説明

制御装置、無線ICタグ読み取りシステム、並びに無線ICタグ読み取り装置

【課題】単位無線チャネルを共通に使用する無線ICタグ読み取り装置において、送受信に使用する単位無線チャネルの割り当てを効率的に行うことによって、通信輻輳、衝突の回避を図る。
【解決手段】高出力型無線ICタグ読み取りシステムに使用されるリーダ/ライタが使用可能なチャネル1からチャネル9と、高出力型無線ICタグ読み取りシステムに使用されるリーダ/ライタは使用しない、チャネル10から14とを使用可能な低出力型無線ICタグ読み取りシステムに使用されるリーダ/ライタを用いて無線ICタグの読み取りを行う無線ICタグ読み取りシステムであって、このリーダ/ライタが測定した各単位無線チャネルにおける受信電波強度を示すRSSIを受け取り、これに基づいて、チャネル1からチャネル9に優先してチャネル10から14を使用するように単位無線チャネルの指示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、無線ICタグ読み取りシステム、並びに無線ICタグ読み取り装置に関し、より詳しくはいわゆる無線ICタグ(電子タグ、RFIDともいう)を読み取るための読み取り機能を有する読み取り装置(例えば、リーダ/ライタ)のための制御装置、無線ICタグ読み取りシステム、並びにそのような無線ICタグ読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる無線ICタグのうち、950MHz帯パッシブタグには、使用可能周波数帯域として950MHzから956MHzの周波数帯域が割り当てられている。この使用可能帯域のうち、日本において実質的に使用可能な帯域は、ガードバンドを除いた952MHzから955MHzである。この帯域を0.2MHzの帯域を有する単位無線チャネルに区切ると、スプリアス領域を考慮して、最大14チャネルをとることができる。
【0003】
950MHz帯パッシブタグシステムには、この952MHzから955MHz内で最大30dBmまでの出力可能な高出力型950MHz帯パッシブタグシステムと、最大10dBmまでの出力可能な低出力型950MHz帯パッシブタグシステムとが提案されている。高出力型950MHz帯パッシブタグシステムが、無線局の免許を要するリーダ/ライタは特定の構内において設置・運用されるものであり、主として業務用として使用が進められているのに対して、低出力型950MHz帯パッシブタグシステムは、免許不要タイプのリーダ/ライタであり、小売店舗や大手スーパーのバックヤード及び工場のラインなど、単数ないしは少数のパッシブタグを個別読み取りするような用途で、広く一般のユーザの使用に供せられる(例えば、非特許文献1)。
【非特許文献1】”情報通信審議会 情報通信技術分科会 小電力無線システム委員会 報告(案)”、[online]、[平成18年11月16日検索]、インターネット<URL: http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/pdf/050808_5_1.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の高出力型950MHz帯パッシブタグシステムの無線ICタグ読み取り装置と、低出力型950MHz帯パッシブタグの無線ICタグ読み取り装置が、同一の領域内で混在して用いられる場合が考えられる。例えば、高出力型950MHz帯パッシブタグシステムの無線ICタグ読み取り装置を部屋の出入り口に配置する。一方、社員などには認証用の無線ICタグを封入したIDカードを携帯させ、社員の入退室時に高出力型950MHz帯パッシブタグシステムの無線ICタグ読み取り装置により認証用の無線ICタグを読み取り、セキュリティ管理を行う。また、同部屋内の個々のPC近傍に、低出力型950MHz帯パッシブタグシステムの無線ICタグ読み取り装置を配置し、そのPCを使用するものがPCの使用権限を有するかどうかを、認証用の無線ICタグを読み取りチェックする、というような使用方法も考えられる。その他、高出力型950MHz帯パッシブタグシステムの無線ICタグ読み取り装置と低出力型950MHz帯パッシブタグシステムの無線ICタグ読み取り装置が混在した環境で使用される可能性は十分にある。
【0005】
高出力、低出力いずれのタイプの無線ICタグ読み取り装置であっても、他の無線ICタグ読み取り装置が近傍に存在する場合、双方の無線ICタグ読み取り装置、或いは本来応答すべきではない無線ICタグ読み取り装置と無線ICタグとの間において干渉が起こる可能性があり、放射された電波が干渉しあうことにより、若しくは同一周波数帯で利用されることに起因するチャネル干渉により、通信輻輳や衝突が発生し、正常な無線ICタグの読み取りができなくなるおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、単位無線チャネルを共通に使用する無線ICタグ読み取り装置において、送受信に使用する単位無線チャネルの割り当てを効率的に行うことによって、通信輻輳、衝突の回避を図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、本発明は以下の特徴を有している。
本発明の第1の態様は、無線ICタグ読み取り装置(例えば、リーダ/ライタ)を制御する制御装置(例えば、リーダ/ライタ制御装置)として提案される。
【0008】
この制御装置は、無線ICタグとの送受信に使用する単位無線チャネルにおける受信電波強度を示す情報(例えば、RSSI)を受け取り、これに基づいて複数の単位無線チャネルの使用可否を示す情報(例えば、キャリアセンス結果テーブル)を記憶させるキャリアセンス制御手段(例えば、キャリアセンス制御部)と、少なくとも一つの第1の単位無線チャネル(例えば、チャネル1から9)を使用して送受信を行う第1の無線ICタグと、少なくとも一つの第2の単位無線チャネル(例えば、チャネル10から14)を使用して送受信を行う第2の無線ICタグとを読み取り可能とし、単位無線チャネルの使用可否を示す情報に基づいて、第2の単位無線チャネルのいずれかが使用可能であるか否かを判定し、第2の単位無線チャネルのいずれもが使用不可である場合は、第1の単位無線チャネルのいずれかが使用可能であるか否かを判定し、これらの判定の結果に基づいて、単位無線チャネルを指示する無線チャネル制御手段(例えば、送受信制御部)とを有することを特微としている。
この制御装置によれば、第1の単位無線チャネルに優先して第2の単位無線チャネルを第2の無線ICタグ読み取り装置に使用させることができるため、第1の無線ICタグの読み取りを、第2の無線ICタグの読み取りにより妨げてしまう可能性を低下させるとともに、第2の無線ICタグの読み取りが第1の第1の無線ICタグの読み取りにより妨げられる可能性をも低下させることができ、その結果無線ICタグの読み取り効率を向上させることができる。
【0009】
上記の制御装置はさらに以下の特徴を有していてもよい。すなわち、この制御装置において、無線チャネル制御手段は、第2の無線ICタグとの送受信に使用する単位無線チャネルを指示して送受信を開始した後、同一の単位無線チャネルを連続して使用することができる時間である連続送信可能時間が終了した場合、送受信に使用していた単位無線チャネルとは別の単位無線チャネルを指示する。この制御装置によれば、送信停止時間による無線ICタグ読み取り時間のロスを無くすることが可能となり、さらに無線ICタグの読み取り効率を向上させることができる。
【0010】
上記の制御装置はさらに以下の特徴を有していてもよい。すなわち、制御装置は、少なくとも一つの第1の単位無線チャネルを使用可能な第1の無線ICタグ読み取り装置(例えば、高出力型無線ICタグ読み取りシステムに使用されるリーダ/ライタ)と、少なくとも一つの第2の単位無線チャネルを使用可能な第2の無線ICタグ読み取り装置(例えば、低出力型無線ICタグ読み取り装置)とを有し、無線チャネル制御手段は、無線ICタグとの送受信に使用する単位無線チャネルを第2の無線ICタグ読み取り装置に指示し、キャリアセンス制御手段は、第2の無線ICタグ読み取り装置が測定した各単位無線チャネルにおける受信強度を示す情報を受け取る。
【0011】
制御装置は、以下の特徴をさらに有していてもよい。すなわち、この制御装置において、無線チャネル制御手段は、連続送信可能時間が終了した場合、送信停止時間を設けることなく、第2の無線ICタグとの送受信に別の単位無線チャネルを使用させる。
【0012】
またさらに、この制御装置は以下の特徴をさらに有していてもよい。キャリアセンス制御手段は、第2の無線ICタグ読み取り装置に各単位無線チャネルのそれぞれをキャリアセンスさせるように、第2の無線ICタグ読み取り装置にキャリアセンスを行う単位無線チャネルを指示する。この制御装置によれば、送受信処理の実行中であっても、各単位無線チャネルの空き状況をモニタできるため、空きチャネルとなっている単位無線チャネルを利用して直ちに送受信の開始、継続、再開を行うことが可能となり、送受信の停止による無線ICタグ読み取り時間のロスを無くすることが可能となり、その結果としてさらに無線ICタグの読み取り効率を向上させることができる。
【0013】
本発明の第2の態様は、第1の無線ICタグ読み取り装置(例えば、高出力型無線ICタグ読み取りシステムに使用されるリーダ/ライタ)が使用可能な少なくとも一つの第1の単位無線チャネル(例えば、チャネル1から9)と、第1の無線ICタグ読み取り装置は使用しない、少なくとも一つの第2の単位無線チャネル(例えば、チャネル10から14)とを使用可能な第2の無線ICタグ読み取り装置(例えば、低出力型無線ICタグ読み取りシステムに使用されるリーダ/ライタ)を制御可能な制御装置(例えば、リーダ/ライタ制御装置)として提案される。
【0014】
この制御装置は、無線ICタグとの送受信に使用する単位無線チャネルを第2の無線ICタグ読み取り装置に指示する無線チャネル制御手段(例えば、送受信制御部)と、第2の無線ICタグ読み取り装置が測定した各単位無線チャネルにおける受信電波強度を示す情報(例えば、RSSI)を受け取り、これに基づいて各単位無線チャネルの使用可否を示す情報(例えば、キャリアセンス結果テーブル)を記憶させるキャリアセンス制御手段(例えば、キャリアセンス制御部)とを有し、無線チャネル制御手段は、第2の無線ICタグ読み取り装置が送受信を開始した後、同一の単位無線チャネルを連続して使用することができる時間である連続送信可能時間が終了した場合、各単位無線チャネルの使用可否を示す情報(例えば、RSSI或いはRSSIに基づいて設定される使用可否フラグ)に基づいて、第2の単位無線チャネルのいずれかが使用可能であるか否かを判定し、第2の単位無線チャネルのいずれもが使用不可である場合は、第1の単位無線チャネルのいずれかが使用可能であるか否かを判定し、これらの判定の結果に基づいて、無線ICタグ読み取り装置による送受信に使用していた単位無線チャネルとは別の単位無線チャネルを無線ICタグ読み取り装置に指示することを特徴とする。
【0015】
この制御装置によれば、第1の単位無線チャネルに優先して第2の単位無線チャネルを第2の無線ICタグ読み取り装置に使用させることができるため、第1の無線ICタグ読み取り装置の読み取りを、第1の無線ICタグ読み取り装置の読み取りにより妨げてしまう可能性を低下させるとともに、第2の無線ICタグ読み取り装置の読み取りが第1の第1の無線ICタグ読み取り装置の読み取りにより妨げられる可能性をも低下させることができ、その結果無線ICタグの読み取り効率を向上させることができる。
【0016】
この制御装置はさらに以下の特徴を有していてもよい。すなわち、上記の制御装置において、無線チャネル制御手段は、第2の無線ICタグとの送受信に使用する単位無線チャネルを指示して送受信を開始した後、同一の単位無線チャネルを連続して使用することができる時間である連続送信可能時間が終了した場合、送受信に使用していた単位無線チャネルとは別の単位無線チャネルを指示する。この無線ICタグ読み取り装置によれば、送信停止時間による無線ICタグ読み取り時間のロスを無くすることが可能となり、さらに無線ICタグの読み取り効率を向上させることができる。
【0017】
上記の制御装置において、無線チャネル制御手段は、連続送信可能時間が終了した場合、送信停止時間を設けることなく、第2の無線ICタグ読み取り装置に別の単位無線チャネルを使用して送受信を行わせるようにしてもよい。この無線ICタグ読み取り装置によれば、送信停止時間による無線ICタグ読み取り時間のロスを無くすることが可能となり、さらに無線ICタグの読み取り効率を向上させることができる。
【0018】
また、上記の制御装置において、キャリアセンス制御手段は、第2の無線ICタグ読み取り装置に複数の単位無線チャネルのそれぞれをキャリアセンスさせるように、第2の無線ICタグ読み取り装置にキャリアセンスを行う単位無線チャネルを指示するようにしてもよい。この制御装置によれば、送受信処理の実行中であっても、各単位無線チャネルの空き状況をモニタできるため、空きチャネルとなっている単位無線チャネルを利用して直ちに送受信の開始、継続、再開を行うことが可能となり、送受信の停止による無線ICタグ読み取り時間のロスを無くすることが可能となり、その結果としてさらに無線ICタグの読み取り効率を向上させることができる。
【0019】
本発明の第3の態様は、第1の無線ICタグ読み取り装置(例えば、高出力型無線ICタグ読み取りシステムに使用されるリーダ/ライタ)が使用可能な少なくとも一つの第1の単位無線チャネル(例えば、チャネル1から9)と、第1の無線ICタグ読み取り装置は使用しない、少なくとも一つの第2の単位無線チャネル(例えば、チャネル10から14)とを使用可能な第2の無線ICタグ読み取り装置(例えば、低出力型無線ICタグ読み取りシステムに使用されるリーダ/ライタ)を用いて無線ICタグの読み取りを行う無線ICタグ読み取りシステムとして提案される。
【0020】
この無線ICタグ読み取りシステムは、第1の単位無線チャネル及び第2の単位無線チャネルのいずれかを用いて無線ICタグとの送受信を行い、且つ各単位無線チャネルにおける受信電波強度を測定して測定の結果を示す情報(例えば、RSSI)を出力する第2の無線ICタグ読み取り装置と、無線ICタグとの送受信に使用する単位無線チャネルを第2の無線ICタグ読み取り装置に指示し、且つ第2の無線ICタグ読み取り装置が測定した各単位無線チャネルにおける受信電波強度を示す情報(例えば、RSSI)を受け取り、これに基づいて各単位無線チャネルの使用可否を示す情報(例えば、キャリアセンス結果テーブル)を記憶し、各単位無線チャネルの使用可否を示す情報に基づいて、第2の単位無線チャネルいずれかが使用可能であるか否かを判定し、第2の単位無線チャネルいずれもが使用不可である場合は、第1の単位無線チャネルのいずれかが使用可能であるか否かを判定し、これらの判定の結果に基づいて、単位無線チャネルを第2の無線ICタグ読み取り装置に指示する制御装置とを有することを特徴としている。
【0021】
この無線ICタグ読み取りシステムによれば、第1の無線ICタグ読み取り装置と、第2の無線ICタグ読み取り装置が混在して使用される環境において、単位無線チャネルがふさがってしまうことにより一方が他方の読み取りを妨げてしまう可能性を低下させ、その結果その結果無線ICタグの読み取り効率を向上させることができる。
【0022】
この無線ICタグ読み取りシステムは、さらに以下の特徴を有していてもよい。すなわち、このシステムにおいて、無線チャネル制御手段は、第2の無線ICタグとの送受信に使用する単位無線チャネルを指示して送受信を開始した後、同一の単位無線チャネルを連続して使用することができる時間である連続送信可能時間が終了した場合、送受信に使用していた単位無線チャネルとは別の単位無線チャネルを指示する。
【0023】
この無線ICタグ読み取りシステムによれば、送信停止時間による無線ICタグ読み取り時間のロスを無くすることが可能となり、さらに無線ICタグの読み取り効率を向上させることができる。
【0024】
上記の無線ICタグ読み取りシステムにおいて、制御装置は、連続送信可能時間が終了した場合、送信停止時間を設けることなく、第2の無線ICタグ読み取り装置に別の単位無線チャネルを使用して送受信を行わせるようにしてもよい。
【0025】
この無線ICタグ読み取りシステムによれば、送信停止時間による無線ICタグ読み取り時間のロスを無くすることが可能となり、さらに無線ICタグの読み取り効率を向上させることができる。
【0026】
また上記の無線ICタグ読み取りシステムにおいて、制御装置は、第2の無線ICタグ読み取り装置に複数の単位無線チャネルのそれぞれをキャリアセンスさせるように、第2の無線ICタグ読み取り装置にキャリアセンスを行う単位無線チャネルを指示するようにしてもよい。
【0027】
この無線ICタグ読み取りシステムによれば、送受信処理の実行中であっても、各単位無線チャネルの空き状況をモニタできるため、空きチャネルとなっている単位無線チャネルを利用して直ちに送受信の開始、継続、再開を行うことが可能となり、送受信の停止による無線ICタグ読み取り時間のロスを無くすることが可能となり、その結果としてさらに無線ICタグの読み取り効率を向上させることができる。
【0028】
本発明の第4の態様は、他の無線ICタグ読み取り装置(例えば、高出力型無線ICタグ読み取りシステムに使用されるリーダ/ライタ)が使用可能な少なくとも一つの第1の単位無線チャネル(例えば、チャネル1からチャネル9)と、他の無線ICタグ読み取り装置は使用しない、少なくとも一つの第2の単位無線チャネル(例えば、チャネル10からチャネル14)とを使用可能な、無線ICタグの読み取りを行う無線ICタグ読み取り装置(例えば、低出力型無線ICタグ読み取りシステムに使用されるリーダ/ライタ)として提案される。
【0029】
この無線ICタグ読み取り装置は、無線ICタグとの送受信に使用する単位無線チャネルに応じた周波数の信号を生成する第1の発振手段(例えば、第一周波数可変発振部)と、第1の発振手段が生成した信号を用いて無線ICタグとの送受信を行う送受信手段(例えば、送信部及び受信部)と、受信電波強度の測定を行う単位無線チャネルに応じて、各単位無線チャネルに応じた周波数の信号を変更可能に生成する第2の発振手段(第二周波数可変発振部)と、第2の発振手段が生成した信号を用いて、各単位無線チャネルにおける受信電波強度を測定するキャリアセンス手段(例えば、キャリアセンス実行部)と、キャリアセンス手段による測定の結果に基づいて、送受信手段に使用させる次の単位無線チャネルを選択し、選択した単位無線チャネルに応じた周波数の搬送波信号を生成するように第1の発振手段を制御する制御手段(例えば、主制御部)とを有し、制御手段は、第2の単位無線チャネルいずれかが使用可能であるか否かを判定し、第2の単位無線チャネルいずれもが使用不可である場合は、第1の単位無線チャネルのいずれかが使用可能であるか否かを判定することを特徴としている。
【0030】
この無線ICタグ読み取り装置によれば、本無線ICタグ読み取り装置と、上記他の無線ICタグ読み取り装置が混在して使用される環境において、単位無線チャネルがふさがってしまうことにより一方が他方の読み取りを妨げてしまう可能性を低下させ、その結果その結果無線ICタグの読み取り効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、単位無線チャネルを共通に使用する無線ICタグ読み取り装置において、送受信に使用する単位無線チャネルの割り当てを効率的に行うことによって、通信輻輳、衝突の回避を図ることを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
まず、本実施の形態における無線ICタグ読み取りシステムの基本的構成の例を説明する。
[1.無線ICタグ読み取りシステム]
図1は、本発明の一実施の形態である無線ICタグ読み取りシステムの基本的構成の例を示す機能ブロック図である。なお、高出力型無線ICタグ読み取りシステム、低出力型無線ICタグ読み取りシステムは、読み取りのための送信電波出力及び使用可能な単位無線チャネルの多寡の点で異なるが、基本的な構成は共通である。以下、高出力型無線ICタグ読み取りシステム及び低出力型無線ICタグ読み取りシステムを無線ICタグ読み取りシステム1と呼ぶ。以下、無線ICタグ読み取りシステム1の構成例について説明する。
【0033】
無線ICタグ読み取りシステム1は、リーダ/ライタ制御装置10と、このリーダ/ライタ制御装置10に接続されたリーダ/ライタ20と、リーダ/ライタ20に接続されたアンテナユニット30とで構成される。以下、無線ICタグ読み取りシステム1の各構成要素について説明する。
【0034】
[1.1.リーダ/ライタ制御装置]
リーダ/ライタ制御装置10は、リーダ/ライタ20の読み取り処理、すなわち無線ICタグ40との送受信処理、これに伴う送信時間制御、及びキャリアセンス(LBT)の結果に基づく空きチャネルの有無判定、送受信に使用する単位無線チャネルの決定及び指令などを行う。すなわち、リーダ/ライタ制御装置10は、リーダ/ライタ20に読み取り動作(無線ICタグを受信状態にするための搬送波などの送信、質問コマンドを載せた変調波の送信、無線ICタグに電源供給し続けるための搬送波等の送信、無線ICタグからの応答の受信)を実行する様に命令し、また、リーダ/ライタ20に無線ICタグ40から読み取ったデータを送信する様に命令し、リーダ/ライタ20から受け取ったデータを記憶し、所定の情報処理(例えば、無線ICタグのユニークIDの一覧リストの生成)を行う機能を有するとともに、リーダ/ライタ20が送受信に使用する単位無線チャネルの指定、及びキャリアセンスの実行結果の記憶、キャリアセンス結果に基づく使用チャネルの決定及び送信時間制御を行う。
【0035】
リーダ/ライタ制御装置10は、CPUなどの演算処理装置、ROM、RAMなどの記憶装置を備えた情報処理装置であって、例えば、コンピュータや各種コントローラなどである。図2は、リーダ/ライタ制御装置10のハードウエア構成例を示すブロック図である。図2に示す構成例において、リーダ/ライタ制御装置10は、CPU201と、一時記憶手段であるRAM202と、プログラムや固定データを記憶するROM203と、キーボードやポインティングデバイスなど利用者の入力を信号化してCPU201に提供する入力装置204と、CPU201の処理結果を利用者に示すための画面表示装置205(例えば、液晶ディスプレイ装置)と、リーダ/ライタ20と通信を行うための通信制御装置206(例えば、LANボードなど)とを有している。
【0036】
図3は、リーダ/ライタ制御装置10の機能ブロック図である。リーダ/ライタ制御装置10は、リーダ/ライタ20の送信及び受信動作を制御するとともに、リーダ/ライタ20が無線ICタグ40との送受信を行う際に使用する単位無線チャネル(すなわち、搬送波の周波数)を指定する送受信制御部211と、リーダ/ライタ20からキャリアセンスの結果を受け取り、これを記憶させるとともに、キャリアセンスの対象とする単位無線チャネル(周波数)を指示するキャリアセンス制御部212と、キャリアセンス結果を記憶格納するキャリアセンス結果記憶部213とを有する。
【0037】
図4は、キャリアセンス結果記憶部213の記憶内容の例を示す図である。高出力型無線ICタグ読み取りシステムで使用するリーダ/ライタ20には使用可能な単位無線チャネルとして中心周波数952.2MHzから953.8MHzまで帯域幅0.2MHzずつの9チャネルが割り当てられ、また低出力型無線ICタグ読み取りシステムで使用するリーダ/ライタ20には使用可能な単位無線チャネルとして上記の9チャネル(「第1のチャネル群」と呼ぶ)に加えて、中心周波数954.0MHzから954.8MHzまでの帯域幅0.2MHzずつの5チャネル(「第2の単位無線チャネル群」と呼ぶ)が割り当てられている。図5に、高出力型無線ICタグ読み取りシステム及び低出力型無線ICタグ読み取りシステムのチャネル配置図を掲げる。図5に示すように、中心周波数952.2MHzから953.8MHzまで帯域幅0.2MHzずつの9つの単位無線チャネルであるチャネル1〜9は、高出力型のリーダ/ライタ20及び低出力型のリーダ/ライタ20の双方によって使用可能な単位無線チャネルである。一方、中心周波数954.0MHzから954.8MHzまでの帯域幅0.2MHzずつの5つの単位無線チャネルであるチャネル10〜14は、低出力型のリーダ/ライタ20は使用可能であるが、高出力型のリーダ/ライタ20は使用しない単位無線チャネルである。
【0038】
低出力型のリーダ/ライタ20は、チャネル10〜14をチャネル1〜9に優先して送受信に使用する。その結果、チャネル1〜9の占有頻度を低下させ、その結果高出力型のリーダ/ライタ20の送受信を待機させる可能性を下げ、無線ICタグ読み取りシステム1全体の読み取り効率を向上させる。
【0039】
さて、図4に戻り、キャリアセンス結果記憶部213について説明する。
図4(A)は、高出力型の場合のリーダ/ライタ20に対応するキャリアセンス結果記憶部213の記憶内容であるキャリアセンス結果テーブルのデータ構成例を示している。この例では、キャリアセンス結果テーブル400は、リーダ/ライタ20の使用可能周波数帯として割り当てられた各単位無線チャネル1〜9について、一つずつレコード401を有し、各レコード401はフラグ記憶フィールド402を有する。
【0040】
図4(B)は、低出力型の場合のリーダ/ライタ20に対応するキャリアセンス結果記憶部213の記憶内容であるキャリアセンス結果テーブル400のデータ構成例を示している。この例では、キャリアセンス結果テーブル400は、リーダ/ライタ20の使用可能周波数帯として割り当てられた各単位無線チャネル1〜14について、一つずつレコード401を有し、各レコード401はフラグ記憶フィールド402を有する。
【0041】
さて、キャリアセンス結果テーブル400の各レコード401に含まれるフラグ記憶フィールド402には、当該単位無線チャネルが使用可能であるか否かを示す情報、例えば、当該単位無線チャネルにおける干渉電力が所定の値未満若しくは以下であるか否かを示す情報が書き込まれる。例えば、キャリアセンス制御部212がリーダ/ライタ20から受け取った測定結果が、その単位無線チャネルの干渉波電力が所定値(高出力型無線ICタグ読み取りシステムの場合ー74dBm、低出力型無線ICタグ読み取りシステムの場合ー64dBm)以下であることを示していれば、キャリアセンス制御部212は、該当するレコード401のフラグ記憶フィールド402に「0」を格納する。一方、キャリアセンス制御部212は受け取った測定結果が、その単位無線チャネルの干渉波電力が所定値を超えていることを示していれば、該当するレコード401のフラグ記憶フィールド402に「1」を格納する。フラグ記憶フィールド402に書き込まれる情報は、その単位無線チャネルにおける直近のキャリアセンスの結果であって、当該単位無線チャネルにおけるキャリアセンスが実行されるごとに最新の情報に書き換えられる。
【0042】
なお、リーダ/ライタ制御装置10のこれら各部211〜213及びリーダ/ライタ制御装置10の動作については、後述する。
【0043】
[1.2.リーダ/ライタ]
図1に戻りリーダ/ライタ20を説明する。
リーダ/ライタ20は、無線により無線ICタグ40と送受信を行い、無線ICタグ40が記憶する情報(例えば、ユニークID)を読み取る装置である。また、リーダ/ライタ20は、無線ICタグ40と送受信を行う場合に、使用可能な複数の単位無線チャネル(周波数帯域)を選択的に用いることができるようになっている。例えば、いわゆる高出力型950MHz帯パッシブタグシステムに使用されるリーダ/ライタ20を例にとると、送受信に割り当てられた無線帯域952〜954MHzを帯域幅200KHzで分割した9つの単位無線チャネル(チャネル1から9とする)を、このリーダ/ライタ20は選択的に用いることができる。また、いわゆる低出力型950MHz帯パッシブタグシステムに使用されるリーダ/ライタ20は、送受信に割り当てられた無線帯域952〜954MHzを帯域幅200KHzで分割した9つの単位無線チャネルに加えて、無線帯域954MHz〜955MHzを帯域幅200KHzで分割した5つの単位無線チャネル(チャネル10から14とする)を選択的に用いることができる。
【0044】
また、リーダ/ライタ20は、上記単位無線チャネルのそれぞれについて、別のリーダ/ライタなど他の無線局による周波数帯域の使用の有無を監視するため、これら複数の単位無線チャネルを所定期間ずつ順番に継続してキャリアセンスする。本実施の形態にかかるリーダ/ライタ20において、各単位無線チャネルにおけるキャリアセンス時間は、通常そのリーダ/ライタが従わなければならない規格・基準で定められた時間とし、例えば前述の高出力型950MHz帯パッシブタグシステムのためのリーダ/ライタであれば、各単位無線チャネルについて5msずつ、低出力型950MHz帯パッシブタグシステムのためのリーダ/ライタ20にあっては各単位無線チャネルについて10msずつ、キャリアセンスを行う。
【0045】
リーダ/ライタ20は、無線ICタグ40の読み取りのための電波送信中及び送信後の停止時間中であってもキャリアセンスを継続的且つ循環的に実行し続ける。もちろん送信時間及び停止時間以外(例えば、待機時間中)においてもキャリアセンスを継続的且つ循環的に実行し続ける。
【0046】
リーダ/ライタ20は、上記のキャリアセンスの結果(測定結果データ、例えばRSSI)をリーダ/ライタ制御装置10に渡す。リーダ/ライタ20からキャリアセンスの結果を受けたリーダ/ライタ制御装置10は、各単位無線チャネルの使用可否を示すデータであるキャリアセンス結果テーブル400を記録する。
【0047】
リーダ/ライタ20は、無線ICタグ40の読み取りを行う場合には、上記のキャリアセンスの結果に応じていずれかの単位無線チャネルを選択し、その単位無線チャネルを用いて無線ICタグ40とのコマンド/データの送受信を行う。
【0048】
リーダ/ライタ20は、各単位無線チャネルを順番に若しくはランダムに切り替えながらキャリアセンスを行う一方、リーダ/ライタ制御装置10から指令に応じて指定された単位無線チャネルにおいて無線ICタグ40の読み取りのための送受信を行う。この送受信は、最長で連続送信可能時間まで継続して行うことができる。この連続送信可能時間終了後さらに続けて送信を行う必要がある場合には、リーダ/ライタ20は連続送信可能時間終了時まで継続的に行われていたキャリアセンスの最新結果を参照して、空きチャネルとなっている単位無線チャネルを探す。空きチャネルとなっている単位無線チャネルがあれば、リーダ/ライタ20は、送信停止時間、キャリアセンス時間、バックオフ時間の経過を待つことなく、その単位無線チャネルに移行して直ちに送信を開始することができる。上記の空きチャネルの選択において、低出力型のリーダ/ライタ20は、第2の単位無線チャネル群であるチャネル10から14を、第1の単位無線チャネル群であるチャネル1から9に優先して選択し、使用するように動作する。
【0049】
図6に、リーダ/ライタ20の構成例を示すブロック図を掲げる。以下、図6を参照しながらリーダ/ライタ20の構成例を説明する。なお、高出力型のリーダ/ライタ20と低出力型のリーダ/ライタ20は構成は共通であるので、両者をリーダ/ライタ20と総称して以下説明を行う。
【0050】
リーダ/ライタ20は、送信部501と、受信部502と、第一周波数可変発振部503と、キャリアセンス実行部504と、第二周波数可変発振部505と、主制御部506と、通信制御部507とを有している。
【0051】
[1.2.1.送信部]
送信部501は、アンテナユニット30を介して無線ICタグ40へ搬送波や変調波を無線により送信する。図7は、送信部501の回路構成例を示すブロック図である。以下、図7を参照しながら送信部501の構成例について説明する。
【0052】
図7に示す構成例では、送信部501は変調回路601と、変調回路601の出力側に接続された増幅回路602と、増幅回路602の出力に接続された第1のローパスフィルタ603と、第1のローパスフィルタ603の出力に接続されたカプラ604と、カプラ604の出力に接続された第2のローパスフィルタ605と、カプラ604の別の出力に接続されたパワー・ディテクタ606とを有している。
【0053】
変調回路601は、主制御部506から出力されたコマンドなどをベースバンド信号として、第一周波数可変発振部303から出力された搬送波信号を所定の変調方式(例えば、Direct UP Converter方式)で変調し、変調波を出力する。増幅回路602は、変調波を変調回路601から受け取り、この変調波を空中放射できるレベルまで増幅する。第1のローパスフィルタ603、第2のローパスフィルタ605は、増幅された変調波に含まれるスプリアス信号を除去する役目を有する。カプラ604は、増幅された変調波を第1のローパスフィルタ603から受け取り、この変調波を分配してパワー・ディテクタ606に出力する。パワー・ディテクタ606は分配された変調波を受け取り、送信出力を検出して主制御部506に出力する。
また変調回路601には前記第一周波数可変発振部503の出力が接続され、第一周波数可変発振部503から出力された信号を搬送波として変調を行う。
【0054】
[1.2.2.受信部]
次に、受信部502について説明する。図8に、受信部502の回路構成例を示すブロック図を掲げる。図8に示す受信部502は、復調回路701と、増幅回路702とを有している。復調回路701には、アンテナユニットが受信した電波が供給される。また、復調回路701には、第一周波数可変発振部503の出力が接続されており、送信部501が用いている単位無線チャネルと同一の単位無線チャネルを使用して無線ICタグ40からの応答を受信する。復調回路701は、例えばダイレクトコンバージョン方式を用いるデモジュレータで構成される。
【0055】
増幅回路702は、復調回路701の出力を、アナログ信号をデジタル変換可能なレベルまで増幅する。例えば、増幅回路702は、復調回路701の出力に接続される第1の差動アンプ、これに接続されるアクティブ・フィルタ、さらにアクティブ・フィルタの出力に接続される第2の差動アンプによって構成される。増幅回路702の出力はADコンバータ(図略)を介してデジタル信号に変換され、主制御部506に渡される。
【0056】
[1.2.3.第一周波数可変発振部]
第一周波数可変発振部503は、リーダ/ライタ制御装置10によって指定された単位無線チャネルに対応する周波数の搬送波信号を生成し、これを送信部501及び受信部502に供給する。第一周波数可変発振部503は、例えば、PLL(Phase Lock Loop)IC及びVCO(Voltage Control Oscillator)ICを搭載したモジュールである。
【0057】
[1.2.4.キャリアセンス実行部]
キャリアセンス実行部504は、リーダ/ライタ制御装置10によって指定された単位無線チャネルのキャリアセンス(干渉電力測定)を行い、指定された単位無線チャネルにおける干渉電波の信号強度を測定し出力する。図9に、キャリアセンス実行部504の回路構成例を示す。図9に示す構成例では、キャリアセンス実行部504は、アンテナユニット30が受信した受信信号と、第二周波数可変発振部505から出力される基準信号(指定された単位無線チャネルの中心周波数)とを混合してIF信号を出力するミキサ801と、ミキサ801の出力から基準信号(PLL_LO信号)やノイズを取り除くローパスフィルタ802と、ローパスフィルタ802の出力をDCレベルで変換可能にするまで増幅する増幅回路(例えば、ログアンプ)803とで構成される。この増幅回路803の出力はRSSI(Received Signal Strength Indicator)として、主制御部506に渡される。
【0058】
[1.2.5 .第二周波数可変発振部]
第二周波数可変発振部505は、リーダ/ライタ制御装置10によって指定された単位無線チャネルに対応する周波数で基準信号(PLL_LO信号)を生成し、これをキャリアセンス実行部504に供給する。第二周波数可変発振部505は、例えば、PLL(Phase Lock Loop)IC及びVCO(Voltage Control Oscillator)ICを搭載したモジュールである。
【0059】
[1.2.6.中央制御部]
主制御部506は、リーダ/ライタ制御装置10からの制御命令を受け取り、これを解釈して送信部501に未変調の搬送波やコマンドを乗せた変調波を送信させ、またこの送信した変調波に反応する無線ICタグ40からの応答信号を受信した受信部502の出力をデータ(ユニークID)にしてリーダ/ライタ制御装置10に渡す。また、主制御部506は、第一周波数可変発振部503、及び第二周波数可変発振部505に基準信号の周波数をそれぞれ別個に指示する。また主制御部506は、キャリアセンス実行部504から出力されるRSSIを受け取り、これをリーダ/ライタ制御装置10に渡して、前述したキャリアセンス実行結果として記憶させる。
[1.2.7.通信制御部]
通信制御部507は、リーダ/ライタ制御装置10と通信を行う装置であって、例えばLANボードなどである。
【0060】
[1.3.アンテナユニット]
図1に戻り、本実施の形態における無線ICタグ読み取りシステム1の構成要素の説明を続ける。
アンテナユニット30は、リーダ/ライタ20、より詳しくは送信部501から受け取った搬送波又は変調波を空中に放射し、これら搬送波又は変調波を無線ICタグ40に向けて放射すると共に、無線ICタグ40から放射された応答を受信し、この応答をリーダ/ライタ20、より詳しくは受信部502に供給する。また、アンテナユニット30は、受信信号(干渉電波を含む)をリーダ/ライタ20,より詳しくはキャリアセンス実行部504に供給する。
【0061】
アンテナユニット30は、一例としては、送信用アンテナ、受信用アンテナ(例えば、ポールアンテナ、パッチアンテナなど)とこれを収納保護するためのケース(例えば、樹脂成形ケース)で構成されている。本実施の形態では、アンテナユニット30は、リーダ/ライタ20とは別体の装置になっており、アンテナユニット30はリーダ/ライタ20とはLANケーブルなどで接続される。従って、アンテナユニット30は、リーダ/ライタ20から離れた場所であっても設置できる様になっている。
【0062】
また、本発明が採用しうる別の構成例としては、アンテナユニット30をリーダ/ライタ20と別体とはせずに、複数のアンテナユニット30全体、若しくは送信アンテナ/受信アンテナをリーダ/ライタ20内に組み込む構成としても本実施の形態は成立する。
【0063】
また、リーダ/ライタ20に接続するアンテナユニット30の数は一つに制限されない。一つのリーダ/ライタ20に複数のアンテナユニット30を接続し、リーダ/ライタ20はこれら複数のアンテナユニット30を切り替えながら送受信処理、キャリアセンス実行処理を行うような構成としても構わない。例えば、ある倉庫のような閉鎖空間内の四方にそれぞれアンテナ/ユニット30を設置し、これら4つのアンテナユニット30を一つのリーダ/ライタ20にケーブルなどを介して接続する。リーダ/ライタ20はこれら4つのアンテナユニット30をスイッチなどの切り替え手段で切り替えて接続し、4つの異なる方向及び位置から送受信、及び/又はキャリアセンスを行うようにしてもよい。
【0064】
[1.5.無線ICタグ]
次に、無線ICタグ40の一般的な構成例を説明する。
無線ICタグ40は、メモリ41と、制御部42と、送受信部43と、アンテナ44とを有している。メモリ41は、商品情報、発送者情報などの識別コードなど、読み取り対象となる情報を記憶している記憶装置である。制御部42は、リーダ/ライタ20からのコマンド、リクエスト、命令などを解釈し、これに応答する動作を実行する。送受信部43は、変調部(図略)、復調部(図略)を有しており、リーダ/ライタ20と交信を行うために信号の変調/復調を行う。アンテナ44はリーダ/ライタ20からの搬送波を受信し、これを送受信部43に給電すると共に、送受信部43からの変調信号を受け取り、これをリーダ/ライタ20に受信させる様、空中に放射する。
以上で、無線ICタグ読み取りシステム1の構成例の説明を終了する。
【0065】
[2.無線ICタグ読み取りシステムの動作例]
次に、上記の無線ICタグ読み取りシステム1の動作例について説明する。
[2.1.送受信(読み取り)処理]
リーダ/ライタ制御装置10は、リーダ/ライタ20に無線ICタグ40の読み取りを要求する際、最新のキャリアセンス実行結果であるキャリアセンス結果テーブル400を参照して、他の無線局(リーダ/ライタを含む)によって使用されていない単位無線チャネル(空きチャネルとも言う)を選択して、この単位無線チャネルを使用して無線ICタグ40の読み取りを行うようリーダ/ライタ20に指令を送る。リーダ/ライタ20はこの指令に従って、指定された単位無線チャネルを使用して無線ICタグ40の読み取りを行う。この読み取りは、所定の連続送信可能時間内(例えば、4秒以内)で行われる。この所定の連続送信可能時間内で無線ICタグ40の読み取りが完了しない場合には、リーダ/ライタ20はその単位無線チャネルでの送受信を終了し、リーダ/ライタ制御装置10に使用可能な単位無線チャネルを問い合わせる、若しくはリーダ/ライタ制御装置10からの指示を待つ。
【0066】
問い合わせ又は指示要求を受けたリーダ/ライタ制御装置10は、そのリーダ/ライタ20が使用していた単位無線チャネルを除いた他の単位無線チャネルで使用可能なチャネルがあるか否かを、キャリアセンス結果記憶部213に記憶しているキャリアセンス実行結果を参照して判定する。その判定の結果、使用可能な単位無線チャネルがあれば、その空きチャネルである単位無線チャネルを使用して送受信を開始/再開/継続するようにそのリーダ/ライタ20に指令する。
【0067】
なお、本発明にかかる無線ICタグ読み取りシステム1は、連続送信可能時間の到来による使用単位無線チャネルの変更は、できる限り時間間隔を発生させないで行う。例えば、リーダ/ライタ20がある単位無線チャネルを使用して無線ICタグの読み取りを開始し、その後連続送信可能時間が満了した場合、そのリーダ/ライタ20は満了後、送信停止時間、キャリアセンス時間、バックオフ時間の経過を待つことなく、直ちに他の空きチャネルである別の単位無線チャネルを使用して無線IC40タグの読み取りを再開するように動作する。
【0068】
従来のリーダ/ライタは、連続送信可能時間が到来すると、所定の送信停止時間(例えば、高出力型において50m秒、低出力型において100m秒)と、その後のその単位無線チャネルの使用可否を判定するためのキャリアセンス時間(例えば、高出力型において5m秒、低出力型において10m秒)と、その後のバックオフ時間(キャリアセンス時間)経過後の送信衝突を避けるための時間であって、キャリアセンス時間経過後、乱数などによってランダムに決定される長さの期間(例えば、0〜5m秒)とが経過するまではその単位無線チャネルにおける送受信を停止しなければならず、すなわち無線ICタグの読み取り動作をこれらの時間の間、中止しなければならない。その結果、これら送信停止時間、キャリアセンス時間、バックオフ時間の間は無線ICタグ40の読み取りを行うことができなくなり、単位時間あたりの無線ICタグの読み取り効率が低下してしまうのであるが、本発明にかかる無線ICタグ読み取りシステム1はそのようなタイムロスをすることなく無線ICタグの読み取りを、タイムロスを夾むことなく、継続することができる。
【0069】
図10は、本実施の形態にかかる高出力型の無線ICタグ読み取りシステム1の送受信(読み取り)処理の例を示すフローチャートである。
まず、高出力型の無線ICタグ読み取りシステム1において、無線ICタグ40の読み取りを行う場合、リーダ/ライタ制御装置10はリーダ/ライタ20に送受信(読み取り)開始を命令する。このとき、リーダ/ライタ制御装置10は送受信に使用する単位無線チャネルの指定を行う。この単位無線チャネルの指定は、後述するキャリアセンス処理の結果得られたキャリアセンス実行結果(具体的には、キャリアセンス結果テーブル400)に基づいてリーダ/ライタ制御装置10が選択、決定する。
【0070】
この送受信開始命令を受けたリーダ/ライタ20は、指定された単位無線チャネルを使用して送受信処理実行を開始する(S901)。すなわち、リーダ/ライタ20は第一周波数可変発振部503により、リーダ/ライタ制御装置10に指定された単位無線チャネルの中心周波数に応じた周波数の基準波を生成し、送信部501に供給する。送信部501ではこの周波数帯の搬送波、及びこの搬送波を変調した変調波を生成し、搬送波、変調波をアンテナユニット30に供給する。また、無線ICタグ40からの応答もこの基準波に基づいて受信部502によって復調され、復調の結果得られたデータはリーダ/ライタ制御装置10に渡される。
【0071】
次に、無線ICタグ読み取りシステム1は、送受信処理開始から連続送信可能時間が経過したか否かを判定する(S902)。この判定はリーダ/ライタ制御装置10が行うようにしてもよいし、リーダ/ライタ20の主制御部506が行うようにしてもよい。
【0072】
連続送信可能時間が経過したか否かの判定の結果、連続送信可能時間が満了していないと判定した場合(S902、No)、無線ICタグ読み取りシステム1はステップS901に戻り送受信処理を継続する。一方、連続送信可能時間が満了したと判定した場合(S902、Yes)、リーダ/ライタ20は送受信処理を停止する(S903)。この送受信停止後、無線ICタグ読み取りシステム1はその読み取り範囲内における送受信が完了したか否か、すなわちリーダ/ライタ20がその交信領域内における読み取り可能な無線ICタグの読み取りを完了したか否かを判定する(S904)。
【0073】
リーダ/ライタ20が読み取りを完了したと判定した場合(S904,Yes)は、無線ICタグ読み取りシステム1は送受信処理を終了する。一方、リーダ/ライタ20が読み取りを完了していないと判定した場合、すなわち読み取り残しとなっている無線ICタグ40が存在すると判定した場合(S904,No)は、無線ICタグ読み取りシステム1は、リーダ/ライタ制御装置10のキャリアセンス結果記憶部213に記憶されるキャリアセンス結果テーブル400を参照する(S905)。
【0074】
次に、無線ICタグ読み取りシステム1、より詳しくはリーダ/ライタ制御装置10はキャリアセンス結果テーブル400の内容に基づいて、空きチャネル、すなわち未使用の単位無線チャネルがあるか否かを判定する(S906)。その結果、未使用の単位無線チャネルが存在していないと判定した場合(S906,No)には、無線ICタグ読み取りシステム1、より詳しくはリーダ/ライタ制御装置10はステップS905に戻り、キャリアセンス結果テーブル400に未使用の単位無線チャネルが記憶されるのを待つ。一方、未使用の単位無線チャネルが存在していると判定した場合(S906,Yes)には、無線ICタグ読み取りシステム1、より詳しくはリーダ/ライタ制御装置10はその未使用の単位無線チャネルを使用して、送受信処理の続きを継続するようリーダ/ライタ20に指令する(S907)。
【0075】
この後、無線ICタグ読み取りシステム1はステップS901に戻り、指定された未使用のチャネルである単位無線チャネルを使用して送受信処理を継続する。
【0076】
上述の送受信処理により、本発明にかかる無線ICタグ読み取りシステム1は、連続送信時間の時間満了後も、送信停止時間、キャリアセンス時間、バックオフ時間の経過を待つことなく直ちに送受信処理を継続することができるようになる。
【0077】
図11は、本実施の形態にかかる低出力型パッシブタグシステムである無線ICタグ読み取りシステム1の送受信(読み取り)処理の例を示すフローチャートである。低出力型の無線ICタグ読み取りシステム1の送受信(読み取り)処理は、図10におけるステップS906の処理が変更される点を除いて、図10における高出力型の無線ICタグ読み取りシステム1の送受信(読み取り)処理と同一である。図11において図10と同一の処理は同一の参照符号を付してそれらの詳細な説明は省略する。
【0078】
さて、低出力型の無線ICタグ読み取りシステム1の送受信(読み取り)処理は、図11のステップS901からステップS905までは、図10におけるステップS901からステップS905までの各処理と同様である。
【0079】
ステップS905に続いて、無線ICタグ読み取りシステム1はキャリアセンス結果テーブル400の内容に基づいて、第2の単位無線チャネル群であるチャネル10からチャネル14に未使用の単位無線チャネルがあるか否かを判定する(S906A)。その結果、第2の単位無線チャネル群に未使用の単位無線チャネルが存在すると判定した場合(S906A、Yes)には、無線ICタグ読み取りシステム1、より詳しくはリーダ/ライタ制御装置10はその未使用の単位無線チャネルのいずれかを使用して、送受信処理の続きを継続するようリーダ/ライタ20に指令する(S907)。
【0080】
一方、ステップS906Aにおいて第2の単位無線チャネル群に未使用の単位無線チャネルが存在しないと判定した場合(S906A、No)には、無線ICタグ読み取りシステム1、より詳しくはリーダ/ライタ制御装置10はキャリアセンス結果テーブル400の内容に基づいて、第1の単位無線チャネル群であるチャネル1からチャネル9のいずれかに未使用の単位無線チャネルがあるか否かを判定する(S906B)。その結果、ステップS906Bにおいて第1の単位無線チャネル群にも未使用の単位無線チャネルが存在しないと判定した場合(S906B、No)には、無線ICタグ読み取りシステム1、より詳しくはリーダ/ライタ制御装置10はステップS905に戻り、キャリアセンス結果テーブル400に未使用の単位無線チャネルが記憶されるのを待つ。
【0081】
一方、第1の単位無線チャネル群に未使用の単位無線チャネルが存在すると判定した場合(S906B、Yes)には、無線ICタグ読み取りシステム1、より詳しくはリーダ/ライタ制御装置10はその未使用の単位無線チャネルのいずれかを使用して、送受信処理の続きを継続するようリーダ/ライタ20に指令する(S907)。
【0082】
この後、無線ICタグ読み取りシステム1はステップS901に戻り、指定された未使用のチャネルである単位無線チャネルを使用して送受信処理を継続する。
【0083】
この送受信制御方法によれば、高出力型のリーダ/ライタは使用しない第2のチャネル群を、第1のチャネル群に優先して、低出力型のリーダ/ライタの使用単位無線チャネルとして指示するため、第1のチャネル群を低出力型のリーダ/ライタによって占有して、高出力型のリーダ/ライタの読み取りを妨げてしまう可能性を低下させるとともに、高出力型のリーダ/ライタによって占有されない第2のチャネル群を低出力型のリーダ/ライタに優先的に使用させるため、低出力型のリーダ/ライタの読み取りが高出力型のリーダ/ライタによって妨げられる可能性をも低下させることができ、結果として無線ICタグ読み取りシステム全体の読み取り効率(単位時間あたりに読み取りすることができる無線ICタグの個数)の向上を図ることができる。
【0084】
[2.2.キャリアセンス処理]
次に、本実施の形態にかかるキャリアセンス処理について説明する。無線ICタグ読み取りシステム1は、単位無線チャネルにおけるキャリアセンスを継続的且つ循環的に実行する方法を採用する。
【0085】
図12は、実施の形態にかかる無線ICタグ読み取りシステム1が行うキャリアセンス処理の一例を示すフローチャートである。以下、図12を参照しながら、無線ICタグ読み取りシステム1が行うキャリアセンス処理について説明する。
【0086】
まず、無線ICタグ読み取りシステム1、より詳しくはリーダ/ライタ制御装置10のキャリアセンス制御部212は、直近に実行した送受信処理の終了後、送信停止時間に相当する所定時間(例えば、50m秒或いは100m秒)経過したか否かを判定する(S1001)。所定時間が経過したと判定した場合(S1001、Yes)、無線ICタグ読み取りシステム1、より詳しくはリーダ/ライタ制御装置10のキャリアセンス制御部212は、後述するステップS1005に進む。一方、所定時間が経過していないと判定した場合(S1001、No)、無線ICタグ読み取りシステム1、より詳しくはリーダ/ライタ制御装置10のキャリアセンス制御部212は、キャリアセンスの対象となっている単位無線チャネルは、直近に実行した送受信処理において使用された単位無線チャネルか否かを判定する(S1002)。キャリアセンスの対象とする単位無線チャネルが、直近に実行した送受信処理において使用された単位無線チャネルではないと判定した場合(S1002、No)、無線ICタグ読み取りシステム1、より詳しくはキャリアセンス制御部212は、後述するステップS1005に進む。
【0087】
一方、これからキャリアセンスを行う単位無線チャネルが、直近に実行した送受信処理において使用された単位無線チャネルであると判定した場合(S1002、Yes)、無線ICタグ読み取りシステム1、より詳しくはリーダ/ライタ制御装置10のキャリアセンス制御部212は、その単位無線チャネルについて「使用中」又は「使用不可」を示すフラグを立てる(S1003)。より具体的には、キャリアセンス制御部212は、キャリアセンス結果記憶部213に記憶されているキャリアセンス結果テーブル400の当該単位無線チャネルに対応するレコード401において、フラグ記憶フィールド402に「使用中」或いは「使用不可」を示す情報(フラグ)を書き込む。
【0088】
次に、キャリアセンス制御部212は、次順位の単位無線チャネルにおいてキャリアセンスを実行するべく、リーダ/ライタ20にキャリアセンスを行う対象の単位無線チャネルを次順位の単位無線チャネルに変更させる(S1004)。ここで、「次順位の単位無線チャネル」とは、各単位無線チャネルについて予め定められたキャリアセンス実行の順番において、次の順番に定められている単位無線チャネルのことをいう。例えば、チャネル1からチャネル9まで、数字が大きくなる順番にキャリアセンス実行の順番が定められているとすると、チャネル1の次順位の単位無線チャネルはチャネル2となり、チャネル2の次順位の単位無線チャネルはチャネル3となり、以下同様に定められることとなる。なお、各単位無線チャネルについて予め定められたキャリアセンス実行の順番に従って次の単位無線チャネルを決定する方式に本発明が制限されるものではない。各単位無線チャネルについて平均的にキャリアセンス実行が行われることが可能な方法であれば、そのような方法によって次に行うキャリアセンスの対象となる単位無線チャネルを決定しても本発明は成立する。例えば、出現確率が均等である乱数の使用によって、次の単位無線チャネルを決定するようにしてももちろん構わない。
ステップS1004による単位無線チャネルの通知を受けたリーダ/ライタ20は、再びステップS1001に戻り、ステップS1001の判定を行う。
【0089】
さて、前述のステップS1001において所定時間が経過していないと判定した場合(S1001、No)、或いは前述のステップS1002において、直近の送受信処理において使用された単位無線チャネルではないと判定した場合(S1002、No)、無線ICタグ読み取りシステム1、より詳しくはリーダ/ライタ制御装置10のキャリアセンス制御部212は、その単位無線チャネルにおいて干渉電力が所定レベル以下か否かを判定する(S1005)。より具体的には、リーダ/ライタ制御装置10のキャリアセンス制御部212は、リーダ/ライタ20にキャリアセンスを行う単位無線チャネルを指令し、この指令を受けたリーダ/ライタ20の主制御部506は、指定された単位無線チャネルに応じた周波数の基準波を生成するよう、第二周波数可変発振部505に命令する。第二周波数可変発振部505は命令に応じて、指定された単位無線チャネルに応じた周波数の基準波を生成して、キャリアセンス実行部504に出力する。キャリアセンス実行部504は、この基準波を用いて、指定された単位無線チャネルにおける干渉電力に応じたRSSIを生成し、主制御部506に返す。主制御部506はこのRSSIをリーダ/ライタ制御装置10,より詳しくはキャリアセンス制御部212に渡し、キャリアセンス制御部212はこのRSSIに基づいて、その単位無線チャネルにおいて干渉電力が所定レベル以下か否かを判定するのである。
【0090】
ステップS1005において干渉電力が所定レベルを超えると判定した場合(S1005、No)、無線ICタグ読み取りシステム1、より詳しくはキャリアセンス制御部212は、その単位無線チャネルについて「使用中」或いは「使用不可」を示すフラグを立てる(S1003)。より具体的には、キャリアセンス制御部212は、キャリアセンス結果記憶部213に記憶されているキャリアセンス結果テーブル400の当該単位無線チャネルに対応するレコード401において、フラグ記憶フィールド401に「使用中」或いは「使用不可」を示す情報(フラグ)を書き込む。
【0091】
次に、キャリアセンス制御部212は、次順位の単位無線チャネルにおいてキャリアセンスを実行するべく、リーダ/ライタ20に次順位の単位無線チャネルを通知する(S1004)。この単位無線チャネルの通知を受けたリーダ/ライタ20は、再びステップS1001を実行し、直近の送受信処理終了後所定時間が経過したか否かを判定する(S1001)。
【0092】
一方、ステップS1005において干渉電力が所定レベル以下と判定した場合(S1005,Yes)、無線ICタグ読み取りシステム1、より詳しくはリーダ/ライタ制御装置10のキャリアセンス制御部212は、そのキャリアセンス実行開始からキャリアセンス時間(例えば、5m秒或いは10m秒)経過したか否かを判定する(S1006)。キャリアセンス時間経過していないと判定した場合(S1006,No)、無線ICタグ読み取りシステム1、より詳しくはリーダ/ライタ制御装置10のキャリアセンス制御部212はステップS1005に戻り、当該単位無線チャネルにおける干渉電力が所定レベル以下であるかを再度判定する(S1005)。一方、S1006においてキャリアセンス時間経過したと判定した場合(S1006,Yes)、無線ICタグ読み取りシステム1、より詳しくはキャリアセンス制御部212はその単位無線チャネルについて「未使用」或いは「使用可」を示すフラグを立てる(S1007)。より具体的には、リーダ/ライタ制御装置10のキャリアセンス制御部212は、キャリアセンス結果記憶部213に記憶されているキャリアセンス結果テーブル400の当該単位無線チャネルに対応するレコード401において、フラグ記憶フィールド402に「未使用」或いは「使用可」を示す情報(フラグ)を書き込む。
この後、無線ICタグ読み取りシステム1、より詳しくはキャリアセンス制御部212は、前述したステップS1004に進み、次の無線単位チャネルに移行する。
【0093】
このようなキャリアセンス処理によれば、各単位無線チャネルについて常に継続的に各単位無線チャネルの使用の有無をモニタでき、その結果直ちに使用可能な未使用(空き)チャネルを把握することが可能となる。このキャリアセンスの結果は、キャリアセンス結果記憶部213に記憶されることとなり、キャリアセンス制御部212はキャリアセンス結果記憶部213の記憶内容を参照することにより、リーダ/ライタ20が、送信停止時間、キャリアセンス時間、バックオフ時間により送受信を停止することなく、送受信の開始若しくは継続を直ちに行うことのできる単位無線チャネルを指示することが可能となる。
【0094】
[2.3.無線ICタグ読み取りシステムの動作の具体例]
最後に、無線ICタグ読み取りシステム1の動作の具体例について説明する。図13は、無線ICタグ読み取りシステム1の動作の具体例を示すタイミングチャートである。なお、図13に示す例では、説明の簡便化のため割り当てられた単位無線チャネルの数をチャネル1からチャネル3までの3つとし、チャネル1は高出力型及び低出力型双方が使用可能な第1のチャネル群に属するものとし、一方チャネル2及び3は低出力型のみが使用可能な第2のチャネル群に属するものとする。
【0095】
図13に示す例では、低出力型無線ICタグ読み取りシステム1は時刻t1において、単位無線チャネル1を使用して送受信処理1101を開始する。これと並行して、無線ICタグ読み取りシステム1はチャネル2及び3においてキャリアセンス処理1102を行う。単位無線チャネル2及び3におけるキャリアセンス処理1102は、まずチャネル2においてキャリアセンス処理を行い、次にチャネル3においてキャリアセンス処理を行い、その後再びチャネル2においてキャリアセンス処理を行い、以下チャネル2、3を交互にキャリアセンスするというように、継続的且つ循環的に各単位無線チャネルにおいてキャリアセンス処理を行う。なおチャネル1については、自システムによって送受信を行っているため、キャリアセンス処理は行わない。
【0096】
さて、時刻t2において、他の無線局が単位無線チャネル2を使用して送信1103を開始したものとする。本システム1は、チャネル2において継続して行っているキャリアセンス処理1102により、チャネル2が使用中になったことを検出し、キャリアセンス結果テーブル400のチャネル2のレコード401に「使用中」を示すフラグを立てる。また、チャネル3については、チャネル2のレコード401に「未使用」を示すフラグが記録される。
【0097】
次に、時刻t3が到来すると、本無線ICタグ読み取りシステム1はチャネル1において連続送信可能時間が満了したものとする。時刻t3においては、チャネル2における他の無線局の送信が継続している(他システム送信1103参照)が、チャネル3については未使用の状態が継続している。
【0098】
時刻t3経過直後において、キャリアセンス結果テーブル400のチャネル2のレコード401には「使用中」を示すフラグが立っている一方、チャネル3のレコード401には「未使用」を示すフラグが立っている。チャネル1のレコード401には、連続送信可能時間が満了後送信停止時間に相当する時間が経過していないため、「使用中」或いは「使用不可」を示すフラグが記録される。無線ICタグ読み取りシステム1は、時刻t3直後におけるキャリアセンス結果テーブル400を参照して、チャネル3が使用できると判定し、単位無線チャネル1における送信終了後、チャネル3を使用して送受信処理1106を継続開始する(自システム送信1106参照)。
【0099】
図13では、チャネル1において、時刻t3の後に従来の無線ICタグ読み取りシステムであれば行われるであろう送信停止時間1104、キャリアセンス時間1105の領域を表示した。従来のシステムではこれら送信停止時間1104、キャリアセンス時間1105の終了時まで、送受信の再開を待たなければならないが、本システム1では時刻t3から直ちに送受信の再開をすることができるのである(自システム送信1106参照)。なお、チャネル1においては送信停止時間1104に相当する時間経過後、継続的で循環的なキャリアセンス処理1102の実行が行われるようになる。チャネル2においては継続的で循環的なキャリアセンス処理1102の実行が引き続き行われている。チャネル3においては自システムによる送受信処理が開始されたので、継続的で循環的なキャリアセンス処理1102の実行は行わない。
【0100】
次に、時刻t4が到来すると、チャネル2における他のシステムによる送信1103が終了する。時刻t4到来直後におけるキャリアセンス結果テーブル400のチャネル1のレコードには、送信停止時間1104に相当する時間が終了しているため、「未使用」のフラグに書き換えられている。またチャネル2における他の無線局の送信1103は終了しているため、チャネル2に対応するレコード401には、「未使用」のフラグが立つ。
【0101】
次に、時刻t5が到来すると、本無線ICタグ読み取りシステム1はチャネル3における連続送信可能時間が満了し、送受信を停止しなければならないものとする(自システム送信1106参照)。時刻t5においては、チャネル1及びチャネル2は本システム1も他の無線局も使用していないので、キャリアセンス結果テーブル400のチャネル1及びチャネル2に対応するそれぞれのレコード401には、「未使用」のフラグが立っている。無線ICタグ読み取りシステム1は、時刻t5後におけるこのようなキャリアセンス結果テーブル400を参照して、チャネル1又は2が使用できると判定する。ここでは、単位無線チャネル2は、優先的に選択される第2のチャネル群に属しており、一方チャネル1は、第2のチャネル群に優先順位において劣後する第1のチャネル群に属するため、無線ICタグ読み取りシステム1は、優先する第2のチャネル群に属するチャネル2を使用して送受信を継続開始する(自システム送信1107参照)。
【0102】
図13において、従来のシステムでは設定されるであろうチャネル3の送信停止時間1108、キャリアセンス時間1109の領域を表示した。従来のシステムではこれら送信停止時間1108、キャリアセンス時間1109の領域の終了時まで、送受信の再開を待たなければならないが、本システム1では時刻t5から直ちに送受信の再開をすることができるのである(自システム送信1107参照)。なおチャネル2においては自システム1による送受信処理が開始されたので、継続的で循環的なキャリアセンス処理1102の実行は中止されている。なお、時刻t5到来後、チャネル1においては継続的で循環的なキャリアセンス処理1102の実行が引き続き行われる。チャネル3においては送信停止時間1108に相当する時間経過後、継続的で循環的なキャリアセンス処理1102の実行が行われるようになる。
【0103】
このように、本システム1によれば、送信停止時間、キャリアセンス時間、バックオフ時間による送受信処理の停止期間を発生させることなく、無線ICタグの読み取り処理を実行できるため、単位時間あたりの無線ICタグの読み取り効率を向上させることが可能となる。
【0104】
[3.実施例]
以下、本発明の実施例として、より具体的にリーダ/ライタ制御装置10、リーダ/ライタ20について説明する。
【0105】
この実施例は、基本的なシステム構成は実施の形態の欄において説明したところと変わる点はないので、無線ICタグ読み取りシステム1の構成、及びその構成要素である、リーダ/ライタ20,無線ICタグ40の説明については省略する。
【0106】
リーダ/ライタ20は、そのリーダ/ライタ20が使用する各単位無線チャネルについて一定時間内(以下、キャリアセンス期間)に一回ずつキャリアセンスを行うと共に、このキャリアセンス期間を繰り返し実行するように動作する。なおこの実施例では、いわゆる低出力型無線ICタグ読み取りシステムであるものとして説明するが、高出力型無線ICタグ読み取りシステムであっても本実施例は実現可能である。
【0107】
図14に、本実施例にかかるリーダ/ライタ制御装置10の構成例を示すブロック図を掲げる。リーダ/ライタ制御装置10は、前掲の[実施の形態]の項で説明したとおり、送受信制御部211、キャリアセンス制御部212、及びキャリアセンス結果記憶部213を有している。本実施例において、キャリアセンス制御部212は、各リーダ/ライタ20について一つのカウンタ群1400を有し、それぞれのカウンタ群1400は、チャネル遷移用カウンタ1401と、各チャネルに対応した使用可否判定用カウンタ1402、1402、…、140214(枝番号はチャネルを区別するために付している。それぞれの使用可否判定用カウンタを区別せずに呼ぶ場合には参照符号1402とする)を有している。
【0108】
チャネル遷移用カウンタ1401は、キャリアセンスの判定対象となる単位無線チャネルを順次切り替えるためのカウンタである。使用可否判定用カウンタ1402は、それぞれ対応するチャネルの使用可否を判定するためのカウンタである。
【0109】
ここでいう「カウンタ」は、計数機能を有するものであればどのようなものでもよく、例えば、格納した値を増減できるプログラム上の変数でもよいし、機械的なカウンタであってもよい。
【0110】
図15は、本実施例におけるリーダ/ライタ20が行うキャリアセンスの例を示す図である。図15(A)は、キャリアセンス期間1500が連続して行われている様子を示している。図示のように、あるキャリアセンス期間1500が終了すると、直ちに新しいキャリアセンス期間1500が開始される。
【0111】
この例では、キャリアセンス期間1500は1m秒であり、10回の連続したキャリアセンス期間1500が終了すると、規格で定められた10m秒のキャリアセンス時間となる。すなわち、10回の連続したキャリアセンス期間1500のいずれにおいても、キャリアセンスの結果がキャリアセンス閾値(例えば、ー64dBm)以下である場合、キャリアセンス制御部212は、その単位無線チャネルについて使用可能と判定する。それ以外の場合、すなわち10回の連続したキャリアセンス期間1500のいずれか一以上においてキャリアセンスの結果がキャリアセンス閾値(例えば、ー64dBm)を超える場合、キャリアセンス制御部212は、その単位無線チャネルを使用不可(他が使用中)と判定する。
【0112】
図15(B)は、各キャリアセンス期間1500におけるキャリアセンスの実行態様の一例を示す。各キャリアセンス期間1501において、リーダ/ライタ20はチャネル1からチャネル14までの14の単位無線チャネルのキャリアセンス1501を順に実行し、各単位無線チャネルについて行ったキャリアセンス1501の結果をRSSIとしてリーダ/ライタ制御装置10に送信若しくは出力する。
【0113】
このリーダ/ライタ20は、キャリアセンス1501における単位無線チャネルの切り替え(遷移、変更)を自動的・自律的に行い、リーダ/ライタ制御装置10からの単位無線チャネルの指示を必要とはしない。すなわち、リーダ/ライタ20は、全単位無線チャネルのそれぞれについて、キャリアセンス1501の結果であるRSSIを連続的且つ継続的にリーダ/ライタ制御装置10に出力する。なお、リーダ/ライタ制御装置10からのリクエスト、コマンドなどに応じてリーダ/ライタ20がキャリアセンスの開始/停止/待機/終了を行うようにしてもよいし、リーダ/ライタ20は、その電源投入後は電源を切らない限り、キャリアセンス1501を常時継続的且つ連続的に行う構成としてもよい。
【0114】
図16は、本実施例におけるリーダ/ライタ制御装置10のキャリアセンス制御部212が実行するメイン処理の一例を示すフローチャートである。
メイン処理において、キャリアセンス制御部212はまず、送信終了時カウンタ初期化処理(S1601)を行う。
【0115】
この送信終了時カウンタ初期化処理は、リーダ/ライタ20がある単位無線チャネルを使用して無線ICタグ40との送受信を行った後、その送受信を終了したときに、その単位無線チャネルに対応する使用可否判定用カウンタ1402をリセットして所定の初期値(第1の初期値という)をセットする処理である。
【0116】
この処理で使用する第1の初期値は以下のように定まる値である。第1の初期値をN、キャリアセンス期間をL、送受信停止時間をMとするとN=M/Lとなる。例えば、950MHz帯低出力型無線ICタグ読み取りシステムでは、キャリアセンス期間L=1m秒、送受信停止時間M=100m秒であるからN=100となる。また、950MHz帯高出力型無線ICタグ読み取りシステムでは、キャリアセンス時間L=1m秒、送受信停止時間M=50m秒であるからN=50となる。
【0117】
図17は、送信終了時カウンタ初期化処理(S1601)の一例を示すフローチャートである。送信終了時カウンタ初期化処理(S1601)において、まずキャリアセンス制御部212は、いずれかの単位無線チャネルにおいて自システムの送信が終了したか否かを判定する(S1701)。すなわち、無線ICタグ40との送受信を終了させるときに、リーダ/ライタ制御部10の送受信制御部211は送信終了命令をリーダ/ライタ20に送信すると共に、キャリアセンス制御部212にも送信終了メッセージ(コマンド、指令などでもよい)を渡す。
【0118】
上記S1701の判定において、キャリアセンス制御部212が自システムの送信が終了したのではないこと、すなわち送信終了メッセージを受信していないと判定した場合(S1701、No)、キャリアセンス制御部212は送信終了時カウンタ初期化処理(S1601)をそのまま終了し、メイン処理に制御を戻す。
【0119】
一方、キャリアセンス制御部212が自システムの送信が終了したと判定した場合(S1701、Yes)、すなわち送信終了メッセージを受信していると判定した場合、キャリアセンス制御部212は送信を終了した単位無線チャネルに対応する使用可否判定用カウンタ1402の値を前述の第1の初期値Nにセットする(S1702)。S1702の後、キャリアセンス制御部212は送信終了時カウンタ初期化処理を終了し、メイン処理に制御を戻す。
【0120】
図16に戻り、メイン処理の説明を続ける。送信終了時カウンタ初期化処理(S1601)を終了すると、リーダ/ライタ制御装置10は、使用可否判定用カウンタ処理(S1602)を実行する。この使用可否判定用カウンタ処理(S1402)は、単位無線チャネルごとのキャリアセンス1501の結果に応じて、対応する使用可否判定用カウンタ1402の値を可変させる処理である。使用可否判定用カウンタ1402は、先に述べたように、値を増減可能に記憶する機能を有し、例えば、メモリ上の所定の記憶領域(変数)である。使用可否判定用カウンタ1402は各単位チャネルに対応して設けられている。例えば、チャネル1からチャネル14までの14の単位無線チャネルを使用する低出力型無線ICタグ読み取りシステムにおいては、リーダ/ライタ制御装置10は一つのリーダ/ライタ20につき14の使用可否判定用カウンタ1402〜140214を設けている。
【0121】
図18に使用可否判定用カウンタ処理(S1602)の一例のフローチャートを示す。以下、図18を参照しながら使用可否判定用カウンタ処理の具体例について説明する。
【0122】
使用可否判定用カウンタ処理を開始すると、キャリアセンス制御部212は、まずチャネル遷移用カウンタ1401をリセットし、カウンタ値を「0」にセットする(S1801)。チャネル遷移用カウンタ1401は、キャリアセンスの結果を判定する単位無線チャネルを順次変更するためのカウンタである。
【0123】
次に、キャリアセンス制御部212はチャネル遷移用カウンタ1401の値を読み取り、キャリアセンスの結果を判定する単位無線チャネルを決定する(S1802)。
【0124】
次に、キャリアセンス制御部212は、S1802において決定した単位無線チャネルに対応する最新のRSSIを読み取る(S1803)。なお、リーダ/ライタ20は単位無線チャネルのそれぞれについてキャリアセンスの結果であるRSSIを継続的に出力してリーダ/ライタ制御装置10に送信している。各RSSIにはどの単位無線チャネルのものであるか識別可能なように、単位無線チャネルを示す情報(例えばチャネルナンバー)が付されている。リーダ/ライタ制御装置10は、受信したRSSIを単位無線チャネル区別可能に記憶しておき、ステップS1803実行時に、記憶されているRSSIのうち、対応する単位無線チャネルのものを参照する。
【0125】
次に、キャリアセンス制御部212は、ステップS1803において読み取ったRSSIが所定の閾値(例えば、キャリアセンスレベル;ー64dBm)以下か否かを判定する(S1804)。RSSIが閾値を超えている場合(S1804,No)は、キャリアセンス制御部212は、その単位無線チャネルについて「使用不可」フラグを立てる(S1805)。すなわち、キャリアセンス制御部212は、キャリアセンス結果記憶部213が記憶するキャリアセンス結果テーブル400の対応するレコード401,フラグ記憶フィールド402に「使用不可」フラグを示すデータを書き込む。
【0126】
ステップS1805の実行後、キャリアセンス制御部212は、対応する使用可否判定用カウンタ1402の値を所定の値(第2の初期値)にセットする(S1806)。この第2の初期値は以下のように定める。第2の初期値をO、キャリアセンス期間をL、キャリアセンス時間をQとするとO=Q/Lとなる。例えば、950MHz帯低出力型無線ICタグ読み取りシステムでは、キャリアセンス期間L=1m秒、キャリアセンス時間Q=10m秒であるからO=10となる。
【0127】
次に、キャリアセンス制御部212は、チャネル遷移用カウンタのカウント値が最大値か否かを判定する(S1807)。カウンタ値が最大値になっている状態は全単位無線チャネルのそれぞれについてRSSIの判定が終了したことを示すので、キャリアセンス制御部212は使用可否判定用カウンタ処理を終了し、制御をメイン処理(図16参照)に戻す。
【0128】
一方、ステップS1804のRSSIの判定において、RSSIが閾値以下であると判定した場合(S1804,Yes)、キャリアセンス制御部212は、チャネル遷移用カウンタ1401の値が示す単位無線チャネルに対応する使用可否判定用カウンタ1402の値をデクリメント(1だけ減算)する(S1809)。
【0129】
ステップS1809に続いて、キャリアセンス制御部212はその使用可否判定用カウンタ1402の値が「0」になったか否かを判定する(S1810)。使用可否判定用カウンタ1402の値が「0」になっているということは、連続した第2の初期値に相当する回数(この例では、5回)のキャリアセンス期間1501のすべてにおいて、その単位無線チャネルの干渉電波強度が閾値以下であったこと、すなわちこの単位無線チャネルは空きチャネルであって使用可能であることを示している。
【0130】
S1810の判定において、使用可否判定用カウンタ1402の値が「0」であると判定した場合(S1810,Yes)、キャリアセンス制御部212は、その単位無線チャネルについて「使用可」フラグを立てる(S1811)。すなわち、キャリアセンス制御部212は、キャリアセンス結果記憶部213が記憶するキャリアセンス結果テーブル400の対応するレコード401のフラグ記憶フィールド402に「使用可」フラグを示すデータを書き込む。
【0131】
ステップS1811の後、キャリアセンス制御部212は前述した第2の初期値をこの使用可否判定用カウンタ1402にセットする(S1806)。
【0132】
次に、キャリアセンス制御部212は前述したステップS1807のチャネル遷移用カウンタ1401のカウント値判定に移行する。なお、ステップS1807以降の処理については前述したところと同様であるのでここでは省略する。
【0133】
一方、ステップS1810の判定において使用可否判定用カウンタ1402の値が「0」ではないとキャリアセンス制御部212が判定した場合(S1810、No)は、直ちにステップS1807に移行する。この場合ステップS1811、S1606は実行しないため、使用可否判定用カウンタ1402の値が1減算されるだけで、キャリアセンス結果記憶部213が記憶するキャリアセンス結果テーブル400の対応するレコード401のフラグ記憶フィールド402に変化はない。
以上で、使用可否判定用カウンタ処理の説明を終了する。
【0134】
図16に戻り、メイン処理の説明を続ける。使用可否判定用カウンタ処理(S1602)を終了すると、キャリアセンス制御部212は再び送信終了時カウンタ初期化処理(S1601)に戻り、以降送信終了時カウンタ初期化処理(S1601)、使用可否判定用カウンタ処理(S1602)を繰り返して実行する。このメイン処理により、送信停止時間が経過するまではその単位無線チャネルについて使用不可のフラグが立てるように使用可否判定用カウンタ1402の値を制御すると共に、キャリアセンス期間1501における各単位無線チャネルのキャリアセンス結果を使用可否判定用カウンタ1402の値に反映させる。
以上でメイン処理の説明を終了する。
【0135】
次に、使用可否判定用カウンタ1402の値の変化について説明する。
図19から図22は、ある単位無線チャネルに対応する使用可否判定用カウンタ1402の値の変化の例を示すタイミングチャートである。
【0136】
[使用可フラグが立つ場合]
図19は、10回の連続したキャリアセンス期間1501〜150110においてその単位無線チャネルのキャリアセンスの結果がすべて閾値以下であった場合、すなわちその単位無線チャネルが空きチャネルとなっている場合の使用可否判定用カウンタ1402の値の変化の例を示す。図19(A)は、ある単位無線チャネルのキャリアセンス1501〜150111の実行を示すタイミングチャートである。この例では、1m秒間隔である時刻t0から時刻t10において、その単位無線チャネルについてのキャリアセンス1501〜150111が実行されている。なお、図19では他の単位無線チャネルについてのキャリアセンス1501の図示を省略しているが、実際には他の単位無線チャネルについてもキャリアセンス1501が行われている。
【0137】
図19(B)は、図19(A)に示した単位無線チャネルに対応する使用可否判定用カウンタ1402の値の変化を示すチャートである。時刻t0前において、この単位無線チャネルについてはカウンタの値が「0」になっていたものとする。
【0138】
時刻t0において、この使用可否判定用カウンタ1402の値は第2の初期値にセットされる(図18,S1806参照)。従って、図19(B)の時刻t0直後において、使用可否判定用カウンタ1402の値は第2の初期値(=10)となる。
【0139】
その後、キャリアセンス制御部212は、1回目のキャリアセンス1501の結果を受け取る。この図示の例では、このキャリアセンス1501の結果は閾値以下であるので、キャリアセンス制御部212は使用可否判定用カウンタ1402の値をデクリメントし、その値を10−1=9とする(図18,S1809参照)。キャリアセンス制御部212は、使用可否判定用カウンタ1402の値が「0」となったか否かを判定(図18,S1810参照)した結果、使用可否判定用カウンタ1402の値は「0」でないとして使用可否判定用カウンタの値を第2の初期値とはしない。
【0140】
次に、時刻t1において2回目のキャリアセンス期間1500が開始し、この単位無線チャネルの2回目のキャリアセンス1501が行われる。キャリアセンス制御部212は、2回目のキャリアセンス1501の結果をリーダ/ライタ20から受け取る。この図示の例では、このキャリアセンス1501の結果は閾値以下であるので、キャリアセンス制御部212は使用可否判定用カウンタ1402の値をデクリメントし、その値を9−1=8とする。
【0141】
同様に時刻t2,〜t8,t9において、3回目〜9回目、10回目のキャリアセンス期間1500がそれぞれ開始される(4回目から8回目までのキャリアセンスについては図示省略)。この3回目〜9回目、10回目のキャリアセンス期間1500において、リーダ/ライタ20はこの単位無線チャネルの3回目〜9回目、10回目のキャリアセンス1501〜1501、150110を行い、これらキャリアセンス1501〜1501、150110の結果をリーダ/ライタ制御装置10に出力する。
【0142】
リーダ/ライタ制御装置10のキャリアセンス制御部212は、3回目〜9回目、10回目のキャリアセンス1501〜1501、150110の結果をリーダ/ライタ20から受け取る。この図示の例では、いずれの回のキャリアセンス1501〜1501、150110の結果も閾値以下であるので、キャリアセンス制御部212は使用可否判定用カウンタ1402の値をキャリアセンス1501〜1501、150110ごとにデクリメントする。時刻t9の後10回目のキャリアセンス150110の結果に応じたデクリメントが行われると、使用可否判定用カウンタ1402の値は「0」となる。キャリアセンス制御部212は、1501〜1501、150110ごとにデクリメントを行った後使用可否判定用カウンタ1402の値が「0」となったか否かを判定する(図18,S1810参照)。この場合、使用可否判定用カウンタ1402の値は「0」であるので、判定の結果、キャリアセンス制御部212はキャリアセンス結果テーブル400に「使用可」を示すフラグを書き込むように動作する(図18、S1811参照)。
【0143】
[使用不可フラグが立つ場合]
次に、使用不可フラグが立つ場合の使用可否判定用カウンタ1402の値の動きを説明する。図20は、10回の連続したキャリアセンス期間1500におけるある単位無線チャネルについてのキャリアセンス150121〜150130の結果、3回目のキャリアセンス150123の結果が閾値を上回り、その他のキャリアセンス150121、150122、150123〜150129、150130については閾値以下であった場合の例を示す。
【0144】
図20(A)は、図19(A)と同様に、ある単位無線チャネルのキャリアセンス1501の実行を示すタイミングチャートである。この例では、間隔が1m秒である時刻t20から時刻t30において、その単位無線チャネルについてのキャリアセンス150120〜150131が実行されている。なお、実際には他の単位無線チャネルについてもキャリアセンス1501が行われているのであるが、図20では他の単位無線チャネルについてのキャリアセンス1501の実行の図示を省略している。
【0145】
図20(B)は、図20(A)に示した単位無線チャネルに対応する使用可否判定用カウンタ1402の値の変化を示すチャートである。時刻t0前において、この単位無線チャネルについてはデクリメント(図18,S1809参照)により「0」になっていたものとする。
【0146】
時刻t20において、この使用可否判定用カウンタ1402の値は第2の初期値にセットされる(図18,S1806参照)。従って、図20(B)では使用可否判定用カウンタ1402の値は第2の初期値(=10)となる。その後、キャリアセンス制御部212は、1回目のキャリアセンス150121の結果を受け取る。この図示の例では、この1回目のキャリアセンス150121の結果は閾値以下であるので、キャリアセンス制御部212は使用可否判定用カウンタ1402の値をデクリメントし(図18、S1809参照)、使用可否判定用カウンタ1402の値を10−1=9とする。続いて、キャリアセンス制御部212は、使用可否判定用カウンタ1402の値が「0」となったか否かを判定(図18,S1810参照)し、その結果使用可否判定用カウンタ1402の値は「0」でないと判定する。
【0147】
次に、時刻t21において2回目のキャリアセンス期間1500が開始する。この期間中に単位無線チャネルの2回目のキャリアセンス150121が行われる。キャリアセンス制御部212は、2回目のキャリアセンス150121の結果をリーダ/ライタ20から受け取る。この図示の例では、このキャリアセンス150121の結果は閾値以下であるので、キャリアセンス制御部212は使用可否判定用カウンタ1402の値をデクリメントし使用可否判定用カウンタ1402の値を9−1=8とする。
【0148】
次に、時刻t22において3回目のキャリアセンス期間1500が開始する。この期間中に単位無線チャネルの3回目のキャリアセンス150122が行われる。キャリアセンス制御部212は、3回目のキャリアセンス150122の結果をリーダ/ライタ20から受け取る。この図示の例では、この3回目のキャリアセンス150122の結果は閾値を超えるので、キャリアセンス制御部212は、「使用不可」フラグをキャリアセンス結果テーブル400に書き込み(図18、S1805参照)、その後使用可否判定用カウンタの値をリセットして第2の初期値(この例では「10」)とする(図18、S1806参照)。
【0149】
その後、時刻t23(図略)〜t28,t29において、4回目〜9回目、10回目のキャリアセンス期間1500がそれぞれ開始される。この4回目〜9回目、10回目のキャリアセンス期間1500において、リーダ/ライタ20はこの単位無線チャネルの4回目〜9回目、10回目のキャリアセンス150123(図略)〜150129、150130を行い、これらキャリアセンス150123(図略)〜150129、150130の結果をリーダ/ライタ制御装置10に出力する。
【0150】
リーダ/ライタ制御装置10のキャリアセンス制御部212は、4回目〜9回目、10回目のキャリアセンス150123(図略)〜150129、150130の結果をリーダ/ライタ20から受け取る。この図示の例では、どの回のキャリアセンス150123(図略)〜150129、150130の結果も閾値以下であるので、キャリアセンス制御部212は使用可否判定用カウンタ1402の値をデクリメントする。すなわち、4回目のキャリアセンス150123の結果に応じて、使用可否判定用カウンタ1402の値は10−1=9となり、以下同様にキャリアセンスごとにデクリメントされ、9回目のキャリアセンス150128の結果に応じて、使用可否判定用カウンタ1402の値は4−1=3となる。結局、10回目のキャリアセンス150129の結果に応じたデクリメントが行われると、使用可否判定用カウンタ1402の値は「3」となる。
【0151】
さて、キャリアセンス制御部212は、デクリメントを行った後、使用可否判定用カウンタ1402の値が「0」となったか否かを判定する(図18,S1810参照)。この場合、使用可否判定用カウンタ1402の値は「3」であるので、使用可否判定用カウンタ1402の値を判定した結果、キャリアセンス制御部212はキャリアセンス結果テーブル400に「使用不可」を示すフラグを書き込むように動作する(図18、S1805参照)。
【0152】
このようにキャリアセンス制御部212が動作することにより、10回連続して行われるキャリアセンス期間1500、すなわちキャリアセンス時間中に行われるキャリアセンス1501のすべてにおいてキャリアセンスの結果が閾値以下である場合に限り、「使用可」を示すフラグが立ち、それ以外については「使用不可」のフラグが立つこととなる。
【0153】
[第1の初期値が使用可否判定用カウンタにセットされる場合]
次に、送信終了時カウンタ初期化処理(図16,S1601)の説明において述べた第1の初期値がセットされる場合の使用可否判定用カウンタの値の動きを説明する。図21は、時刻t0直前において送受信が終了した単位無線チャネルについての図であり、図21(A)は、その単位無線チャネルについて時刻t0から時刻t99までの100回の連続したキャリアセンス期間1500において、その単位無線チャネルのキャリアセンス1501の結果がすべて閾値以下であった場合の例を示す。
【0154】
図21(A)は、ある単位無線チャネルのキャリアセンスの実行を示すタイミングチャートである。この例では、間隔が1m秒である時刻t0から時刻t99において、その単位無線チャネルについてのキャリアセンス1501A1〜1501A100が実行されている。なお、実際には他の単位無線チャネルについてもキャリアセンス1501が行われているのであるが、図21(A)では他の単位無線チャネルについてのキャリアセンス1501の図示を省略している。
【0155】
さて、これらキャリアセンス1501A1〜1501A100の結果、すべてのキャリアセンスの結果が閾値以下であったものとする。
図21(B)は、図21(A)に示した単位無線チャネルに対応する使用可否判定用カウンタ1402の値の変化を示すチャートである。時刻t0前において、この単位無線チャネルに対応する使用可否判定カウンタ1402の値については送受信使用中のため、第2の初期値(=100)になっていたものとする。
【0156】
時刻t0において、キャリアセンス制御部212は送受信制御部211からこの単位無線チャネルでの送受信が終了したことを示す信号、コマンド、或いはメッセージなどを受け取る。キャリアセンス制御部212は、前述した送信終了時カウンタ初期化処理を実行し、この使用可否判定用カウンタの値を第1の初期値(この例では100)にセットする(図17,S1702参照)。
【0157】
その後、キャリアセンス制御部212は、1回目のキャリアセンス1501A1の結果を受け取る。この図示の例では、この1回目のキャリアセンス1501A1の結果は閾値以下であるので、キャリアセンス制御部212は使用可否判定用カウンタの値をデクリメントし(図18、S1809参照)、使用可否判定用カウンタ1402の値を100−1=99とする。続いて、キャリアセンス制御部212は、この使用可否判定用カウンタ1402の値が「0」となったか否かを判定(図18,S1810参照)し、その結果使用可否判定用カウンタ1402の値は「0」でないと判定する。
【0158】
次に、時刻t1において2回目のキャリアセンス期間1500が開始する。この期間中に単位無線チャネルの2回目のキャリアセンス1501A2が行われる。キャリアセンス制御部212は、2回目のキャリアセンス1501A2の結果をリーダ/ライタ20から受け取る。この図示の例では、このキャリアセンス1501A2の結果は閾値以下であるので、キャリアセンス制御部212は使用可否判定用カウンタ1402の値をデクリメントし使用可否判定用カウンタ1402の値を99−1=98とする。
【0159】
同様に時刻t2、…、t98、t99において、3回目〜100回目のキャリアセンス期間1500がそれぞれ開始される。これら3回目〜100回目のキャリアセンス期間1500において、リーダ/ライタ20はこの単位無線チャネルの3回目から100回目のキャリアセンス1501A3〜1501A100を行い、それらキャリアセンス1501A3〜1501A100の結果をリーダ/ライタ制御装置10に出力する。
【0160】
リーダ/ライタ制御装置10のキャリアセンス制御部212は、これらキャリアセンス1501A3〜1501A100の結果をリーダ/ライタ20から受け取る。この図示の例では、いずれの回のキャリアセンスの結果も閾値以下であるので、キャリアセンス制御部212は使用可否判定用カウンタ1402の値を順次デクリメントする。すなわち、3回目のキャリアセンス1501A3の結果に応じて、使用可否判定用カウンタ1402の値は98−1=97となり、以降同様にデクリメントが行われる。
【0161】
100回目のキャリアセンス1501A100の結果に応じて、使用可否判定用カウンタ1402の値は1−1=0となる。結局、100回目のキャリアセンス1501A100の結果に応じたデクリメントが行われると、使用可否判定用カウンタの値は「0」となる。
【0162】
キャリアセンス制御部212は、100回目のキャリアセンス1501A50の結果に応じたデクリメントを行った後、使用可否判定用カウンタの値が「0」となったか否かを判定する(図18,S1810参照)。この場合、使用可否判定用カウンタ1402の値は「0」であるので、使用可否判定用カウンタの値を判定した結果、キャリアセンス制御部212はキャリアセンス結果テーブル400に「使用可」を示すフラグを書き込む(図18、S1811参照)。
【0163】
このようにキャリアセンス制御部212が動作することにより、送信が終了した単位チャネルにおいては、100回連続して行われるキャリアセンス期間、すなわちキャリアセンス時間中に行われるキャリアセンス1501のすべてにおいてキャリアセンス1501の結果が閾値以下である場合に限り、「使用可」を示すフラグが立つこととなる。
【0164】
次に、送信終了時カウンタ初期化処理の説明において述べた第1の初期値がセットされた後、キャリアセンスの結果が閾値を越えた場合の使用可否判定用カウンタの値の動きを説明する。
【0165】
図22は、時刻t0直前において送受信が終了した単位無線チャネルについての図であり、図22(A)は、その単位無線チャネルについて時刻t0からt13までの連続したキャリアセンス期間1500においてその単位無線チャネルのキャリアセンス1501の結果が1回閾値を上回り、その他は閾値以下であった場合の例を示す。
【0166】
図22(A)は、図21(A)と同様に、ある単位無線チャネルのキャリアセンスの実行を示すタイミングチャートである。この例では、間隔が1m秒である時刻t0から時刻t13において、その単位無線チャネルについてのキャリアセンス1501B1〜1501B14が実行されている。なお、実際には他の単位無線チャネルについてもキャリアセンス1501が行われているのであるが、図22(A)では他の単位無線チャネルについてのキャリアセンス1501の実行の図示を省略している。
【0167】
さて、これらキャリアセンスの結果、キャリアセンス1501B3の結果が閾値を上回り、他のキャリアセンス1501B1、1501B2、1501B4(図略)〜1501B13は閾値以下であったものとする。
【0168】
図22(B)は、図22(A)に示した単位無線チャネルに対応する使用可否判定用カウンタの値の変化を示すチャートである。時刻t0前において、この単位無線チャネルについては送受信使用中につき第2の初期値(この例では「10」)になっていたものとする。
【0169】
時刻t0において、キャリアセンス制御部212は送受信制御部211からこの単位無線チャネルでの送受信が終了したことを示す信号、コマンド、メッセージを受け取る。キャリアセンス制御部212は、前述した送信終了時カウンタ初期化処理(図16,S1601)を実行し、この使用可否判定用カウンタの値を第1の初期値(この例では「100」)にセットする(図17,S1702参照)。その後、キャリアセンス制御部212は、1回目のキャリアセンス1501B1の結果を受け取る。この図示の例では、この1回目のキャリアセンス1501B1の結果は閾値以下であるので、キャリアセンス制御部212は使用可否判定用カウンタ1402の値をデクリメントし(図18、S1809参照)、使用可否判定用カウンタ1402の値を100−1=99とする。続いて、キャリアセンス制御部212は、使用可否判定用カウンタ1402の値が「0」となったか否かを判定(図18,S1810参照)し、その結果使用可否判定用カウンタ1402の値は「0」でないと判定する。
【0170】
次に、時刻t1において2回目のキャリアセンス期間1500が開始する。この期間中に単位無線チャネルの2回目のキャリアセンス1501B2が行われる。キャリアセンス制御部212は、2回目のキャリアセンス1501B2の結果をリーダ/ライタ20から受け取る。この図示の例では、このキャリアセンス1501B2の結果は閾値以下であるので、キャリアセンス制御部212は使用可否判定用カウンタ1402の値をデクリメントし使用可否判定用カウンタ1402の値を99−1=98とする。
【0171】
次に、時刻t2において3回目のキャリアセンス期間1500が開始する。この期間中に単位無線チャネルの3回目のキャリアセンス1501B3が行われる。キャリアセンス制御部212は、3回目のキャリアセンス1501B3の結果をリーダ/ライタ20から受け取る。この図示の例では、この3回目のキャリアセンス1501B3の結果は閾値を超えるので、キャリアセンス制御部212は、「使用不可」フラグをキャリアセンス結果テーブル400に書き込むと共に、使用可否判定用カウンタの値をリセットして第2の初期値(この例では「10」)とする(図18、S1806参照)。
【0172】
この後、時刻t3〜t11、t12において、4回目〜13回目のキャリアセンス期間1500がそれぞれ開始される。この4回目〜13回目のキャリアセンス期間1500において、リーダ/ライタ20はこの単位無線チャネルの4回目〜13回目のキャリアセンス1501B4(図略)〜1501B12、1501B13を行い、それらの結果をリーダ/ライタ制御装置10に出力する。
【0173】
リーダ/ライタ制御装置10のキャリアセンス制御部212は、4回目から13回目のキャリアセンス1501B4〜1501B12の結果をリーダ/ライタ20から受け取る。この図示の例では、どの回のキャリアセンス1501B4〜1501B12の結果も閾値以下であるので、キャリアセンス制御部212は使用可否判定用カウンタ1402の値をデクリメントする。すなわち、4回目のキャリアセンス1501B4の結果に応じて、使用可否判定用カウンタ1402の値は10−1=9となる。以下、各キャリアセンスの結果に応じてカウンタの値はデクリメントされ、12回目のキャリアセンス1501B12の結果、カウンタ値は1まで減じられる。その後、13回目のキャリアセンス1501B12の結果に応じて、使用可否判定用カウンタ1402の値は1−1=0となる。
【0174】
キャリアセンス制御部212は、デクリメントを行った後使用可否判定用カウンタ1402の値が「0」となったか否かを判定する(図18,S1810参照)。時刻t12移行において、使用可否判定用カウンタ1402の値は「0」であるので、使用可否判定用カウンタの値を判定した結果、キャリアセンス制御部212はキャリアセンス結果テーブル400に「使用可」を示すフラグを書き込む。(図18、S1811参照)。キャリアセンスすなわち、本発明によれば、送信停止時間経過前(時刻t0から100回のキャリアセンス期間が経過する前)であっても、一旦他の無線局等によってそのチャネルの使用が行われた場合は、通常のキャリアセンス時間内にて閾値を越える干渉電波を受信しない限り、使用可否判定用カウンタ1402の値が「0」となるため、この単位無線チャネルについて「使用可」を示すフラグが立つ。
【0175】
このようにキャリアセンス制御部212が動作することにより、送信終了後において送信停止時間経過前であっても、一旦他のリーダ/ライタ20がその単位無線チャネルを使用してその後開放した場合などにおいては、送信停止時間経過前であってもその単位無線チャネルについて「使用可」を示すフラグが立ち、自システムの送受信を直ちにその単位無線チャネルを使用して行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】無線ICタグ読み取りシステムの構成例を示すブロック図
【図2】リーダ/ライタ制御装置のハードウエア構成例を示すブロック図
【図3】リーダ/ライタ制御装置の機能ブロック図
【図4】(A)は高出力型のキャリアセンス結果テーブルの例を示す図、(B)は高出力型のキャリアセンス結果テーブルの例を示す図
【図5】高出力型、低出力型のチャネル配置を示す図
【図6】リーダ/ライタの構成例を示すブロック図
【図7】リーダ/ライタの送信部の回路構成例を示すブロック図
【図8】リーダ/ライタの受信部の回路構成例を示すブロック図
【図9】リーダ/ライタのキャリアセンス実行部の回路構成例を示すブロック図
【図10】高出力無線ICタグ読み取りシステムが実行する送受信処理の例を示すフローチャート
【図11】低出力型無線ICタグ読み取りシステムが実行する送受信処理の例を示すフローチャート
【図12】無線ICタグ読み取りシステムが実行するキャリアセンス処理の例を示すフローチャート
【図13】無線ICタグ読み取りシステムの動作例を示すタイミングチャート
【図14】リーダ/ライタ制御装置の構成例を示すブロック図
【図15】キャリアセンス期間が連続して行われている様子を示す図、(B)は、各キャリアセンス期間1500におけるキャリアセンスの実行態様の一例を示す図
【図16】キャリアセンス制御部が実行するメイン処理の例を示す図
【図17】キャリアセンス制御部が実行する送信終了時カウンタ初期化処理の例を示す図
【図18】キャリアセンス制御部が実行する使用可否判定用カウンタ処理の例を示す図
【図19】(A)は、ある単位無線チャネルについて行われるキャリアセンスの例を示す図、(B)は、(A)に対応する使用可否判定用カウンタの値の変化を示す図
【図20】(A)は、ある単位無線チャネルについて行われるキャリアセンスの例を示す図、(B)は、(A)に対応する使用可否判定用カウンタの値の変化を示す図
【図21】(A)は、ある単位無線チャネルについて行われるキャリアセンスの例を示す図、(B)は、(A)に対応する使用可否判定用カウンタの値の変化を示す図
【図22】(A)は、ある単位無線チャネルについて行われるキャリアセンスの例を示す図、(B)は、(A)に対応する使用可否判定用カウンタの値の変化を示す図
【符号の説明】
【0177】
1…無線ICタグ読み取りシステム
10…リーダ/ライタ制御装置
20…リーダ/ライタ
30…アンテナユニット
40…無線ICタグ
501…送信部
502…受信部
503…第一周波数可変発振部
504…キャリアセンス実行部
505…第二周波数可変発振部
506…主制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ICタグとの送受信に使用する単位無線チャネルにおける受信電波強度を示す情報を受け取り、これに基づいて複数の単位無線チャネルの使用可否を示す情報を記憶させるキャリアセンス制御手段と、
少なくとも一つの第1の単位無線チャネルを使用して送受信を行う第1の無線ICタグと、少なくとも一つの第2の単位無線チャネルを使用して送受信を行う第2の無線ICタグとを読み取り可能とし、前記単位無線チャネルの使用可否を示す情報に基づいて、前記第2の単位無線チャネルのいずれかが使用可能であるか否かを判定し、前記第2の単位無線チャネルのいずれもが使用不可である場合は、前記第1の単位無線チャネルのいずれかが使用可能であるか否かを判定し、これらの判定の結果に基づいて、無線ICタグとの送受信に使用する単位無線チャネルを指示する無線チャネル制御手段とを有する
ことを特微とする制御装置。
【請求項2】
前記無線チャネル制御手段は、前記第2の無線ICタグとの送受信に使用する単位無線チャネルを指示して送受信を開始した後、同一の単位無線チャネルを連続して使用することができる時間である連続送信可能時間が終了した場合、送受信に使用していた単位無線チャネルとは別の単位無線チャネルを指示する、ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つの第1の単位無線チャネルを使用可能な第1の無線ICタグ読み取り装置と、
前記少なくとも一つの第2の単位無線チャネルを使用可能な第2の無線ICタグ読み取り装置と
をさらに有し、
前記無線チャネル制御手段は、無線ICタグとの送受信に使用する単位無線チャネルを前記第2の無線ICタグ読み取り装置に指示し、
前記キャリアセンス制御手段は、前記第2の無線ICタグ読み取り装置が測定した各単位無線チャネルにおける受信強度を示す情報を受け取る
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記無線チャネル制御手段は、連続送信可能時間が終了した場合、送信停止時間を設けることなく、前記第2の無線ICタグとの送受信に別の単位無線チャネルを使用させる、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の制御装置。
【請求項5】
前記キャリアセンス制御手段は、前記第2の無線ICタグ読み取り装置に前記各単位無線チャネルのそれぞれをキャリアセンスさせるように、前記第2の無線ICタグ読み取り装置にキャリアセンスを行う単位無線チャネルを指示する、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
第1の無線ICタグ読み取り装置が使用可能な少なくとも一つの第1の単位無線チャネルと、前記第1の無線ICタグ読み取り装置は使用しない、少なくとも一つの第2の単位無線チャネルとを使用可能な第2の無線ICタグ読み取り装置を制御可能な制御装置であって、
無線ICタグとの送受信に使用する単位無線チャネルを前記第2の無線ICタグ読み取り装置に指示する無線チャネル制御手段と、
前記第2の無線ICタグ読み取り装置が測定した各単位無線チャネルにおける受信電波強度を示す情報を受け取り、これに基づいて各単位無線チャネルの使用可否を示す情報を記憶させるキャリアセンス制御手段と
を有し、
前記無線チャネル制御手段は、前記各単位無線チャネルの使用可否を示す情報に基づいて、前記第2の単位無線チャネルのいずれかが使用可能であるか否かを判定し、前記第2の単位無線チャネルのいずれもが使用不可である場合は、前記第1の単位無線チャネルのいずれかが使用可能であるか否かを判定し、これらの判定の結果に基づいて、前記第2の無線ICタグ読み取り装置が送受信に使用する単位無線チャネルを指示する
ことを特徴とする制御装置。
【請求項7】
前記無線チャネル制御手段は、前記第2の無線ICタグとの送受信に使用する単位無線チャネルを指示して送受信を開始した後、同一の単位無線チャネルを連続して使用することができる時間である連続送信可能時間が終了した場合、送受信に使用していた単位無線チャネルとは別の単位無線チャネルを指示する、ことを特徴とする請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記無線チャネル制御手段は、連続送信可能時間が終了した場合、送信停止時間を設けることなく、前記第2の無線ICタグ読み取り装置に別の単位無線チャネルを使用して送受信を行わせることを特徴とする請求項6又は7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記キャリアセンス制御手段は、前記第2の無線ICタグ読み取り装置に前記複数の単位無線チャネルのそれぞれをキャリアセンスさせるように、前記第2の無線ICタグ読み取り装置にキャリアセンスを行う単位無線チャネルを指示する、ことを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の制御装置。
【請求項10】
第1の無線ICタグ読み取り装置が使用可能な少なくとも一つの第1の単位無線チャネルと、前記第1の無線ICタグ読み取り装置は使用しない、少なくとも一つの第2の単位無線チャネルとを使用可能な第2の無線ICタグ読み取り装置を用いて無線ICタグの読み取りを行う無線ICタグ読み取りシステムであって、
前記第1の単位無線チャネル及び前記第2の単位無線チャネルのいずれかを用いて無線ICタグとの送受信を行い、且つ各単位無線チャネルにおける受信電波強度を測定して測定の結果を示す情報を出力する第2の無線ICタグ読み取り装置と、
無線ICタグとの送受信に使用する単位無線チャネルを前記第2の無線ICタグ読み取り装置に指示し、且つ前記第2の無線ICタグ読み取り装置が測定した各単位無線チャネルにおける受信電波強度を示す情報を受け取り、これに基づいて各単位無線チャネルの使用可否を示す情報を記憶し、前記各単位無線チャネルの使用可否を示す情報に基づいて、前記第2の単位無線チャネルいずれかが使用可能であるか否かを判定し、前記第2の単位無線チャネルいずれもが使用不可である場合は、前記第1の単位無線チャネルのいずれかが使用可能であるか否かを判定し、これらの判定の結果に基づいて、前記第2の無線ICタグ読み取り装置が送受信に使用する単位無線チャネルを指示する制御装置と
を有することを特徴とする無線ICタグ読み取りシステム。
【請求項11】
前記制御装置は、前記第2の無線ICタグとの送受信に使用する単位無線チャネルを指示して送受信を開始した後、同一の単位無線チャネルを連続して使用することができる時間である連続送信可能時間が終了した場合、送受信に使用していた単位無線チャネルとは別の単位無線チャネルを指示する、ことを特徴とする請求項10に記載の無線ICタグ読み取りシステム。
【請求項12】
前記制御装置は、連続送信可能時間が終了した場合、送信停止時間を設けることなく、前記第2の無線ICタグ読み取り装置に別の単位無線チャネルを使用して送受信を行わせることを特徴とする請求項10又は11に記載の無線ICタグ読み取りシステム。
【請求項13】
前記制御装置は、前記第2の無線ICタグ読み取り装置に前記複数の単位無線チャネルのそれぞれをキャリアセンスさせるように、前記第2の無線ICタグ読み取り装置にキャリアセンスを行う単位無線チャネルを指示する、ことを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の無線ICタグ読み取りシステム。
【請求項14】
他の無線ICタグ読み取り装置が使用可能な少なくとも一つの第1の単位無線チャネルと、前記他の無線ICタグ読み取り装置は使用しない、少なくとも一つの第2の単位無線チャネルとを使用可能な、無線ICタグの読み取りを行う無線ICタグ読み取り装置であって、
無線ICタグとの送受信に使用する単位無線チャネルに応じた周波数の信号を生成する第1の発振手段と、
前記第1の発振手段が生成した信号を用いて無線ICタグとの送受信を行う送受信手段と、
受信電波強度の測定を行う単位無線チャネルに応じて、各単位無線チャネルに応じた周波数の信号を変更可能に生成する第2の発振手段と、
前記第2の発振手段が生成した信号を用いて、各単位無線チャネルにおける受信電波強度を測定するキャリアセンス手段と、
前記キャリアセンス手段による測定の結果に基づいて、前記送受信手段に使用させる次の単位無線チャネルを選択し、選択した単位無線チャネルに応じた周波数の搬送波信号を生成するように第1の発振手段を制御する制御手段と
を有し、
前記制御手段は、前記第2の単位無線チャネルいずれかが使用可能であるか否かを判定し、前記第2の単位無線チャネルいずれもが使用不可である場合は、前記第1の単位無線チャネルのいずれかが使用可能であるか否かを判定する
ことを特徴とする無線ICタグ読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−192010(P2008−192010A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27340(P2007−27340)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【出願人】(391065769)株式会社セタ (89)
【Fターム(参考)】