制御装置、入力装置、入力判定方法、プログラム
【課題】 特別なセンサを用いることなく、投影画像に対してタッチがなされたタイミングとその位置を、正確かつ容易に検出できるようにする。
【解決手段】 投影画像を撮像し、指示部とその影を検出する。検出した指示部とその影の先端位置同士が重なり合った位置を入力位置として取得する。
【解決手段】 投影画像を撮像し、指示部とその影を検出する。検出した指示部とその影の先端位置同士が重なり合った位置を入力位置として取得する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル等を用いたタッチ操作によって入力を与えるグラフィックユーザインターフェース(以下、GUI)を搭載したデジタル機器が増えてきている。視認性、操作性に優れ、直感的な操作が可能なため、様々な機器に搭載され広く普及しつつある。また、GUIを機器のディスプレイ上に表示するのではなく、プロジェクタによって壁や机上に投影し、プロジェクタで投影されたグラフィックスに対して操作を行うことにより入力を与える技術が提案されている。特許文献1は、投影画像と撮像画像の差分をとることにより手領域の抽出を行うことで、入力位置を検出している。特許文献2は、所定短時間以内に撮影された少なくとも2枚の撮像画像の差分をとることにより手領域の抽出を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−152622
【特許文献2】特開2001−005609
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1や特許文献2のように、単純に2つの画像の差分を取る方法では、そこから指示部である手や指の領域を抽出することはできても、その指示部が、グラフィックスを投影した投影面である壁や机上に触れたか否かを厳密に検出することはできない。つまり、指示部の領域を抽出できたとしても、その指示部が、壁や机上から離れている可能性もある。したがって、抽出された指示部の領域からタッチ位置を算出する方法では、実際には手や指はまだ壁や机上から離れていてタッチはしていない場合でも、タッチ入力として検出してしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するために、画像を投影する投影手段と、投影された画像を撮像する撮像手段とを備え、前記撮像手段によって撮像した撮像画像から前記投影手段によって投影された投影画像に対する入力を指示するための指示部及び前記指示部の影を抽出する抽出手段と、前記抽出された前記指示部の所定の位置と前記指示部の影の所定の位置との重なりを検出する検出手段と、前記検出手段により検出し前記重なりの位置を前記投影画像に対する前記指示部による入力位置として判定する判定手段とを有することを特徴とする入力装置を提供する。また、その入力装置の制御を行う制御装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、投影画像に対してタッチがなされた位置の検出精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】入力装置を使用した際の概観図である。
【図2】入力装置の機能ブロック図である。
【図3】入力装置のハードウエア構成図である。
【図4】入力装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】撮像画像の補正を示す図である。
【図6】撮像画像と投影画像との差分画像を示す図である。
【図7】実施例2における入力装置を用いた際の概観図である。
【図8】実施例2における撮像画像の補正処理の方法を説明する図である。
【図9】撮像画像の補正処理の方法を説明する図である。
【図10】実施例4における部分画像抽出処理を示すフローチャートである。
【図11】実施例3における入力装置を用いた際の概観図と差分画像を示す図である。
【図12】実施例4における部分画像抽出処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【実施例1】
【0009】
本実施例では、プロジェクタ機能とカメラ機能を備えた入力装置を例として取り上げる。この入力装置のプロジェクタ機能でGUI画面を机上等の投影面(所定面上)に投影する。そして、投影されたGUIに対して、ユーザは指等による指示部によりタッチ操作を行い、指示入力を行う。
【0010】
図2は、本実施例に係る入力装置のブロック図である。同図において、211はプロジェクタ機能とカメラ機能を備えた入力装置であり、投影したGUI画面に対する利用者の指示入力位置を検知する情報処理装置である。201は、投影部であり、プロジェクタによって構成され、後述する保持部に保持された画像を机上や壁面等の投影面(所定面上)に投影し、GUI画面を投影出力する。202は、撮像部であり、カメラ等の撮像機器により構成される。カメラによって、投影されたGUI画面を含む投影面(所定面上)を撮像する。203は保持部であり、投影元画像を保持する。保持部203が保持した画像を投影部201は投影元画像として投影を行う。
【0011】
204は、画像取得部であり、撮像部202で撮像された画像を取得し画像データとして保持する。205は、補正部であり、後の処理を容易にするため、画像取得部204が取得した撮像画像に対し画像処理を施し、撮像画像を補正する処理を行う。206は、差分算出部であり、保持部203が保持している投影元画像と撮像部202で撮像した撮像画像のとの差分を算出し、差分データを生成する。207は、抽出部であり、差分算出部206で生成された差分画像から、一つまたは複数の部分画像領域を抽出する。ここで、部分画像領域とは画像上の一連の領域をいい、例えば撮像画像上の指示部を表す領域や指示部が投影部201による投影を遮蔽することにより形成された投影面上の影を表す領域をいう。
【0012】
208は、検出部であり、抽出部207が抽出した部分画像領域が互いに重なり合っているか否かを検出する。209は、位置取得部であり、検出部208の検出結果から、指示部と投影面の接触位置からGUI画面上の入力位置(以降、タッチ位置と呼ぶ)を算出し、そのタッチ位置情報を出力する。210は入/出力部であり、コンピュータ等の外部機器と接続し、外部機器と情報の入出力を行う。外部機器から入力された画像を保持部203に供給したり、位置取得部209により算出された位置情報を外部機器である情報処理装置に出力を行うように構成しても良い。
【0013】
212は入力装置211の制御部である。制御部212は、保持部203、画像取得部204、補正部205、差分算出部206、抽出部207、検出部208、位置取得部209、入/出力部210から構成される。制御部212は、入力装置211の動作の制御や情報の演算や処理を担う。制御部は、CPU等の演算処理装置が記憶装置に記憶されているプログラムに基づき、各種ハードの制御、情報の演算や処理を実行することで構成される。
【0014】
続いて図3は、本実施例に係る入力装置のハードウエア構成を示す構成図である。同図において、301は、CPUであり、後述する図4に示す本入力装置の動作をプログラムに従って各種ハードの制御、情報の演算や情報処理を実行することで実現させる。302は、RAMであり、上記プログラムの動作に必要な記憶領域を提供する記憶装置である。また、RAM302は図2に示す保持部203による投影元画像の保持、画像取得部204が行う取得した撮像画像の保持等を行う。303は、ROMであり、本実施例に係る入力装置の動作を実現させるプログラムを保持する記憶装置である。また、投影部201と撮像部202の仕様情報を記憶している。ここで、仕様情報とは投影部201の投射距離や撮像部202の焦点距離や画角等の仕様に関する情報である。
【0015】
304は、カメラであり、撮像部202に相当する。305は、プロジェクタであり、投影部201に相当する。306は、I/Oデバイスであり、外部機器との入出力インターフェースとして動作する。例えば、USBケーブルインターフェース、無線信号の送受信部等を備えるインターフェース部である。入/出力部210に相当する。307はバスであり、入力装置211内部の各ハードウエアが互いにデータの入出力をやり取りするための伝送路である。また、制御部212はCPU301、RAM302、ROM303、I/Oデバイス306から構成され、入力装置の制御を行う情報処理装置として動作可能である。
【0016】
以上の構成からなる本実施例に係る入力装置の動作を図4のフローチャートに基づき、詳細に説明する。まず、S401において入力装置211は、投影部201によって、投影面(所定面上)にGUI画面を投影する。図1は、本実施例に係る入力装置を用いた際の概観図である。同図において、図2と同一なものには同一の符号を付してある。図1(a)において投影部201であるプロジェクタから投影されたGUI画面は机等の投影面101に投影される。102は、投影部201によって投影面101上に投影されたGUI画面である。
【0017】
ここで、図1(b)に示すように、ユーザは投影面101上に投影されたUI画面を用いて入力を行う場合は指示棒、スタイラスやペンなどの物体又は指等などの指示部103により、直接GUI画面102にタッチ操作を行う。したがって、投影部201からの投影光を指示部103が遮蔽することにより、その影104が投影面101上に現れる。
【0018】
続いて、S402において、入力装置211は、投影部201が投影し投影面101に投影された画像を含むように撮像部202によって投影面101の撮像を行う。そして、撮像部202が撮像した画像を画像取得部204は取得する。ここで、投影面を撮像した画像の一例を図5(a)に示す。本実施例の入力装置211における撮像部202は投影面101に対して平行面から撮像出来ないので、撮像された画像は投影元画像と比較して歪が生じる。そこで、S403において、補正部205は、画像取得部204が取得した図5(a)に示す撮像画像501に対して、補正処理を施す。
【0019】
ここで、撮像画像の補正処理を図9を用いて説明する。901は、撮像画像を示している。902は撮影画像上の任意の点(X,Y)である。また、901に対して図中の矢印の方向から見た図が903になる。903において、904はカメラ304の位置である。905は画像構成面である。ここで、画像構成面とは、カメラをモデル化した場合のカメラの撮像面を3次元空間中に規定した平面をいう。カメラ位置(焦点面)から、画像構成面までの距離は焦点距離で定義され、またカメラの画角906によって画像構成面は決定される。
【0020】
撮像画像の任意の点(X,Y)は画像構成面905上の座標位置(X,Y)と対応する。画像構成面905上の(X,Y)を通過する光線907が投影面と交わる点908の投影画像上の座標(x、y)とする。図9の903より、下記の等式が成り立つ。
(y + L2) : (y+L1+L2) = (H2+Y) : H1 (1)
ここで、H1は投影面からカメラ位置904までの高さである。H2は903において、カメラ位置904と投影面である机上の投影画像領域909の下端位置とを結ぶ直線と画像構成面905とが交わる点の投影面からの高さである。L1はカメラ位置904から画像構成面905までの距離をいう(焦点距離)。L2は画像構成面905から投影画像領域909の下端位置までの距離を言う。H1、H2、L1、L2(仕様情報)は、入力装置211の仕様によって決まる定数である。H1とL1は撮像部202の仕様によって決まる。一方、H2とL2は、投影画像領域909の下端位置によって決まるが、その下端位置は投影部201の仕様によって決まる。
【0021】
補正部205は、S403において、RAM302等の記憶装置から予め記憶しているH1、H2、L1、L2等の仕様情報を取得する。そして、(1)式を用いて、撮像画像のYに対応する投影画像上のyを求める。
【0022】
同様に、xの求め方を図9の910を用いて説明する。910は、図1に示す概観図全体を机の真上方向から見た図である。911は撮像部202の位置である。912は光線であり、913は画像構成面であり、914は画角である。画像構成面905上の(X,Y)を通過する光線907が投影面と交わる点908の投影画像上の座標を903と同様に(x、y)とする。図9の910より、下記の等式が成り立つ。
X: (x +M3) = M1 : (M1+M2+y) (2)
ここで、M1はカメラ位置911から画像構成面913までの距離をいう。M2は画像構成面913から投影画像領域916の下端位置との距離である。また、ここで、910より下記の等式が成り立つ。
M3 = y × tanθ (3)
(3)式に求めたyを代入することによりM3を算出可能となる。また、M1、M2、θは、入力装置211の仕様によって決まる定数である。M1とθは撮像部202の仕様によって決まる。一方、M2は、投影画像領域916の位置によって決まるが、その位置は投影部201の仕様によって決まる。
【0023】
補正部205は、S403において、RAM302等の記憶装置から予め記憶しているM1、M2、θ等の仕様情報を取得する。そして、算出したyを用いて(3)式よりM3を算出する。続いて、算出したyやM3を用いて、(2)式よりxを算出する。そして、任意の撮像画像(X,Y)に対応する(x、y)を取得する。
【0024】
以上のようにして、撮像画像上の任意の点(X,Y)に対応する座標(x,y)が決まるので、撮像画像のすべて点(X,Y)の色情報、例えば(R,G,B)値を求めた点(x,y)にコピーすることで、図5に示す補正後画像502を得ることができる。
【0025】
続いて、図4に戻り、S404において、差分算出部206は投影元画像と撮像画像に補正を行った補正後画像との差分を算出する。ここで、入力装置211は、投影部201によって投影された投影元画像を保持部203に保持している。算出して得た差分画像の一例を図6に示す。図6(a)の投影元画像601と図5に示した補正後画像502との差分を取ることで差分画像602が生成される。差分画像602では投影元画像には存在しない指示部103とその影104に対応する領域のみが残る。このように差分を算出することで指示部103と影104の検出を容易に行うことが出来る。
【0026】
S405では、抽出部207は、差分画像602から部分画像領域として指示部103、影104それぞれを抽出する。つまり、抽出部207は指示部103及び影104の画像上の位置や形状を画像解析により取得する。S405において、部分画像領域が検出できなかった場合は、再びS402からの処理を行う。S402からの処理は一定の周期で繰り返し行われる。S405において部分領域が検出された場合、S406では、抽出部207は抽出した領域の先端部の座標を取得する。抽出部207は、指示部等が撮像部202の撮像領域に進入し現れることにより、新たな部分領域が抽出された場合、その進入した部位を新たな部分領域の先端部と認識する。以後、一定の周期で繰り返し撮像される撮像画像から、オプティカルフロー等を用いた公知の画像中の物体追跡処理を用いて、部分領域ごとの移動とその部分領域の始めに撮像領域に進入した部位である先端部を追跡する。
【0027】
なお、先端部の検出方法は上述の方法に限られたものではなく、例えば、部分領域ごとの最も投影面側の部位を先端部として取得する構成としても良い。また、本実施例では簡単のため部分領域の先端位置を検出しているが、部分領域の形状認識を行って得た位置を指示部における入力に用いる部位の位置又は先端部及びその近傍(所定の位置)として取得する構成としても良い。
【0028】
続く、S407において、検出部208は、抽出された指示部103の部分画像領域の先端部と影104の部分画像領域の指示部103の先端部と対応する位置と(所定の位置同士)が重なり合っているか否かを検出する。そして、部分画像領域の先端部同士(所定の位置同士)が重なり合っていなければ、S402に戻り、一定時間経過後に再度撮像を行い、同様の処理を繰り返す。図6(b)に指示部とその影の先端同士(所定の位置同士)が重なり合っている場合の差分画像の一例を示す。605は指示部とその影(所定の位置同士)が重なり合っている場合の撮像画像を補正した補正後画像である。補正後画像605のように、指示部とその影が重なり合っている場合は指示部が投影面である机上に接触し、ユーザがタッチ入力を行ったと考えられる。606は補正後画像605と投影元画像601との差分画像である。
【0029】
検出部208は抽出部207が解析し取得した差分画像606上の指示部とその影の位置や形状情報及びS406において取得した先端部の座標に基づき、部分画像領域の先端部同士が重なり合っていると判断する。そして、このように抽出された領域が重なり合っていると判定された場合、S408に進み位置取得部209はその重なり合いの座標位置を、投影画像上への指示座標位置として判定し取得する。そして、S409において、位置取得部209が取得した投影画像領域上の入力位置を示す指示座標位置情報を入/出力部210を介して例えば外部機器に出力する。
【0030】
以上説明したように、指示部の影を利用することでUI画面に対する正確なタッチ操作とその位置を判定し、検出することができる。また、本実施例における入力装置では投影画像上の入力位置であるタッチ位置を正確に検出できるため、投影されたGUIに対してダブルクリック等のジェスチャーの入力を判定することが可能となる。したがって、利用者にとって利便性が高い、投影画像を用いたGUIを提供することが可能となる。
【0031】
なお、抽出部207の処理で、差分データを用いて指示部や影の部分領域の検出を行っていたがこれに限られるものではない。例えば、パターンマッチングや色情報等を用いた認識、検出処理を用いて指示部や影を検出する構成としても構わない。色情報を用いた検出処理の一例として身体の色に近い肌色領域を指示部として特定し、黒い領域を影として特定するようにする。このように、撮影環境や検出精度を考慮して、様々な検出方法を用いることができる。
【実施例2】
【0032】
実施例1では、図9に示すH2、L2等は、入力装置211における投影部201の仕様によって決まる定数としていたが、本実施例ではこれらの値を計算で求めるようにする。なお、本実施例で用いる入力装置は実施例1で説明した入力装置と構成は変わらないとする。
【0033】
図7は本実施例における入力装置を用いた際の概観図である。図7の701のように、投影画像の下端に、所定の2次元バーコードを追加画像として付加し表示するようにする。つまり、本実施例では保持部203は保持した投影元画像に追加画像を付加し、投影部201に投影させる。また、画像取得部204は、撮像部202が撮像した画像を取得し、その画像中から2次元バーコードの検出を行う。2次元バーコードが検出された場合、その画像上の2次元バーコードの位置情報を保持する。また、補正部205は付加された2次元バーコードの位置情報に基づき、必要ならば撮像画像に対して回転処理などの画像処理を行う。位置取得部209は、2次元バーコードの位置情報からH2、L2を算出する。
【0034】
2次元バーコードの位置情報からH2、L2を求める方法を、図8を用いて説明する。図8の801は、本実施例に係る入力装置を用いた際の概観図全体を示す図である。まず、補正部205は撮像画像中の2次元バーコードの位置803から、画像構成面上の下短部から投影画像領域802に対応する位置までの高さH4の値を算出する。また、補正部205は撮像部202の仕様情報である画角を取得し、投影面から画像構成面下短部までの高さH3を決定する。また、801より、以下の等式が成り立つ。
H2 = H3 + H4 (4)
補正部205は(4)式を用いて、H2を算出する。さらに、801より以下の等式も成り立つ。
L2 : H2 = (L1 + L2) : H1 (5)
補正部は(5)式を用いて、L2を算出することが可能となる。そして、H2、L2及び前述した(1)〜(3)式により補正画像を生成することができる。以上のように、投影画像を撮像した撮像画像から追加画像の位置の検出を行うことで、投影部201と撮像部202との位置関係を求めることが可能となる。したがって、撮像部、投影部の設計上の配置の制約が低減される。
【0035】
なお、本実施例では追加画像として2次元バーコードを用いていたが、投影画像の下端を検出できるものであれば、2次元バーコード以外の追加画像を用いてもかまわない。例えば、所定の色と形状を持った図形でもよい。例えば、投影画像に応じて、追加画像の仕様を変更することにより、投影するGUIの画像劣化を少なくするよう構成することができる。この場合、保持部203が投影元画像を解析し、付加する追加画像を決定する。したがって、利用者は追加画像を煩わしいと感じることが低減されるという効果を奏する。
【実施例3】
【0036】
実施例1、実施例2では、撮像画像の補正画像と投影元画像との差分データを用いて指示部とその影の部分領域の検出を行った。しかしながら、撮像画像の補正画像と投影元画像との差分データを用いた場合、図11(a)のように、タッチ操作とは無関係な影1101や、投影面である机上に置かれた物体1102などが、差分として抽出されてしまう恐れがある。つまり、使用状況によっては正確に指示部およびその影を正しく抽出できなくなってしまう。そこで本実施例では、撮像画像の補正画像と、当該撮像画像の撮影時刻から一定時間前の撮像画像の補正画像との差分データを用いて、指示部とその影の部分領域の検出を行う例について示す。なお、本実施例で用いる入力装置は実施例1で説明した入力装置と構成は変わらない。
【0037】
本実施例において、画像取得部204は周期的に行われる撮像によって生成される撮像画像を一定時間分RAM302等の記憶装置に記憶させる。図4のS404に示す差分算出処理において、差分算出部206は撮像された補正後画像の撮影時刻から一定時間前に撮像された画像の補正後画像との差分を算出する。ここで、一定時間とは予め定められた時間でもよいし、また、撮像が行われる1周期分の時間であってもよい。図11(b)に本実施例における算出される差分画像の一例を示す。1103は補正撮像画像であり図11(a)に示すようにタッチ操作とは無関係な影や投影面である机上に置かれた物体も撮像されている。1104は1103に示す撮像画像の撮影時刻から一定時間前に撮像された画像の補正撮像画像であり同様にタッチ操作とは無関係な影や机上に置かれた物体も撮像されている。1105は差分画像であり、補正撮像画像1103と1103の撮影時刻から一定時間前の補正撮像画像1104との差分を取ると、タッチする指とその影が移動するため、それらの領域だけが差分として抽出される。
【0038】
以上のように本実施例では一定時間前に撮像された画像との差分を算出するため投影元画像にはない指示部とその影以外の物体が撮像されてしまったとしても、正確に指示部やその影である変化のある領域だけを抽出することができる。つまり、使用環境にロバストなプロジェクタを用いたGUIを提供することが可能となる。
【実施例4】
【0039】
実施例3では、撮像画像の補正画像と一定時間前の撮像画像の補正画像との差分データを用いて、指示部とその影の部分領域の検出を行った。しかしながら、時間差分を取ると色情報が失われるため、色情報を用いた検出処理を行うことが出来なくなってしまう。そこで、本実施例では撮像画像の補正画像と投影元画像の差分データと、撮像画像の時間差分データを併用して指示部とその影の部分領域の検出を行う。なお、本実施例で用いる入力装置は実施例1で説明した入力装置と構成は変わらないが、差分算出部206と抽出部207の動作が実施例1と異なるため詳細に説明を行う。
【0040】
本実施例に係る図4のS404で行われる差分算出部206の処理として、まず保持部203が保持する投影元画像と撮像部202で撮像し、画像取得部204が取得した撮像画像との差分(第1の差分)を算出する。続いて、差分算出部206は実施例3で説明した撮像部202で撮像した撮像画像と一定時刻前に撮像した撮像画像との差分(第2の差分)を算出する。第2の差分を算出する際は単純に一定時間前の撮像画像と現在の撮像画像の差分を計算する方法でもよいし、オプティカルフローのように画像上の各点の動きを求める手法を用いてもよい。
【0041】
そして、続くS405において、抽出部207は部分画像領域を抽出する。本実施例におけるS405に示す処理を詳細に示すフローチャートを図10に示す。また、本実施例における部分画像領域抽出処理を図12を用いて説明する。S1001において、抽出部207は図12の1201に示す第一の差分データを用いて部分画像領域に分解、抽出を行う。S1002において、抽出部207は、分解した部分領域と時間差分(第2の差分)と照合を行う。つまり、抽出した部分画像領域と第2の差分データと重なる領域を抽出する。図12の1202は、各点の動きをベクトル表現したオプティカルフローによって表された時間差分データである。第一の差分データ1201から時間差分データ(第2の差分)1202の矢印が存在する領域に一致するものを抽出する。こうして、1203に示す動きのある部分画像領域だけが抽出される。(第3の差分)。抽出された部分画像領域は、撮像画像の色情報を保持しているので、色情報を用いた処理も可能になる。
【0042】
以上のように、タッチ操作に関係のある領域と無関係な領域を区別し、さらに色情報を用いることが出来るのでより精度の高いタッチ検出を行うことができる。
【0043】
[その他の実施形態]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0044】
101 投影面
102 投影されたGUI画面
103 指示部
104 指示部の影
201 投影部
202 撮像部
203 保持部
204 画像取得部
205 補正部
206 差分算出部
207 抽出
208 検出部
209 位置取得部
210 入/出力部
211 入力装置
212 制御部
301 CPU
302 RAM
303 ROM
304 カメラ
305 プロジェクタ
306 I/Oデバイス
307 バス
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル等を用いたタッチ操作によって入力を与えるグラフィックユーザインターフェース(以下、GUI)を搭載したデジタル機器が増えてきている。視認性、操作性に優れ、直感的な操作が可能なため、様々な機器に搭載され広く普及しつつある。また、GUIを機器のディスプレイ上に表示するのではなく、プロジェクタによって壁や机上に投影し、プロジェクタで投影されたグラフィックスに対して操作を行うことにより入力を与える技術が提案されている。特許文献1は、投影画像と撮像画像の差分をとることにより手領域の抽出を行うことで、入力位置を検出している。特許文献2は、所定短時間以内に撮影された少なくとも2枚の撮像画像の差分をとることにより手領域の抽出を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−152622
【特許文献2】特開2001−005609
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1や特許文献2のように、単純に2つの画像の差分を取る方法では、そこから指示部である手や指の領域を抽出することはできても、その指示部が、グラフィックスを投影した投影面である壁や机上に触れたか否かを厳密に検出することはできない。つまり、指示部の領域を抽出できたとしても、その指示部が、壁や机上から離れている可能性もある。したがって、抽出された指示部の領域からタッチ位置を算出する方法では、実際には手や指はまだ壁や机上から離れていてタッチはしていない場合でも、タッチ入力として検出してしまう可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するために、画像を投影する投影手段と、投影された画像を撮像する撮像手段とを備え、前記撮像手段によって撮像した撮像画像から前記投影手段によって投影された投影画像に対する入力を指示するための指示部及び前記指示部の影を抽出する抽出手段と、前記抽出された前記指示部の所定の位置と前記指示部の影の所定の位置との重なりを検出する検出手段と、前記検出手段により検出し前記重なりの位置を前記投影画像に対する前記指示部による入力位置として判定する判定手段とを有することを特徴とする入力装置を提供する。また、その入力装置の制御を行う制御装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、投影画像に対してタッチがなされた位置の検出精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】入力装置を使用した際の概観図である。
【図2】入力装置の機能ブロック図である。
【図3】入力装置のハードウエア構成図である。
【図4】入力装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】撮像画像の補正を示す図である。
【図6】撮像画像と投影画像との差分画像を示す図である。
【図7】実施例2における入力装置を用いた際の概観図である。
【図8】実施例2における撮像画像の補正処理の方法を説明する図である。
【図9】撮像画像の補正処理の方法を説明する図である。
【図10】実施例4における部分画像抽出処理を示すフローチャートである。
【図11】実施例3における入力装置を用いた際の概観図と差分画像を示す図である。
【図12】実施例4における部分画像抽出処理を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
【実施例1】
【0009】
本実施例では、プロジェクタ機能とカメラ機能を備えた入力装置を例として取り上げる。この入力装置のプロジェクタ機能でGUI画面を机上等の投影面(所定面上)に投影する。そして、投影されたGUIに対して、ユーザは指等による指示部によりタッチ操作を行い、指示入力を行う。
【0010】
図2は、本実施例に係る入力装置のブロック図である。同図において、211はプロジェクタ機能とカメラ機能を備えた入力装置であり、投影したGUI画面に対する利用者の指示入力位置を検知する情報処理装置である。201は、投影部であり、プロジェクタによって構成され、後述する保持部に保持された画像を机上や壁面等の投影面(所定面上)に投影し、GUI画面を投影出力する。202は、撮像部であり、カメラ等の撮像機器により構成される。カメラによって、投影されたGUI画面を含む投影面(所定面上)を撮像する。203は保持部であり、投影元画像を保持する。保持部203が保持した画像を投影部201は投影元画像として投影を行う。
【0011】
204は、画像取得部であり、撮像部202で撮像された画像を取得し画像データとして保持する。205は、補正部であり、後の処理を容易にするため、画像取得部204が取得した撮像画像に対し画像処理を施し、撮像画像を補正する処理を行う。206は、差分算出部であり、保持部203が保持している投影元画像と撮像部202で撮像した撮像画像のとの差分を算出し、差分データを生成する。207は、抽出部であり、差分算出部206で生成された差分画像から、一つまたは複数の部分画像領域を抽出する。ここで、部分画像領域とは画像上の一連の領域をいい、例えば撮像画像上の指示部を表す領域や指示部が投影部201による投影を遮蔽することにより形成された投影面上の影を表す領域をいう。
【0012】
208は、検出部であり、抽出部207が抽出した部分画像領域が互いに重なり合っているか否かを検出する。209は、位置取得部であり、検出部208の検出結果から、指示部と投影面の接触位置からGUI画面上の入力位置(以降、タッチ位置と呼ぶ)を算出し、そのタッチ位置情報を出力する。210は入/出力部であり、コンピュータ等の外部機器と接続し、外部機器と情報の入出力を行う。外部機器から入力された画像を保持部203に供給したり、位置取得部209により算出された位置情報を外部機器である情報処理装置に出力を行うように構成しても良い。
【0013】
212は入力装置211の制御部である。制御部212は、保持部203、画像取得部204、補正部205、差分算出部206、抽出部207、検出部208、位置取得部209、入/出力部210から構成される。制御部212は、入力装置211の動作の制御や情報の演算や処理を担う。制御部は、CPU等の演算処理装置が記憶装置に記憶されているプログラムに基づき、各種ハードの制御、情報の演算や処理を実行することで構成される。
【0014】
続いて図3は、本実施例に係る入力装置のハードウエア構成を示す構成図である。同図において、301は、CPUであり、後述する図4に示す本入力装置の動作をプログラムに従って各種ハードの制御、情報の演算や情報処理を実行することで実現させる。302は、RAMであり、上記プログラムの動作に必要な記憶領域を提供する記憶装置である。また、RAM302は図2に示す保持部203による投影元画像の保持、画像取得部204が行う取得した撮像画像の保持等を行う。303は、ROMであり、本実施例に係る入力装置の動作を実現させるプログラムを保持する記憶装置である。また、投影部201と撮像部202の仕様情報を記憶している。ここで、仕様情報とは投影部201の投射距離や撮像部202の焦点距離や画角等の仕様に関する情報である。
【0015】
304は、カメラであり、撮像部202に相当する。305は、プロジェクタであり、投影部201に相当する。306は、I/Oデバイスであり、外部機器との入出力インターフェースとして動作する。例えば、USBケーブルインターフェース、無線信号の送受信部等を備えるインターフェース部である。入/出力部210に相当する。307はバスであり、入力装置211内部の各ハードウエアが互いにデータの入出力をやり取りするための伝送路である。また、制御部212はCPU301、RAM302、ROM303、I/Oデバイス306から構成され、入力装置の制御を行う情報処理装置として動作可能である。
【0016】
以上の構成からなる本実施例に係る入力装置の動作を図4のフローチャートに基づき、詳細に説明する。まず、S401において入力装置211は、投影部201によって、投影面(所定面上)にGUI画面を投影する。図1は、本実施例に係る入力装置を用いた際の概観図である。同図において、図2と同一なものには同一の符号を付してある。図1(a)において投影部201であるプロジェクタから投影されたGUI画面は机等の投影面101に投影される。102は、投影部201によって投影面101上に投影されたGUI画面である。
【0017】
ここで、図1(b)に示すように、ユーザは投影面101上に投影されたUI画面を用いて入力を行う場合は指示棒、スタイラスやペンなどの物体又は指等などの指示部103により、直接GUI画面102にタッチ操作を行う。したがって、投影部201からの投影光を指示部103が遮蔽することにより、その影104が投影面101上に現れる。
【0018】
続いて、S402において、入力装置211は、投影部201が投影し投影面101に投影された画像を含むように撮像部202によって投影面101の撮像を行う。そして、撮像部202が撮像した画像を画像取得部204は取得する。ここで、投影面を撮像した画像の一例を図5(a)に示す。本実施例の入力装置211における撮像部202は投影面101に対して平行面から撮像出来ないので、撮像された画像は投影元画像と比較して歪が生じる。そこで、S403において、補正部205は、画像取得部204が取得した図5(a)に示す撮像画像501に対して、補正処理を施す。
【0019】
ここで、撮像画像の補正処理を図9を用いて説明する。901は、撮像画像を示している。902は撮影画像上の任意の点(X,Y)である。また、901に対して図中の矢印の方向から見た図が903になる。903において、904はカメラ304の位置である。905は画像構成面である。ここで、画像構成面とは、カメラをモデル化した場合のカメラの撮像面を3次元空間中に規定した平面をいう。カメラ位置(焦点面)から、画像構成面までの距離は焦点距離で定義され、またカメラの画角906によって画像構成面は決定される。
【0020】
撮像画像の任意の点(X,Y)は画像構成面905上の座標位置(X,Y)と対応する。画像構成面905上の(X,Y)を通過する光線907が投影面と交わる点908の投影画像上の座標(x、y)とする。図9の903より、下記の等式が成り立つ。
(y + L2) : (y+L1+L2) = (H2+Y) : H1 (1)
ここで、H1は投影面からカメラ位置904までの高さである。H2は903において、カメラ位置904と投影面である机上の投影画像領域909の下端位置とを結ぶ直線と画像構成面905とが交わる点の投影面からの高さである。L1はカメラ位置904から画像構成面905までの距離をいう(焦点距離)。L2は画像構成面905から投影画像領域909の下端位置までの距離を言う。H1、H2、L1、L2(仕様情報)は、入力装置211の仕様によって決まる定数である。H1とL1は撮像部202の仕様によって決まる。一方、H2とL2は、投影画像領域909の下端位置によって決まるが、その下端位置は投影部201の仕様によって決まる。
【0021】
補正部205は、S403において、RAM302等の記憶装置から予め記憶しているH1、H2、L1、L2等の仕様情報を取得する。そして、(1)式を用いて、撮像画像のYに対応する投影画像上のyを求める。
【0022】
同様に、xの求め方を図9の910を用いて説明する。910は、図1に示す概観図全体を机の真上方向から見た図である。911は撮像部202の位置である。912は光線であり、913は画像構成面であり、914は画角である。画像構成面905上の(X,Y)を通過する光線907が投影面と交わる点908の投影画像上の座標を903と同様に(x、y)とする。図9の910より、下記の等式が成り立つ。
X: (x +M3) = M1 : (M1+M2+y) (2)
ここで、M1はカメラ位置911から画像構成面913までの距離をいう。M2は画像構成面913から投影画像領域916の下端位置との距離である。また、ここで、910より下記の等式が成り立つ。
M3 = y × tanθ (3)
(3)式に求めたyを代入することによりM3を算出可能となる。また、M1、M2、θは、入力装置211の仕様によって決まる定数である。M1とθは撮像部202の仕様によって決まる。一方、M2は、投影画像領域916の位置によって決まるが、その位置は投影部201の仕様によって決まる。
【0023】
補正部205は、S403において、RAM302等の記憶装置から予め記憶しているM1、M2、θ等の仕様情報を取得する。そして、算出したyを用いて(3)式よりM3を算出する。続いて、算出したyやM3を用いて、(2)式よりxを算出する。そして、任意の撮像画像(X,Y)に対応する(x、y)を取得する。
【0024】
以上のようにして、撮像画像上の任意の点(X,Y)に対応する座標(x,y)が決まるので、撮像画像のすべて点(X,Y)の色情報、例えば(R,G,B)値を求めた点(x,y)にコピーすることで、図5に示す補正後画像502を得ることができる。
【0025】
続いて、図4に戻り、S404において、差分算出部206は投影元画像と撮像画像に補正を行った補正後画像との差分を算出する。ここで、入力装置211は、投影部201によって投影された投影元画像を保持部203に保持している。算出して得た差分画像の一例を図6に示す。図6(a)の投影元画像601と図5に示した補正後画像502との差分を取ることで差分画像602が生成される。差分画像602では投影元画像には存在しない指示部103とその影104に対応する領域のみが残る。このように差分を算出することで指示部103と影104の検出を容易に行うことが出来る。
【0026】
S405では、抽出部207は、差分画像602から部分画像領域として指示部103、影104それぞれを抽出する。つまり、抽出部207は指示部103及び影104の画像上の位置や形状を画像解析により取得する。S405において、部分画像領域が検出できなかった場合は、再びS402からの処理を行う。S402からの処理は一定の周期で繰り返し行われる。S405において部分領域が検出された場合、S406では、抽出部207は抽出した領域の先端部の座標を取得する。抽出部207は、指示部等が撮像部202の撮像領域に進入し現れることにより、新たな部分領域が抽出された場合、その進入した部位を新たな部分領域の先端部と認識する。以後、一定の周期で繰り返し撮像される撮像画像から、オプティカルフロー等を用いた公知の画像中の物体追跡処理を用いて、部分領域ごとの移動とその部分領域の始めに撮像領域に進入した部位である先端部を追跡する。
【0027】
なお、先端部の検出方法は上述の方法に限られたものではなく、例えば、部分領域ごとの最も投影面側の部位を先端部として取得する構成としても良い。また、本実施例では簡単のため部分領域の先端位置を検出しているが、部分領域の形状認識を行って得た位置を指示部における入力に用いる部位の位置又は先端部及びその近傍(所定の位置)として取得する構成としても良い。
【0028】
続く、S407において、検出部208は、抽出された指示部103の部分画像領域の先端部と影104の部分画像領域の指示部103の先端部と対応する位置と(所定の位置同士)が重なり合っているか否かを検出する。そして、部分画像領域の先端部同士(所定の位置同士)が重なり合っていなければ、S402に戻り、一定時間経過後に再度撮像を行い、同様の処理を繰り返す。図6(b)に指示部とその影の先端同士(所定の位置同士)が重なり合っている場合の差分画像の一例を示す。605は指示部とその影(所定の位置同士)が重なり合っている場合の撮像画像を補正した補正後画像である。補正後画像605のように、指示部とその影が重なり合っている場合は指示部が投影面である机上に接触し、ユーザがタッチ入力を行ったと考えられる。606は補正後画像605と投影元画像601との差分画像である。
【0029】
検出部208は抽出部207が解析し取得した差分画像606上の指示部とその影の位置や形状情報及びS406において取得した先端部の座標に基づき、部分画像領域の先端部同士が重なり合っていると判断する。そして、このように抽出された領域が重なり合っていると判定された場合、S408に進み位置取得部209はその重なり合いの座標位置を、投影画像上への指示座標位置として判定し取得する。そして、S409において、位置取得部209が取得した投影画像領域上の入力位置を示す指示座標位置情報を入/出力部210を介して例えば外部機器に出力する。
【0030】
以上説明したように、指示部の影を利用することでUI画面に対する正確なタッチ操作とその位置を判定し、検出することができる。また、本実施例における入力装置では投影画像上の入力位置であるタッチ位置を正確に検出できるため、投影されたGUIに対してダブルクリック等のジェスチャーの入力を判定することが可能となる。したがって、利用者にとって利便性が高い、投影画像を用いたGUIを提供することが可能となる。
【0031】
なお、抽出部207の処理で、差分データを用いて指示部や影の部分領域の検出を行っていたがこれに限られるものではない。例えば、パターンマッチングや色情報等を用いた認識、検出処理を用いて指示部や影を検出する構成としても構わない。色情報を用いた検出処理の一例として身体の色に近い肌色領域を指示部として特定し、黒い領域を影として特定するようにする。このように、撮影環境や検出精度を考慮して、様々な検出方法を用いることができる。
【実施例2】
【0032】
実施例1では、図9に示すH2、L2等は、入力装置211における投影部201の仕様によって決まる定数としていたが、本実施例ではこれらの値を計算で求めるようにする。なお、本実施例で用いる入力装置は実施例1で説明した入力装置と構成は変わらないとする。
【0033】
図7は本実施例における入力装置を用いた際の概観図である。図7の701のように、投影画像の下端に、所定の2次元バーコードを追加画像として付加し表示するようにする。つまり、本実施例では保持部203は保持した投影元画像に追加画像を付加し、投影部201に投影させる。また、画像取得部204は、撮像部202が撮像した画像を取得し、その画像中から2次元バーコードの検出を行う。2次元バーコードが検出された場合、その画像上の2次元バーコードの位置情報を保持する。また、補正部205は付加された2次元バーコードの位置情報に基づき、必要ならば撮像画像に対して回転処理などの画像処理を行う。位置取得部209は、2次元バーコードの位置情報からH2、L2を算出する。
【0034】
2次元バーコードの位置情報からH2、L2を求める方法を、図8を用いて説明する。図8の801は、本実施例に係る入力装置を用いた際の概観図全体を示す図である。まず、補正部205は撮像画像中の2次元バーコードの位置803から、画像構成面上の下短部から投影画像領域802に対応する位置までの高さH4の値を算出する。また、補正部205は撮像部202の仕様情報である画角を取得し、投影面から画像構成面下短部までの高さH3を決定する。また、801より、以下の等式が成り立つ。
H2 = H3 + H4 (4)
補正部205は(4)式を用いて、H2を算出する。さらに、801より以下の等式も成り立つ。
L2 : H2 = (L1 + L2) : H1 (5)
補正部は(5)式を用いて、L2を算出することが可能となる。そして、H2、L2及び前述した(1)〜(3)式により補正画像を生成することができる。以上のように、投影画像を撮像した撮像画像から追加画像の位置の検出を行うことで、投影部201と撮像部202との位置関係を求めることが可能となる。したがって、撮像部、投影部の設計上の配置の制約が低減される。
【0035】
なお、本実施例では追加画像として2次元バーコードを用いていたが、投影画像の下端を検出できるものであれば、2次元バーコード以外の追加画像を用いてもかまわない。例えば、所定の色と形状を持った図形でもよい。例えば、投影画像に応じて、追加画像の仕様を変更することにより、投影するGUIの画像劣化を少なくするよう構成することができる。この場合、保持部203が投影元画像を解析し、付加する追加画像を決定する。したがって、利用者は追加画像を煩わしいと感じることが低減されるという効果を奏する。
【実施例3】
【0036】
実施例1、実施例2では、撮像画像の補正画像と投影元画像との差分データを用いて指示部とその影の部分領域の検出を行った。しかしながら、撮像画像の補正画像と投影元画像との差分データを用いた場合、図11(a)のように、タッチ操作とは無関係な影1101や、投影面である机上に置かれた物体1102などが、差分として抽出されてしまう恐れがある。つまり、使用状況によっては正確に指示部およびその影を正しく抽出できなくなってしまう。そこで本実施例では、撮像画像の補正画像と、当該撮像画像の撮影時刻から一定時間前の撮像画像の補正画像との差分データを用いて、指示部とその影の部分領域の検出を行う例について示す。なお、本実施例で用いる入力装置は実施例1で説明した入力装置と構成は変わらない。
【0037】
本実施例において、画像取得部204は周期的に行われる撮像によって生成される撮像画像を一定時間分RAM302等の記憶装置に記憶させる。図4のS404に示す差分算出処理において、差分算出部206は撮像された補正後画像の撮影時刻から一定時間前に撮像された画像の補正後画像との差分を算出する。ここで、一定時間とは予め定められた時間でもよいし、また、撮像が行われる1周期分の時間であってもよい。図11(b)に本実施例における算出される差分画像の一例を示す。1103は補正撮像画像であり図11(a)に示すようにタッチ操作とは無関係な影や投影面である机上に置かれた物体も撮像されている。1104は1103に示す撮像画像の撮影時刻から一定時間前に撮像された画像の補正撮像画像であり同様にタッチ操作とは無関係な影や机上に置かれた物体も撮像されている。1105は差分画像であり、補正撮像画像1103と1103の撮影時刻から一定時間前の補正撮像画像1104との差分を取ると、タッチする指とその影が移動するため、それらの領域だけが差分として抽出される。
【0038】
以上のように本実施例では一定時間前に撮像された画像との差分を算出するため投影元画像にはない指示部とその影以外の物体が撮像されてしまったとしても、正確に指示部やその影である変化のある領域だけを抽出することができる。つまり、使用環境にロバストなプロジェクタを用いたGUIを提供することが可能となる。
【実施例4】
【0039】
実施例3では、撮像画像の補正画像と一定時間前の撮像画像の補正画像との差分データを用いて、指示部とその影の部分領域の検出を行った。しかしながら、時間差分を取ると色情報が失われるため、色情報を用いた検出処理を行うことが出来なくなってしまう。そこで、本実施例では撮像画像の補正画像と投影元画像の差分データと、撮像画像の時間差分データを併用して指示部とその影の部分領域の検出を行う。なお、本実施例で用いる入力装置は実施例1で説明した入力装置と構成は変わらないが、差分算出部206と抽出部207の動作が実施例1と異なるため詳細に説明を行う。
【0040】
本実施例に係る図4のS404で行われる差分算出部206の処理として、まず保持部203が保持する投影元画像と撮像部202で撮像し、画像取得部204が取得した撮像画像との差分(第1の差分)を算出する。続いて、差分算出部206は実施例3で説明した撮像部202で撮像した撮像画像と一定時刻前に撮像した撮像画像との差分(第2の差分)を算出する。第2の差分を算出する際は単純に一定時間前の撮像画像と現在の撮像画像の差分を計算する方法でもよいし、オプティカルフローのように画像上の各点の動きを求める手法を用いてもよい。
【0041】
そして、続くS405において、抽出部207は部分画像領域を抽出する。本実施例におけるS405に示す処理を詳細に示すフローチャートを図10に示す。また、本実施例における部分画像領域抽出処理を図12を用いて説明する。S1001において、抽出部207は図12の1201に示す第一の差分データを用いて部分画像領域に分解、抽出を行う。S1002において、抽出部207は、分解した部分領域と時間差分(第2の差分)と照合を行う。つまり、抽出した部分画像領域と第2の差分データと重なる領域を抽出する。図12の1202は、各点の動きをベクトル表現したオプティカルフローによって表された時間差分データである。第一の差分データ1201から時間差分データ(第2の差分)1202の矢印が存在する領域に一致するものを抽出する。こうして、1203に示す動きのある部分画像領域だけが抽出される。(第3の差分)。抽出された部分画像領域は、撮像画像の色情報を保持しているので、色情報を用いた処理も可能になる。
【0042】
以上のように、タッチ操作に関係のある領域と無関係な領域を区別し、さらに色情報を用いることが出来るのでより精度の高いタッチ検出を行うことができる。
【0043】
[その他の実施形態]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0044】
101 投影面
102 投影されたGUI画面
103 指示部
104 指示部の影
201 投影部
202 撮像部
203 保持部
204 画像取得部
205 補正部
206 差分算出部
207 抽出
208 検出部
209 位置取得部
210 入/出力部
211 入力装置
212 制御部
301 CPU
302 RAM
303 ROM
304 カメラ
305 プロジェクタ
306 I/Oデバイス
307 バス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定面上の画像を撮像した撮像画像から前記所定面上の画像に対する入力を指示するための指示部及び前記指示部の影を抽出する抽出手段と、
前記抽出された前記指示部の所定の位置と前記指示部の影の所定の位置との重なりを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出した前記重なりの位置を前記所定面上の画像に対する前記指示部による入力位置として判定する判定手段と
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記抽出手段は、前記撮像画像と前記所定面上の画像とに基づいて、前記指示部及び前記指示部の影を抽出することを特徴とした請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記抽出手段は、前記撮像画像と当該撮像画像の撮影時刻から一定時間前に撮像された撮像画像とに基づいて、前記指示部及び前記指示部の影を抽出することを特徴とした請求項1または2記載の制御装置。
【請求項4】
前記撮像画像を前記所定面上の画像に対応させるための補正を前記撮像画像に行う補正手段を更に有し、
前記抽出手段は、前記補正手段により補正された前記撮像画像と所定面上の画像との差分データに基づいて、前記指示部及び前記指示部の影を抽出することを特徴とする請求項2記載の制御装置。
【請求項5】
前記所定面上の画像は、投影手段により投影された画像であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の制御装置。
【請求項6】
前記所定面上の画像は、投影手段により投影された画像であり、
前記投影手段が投影に用いる投影元画像に付加した追加画像の位置を取得する取得手段を更に有し、
前記補正手段は、取得した前記追加画像の位置に基づき、前記補正を行うことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項7】
前記判定手段により判定された前記入力位置を出力する出力手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の制御装置。
【請求項8】
画像を投影する投影手段と、投影された画像を撮像する撮像手段とを備えた入力装置であって、
前記撮像手段によって撮像した撮像画像から前記投影手段によって投影された投影画像に対する入力を指示するための指示部及び前記指示部の影を抽出する抽出手段と、
前記抽出された前記指示部の所定の位置と前記指示部の影の所定の位置との重なりを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出し前記重なりの位置を前記投影画像に対する前記指示部による入力位置として判定する判定手段と
を有することを特徴とする入力装置。
【請求項9】
制御装置による入力の判定方法であって、
所定面上の画像を撮像した撮像画像から前記所定面上の画像に対する入力を指示するための指示部及び前記指示部の影を抽出する抽出工程と、
前記抽出された前記指示部の所定の位置と前記指示部の影の所定の位置との重なりを検出する検出工程と、
前記検出工程により検出した前記重なりの位置を前記所定面上の画像に対する前記指示部による入力位置として判定する判定工程と
を有することを特徴とする入力の判定方法。
【請求項10】
制御装置に入力の判定を実行させるプログラムであって、
所定面上の画像を撮像した撮像画像から前記所定面上の画像に対する入力を指示するための指示部及び前記指示部の影を抽出する抽出ステップと、
前記抽出された前記指示部の所定の位置と前記指示部の影の所定の位置との重なりを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出した前記重なりの位置を前記所定面上の画像に対する前記指示部による入力位置として判定する判定ステップと
を有することを特徴とするプログラム。
【請求項1】
所定面上の画像を撮像した撮像画像から前記所定面上の画像に対する入力を指示するための指示部及び前記指示部の影を抽出する抽出手段と、
前記抽出された前記指示部の所定の位置と前記指示部の影の所定の位置との重なりを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出した前記重なりの位置を前記所定面上の画像に対する前記指示部による入力位置として判定する判定手段と
を有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記抽出手段は、前記撮像画像と前記所定面上の画像とに基づいて、前記指示部及び前記指示部の影を抽出することを特徴とした請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記抽出手段は、前記撮像画像と当該撮像画像の撮影時刻から一定時間前に撮像された撮像画像とに基づいて、前記指示部及び前記指示部の影を抽出することを特徴とした請求項1または2記載の制御装置。
【請求項4】
前記撮像画像を前記所定面上の画像に対応させるための補正を前記撮像画像に行う補正手段を更に有し、
前記抽出手段は、前記補正手段により補正された前記撮像画像と所定面上の画像との差分データに基づいて、前記指示部及び前記指示部の影を抽出することを特徴とする請求項2記載の制御装置。
【請求項5】
前記所定面上の画像は、投影手段により投影された画像であることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の制御装置。
【請求項6】
前記所定面上の画像は、投影手段により投影された画像であり、
前記投影手段が投影に用いる投影元画像に付加した追加画像の位置を取得する取得手段を更に有し、
前記補正手段は、取得した前記追加画像の位置に基づき、前記補正を行うことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。
【請求項7】
前記判定手段により判定された前記入力位置を出力する出力手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の制御装置。
【請求項8】
画像を投影する投影手段と、投影された画像を撮像する撮像手段とを備えた入力装置であって、
前記撮像手段によって撮像した撮像画像から前記投影手段によって投影された投影画像に対する入力を指示するための指示部及び前記指示部の影を抽出する抽出手段と、
前記抽出された前記指示部の所定の位置と前記指示部の影の所定の位置との重なりを検出する検出手段と、
前記検出手段により検出し前記重なりの位置を前記投影画像に対する前記指示部による入力位置として判定する判定手段と
を有することを特徴とする入力装置。
【請求項9】
制御装置による入力の判定方法であって、
所定面上の画像を撮像した撮像画像から前記所定面上の画像に対する入力を指示するための指示部及び前記指示部の影を抽出する抽出工程と、
前記抽出された前記指示部の所定の位置と前記指示部の影の所定の位置との重なりを検出する検出工程と、
前記検出工程により検出した前記重なりの位置を前記所定面上の画像に対する前記指示部による入力位置として判定する判定工程と
を有することを特徴とする入力の判定方法。
【請求項10】
制御装置に入力の判定を実行させるプログラムであって、
所定面上の画像を撮像した撮像画像から前記所定面上の画像に対する入力を指示するための指示部及び前記指示部の影を抽出する抽出ステップと、
前記抽出された前記指示部の所定の位置と前記指示部の影の所定の位置との重なりを検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出した前記重なりの位置を前記所定面上の画像に対する前記指示部による入力位置として判定する判定ステップと
を有することを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−113653(P2012−113653A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264220(P2010−264220)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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