される。
【0041】
そして、点灯回路1では、入力された制御信号に基づいて駆動信号が生成される。その後、点灯回路1で生成された駆動信号が駆動信号線6aを介して制動灯153に出力される。このとき、点灯回路2では、グランド線8が断線していることにより、駆動信号が生成されない。
【0042】
そして、制動灯153は、点灯回路1から入力される駆動信号に基づいて点灯する。一方、制動灯154は、点灯回路2から駆動信号が入力されないので、点灯しない。このように、点灯回路2のグランド線8の共有部分10以外の部分が断線することにより、点灯回路2が作動不能になり、制動灯154が点灯不能になった場合にも、点灯回路1のグランド線7がグランド線8とは別個に設けられているので、点灯回路1が作動可能であり、制動灯153を点灯させることが可能である。
【0043】
(グランド線9の断線時)
図5に示すように、グランド線9の共有部分10以外の部分が断線しているときには、制御回路3が作動不能になる。この状態のときに、制動が開始された場合には、車両制御装置152から点灯指令信号が入力線4に出力される。これにより、車両制御装置152から出力される点灯指令信号が、入力線4を介して制御回路3と点灯回路1および2とに入力される。
【0044】
このとき、制御回路3では、グランド線9が断線していることにより、制御信号が生成されない。
【0045】
そして、点灯回路1および2では、制御回路3から制御信号が入力されていない場合には、車両制御装置152から入力される点灯指令信号に基づいて駆動信号が生成される。その後、点灯回路1で生成された駆動信号が駆動信号線6aを介して制動灯153に出力されるとともに、点灯回路2で生成された駆動信号が駆動信号線6bを介して制動灯154に出力される。
【0046】
そして、制動灯153は、点灯回路1から入力される駆動信号に基づいて点灯するとともに、制動灯154は、点灯回路2から入力される駆動信号に基づいて点灯する。このように、制御回路3のグランド線9の共有部分10以外の部分が断線することにより、制御回路3が作動不能になった場合にも、点灯回路1および2が入力される点灯指令信号に基づいて駆動信号を生成するので、制動灯153および154を点灯させることが可能である。
【0047】
(共有部分10の断線時)
図6に示すように、グランド線8および9の共有部分10が断線しているときには、制御回路3および点灯回路2が作動不能になる。この状態のときに、制動が開始された場合には、車両制御装置152から点灯指令信号が入力線4に出力される。これにより、車両制御装置152から出力される点灯指令信号が、入力線4を介して制御回路3と点灯回路1および2とに入力される。
【0048】
このとき、制御回路3では、グランド線9の共有部分10が断線していることにより、制御信号が生成されない。
【0049】
そして、点灯回路1では、制御回路3から制御信号が入力されていない場合には、車両制御装置152から入力される点灯指令信号に基づいて駆動信号が生成される。その後、点灯回路1で生成された駆動信号が駆動信号線6aを介して制動灯153に出力される。このとき、点灯回路2では、グランド線8の共有部分10が断線していることにより、駆動信号が生成されない。
【0050】
そして、制動灯153は、点灯回路1から入力される駆動信号に基づいて点灯する。一方、制動灯154は、点灯回路2から駆動信号が入力されないので、点灯しない。このように、グランド線8および9の共有部分10が断線することにより、制御回路3および点灯回路2が作動不能になった場合にも、点灯回路1が入力される点灯指令信号に基づいて駆動信号を生成するので、制動灯153を点灯させることが可能である。
【0051】
本実施形態では、上記のように、点灯回路1のグランド線7と、点灯回路2のグランド線8とを別個に設け、点灯指令信号を制御回路3と点灯回路1および2とに入力する。これによって、点灯回路1のグランド線7が断線することにより、点灯回路1が作動不能になり、制動灯153が点灯不能になった場合にも、点灯回路2のグランド線8が別個に設けられているので、点灯回路2が作動可能であり、制動灯154を点灯させることができる。また、点灯回路2のグランド線8の共有部分10以外の部分が断線することにより、点灯回路2が作動不能になり、制動灯154が点灯不能になった場合にも、点灯回路1のグランド線7が別個に設けられているので、点灯回路1が作動可能であり、制動灯153を点灯させることができる。また、制御回路3のグランド線9の共有部分10以外の部分が断線することにより、制御回路3が作動不能になった場合にも、点灯回路1および2が入力される点灯指令信号に基づいて駆動信号を生成するので、制動灯153および154を点灯させることができる。これにより、複数の点灯回路および制御回路が1本のグランド線を共有する場合と異なり、グランド線の断線に起因して、車両150の制動時に制動灯153および154が同時に点灯不能になるのを回避することができる。その結果、少なくとも一方の制動灯を点灯させて後続車にブレーキ動作を伝えることが可能となり、これによって後続車の追突事故が発生するのを抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態では、点灯回路2のグランド線8と、制御回路3のグランド線9とが共有部分10を有する。これによって、共有部分10が断線することにより、制御回路3が作動不能になった場合には、点灯回路2も作動不能になるので、制動灯154が点灯不能になる。これにより、共有部分10が断線した場合には、制動灯153のみが点灯可能であるので、制動灯153および154が同時に点灯不能になるのを回避しながら、利用者が断線の発生を容易に知ることができる。なお、図5の場合は、断線が発生していても制動灯153、154が両方とも点灯するので、断線検知機能のない車両の場合は外部から異常を知ることができない。これに対して、図6の場合は、断線が発生すると一方の制動灯153のみしか点灯しないので、断線検知機能のない車両の場合でも、外部から異常を知ることができる。したがって、制御回路3のグランド線9に占める共有部分10の割合は大きい方が好ましい。
【0053】
ところで、このように制御回路3を用いて制動灯153および154の点消灯制御を行う場合は、単純にブレーキのON/OFFに合わせて制動灯を点消灯させる場合と異なり、グランド線7〜9の配線も含めた回路構成が複雑となる。このため、グランド線7〜9が断線する可能性も増大するが、本実施形態によれば、たとえグランド線が断線した場合でも、制動灯153および154が同時に点灯不能になるのを回避することができる。
【0054】
さらに、制御回路3と制動灯153および154のグランド線7〜9が別々に設けられている場合であっても、点灯のための指令信号が制御回路3にのみ入力されたのでは、制御回路3が作動不能となった場合に制動灯153および154の点灯が行われない。しかるに、本実施形態では、制動灯153および154を点灯させるための指令信号を、制御回路3を介さずに制動灯153および154にそれぞれ入力している。これにより、制御回路3がグランド線9の共有部分10以外の部分の断線により作動不能となった場合であっても、制御回路3を介さない入力線4からの指令信号により、制動灯153および154の点灯が行われる。
【0055】
なお、本実施形態では、車両150の制動時に、制動灯制御装置100が制動灯153および154を点灯させる例を示したが、これに限らず、車両150の制動時に、制動灯制御装置100が制動灯153および154を点滅させたり、制動灯153および154の明るさを変化させるようにしてもよい。このような制御は、制御回路3により、車両制御装置152から入力される指令信号に応じて制御信号が生成されることにより行われる。
【0056】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、上記実施形態では、車両150に2つの制動灯(制動灯153および154)が設けられる例を示したが、これに限らず、車両に3つ以上の制動灯が設けられていてもよい。
【0057】
たとえば、図7に示す本実施形態の第1変形例による車両250のように、車両250の後方右側に設けられる制動灯153と、車両250の後方左側に設けられる制動灯154とに加えて、車両250の後方中央に制動灯251が設けられていてもよい。この制動灯251には、駆動信号線6aを介して点灯回路1が接続されている。なお、制動灯251は、本発明の「第1の制動灯」の一例である。
【0058】
また、図8に示す本実施形態の第2変形例による車両250のように、車両250の後方右側に設けられる制動灯153と、車両250の後方左側に設けられる制動灯154とに加えて、車両250の後方中央に制動灯252が設けられていてもよい。この場合、制動灯制御装置200は、制動灯252を点灯させる点灯回路201を含む。なお、制動灯制御装置200のその他の構成は、制動灯制御装置100(図1参照)と同様であるので説明を省略する。点灯回路201は、入力線4を介して車両制御装置152に接続されるとともに、制御信号線5cを介して制御回路3に接続されている。また、点灯回路201は、駆動信号線6cを介して制動灯252に接続されるとともに、グランド線202を介して接地されている。この点灯回路201のグランド線202は、点灯回路1のグランド線7、および、点灯回路2のグランド線8とは別個に設けられている。なお、制動灯252は、本発明の「第3の制動灯」の一例である。
【0059】
また、上記実施形態では、制御回路3のグランド線9が点灯回路2のグランド線8に接続されることにより、グランド線8および9が共有部分10を有する例を示したが、これに限らず、制御回路3のグランド線9が点灯回路1のグランド線7に接続されることにより、グランド線7および9が共有部分を有するようにしてもよい。また、制御回路3のグランド線9と、点灯回路2のグランド線8とが共有部分10を有することなく、別個に設けられていてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、制動灯制御装置100に本発明を適用する例を示したが、これに限らず、前照灯制御装置などのその他の制御装置に本発明を適用してもよい。前照灯制御装置に本発明を適用した場合には、前照灯が本発明の周辺機器に該当する。
【符号の説明】
【0061】
1 点灯回路(第1の点灯回路、第1の駆動回路)
2 点灯回路(第2の点灯回路、第2の駆動回路)
3 制御回路
4 入力線
7 グランド線
8 グランド線
9 グランド線
100 制動灯制御装置(車両用機器の制御装置)
150 車両
153 制動灯(第1の制動灯、第1の周辺機器)
154 制動灯(第2の制動灯、第2の周辺機器)
200 制動灯制御装置
201 点灯回路(第3の点灯回路)
202 グランド線
250 車両
251 制動灯(第1の制動灯)
252 制動灯(第3の制動灯)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた第1の制動灯を点灯させる第1の点灯回路と、
前記車両に設けられた第2の制動灯を点灯させる第2の点灯回路と、
前記第1の点灯回路および前記第2の点灯回路を制御する制御回路と、を備え、
前記第1の点灯回路、前記第2の点灯回路、および前記制御回路には、指令信号の入力線が接続されており、
前記第1の点灯回路のグランド線と、前記第2の点灯回路のグランド線とが別個に設けられている、ことを特徴とする制動灯制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制動灯制御装置において、
前記制御回路のグランド線は、前記第1の点灯回路のグランド線、または、前記第2の点灯回路のグランド線に接続されている、ことを特徴とする制動灯制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の制動灯制御装置において、
前記第1の点灯回路は、前記第1の点灯回路のグランド線が断線していない状態において、前記制御回路からの制御信号、および、前記入力線からの指令信号のうち、少なくともいずれか一方が入力されている場合に、前記第1の制動灯を点灯し、
前記第2の点灯回路は、前記第2の点灯回路のグランド線が断線していない状態において、前記制御回路からの制御信号、および、前記入力線からの指令信号のうち、少なくともいずれか一方が入力されている場合に、前記第2の制動灯を点灯する、ことを特徴とする制動灯制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の制動灯制御装置において、
前記第1の制動灯は、前記車両の後方右側に設けられた制動灯を含み、
前記第2の制動灯は、前記車両の後方左側に設けられた制動灯を含む、ことを特徴とする制動灯制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の制動灯制御装置において、
前記第1の制動灯は、前記車両の後方中央に設けられた制動灯をさらに含む、ことを特徴とする制動灯制御装置。
【請求項6】
請求項4に記載の制動灯制御装置において、
前記車両に設けられた第3の制動灯を点灯させる第3の点灯回路をさらに備え、
前記第3の点灯回路のグランド線は、前記第1の点灯回路のグランド線、および、前記第2の点灯回路のグランド線とは別個に設けられ、
前記第3の制動灯は、前記車両の後方中央に設けられた制動灯を含む、ことを特徴とする制動灯制御装置。
【請求項7】
車両に設けられた第1の周辺機器を駆動する第1の駆動回路と、
前記車両に設けられ、前記第1の周辺機器と同様の機能を有する第2の周辺機器を駆動する第2の駆動回路と、
前記第1の駆動回路および前記第2の駆動回路を制御する制御回路と、を備え、
前記第1の駆動回路、前記第2の駆動回路、および前記制御回路には、指令信号の入力線が接続されており、
前記第1の駆動回路のグランド線と、前記第2の駆動回路のグランド線とが別個に設けられている、ことを特徴とする車両用機器の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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