説明

制御された金属箔の製造方法

a)第1の工具(3)を用いて一次構造物(2)を作成するステップ、b)金属箔部分(1)の継送を生ぜしめる少なくとも1つの形状付与用プロフィールロール(5)を有する第2の工具(4)へ金属箔部分(1)を継送するステップ、c)第2の工具(4)を用いて二次構造物(6)を作成するステップ、d)金属箔部分(1)の少なくとも1つの部分領域(7)における一次構造物(2)および二次構造物(6)の空間位置を決定するステップ、e)不良位置を検出し少なくとも1つのプロフィールロール(5)の作動パラメータを調整するステップを少なくともを有することを特徴とする金属箔部分に重なる構造物を作成する方法。さらにそのために好適な装置ならびにそれによって製造可能の金属箔が提案され、該金属箔は触媒担体を製造するために好適であり、内燃機関の排気ガス系に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属箔部分に重なる構造物を作成する方法および装置に関する。この種の金属箔部分は、好ましくはたとえば内燃機関の排気ガス系内の排気ガス処理要素として使用されるハニカム体を構成するのに使用される。
【背景技術】
【0002】
たとえばオットーエンジンおよびディーゼルエンジンのような移動型内燃機関の排気ガス処理においては、(いわゆるハニカム体のような)少なくとも1つの排気ガス処理要素を、比較的に大きい表面積を提供する排気管の中に配置することが知られている。この要素は必要に応じて用途固有(たとえば吸収型、触媒活性型および/またはその他)の被膜を設けられており、当該要素の大きい表面積によって通流する排気ガスとの内部接触が実現される。このような要素は、たとえば排気ガス中に含まれる粒子をフィルタリングするためのフィルタ素子、排気ガス中に含まれる有害物質(たとえば窒素酸化物)を少なくとも時間的に制限して貯蔵する吸着装置、触媒コンバータ(たとえば三元触媒、酸化型触媒、還元型触媒など)、貫流する排気ガスの流れに影響を与えるもしくは渦流を惹き起こすためのディフューザ、またはまさに内燃機関の低温始動後に排気ガスを所望の温度に加熱する加熱素子である。自動車の排気ガス系における使用条件に関しては基本的に以下の担体基板:セラミックハニカム体、押出成形ハニカム体、金属箔製ハニカム体が実証されている。これらの担体基板はその機能に常に調整されなければならないという事実に基づき、耐熱性および耐食性の金属箔がその製造に特に良好に適した出発材料である。
【0003】
少なくとも部分的に構造化された多数の薄板を備えるハニカム体を製造し、引続いて該薄板がハウジングの中に取り込まれると共に1つまたは複数の上記被膜を施すことができる担体を形成することが知られている。少なくとも部分的に構造化された薄板はここで互いにほぼ平行に配置された流路が形成されるように配置される。これを保証するために薄板の一部が1つの構造たとえば1種の波形構造、鋸歯構造、方形構造、三角形構造、Ω形構造等々を備える。
【0004】
さらに、特にハニカム体内への排気ガスの流入直後に、このような流路の中心にある部分排気ガス流領域とたとえば触媒活性流路壁領域とのガス交換が充分に行われない層流が生じることを回避するべく第2の構造物をこの種の薄板に形成することが知られている。この第2の構造物つまりミクロ構造物は結果的にこのような流路の内部に部分排気ガス流の渦流を生じる流入面を提供する。これは部分排気ガス流自体の集中的混合をもたらし、その結果、流路壁と排気ガス中に含まれる有害物質との内部接触が保証される。さらにこの種の第2の構造物によって、隣接する流路内の部分排気ガス流のガス交換を可能にする流れ通路を流路に対して横方向に形成することが可能である。この理由から、たとえば誘導面、節、突出部、羽根、舌片、孔等々を含むミクロ構造物が知られている。その限りにおいて、セラミック材料を用いたのではこの種の複雑な流路壁を全く実現できないかあるいは特に高い技術的労力でのみ実現できるので、セラミック材料製ハニカム体に対して金属ハニカム体の製造時に明らかに増大した変形態様の多様性がある。
【0005】
この構造物を有する薄板は次に(必要であれば平坦な中間層と交互に)積層され、互いに捩られ、かつハウジングの中に挿入される。それによって互いにほぼ平行の流路を有するハニカム体が構成される。
【0006】
さらに排気ガス処理時に、排気ガス中に含まれる有害物質の転換が内燃機関の始動後にほぼ遅延なく行われることが特に重要である。その際にこれは特に高い実効性を有する法的規定もしくは指針に準じて実行されるべきである。この理由から過去において一層薄くなる薄板が使用された。これは表面固有の非常に少ない熱容量を示す。すなわち通流する排気ガスから比較的少ない熱が奪われ、もしくは薄板自体が比較的速く温度上昇を生じる。これは目下排気ガス系に使用されている触媒活性被膜が約230℃〜270℃にある一定の起動温度以上から初めて有害物質の転換を開始するために重要である。すでに数秒後にこの有害物質を少なくとも98%の効率で転換する目的と共に、たとえば0.1mm以下、さらに特に0.05mm以下の板厚を有する薄板が使用される。
【0007】
しかしながら上記目標設定から一連の製造技術的および応用技術的な問題が生じる。たとえばハニカム体内の排気ガスの流れ挙動の的確な設定のために場合によって流路内のミクロ構造物の正確な位置合わせが必要であることが挙げられる。さらにこの種の金属箔が互いに接合技術的に結合され、特に互いにろう付け(硬ろう付け、必要であれば真空下に)および/または溶接されることに注意する必要がある。しかしながらこれは金属箔の規定の接触領域が互いに存在することを前提とする。そこから、重なる構造物の可能な限り精密な位置合わせが保証されるべきであることが生じる。しかしながらこれは従来充分な精度で保証することができなかった。構造物の製造時の外部の影響、たとえば金属箔の振動励起に起因して、金属箔の収縮挙動および/または変形挙動において偏差を生じる。工具内部の製造精度もしくは公差(たとえばロール歯の回転不具合、軸受不具合、輪郭不具合など)は部分的に周期的に変動する構造物相互の位置の望ましくない偏差を生じる。さらに金属箔の材料の不均質性が構造物相互の別の偏差を生じ得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、従来の技術に関して記述された技術的問題を少なくとも部分的に緩和することである。特に互いに重なる構造物の可能な限り精密な位置合わせを保証するこの種の多重に構造化された金属箔の製造方法が示されるべきである。この方法はこのような金属箔のための大量生産の要件にも対応し、かつ時間およびコストを節約する方法も提示するべきである。さらにこのような金属箔の製造装置が示されるべきである。本発明による方法または本発明による装置によって製造された金属箔は重なる構造物の特に精密な位置合わせを有し、かつ特に永続的に内燃機関の排気ガス系に使用可能のハニカム体の製造に利用することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は請求項1の特徴による方法ならびに請求項8の特徴による装置によって解決される。本発明による方法もしくは本発明による装置のその他の有利な実施態様は従属請求項に記載されている。さらに本発明による方法もしくは本発明による装置によって製造された金属箔部分およびそれから製造されたハニカム体が提案される。各請求項に個別的に記載された特徴は、任意の技術的に有意義な方法で互いに組み合わせることができ、かつ本明細書から説明される実態によって補足することができ、その際に本発明の変形態様が提示される。
【0010】
金属箔部分に重なる構造物を作成する本発明に係る方法は、
a)第1の工具を用いて一次構造物を作成するステップ、
b)金属箔部分の継送を生ぜしめる少なくとも1つの形状付与用プロフィールロールを有する第2の工具へ金属箔部分を継送するステップ、
c)第2の工具を用いて二次構造物を作成するステップ、
d)金属箔部分の少なくとも1つの部分領域における一次構造物および二次構造物の空間位置を決定するステップ、
e)不良位置を検出し少なくとも1つのプロフィールロールの作動パラメータを調整するステップ
を少なくとも有する。
【0011】
因みにこの種の構造物の作成は連続プロセス(つまり1秒あたり1送り工程以上の頻度で)行われ、金属箔がリールから繰り出され、工具に供給される。そのためここに記載した方法においては変形される金属箔部分が考察される。それゆえ、金属箔部分は初めに平坦であり、かつ一次構造物を作成するための第1の工具に供給される。一次構造物はここで好ましくはミクロ構造物つまり、たとえば金属箔部分の小さい領域にのみ延伸し、かつ特に後に流路内の排気ガスの流れに影響を与えるために設けられている型押し(エンボス加工)または打抜きである。そのほかに、このような一次構造物は(その他のもしくは別の)ミクロ構造物、たとえばスリットを後から形成するための準備措置とすることもでき、当該スリットのところで金属箔の部分領域が変形されて誘導面または類似体が形成される。
【0012】
ステップb)で説明したように、金属箔部分の継送は第2の工具のプロフィールロールによって生ぜしめられる。これは換言すれば、第2の工具が金属箔部分を第1の工具を通して引き抜くことを意味する。金属箔部分を引っ張るおよび/または案内するための装置は第1の工具の前におよび/または第1の工具と第2の工具との間に設けることもでき、しかしながら所望の速度もしくはクロックレートによる金属箔部分の送りがプロフィールロールを介して決定される。
【0013】
プロフィールロールには形状付与つまり二次構造物(ステップc))の作成のほかに、金属箔部分の輸送機能も与えられている。金属箔部分の二次構造物へのプロフィールロールの介入によって金属箔部分の送り方向と平行に力を取り込むことができ、プロフィールロールの回転速度が金属箔部分の送り速度を決定する。
【0014】
一次構造物および二次構造物(および必要に応じて別の構造物)の形成後、ここでステップd)により前記の重なる構造物の空間位置が検出される。その際に一次構造物および二次構造物の基準点がそれぞれ検出され、かつこの基準点相互の位置が評価されると好ましい。該基準点の位置が1つまたは複数の平面(平坦な金属箔部分の面に対して平行、垂直および/または斜め)で互いに検出されることが可能である。一次構造物の基準点として、特に一次構造物の中心点および/または中心線が利用される。二次構造物の基準点として、たとえば波形構造における波の山もしくは波の谷のようなたとえば二次構造物の極大部が利用される。
【0015】
ここで一次構造物および二次構造物の空間位置が決定された後、それらの空間位置が評価される。許容できる位置(良好位置)および不良位置を互いに差別化する様々な許容範囲または限度値を設定することができる。ここで不良位置が存在する結果にステップd)が至ると、ステップe)によって少なくとも1つのプロフィールロールの少なくとも1つの作動パラメータが変化される。作動パラメータとして特にプロフィールロールの回転速度が考慮されるが、場合によりこのプロフィールロールの位置を第2の工具の他の要素、特に別のプロフィールロールに対して変化させることによって調整することも可能である。このような調整によって、プロフィールロールの形状付与するプロフィールが新たに第1の工具との間隔に関して位置合わせされ、このようにして金属箔部分における二次構造物の位置が一次構造物に対して相対的に変化させられる。つまり一次構造物と二次構造物との正確な位置合わせが生ぜしめられる。本発明による方法において重なる構造物を有するこの種の金属箔の製造プロセスの高動的制御が可能であり、材料不均質性、外乱等々に自動的に迅速に応答することができる。
【0016】
さらに、少なくとも1つのプロフィールロールがステップe)で変化される角速度によって駆動されることが提案される。二次構造物を作成するためのプロフィールロールは、これまで一定の角速度で駆動されており、プロフィールロールの回転が必要に応じて多数の回転角度部分もしくは増分に分割され、かつ予め定められた時間間隔で一定数の増分だけさらに回転される。ここではこの手法と一線を画す。不良位置が検出されると、選択された一定数の増分が変化された時間間隔でさらに回転され、および/または一定の時間間隔で増分の数が変化されることによって修正が達成される。不良位置が検出される場合にのみ、このような制御が使用される事実に鑑みて、本発明による方法の間に一定の角速度が存在する位相も発生する可能性があり、その結果、変化される角速度に関して場合によりより長い時間位相も考慮される(たとえば5分)。
【0017】
しかしながら少なくとも1つのプロフィールロールの1回転あたり少なくとも1回ステップd)が実施されると特に有利である。これは一次構造物および二次構造物の空間位置の検査が遅くともプロフィールロールの各回転後に行われることを意味する。これは前記制御システムが非常に動的であり、かつたとえば発生する振動励起のような外乱に迅速に応答できる利点を有する。
【0018】
ステップe)がプロフィールロールの1回転あたり少なくとも1回実施されることも有利である。特にそれぞれ1回転後にのみステップd)が実施される場合に遅くとも1回転後に不良位置が修正されるように、少なくとも1つのプロフィールロールの少なくとも1つの作動パラメータの調整を制御することが可能である。しかしながら動的制御系の場合、プロフィールロールの1回転以下で修正を行うためにステップd)およびステップe)がプロフィールロールの1回転あたり数回実施されると有利である。最後に挙げたケースでは、ステップd)およびe)はプロフィールロールの1回転あたり好ましくは少なくとも2回、特に少なくとも4回実施される。
【0019】
作動パラメータとして他の要素に対するプロフィールロールの位置が変化可能である場合、二次構造物の構成が変化される。これは、たとえばプロフィールロールの形状付与部分がさらに互いに噛み合い、より大きい高さを有する二次構造物が作成されることを意味する。これは二次構造物セグメントあたりより高い材料需要をもたらし、その結果このようにしても一次構造物および二次構造物の位置が互いに相対的に変位される。ハニカム体の製造に関して、結果的に異なる流路断面積を有する流路が形成され、これは特定の適用事例において有利である。しかしながらこのようにしてもハニカム体内の排気ガスの流れ挙動に正確に影響するために、プロフィールロールの位置の非常に精密な制御を必要とする。
【0020】
本発明による方法の好ましい実施態様に従って、ステップa)が開口部の打抜きを含み、ステップc)が金属箔部分の波形の成形とを含む。開口部はスリット、孔または類似体として形成することができる。波形は実質的に波の山および波の谷によって表され、開口部はこの波の山もしくは波の谷に対して位置合わせされる。好ましくは開口部および波形の空間位置は送り方向へおよび金属箔部分の平面内に決定されかつ合わせられる。これが好ましい変形態様であっても、特に開口部は回転打抜き工具および/またはレーザによって金属箔部分に形成することもできる。基本的に複数の一次構造物つまり開口部を同時に形成することもでき、その結果ステップa)により金属箔部分が複数列の一次構造物もしくは開口部を有する。
【0021】
さらに不良位置は一次構造物から二次構造物への0.3mm以上の位置変位であると看做すことが提案される。それによって不良位置と良好位置とを区別するための限度値が与えられる。位置変位は、好ましくは金属箔部分の送り方向へ考察される。一次構造物および二次構造物の基準点としてそれらの中心点もしくは中心線を利用することができる。一次構造物が長穴として形成された開口部である場合、それらの中心線は波の山もしくは波の谷の延びに対して平行な線が利用される。一次構造物から二次構造物への最大にまだ許容される位置変位は、好ましくは絶対値としての0.2mm以下、特に0.1mm以下である。
【0022】
この方法の別の実施態様により不良位置の検出は少なくとも1つの光学センサによって実施される。この光学センサは第2の工具(または後続の工具)の後に配置され、それによって目下形成された一次構造物および二次構造物の空間位置を観察する。光学センサとして特にカメラが提供され、該カメラの画像解像度(ピクセル)が位置変位の決定を可能にする。このピクセルによって、たとえば位置変位を決定し、少なくとも1つのプロフィールロールの角速度の好適な調整を実施することができる。
【0023】
本発明に従って、重なる構造物の製造装置は、
金属箔部分に開口部を作成できる第1の工具と、
一対の形状付与用プロフィールロールを有する第2の工具と、
第2の工具の少なくとも1つのプロフィールロールを駆動するための装置と、
送り方向において第2の工具の後に配置された少なくとも1つの光学センサと、
このセンサおよび前記装置に接続されている少なくとも1つの制御ユニットと
を少なくとも備え、
金属箔部分が波形を作成するためにプロフィールロールを通過し、一対のプロフィールロールが第1の工具および第2の工具を通る金属箔部分の送りを生じさせる。
【0024】
この装置は特に本発明による方法を実施するのに好適である。
【0025】
本発明による装置は、第1の工具に関して好ましくは金属箔部分の部分領域を分離する打抜き機である。第2の工具は好ましくはコルゲートロール機に関する。少なくとも1つのプロフィールロールを駆動するための装置として電気モータもしくはサーボモータが有利である。好ましくは少なくとも1つのプロフィールロールの駆動は周波数6Hz以上[1/秒]、特に8Hzまたはさらに12Hz以上で行われる。少なくとも1つの光学センサは好ましくはカメラを含む。少なくとも1つの制御ユニットは少なくとも1つの光学センサのデータを評価し、一次構造物および二次構造物の空間位置を決定する。さらに、制御ユニットは不良位置を検出し、次に少なくとも1つのプロフィールロールを駆動するための装置の作動パラメータを調整する。制御ユニットは画像認識手段、データ処理プログラム、メモリ要素等を含むことができる。
【0026】
本発明による装置は、好ましくは少なくとも1つのセンサが可変の検出フィールドを有するように該センサが形成されている装置である。それによって特に検出フィールドが金属箔部分に関して可変に位置決めできる。好ましくは、それによって送り方向にもしくは送り方向に対して垂直な方向に検出フィールドの移動が保証され、これはセンサの並進運動および/または揺動によって実現することができる。それによって大きい位置変位(これは、たとえば製造方法のスタート時または材料変更時に発生し得る)も検出することができる。さらに個々のセンサによって金属箔部分の異なる領域で一次構造物および二次構造物の基準点を検出することが可能である。つまり一次構造物および二次構造物の空間位置を決定するための技術的労力を少なくすることができる。
【0027】
さらに、少なくとも1つのセンサに、1つの金属箔部分を少なくとも1つのセンサに対して位置決めする測定ロールが付設されていることが提案される。構造物の永続的な変形を生ぜず単に金属箔部分の精密なガイドを提供する測定ロールによって、たとえばセンサに対する二次構造物の精密な位置合わせが行われる。測定ロールは1つの独立のまたは装置と結合された駆動装置を具備することができる。測定ロールおよびセンサは好ましくは加工された金属箔部分の反対側にあり、特に互いに一列に並べて配置されている。
【0028】
装置のもう1つの実施態様に従って、センサの検出フィールド内の金属箔部分の少なくとも一方の側を部分的に照明する照明手段が設けられる。つまり、たとえば金属箔部分の反対側に位置決めされ開口部を通して貫通照明する照明手段(逆光方式)、および/または金属箔部分のセンサと同じ側に配置されセンサの視野内にある検出フィールドを少なくとも部分的に照明する照明手段(入射光方式)を設けることができる。
【0029】
ここで、本発明に係る方法または本発明に係る装置によって製造され、かつ1m以上の長さを有するもう1つの金属箔部分が提案され、一次構造物および二次構造物に関して最大0.3mmの位置変位がある。好ましくはこのような最大位置変位は明らかにより大きい長さ、たとえば100mもしくは1000mにわたって存在する。このような長さにわたるこの種の精密な金属箔の製造は本発明に係る方法もしくは本発明に係る装置によって初めて可能である。それによって大量生産の枠内でもこのような精密な金属箔を提供することができ、高い製造速度で高い材料歩留まりが保証される。
【0030】
特に好ましくは、金属箔部分が30μm(0.03mm)〜150μm(0.15mm)の範囲の厚さと、幅対高さ比で2.0以下、特に1.5以下の二次構造物を有する。それによって本発明による装置もしくは本発明による方法の使用は非常に細い線条構造物の変形に対して特に優れている。幅高さ比は、金属箔部分の比較的大きい変形が実現されることを示しており、まさに波の山および波の谷の領域が非常に小さくなると共に前述のように一次構造物および二次構造物の精密な位置合わせが有利になる。
【0031】
完全に特に好ましくは少なくとも1つのこのような金属箔部分を有するハニカム体が構成される。まさに渦巻形に構成されたハニカム体の場合、大きい長さの金属箔部分が加工されなければならず、その結果、特にこの場合この種の金属箔部分の適用が有意義である。金属箔部分の上記の厚さはハニカム体の小容積で大きい表面積の提供を可能にし、かつ幅高さ比は(被膜を設けられた)壁への通流する排気ガスの良好な物質輸送を保証する狭い流路を生ぜしめる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明ならびに技術環境は以下図面によってより詳しく説明する。各図は特に好ましい実施例を示すが、本発明はそれらに限定されない。特に図示した大きさ比は模式的のみであることを指摘しておく。
【0033】
図1は多重に構造化された金属箔部分1の製造プロセスを模式的に示す。以下の説明はほぼ送り方向13に合わせて行われ、金属箔部分1はリール24によって巻き付けられており、引続いて第1の工具3ならびに第2の工具4を通過し、その後金属箔部分1はセンサ11および測定ロール16によって監視され、最終的に第3の工具27に供給される。そのようにして金属箔部分1の形状付与が終了し、それゆえ所望の金属箔部分1が最終的に分離装置28によって分離することができる。
【0034】
リール24は渦巻形に巻き上げられた金属箔のための一種の貯蔵体である。リール24は通常駆動されており、該リール24の後には(図示しない)補償要素、たとえばいわゆるダンサーが配置されており、該補償要素が金属箔部分1の送り速度に関する変動を補償する。引続いて金属箔部分1は箔ブレーキ25を介して案内され、該箔ブレーキ25が金属箔部分1の送り駆動装置に至るまで充分な応力(張力)を保証する。箔ブレーキ25は、好ましくは必要に応じて送り方向13と反対に移動される一種のフェルトベルトである。箔ブレーキ25に金属箔部分1を確実に当接させるために該箔ブレーキ25は永久磁石(図示せず)を備えて構成することができる。場合によって好ましくは箔ブレーキ25によって、第1の工具3への金属箔部分1の供給を同様に一次構造物および二次構造物の作成位置に応じて制御すると有利であり、これは別々におよび/または制御に加えてプロフィールロール5を介して実施することができる。
【0035】
第2の工具4は一対のプロフィールロール5によって構成されており、このプロフィールロールは予め定められた回転角度39もしくは予め定められた回転速度で回転される。そのために形状付与用プロフィールロール5の少なくとも1つは駆動装置としての装置12を備えるように構成されている。この装置12はさらに箔ブレーキ25から第1の工具3への金属箔部分1の輸送を生ぜしめる。第1の工具3と第2の工具4との間に箔ガイド部26が設けられており、このガイド部26がたとえばプロフィールロール5への金属箔部分1の垂直の供給を保証する。
【0036】
第1の工具3は、好ましくはストローク方式による打抜き機であり、プランジャ50のストロークはカム48を介して実現される。打抜き機は、たとえば寸法2.5×0.8mmを有する長穴を平坦な金属箔部分1に形成することができる。穿孔された材料は対向する吸引部49によって除去される。
【0037】
ここで金属箔部分1は第1の工具3によって一次構造物(ここに図示せず、図2参照)を備え、かつ第2の工具4によって二次構造物6を備えた後に、光学センサ11を有する装置に供給される。光学センサ11が金属箔部分1の部分領域7における一次構造物および二次構造物の空間位置を決定する。センサ11には測定ロール16が金属箔部分1の反対側に付設され、該測定ロール16自体が駆動される。駆動装置51が好ましくは連結器、たとえば(図示しない)ベルトを介して、プロフィールロール5を駆動するための装置12に連結されている。センサ11側にさらに、部分領域7を少なくとも部分的に照明する(入射光)ための照明手段18が配置されている。
【0038】
光学センサ11によって作成された画像は制御ユニット14で処理され、たとえば不良位置が検出される。不良位置が検出されると、制御ユニット14が、たとえば該制御ユニット14が駆動装置12を制御して角速度を変えることによって、第2の工具4のプロフィールロール5の少なくとも1つの作動パラメータを調整する。
【0039】
一次構造物および二次構造物の空間位置を決定するための装置を離れた後、金属箔部分1は別の箔ガイド部26を介して、同様に一対のプロフィールロール5を含む第3の工具27に供給される。この第3の工具27によって第3の構造物(ここに図示せず、図2参照)が金属箔部分1に形成され、その後金属箔部分1が分離装置28によって所望の長さで切断される。ここに図示したプロセスによって特に複雑な構造物を金属箔部分に形成することができ、同時に高精度が長期間にわたってこのような金属箔部分の大量生産の枠内で保証されている。
【0040】
図2は、金属箔部分が図1の装置の異なる領域でどのように加工されるかを概略的に示す。図2の左から右へ最初に、たとえば箔ブレーキ25の領域にある平坦な領域が示されている。引続いて金属箔部分1は第1の工具3の領域で一次構造物2、この場合では長穴を明けられる。引続いて、さらに右側に示したように、二次構造物6が第2の工具4の領域で形成され、ここに図示した変形態様において一次構造物2が各波の山31に配置されている。この場合、2つの隣接する波の山31もしくは波の谷32の間隔を規定する幅22と、予め定められた高さ23とを有する二次構造物6が作成され、高さ23が波の谷32に対する波の山31の間隔を規定する。第2の工具2を離れた後、第3の工具27の領域で第3の構造物29が形成され、図示した変形態様においては金属箔部分1の領域が2つの隣接する一次構造物2の間に圧入される。このようにして後に流路の中に突出する排気ガス流の誘導面となるべきいわゆるミクロ構造が形成される。
【0041】
図3は予め定められた長さ20を有する金属箔部分1を(平面図で)示す。図3の上部に波の山31に対する開口部8の精密な位置合わせが示されている。その下に、開口部8が波形9に対して正確に位置合わせされていないことが示されている。開口部8の中心32は、波の山31に対して位置変位10を有する。さらにその下に、制御装置が不良位置を検出し、プロフィールロールの作動パラメータの調整を実行したので、位置変位10が左から右へ小さくなることが示されている。たとえば、すでに僅かな波の山31もしくは波の谷32の経過後に再び良好位置が達成される。
【0042】
図4は、模式的に予め定められた厚さ21で形成された金属箔部分1に対する光学センサ11の位置決めを示す。光学センサ11はここで模式的に示してその検出フィールド15を規定する視野方向33を有する。金属箔部分1の異なる部分領域を走査するために、検出フィールド15は金属箔部分1に対して変化させることができる。これは、センサ11が視野方向33を揺動させるための揺動角度34を有し、かつ異なる運動方向35へ金属箔部分1に対して相対的に移動させ得ることによって可能になる。図示した変形態様において、金属箔部分1のセンサ11とは反対側19に照明手段18が設けられており、この照明手段によって開口部8が逆光で検出可能である。好ましくは基準点の決定は、開口部8の位置が検出フィールド15の第1の部分区間での逆光で実施されるようにセンサ11によって行われ、他方、波の山31の位置は検出フィールド15の別の部分領域で入射光によって感知される。
【0043】
図5は模式的に形状付与および輸送を生ぜしめるプロフィールロール5の回転角度39による位置変位10を示す。第1の特性線37で、通常従来公知の方法において位置許容差、材料不均質性等によって生じる位置変位10が示されている。特にこのような第1の特性線37は、これが公知の装置でも時々発生するように、特に第2の工具の領域での許容差に起因しかつプロフィールロールの回転によって繰り返される周期的変動を特徴とする。下に示した第2の特性線38においては位置変位10が(0mmの位置変位に相当する)横軸の上下に非常に少ない量で変化する。この特性線38は、制御系がさらに動的に設計される場合、横軸にさらに近接させることができる。例としてここで製造時に外乱(たとえば振動励起)36が取り込まれた。分かるように、まず比較的大きい位置変位10が発生するが、これは短時間後つまりプロフィールロールの短い回転運動後に再び補償される。
【0044】
本発明に係る方法に従ってもしくは本発明に係る装置によって製造された金属箔部分1の好ましい使用は移動型もしくは定置型の内燃機関の排気ガスの浄化のために使用する排気ガス処理ユニット45である。このような排気ガス処理ユニット45は図6に例示している。排気ガス処理ユニット45はハニカム体40を設けているハウジング44を含む。図示した変形態様においてハニカム体40は渦巻形に巻き上げられた波形層41および平坦層42で形成されている。波形層41は重なる構造物を有し、ここではこの正面図において二次構造物6すなわち波形が識別できる。この波形によって流路43が形成され、この流路を通して排気ガスがハニカム体40の内部領域に流入できる。このハニカム体40の詳細(VIIで表示)は図7に示されている。
【0045】
図7はハニカム体40の正面図を詳細に示す。平坦層42はここでフィルタ材料で形成されており、他方、波形層41は前記形式の金属箔部分1を含む。波形層41および平坦層42は、たとえば接合結合部を提供しかつ隣接する流路43を制限するために利用される接触箇所46を形成する。この接触箇所46の少なくとも一部で波形層41および平坦層42が互いに、好ましくはろう付けで接合されている。平坦層42および波形層41によって形成され流路43を制限する壁は排気ガスの触媒変換のための被膜47を備えている。
【0046】
本発明は特に金属箔部分において多重に重なる構造物を作成するのに好適であり、高精度が達成される。それによって、この種の金属箔の製造に関して相当のコスト面の長所と、このような金属箔によって構成されたハニカム体の効率および耐久性の著しい向上とを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る装置の第1の実施変形態様の模式図
【図2】異なる加工プロセスによる状態における金属箔部分の模式図
【図3】一次構造物および二次構造物の良好位置および不良位置を有する金属箔部分の別の模式図
【図4】金属箔部分に対するセンサの位置決めの概略斜視図
【図5】制御ありおよび制御なしで製造された金属箔部分の位置変位の模式図
【図6】ハニカム体の概略斜視図
【図7】図6のハニカム体の詳細な模式図。
【符号の説明】
【0048】
1 金属箔部分
2 一次構造物
3 第1の工具
4 第2の工具
5 プロフィールロール
6 二次構造物
7 部分領域
8 開口部
9 波形
10 位置変位
11 センサ
12 装置
13 送り方向
14 制御ユニット
15 検出フィールド
16 測定ロール
17 装置
18 照明手段
19 側
20 長さ
21 厚さ
22 幅
23 高さ
24 リール
25 箔ブレーキ
26 箔ガイド部
27 第3の工具
28 分離装置
29 第3の構造
30 波の谷
31 波の山
32 中心
33 視野方向
34 揺動角度
35 運動方向
36 外乱
37 第1の特性線
38 第2の特性線
39 回転角度
40 ハニカム体
41 波形層
42 平坦層
43 流路
44 ハウジング
45 排気ガス処理ユニット
46 接触箇所
47 被膜
48 カム
49 吸引部
50 プランジャ
51 駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1の工具(3)を用いて一次構造物(2)を作成するステップ、
b)金属箔部分(1)の継送を生ぜしめる少なくとも1つの形状付与用プロフィールロール(5)を有する第2の工具(4)へ金属箔部分(1)を継送するステップ、
c)第2の工具(4)を用いて二次構造物(6)を作成するステップ、
d)金属箔部分(1)の少なくとも1つの部分領域(7)における一次構造物(2)および二次構造物(6)の空間位置を決定するステップ、
e)不良位置を検出し少なくとも1つのプロフィールロール(5)の作動パラメータを調整するステップ
を少なくとも有することを特徴とする金属箔部分に重なる構造物を作成する方法。
【請求項2】
少なくとも1つのプロフィールロール(5)がステップe)で変化される角速度によって駆動されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくともステップd)が少なくとも1つのプロフィールロール(5)の1回転あたり少なくとも1回実施されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
ステップe)がプロフィールロール(5)の1回転あたり少なくとも1回実施されることを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載の方法。
【請求項5】
ステップa)が開口部(8)の打抜きを含み、ステップc)が金属箔部分(1)の波形(9)の成形を含むことを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載の方法。
【請求項6】
不良位置は一次構造物(2)から二次構造物(6)への0.3mm以上の位置変位(10)であることを特徴とする請求項1乃至5の1つに記載の方法。
【請求項7】
不良位置の検出が少なくとも1つの光学センサ(11)によって実施されることを特徴とする請求項1乃至6の1つに記載の方法。
【請求項8】
金属箔部分(1)に開口部(8)を作成できる第1の工具(3)と、
一対の形状付与用プロフィールロール(5)を有する第2の工具(4)と、
第2の工具(4)の少なくとも1つのプロフィールロール(5)を駆動するための装置(12)と、
送り方向(13)において第2の工具(4)の後に配置された少なくとも1つの光学センサ(11)と、
このセンサ(11)および前記装置(12)に接続されている少なくとも1つの制御ユニット(14)と
を少なくとも備え、
金属箔部分(1)が波形(9)を作成するためにプロフィールロール(5)を通過し、一対のプロフィールロール(5)が第1の工具(3)および第2の工具(4)を通る金属箔部分(1)の送りを生じさせる
ことを特徴とする重なる構造物の製造装置。
【請求項9】
少なくとも1つのセンサ(11)が可変の検出フィールド(15)を有するように該センサが形成されていることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つのセンサ(11)に、1つの金属箔部分(1)を少なくとも1つのセンサ(11)に対して位置決めする測定ロール(16)が付設されていることを特徴とする請求項8又は9記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つのセンサ(11)の検出フィールド(15)内の金属箔部分(1)の一方の側(19)を少なくとも部分的に照明する照明手段(18)が設けられていることを特徴とする請求項8乃至10の1つに記載の装置。
【請求項12】
請求項1乃至7の1つに記載の方法または請求項8乃至11の1つに記載の装置(17)によって製造される金属箔部分(1)であって、該金属箔部分が1m以上の長さ(20)を有し、一次構造物(2)および二次構造物(6)に関して0.3mmの最大位置変位(10)がある金属箔部分。
【請求項13】
30μm〜150μmの範囲の厚さ(21)および2.0以下の幅(22)対高さ(23)比を持つ二次構造物(6)を有することを特徴とする請求項12記載の金属箔部分。
【請求項14】
請求項12又は13記載の少なくとも1つの金属箔部分(1)を含むハニカム体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2008−540179(P2008−540179A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510504(P2008−510504)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004481
【国際公開番号】WO2006/122718
【国際公開日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【出願人】(500038927)エミテック ゲゼルシヤフト フユア エミツシオンス テクノロギー ミツト ベシユレンクテル ハフツング (156)
【Fターム(参考)】