説明

制御基板、基板ケースの不正開放検出構造、及び遊技機

【課題】遊技機の制御を為す制御基板を内部に収容した基板ケースにおいて、基板ケースが不正に開放されたことをより確実に検出することができる制御基板、基板ケースの不正開放検出構造を提供すること。
【解決手段】この制御基板34は、第一収容部材35bと第二収容部材35aとが係合した基板ケース35内部に収容されて、遊技機の制御を為す制御基板34であって、第一収容部材35bに固定される固定部34aと、基板ケース35内部に収容することにより第二収容部材35aに係止される係止部34bと、を有し、固定部34aと係止部34bは、第一収容部材35bと第二収容部材35aの係合を解除する方向の移動を規制しており、固定部34aと係止部34bとの間には、第一収容部材35bと第二収容部材35aの係合を解除する方向の外力により破壊する脆弱部34cが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機の制御を為す制御基板を内部に収容した基板ケースが不正に開放されることを検出する制御基板、基板ケースの不正開放検出構造、及び遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機、スロットマシン等の遊技機は、この遊技機の動作を制御する制御基板が設けられている。制御基板は、演算処理手段としてのCPU、記憶素子としてのROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成されており、例えば、景品球等の払出制御、電動役物の動作制御、表示装置の画像制御、特別遊技の当否抽選等、遊技機の動作を制御する。
【0003】
近年、制御基板のROMに対して不正操作をする不正行為が問題となっており、例えば、制御基板のROMを不正なROMと交換して、遊技機を不正に制御して景品球を引き出すことが行われている。このような不正行為を防止するため、制御基板は、基板ケースに収容されており、この基板ケースには、ケースを開封した際に痕跡を残して、ケースが開封されたことを検知させるための開封検出手段が設けられている。
【0004】
しかし、開封検出手段を設けて、開封された際に基板ケースに痕跡を残していても、基板ケースを目視して確認しなければ基板ケースを開封されたか否かを検出することはできない。したがって、不正に開放されたことを早期に検出することができないおそれがある。
【0005】
特許文献1には、このような問題に鑑みてなされた基板ケースが記載されている。この基板ケースは、カシメケースと、カシメケースに対してカシメ状態でROM及び制御基板を覆うROMカバーと、を備えており、ROMカバーを破壊しない限りROM及び制御手段が取り出せないように構成されている。カシメケースとROMカバーのカシメ状態は、ROMカバーの両端に連結部材を介して接続された嵌め殺し突起とカシメケースの両端に形成された嵌合穴との嵌合によって実現される。このように構成された基板ケースにおいて、ROMカバーを開放する際は連結部材を切断する。連結部材は、導電部材によって形成されて通電している。連結部材が切断されると、その切断状態を電気的に検知して、基板ケースが開放されたことを検出する。
【0006】
【特許文献1】特開2006−34671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、遊技機の電源が投入されていない状態において、連結部材が切断された場合には、連結部材が切断されたことを検出することができない。更に、この断電状態において、連結部材を元の状態に戻して、通電状態を復帰することにより、電源が投入された際に、不正に基板ケースが開放されたことを検出できないおそれがある。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたものであり、遊技機の制御を為す制御基板を内部に収容した基板ケースにおいて、基板ケースが不正に開放されたことをより確実に検出することができる制御基板、基板ケースの不正開放検出構造を提供することを例示的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての制御基板は、第一収容部材と第二収容部材とが係合した基板ケース内部に収容されて、遊技機の制御を為す制御基板であって、第一収容部材に固定される固定部と、基板ケース内部に収容されることにより第二収容部材に係止される係止部と、固定部と係止部との間に配置された脆弱部と、を有し、固定部が第一収容部材に固定され、かつ係止部が第二収容部材に係止されることにより、第一収容部材と第二収容部材との係合を解除する方向への第一収容部材と第二収容部材の移動を規制しており、脆弱部は、第一収容部材と第二収容部材の係合を解除する方向の外力により破壊されるように形成されている。
【0010】
制御基板の固定部は、第一収容部材に固定され、第一収容部材と第二収容部材とが係合した基板ケースの内部に制御基板が収容される。制御基板の係止部は、基板ケース内部に収容されることにより第二収容部材に係止される。固定部が第一収容部材に固定されているとともに、係止部が第二収容部材に係止されていることにより、第一収容部材と第二収容部材の係合が解除される方向への第一収容部材と第二収容部材の移動が規制される。
【0011】
基板ケース内部に制御基板が収容された状態で、第一収容部材と第二収容部材の係合を解除する方法に外力がかかると、制御基板は、固定部を介して第一収容部材側に引かれるとともに、係止部を介して第二収容部材側に引かれる。すなわち、制御基板には、固定部と係止部を介して異なる方向に引かれる力が作用する。固定部と係止部との間には脆弱部が形成されており、この脆弱部を挟んで制御基板には異なる方向に引く力が作用する。
【0012】
脆弱部は、第一収容部材と第二収容部材との係合を解除する方向の外力により破壊されるように構成されており、係合を解除する外力によって制御基板の一部を構成する脆弱部が破壊される。制御基板の一部が破壊するため、制御基板が遊技機に取り付けられた状態において、制御基板の一部又は全部の遊技の制御機能は発揮されなくなり、不正に基板ケースが開放されたことを確実に検出することができる。更に、制御基板の脆弱部が破壊されることによって、遊技を停止したり、不正に開放されたことを報知することにより、例えば、不正な景品球の払出し等、不正な遊技の継続を効果的に防止することが可能となる。
【0013】
制御基板は、パチンコ遊技機、スロットマシン等の遊技機の各種制御を為す制御基板である。例えば、特別遊技の抽選等遊技の制御を行う主制御基板、演出画像及び特別遊技の抽選結果を表示する画像表示装置における画像演出の制御を行う画像制御基板、入賞態様に応じて遊技媒体の払出しを制御する払出制御基板、遊技領域への遊技媒体の発射を制御する発射制御基板、を例示できる。
【0014】
固定部は、基板ケースを構成する第一収容部材と固定される部分であり、第一収容部材と直接固定されるように構成してもよいし、部品を介して間接的に第一収容部材と固定されるように構成してもよい。固定部の具体的な構成としては、例えば、制御基板に開口形成された穴部であって、第一収容部材に形成された突起が挿入することにより第一収容部材に固定される構成、及び制御基板に開口形成された穴部であって、第一収容部材に形成された穴部とともに締結部材によって締結されることにより、第一収容部材に固定される構成、を例示できる。
【0015】
係止部は、基板ケースに収容されることにより、基板ケースを構成する第二収容部材に係止する部分であり、第二収容部材に直接係止するように構成してもよいし、部品等を介して第二収容部材に間接的に係止するように構成してもよい。係止部の具体的な構成としては、例えば、制御基板に突設された突起部であって、基板ケースに制御基板が収容されることにより、第二収容部材の爪部が突起部に掛かり、第二収容部材に係止する構成、制御基板に開口形成された穴部であって、基板ケースに制御基板が収容されることにより、第二収容部材に形成された穴部とともに嵌め殺し構造の突起が挿入されて、第二収容部材に係止する構成、を例示できる。
【0016】
脆弱部は、制御基板の固定部と係止部との間に配置され、第一収容部材と第二収容部材の係合を解除する方向の外力により破壊される部分である。脆弱部は、制御基板の他の部分と比較して強度が低く構成されている。第一収容部材と第二収容部材の係合を解除する方向の外力が加えられることにより、制御基板の他の部分よりも強度が低い脆弱部が破壊される。制御基板の一部を構成する脆弱部が破壊することにより、この制御基板による遊技制御の全部又は一部が機能しなくなる。脆弱部の具体的な構成としては、例えば、厚みを薄く形成する構成、多数のスルーホールによってミシン目を形成する構成を例示することができる。
【0017】
また、制御基板は、脆弱部が破壊されることにより、遊技機の制御機能を発揮しないように構成することが望ましい。この制御基板が遊技機に取り付けられた状態において、基板ケースを不正開放された際に、遊技の制御機能を直ちに停止することができ、不正な景品球の払出し等、不正な遊技の継続を効果的に防止することが可能となる。また、不正に基板ケースが開放された遊技機は、遊技の制御機能が停止しており、他の遊技機と異なる態様となる。したがって、仮に基板ケースが不正に開放されたことを報知する報知手段を設けない場合であっても、遊技機を視認することにより基板ケースが不正に開放されたことを報知することが可能となる。
【0018】
また、脆弱部は、制御基板の表面又は裏面に形成された薄肉部であることが望ましい。脆弱部は、制御基板の他の部分と比べて材質の強度や構造の強度が異なることにより強度が低く形成されていればよく、種々の構成を採用することができる。例えば、脆弱部を制御基板の表面又は裏面に形成された薄肉部とすることにより、制御基板の他の部分より板厚を小さくして、低い強度とすることができる。また、薄肉部の深さ、長さ等を適宜調整して形成することができるため、係合を解除する外力に応じて薄肉部を調整して形成し、基板ケースが不正に開放された際に、確実に脆弱部が破壊するように構成することが可能となる。また、薄肉部は、表面又は裏面に形成することため、制御基板に新たな部品等を付すことが不要であり、部品点数の増加を抑制し、従来の制御基板にも容易に形成することが可能である。
【0019】
本発明の他の例示的な側面としての基板ケースの不正開放検出構造は、第一収容部材と第二収容部材とが係合することにより遊技機の制御を為す制御基板を収容する基板ケースの不正開放検出構造であって、制御基板の表面又は裏面の一方側には、第一収容部材が配置され、他方側には、第二収容部材が配置されており、基板ケースに収容された制御基板が、第一収容部材に固定され、かつ第二収容部材に係止されていることにより、第一収容部材と第二収容部材の係合を解除する方向の移動が規制されており、第一収容部材と第二収容部材の係合を解除する方向の外力によって破壊される脆弱部が制御基板に設けられている。
【0020】
基板ケースに収容された制御基板は、第一収容部材に固定され、かつ第二収容部材に係止されており、第一収容部材と第二収容部材の係合を解除する方向の移動が規制されている。第一収容部材は、制御基板の表面又は裏面の一方側に配置され、第二に収容部材は、他方側に配置されており、制御基板の表裏面を挟んで第一収容部材と第二収容部材は対向して配置されている。基板ケースに対して第一収容部材と第二収容部材の係合を解除する方向の外力が加えられると、制御基板には第一収容部材側に引かれる力と第二収容部材側に引かれる力とが加わり、制御基板の脆弱部が破壊される。
【0021】
すなわち、この基板ケースの不正開放検出構造によれば、不正に基板ケースを開放しようとして、第一収容部材と第二収容部材の係合を解除する方向の外力が基板ケースに加わると、その外力によって制御基板の一部である脆弱部が破壊される。したがって、基板ケースの係合を解除されても、制御基板の一部が壊れているため、制御基板の一部又は全部の遊技の制御機能は発揮されなくなり、不正に基板ケースが開放されたことをより確実に検出することができる。
【0022】
また、基板ケースの不正開放検出構造は、基板ケースが第一収容部材の開口部と第二収容部材の開口部とが合わせられるように係合して、開口部に制御基板が収容可能に構成されており、第一収容部材又は第二収容部材は、基板ケースの一側面を軸として揺動可能に支持されており、第一収容部材又は第二収容部材が揺動することにより、第一収容部材と第二収容部材とが係合する状態と、第一収容部材と第二収容部材の係合を解除する状態と、が実現可能に構成されていてもよい。
【0023】
このように構成された基板ケースによれば、第一収容部材と第二収容部材とによって画定された開口部に基板ケースを収容し、基板ケースの一側面を軸として第一収容部材又は第二収容部材が揺動することによって、開口部を開閉して、第一収容部材と第二収容部材が係合する状態と、係合を解除する状態とを実現することができる。制御基板は、第一収容部材に固定されているとともに、第二収容部材に係止している。
【0024】
係合を解除しようとする方向の外力が基板ケースに加えられると、制御基板には第一収容部材側に引かれる力と、第二収容部材側に引かれる力が加わる。第一収容部材又は第二収容部材は、軸を中心に回転方向に移動し、その移動量が微少の場合には、制御基板には表面又は裏面と略垂直方向に引かれる力が作用する。また、第一収容部材は、制御基板の表面又は裏面の一方側に配置され、第二収容部材は他方側に配置されており、第一収容部材と第二収容部材は、制御基板の表裏面を挟んで対向して配置している。したがって、制御基板には、表面に対して略垂直方向の剪断力が加わり、この剪断力によって脆弱部が破壊される。
【0025】
係合を解除する方向の外力が基板ケースに加えられることにより、制御基板の表面に略垂直方向の剪断力が作用するため、比較的小さい外力によって脆弱部を破壊させることができる。基板ケースが不正に開放されないような、比較的小さな外力が作用した場合であっても制御基板を破壊して、不正開放の未遂行為も検出することができる。
【0026】
また、基板ケースの不正開放検出構造は、基板ケースが第一収容部材の開口部と第二収容部材の開口部とが合わせられるように係合して、開口部に制御基板が収容可能に構成されており、基板ケースの一側面に沿って、第一収容部材又は第二収容部材がスライド移動することにより、第一収容部材と第二収容部材とが係合する状態と、第一収容部材と第二収容部材の係合を解除する状態と、が実現可能に構成されており、脆弱部は、基板ケースの一側面から開口部を挟んで対向する側面に向かう方向において、固定部と係止部との間に配置されているように構成されていてもよい。
【0027】
このように構成された基板ケースによれば、第一収容部材と第二収容部材とによって画定された開口部に基板ケースを収容し、基板ケースの一側面に沿って第一収容部材又は第二収容部材をスライド移動させることによって、開口部を開閉して、第一収容部材と第二収容部材とが係合する状態と、係合を解除する状態と、を実現することができる。係合の方向に外力が加えられると、制御基板には第一収容部材側に引かれる力と、第二収容部材側に引かれる力が加わる。第一収容部材と第二収容部材は、スライド移動するため、制御基板には、表面に沿って反対方向に引かれる力が作用し、表面に沿った剪断力によって脆弱部が破壊される。係合を解除する外力の方向と制御基板に作用する剪断力の方向が同じ方向であるため、係合を解除する外力を減衰させずに、脆弱部を破壊する剪断力として作用しやすく構成できる。
【0028】
また、基板ケースの不正開放検出構造は、基板ケースが第一収容部材と第二収容部材との係合状態を保持するとともに、係合を解除された際の痕跡を残留させる痕跡残留部が基板ケースに設けられていることが望ましい。
【0029】
第一収容部材と第二収容部材の係合を解除する方向に外力が基板ケースに加えられることにより、制御基板の脆弱部が破壊されて、基板ケースが不正開放されたことを検出することができる。しかし、制御基板は、一部が破壊しており、新たな制御基板に交換することが必要となる。また、一部が破壊された制御基板は、回路が切断されているため再利用することもできず廃棄することとなる。
【0030】
このような廃棄する制御基板を少なくするために、係合を解除された痕跡を残留させる痕跡残留部を設けることが好ましい。痕跡残留部は、第一収容部材と第二収容部材との係合状態を保持しており、係合状態を解除するには、残留痕跡部の保持状態を解除する必要がある。したがって、基板ケースの係合を解除する作業に手間と時間が掛かるようにすることができ、基板ケースの不正開放を抑止することができる。更に、痕跡残留部の存在により、係合を解除しても痕跡が残ることを不正に基板ケースを開放する者に対して認識させることができる。すなわち、残留痕跡部を設けることにより、係合状態を解除する不正行為を効果的に抑止して、基板ケースが不正に開放されることを防ぎ、廃棄する制御基板を少なくすることができる。
【0031】
また、本発明の他の例示的な側面としての遊技機は、遊技を実現する遊技装置体と、遊技装置体を内包する遊技機枠と、上記の制御基板と、制御基板を収容して制御基板を遊技装置体又は遊技機枠に対して着脱自在に装着する基板ケースと、を有する。
【0032】
この遊技機によれば、制御基板を収容した基板ケースの係合を解除する外力によって、制御基板の脆弱部が破壊されるため、制御基板による少なくとも一部の遊技制御を停止することができる。この制御機能の停止に基づいて、遊技を停止したり電源をOFFにしたりすることによって、不正に開放された遊技機における不正な景品の払出しを効果的に防止できる。更に、制御基板の一部が破壊されることによって、スピーカ等で報知することにより、基板ケースが不正に開放されたことを早期に検出することが可能となる。
【0033】
なお、遊技装置体とは、遊技機における遊技を実現するものであり、例えば、パチンコ遊技機であれば、遊技媒体の流下による遊技を実現する遊技盤、スロットマシンであれば、絵柄の組み合わせによる遊技を実現するリールを例示できる。また、制御基板ケースは、遊技装置体又は遊技機枠に対して装着できる構成であればよく、遊技装置体又は遊技機枠に対して直接装着できる構成であってもよいし、遊技装置体又は遊技機枠との間に部材が配置され、遊技装置体又は遊技機枠に対して間接的に装着できる構成であってもよい。
【0034】
また、遊技機枠とは、遊技装置体を内包する枠部材又は枠部材の集合体であって、遊技装置体の側方や前方を囲むためのものである。例えば、遊技機がパチンコ遊技機である場合には、遊技装置体としての遊技盤を内包する筐体枠、機枠又は前面枠若しくはこれらの組合せ等が遊技機枠に該当し、遊技機がスロットマシンである場合には、遊技装置体としてのリール(回胴装置)を内包するキャビネット(筐体枠及び/又は前面枠)が遊技機枠に該当する。もちろん、パチンコ遊技機やスロットマシン以外の遊技機においても、それら遊技機における遊技を実現する遊技装置体(例えば、コインゲーム機における遊技盤やアーケードマシンにおけるゲーム画像表示装置等)を内包する枠部材等がこの遊技機枠に該当する。
【0035】
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、制御基板を収容した基板ケースの係合を解除する方向の外力により破壊される脆弱部が制御基板に設けられているため、基板ケースの係合が解除される外力によって制御基板の脆弱部が破壊されて、制御基板による制御機能の一部又は全部を停止することができる。制御基板の一部が破壊されることにより、基板ケースが不正に開放されたことをより確実に検出することができる。更に、制御基板の破壊に基づいて、遊技を停止したり電源をOFFにしたりするように構成して、不正に開放された遊技機における不正な景品の払出しを効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1に係る遊技機としてのパチンコ機2の正面図である。図2は、図1に示すパチンコ機の背面図である。このパチンコ機2は、枠体(遊技機枠)3、遊技盤ユニット、前面ガラス(前面透明板)10、発射ユニット(不図示)、貯留皿14を有し、遊技盤ユニットには、遊技媒体としての球の流下による遊技を実現するための遊技領域が形成されている。
【0038】
パチンコ機2は、遊技者が後述する発射ハンドル15を操作することによって、遊技領域16に向けて球が発射ユニットによって発射され、球の流下による遊技が実現される。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にパチンコ式スロットマシン機、コインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技媒体の流下による遊技を実現する遊技領域を有するあらゆる遊技機が含まれる。なお、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施の形態においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機について例示説明する。なお、図柄変動遊技については後述する。
【0039】
パチンコ機2の枠体3は、後述する遊技盤ユニットを保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。枠体3の内部側には、遊技盤ユニットの他にも後述する各種電子基板や遊技媒体用の経路等各種機構部品が配置され、枠体3によって周囲側面及び前面又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部側への不正アクセスが防止されるようになっている。
【0040】
パチンコ機2の周囲を囲む筐体枠4、その内側にヒンジ部(揺動支持部)22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤ユニットを保持する機枠9、機枠9の前方にヒンジ部22によって前方開閉可能に揺動支持されて前面ガラス10とその周囲を装飾する装飾部材32とを保持する装飾枠12とを有して枠体3が構成される。なお、前面ガラス10は、枠体3内部側に保持された遊技盤6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材である。
【0041】
貯留皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施の形態においては上皿14aと下皿14bとを有している。上皿14aは、球排出ボタン14cを有して遊技盤6の下方、すなわち装飾枠12の下方部分に配置され、下皿14bは、その上皿14aの更に下方に配置されている。
【0042】
遊技盤ユニットは、遊技盤面(表面)6a側の略中央にセンター役物7が配置された遊技盤6を有しており、その遊技盤面6aには多数の遊技釘も配置されている。センター役物7の中央部には、図柄表示装置7aが配置されるとともに、この図柄表示装置7aの表示画面(映像表示面)7bを露出させるための開口部7dが形成されている。
【0043】
図柄表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示画面7b上に映像表示を行うものである。この表示画面7b上には、例えば、3桁の数字又は文字等により構成される表示図柄7cが回転又は停止するように映像として表示される。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示画面7b上に表示されるようになっている。
【0044】
遊技盤6は、その遊技盤面6a側に球(遊技媒体)23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための遊技装置体であり、遊技盤面6aを前方から遊技者にとって視認可能となるように枠体3(本実施の形態においては、枠体3の一部としての機枠9。)に保持されている。その遊技盤面6aには略円形状に周囲を囲むようにレール飾りが取り付けられており、レール飾りの内周面が遊技盤面6aに対して立設するように配置されている。そして、その内周面によって画定され、内周面に面した略円形状の領域が遊技領域16となっている。
【0045】
遊技釘は、遊技領域16を流下する球23と衝突してその流下方向を変更させるものであり、多数が遊技領域内に配置されている。また、遊技領域16には、普通入賞口28、中央始動口29、及び中央大入賞口31等が配置されており、流下する球23が各流入口に流入したり、遊技釘に衝突したりすることによって、球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
【0046】
図示しない球発射装置により球23が発射されると、球23はレール飾りの内周面に沿いつつ進行して遊技領域16内の上部に至る。その後、球23は、複数の通過軌跡に沿って移動し、遊技釘に衝突しつつ遊技領域16を下方に流下する。あるものは普通入賞口28に流入して一定数の景品球払出しの契機となり、あるものは通過ゲート33を通過し、あるものはいずれの入賞口にも流入せずに遊技領域内最下部に位置するアウト口30に流入してアウト球としてパチンコ機2の外部側へと排出される。
【0047】
球23が通過ゲート33を通過すると、その通過ゲート33の通過に起因して状態変更抽選手段(不図示)による抽選が行われ、その抽選結果が当たりの場合に、中央始動口29の開閉羽根が開放され、球が入球し易い状態を実現する。この中央始動口29に流入すると、その流入に起因して図柄表示装置7aの表示図柄7cが回転表示を開始し、その表示図柄7cが所定の図柄(例えば、「7・7・7」。)で停止表示すれば、図柄変動遊技における大当りが発生する。そして、中央大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の景品球が貯留皿14へと払い出されるようになっている。
【0048】
遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の全体の制御を行う主制御基板34を収容した主制御基板ケース35と、図柄表示装置7aの画像演出の制御を行う画像制御基板(図示せず)を収容した画像制御基板ケース36と、景品球の払出しを制御する払出制御基板(図示せず)を収容した払出制御基板ケース37と、電源基板(図示せず)を収容した電源基板ケース38と、が配置されている。この各制御基板ケースに収容された各制御基板によって遊技が実現される。更に、遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の遊技状態等の遊技情報を外部に出力するための外部出力端子板39が設けられている。
【0049】
次いで、図3から図8に基づいて主制御基板34及び主制御基板ケース35の構造について詳細に説明する。なお、本実施の形態1では、主制御基板34を例示して説明するが、他の制御基板についても同様の構造を採用することは可能である。また、以下の説明における上下及び前後左右は、遊技盤6の裏面側から主制御基板ケース35を視認した際の方向であり、図4にその方向を図示する。
【0050】
図3は、主制御基板ケース35の平面図であり、図4は、主制御基板34及び主制御基板ケース35の分解斜視図である。主制御基板ケース35は、遊技盤6の裏面側に着脱自在に固定される第二収容部材としての本体部材35aと、本体部材35aに対して着脱自在に固定される第一収容部材としての蓋部材35bと、を有する。主制御基板34は、蓋部材35bの内面側に形成された開口部に固定されて、蓋部材35bと本体部材35aとが係合することにより、主制御基板ケース35の内部に収容される。この収容された状態では、主制御基板34に対して外部から接触することはできない。
【0051】
主制御基板34は、ROM、RAM等の電子デバイスや、接続コネクタ等の電子部品を有している。主制御基板34は、固定部としての固定穴34aが形成されている。主制御基板34の後側から固定穴34aに固定螺子35cを挿入して、この固定螺子35cと蓋部材35bの螺子穴(図示せず)とを螺子止めすることにより、主制御基板34が蓋部材35bに固定される。
【0052】
主制御基板ケース35の左側部には、ヒンジ部が設けられている。ヒンジ部は、本体部材35aの左側壁面に沿った軸部35dと、この軸部35dに係止する円弧状の弧状爪部35eと、からなり、軸部35dは本体部材35aに形成され、弧状爪部35eは蓋部材35bに形成されている。蓋部材35bは本体部材35aに対してヒンジ部を軸として揺動可能に支持されており、蓋部材35bが本体部材35aに対して回転移動することより、主制御基板ケース35の開口部を開放した開状態と、閉鎖した閉状態とを実現する。
【0053】
更に、主制御基板34の左右方向における略中心に配置された固定穴34aの右側には、係止部としての係止穴34bが形成されている。また、主制御基板34の固定穴34aと係止穴34bの間には、脆弱部としての薄肉部34cが形成されている。固定穴34a、係止穴34b、及び薄肉部34cは、不正開放検出構造を構成している。また、本体部材35aには、主制御基板ケース35に収容された主制御基板34の係止穴34bに係止可能な突出係止部35fが形成されている。更に、蓋部材35bには、主制御基板34と当接する規制部としてのボス35rが形成されている。
【0054】
突出係止部35fは、係止穴34bの径より大きい大径部が形成されており、大径部から先端側に向かって径が小さくなるような先細り形状である。突出係止部35fは、主制御基板ケース35が開状態から閉状態になるように蓋部材35bが回転移動する際は、突出係止部35fの先端の先細り形状から係止穴34bに挿入可能であり、主制御基板ケース35が閉状態となることにより、大径部が係止穴34bを貫通するように構成されている。突出係止部35fの大径部は、係止穴34bよりも径が大きく、突出係止部35fの大径部が係止穴34bを貫通することにより、主制御基板34が本体部材35aに係止して、主制御基板34が本体部材35aから離間する方向の移動が規制される。
【0055】
ボス35rは、蓋部材35bに主制御基板34が固定された状態で、主制御基板34と当接しており、主制御基板34が蓋部材35b側に撓むことを抑制するように構成されている。したがって、突出係止部35fが主制御基板34の係止穴34bに挿入する際に、突出係止部35fによって主制御基板34が蓋部材35b側に押圧されても、ボス35rが主制御基板34と当接して主制御基板34の撓みを抑制する。このようなボス35rを設けることにより、突出係止部35fが係止穴34bに挿入する際の主制御基板34の撓みや、それに伴って主制御基板が割れることを抑制することができる。
【0056】
なお、規制部は、蓋部材35bに固定された主制御基板34の撓みを防止できるように構成されていればよく、ボスに限られず、蓋部材35bと一体に形成されたリブによって構成してもよい。また、本実施の形態では、係止穴34bに対して二個のボス35rを設けているが、主制御基板34の強度、係止穴34b及び突出係止部35fの形状等によって適宜設定することができ、一個のみ設けてもよいし、係止穴34bの周囲を囲むように設けてもよい。
【0057】
また、主制御基板34は、固定穴34aを介して蓋部材35bに固定されている。したがって、主制御基板ケース35に主制御基板34が固定され、この主制御基板ケース35が閉状態となると、主制御基板34は、本体部材35a及び蓋部材35bの双方から離間する方向の移動が規制される。
【0058】
薄肉部34cは、主制御基板34の上下方向に沿って、主制御基板34の表面及び裏面に形成されている。薄肉部34cは、主制御基板34の板厚が薄くなるような窪みであり、主制御基板34の他の部分より強度が低い。薄肉部34cを挟んで固定穴34aと係止穴34bが配置されており、薄肉部34cの右側に固定穴34aが配置され、薄肉部の左側に係止穴34bが配置されている。主制御基板ケース35が開状態となる方向の外力が加わると、主制御基板34における薄肉部34cの右側には固定穴34aを介して蓋部材35b側に引かれる前方向の力が作用し、薄肉部34cの左側には係止穴34bを介して本体部材35a側に引かれる後方向の力が作用する。したがって、薄肉部34cを挟んで反対方向に力が作用して、薄肉部34cに前後方向の剪断力が作用して、薄肉部34cが切断される。
【0059】
なお、本実施の形態では、薄肉部34cは主制御基板34の表面及び裏面に形成されているが、この構成に限られず、主制御基板34の表面又は裏面のいずれか一方に配置してもよい。主制御基板34の強度、係止穴34b及び固定部34aの配置等に応じて適宜設定することができる。また、好適には、主制御基板34の表面又は裏面のうち破壊されやすい面に形成することが望ましい。本実施の形態において破壊されやすい面とは、係止穴34bに挿入された係止突出部35f側と反対の面であり、蓋部材35b側の面である。主制御基板34は、突出係止部35fによって本体部材35a側に押さえられた状態で蓋部材35b側に引かれるため、蓋部材35b側の面は本体部材35a側の面よりも破壊されやすくなる。
【0060】
主制御基板ケース35の右側部には、痕跡残留部としての封止部が形成されている。封止部は、本体部材35aの右側壁面に対して突出して形成された本体カシメ部35gと、蓋部材35bの右側壁面に連結部材35hを介して接続された蓋カシメ部35kと、本体カシメ部35gと蓋カシメ部35kとの間に収容可能な封止片35mと、からなる。本体カシメ部35gと蓋カシメ部35kは、本体部材35aの右側壁面から側方に突出して配置されている。本体カシメ部35gと蓋カシメ部35kは、それぞれ4個ずつ設けられており、各カシメ部内に封止片35mが収容される。
【0061】
封止片35mは、「ロック」の文字が印字された表面が前方に位置する第一状態又は表面が後側に位置する第二状態で各カシメ部に収容される。封止片35mの側壁面には封止爪部35nが突出形成されている。各カシメ部の内壁面には第一状態の封止片35mの封止爪部35nが挿入可能な内壁穴35pが形成されている。
【0062】
本体カシメ部35g内に係止爪部35nを第一状態で配置して基板ケースを閉状態とすると、封止片35mは、本体カシメ部35g及び蓋カシメ部35kと嵌合する。この状態では、封止片35mの封止爪部35nは、本体カシメ部35gの内壁穴35p及び蓋カシメ部35kの内壁穴35pと嵌合している。封止爪部35nの厚みは、各カシメ部に対する挿入方向の先端側が小さく後端側が大きくなるように形成されており、封止爪部35nの後端は、封止片35mの側壁面と段差が生じるように形成されている。したがって、本体カシメ部35gと蓋カシメ部35kに第一状態の封止片35mを収容すると、封止爪部35nが内壁穴35pと嵌合して、主制御基板ケース35の閉状態が保持される封止状態となる。
【0063】
一方、本体カシメ部35gに封止片35mを第二状態で配置して基板ケースを閉状態とすると、封止爪部35nの位置が第一状態とは異なり、封止爪部35nと内壁穴35pとが嵌合せず、基板ケースの閉状態は保持されない。
【0064】
したがって、主制御基板ケース35を閉状態で封止する際には、いずれかの封止片35mを第一状態として各カシメ部に配置し、他の封止片35mを第二状態として各カシメ部に配置して、基板ケースを閉状態とする。これにより、主制御基板ケース35は、第一状態の封止片35mと内壁穴35pと嵌合して封止状態となる。
【0065】
このような封止部によって主制御基板ケース35を封止することにより、封止状態を解除することは困難であり、主制御基板ケース35を開封するためには、第一状態の封止片35mを収容した蓋カシメ部35kと連結された連結部材35hを切断して、この蓋カシメ部35kを蓋部材35bから切り離すことが必要である。したがって、主制御基板ケース35を開封した後は、連結部材35hを切断した痕跡が残り、主制御基板ケース35が不正に開放されたことを検出することができる。
【0066】
しかし、連結部材35hを切断した痕跡は、主制御基板ケース35を視認しなければ検出できず、主制御基板ケース35が不正に開放されたことを早期に発見できないおそれがある。この対策として、本実施の形態1に係る主制御基板ケース35は、封止部と合わせて不正開放検出構造が設けられている。
【0067】
次いで、主制御基板ケース35の不正開放検出構造について、主制御基板ケース35を用いた主制御基板34の収容方法及びその解除方法に沿って詳細に説明する。図5、図6及び図8は、主制御基板34を収容した主制御基板ケース35の断面図であり、いずれも図3におけるA−A矢視を示している。図7は、図6に示すB部分の部分拡大図である。
【0068】
主制御基板ケース35に主制御基板34を収容する際は、蓋部材35bに主制御基板34を固定螺子35cによって固定する。そして、本体カシメ部35gに封止片35mを第一状態となるように配置した後に、蓋部材35bを回転移動して、主制御基板ケース35を閉状態とする方向に移動する。図5は、蓋部材35bを回転移動している状態を示す。
【0069】
更に、蓋部材35bを回転移動して主制御基板ケース35が閉状態となることにより、本体部材35aの本体カシメ部35g及び蓋部材35bの蓋カシメ部35kと封止片35mが嵌合して、主制御基板ケース35は封止状態となる。図6は、封止状態の主制御基板ケース35である。この状態では、本体部材35aの突出係止部35fは、主制御基板34の係止穴34bを貫通している。したがって、主制御基板34は、固定穴34aを介して蓋部材35bに固定されており、係止穴34bを介して本体部材35aに係止されており、本体部材35a及び蓋部材35bから離間する方向の移動が規制されている。
【0070】
このように封止された主制御基板ケース35は、封止部によって封止状態が保持されており、この封止状態を解除するためには、連結部材35hを切断しなければならない。したがって、開封作業に手間と時間が掛かり、更に開封してもその痕跡が残るため、不正開放を抑止できる。それにも拘わらず、蓋部材35bと蓋カシメ部35kを連結する連結部材35hが切断された場合には、蓋部材35bは主制御基板ケースを開状態とする方向に移動可能となる。
【0071】
図8は、封止が解除された主制御基板ケース35の開状態を示している。主制御基板ケース35を開放する方向に蓋部材を移動させる外力が加わると、薄肉部34cの右側は固定穴34aを介して蓋部材35b側に引かれる前方向の力が作用し、薄肉部34cの左側は係止穴34bを介して本体部材35a側に引かれる後方向の力が作用する。したがって、薄肉部34cを挟んで反対方向に力が作用して、薄肉部34cに前後方向の剪断力が作用して薄肉部34cが切断される。
【0072】
このように、蓋部材35bと蓋カシメ部35kを連結する連結部材35hを切断して主制御基板ケース35を開放しようとすると、ケース内部に収容された主制御基板34が破壊され、主制御基板34の一部又は全部の遊技の制御機能は発揮されなくなり、不正に主制御基板ケース35が開放されたことをより確実に検出することができる。更に、主制御基板34の薄肉部34cが破壊されることによって、遊技を停止することにより、例えば、不正な景品球の払出し等、不正な遊技の継続を効果的に防止することが可能となる。
【0073】
また、本実施の形態1では、主制御基板ケース35の左右方向における略中央より封止部側に薄肉部35cを設けているが、より好ましくは、主制御基板ケース35の開閉動作の軸となる軸部35d側に設けることが望ましい。薄肉部35cを軸部35d側に設けることにより、薄肉部35cに掛かる力を大きくして、薄肉部35cを破壊されやすくすることができる。
【0074】
[実施の形態2]
なお、本発明に掛かる不正開放検出構造が設けられる基板ケースの構造は、実施の形態1に係る主制御基板ケース35に限られず、変形例を概念することができる。図9は、実施の形態2に係る基板ケース41の分解斜視図である。実施の形態2に係る基板ケースは、第一収容部材と第二収容部材とがスライド移動することにより、開状態と閉状態とを実現可能な基板ケースである。
【0075】
基板ケース41は、第二収容部材としての本体部材41aと第一収容部材としての蓋部材41bを有しており、制御基板40には、固定穴40aが形成されている。制御基板40の後側から固定穴40aに固定螺子41eを挿入して、この固定螺子41eと蓋部材41bの螺子穴(図示せず)とを螺子止めすることにより、蓋部材41bに制御基板40が固定される。蓋部材41bと本体部材41aとが係合することにより、基板ケース41の内部に制御基板40が収容される。
【0076】
基板ケース41の上下側壁面には、スライド機構が形成されている。スライド機構は、本体部材41aに形成されたスライド溝41cと、蓋部材41bに形成されたスライド片41dと、からなる。スライド溝41cは、本体部材41aの上側壁面及び下側壁面から後方及び内方に向けて形成された溝である。スライド溝41cの前方に位置する開口部分は、左半分が塞がれており、右半分が開口している。スライド片41dは、本体部材41aのスライド溝41cと対向するように、蓋部材41bに突出形成されている。
【0077】
基板ケース41を閉状態とする際は、本体部材41aのスライド溝41cの開口部分に蓋部材41bのスライド片41dを挿入して、蓋部材41bを左方向にスライド移動させる。これにより、本体部材41aのスライド溝41cと蓋部材41bのスライド片41dが嵌合して、基板ケース41は閉状態となる。一方、閉状態から開状態とする際には、本体部材41aに対して蓋部材41bを右側にスライド移動させて、スライド溝41cとスライド片41dとの嵌合を解除する。
【0078】
更に、制御基板40は、制御基板40の上側に配置された固定穴40aの上方に係止部としての係止穴40bが形成されており、上下方向における固定穴40aと係止穴40bの間に脆弱部としての薄肉部40cが形成されている。固定穴40a、係止穴40b及び薄肉部40cは、不正開放防止構造を構成する。また、本体部材41aには、基板ケース41に制御基板40が収容された際に、係止穴40bに挿入可能であるが、係止穴40bから抜ける方向に移動不可能に構成された突出係止部41fが形成されている。
【0079】
突出係止部41fは、左右方向に傾斜する傾斜面が形成されており、右側の方が高くなるように配置されており、前側から押圧されることにより後側に撓むように構成されている。本体部材41aに対して蓋部材41bをスライド移動すると、突出係止部41fの傾斜面に沿って制御基板40は左方向にスライド移動する。このスライド移動している際は、前側に配置された制御基板40によって突出係止部41fが後方に押圧されており、突出係止部41fは制御基板40の裏面に配置されている。スライド溝41cとスライド片41dが嵌合する位置にスライド移動すると、突出係止部41fの傾斜面の頂点が係止穴40bに挿入するように構成されている。この状態において、突出係止部41fは、制御基板40の係止穴40bに挿入し、制御基板40によって後方に押圧されないため、突出係止部41fは後方に撓まない。したがって、スライド溝41cとスライド片41dが嵌合すると、突出係止部41fは係止穴40bに挿入し、制御基板40が本体部材41aから離間する方向の移動が規制される。
【0080】
また、制御基板40は、固定穴40aを介して蓋部材41bに固定されている。したがって、基板ケース41に制御基板40が固定され、この基板ケース41が閉状態となると、制御基板40は、本体部材41a及び蓋部材41bの双方から離間する方向の移動が規制される。
【0081】
薄肉部40cは、制御基板40の左右方向に沿って、制御基板40の表面及び裏面に形成されている。薄肉部40cを挟んで固定穴40aと係止穴40bが配置されており、薄肉部40cの下側に固定穴40aが配置され、薄肉部40cの左側に係止穴40bが配置されている。基板ケース41を開状態とする方向の外力は、蓋部材41bを本体部材41aに対して右側にスライドさせる方向の力である。したがって、開状態とする外力が基板ケース41に加わると、薄肉部40cの下側には固定穴40aを介して蓋部材41b側に引かれる右方向の力が作用し、薄肉部40cの上側には係止穴40bを介して本体部材41a側に引かれる左方向の力が作用する。したがって、制御基板40の薄肉部40cを挟んで左右反対方向に力が作用して、薄肉部40cに左右方向の剪断力が作用して、薄肉部40cが切断される。
【0082】
また、基板ケース41の左端部には、本体部材41aに設けられた本体カシメ部41gと、蓋部材41bに連結部材41hを介して設けられた蓋カシメ部41kと、本体カシメ部と蓋カシメ部との間に収容される封止片41mと、からなる。本体カシメ部41gと蓋カシメ部41kは、それぞれ4個ずつ設けられており、各カシメ部内には封止片41mが収容される。
【0083】
封止片41mは、「ロック」の文字が印字された表面が前方に位置する第一状態又は表面が後側に位置する第二状態で各カシメ部に収容される。封止片41mの裏面には封止爪部41nが突出形成されている。各カシメ部の内壁面には第一状態の封止片41mの封止爪部41nが挿入可能な内壁穴(図示せず)が形成されている。
【0084】
本体カシメ部41gに封止片41mを第一状態で配置して基板ケース41を閉状態とすると、封止片41mは、本体カシメ部41g及び蓋カシメ部41kと嵌合して、基板ケース41の閉状態が保持される封止状態となる。一方、本体カシメ部41gに封止片41mを第二状態で配置して基板ケースを閉状態とすると、封止片41mと本体カシメ部41g及び蓋カシメ部41kが嵌合せず、基板ケース41の閉状態は保持されない。
【0085】
次いで、基板ケース41の不正開放検出構造について、基板ケース41を用いた制御基板40の収容方法及びその解除方法に沿って詳細に説明する。
【0086】
基板ケース41に制御基板40を収容する際は、蓋部材41bに制御基板40を固定螺子41eによって固定する。そして、本体カシメ部41gに封止片41mを第一状態となるように配置した後に、蓋部材41bのスライド片41dを本体部材41aのスライド溝41cに挿入する。突出係止部41fは、制御基板40の裏面側に位置しており、係止穴40b内に挿入していない状態である。
【0087】
本体部材41aに対して蓋部材41bを左側にスライド移動して、基板ケース41が閉状態となることにより、本体部材41aの本体カシメ部41g及び蓋部材41bの蓋カシメ部41kと封止片41mが嵌合して、基板ケース41は封止状態となる。突出係止部41fは、係止穴40bを貫通している。したがって、制御基板40は、固定穴40aを介して蓋部材41bに固定されており、係止穴40bを介して本体部材41aに係止されており、本体部材41a及び蓋部材41bから離間する方向の移動が規制されている。
【0088】
このように封止された基板ケース41の蓋部材41bと蓋カシメ部41kの連結部材41hが切断されることにより、本体部材41aに対して蓋部材41bは右側にスライド移動可能となる。基板ケース41を開放する方向に蓋部材41bを移動させる外力が加わると、薄肉部40cの下側には固定穴40aを介して蓋部材41b側に引かれる力が作用し、薄肉部40cの上側には係止穴40bを介して本体部材41aに引かれる左方向の力が作用する。したがって、薄肉部40cを挟んで反対方向に力が作用して、薄肉部40cに左右方向の剪断力が作用して薄肉部40cが切断される。
【0089】
このように、実施の形態2に係る基板ケース41によっても、蓋部材41bと蓋カシメ部41kを連結する連結部材41hを切断して基板ケース41を開放しようとすると、ケース内部に収容された制御基板40が破壊される。制御基板40の一部が破壊されることにより、制御基板40の一部又は全部の遊技の制御機能は発揮されなくなり、不正に基板ケース41が開放されたことをより確実に検出することができる。
【0090】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。例えば、制御基板が破壊されることにより、異常信号を発生するように構成して、この異常信号を外部出力端子板39を介して、ホール店員等の外部に報知することもできる。このように、不正に開放されたことを報知する報知手段を設けることにより、不正に開放されたことをより早期に検出することが可能となる。
【0091】
更に、基板ケースの構造は、実施の形態1のように本体部材と蓋部材が回転方向に移動して開閉する構造や、実施の形態2のように本体部材と蓋部材がスライド移動して開閉する構造のみならず、本体部材と蓋部材が軸等を介さずに分離して、互いに離間することにより開閉する構造であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態1に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】図1に示すパチンコ機の背面図である。
【図3】実施の形態1に係る主制御基板ケースの平面図である。
【図4】図3に示す主制御基板ケースの分解斜視図である。
【図5】図3に示す主制御基板ケースのA−A断面図であって、開状態から閉状態となる過程の状態を示している。
【図6】図3に示す主制御基板ケースのA−A断面図であって、閉状態を示している。
【図7】図6に示す主制御基板ケースのB部分拡大図である。
【図8】図3に示す主制御基板ケースのA−A断面図であって、閉状態を示している。
【図9】実施の形態2に係る基板ケースの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0093】
2:パチンコ機(遊技機)
3:枠体(遊技機枠)
4:筐体枠(枠体の一部)
6:遊技盤(遊技装置体)
6a:遊技盤面(表面)
7:センター役物
7a:図柄表示装置
7b:表示画面(映像表示面)
7c:表示図柄
7d:開口部
9:機枠(枠体の一部)
10:前面ガラス(前面透明板)
12:装飾枠(枠体の一部)
14:貯留皿
14a:上皿
14b:下皿
14c:球排出ボタン
15:発射ハンドル
16:遊技領域
22:ヒンジ部(揺動支持部)
23:球(遊技媒体)
28:普通入賞口
29:中央始動口
30:アウト口
31:中央大入賞口
32:装飾部材
33:通過ゲート
34:主制御基板(制御基板)
34a:固定穴(固定部)
34b:係止穴(係止部)
34c:薄肉部(脆弱部)
35:主制御基板ケース(制御基板ケース)
35a:本体部材(第二収容部材)
35b:蓋部材(第一収容部材)
35c:固定螺子
35d:軸部
35e:弧状爪部
35f:突出係止部
35g:本体カシメ部
35h:連結部材
35k:蓋カシメ部
35m:封止片
35n:封止爪部
35p:内壁穴
35r:リブ(規制部)
36:画像制御基板ケース
37:払出制御基板ケース
38:電源基板ケース
39:外部出力端子板
40:制御基板
40a:固定部
40b:係止穴
40c:薄肉部
41:基板ケース
41a:本体部材
41b:蓋部材
41c:スライド溝
41d:スライド片
41e:固定螺子
41f:突出係止部
41g:本体カシメ部
41h:連結部材
41k:蓋カシメ部
41m:封止片
41n:封止爪部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一収容部材と第二収容部材とが係合した基板ケース内部に収容されて、遊技機の制御を為す制御基板であって、
前記第一収容部材に固定される固定部と、前記基板ケース内部に収容されることにより第二収容部材に係止される係止部と、前記固定部と前記係止部との間に配置された脆弱部と、を有し、
前記固定部が前記第一収容部材に固定され、かつ前記係止部が前記第二収容部材に係止されることにより、前記第一収容部材と前記第二収容部材との係合を解除する方向への前記第一収容部材と前記第二収容部材の移動を規制しており、
前記脆弱部は、前記第一収容部材と前記第二収容部材の係合を解除する方向の外力により破壊されるように形成されている、制御基板。
【請求項2】
前記脆弱部が破壊されることによって、前記遊技機の制御機能を発揮しないように構成されている、請求項1に記載の制御基板。
【請求項3】
前記脆弱部は、該制御基板の表面又は裏面に形成された薄肉部である、請求項1又は請求項2に記載の制御基板。
【請求項4】
第一収容部材と第二収容部材とが係合することにより遊技機の制御を為す制御基板を収容する基板ケースの不正開放検出構造であって、
前記制御基板の表面又は裏面の一方側には、前記第一収容部材が配置され、他方側には、前記第二収容部材が配置されており、
前記基板ケースに収容された前記制御基板が、前記第一収容部材に固定され、かつ前記第二収容部材に係止されていることにより、前記第一収容部材と前記第二収容部材の係合を解除する方向の移動が規制されており、
前記第一収容部材と前記第二収容部材との係合を解除する方向の外力によって破壊される脆弱部が前記制御基板に設けられている、基板ケースの不正開放検出構造。
【請求項5】
前記基板ケースは、前記第一収容部材の開口部と前記第二収容部材の開口部とが合わせられるように係合して、該開口部に前記制御基板が収容可能に構成されており、
前記第一収容部材又は前記第二収容部材は、前記基板ケースの一側面を軸として揺動可能に支持されており、該第一収容部材又は該第二収容部材が揺動することにより、該第一収容部材と該第二収容部材とが係合する状態と、該第一収容部材と該第二収容部材の係合を解除する状態と、が実現可能に構成されている、請求項4に記載の基板ケースの不正開放検出構造。
【請求項6】
前記基板ケースは、前記第一収容部材の開口部と前記第二収容部材の開口部とが合わせられるように係合して、該開口部に前記制御基板が収容可能に構成されており、
前記基板ケースの一側面に沿って、前記第一収容部材又は前記第二収容部材がスライド移動することにより、該第一収容部材と該第二収容部材とが係合する状態と、該第一収容部材と該第二収容部材の係合を解除する状態と、が実現可能に構成されており、
前記脆弱部は、前記基板ケースの一側面から前記開口部を挟んで対向する側面に向かう方向において、前記固定部と前記係止部との間に配置されている、請求項4に記載の基板ケースの不正開放検出構造。
【請求項7】
前記基板ケースは、第一収容部材と第二収容部材との係合状態を保持するとともに、係合を解除された際の痕跡を残留させる痕跡残留部が設けられている、請求項4から請求項6のいずれかに記載の基板ケースの不正開放検出構造。
【請求項8】
遊技を実現する遊技装置体と、
遊技装置体を内包する遊技機枠と、
上記請求項1から請求項3のいずれかに記載の制御基板と、
前記制御基板を収容して該制御基板を前記遊技装置体又は前記遊技機枠に対して着脱自在に装着する基板ケースと、を有する遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−22584(P2010−22584A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187418(P2008−187418)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】