説明

制御システム

【課題】プレ空調が指令されても、バッテリーの充電中である場合は充電を優先させてプレ空調の作動を禁止し、充電が終了したらプレ空調を開始する制御システムを提供する。
【解決手段】例えば車両2の駐車中に、ユーザがリモコンキー3のプレ空調ボタン306によりプレ空調を指令した場合に、指令した時点がバッテリー507の充電が実行されている期間内であれば、バッテリー507の充電が終了するまでプレ空調を禁止する。バッテリー507の充電が終了したら、プラグ505が接続された商用電力を用いてプレ空調を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車車両に装備された空調装置の性能を向上させるための各種提案がある。例えば下記特許文献1では、乗員の体温を測定する手段を備えて、乗車前に乗員の体温を測定して、その体温に基づいてプレ空調(乗員が車両に乗り込む前、あるいはイグニションオフ時の空調)を実行する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−240438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気自動車(EV:Electric Vehicle)やプラグインハイブリッド車(PHV:Plug−In Hybrid Vehicle)では通常、駐車中に充電を行うが、1回の短時間の充電での充電率を高めて、車両の走行距離を伸ばす必要がある。充電中にプレ空調が指令された場合、充電中の供給電源側の送電能力に限界があるため、プレ空調を動作させたくないが、現状のシステムではプレ空調を動作させている。それによりバッテリーの充電時間を長引かせている。
【0005】
したがって、もしプレ空調が指令されても、バッテリーの充電中である場合は充電を優先させてプレ空調の作動を禁止し、充電が終了したらプレ空調を開始するシステムを構築すれば、充電率の向上の効果があるが、従来技術においてそうしたシステムの提案はない。
【0006】
そこで本発明が解決しようとする課題は、上記問題点に鑑み、プレ空調が指令されても、バッテリーの充電中である場合は充電を優先させてプレ空調の作動を禁止し、充電が終了したらプレ空調を開始する制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記課題を達成するために、本発明に係る制御システムは、車両に備えられて、車室内の空調を調節する空調部と、携帯して車室外に持ち運べて、前記空調部と無線通信する機能を有する携帯機と、前記携帯機に備えられて、前記空調部に空調の実行を指令する指令手段と、前記車両に備えられて、電力を蓄積するバッテリーと、前記車両の駆動部が停止しており、前記バッテリーが商用電力の接続部と電気的に接続された状態で、前記バッテリーを充電する充電制御手段と、その充電制御手段が前記バッテリーの充電を実行している期間内に前記指令手段から前記空調部における空調の実行が指令された場合に、前記充電制御手段による前記バッテリーの充電終了まで前記空調部における空調を禁止する禁止手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
これにより本発明に係る制御システムでは、車両のバッテリーの充電を実行している期間内に空調部における空調の実行が指令された場合には、バッテリーの充電終了まで空調部における空調を禁止するので、バッテリーの充電を空調(いわゆるプレ空調)よりも優先して、単位時間あたりのバッテリーの充電率がプレ空調によって低下することが回避できる。したがってバッテリーの充電を優先して、車両の走行距離を伸ばすように制御する制御システムが実現できる。
【0009】
また前記充電制御手段が前記バッテリーの充電を実行している期間内に前記指令手段から前記空調部における空調の実行が指令された場合に、前記充電制御手段による前記バッテリーの充電終了後に、前記空調部における空調を実行するとしてもよい。
【0010】
これにより、車両のバッテリーの充電を実行している期間内に空調部における空調の実行が指令された場合には、バッテリーの充電終了まで空調部における空調を禁止して、充電終了後に空調を開始するので、バッテリーの充電を空調(いわゆるプレ空調)よりも優先して、単位時間あたりのバッテリーの充電率がプレ空調によって低下することが回避できる。したがってバッテリーの充電を優先して、車両の走行距離を伸ばすように制御する制御システムが実現できる。
【0011】
また前記空調制御手段は、前記充電制御手段が前記バッテリーの充電を実行している期間内に前記指令手段から前記空調部における空調の実行が指令された場合に、前記充電制御手段による前記バッテリーの充電終了後に実行する前記空調部における空調を、前記バッテリーが電気的に接続された商用電力を用いて実行するとしてもよい。
【0012】
これにより、車両のバッテリーの充電を実行している期間内に空調部における空調の実行が指令された場合に、バッテリーの充電終了後に実行する空調は、商用電力を使用するので、プレ空調によってバッテリーの充電率が低下することが回避できる。
【0013】
また前記空調制御手段は、前記指令手段から前記空調部における空調の実行が指令され、前記バッテリーが商用電力と電気的に接続されていない場合には、前記空調部における空調を、前記バッテリーに蓄積された電力を用いて実行するとしてもよい。
【0014】
これにより、使用者から空調の実行が指令されたときに、バッテリーが商用電力に接続されていない場合には、バッテリーに蓄積された電力を用いて空調部における空調を実行するので、バッテリーが商用電力に接続されている場合には、商用電力を使用して空調を実行し、バッテリーが商用電力に接続されていない場合には、バッテリーの電力を使用して空調を実行する。したがって空調によって可能な限りバッテリーの充電率が低下しないように制御する制御システムが実現できる。
【0015】
また前記禁止手段を機能させるか否かを設定する使用者からの入力を受け付ける入力手段と、その入力手段が、前記禁止手段を機能させるとの入力を受け付けた場合には、前記禁止手段を機能させて、前記充電制御手段が前記バッテリーの充電を実行している期間内に前記指令手段から前記空調部における空調の実行が指令されたら、前記充電制御手段による前記バッテリーの充電終了まで前記空調部における空調を禁止し、前記入力手段が、前記禁止手段を機能させないとの入力を受け付けた場合には、前記禁止手段を機能させずに、前記充電制御手段が前記バッテリーの充電を実行している期間内に前記指令手段から前記空調部における空調の実行が指令されたら、前記バッテリーの充電終了を待たずに前記空調部における空調を開始する設定手段と、を備えたとしてもよい。
【0016】
これにより、使用者からの入力によって、車両のバッテリーの充電を実行している期間内に空調部における空調の実行が指令された場合に、ただちに空調を実行するか、バッテリーの充電終了後に実行するか、を切り替えることができる。したがって使用者の要望にこたえる制御システムが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態における制御システムの構成図。
【図2】エアコン部の構造例を示す図。
【図3】充電およびプレ空調の処理手順例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。まず図1、図2は、本発明の実施例に係る車両用の制御システム1の概略構成図である。制御システム1は自動車車両2に装備し、車両2は例えばEVまたはPHVとするが、バッテリーを搭載する任意の車両としてもよい。
【0019】
同図のとおり制御システム1は、車両2とリモコンキー3(携帯機)とを備え、さらに車両2内に、主にエアコンECU4、バッテリーECU5、照合ECU6、モータ7、エアコン部40を備える。エアコンECU4、バッテリーECU5、照合ECU6は多重通信バス9(バス)により接続されて各種情報の受け渡しが可能なように構成されている。
【0020】
エアコンECU4は、各種演算など情報処理のためのCPU400、CPU400の作業領域としてのRAM401(一時記憶部)、各種情報を記憶するための不揮発性メモリ402を備える。エアコンECU4は通信インターフェイス部403(I/F)を介して多重通信バス9と接続されている。エアコンECU4はCPU400、RAM401、不揮発性メモリ402、I/F403、I/O404がバスによって接続されて情報の受け渡しが可能となっている。
【0021】
図1のとおり、エアコンECU4はI/O404を介して、エアコン部40における表示部410、入力部411、ヒータ405(ヒータコア)、エバポレータ404、エアミックスダンパ402等と接続されており、これらに駆動を指令する。さらに図2に示されているとおり、車両のエアコン部40は、吹出口切替ダンパ400、内外気切替ダンパ401、ブロアファン403を備える。なお図1に示されているエアコンECU4とエアコン部40との接続関係は簡略化されている。
【0022】
吹出口切替ダンパ400は、車室内のエアコンの吹出し口(例えばフェイス、フット、デフロスタ)を切り替えるために、個々の吹出し口の開閉状態を決めるダンパである。内外気切替ダンパ401は、車内の空気を循環させるための内気吸込口と車外の空気を取り込むための外気吸込口とを切り替えるダンパである。エアミックスダンパ402は、エバポレータで冷却された冷気と、その下流のヒータコア405で加熱された暖気との混合比率を決めるダンパである。
【0023】
ブロアファン403の回動によって空調風が形成される。エバポレータ404では、車両のエンジン(モータ)によって駆動されたコンプレッサ(図示せず)によって圧縮された冷媒ガスがエバポレータ404内へ噴出されて気化することによって周囲の熱が奪われる。こうしてエバポレータ404がブロワファンによる空気流を冷却する。
【0024】
ヒータコア405(ヒータ)は、エンジン(モータ)を冷却することによって昇温した冷却水の熱を用いて空気流を昇温させる。なお後述するプレ空調の場合、ヒータ405は、バッテリーの電力を用いて暖房を行う構造としてもよい。以上のとおりエバポレータ404は冷房機能を有し、ヒータコア405は暖房機能を有する。上述のとおり、エアミックスダンパ402の開度によって、エバポレータで冷却された冷気と、ヒータコア405で加熱された暖気との混合比率を決定して、温度調節を行う。
【0025】
エアコンECU4は、例えば液晶表示部(LCD)である表示部410を用いてユーザに向けてエアコンに関する各種情報を表示する。また入力部411によってユーザからの希望設定温度などの各種入力を受け付ける。表示部410や入力部411は例えば車室内のインパネ正面下部などに配置されたエアコン操作パネルのなかに配置される。
【0026】
次にバッテリーECU5は、バッテリー制御に関する各種の情報処理を実行するCPU500、CPU500の作業領域としての一時記憶部であるRAM501、各種情報を記憶するためのROM502を装備する。バッテリーECU5は、I/F503を介してバス9と接続されている。またバッテリーコントローラ504は、バッテリー507の充電、放電を制御する。
【0027】
バッテリー507の充電は、充電ケーブル506、プラグ505を介して商用電力から行われる。モータ7は、電力が供給されて、車両の走行のための駆動力を発生させる電気的モータとする。
【0028】
次に照合ECU6は、照合処理などの情報処理のためのCPU600、CPU600の作業領域としての一時記憶部であるRAM601、各種情報を記憶するためのROM602を備える。照合ECU6は通信インターフェイス部603(I/F)を介して多重通信バス9と接続されている。無線通信部604は、リモコンキー3との無線通信のために装備されている。照合ECU6は以上のCPU600、RAM601、ROM602、I/F603、無線通信部604がバスによって接続されて情報の受け渡しが可能となっている。
【0029】
次に、リモコンキー3は、CPU300、RAM301、ROM302、無線通信部303、ロックボタン304、アンロックボタン305、プレ空調ボタン305を備える。CPU300は各種の情報処理を実行する。RAM301はCPU300の作業領域としての一時記憶部である。ROM302は各種情報を記憶するために装備される不揮発性記憶部である。
【0030】
無線通信部303は、照合ECU6との無線通信のために装備されている。ロックボタン304は車両の乗員が車両のドアを施錠(ロック)するときに押下(オン操作)するボタンであり、アンロックボタン305は車両の乗員が車両のドアを開錠(アンロック)するときに押下(オン操作)するボタンである。プレ空調ボタン306は、車両の乗員が車外からあるいは車室内でオンすることにより、車両2内の空調を指令するボタンである。
【0031】
照合ECU6とリモコンキー3との間では、以下のように、無線によりドアの開錠処理(いわゆるリモートキーレスエントリー)が実行される。ドアが施錠された状態の車両2の外部で、ユーザがリモコンキー3のアンロックボタン305を押下する。これにより、アンロックボタンが押下されたとの情報と、リモコンキー3のIDコードとを含む信号(アンロック信号)がリモコンキー3の無線通信部303から送信される。なおリモコンキー3の例えばROM302にはリモコンキー3固有のIDコード(識別コード)を予め記憶させておく。
【0032】
アンロック信号を受信した車両2の無線通信部604は、その信号内のIDコードをマスターIDと照合する。照合が成功(IDとマスターIDとが一致)したら、アンロック信号がリモコンキー3から送信されたことが確認されたことにより、車両2のドアを開錠する。
【0033】
同様の処理により、ドアが施錠されていない状態の車両2の外部でユーザがロックボタン304を押下すると、リモコンキー3の無線通信部303から、ロックボタン304が押下されたとの情報と、リモコンキー3のIDコードとを含むロック信号が送信される。ロック信号を受信した車両2の無線通信部604は、その信号内のIDコードをマスターIDと照合する。照合が成功(IDとマスターIDとが一致)したら、ロック信号がリモコンキー3から送信されたことが確認されたことにより、車両2のドアを施錠する。
【0034】
以上の構成のもとで制御システム1は、ユーザがプレ空調ボタン306を押下した場合に、車両2において充電処理が実行されている間であれば、充電が終了するまでプレ空調の開始を待つ処理を実行する。その処理手順が図3に示されている。図3の処理手順はプログラム化して予め例えば不揮発性メモリ602(あるいは402、502)などに記憶しておき、CPU600(あるいは400、500)が自動的に実行するとすればよい。以下ではCPU600が実行する場合を説明する。
【0035】
図3の処理ではまず手順S10でプレ空調信号(キーレス信号)を無線通信部604で受信したか否かを判断する。プレ空調信号は、ユーザがリモコンキー3のプレ空調ボタン306を押下したら無線通信部303から送信される信号であり、プレ空調ボタン306が押下されたことを示す情報と、キー3のIDとを含む信号である。
【0036】
CPU600は、プレ空調信号を受信している場合(S10:YES)はS20に進み、プレ空調信号を受信していない場合(S10:NO)はS10を繰り返してプレ空調信号の受信を待つ。
【0037】
S20に進んだらCPU600は、受信したプレ空調信号内のIDコードを、例えばROM602に予め記憶されたマスターIDと照合する。CPU600は、照合が成功(IDとマスターIDとが一致)したら(S20:YES)S30に進み、照合が不成功であったら(S20:NO)再びS10に戻る。
【0038】
S30に進んだらCPU600は、充電ケーブル506(プラグ505)が商用電力のコンセント(接続部)に接続された状態であるか否かを判断する。接続状態の判定は、例えばバッテリーコントローラ504がケーブル506における電流値や電圧値を検出することにより判定すればよい。CPU600は、充電ケーブル506(プラグ505)が商用電力のコンセントに接続された状態である場合(S30:YES)はS40に進み、非接続状態の場合(S30:NO)はS70に進む。
【0039】
S40に進んだらCPU600は、バッテリー507が充電中であるか否かの情報を、例えばバッテリーコントローラ504から取得する。CPU600は、バッテリー507が充電中の場合(S40:YES)はS50へ進み、充電中でない場合(S40:NO)はS70へ進む。
【0040】
S50へ進んだらCPU600は、バッテリー507の充電が終了したか否かの情報を、例えばバッテリーコントローラ504から取得する。バッテリー507の充電が終了した場合(S50:YES)はS60に進み、充電が終了していない場合(S50:NO)はS50を繰り返して充電終了を待つ。
【0041】
S60に進んだらCPU600は、プレ空調を開始するための所定の条件が満たされているか否かを判断する。ここで所定の条件とは例えば、S50で確認された充電終了がユーザがプラグ505を商用電力のコンセントから離脱させた(引き抜いた)ことによるのでなく、バッテリー507が完全に充電された(充電率100%)ことによる充電終了であることである。ユーザがプラグ505を引き抜いたことによる充電終了の場合は、ユーザが車両2を出発させようとしているとみなされるので、以下のプレ空調は実行しない。
【0042】
同様の理由により、ドアが開放(開錠)されている、車両2の駆動部(エンジン、モータ7)が始動されているとの条件が満たされている場合も、ユーザが車両2を出発させようとしているとみなされるので、プレ空調は実行しない。以上のようなプレ空調を実行するための条件(プラグを引き抜いたことによる充電終了ではない、ドアは開放(開錠)されていない、車両2の駆動部が始動されていない、等)が満たされている場合(S60:YES)はS70に進み、これらの条件が満たされていない場合(S60:NO)は図2の処理を終了する。
【0043】
S70に進んだらCPU600は、エアコンECU4にプレ空調の開始を指令する。なおプレ空調の実行のために使用する電力は、S60:YESによってS70に進んだ場合もしくはS40:NOによってS70に進んだ場合は、充電ケーブル506が接続された商用電力とする。またS30:NOでS70に進んだ場合は、バッテリー507から電力を供給してプレ空調を実行するとする。
【0044】
次にS80でCPU600は、車両2のドアが開放されたか否かを判断する。ドアの開放が検知された場合(S80:YES)、ユーザが乗車してくるとみなされるので、S100に進んでプレ空調を終了する。ドアの開放が検知されていない場合(S80:NO)は、S90に進む。
【0045】
S90に進んだらCPU600は、予め定められたプレ空調を実行する時間(プレ空調時間)が終了したか否かを判断する。プレ空調時間は、車内の温度(湿度)が所望値に調節できるまでに必要な時間として、予め定めておけばよい。CPU600は、プレ空調時間が終了した場合(S90:YES)はS100に進んでプレ空調を終了する。プレ空調時間が終了していない場合(S90:NO)はS80に戻って上記処理を繰り返す。以上が図3の処理手順である。
【0046】
上記実施例では、プレ空調ボタン306を備えたリモコンキー3をキーレスエントリーのための電子キーとしたが、これをいわゆるスマートキーシステム(スマートエントリーシステム、スマートスタートシステム)の電子キーとしてもよい。
【0047】
スマートエントリーシステムにおいては、ユーザによるドアハンドルを握るドア開錠のための操作をドアハンドルに装備されたタッチセンサが検出すると、車両から電子キーへ向けてIDの返信を指令するポーリング信号(リクエスト信号)が送信される。電子キーはポーリング信号を受信すると電子キー固有のを含む信号を返信する。照合ECUは、車両側で受信した信号とマスターIDとを照合して、照合成功(IDとマスターIDが一致)ならば、車両のドアを開錠する。
【0048】
同様にスマートスタートシステムにおいては、車室内に装備されたエンジンスタートボタンのユーザによる押下が検出されると、車両から電子キーへ向けてIDの返信を指令するポーリング信号(リクエスト信号)が送信される。電子キーはポーリング信号を受信すると電子キー固有のIDを含む信号を返信する。照合ECUは、車両側で受信した信号とマスターIDとを照合して、照合成功(IDとマスターIDが一致)ならば、車両の駆動部(エンジン、モータ)を始動する。
【0049】
また、制御システム1は、図3の処理のように充電中にプレ空調の指令があった場合には充電終了までプレ空調を禁止するモードと、図3とは異なり充電中にプレ空調の指令があった場合にただちにプレ空調を開始するモードとの、2つのモードを備えて、ユーザからの入力によってモード切替ができるようにしてもよい。この場合、入力部411でユーザからのモード変更入力を受け付ければよい。
【0050】
なお上記のプレ空調において冷房が実行されるか暖房が実行されるかは、車室内温度を検出するセンサによる車室内温度がユーザによる設定温度(希望温度)よりも高い(低い)場合は冷房(暖房)となる。また図3では、S90において予め定められたプレ空調時間だけプレ空調を行うとしたが、車室内温度がユーザの設定温度になるまでプレ空調を実行する形態でもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 制御システム
3 リモコンキー
4 エアコンECU
5 バッテリーECU
6 照合ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられて、車室内の空調を調節する空調部と、
携帯して車室外に持ち運べて、前記空調部と無線通信する機能を有する携帯機と、
前記携帯機に備えられて、前記空調部に空調の実行を指令する指令手段と、
前記車両に備えられて、電力を蓄積するバッテリーと、
前記車両の駆動部が停止しており、前記バッテリーが商用電力の接続部と電気的に接続された状態で、前記バッテリーを充電する充電制御手段と、
その充電制御手段が前記バッテリーの充電を実行している期間内に前記指令手段から前記空調部における空調の実行が指令された場合に、前記充電制御手段による前記バッテリーの充電終了まで前記空調部における空調を禁止する禁止手段と、
を備えたことを特徴とする制御システム。
【請求項2】
前記充電制御手段が前記バッテリーの充電を実行している期間内に前記指令手段から前記空調部における空調の実行が指令された場合に、前記充電制御手段による前記バッテリーの充電終了後に、前記空調部における空調を実行する空調制御手段を備えた請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記空調制御手段は、前記充電制御手段が前記バッテリーの充電を実行している期間内に前記指令手段から前記空調部における空調の実行が指令された場合に、前記充電制御手段による前記バッテリーの充電終了後に実行する前記空調部における空調を、前記バッテリーが電気的に接続された商用電力を用いて実行する請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記空調制御手段は、前記指令手段から前記空調部における空調の実行が指令され、前記バッテリーが商用電力と電気的に接続されていない場合には、前記空調部における空調を、前記バッテリーに蓄積された電力を用いて実行する請求項3に記載の制御システム。
【請求項5】
前記禁止手段を機能させるか否かを設定する使用者からの入力を受け付ける入力手段と、
その入力手段が、前記禁止手段を機能させるとの入力を受け付けた場合には、前記禁止手段を機能させて、前記充電制御手段が前記バッテリーの充電を実行している期間内に前記指令手段から前記空調部における空調の実行が指令されたら、前記充電制御手段による前記バッテリーの充電終了まで前記空調部における空調を禁止し、前記入力手段が、前記禁止手段を機能させないとの入力を受け付けた場合には、前記禁止手段を機能させずに、前記充電制御手段が前記バッテリーの充電を実行している期間内に前記指令手段から前記空調部における空調の実行が指令されたら、前記バッテリーの充電終了を待たずに前記空調部における空調を開始する設定手段と、
を備えた請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−76666(P2012−76666A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225374(P2010−225374)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】