説明

制御装置、制御方法、及びプログラム

【課題】 制御装置が撮像装置を制御できない状態となった時に、撮像装置を操作するユーザが撮像装置の状態をより具体的に知ることができるようにすることを目的とする。
【解決手段】 撮像装置をネットワークを介して制御する制御装置であって、撮像装置を動作させるための命令を撮像装置に送信する送信部と、送信部が送信した命令に対する撮像装置の応答を受信する受信部と、命令が実行されなかったことを示す応答を受信部が受信した場合に撮像装置の動作状態の記録を撮像装置から取得する取得部と、取得部が取得した動作状態の記録の内容を表示部に表示させる制御を行う表示制御部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して撮像装置を制御する制御装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置が撮像した画像をネットワークを介して閲覧するための制御装置として、特定の制御プロトコルを用いて撮像装置に対する制御や映像配信要求などの指示を行うものが知られている。ここで、特定の制御プロトコルとは、特定の撮像装置と特定のクライアント間で通信を行うために用いられる通信プロトコルのことを指す。このような特定の制御プロトコルを用いて撮像装置と通信を行うことにより、制御装置は撮像装置の状態を示す情報を撮像装置から受信することができる。
【0003】
制御装置は、撮像装置の状態を示す情報を取得すると、その情報に対応したメッセージをユーザインタフェースに表示させる。例えば、制御装置が撮像装置の状態を示す情報を受信すると、制御装置のユーザインタフェースには撮像装置との接続状態や撮像装置の撮像方向等を示すメッセージが表示される。
【0004】
またHTTP(HyperText Transfer Protocol)等の汎用プロトコルにおいて、制御装置が送信した要求が実行されなかったことを示すためのエラーコードが規定されている。従来、このような汎用プロトコルのエラーコードに対応する詳細メッセージをWebサーバからダウンロードして表示する制御装置が知られている(例えば、特許文献1)。詳細メッセージとして、例えば、「サーバに障害が発生しました。管理者に連絡してください。」などのエラーの内容やエラーに対する対応方法を示すメッセージが表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−286723
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、HTTP等の汎用のプロトコルによるエラーメッセージでは、ユーザが撮像装置の状態を確認できないという課題があった。また、HTTP等のプロトコルより上位の制御プロトコルによるメッセージでも十分に撮像装置の状態を確認できない場合があった。そこで本発明は、制御装置が撮像装置を制御できない状態となった時に、撮像装置を操作するユーザが撮像装置の状態をより具体的に知ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、撮像装置をネットワークを介して制御する制御装置であって、前記撮像装置を動作させるための命令を前記撮像装置に送信する送信手段と、前記送信手段が送信した命令に対する前記撮像装置の応答を受信する受信手段と、前記命令が実行されなかったことを示す応答を前記受信手段が受信した場合に前記撮像装置の動作状態の記録を前記撮像装置から取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記動作状態の記録の内容を表示手段に表示させる制御を行う表示制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制御装置が撮像装置を制御できない状態となった時に、撮像装置を操作するユーザが撮像装置の状態をより具体的に知ることができるようにすることを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1にかかる撮像システムの構成を示す図。
【図2】実施例1にかかる制御装置のユーザインタフェースの例を示す図。
【図3】実施例1にかかる制御装置の動作を説明するためのフローチャート図。
【図4】実施例1にかかる管理部が管理するメッセージの例を示す図。
【図5】実施例2において撮像装置が再接続可能となる時刻又は再接続可能となるまでの時間を求めるための方法を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施例の詳細について以下に述べる。
【0011】
(実施例1)
本実施例に係る撮像システムの構成を図1に示す。本実施例に係る撮像システムにおいては、撮像装置100と制御装置500とがネットワーク10で接続されている。ネットワーク10としては、例えば、Ethernet(登録商標)やインターネットを用いることができる。ネットワーク10は有線だけでなく無線により接続されるものであってもよい。
【0012】
本実施例では、撮像装置100と制御装置500はTCP/IP(Transmission Control Protocol Internet Protocol)で接続され、所定の制御プロトコルを用いて通信を行う。本実施例では、制御プロトコルはHTTP(HyperText Transfer Protocol)のプロトコルを利用したアプリケーションとして実装される場合について説明するが、制御プロトコルはHTTPのプロトコルを利用する場合に限られない。
【0013】
ここで、本実施例において制御装置500が制御プロトコルを用いて撮像装置100を制御する態様について説明する。制御装置500は特定のURL(Uniform Resource Locator)を指定して撮像装置100に対する指示を行うことにより、撮像装置100を制御する。例えば、制御装置500は撮像装置100に対してURLとしてhttp://ip−address/cgi−bin/CommandNameを指定する。本実施例においてこのURLは、撮像装置100と制御装置500の間でのHTTPを用いた通信において送受信されるHTTPメッセージのボディ部に記述されて撮像装置100に送信される。ここでHTTPメッセージは、通信を行う機器が処理すべき要求や応答の内容などが含まれるヘッダ部と、転送されるべきデータそのものが含まれるボディ部を有する。
【0014】
撮像装置100は送信されたURLにおける”CommandName”の部分を制御プロトコルによる命令として解釈して、命令に応じて画像処理を行ったりカメラの撮像方向を変化させたりする。そして撮像装置100は、制御プロトコルによる命令の処理結果を制御装置500に通知する。撮像装置100は、ボディ部に命令の処理結果を制御プロトコルで記載したHTTPメッセージを制御装置500に送信することにより命令処理結果を通知する。
【0015】
また、撮像装置100と制御装置500との間でHTTPメッセージの送受信が適切に行われたかが、HTTPのプロトコルにおいて規定されているステータスコードによって制御装置500に通知される。このステータスコードは制御装置500から送信されたHTTPメッセージに対する応答として撮像装置100から制御装置500に送信されるHTTPメッセージのヘッダ部に記載される。
【0016】
次に、撮像装置100について説明する。撮像部110は被写体を撮像する。画像処理部120は、撮像部110で撮影された画像データを所定の画像フォーマットに変換する。画像フォーマットの変換方式として例えば、MJPEG(Motion‐JPEG)、MPEG4(Moving Picture Experts Group phase 4)、H.264等の方式を用いることができる。
【0017】
命令制御部140は、撮像装置100と制御装置500とが通信を行うための命令の送り先を制御する。まず命令制御部140は、制御装置500から受け取った命令を解釈する。そして命令制御部140は、解釈を行った命令が画像処理に関する命令であった場合、当該命令を画像処理部120に送る。また、命令制御部140は、解釈を行った命令が撮像装置の駆動に関する命令であった場合、当該命令を駆動制御部150に送る。また、命令制御部140は、後述の画像処理部120や後述の駆動制御部150から受け取ったデータに基づいて制御プロトコルに則ったデータを生成し、後述の通信制御部130から制御装置500に送る。
【0018】
パン駆動部210は撮像装置100を駆動してその撮像方向をパン方向に変化させる。チルト駆動部220は撮像装置100を駆動してその撮像方向をチルト方向に変化させる。
【0019】
駆動制御部150は、命令制御部140から受け取った命令に従い、パン駆動部210およびチルト駆動部220の制御を行う。また駆動制御部150は、命令制御部140から受け取った命令に従い、パン駆動部210およびチルト駆動部220の状態についてのデータを取得する。ここでパン駆動部210の状態についてのデータとは、例えば、現在パン駆動部210が所定のパン原点位置からどれだけ移動しているかについてのデータをいう。同様に、チルト駆動部220の状態についてのデータとは、例えば、現在チルト駆動部220が所定のチルト原点位置からどれだけ移動しているかについてのデータをいう。
【0020】
記録部160は、撮像装置100の動作状態を記録する。撮像装置100の動作状態として、撮像装置100の撮像方向についての状態、管理者が撮像装置100の画角を調整している状態や、撮像装置100がパノラマ撮影を行っている状態、撮像装置100と制御装置500との接続状態などが含まれる。撮像装置100と制御装置500との接続状態とは、例えば、通信制御部130が行う通信にエラーが生じたり、通信制御部130が再起動したりしたために、制御装置500が撮像装置100と通信を行うことができない状態などが含まれる。本実施例では記録部160は撮像装置100の動作状態をログとして記録する。本実施例において、このログは撮像装置100が動作状態を通知するために用いる通知メッセージとして制御装置500に通知される。記録部160として、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などを用いることができる。
【0021】
通信制御部130は制御装置500から受信した命令を命令制御部140に出力する。また、通信制御部130は命令制御部140から出力された命令を制御装置500に送信する。本実施例において通信制御部130はHTTPサーバとして機能し、撮像装置100と制御装置500との間でのHTTPプロトコルを用いた通信の管理を行う。計時部170は、撮像装置100においてログの記憶のため等に用いられる時刻情報を取得する。
【0022】
次に、制御装置500について説明する。通信制御部560は、撮像装置を動作させるための命令を撮像装置100に送信する送信部561と、送信部561が送信した命令に対する撮像装置100の応答としてデータを受信する受信部562とを有する。受信部562は受信したデータを命令処理部550に送る。
【0023】
命令処理部550は、通信制御部560から取得したデータを解釈し、当該データが画像データである場合は画像処理部530に送る。また、命令処理部550は、受信したデータを解釈して、当該データが撮像装置100の状態に関するデータである場合は表示制御部520に送る。撮像装置100の状態に関するデータとして、撮像装置100と制御装置500との通信が確立したことを示すメッセージや制御装置500の命令に応じて撮像装置100の撮像方向の変更がなされた旨のメッセージが含まれる。また、撮像装置100の状態に関するデータとして、制御装置500からの命令が撮像装置100に拒絶された旨のメッセージや撮像装置100に対する命令が競合して実行されなかったことを示すメッセージが含まれる。命令が実行されなかったことを示す応答を受信部562が受信した場合、命令処理部550は撮像装置100の記録部160に記録されたログを撮像装置100から取得する。
【0024】
画像処理部530は、命令処理部550から受け取った画像データを必要に応じて処理する。例えば画像処理部530は、撮像装置100が撮像した撮像画像に文字列や記号等の補助情報やマスク画像等を重畳させる。画像処理部530において処理が行われた画像データは表示部510に出力されて表示される。
【0025】
表示制御部520は、画像処理部530において処理が行われた画像データやメッセージを表示部510に表示させる制御を行う。本実施例において表示制御部520は、命令処理部550から受け取った撮像装置100の状態に関するデータの内容を表示部510にメッセージとして表示させる制御を行う。また、表示制御部520は、命令処理部550が取得したログの内容を表示部510にメッセージとして表示させる制御を行う。表示部510に表示されるメッセージは、撮像装置100から受信したデータに応じて後述の管理部570から読み出して表示させることができる。
【0026】
本実施例におけるユーザインタフェースの例を図2に示す。画像表示部511は画像処理部530において処理が行われた画像データを表示する。操作部541は撮像装置100の撮像方向を操作するために用いられる。状態表示部521は撮像装置100の状態を表示させるために用いられる。
【0027】
管理部570は、表示部510に表示させるメッセージを管理する。管理部570におけるメッセージの管理の例を図4に示す。表示部510に表示するために用いられる表示メッセージは、撮像装置100の記録部160に記録されるログ、又は、制御プロトコルを用いて撮像装置100から応答されるメッセージに対応付けられて記憶される。
【0028】
本実施例では例えば図4(2)左欄の“http service error.”というログに図4(2)右欄の「HTTPサーバに予期しないエラーが発生しています。カメラを再起動してください。」という表示メッセージが対応付けられて管理部570に記憶される。
【0029】
同様に図4(3)左欄“http service restarted.”、図4(5)左欄“entering installation mode.”、図4(6)左欄“entering panorama mode.”などのログにもそれぞれ表示メッセージが対応付けられて管理部570に記憶される。また、本実施例では例えば図4(8)左欄の“P=100&T=45”という制御プロトコルの応答メッセージに対し、図4(8)右欄の「カメラの位置は、パン=100° チルト=45°です。」という表示メッセージが対応付けられて管理部570に記憶される。
【0030】
同様に図4(9)左欄の“session_established”という制御プロトコルの応答メッセージに対し図4(9)右欄の「カメラに接続しました。」という表示メッセージが対応付けられて管理部570に記憶される。さらに、図4(10)左欄の“request refused.”、図4(11)左欄の“request conflict.”などの制御プロトコルの応答メッセージに対し、ログを取得してそのログに対応付けられた表示メッセージを表示させることが管理部570に記憶される。
【0031】
ユーザは、表示メッセージを確認することにより、撮像装置100から受信される制御プロトコルのメッセージの内容や撮像装置100から取得したログの内容を容易に理解することができる。このようにして、管理部570はログと、ログが示す動作状態の内容を表示部510において表示するために用いられる表示メッセージとを対応付けて記憶する。
【0032】
操作入力部540は、ユーザが操作部541を用いて行った、撮像方向変更操作等の操作要求を制御命令に変換する。変換された制御命令は、命令処理部550の制御により、通信制御部560から制御プロトコルを用いて撮像装置100に出力される。
【0033】
時刻管理部580は、撮像装置100および制御装置500の時刻情報を取得する。撮像装置100から時刻を取得する手段は問わず、SNMP(Simple Network Management Protocol)などのネットワーク管理プロトコルや専用のプロトコルを時刻の取得のための通信に用いることができる。
【0034】
次に、制御装置500の動作について図3を用いて説明する。命令処理部550がプロセッサ及びメモリを内蔵する形態では、図3の処理フローは、図3に示される手順をこのプロセッサに実行させるためのプログラムを示す。この命令処理部550が内蔵するプロセッサは、コンピュータであり、命令処理部550が内蔵するメモリから読み出したプログラムを実行する。命令処理部550が内蔵するメモリは、このプロセッサが読み出すことができるようにこのプログラムを記録した記録媒体である。
【0035】
まず命令処理部550は、ボディ部にURLを記載したHTTPメッセージをHTTPを用いて撮像装置100に送信する(S300)。このURLには制御プロトコルの命令が記述される。次に命令処理部550は、一定時間経過するのを待ち、撮像装置100からHTTPメッセージが応答として制御装置500に送信されたか判断する(S301)。命令処理部550は、一定時間待っても撮像装置100からの応答がない場合(S301でNOの場合)、ネットワーク異常が発生したとみなし、その旨のメッセージをユーザに通知する(S307)。この場合、例えば、表示メッセージとして、図4の(1)に示すように「ネットワークに異常が発生しています。管理者に連絡してください。」などのメッセージを状態表示部521に表示させることができる。
【0036】
撮像装置100からHTTPメッセージを受信した場合(S301でYESの場合)、命令処理部550はまずHTTPメッセージのヘッダ部に記載されたステータスコードを確認し、撮像装置100と制御装置500との接続が適切に行われたか判断する(S302)。
【0037】
命令処理部550は、撮像装置100からの応答が否定的応答であった場合、ステップS305に進む。ここで否定的応答とは、撮像装置100と制御装置500との接続が適切に実行されなかったことを示す応答のことをいう。HTTPメッセージの否定的応答としては、例えば、500番台のステータスコードがあげられる。“500 Internal Server Error”、“503 Service Unavailable”などのステータスコードはサーバ内部で発生したエラーを示しており、多くはシステムあるいはサービスの再起動が必要となる。
【0038】
撮像装置100から否定的応答がなされた場合、命令処理部550は撮像装置100内のログを取得する(S305)。命令処理部550がログを取得する場合の通信プロトコルとして、例えば、FTP(File Transfer Protocol)やHTTP、SYSLOGプロトコル等を用いることができる。命令処理部550は例えば、否定的応答を受けた時刻までの所定時間分のログを取得する。この所定時間分のログには複数のログメッセージが含まれる。所定時間は例えば、TCP/IPプロトコルにおけるタイムアウト時間とすることができる。これに限らず、ログを取得する時間は任意に設定することができる。このようにして、命令処理部550は命令が実行されなかったことを示す応答を受信部562が受信した場合に撮像装置100の動作状態の記録を撮像装置100から取得する。
【0039】
命令処理部550はログを取得すると、取得したログに対応づけられたメッセージを管理部570から取得する。命令処理部550は取得した所定時間分のログの複数のログメッセージの中に、管理部570に記憶されている所定のログメッセージが記述されているか探索する。管理部570に記憶されている所定のログメッセージとは、例えば、図4の(2)左欄に示した“http service error.“、図4(3)左欄“http service restarted”、図4(5)左欄“entering installation mode.”、又は図4(6)左欄“entering panorama mode.”などのログメッセージが該当する。そして、管理部570に記憶されている所定のログメッセージを検出した場合には、管理部570においてそのログメッセージに対応付けられて記憶されている表示メッセージを表示部510に表示させるように表示制御部520に指示する(S306)。
【0040】
この場合、例えば図4の(2)又は(3)に示したような表示メッセージを表示させることができる。取得したログの中に図4(2)左欄の“http service error.”というログメッセージを検出した場合、HTTPサーバとして機能する通信制御部130が行うHTTPを用いた通信に何かしらのエラーが発生していることがわかる。そこで命令処理部550は、管理部570において図4(2)の左欄に示した“http service error.”というログメッセージに対応付けられた表示メッセージを表示させるように表示制御部520に指示する。表示メッセージとは例えば、図4(2)の右欄に示した「HTTPサーバに予期しないエラーが発生しています。カメラを再起動してください。」というメッセージとすることができる。同様に、取得したログの中に通信制御部130の再起動を示す図4(3)左欄の“http service restarted.”というログメッセージを検出した場合、図4(3)右欄の「HTTPサーバが予期しないエラーによって再起動しました。数分後に再接続を試みて下さい。」というメッセージを表示部510に表示させるように命令処理部550は表示制御部520に指示する。
【0041】
本実施例では命令処理部550は、取得した複数のログメッセージの中に管理部570に記憶された所定のログメッセージが複数あった場合には、それらのうち撮像装置の記録部160に記録された時刻が最も新しいログメッセージに対応づけられた表示メッセージを表示させる制御を行う。また、取得したログの中に管理部570に記憶されたログメッセージがない場合や、撮像装置100の記録部160にログが記録されていない場合は図4(4)右欄に示した表示メッセージのようにユーザにカメラの状態確認を喚起する表示メッセージを表示させる制御を行う。表示メッセージとして図4(4)右欄に示した「HTTPサーバのエラーを受け取りました。カメラの状態を確認することをお勧めします。」などのメッセージとすることができる。
【0042】
ステップS302において、撮像装置100からHTTPメッセージの肯定的応答がなされた場合、続いて命令処理部550はHTTPメッセージのボディ部に記述された制御プロトコルメッセージを解釈する(S303)。肯定的応答とは、HTTPプロトコルによって撮像装置100と制御装置500が適切に接続されたことを示す応答のことをいう。すなわち、制御装置500から送信されたHTTPメッセージが撮像装置100に適切に受信されたことを示す。肯定的応答がなされた場合の例として撮像装置100から制御装置500に送信されるHTTPメッセージのヘッダ部に「200 OK」のステータスコードが記述されている場合が該当する。この撮像装置100から制御装置500に送信されるHTTPメッセージのボディ部には、制御装置500から撮像装置100に送信したHTTPメッセージのボディ部に記述された制御プロトコルの命令に対する応答が制御プロトコルを用いた形式で記述される。例えば、制御プロトコルを用いた応答メッセージの形式として、制御装置500からの命令と同様にURLの形式とすることができる。
【0043】
制御プロトコルを用いて撮像装置100から送信された応答が肯定的応答である場合(S303でYESの場合)、命令処理部550は撮像装置100から制御装置500に送信されたHTTPメッセージのボディ部に記述された制御プロトコルの応答メッセージに対応した表示メッセージを表示部510に表示するよう表示制御部520に指示する(S304)。ここで制御プロトコルの肯定的応答とは、撮像装置100の制御に関して制御装置500の命令が適切に実行されたことを示す応答のことをいう。
【0044】
制御プロトコルの肯定的応答メッセージとして、例えば、図4の(8)右欄又は(9)右欄に示す表示メッセージを表示させる指示を命令処理部550は表示制御部520に対して行うことができる。例えば、制御装置500が撮像装置100に対し、パン、チルトの各原点位置からパン角度を100度、チルト角度を45度動かした位置に撮像方向を変更させる命令を行った場合について説明する。この場合、撮像装置100は命令を実行して、制御装置500に図4(8)左欄に示した“P=100&T=45”というメッセージを返す。命令処理部550は撮像装置100からのメッセージを受けると、例えば図4(8)左欄に示した「カメラの位置はパン=100° チルト=45°です。」等の表示メッセージを表示部510に表示させるように表示制御部520に指示する。
【0045】
同様に、カメラとのセッションを確立したことを示す図4(9)左欄の“session_established”というメッセージを受けた場合には、命令処理部550は図4(9)右欄の「カメラに接続しました。」という表示メッセージを表示部510に表示させるように表示制御部520に指示することができる。
【0046】
HTTPメッセージのボディ部に記述された制御プロトコルの応答メッセージが否定的応答であった場合(S303でNOの場合)、命令処理部550はステップS305に進み、撮像装置100からログを取得する。そして、命令処理部550は表示制御部520に指示して、管理部570において取得したログと対応づけられているメッセージを表示部510に表示させるように表示制御部520に指示する(S304)。
【0047】
制御プロトコルの否定的応答とは、撮像装置100の制御に関し、制御装置500の命令が適切に実行されなかったことを示す応答のことをいう。否定的応答がなされる場合として、例えば、撮像装置100が管理者のみに撮像装置100の制御を許可する管理モードに移行している場合がある。撮像装置100は、管理モードに移行した際、管理者が用いる制御装置500以外の制御装置500への撮像画像の配信や操作の受付けを停止する。撮像装置100が管理モードである場合、管理者が用いる制御装置500以外の制御装置500から画像配信要求や操作要求がなされた場合、撮像装置100は当該制御装置500に対して制御プロトコルの否定的応答を行う。撮像装置100は、例えば、撮像装置100の設置のために画角調整を行う場合や、パノラマ画像を撮影する場合などにも管理者モードに移行することができる。管理者モードへの移行などの要因で制御装置500からの命令が拒絶された場合、制御プロトコルによって図4(10)左欄に示した“request refused.”という否定的応答がなされる。また、撮像装置100への命令が競合した場合、制御プロトコルによって図4(11)左欄に示した”request conflict.”という否定的応答がなされる。
【0048】
命令処理部550は、否定的応答を受けるとカメラのログを取得する。本実施例では、撮像装置100が管理者モードに移行した場合、撮像装置100には、図4(5)左欄に示した“entering installation mode.”や図4(6)左欄に示した“entering panorama mode.”などのログメッセージが記録される。“entering installation mode.”のログメッセージは、撮像装置100が管理者モードに移行して画角調整を行っていることを意味する。また、“entering panorama mode.”のログメッセージは撮像装置100が管理者モードに移行してパノラマ画像を撮影していることを意味する。このようにして、命令処理部550は、命令が実行されなかったことを示す応答を受信部562が受信した場合に撮像装置100の動作状態の記録としてログメッセージを撮像装置100から取得する。
【0049】
命令処理部550は、取得したログの中から図4(5)左欄に示した“entering installation mode.”のログメッセージを検出した場合、例えば図4(5)右欄に示すように「管理者がカメラ画角を調整しています。」等の表示メッセージが表示部510に表示されるように制御する。また、命令処理部550は、取得したログの中から図4(6)左欄に示した“entering panorama mode.”のログメッセージを検出した場合、例えば図4(6)右欄に示すように「管理者がパノラマ画像を撮影しています。」等の表示メッセージが表示部510に表示されるように制御する。命令処理部550は上記のような表示メッセージを表示部510に表示させるように表示制御部520に指示する。表示制御部520は、命令処理部550が取得したログメッセージに対応付けられた表示メッセージを表示部510に表示させる制御を行う。こうして表示制御部520は、命令処理部550が取得した動作状態の記録の内容を表示部510に表示させる制御を行う。
【0050】
このような表示により、ユーザは撮像装置100と通信を行うためには、管理者による画角調整やパノラマ画像の撮影が終了した後に再度命令を行えばよいと知ることができる。
【0051】
本実施例では、HTTPプロトコルを用いたHTTPメッセージの送受信、又はHTTPメッセージのボディ部に記述される制御プロトコルのメッセージを用いた通信において否定的応答がなされた場合に、撮像装置100のログを取得してユーザに提示する。従って、ユーザはより具体的な撮像装置100の状態や、通信がなされなかった具体的な理由を知ることができる。ユーザは、撮像装置100のログの内容を知ることにより、撮像装置100との通信において否定的応答を受けた場合に、どのように対処すればよいか判断することが容易となる。
【0052】
また、制御プロトコルに則ったメッセージによってユーザに撮像装置100の状態を通知する場合、制御プロトコルの実装によってユーザに提供されるメッセージが異なる。撮像装置100の状態を詳細に通知しようとする場合には、制御プロトコルの内容が複雑となる。
【0053】
しかし本実施例によれば、撮像装置100から取得したログに応じてメッセージをユーザに提示するので、制御プロトコルの実装に依存することなく、ユーザに一貫したわかりやすいメッセージを提供することができる。また、制御プロトコルの内容を複雑なものにしなくても、撮像装置100の状態を具体的にユーザに通知することができる。
【0054】
(実施例2)
本実施例では、撮像装置100との通信が拒絶された制御装置500が、いつ撮像装置100に再接続すれば良いかについての時間の目安をユーザに提示する場合について説明する。
【0055】
本実施例において時刻管理部580は、撮像装置100が実行する所定の動作に要する既定の時間を保持する。撮像装置100が実行する所定の動作とは、例えば、制御装置500から送信された命令に優先して実行される動作であり、管理者による画角調整等のカメラ設定動作やパノラマ撮影動作等が含まれる。撮像装置100のその他の構成及び制御装置500の構成については実施例1と同一であるため説明を省略する。次に、本実施例における制御装置500の動作について説明する。
【0056】
本実施例における制御装置500の命令処理部550は、実施例1において図3を用いて示したステップS300からステップS305までの処理、及び、ステップS307の処理と同じ処理を行う。
【0057】
本実施例では、命令処理部550は図3のステップS306において、撮像装置100のログに記載された管理モード移行内容および時刻情報に基づき、撮像装置100と通信可能となるまでの時間の目安を表示させる。例えば命令処理部550は、管理者モードにおける処理の実行に撮像装置100が要する時間の最大値、撮像装置100が管理者モードにおける動作を開始した開始時刻、現在時刻を用いて、再接続が可能となる時刻を表示部510に表示させる。あるいは、命令処理部550は、再接続可能となるまでの残り時間を表示部510に表示させることとしてもよい。
【0058】
再接続可能となるまでの残り時間あるいは再接続が可能となる時刻を算出する例を図5に示す。まず、再接続が可能となるまでの残り時間の算出について説明する。命令処理部550は、図5(1)撮像装置100が計時した時刻図5(2)制御装置500が計時した時刻図5(3)撮像装置100が管理モードにおける動作を開始した開始時刻についてのログ及び図5(4)最大接続時間を取得する。命令処理部550は図5(1)の撮像装置100が計時した時刻を撮像装置100の計時部170から取得する。また、命令処理部550は図5(2)の制御装置500が計時した時刻を時刻管理部580から取得する。さらに、命令処理部550は図5(3)の撮像装置100が管理モードにおける動作を開始した開始時刻を撮像装置100の記録部160から取得する。加えて命令処理部550は図5(4)の最大接続時間を撮像装置100の時刻管理部580から取得する。図5(4)の最大接続時間は撮像装置100が管理者モードにあることを示すログに対応付けられて制御装置500の管理部570に保持されることとしてもよい。ここで、図5(4)の最大接続時間とは、管理者モードが継続される時間の最大値を示す時間のことをいう。例えば、管理者が管理者モードで撮像装置100を制御できる時間が所定の時間に決められている場合には、その所定の時間を最大接続時間とすることができる。あるいは、管理者モードでパノラマ撮影が行われる場合、パノラマ撮影を開始してから完了するまでに要する時間を最大接続時間とすることができる。命令処理部550は、撮像装置100からログを取得して撮像装置100が現在パノラマ撮影を行っていることを認識すると、予め用意されたパノラマ撮影にかかる最大時間を最大接続時間とする。
【0059】
命令処理部550は、取得した図5(1)撮像装置100が計時した時刻と図5(3)撮像装置100が管理モードにおける動作を開始した開始時刻を比較して、撮像装置100管理モードに移行してから経過した時間を計算する。そして命令処理部550は、図5(4)最大接続時間から、管理モードに移行してから経過時間を引くことにより、制御装置500が撮像装置100に再接続できるようになるまでの残り時間を計算することができる。命令処理部550は、この残り時間を表示制御部520に表示部510に表示させるよう指示する。このようにして、命令処理部550は制御装置500において、管理者モードにおける動作が終了し、再接続が可能となるまでの時間を表示させる制御を表示制御部520に指示することができる。
【0060】
次に、制御装置500が撮像装置100に再接続できるようになる時刻を算出する例について説明する。命令処理部550は、図5(3)撮像装置100が管理モードにおける動作を開始した開始時刻に図5(4)最大接続時間を足す。また命令処理部550は、図5(2)制御装置500が計時した時刻と図5(1)撮像装置100が計時した時刻の差を計算する。そして、管理モード開始時刻に最大接続時間を足した時刻から、制御装置500が計時した時刻と撮像装置100が計時した時刻との差を差し引く。命令処理部550は、この制御装置500が計時した時刻と撮像装置100が計時した時刻との差をこのようにして、命令処理部550は制御装置500において、管理者モードにおける動作が終了し、再接続が可能となる時刻を表示させることができる。
【0061】
上記のようにして算出した時間の表示の例としては、図4の(5)’右欄に示した表示メッセージのように「nn分後に再接続を試みて下さい」という文言を付加し、状態表示部521に表示することが挙げられる。こうして表示制御部520は、撮像装置100が所定の動作を行っている状態であることを示す記録を命令処理部550が取得した場合に、所定の動作の開始時間と所定の時間に基づいて所定の動作が終了する時間を示すメッセージを表示部510に表示させる制御を行う。
【0062】
本実施例によれば、実施例1を実施した場合の効果に加えて、ユーザが撮像装置100の状態および再接続が可能となるまでの時間を知ることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0063】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0064】
500 制御装置
510 表示部
520 表示制御部
550 命令処理部
561 送信部
562 受信部
570 管理部
580 時刻管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置をネットワークを介して制御する制御装置であって、
前記撮像装置を動作させるための命令を前記撮像装置に送信する送信手段と、
前記送信手段が送信した命令に対する前記撮像装置の応答を受信する受信手段と、
前記命令が実行されなかったことを示す応答を前記受信手段が受信した場合に前記撮像装置の動作状態の記録を前記撮像装置から取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記動作状態の記録の内容を表示手段に表示させる制御を行う表示制御手段とを有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記撮像装置が前記動作状態を通知するために用いる通知メッセージと前記通知メッセージが示す前記動作状態の内容を前記表示手段において表示するために用いられる表示メッセージとを対応付けて記憶する記憶手段を有し、
前記取得手段は、前記命令が実行されなかったことを示す応答を前記受信手段が受信した場合に前記撮像装置から前記通知メッセージを取得し、
前記表示制御手段は、前記取得手段が取得した通知メッセージに対応付けられた前記表示メッセージを前記表示手段に表示させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記撮像装置が所定の動作を行うために要する所定の時間を保持する保持手段を有し、
前記取得手段は、前記動作状態の記録と前記撮像装置が前記所定の動作を開始した開始時間とを取得し、
前記表示制御手段は、前記撮像装置が前記所定の動作を行っている状態であることを示す記録を前記取得手段が取得した場合に、前記開始時間と前記所定の時間に基づいて前記所定の動作が終了する時間を示すメッセージを前記表示手段に表示させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
撮像装置をネットワークを介して制御する制御方法であって、
送信手段が、前記撮像装置を動作させるための命令を前記撮像装置に送信する送信ステップと、
受信手段が、前記送信ステップにおいて送信した命令に対する前記撮像装置の応答を受信する受信ステップと、
取得手段が、前記命令が実行されなかったことを示す応答を前記受信ステップにおいて受信した場合に前記撮像装置の動作状態の記録を前記撮像装置から取得する取得ステップと、
表示制御手段が、前記取得ステップにおいて取得した前記動作状態の記録の内容を表示手段に表示させる制御を行う表示制御ステップとを有することを特徴とする制御方法。
【請求項5】
撮像装置をネットワークを介して制御するコンピュータに、
前記撮像装置を動作させるための命令を前記撮像装置に送信する送信手順と、
前記送信手順において送信した命令に対する前記撮像装置の応答を受信する受信手順と、
前記命令が実行されなかったことを示す応答を前記受信手順において受信した場合に前記撮像装置の動作状態の記録を前記撮像装置から取得する取得手順と、
前記取得手順において取得した前記動作状態の記録の内容を表示手段に表示させる制御を行う表示制御手順とを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−5274(P2013−5274A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135354(P2011−135354)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】