説明

制御回路点検装置及び制御回路点検方法

【課題】直流電源装置及び負荷装置を停止することなく、制御回路及び直流電源装置の不具合を容易に発見することができる制御回路点検装置及び制御回路点検方法を提供すること。
【解決手段】制御回路点検装置1は、電源電流I0’が定常時電源電流I0と試験電流I2との和と一致すると判定されたタイミングt3における直流電源装置3側の試験時電源電圧V0’及び負荷装置4側の試験時負荷電圧V2’を測定し、試験時電源電圧V0’、試験時負荷電圧V2’及び制御回路の抵抗(抵抗Rp及び抵抗Rn)に基づいて、制御回路及び直流電源装置3が正常に動作しているか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源装置と負荷装置との間に設置された制御回路の点検を行う制御回路点検装置及び制御回路点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、発電所及び変電所には、多数の配電盤や遮断器等の負荷装置が設置されており、負荷装置を動作させる電源として、整流器及び蓄電池を有する直流電源装置が設置されている。このような発電所及び変電所において、新たに配電盤や機器等の負荷装置を設置した際には、新たに設置した負荷装置へ電源電圧が供給されているか確認を行い、直流電源装置と負荷装置との間に設置された制御回路の動作確認を行う必要がある。
【0003】
一般的に、新たに配電盤や機器等の負荷装置を設置した際には、新たに設置した負荷装置に正常に制御電圧が供給されているかを電圧計等で確認し、負荷装置を試験的に動作させて制御回路の動作が正常であるか否かを確認することで制御回路の動作確認を行う。このような発電所及び変電所において動作確認を行うための技術としては、例えば、特許文献1及び2のような技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−255005号公報
【特許文献2】特開2007−155419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、直流電源装置と負荷装置とを接続している電源関係分割盤において、負荷装置は、配線接続部や端子台等により電源関係分割盤と接続されている。上記のような制御電圧を電圧計により確認する場合には、試験対象となる負荷装置の負荷電流の大きさにより電源電圧が異なり、配線接続部や端子台等と負荷装置からの配線との接続が緩んでいた(例えば、配線接続部や端子台等のネジやビスの緩み)としても、少しでも配線接続部や端子台等と負荷装置からの配線とが接触していれば、正常な電源電圧が測定されてしまう。そのため、制御電圧を電圧計により確認する方法では、配線接続部や端子台等と負荷装置からの配線との接続の緩み(接触不良)を検出することが困難であった。
【0006】
また、直流電源装置と負荷装置との間に設置された制御回路へ模擬的な負荷を接続し、試験電流を流通させて制御電圧を確認する方法も考えられる。しかし、模擬的な負荷によって配線用遮断器が動作すると、直流電源装置と接続された確認対象外の他の機器への電源電圧の供給が停止してしまう。そのため、模擬的な負荷によって制御電圧を確認する方法は、一般的には実施が困難であった。
【0007】
また、直流電源装置と負荷装置との間に設置された制御回路へ模擬的な負荷を接続し、配線用遮断器が動作しない程度の短時間(例えば、数百msec)試験電流を流通させて制御電圧を確認する方法も考えられる。しかし、制御回路は、スイッチング電源等の静電容量を有する素子を備えているため、模擬的な負荷の負荷電流と電源装置から供給される電源電流とが一致しない。更に、電流波形も時間と共に大きく変動するため、模擬的な負荷の負荷電流は、直流電源装置から模擬的な負荷まで同じ電流値とならず、制御回路の抵抗値を正しく測定することができなかった。
【0008】
このように、新たに配電盤や機器等の負荷装置を設置した際に、直流電源装置及び負荷装置を停止することなく、制御回路及び直流電源装置の不具合を発見することができる制御回路点検装置及び制御回路点検方法が望まれていた。
【0009】
そこで、本発明は、直流電源装置及び負荷装置を停止することなく、制御回路及び直流電源装置の不具合を容易に発見することができる制御回路点検装置及び制御回路点検方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、直流電源装置と複数の負荷装置との間に設置された制御回路を点検する制御回路点検装置であって、点検対象の負荷装置側からパルス状の試験電流を一定期間流通させる試験電流流通部と、試験電流流通時における前記直流電源装置側の電源電流を測定する電源電流測定部と、前記直流電源装置側の電源電流が定常時電源電流と前記試験電流との和と一致するか否かを判定する電源電流判定部と、前記電源電流判定部により一致すると判定されたタイミングにおける前記直流電源装置側の試験時電源電圧を測定する電源装置側測定部と、前記タイミングにおける前記負荷装置側の試験時負荷電圧を測定する負荷側測定部と、前記試験時電源電圧、前記試験時負荷電圧及び前記制御回路の抵抗に基づいて、前記制御回路及び前記直流電源装置が正常に動作しているか否かを判定する動作判定部と、を備える制御回路点検装置に関する。
【0011】
この発明によれば、制御回路点検装置は、電源電流が定常時電源電流と試験電流との和と一致すると判定されたタイミングにおける直流電源装置側の試験時電源電圧及び負荷装置側の試験時負荷電圧を測定し、試験時電源電圧、試験時負荷電圧及び制御回路の抵抗に基づいて、制御回路及び直流電源装置が正常に動作しているか否かを判定する。
【0012】
したがって、制御回路点検装置は、直流電源装置及び負荷装置を停止することなく、試験時電源電圧、試験時負荷電圧及び制御回路の抵抗に基づいて制御回路及び直流電源装置が正常に動作しているか否かを判定することができ、制御回路及び直流電源装置の不具合を容易に発見することができる。例えば、負荷装置を新設する工事や、負荷装置を増設する工事等で実施する電圧測定では把握できない端子締め付け不良や、配線の接触不良等の不具合を容易に把握することができる。また、制御回路の不具合を把握することにより、例えば、直流電源装置から負荷装置までの配線(電線や制御ケーブル等)のサイズが適切あるか否かを判断することができる。
【0013】
更に、制御回路点検装置は、試験電流として、パルス状の電流を一定期間(例えば、100msec程度)流通させるため、例えば、直流電源装置と負荷装置との間に設置された制御回路の不具合(例えば、配線用遮断器が遮断される等)が発生することを防止することができる。また、例えば、配線用遮断器等の負荷装置動作時の短時間での電圧降下及び負荷装置に供給される電圧値を測定できるため、負荷装置が要求する制御電圧条件を満たしているか否かを判定することができ、負荷装置の動作不良を防止することができる。
【0014】
また、前記制御回路点検装置は、前記試験電流流通部により前記試験電流を発生させるための電子負荷と、前記直流電源装置と前記負荷装置との間の任意の位置に接続可能な第1の接続端子とを有する親機と、前記直流電源装置に接続可能な第2の接続端子を有し、前記親機と通信可能な子機と、を備えることが好ましい。
【0015】
この発明によれば、親機を直流電源装置と負荷装置との間の任意の位置に接続可能となるため、親機を接続する場所によって負荷装置の部分的に限定した位置での測定が可能となる。
【0016】
また、前記制御回路点検装置は、前記試験電流を流通させてから一定期間が経過したか否かを判定する期間判定部と、前記期間判定部により前記一定期間が経過したと判定された場合には、前記試験電流の流通を停止する試験電流停止部と、を更に備えることが好ましい。
【0017】
この発明によれば、一定期間が経過したと判定された場合には、試験電流の流通を停止する、すなわち、直流電源装置側の電源電流が、定常時電源電流と試験電流との和と一致するまで繰り返し測定が行われるため、直流電源装置及び負荷装置を停止することなく、試験時電源電圧及び試験時負荷電圧を高い精度で測定することができる。
【0018】
また、前記制御回路点検装置は、前記制御回路及び前記直流電源装置が正常に動作していないことを示す警告情報を出力する警告情報出力部を更に備え、前記直流電源装置は、蓄電池及び整流器を有し、前記動作判定部は、前記電源装置側測定部により測定された前記タイミングの試験時電源電圧が所定値以下であるか否かを判定し、前記警告情報出力部は、前記動作判定部により前記タイミングの試験時電源電圧が前記所定値以下であると判定された場合には、前記蓄電池又は前記整流器が正常に動作していないことを示す第1の警告情報を出力することが好ましい。
【0019】
この発明によれば、試験電流流通時の試験時電源電圧から直流電源装置を構成する蓄電池の不良(容量の低下や蓄電池の内部抵抗の上昇等)又は整流器の不調や不良を発見することができる。
【0020】
また、前記動作判定部は、前記タイミングの試験時電源電圧が前記所定値より大きい場合には、前記制御回路の抵抗が所定の抵抗値以上であるか否かを判定し、前記制御回路の抵抗が前記所定の抵抗値以上である場合には、前記制御回路が正常に動作していないと判定し、前記警告情報出力部は、前記動作判定部により前記制御回路が正常に動作していないと判定された場合には、前記制御回路が正常に動作していないことを示す第2の警告情報を出力することが好ましい。
【0021】
この発明によれば、制御回路の抵抗が所定の抵抗値以上である場合には、制御回路が正常に動作していないと判定するため、制御回路の不具合を容易に発見することができる。
【0022】
また、前記電源装置側測定部は、前記直流電源装置の正極及び負極における試験時電源電圧を測定し、前記負荷側測定部は、前記負荷装置の正極及び負極における試験時負荷電圧を測定することが好ましい。
【0023】
この発明によれば、正極及び負極の双方の試験時電源電圧及び試験時負荷電圧を測定するため、適切な測定が可能となる。例えば、正極及び負極における試験時電源電圧及び試験時負荷電圧に基づいて正極側の制御回路の抵抗及び負極側の制御回路の抵抗の両方を算出することにより、正極側及び負極側の制御回路抵抗が高い箇所、すなわち、不良箇所が正極側であるか負極側であるかを判断できるため、不良箇所の探索時間を短縮することができる。
【0024】
また、本発明は、直流電源装置と負荷装置との間に設置された制御回路を制御回路点検装置により点検する制御回路点検方法であって、点検対象の負荷装置側からパルス状の試験電流を一定期間流通させる試験電流流通ステップと、試験電流流通時における前記直流電源装置側の電源電流を測定する電源電流測定ステップと、前記直流電源装置側の電源電流が定常時電源電流と前記試験電流との和と一致するか否かを判定する電源電流判定ステップと、前記電源電流判定ステップにより一致すると判定されたタイミングにおける前記直流電源装置側の試験時電源電圧を測定する電源装置側測定ステップと、前記タイミングにおける前記負荷装置側の試験時負荷電圧を測定する負荷側測定ステップと、前記試験時電源電圧、前記試験時負荷電圧及び前記制御回路の抵抗に基づいて、前記制御回路及び前記直流電源装置が正常に動作しているか否かを判定する動作判定ステップと、を備える制御回路点検方法に関する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、直流電源装置及び負荷装置を停止することなく、制御回路及び直流電源装置の不具合を容易に発見することができる制御回路点検装置及び制御回路点検方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る制御回路点検装置の構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る制御回路点検装置の制御部及び制御部の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】試験電流を示すグラフである。
【図4】定常時における電源電流が流通している状態で試験電流を流通させた際の理想的な電流値を示すグラフである。
【図5】本実施形態に係る制御回路点検装置により制御回路の点検を行う場合に、定常時における電源電流が流通している状態で試験電流を流通させた際の電流値を示すグラフである。
【図6】直流電源装置と負荷装置との間に設置された制御回路に模擬負荷電流を流通させた際の電流値を示すグラフである。
【図7】本実施形態に係る制御回路点検装置の制御回路点検処理について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る制御回路点検装置1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、制御回路点検装置1は、直流電源装置3と負荷装置4との間に設置された任意の位置の制御回路(図示せず)を点検するために、直流電源装置3と負荷装置4との間に接続されている。なお、直流電源装置3と負荷装置4との間には、多数の負荷等(図示せず)が接続されており、任意の位置の制御回路は、これらの負荷等により構成されている。
【0028】
制御回路点検装置1は、親機1aと、子機1bとを備える。
親機1aは、制御部10と、記憶部11と、表示部12と、通信部13と、ADコンバータ14と、電子負荷15と、インターフェース回路16と、接続端子17と、を備える。
子機1bは、制御部18と、通信部19と、ADコンバータ20と、インターフェース回路21と、クランプCT(Current Transformer)23と、接続端子24と、を備える。
【0029】
制御部10は、例えば、マイクロプロセッサ(MPU)等で構成され、親機1a全体を制御する。また、制御部10は、後述する子機1bの制御部18と協働して、制御回路点検装置1の制御を行う。
【0030】
記憶部11は、例えば、不揮発性メモリ等で構成され、制御回路点検装置1を動作させるためのプログラムや、各種の情報等を記憶する。また、記憶部11は、過去に測定した制御回路の電圧値、電流値、抵抗値等を記憶していてもよい。これにより、過去に測定した制御回路の電圧値、電流値、抵抗値等と今回測定する制御回路の電圧値、電流値、抵抗値等とを比較して、制御回路の不具合の兆候を把握することができる。
【0031】
表示部12は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)パネル等で構成され、各種の情報を表示する。具体的には、表示部12は、制御部10の制御に従い、制御回路点検装置1を操作するための操作情報、後述の測定結果、算出された結果、警告情報等を表示する。
【0032】
通信部13は、有線又は無線通信を行う通信回路で構成され、子機1bと通信を行う。
ADコンバータ14は、測定された電圧、電流等のアナログ信号をデジタル信号に変換して、制御部10へ出力する。
電子負荷15は、電圧が変化しても一定の電流を流すように高速で動作する。
【0033】
インターフェース回路16は、制御部10、表示部12、通信部13、ADコンバータ14及び電子負荷15を互いに接続させる。
接続端子17は、着脱可能な端子で構成され、直流電源装置3と負荷装置4との間の負荷装置4側に接続可能である。接続端子17は、主に負荷装置4側(負荷装置端)の正極対地電圧及び負極対地電圧(以下、単に正極電圧及び負極電圧という)を測定する。
【0034】
制御部18は、例えば、マイクロプロセッサ(MPU)等で構成され、子機1b全体を制御する。また、制御部18は、前述の親機1aの制御部10と協働して、制御回路点検装置1の制御を行う。
【0035】
通信部19は、有線又は無線通信を行う通信回路で構成され、親機1aと通信を行う。なお、通信部13及び通信部19が有線通信を行う場合には、通信部13及び通信部19は、通信ケーブル22により互いに接続される。
ADコンバータ20は、測定された電圧、電流等のアナログ信号をデジタル信号に変換して、制御部18へ出力する。
【0036】
インターフェース回路21は、制御部18、通信部19及びADコンバータ20を互いに接続させる。
クランプCT23は、一端側が接続先である配線(例えば、直流電源装置3側の配線)に対して挟む(クランプ)ことが可能な形状であり、配線に対して着脱可能に構成される。クランプCT23は、主に直流電源装置3側の電源電流を測定する。
接続端子24は、着脱可能な端子で構成され、直流電源装置3側の配線に接続される。接続端子24は、主に直流電源装置3側(直流電源装置端)の正極電圧及び負極電圧を測定する。
【0037】
直流電源装置3は、整流器31と、蓄電池32と、整流器MCCB(Molded Case Circuit Breaker)33と、制御用MCCB34a,34bと、接続部35a、35bとを備える。
【0038】
整流器31は、整流器MCCB33と接続され、整流器MCCB33は、接続部35aを介して制御用MCCB34aと接続される。
蓄電池32は、接続部35bを介して制御用MCCB34bと接続される。接続部35bは、接続部35aと接続される。また、接続部35bには、図示しない他の接続部や、制御用MCCB等が接続される。
【0039】
負荷装置4は、制御回路に設けられた点検対象の負荷装置であり、配電盤41と、機器42とを備える。
配電盤41は、電源関係分割盤5の接続部51cにより電源関係分割盤5と接続されている。ここで、電源関係分割盤5の接続部51a,51b,51cは、配線接続部や端子台等で構成されている。また、接続部51a,51bは、直流電源装置3と既設の他の機器(図示せず)とを接続している。このとき、他の機器には、例えばスイッチング電源等の静電容量を有する電子機器が含まれる。
【0040】
機器42は、任意の電気機器であり、配電盤41に接続されている。
また、図1に示すように、定常時には、直流電源装置3から電源電流I0が流通し、電源関係分割盤5に接続されている負荷装置4及び既設の他の機器それぞれには、電流I1xが流通する。
【0041】
図2は、本実施形態に係る制御回路点検装置1の制御部10及び制御部18の機能を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、制御部10は、試験電流流通部101と、負荷側測定部102と、電源電流判定部103と、期間判定部104と、試験電流停止部105と、算出部106と、動作判定部107と、警告情報出力部108と、を備える。
また、制御部18は、電源電流測定部181と、電源装置側測定部182と、を備える。
【0042】
試験電流流通部101は、点検対象の負荷装置4側からパルス状の試験電流I2を一定期間(t2−t1)流通させる。具体的には、図3に示すように、試験電流流通部101は、パルス状の試験電流I2を一定期間(t2−t1)の間、流通させる。なお、一定期間(t2−t1)は、数百msec程度であることが好ましい。
【0043】
負荷側測定部102は、定常時における負荷装置4側の正極電圧Vp2及び負極電圧Vn2を測定する。
また、負荷側測定部102は、直流電源装置3側の電源電流I0’が定常時電源電流I0と試験電流I2との和と一致する(I0’=I0+I2)ときのタイミングt3における負荷装置4側の正極電圧Vp2’及び負極電圧Vn2’を測定し、これら正極電圧Vp2’及び負極電圧Vn2’から、タイミングt3における負荷装置4側の試験時負荷電圧V2’を測定する。ここで、試験時負荷電圧V2’は、タイミングt3における負荷装置4側の正極電圧Vp2’と負極電圧Vn2’との差(V2’=Vp2’−Vn2’)である。
【0044】
電源電流判定部103は、試験電流流通時における直流電源装置3側の電源電流I0’が定常時電源電流I0と試験電流I2との和と一致するか否か、すなわち電源電流I0’=(定常時電源電流I0+試験電流I2)であるか否かを判定する。このとき、電源電流判定部103が一致すると判定したタイミングが本実施形態におけるタイミングt3となる。
なお、電源電流判定部103の判定は、通信部13,19を介して子機1bから電源電流I0’を受信することで行うこととしてもよく、また、通信部13,19を介して子機1bから一致指示を受信することで行うこととしてもよい。すなわち、電源電流I0’=(定常時電源電流I0+試験電流I2)の演算は、親機1aにおいて行うこととしてもよく、子機1bにおいて行うこととしてもよい。このとき、子機1bにおいて電源電流I0’=(定常時電源電流I0+試験電流I2)を演算した場合には、その演算結果(一致指示)のみを通知すれば足りるので好ましい。
【0045】
期間判定部104は、試験電流I2を流通させてから一定期間(t2−t1)が経過したか否かを判定する。
試験電流停止部105は、期間判定部104により一定期間(t2−t1)が経過したと判定された場合には、試験電流I2の流通を停止する。例えば、試験電流停止部105は、電子負荷15を停止すること等により試験電流I2の流通を停止する。
【0046】
算出部106は、定常時における正極側電圧降下Vp及び負極側電圧降下Vnを算出する。ここで、正極側電圧降下Vpは、直流電源装置3側の正極電圧Vp1と負荷装置4側の正極電圧Vp2との差(Vp=Vp1−Vp2)から求められる。負極側電圧降下Vnは、直流電源装置3側の負極電圧Vn1と、負荷装置4側の負極電圧Vn2との差(Vn=Vn1−Vn2)から求められる。
【0047】
また、算出部106は、定常時における電源電圧V0及び負荷電圧V2を算出する。ここで、定常時における電源電圧V0は、定常時における直流電源装置3側の正極電圧Vp1と、負極電圧Vn1との差(V0=Vp1−Vn1)から求められる。定常時における負荷電圧V2は、定常時における負荷装置4側の正極電圧Vp2と、負極電圧Vn2との差(V2=Vp2−Vn2)から求められる。
【0048】
また、算出部106は、タイミングt3における正極側電圧降下Vp’及び負極側電圧降下Vn’を算出する。ここで、正極側電圧降下Vp’は、直流電源装置3側の正極電圧Vp1’と負荷装置4側の正極電圧Vp2’との差(Vp’=Vp1’−Vp2’)から求められる。負極側電圧降下Vn’は、直流電源装置3側の負極電圧Vn1’と負荷装置4側の負極電圧Vn2’との差(Vn’=Vn1’−Vn2’)から求められる。
【0049】
また、算出部106は、正極側の制御回路の抵抗Rp及び負極側の制御回路の抵抗Rnを算出する。ここで、定常時における電源電流I0は、点検対象となる負荷装置4以外へ流れる多くの電流が重畳されている。そのため、定常時における電源電流I0及び定常時における電源電圧V0から正極側の制御回路の抵抗Rp及び負極側の制御回路の抵抗Rnを算出することができない。よって、算出部106は、定常時における正極側の電圧降下Vpとタイミングt3における正極側の電圧降下Vp’との差を試験電流I2による電圧降下として、正極側の制御回路の抵抗Rpを求める。
【0050】
具体的には、正極側の制御回路の抵抗Rpは、試験電流I2による電圧降下(Vp’−Vp)を試験電流I2で割った値(Rp=(Vp’−Vp)/I2)から求められる。
同様にして、負極側の制御回路の抵抗Rnは、試験電流I2による電圧降下(Vn’−Vn)を試験電流I2で割った値(Rn=(Vn’−Vn)/I2)から求められる。
【0051】
動作判定部107は、試験電流I2、試験時電源電圧V0’、試験時負荷電圧V2’及び制御回路の抵抗(正極側の制御回路の抵抗Rp及び負極側の制御回路の抵抗Rn)に基づいて、制御回路及び直流電源装置3が正常に動作しているか否かを判定する。
【0052】
具体的には、動作判定部107は、タイミングt3の試験時電源電圧V0’が所定値以下であるか否かを判定する。
【0053】
また、動作判定部107は、タイミングt3の試験時電源電圧V0’が所定値より大きい場合には、制御回路の抵抗(正極側の制御回路の抵抗Rp及び負極側の制御回路の抵抗Rn)が所定の抵抗値以上であるか否かを判定する。そして、動作判定部107は、正極側の制御回路の抵抗Rp及び負極側の制御回路の抵抗Rnそれぞれが所定の抵抗値以上である場合には、制御回路が正常に動作していないと判定する。例えば、動作判定部107は、正極側の制御回路の抵抗Rpが所定の抵抗値以上であり、負極側の制御回路の抵抗Rnが所定の抵抗値未満である場合には、制御回路の正極側が正常に動作していないと判定する。
【0054】
また、動作判定部107は、試験電流流通部101により試験電流I2を、制御回路を構成する遮断器が最低許容電圧となるような値に設定した上で、正極側の制御回路の抵抗Rp及び負極側の制御回路の抵抗Rnそれぞれが所定の抵抗値以上であるか否かを判定してもよい。また、動作判定部107は、制御回路が正常に動作しているか否かを判定する条件として、正極側の制御回路の抵抗Rpと、負極側の制御回路の抵抗Rnとの差が予め設定された範囲内であるか否かを判定することにより、制御回路が正常に動作しているか否かを判定してもよい。
【0055】
警告情報出力部108は、制御回路及び直流電源装置3が正常に動作していないことを示す警告情報を出力する。具体的には、警告情報出力部108は、動作判定部107によりタイミングt3の試験時電源電圧V0’が所定値以下であると判定された場合には、整流器31又は蓄電池32が正常に動作していないことを示す第1の警告情報を出力する。また、警告情報出力部108は、動作判定部107により制御回路が正常に動作していないと判定された場合には、制御回路が正常に動作していないことを示す第2の警告情報を出力する。
【0056】
電源電流測定部181は、定常時における直流電源装置3側の電源電流I0を測定する。また、電源電流測定部181は、試験電流I2流通時における直流電源装置3側の電源電流I0’を測定する。そして、電源電流測定部181は、測定された電源電流I0及び電源電流I0’の値を通信部19により親機1aへ送信する。
【0057】
電源装置側測定部182は、定常時における直流電源装置3側の正極電圧Vp1及び負極電圧Vn1を測定する。また、電源装置側測定部182は、試験電流I2流通時における直流電源装置3側の正極電圧Vp1’及び負極電圧Vn1’を測定する。
【0058】
また、電源装置側測定部182は、タイミングt3における直流電源装置3側の試験時電源電圧V0’を測定する。ここで、試験時電源電圧V0’は、試験電流流通時における直流電源装置3側の正極電圧Vp1’と試験電流I2流通時における直流電源装置3側の負極電圧Vn1’との差(V0’=Vp1’−Vn1’)である。そして、電源装置側測定部182は、測定された正極電圧Vp1及び負極電圧Vn1、正極電圧Vp1’及び負極電圧Vn1’、並びに試験時電源電圧V0’の値を通信部19により親機1aへ送信する。
【0059】
次に、図3〜図5を参照して、本実施形態に係る制御回路点検装置1の動作原理について説明する。図3は、試験電流I2を示すグラフである。図4は、定常時における電源電流I0が流通している状態で試験電流I2を流通させた際の理想的な電流値を示すグラフである。図5は、本実施形態に係る制御回路点検装置1により制御回路の点検を行う場合に、定常時における電源電流I0が流通している状態で試験電流I2を流通させた際の電流値を示すグラフである。
【0060】
図3に示すように、試験電流流通部101により流通される試験電流I2の波形は、パルス状の方形波となる。そのため、電源電流I0が流通している状態で試験電流I2を流通させた際の理想的な電源電流I0’の波形は、図4に示すような電源電流I0の方形波に試験電流I2の方形波を重畳させた形状となる。
【0061】
しかし、制御回路には、点検対象となる負荷装置4以外に多くの負荷(静電容量を有する電子機器を含む)が接続されているため、電源電流I0が流通している状態で試験電流I2を流通させた際には、実際の電源電流I0’の波形は、図4のような形状とはならず、図5に示すように電流が過度的に変化する。
【0062】
詳細には、図5に示すように、時間t1において、試験電流流通部101により試験電流I2の流通を開始すると、電子負荷15により時間の経過と共に試験電流が緩上昇し(図5の時間t1からt3の間)する。そして、試験電流停止部105により電子負荷15を停止する(時間t2)と、制御回路のコンデンサ等に印加されていた電圧が試験電流の遮断により上昇することで静電容量に充電電流が流れ試験電流が急上昇する(図5の時間t2以降)。なお、電流の増加度合いや電流変化の状況は、接続されている負荷の形態や蓄電池32の劣化度合い、整流器31の特性等により一律の波形とはならない。
【0063】
しかし、定常時における電源電流I0に試験電流I2を加算した値が実際に測定された電源側電流と等しくなったタイミングt3は、制御回路のコンデンサ等の影響が無くなり電子負荷15のみによる電圧降下が発生したタイミングであるといえる。そこで、本実施形態に係る制御回路点検装置1は、タイミングt3における電源電流、電源電圧及び負荷電圧を測定するように構成されている。これにより、制御回路点検装置1は、制御回路の正確な評価を行うことができる。
【0064】
図6は、本実施形態に係る制御回路点検装置1に試験電流I2を流通させた際の動作を検証するために、直流電源装置3と負荷装置4との間に設置された制御回路に模擬負荷電流を流通させた際の電流値を示すグラフである。
図6に示すように、模擬負荷を動作させる前は約7.6A程度電流が流れている。そして、模擬負荷を動作させると、模擬負荷の電流波形(方形波)分のみ電流が上昇するのではなく、初期に過度現象が生じた後、緩やかに電流が上昇して、t3時間経過時点で定常時における負荷電流と模擬負荷電流との和となっていることがわかる。
【0065】
図7は、本実施形態に係る制御回路点検装置1の制御回路点検処理について示すフローチャートである。
【0066】
ステップS1において、電源装置側測定部182は、定常時における直流電源装置3側の正極電圧Vp1及び負極電圧Vn1を測定する。また、負荷側測定部102は、定常時における負荷装置4側の正極電圧Vp2及び負極電圧Vn2を測定する。また、電源電流測定部181は、定常時における直流電源装置3側の電源電流I0を測定する。
【0067】
ステップS2において、試験電流流通部101は、点検対象の負荷装置4側からパルス状の試験電流I2を一定期間(t2−t1)流通させる。
【0068】
ステップS3において、電源電流測定部181は、試験電流I2流通時(t2−t1)における直流電源装置3側の電源電流I0’を測定する。
【0069】
ステップS4において、試験電流流通時(t2−t1)における直流電源装置3側の電源電流I0’が定常時電源電流I0と試験電流I2との和と一致するか否かを判定する。試験電流流通時(t2−t1)における直流電源装置3側の電源電流I0’が定常時電源電流I0と試験電流I2との和と一致する場合(YES:タイミングt3)には、ステップS8へ進む。試験電流流通時(t2−t1)における直流電源装置3側の電源電流I0’が定常時電源電流I0と試験電流I2との和と一致しない場合(NO)には、ステップS5へ進む。
【0070】
ステップS5において、期間判定部104は、試験電流I2を流通させてから一定期間(t2−t1)が経過したか否かを判定する。一定期間(t2−t1)が経過した場合(YES)には、ステップS6へ進む。一定期間(t2−t1)が経過していない場合(NO)には、ステップS3へ戻る。
【0071】
ステップS6において、試験電流停止部105は、試験電流I2の流通を停止(試験電流I2=0)する。
【0072】
ステップS7において、警告情報出力部108は、表示部12に測定が失敗したことを示す警告情報を表示し、処理を終了する。
【0073】
ステップS8において、電源装置側測定部182は、タイミングt3における直流電源装置3側の正極電圧Vp1’及び負極電圧Vn1’を測定する。また、負荷側測定部102は、タイミングt3における負荷装置4側の正極電圧Vp2’及び負極電圧Vn2’を測定する。
【0074】
ステップS9において、試験電流停止部105は、試験電流I2の流通を停止(試験電流I2=0)する。
【0075】
ステップS10において、電源装置側測定部182は、タイミングt3における直流電源装置3側の試験時電源電圧V0’を測定する。また、負荷側測定部102は、タイミングt3における負荷装置4側の試験時負荷電圧V2’を測定する。また、算出部106は、正極側の制御回路の抵抗Rp及び負極側の制御回路の抵抗Rnを算出する。
【0076】
ステップS11において、制御部10は、試験時電源電圧V0’、試験時負荷電圧V2’、正極側の制御回路の抵抗Rp及び負極側の制御回路の抵抗Rnを表示部12に表示させる。
【0077】
ステップS12において、動作判定部107は、電源装置側測定部182により測定されたタイミングt3の試験時電源電圧V0’が所定値以下であるか否かを判定する。試験時電源電圧V0’が所定値以下である場合(YES)には、ステップS13へ進む。試験時電源電圧V0’が所定値未満である場合(NO)には、ステップS14へ進む。
【0078】
ステップS13において、警告情報出力部108は、整流器31又は蓄電池32が正常に動作していないことを示す第1の警告情報を出力し、処理を終了する。
【0079】
ステップS14において、動作判定部107は、タイミングt3の試験時電源電圧V0’が所定値より大きい場合には、正極側の制御回路の抵抗Rp及び負極側の制御回路の抵抗Rnが所定の抵抗値以上であるか否かを判定する。そして、動作判定部107は、正極側の制御回路の抵抗Rp及び負極側の制御回路の抵抗Rnそれぞれが所定の抵抗値以上である場合には、制御回路が正常に動作していないと判定し、処理を終了する。
【0080】
ステップS15において、警告情報出力部108は、制御回路が正常に動作していないことを示す第2の警告情報を出力し、処理を終了する。
【0081】
以上説明したように、本実施形態に係る制御回路点検装置1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0082】
制御回路点検装置1は、電源電流I0’が定常時電源電流I0と試験電流I2との和と一致すると判定されたタイミングt3における直流電源装置3側の試験時電源電圧V0’及び負荷装置4側の試験時負荷電圧V2’を測定し、試験時電源電圧V0’、試験時負荷電圧V2’及び制御回路の抵抗(抵抗Rp及び抵抗Rn)に基づいて、制御回路及び直流電源装置3が正常に動作しているか否かを判定する。
【0083】
したがって、制御回路点検装置1は、直流電源装置3及び負荷装置4を停止することなく、試験時電源電圧V0’、試験時負荷電圧V2’及び御回路の抵抗(抵抗Rp及び抵抗Rn)に基づいて制御回路及び直流電源装置3が正常に動作しているか否かを判定することができるため、制御回路及び直流電源装置3の不具合を容易に発見することができる。例えば、負荷装置4を新設する工事や、負荷装置4を増設する工事等で実施する電圧測定では把握できない端子締め付け不良や、配線の接触不良等の不具合を容易に把握することができる。また、制御回路の不具合を把握することにより、例えば、直流電源装置3から負荷装置4までの配線(電線や制御ケーブル等)のサイズが適切あるか否かを判断することができる。
【0084】
更に、制御回路点検装置1は、試験電流I2として、パルス状の電流を一定期間(例えば、100msec程度)流通させるため、例えば、直流電源装置3と負荷装置4との間に設置された制御回路の不具合(例えば、配線用遮断器が遮断される等)が発生することを防止することができる。また、例えば、配線用遮断器等の負荷装置4動作時の短時間での電圧降下と、負荷装置4に供給される電圧値が測定できるため、負荷装置4が要求する制御電圧条件を満たしているか否かを判定することができ、負荷装置4の動作不良を防止することができる。
【0085】
また、制御回路点検装置1は、試験電流流通部101により試験電流I2を発生させるための電子負荷15と、直流電源装置3と負荷装置4との間の任意の位置に接続可能な接続端子17とを有する親機1aと、直流電源装置3に接続可能なクランプCT23及び接続端子24を有し、親機1aと通信可能な子機1bと、を備える。
【0086】
これにより、制御回路点検装置1は、親機1aを直流電源装置3と負荷装置4との間の任意の位置に接続可能となるため、親機1aを接続する場所によって負荷装置4の部分的に限定した位置での測定が可能となる。
【0087】
制御回路点検装置1は、試験電流I2を流通させてから一定期間(t2−t1)が経過したか否かを判定する期間判定部104と、期間判定部104により一定期間(t2−t1)が経過したと判定された場合には、試験電流I2の流通を停止する試験電流停止部105と、を備える。
【0088】
これにより、制御回路点検装置1は、一定期間(t2−t1)が経過したと判定された場合には、試験電流I2の流通を停止する、すなわち、直流電源装置3側の電源電流I0’が、定常時における電源電流I0と試験電流I2との和と一致するまで繰り返し測定が行われるため、直流電源装置3及び負荷装置4を停止することなく、試験時電源電圧V0’及び試験時負荷電圧V2’を高い精度で測定することができる。
【0089】
また、動作判定部107は、電源装置側測定部182により測定されたタイミングt3の試験時電源電圧V0’が所定値以下であるか否かを判定し、警告情報出力部108は、動作判定部107によりタイミングt3の試験時電源電圧V0’が所定値以下であると判定された場合には、整流器31又は蓄電池32が正常に動作していないことを示す第1の警告情報を出力する。
【0090】
これにより、制御回路点検装置1は、タイミングt3における試験時電源電圧V0’から直流電源装置3を構成する蓄電池32の不良(容量の低下や蓄電池32の内部抵抗の上昇等)又は整流器31の不調や不良を発見することができる。
【0091】
動作判定部107は、タイミングt3の試験時電源電圧V0’が所定値より大きい場合には、正極側の制御回路の抵抗Rp及び負極側の制御回路の抵抗Rnそれぞれが所定の抵抗値以上であるか否かを判定する。そして、動作判定部107は、制御回路の抵抗Rp及び負極側の制御回路の抵抗Rnが所定の抵抗値以上である場合には、制御回路が正常に動作していないと判定する。警告情報出力部108は、動作判定部107により制御回路が正常に動作していないと判定された場合には、制御回路が正常に動作していないことを示す第2の警告情報を出力する。
【0092】
これにより、制御回路点検装置1は、制御回路の抵抗Rp及び負極側の制御回路の抵抗Rnが所定の抵抗値以上である場合には、制御回路が正常に動作していないと判定するため、制御回路の不具合を容易に発見することができる。
【0093】
また、電源装置側測定部182は、直流電源装置3の正極及び負極における正極電圧Vp1’及び負極電圧Vn1’を測定し、負荷側測定部102は、負荷装置4の正極及び負極における正極電圧Vp2’及び負極電圧Vn2’を測定する。
【0094】
これにより、制御回路点検装置1は、正極及び負極ともに正極電圧Vp1’、負極電圧Vn1’、正極電圧Vp2’及び負極電圧Vn2’を測定するため、適切な測定が可能となる。例えば、正極電圧Vp1’、負極電圧Vn1’、正極電圧Vp2’及び負極電圧Vn2’に基づいて正極側の制御回路の抵抗Rp及び負極側の制御回路の抵抗Rnの両方を算出することにより、正極側及び負極側の制御回路の抵抗Rp及び抵抗Rnの値が高い箇所、すなわち、不良箇所が正極側であるか負極側であるかを判断できるため、不良箇所の探索時間を短縮することができる。
【0095】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0096】
1 制御回路点検装置
1a 親機
1b 子機
3 直流電源装置
4 負荷装置
10 制御部
11 記憶部
12 表示部
13 通信部
14 ADコンバータ
15 電子負荷
16 インターフェース回路
17 接続端子
18 制御部
19 通信部
20 ADコンバータ
21 インターフェース回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源装置と複数の負荷装置との間に設置された制御回路を点検する制御回路点検装置であって、
点検対象の負荷装置側からパルス状の試験電流を一定期間流通させる試験電流流通部と、
試験電流流通時における前記直流電源装置側の電源電流を測定する電源電流測定部と、
前記直流電源装置側の電源電流が定常時電源電流と前記試験電流との和と一致するか否かを判定する電源電流判定部と、
前記電源電流判定部により一致すると判定されたタイミングにおける前記直流電源装置側の試験時電源電圧を測定する電源装置側測定部と、
前記タイミングにおける前記負荷装置側の試験時負荷電圧を測定する負荷側測定部と、
前記試験時電源電圧、前記試験時負荷電圧及び前記制御回路の抵抗に基づいて、前記制御回路及び前記直流電源装置が正常に動作しているか否かを判定する動作判定部と、を備える制御回路点検装置。
【請求項2】
前記制御回路点検装置は、
前記試験電流流通部により前記試験電流を発生させるための電子負荷と、前記直流電源装置と前記負荷装置との間の任意の位置に接続可能な第1の接続端子とを有する親機と、
前記直流電源装置に接続可能な第2の接続端子を有し、前記親機と通信可能な子機と、を備える請求項1に記載の制御回路点検装置。
【請求項3】
前記試験電流を流通させてから一定期間が経過したか否かを判定する期間判定部と、
前記期間判定部により前記一定期間が経過したと判定された場合には、前記試験電流の流通を停止する試験電流停止部と、を更に備える請求項1又は2に記載の制御回路点検装置。
【請求項4】
前記制御回路及び前記直流電源装置が正常に動作していないことを示す警告情報を出力する警告情報出力部を更に備え、
前記直流電源装置は、蓄電池及び整流器を有し、
前記動作判定部は、前記電源装置側測定部により測定された前記タイミングの試験時電源電圧が所定値以下であるか否かを判定し、
前記警告情報出力部は、前記動作判定部により前記タイミングの試験時電源電圧が所定値以下であると判定された場合には、前記蓄電池又は前記整流器が正常に動作していないことを示す第1の警告情報を出力する請求項1から3のいずれか一項に記載の制御回路点検装置。
【請求項5】
前記動作判定部は、前記タイミングの試験時電源電圧が所定値より大きい場合には、前記制御回路の抵抗が所定の抵抗値以上であるか否かを判定し、前記制御回路の抵抗が前記所定の抵抗値以上である場合には、前記制御回路が正常に動作していないと判定し、
前記警告情報出力部は、前記動作判定部により前記制御回路が正常に動作していないと判定された場合には、前記制御回路が正常に動作していないことを示す第2の警告情報を出力する請求項4に記載の制御回路点検装置。
【請求項6】
前記電源装置側測定部は、前記直流電源装置の正極及び負極における試験時電源電圧を測定し、
前記負荷側測定部は、前記負荷装置の正極及び負極における試験時負荷電圧を測定する請求項1から5のいずれか一項に記載の制御回路点検装置。
【請求項7】
直流電源装置と負荷装置との間に設置された制御回路を制御回路点検装置により点検する制御回路点検方法であって、
点検対象の負荷装置側からパルス状の試験電流を一定期間流通させる試験電流流通ステップと、
試験電流流通時における前記直流電源装置側の電源電流を測定する電源電流測定ステップと、
前記直流電源装置側の電源電流が定常時電源電流と前記試験電流との和と一致するか否かを判定する電源電流判定ステップと、
前記電源電流判定ステップにより一致すると判定されたタイミングにおける前記直流電源装置側の試験時電源電圧を測定する電源装置側測定ステップと、
前記タイミングにおける前記負荷装置側の試験時負荷電圧を測定する負荷側測定ステップと、
前記試験時電源電圧、前記試験時負荷電圧及び前記制御回路の抵抗に基づいて、前記制御回路及び前記直流電源装置が正常に動作しているか否かを判定する動作判定ステップと、を備える制御回路点検方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−88214(P2013−88214A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227617(P2011−227617)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】