制御装置および投写型映像表示装置
【課題】スクリーンに投影されたテストパターンの検出精度を向上させる。
【解決手段】辺比率算出部42は、撮像部30により撮像された画像内に写ったスクリーン300の対向する二辺のそれぞれの長さを測定し、それら二辺の長さの比率を算出する。光量比率算出部43は、辺比率算出部42により算出された比率にもとづいて、設置されているスクリーン300の、二辺のうちの一方の辺に投影された光量と、他方の辺に投影された光量との比率を算出する。補正値生成部44は、光量比率算出部43により算出された比率に応じた補正値を生成する。
【解決手段】辺比率算出部42は、撮像部30により撮像された画像内に写ったスクリーン300の対向する二辺のそれぞれの長さを測定し、それら二辺の長さの比率を算出する。光量比率算出部43は、辺比率算出部42により算出された比率にもとづいて、設置されているスクリーン300の、二辺のうちの一方の辺に投影された光量と、他方の辺に投影された光量との比率を算出する。補正値生成部44は、光量比率算出部43により算出された比率に応じた補正値を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写型映像表示装置を駆動制御するための制御装置、およびそれを搭載した投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラを搭載した投写型映像表示装置(以下適宜、プロジェクタと表記する)が実用化されている。カメラを搭載したプロジェクタのなかには、スクリーンに投影されたテストパターンをそのカメラで撮像し、撮像された画像をもとに台形歪み補正やオートフォーカス調整を行うことができるものもある。
【0003】
撮像画像を使用する台形歪み補正では、撮像された画像内のエッジを検出することにより、投影されたテストパターンの形状を特定し、その形状の歪みが打ち消されるように、映像信号を補正する手法が、よく使用される。
【0004】
また、撮像画像を使用するオートフォーカス調整では、複数のレンズ位置でそれぞれ撮像された画像のコントラストを算出し、コントラストが最大となるレンズ位置を検出することにより、フォーカスを合わせる手法(コントラスト検出法)が、よく使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−159426号公報
【特許文献2】特開2005−159427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スクリーンがプロジェクタに対して正対していない場合、すなわち、スクリーンが傾斜している場合、スクリーン面内の各位置とプロジェクタとの距離が不均一となる。スクリーン面内の各位置の投影光量は、光源からの距離の二乗に反比例するため、プロジェクタから遠い位置ほど、その反射光量が小さくなる。
【0007】
上述した台形歪み補正およびオートフォーカス調整のいずれにおいても、撮像画像内の高周波成分を検出する必要がある。したがって、スクリーンが傾斜している場合、その高周波成分の検出精度が低下する。たとえば、台形歪み補正において、エッジ検出用の閾値を遠距離側に合わせた場合、近距離側では目的のエッジ以外のエッジを、目的のエッジとして誤検出することが多くなる。
【0008】
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、スクリーンに投影されたテストパターンの検出精度を向上させることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様の制御装置は、スクリーンに映像を投写する投写部と、スクリーンを撮像するための撮像部と、を備える投写型映像表示装置に搭載されるべき制御装置であって、撮像部により撮像された画像内に写ったスクリーンの対向する二辺のそれぞれの長さを測定し、それら二辺の長さの比率を算出する辺比率算出部と、辺比率算出部により算出された比率にもとづいて、設置されているスクリーンの、二辺のうちの一方の辺に投影された光量と、他方の辺に投影された光量との比率を算出する光量比率算出部と、光量比率算出部により算出された比率に応じた補正値を生成する補正値生成部と、を備える。
【0010】
本発明の別の態様は、投写型映像表示装置である。この装置は、スクリーンに映像を投写する投写部と、スクリーンを撮像するための撮像部と、上述した制御装置と、を備える。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スクリーンに投影されたテストパターンの検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る投写型映像表示装置と、スクリーンとの位置関係を示す図である。
【図2】図1に示した位置関係において、撮像部により撮像された撮像画像の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す図である。
【図4】スクリーンの画像が写った撮像画像の一例を示す図である。
【図5】図4に示したスクリーン位置における補正ゲインを示す図である。
【図6】実施の形態に係る台形歪み補正部の構成を示す図である。
【図7】台形歪み補正を説明するための図である。図7(a)は、垂直台形歪み補正を示し、図7(b)は、水平台形歪み補正を示す。
【図8】実施の形態に係るオートフォーカス調整部の構成を示す図である。
【図9】フォーカスレンズの合焦位置の決定処理について説明するための図である。
【図10】本実施の形態の変形例1に係る投写型映像表示装置の構成を示す図である。
【図11】本実施の形態の変形例1に係る台形歪み補正部の構成を示す図である。
【図12】本実施の形態の変形例1に係るオートフォーカス調整部の構成を示す図である。
【図13】本実施の形態の変形例2に係る投写型映像表示装置の構成を示す図である。
【図14】傾斜スクリーンおよび正面スクリーン上の点までの距離比を説明するための図である。
【図15】スクリーン位置における補正ゲインの別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る投写型映像表示装置200と、スクリーン300との位置関係を示す図である。実施の形態に係る投写型映像表示装置200は、スクリーン300方向を撮影するための撮像部30を備える。撮像部30は、その光軸中心と、投写型映像表示装置200から投写される投写光の光軸中心とが平行な関係になるよう、設置される。図1では、スクリーン300が投写型映像表示装置200に対して正対せずに、右側が奧に傾いている。
【0015】
図2は、図1に示した位置関係において、撮像部30により撮像された撮像画像PuIの一例を示す。撮像画像PuI内には、投写型映像表示装置200から投写された、山と太陽が描かれた投影画像PrIが写っている。また、撮像画像PuI内には、スクリーン300の画像SIも写っている。スクリーン300面内の各位置の投影光量は光源からの距離の二乗に反比例するため、スクリーン300の画像SIの左側から右側にいくにしたがって、輝度レベルが漸次的に低下する。すなわち、右側にいくにしたがって暗い画像となる。実施の形態に係る投写型映像表示装置200では、このスクリーン300の画像SIの輝度レベルを平坦化または均一化する。
【0016】
図3は、本発明の実施の形態に係る投写型映像表示装置200の構成を示す図である。投写型映像表示装置200は、投写部10、レンズ駆動部20、撮像部30および制御装置100を備える。制御装置100は、画像解析部40、撮像画像信号補正部50、台形歪み補正部60、オートフォーカス調整部70、画像メモリ82、映像信号設定部84および駆動信号設定部86を備える。
【0017】
制御装置100の構成は、ハードウェア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウェア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組み合わせによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0018】
投写部10は、スクリーン300に映像を投写する。投写部10は、光源11、光変調部12およびフォーカスレンズ13を含む。光源11には、フィラメント型の電極構造を有するハロゲンランプ、アーク放電を発生させる電極構造を有するメタルハライドランプ、キセノンショートアークランプ、高圧型の水銀ランプ、LEDランプなどを採用することができる。
【0019】
光変調部12は、映像信号設定部84から設定される映像信号に応じて、光源11から入射される光を変調する。たとえば、光変調部12にはDMD(Digital Micromirror Device)を採用することができる。DMDは、画素数に対応した複数のマイクロミラーを備え、各マイクロミラーの向きが各画素信号に応じて制御されることにより、所望の映像光を生成する。
【0020】
フォーカスレンズ13は、光変調部12から入射される光の焦点位置を調整する。フォーカスレンズ13は、レンズ駆動部20によりそのレンズ位置が光軸上で移動される。光変調部12により生成された映像光は、フォーカスレンズ13を介して、スクリーン300に投写される。
【0021】
レンズ駆動部20は、駆動信号設定部86から設定される駆動信号に応じて、フォーカスレンズ13の位置を移動させる。レンズ駆動部20には、ステッピングモータ、ボイスコイルモータ(VCM)、ピエゾ素子などを採用することができる。
【0022】
撮像部30は、スクリーン300およびスクリーン300に投影された投影画像を、主な被写体として、撮像する。撮像部30は、固体撮像素子31および信号処理回路32を含む。固体撮像素子31には、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサなどを採用することができる。信号処理回路32は、固体撮像素子31から出力される信号に対して、A/D変換や、RGBフォーマットからYUVフォーマットへの変換などの各種信号処理を施し、制御装置100に出力する。本実施の形態では、画像解析部40および撮像画像信号補正部50に出力する。
【0023】
画像解析部40は、撮像部30から出力される撮像画像信号を解析する。画像解析部40は、スクリーン位置検出部41、辺比率算出部42、光量比率算出部43および補正値生成部44を含む。
【0024】
スクリーン位置検出部41は、撮像画像内のエッジを抽出することにより、当該撮像画像内に写ったスクリーン300の四辺(上辺、下辺、左辺および右辺)の位置を検出する。
【0025】
辺比率算出部42は、撮像画像内に写ったスクリーン300の対向する二辺(たとえば、左辺と右辺)のそれぞれの長さを測定し、それら二辺の長さの比率を算出する。投写部10から当該二辺のうちの一辺までの距離と、投写部10からその他辺までの距離との比率は、当該二辺の長さの比率の逆数となる。すなわち、辺の長さが短いほど、投写部10から当該辺までの距離が長いことを示す。
【0026】
光量比率算出部43は、辺比率算出部42により算出された比率にもとづいて、設置されているスクリーン300の、二辺のうちの一方の辺に投影された光量と、他方の辺に投影された光量との比率を算出する。各辺に投影された光量は、投写部10から各辺までの距離の二乗に反比例する。すなわち、投写部10から各辺までの距離が長いほど、各辺に投影された光量が少ないことを示す。投写部10から一辺までの距離と、投写部10から当該一辺と他辺との間に位置する画素までの距離との比率は、当該画素の座標位置から算出可能である。したがって、一辺に投影された光量と、当該画素に投影された光量との比率も算出可能である。
【0027】
補正値生成部44は、光量比率算出部43により算出された比率に応じて、各画素の補正値を生成する。本実施の形態では、各画素信号に乗算すべき補正ゲインを生成する。上記二辺間の各画素の反射光量(なお、投影光以外の外光は無視して考える)は、その一辺から他辺に向けて、グラデーション変化する。補正値生成部44は、このグラデーション変化をキャンセルまたは抑制するよう、各画素の補正ゲインを生成する。
【0028】
なお、各画素の輝度レベルを完全に一致させるための補正ゲインを生成してもよいし、各画素の輝度レベルの変化割合をより小さくするための補正ゲインを生成してもよい。前者の場合、最も輝度レベルが高い画素に、その他の画素の輝度レベルを合わせてもよいし、平均輝度レベルに、すべての画素の輝度レベルを合わせてもよい。これらの補正ゲインを算出するための関数は、当業者にとって容易に生成可能である。
【0029】
以上の処理により、スクリーン300の左右方向または上下方向の傾きを、信号処理上補償するための補正ゲインを生成することができる。もちろん、スクリーン300の左右方向および上下方向の両方の傾きを、一度に補償するための補正ゲインを生成することもできる。
【0030】
すなわち、辺比率算出部42は、撮像画像内に写ったスクリーン300の上辺、下辺、左辺および右辺のそれぞれの長さを測定し、上辺と下辺の長さの比率および左辺と右辺の長さの比率をそれぞれ算出する。光量比率算出部43は、上述した上辺と下辺の長さの比率にもとづいて、スクリーンの上辺に投影された光量と下辺に投影された光量との比率を算出し、上述した左辺と右辺の長さの比率にもとづいて、スクリーンの左辺に投影された光量と右辺に投影された光量との比率を算出する。
【0031】
補正値生成部44は、光量比率算出部43により算出された二つの比率に応じて、各画素の補正値を生成する。上述した上辺と下辺との間の各画素の反射光量は、上辺から下辺に向けて、グラデーション変化する。左辺と右辺についても同様である。補正値生成部44は、左右方向および上下方向の両方のグラデーション変化を同時にキャンセルまたは抑制するよう、各画素の補正ゲインを生成する。
【0032】
以下、図4、図5を参照しながら補正ゲイン生成の具体例を説明する。図4は、スクリーン300の画像が写った撮像画像の一例を示す図である。
【0033】
図4では、撮像部30がVGA(640×480)サイズで画像を撮像する例を描いている。スクリーン位置検出部41は、撮像画像内に写ったスクリーン300の四隅の頂点座標をそれぞれ検出し、辺比率算出部42は、当該スクリーン300の上辺、下辺、左辺および右辺のそれぞれの長さを測定する。ここでは、上辺が270画素、下辺が300画素、左辺が230画素および右辺が184画素である。
【0034】
下辺が上辺より長く、かつ左辺が右辺より長いため、スクリーン300の左下隅が投写部10から最も近く、右上隅が最も遠いことが分かる。上辺の下辺に対する比率は、270/300=9/10である。また、投写部10から上辺までの距離の、投写部10から下辺までの距離に対する比率は、その逆数の10/9である。投影光量は当該距離の二乗に反比例して減少するため、上辺の投影光量の、下辺の投影光量に対する比率は、1/(10/9)^2=0.81である。
【0035】
また、右辺の左辺に対する比率は、184/230=8/10である。また、投写部10から右辺までの距離の、投写部10から左辺までの距離に対する比率は、その逆数の10/8である。投影光量は当該距離の二乗に反比例して減少するため、右辺の投影光量の、左辺の投影光量に対する比率は、1/(10/8)^2=0.64である。
【0036】
図5は、図4に示したスクリーン位置における補正ゲインを示す図である。図5では、スクリーン300の左下隅以外の画素の輝度レベルを、左下隅の画素の輝度レベルに合わせている。左下隅の画素の輝度レベルは補正する必要がないため、その補正ゲインは1となる。一方、右上隅の画素の輝度レベルに対する補正ゲインは、上記の比率を使用して、(1/0.81)×(1/0.64)≒1.93となる。これらの結果を元に、補正値生成部44は、各スクリーン位置における補正ゲインを図5のように生成する。
【0037】
図3に戻る。撮像画像信号補正部50は、撮像画像内に写ったスクリーンの画像の輝度レベルが平坦化または均一化されるよう、撮像部30から出力される画素信号を、補正値生成部44により生成された補正値を用いて補正する。たとえば、各画素信号に、対応する各画素の上記補正ゲインを乗算する。撮像画像信号補正部50により輝度レベルが平坦化または均一化された画像信号は、台形歪み補正部60およびオートフォーカス調整部70に出力される。
【0038】
台形歪み補正部60は、スクリーン300に投影される画像の台形歪みを補正する。台形歪みは、スクリーン300と投写型映像表示装置200とが正対していない場合に発生する。たとえば、投写光の光軸が上向きにずれている場合、スクリーン300には上部が膨らんだ台形歪みが発生する。
【0039】
投写型映像表示装置200の起動時や、ユーザ操作により台形歪みの調整が指示されたとき、映像信号設定部84は、画像メモリ82から台形歪み調整用のテストパターンを読み出し、投写部10に投写させる。当該テストパターンは、たとえば、四角形(正方形、長方形、平行四辺形、菱形など)で形成される。撮像部30は、スクリーン300に投影されたテストパターンを撮像する。台形歪み補正部60は、撮像画像に写ったテストパターンの形状をもとに、台形歪みを検出し、その台形歪みがキャンセルされるよう、映像信号設定部84に設定すべき映像信号を補正する。
【0040】
図6は、実施の形態に係る台形歪み補正部60の構成を示す図である。台形歪み補正部60は、エッジ抽出部61、歪み検出部62および映像信号補正部63を含む。エッジ抽出部61は、上記テストパターンが写った撮像画像内からエッジを検出する。その際、エッジ抽出部61は、スクリーン位置検出部41から設定されるスクリーン領域の範囲内でエッジを抽出する。エッジは、所定の閾値を超える輝度レベル変化が発生した箇所で抽出される。
【0041】
歪み検出部62は、エッジ抽出により特定されるテストパターンの頂点座標から、上下左右のどちらの方向に、どの程度膨らんでいるかを特定する。映像信号補正部63は、スクリーン300に投影されたテストパターンの膨らみがキャンセルされるよう、映像信号設定部84に設定すべき映像信号を補正する。
【0042】
図7は、台形歪み補正を説明するための図である。図7(a)は、垂直台形歪み補正を示し、図7(b)は、水平台形歪み補正を示す。図7(a)では、投影画像PrIの上部が膨らんでいる。映像信号補正部63は、アスペクト比が維持された四角形がスクリーン300に投影されるよう、投影すべき映像の上端から下端に向けて、映像の横幅を徐々にスケールダウンする。図7(b)では、投影画像PrIの左部が膨らんでいる。映像信号補正部63は、アスペクト比が維持された四角形がスクリーン300に投影されるよう、投影すべき映像の左端から右端に向けて、映像の縦幅を徐々にスケールダウンする。
【0043】
オートフォーカス調整部70は、コントラスト検出法を用いて、フォーカスを合わせる。投写型映像表示装置200の起動時や、ユーザ操作によりオートフォーカス調整が指示されたとき、映像信号設定部84は、画像メモリ82からオートフォーカス調整用のテストパターンを読み出し、投写部10に投写させる。当該テストパターンは、たとえば、ストライプパターンやチェッカーフラグパターンで形成される。撮像部30は、スクリーン300に投影されたテストパターンを撮像する。オートフォーカス調整部70は、複数のレンズ位置にて、撮像部30によりそれぞれ撮像された当該テストパターンの鮮明度をもとに、フォーカスレンズ13の位置を決定する。
【0044】
図8は、実施の形態に係るオートフォーカス調整部70の構成を示す図である。オートフォーカス調整部70は、検出領域設定部71、ハイパスフィルタ72、積算部73およびレンズ位置決定部74を含む。検出領域設定部71は、撮像画像内にて、ハイパスフィルタ72による高周波成分の抽出対象となる検出領域を設定する。検出領域設定部71は、たとえば、スクリーン位置検出部41から設定されるスクリーン領域を、当該検出領域に設定してもよい。また、スクリーン領域内の一部の領域(たとえば、中央領域)を、当該検出領域に設定してもよい。
【0045】
ハイパスフィルタ72は、当該検出領域内の画像信号の、所定の閾値を超える高周波成分を抽出して、その抽出した高周波成分を積算部73に供給する。ハイパスフィルタ72は、水平方向に高周波成分を抽出してもよいし、水平方向および垂直方向の両方向に高周波成分を抽出してもよい。
【0046】
積算部73は、それぞれのレンズ位置にて、ハイパスフィルタ72により抽出された高周波成分を積算し、レンズ位置決定部74に供給する。なお、ハイパスフィルタ72により水平方向および垂直方向の両方向に高周波成分が抽出されている場合、積算部73は、両者の高周波成分を合算する。レンズ位置決定部74は、積算部73から供給される複数の積算値のうち、最大積算値が検出されたフォーカスレンズ13の位置を、合焦位置に決定する。
【0047】
図9は、フォーカスレンズ13の合焦位置の決定処理について説明するための図である。オートフォーカス機能が有効化されると、オートフォーカス調整部70は、映像信号設定部84にテストパターンの投写を指示するとともに、フォーカスレンズ13をニア側からファー側へまたはファー側からニア側へ、所定のステップ幅で順次、移動させるための制御信号を駆動信号設定部86に設定する。映像信号設定部84は、当該テストパターンの映像信号を光変調部12に設定し、駆動信号設定部86は、上記制御信号に応じた駆動信号をレンズ駆動部20に設定する。
【0048】
オートフォーカス調整部70は、フォーカスレンズ13の各レンズ位置において撮像された、テストパターンに含まれるシャープネス(上記積算値を用いることができる)を算出する。このシャープネスは、フォーカスレンズ13が合焦位置に近づくにつれ、上昇する。その上昇がピークをうち、下降に転換したとき、オートフォーカス調整部70は、その一つ前のレンズ位置を合焦位置に決定する。
【0049】
図3に戻る。画像メモリ82は、スクリーン300に投写すべき画像データを保持する。当該画像データは、図示しない外部インタフェースを介して、PCなどから供給される。本実施の形態では、台形歪み補正時やオートフォーカス調整時に投写されるテストパターンも保持する。映像信号設定部84は、画像メモリ82に保持される画像データにもとづく映像信号を光変調部12に設定する。映像信号設定部84は、台形歪み補正部60による台形歪み補正機能が有効な期間は、台形歪み補正部60から供給される台形歪み補正後の映像信号を光変調部12に設定する。駆動信号設定部86は、フォーカスレンズ13を、オートフォーカス調整部70から指示されるレンズ位置に移動させるための駆動信号をレンズ駆動部20に設定する。
【0050】
以上説明したように本実施の形態によれば、スクリーン300の傾きに起因する反射光量の不均一を、撮像画像信号を補正することにより、信号処理上、補償することができる。したがって、その補正後の撮像画像信号から、台形歪み検出用またはオートフォーカス調整用のテストパターンを抽出することにより、そのテストパターンの検出精度を向上させることができる。よって、台形歪み補正精度またはオートフォーカス調整精度を向上させることができる。
【0051】
図10は、本実施の形態の変形例1に係る投写型映像表示装置200の構成を示す図である。図11は、本実施の形態の変形例1に係る台形歪み補正部60の構成を示す図である。図12は、本実施の形態の変形例1に係るオートフォーカス調整部70の構成を示す図である。
【0052】
図10に示す投写型映像表示装置200の構成は、図3に示した投写型映像表示装置200と比較し、撮像画像信号補正部50が除去された構成である。その代わりに、台形歪み補正部60に閾値補正部64が追加され、オートフォーカス調整部70に閾値補正部75が追加された構成である。
【0053】
変形例1では、補正値生成部44により生成された補正値は、撮像画像信号補正部50ではなく、台形歪み補正部60内の閾値補正部64およびオートフォーカス調整部70内の閾値補正部75に設定される。変形例1の補正値には、上述した補正値のように、撮像されたスクリーン画像内の輝度レベルのグラデーション変化をキャンセルするための補正値ではなく、そのグラデーション変化そのものを表す補正値が用いられる。
【0054】
台形歪み補正部60に追加された閾値補正部64は、撮像画像内に写ったスクリーンの画像の輝度レベルが平坦であると擬制されるよう、撮像部30から出力される画像信号からエッジを検出するための閾値を、補正値生成部44により生成された補正値を用いて補正し、エッジ抽出部61に設定する。エッジ抽出部61がハイパスフィルタで構成される場合、各画素のフィルタ強度を補正する。通常、当該エッジを検出するための閾値はすべての画素で同じであるが、変形例1では、スクリーン画像内の輝度レベルのグラデーション変化に合わせて、スクリーン画像に対応した領域の当該エッジを検出するための閾値をグラデーション変化させる。
【0055】
オートフォーカス調整部700に追加された閾値補正部75は、撮像画像内に写ったスクリーンの画像の輝度レベルが平坦であると擬制されるよう、撮像部30から出力される画像信号の高周波成分を検出するための閾値を、補正値生成部44により生成された補正値を用いて補正し、ハイパスフィルタ72に設定する。すなわち、各画素ごとのフィルタ強度を補正する。通常、当該高周波成分を検出するための閾値はすべての画素で同じであるが、変形例1では、スクリーン画像内の輝度レベルのグラデーション変化に合わせて、スクリーン画像に対応した領域の当該高周波成分を検出するための閾値をグラデーション変化させる。
【0056】
以上説明したように変形例1によれば、撮像部30から出力される画像信号からエッジまたは高周波成分を検出するための閾値を、スクリーン画像内の輝度レベルのグラデーション変化に合わせて、グラデーション変化させることにより、スクリーンの画像の輝度レベルが平坦であると擬制することができる。したがって、上述した実施の形態で説明した撮像画像信号を補正する場合と同様の効果を奏する。
【0057】
図13は、本実施の形態の変形例2に係る投写型映像表示装置200の構成を示す図である。図13に示す投写型映像表示装置200の構成は、図3に示した投写型映像表示装置200と比較し、撮像画像信号補正部50が除去され、映像信号補正部83が追加された構成である。変形例2では、補正値生成部44により生成された補正値は、撮像画像信号補正部50ではなく、映像信号補正部83に設定される。変形例2の補正値には、上述した補正値と同様に、撮像されたスクリーンの画像内における輝度レベルのグラデーション変化をキャンセルするための補正値が用いられる。
【0058】
映像信号補正部83は、スクリーン面上に投影される光量が平坦化されるよう、スクリーンに投影すべき映像信号を、補正値生成部44により生成された補正値を用いて補正する。当該スクリーンに投影すべき映像信号として、主に、台形歪み検出用またはオートフォーカス調整用のテストパターンが該当する。映像信号補正部83は、当該テストパターンを、上記補正値を用いてグラデーション変化させる。これにより、スクリーン面上に投影されるテストパターンの各画素の光量が平坦化される。したがって、上述した実施の形態で説明した撮像画像信号を補正する場合と同様の効果を奏する。
【0059】
また、映像信号補正部83は、上記テストパターンではなく、実データにもとづく映像信号を、上記補正値を用いて補正してもよい。なお、光量の不均一は、形状の歪ほど、補正の必要を感じないユーザも多い。したがって、上記映像信号の補正を上記テストパターンに限る構成であってもよい。
【0060】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0061】
たとえば、スクリーン位置検出部41は、撮像画像内からスクリーン位置を検出する前に、簡易な投影光量の補正を行ってもよい。たとえば、スクリーン位置検出部41は、撮像部30により撮像された画像の輝度レベルを水平方向および垂直方向にモニタリングし、それらの輝度レベルが平坦化されるよう、映像信号設定部84に設定すべき映像信号を補正する。ここでの補正は、上述した補正のように厳密なものではなく、ラフなものでよい。たとえば、撮像画像内の上部と下部とで輝度レベルの差が所定の設定値より大きい場合、輝度レベルが小さい方の領域の映像信号を増大させる。左部と右部との間でも同様である。これにより、撮像画像内のスクリーン画像の検出精度を高めることができる。スクリーン画像が正確に検出されれば、上述した実施の形態に係る補正処理により、スクリーンの傾斜を正確に検出することができる。
【0062】
図5で説明した傾斜スクリーン位置における補正ゲインの例では、投写部から画素までの距離比が、スクリーンの一辺から対辺に向かうにつれて線形に変化すると仮定して補正ゲインを演算したものである。代替的に、正対したスクリーンと傾斜スクリーンの位置関係を考慮して傾斜スクリーン位置における補正ゲインを演算してもよい。この演算方法について、図14を用いて説明する。
【0063】
図14は、投写型映像表示装置200と、正対スクリーン400と、傾斜スクリーン410との位置関係を上面から観察した様子を示す図である。投写型映像表示装置200の投影口Mから投影される光量は、ゲイン補正をしない状態では、正対スクリーン400上の点A、Bv、Cv、Dv、Evで同一の輝度となるように調整されている。たとえスクリーン400が投影口Mに対して正対していても、投影口からスクリーン中心点Cvまでの距離と、スクリーン端の点AおよびEvまでの距離とは異なるが、この距離差を補正した光量が予め設定されていることとする。このような補正は、一般的なシェーディング補正で行うことができる。
【0064】
この状態で正対スクリーン400の代わりに傾斜スクリーン410を配置すると、正対スクリーン上の点Bv、Cv、Dv、Evは、傾斜スクリーン上の点Br、Cr、Dr、Erとしてそれぞれ投影される。図から明らかなように、投影口Mから傾斜スクリーン上の点Br〜Erまでの距離は、初期設定されている正対スクリーン上の点Bv〜Evまでの距離とは異なる。したがって、補正値生成部44は、投影口Mから正対スクリーン400上の各点までの距離Lvと、投影口Mから傾斜スクリーン410上の各点までの距離Lrとの距離比を求めることで、補正ゲインを算出することができる。
【0065】
この距離比は、以下のような手順で求められる。図14において、投影口Mを原点としたx−y直交座標を考える。そして、正対スクリーンがy=b、傾斜スクリーンがy=ax+c(a〜cは実数)の直線で表せるとする。正対スクリーン上への投影は等間隔になされるので、投影口Mから正対スクリーン上の点(図では点Dv)までの距離Lvは、三平方の定理から求められる。点Dvに対応する傾斜スクリーン上の点Drまでの距離Lrは、投影口Mと点Dvを結ぶ直線と、傾斜スクリーンを表す直線y=ax+bとの交点から求めることができる。このようにして、正対スクリーン上の各点に対する補正ゲイン=Lr/Lvを演算することができる。図15は、傾斜スクリーン位置における補正ゲインのx−y平面上分布の例を示しており、図中左下の点がスクリーンの左端に相当する。図から分かるように、補正ゲインは、スクリーンの左端から右端に向けて二次関数的に増加する形となる。
【符号の説明】
【0066】
10 投写部、 11 光源、 12 光変調部、 13 フォーカスレンズ、 20 レンズ駆動部、 30 撮像部、 31 固体撮像素子、 32 信号処理回路、 40 画像解析部、 41 スクリーン位置検出部、 42 辺比率算出部、 43 光量比率算出部、 44 補正値生成部、 50 撮像画像信号補正部、 60 台形歪み補正部、 61 エッジ抽出部、 62 歪み検出部、 63 映像信号補正部、 64 閾値補正部、 70 オートフォーカス調整部、 71 検出領域設定部、 72 ハイパスフィルタ、 73 積算部、 74 レンズ位置決定部、 75 閾値補正部、 82 画像メモリ、 83 映像信号補正部、 84 映像信号設定部、 86 駆動信号設定部、 100 制御装置、 200 投写型映像表示装置、 300 スクリーン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写型映像表示装置を駆動制御するための制御装置、およびそれを搭載した投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラを搭載した投写型映像表示装置(以下適宜、プロジェクタと表記する)が実用化されている。カメラを搭載したプロジェクタのなかには、スクリーンに投影されたテストパターンをそのカメラで撮像し、撮像された画像をもとに台形歪み補正やオートフォーカス調整を行うことができるものもある。
【0003】
撮像画像を使用する台形歪み補正では、撮像された画像内のエッジを検出することにより、投影されたテストパターンの形状を特定し、その形状の歪みが打ち消されるように、映像信号を補正する手法が、よく使用される。
【0004】
また、撮像画像を使用するオートフォーカス調整では、複数のレンズ位置でそれぞれ撮像された画像のコントラストを算出し、コントラストが最大となるレンズ位置を検出することにより、フォーカスを合わせる手法(コントラスト検出法)が、よく使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−159426号公報
【特許文献2】特開2005−159427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スクリーンがプロジェクタに対して正対していない場合、すなわち、スクリーンが傾斜している場合、スクリーン面内の各位置とプロジェクタとの距離が不均一となる。スクリーン面内の各位置の投影光量は、光源からの距離の二乗に反比例するため、プロジェクタから遠い位置ほど、その反射光量が小さくなる。
【0007】
上述した台形歪み補正およびオートフォーカス調整のいずれにおいても、撮像画像内の高周波成分を検出する必要がある。したがって、スクリーンが傾斜している場合、その高周波成分の検出精度が低下する。たとえば、台形歪み補正において、エッジ検出用の閾値を遠距離側に合わせた場合、近距離側では目的のエッジ以外のエッジを、目的のエッジとして誤検出することが多くなる。
【0008】
本発明はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、スクリーンに投影されたテストパターンの検出精度を向上させることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様の制御装置は、スクリーンに映像を投写する投写部と、スクリーンを撮像するための撮像部と、を備える投写型映像表示装置に搭載されるべき制御装置であって、撮像部により撮像された画像内に写ったスクリーンの対向する二辺のそれぞれの長さを測定し、それら二辺の長さの比率を算出する辺比率算出部と、辺比率算出部により算出された比率にもとづいて、設置されているスクリーンの、二辺のうちの一方の辺に投影された光量と、他方の辺に投影された光量との比率を算出する光量比率算出部と、光量比率算出部により算出された比率に応じた補正値を生成する補正値生成部と、を備える。
【0010】
本発明の別の態様は、投写型映像表示装置である。この装置は、スクリーンに映像を投写する投写部と、スクリーンを撮像するための撮像部と、上述した制御装置と、を備える。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スクリーンに投影されたテストパターンの検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る投写型映像表示装置と、スクリーンとの位置関係を示す図である。
【図2】図1に示した位置関係において、撮像部により撮像された撮像画像の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る投写型映像表示装置の構成を示す図である。
【図4】スクリーンの画像が写った撮像画像の一例を示す図である。
【図5】図4に示したスクリーン位置における補正ゲインを示す図である。
【図6】実施の形態に係る台形歪み補正部の構成を示す図である。
【図7】台形歪み補正を説明するための図である。図7(a)は、垂直台形歪み補正を示し、図7(b)は、水平台形歪み補正を示す。
【図8】実施の形態に係るオートフォーカス調整部の構成を示す図である。
【図9】フォーカスレンズの合焦位置の決定処理について説明するための図である。
【図10】本実施の形態の変形例1に係る投写型映像表示装置の構成を示す図である。
【図11】本実施の形態の変形例1に係る台形歪み補正部の構成を示す図である。
【図12】本実施の形態の変形例1に係るオートフォーカス調整部の構成を示す図である。
【図13】本実施の形態の変形例2に係る投写型映像表示装置の構成を示す図である。
【図14】傾斜スクリーンおよび正面スクリーン上の点までの距離比を説明するための図である。
【図15】スクリーン位置における補正ゲインの別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る投写型映像表示装置200と、スクリーン300との位置関係を示す図である。実施の形態に係る投写型映像表示装置200は、スクリーン300方向を撮影するための撮像部30を備える。撮像部30は、その光軸中心と、投写型映像表示装置200から投写される投写光の光軸中心とが平行な関係になるよう、設置される。図1では、スクリーン300が投写型映像表示装置200に対して正対せずに、右側が奧に傾いている。
【0015】
図2は、図1に示した位置関係において、撮像部30により撮像された撮像画像PuIの一例を示す。撮像画像PuI内には、投写型映像表示装置200から投写された、山と太陽が描かれた投影画像PrIが写っている。また、撮像画像PuI内には、スクリーン300の画像SIも写っている。スクリーン300面内の各位置の投影光量は光源からの距離の二乗に反比例するため、スクリーン300の画像SIの左側から右側にいくにしたがって、輝度レベルが漸次的に低下する。すなわち、右側にいくにしたがって暗い画像となる。実施の形態に係る投写型映像表示装置200では、このスクリーン300の画像SIの輝度レベルを平坦化または均一化する。
【0016】
図3は、本発明の実施の形態に係る投写型映像表示装置200の構成を示す図である。投写型映像表示装置200は、投写部10、レンズ駆動部20、撮像部30および制御装置100を備える。制御装置100は、画像解析部40、撮像画像信号補正部50、台形歪み補正部60、オートフォーカス調整部70、画像メモリ82、映像信号設定部84および駆動信号設定部86を備える。
【0017】
制御装置100の構成は、ハードウェア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウェア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組み合わせによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0018】
投写部10は、スクリーン300に映像を投写する。投写部10は、光源11、光変調部12およびフォーカスレンズ13を含む。光源11には、フィラメント型の電極構造を有するハロゲンランプ、アーク放電を発生させる電極構造を有するメタルハライドランプ、キセノンショートアークランプ、高圧型の水銀ランプ、LEDランプなどを採用することができる。
【0019】
光変調部12は、映像信号設定部84から設定される映像信号に応じて、光源11から入射される光を変調する。たとえば、光変調部12にはDMD(Digital Micromirror Device)を採用することができる。DMDは、画素数に対応した複数のマイクロミラーを備え、各マイクロミラーの向きが各画素信号に応じて制御されることにより、所望の映像光を生成する。
【0020】
フォーカスレンズ13は、光変調部12から入射される光の焦点位置を調整する。フォーカスレンズ13は、レンズ駆動部20によりそのレンズ位置が光軸上で移動される。光変調部12により生成された映像光は、フォーカスレンズ13を介して、スクリーン300に投写される。
【0021】
レンズ駆動部20は、駆動信号設定部86から設定される駆動信号に応じて、フォーカスレンズ13の位置を移動させる。レンズ駆動部20には、ステッピングモータ、ボイスコイルモータ(VCM)、ピエゾ素子などを採用することができる。
【0022】
撮像部30は、スクリーン300およびスクリーン300に投影された投影画像を、主な被写体として、撮像する。撮像部30は、固体撮像素子31および信号処理回路32を含む。固体撮像素子31には、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサなどを採用することができる。信号処理回路32は、固体撮像素子31から出力される信号に対して、A/D変換や、RGBフォーマットからYUVフォーマットへの変換などの各種信号処理を施し、制御装置100に出力する。本実施の形態では、画像解析部40および撮像画像信号補正部50に出力する。
【0023】
画像解析部40は、撮像部30から出力される撮像画像信号を解析する。画像解析部40は、スクリーン位置検出部41、辺比率算出部42、光量比率算出部43および補正値生成部44を含む。
【0024】
スクリーン位置検出部41は、撮像画像内のエッジを抽出することにより、当該撮像画像内に写ったスクリーン300の四辺(上辺、下辺、左辺および右辺)の位置を検出する。
【0025】
辺比率算出部42は、撮像画像内に写ったスクリーン300の対向する二辺(たとえば、左辺と右辺)のそれぞれの長さを測定し、それら二辺の長さの比率を算出する。投写部10から当該二辺のうちの一辺までの距離と、投写部10からその他辺までの距離との比率は、当該二辺の長さの比率の逆数となる。すなわち、辺の長さが短いほど、投写部10から当該辺までの距離が長いことを示す。
【0026】
光量比率算出部43は、辺比率算出部42により算出された比率にもとづいて、設置されているスクリーン300の、二辺のうちの一方の辺に投影された光量と、他方の辺に投影された光量との比率を算出する。各辺に投影された光量は、投写部10から各辺までの距離の二乗に反比例する。すなわち、投写部10から各辺までの距離が長いほど、各辺に投影された光量が少ないことを示す。投写部10から一辺までの距離と、投写部10から当該一辺と他辺との間に位置する画素までの距離との比率は、当該画素の座標位置から算出可能である。したがって、一辺に投影された光量と、当該画素に投影された光量との比率も算出可能である。
【0027】
補正値生成部44は、光量比率算出部43により算出された比率に応じて、各画素の補正値を生成する。本実施の形態では、各画素信号に乗算すべき補正ゲインを生成する。上記二辺間の各画素の反射光量(なお、投影光以外の外光は無視して考える)は、その一辺から他辺に向けて、グラデーション変化する。補正値生成部44は、このグラデーション変化をキャンセルまたは抑制するよう、各画素の補正ゲインを生成する。
【0028】
なお、各画素の輝度レベルを完全に一致させるための補正ゲインを生成してもよいし、各画素の輝度レベルの変化割合をより小さくするための補正ゲインを生成してもよい。前者の場合、最も輝度レベルが高い画素に、その他の画素の輝度レベルを合わせてもよいし、平均輝度レベルに、すべての画素の輝度レベルを合わせてもよい。これらの補正ゲインを算出するための関数は、当業者にとって容易に生成可能である。
【0029】
以上の処理により、スクリーン300の左右方向または上下方向の傾きを、信号処理上補償するための補正ゲインを生成することができる。もちろん、スクリーン300の左右方向および上下方向の両方の傾きを、一度に補償するための補正ゲインを生成することもできる。
【0030】
すなわち、辺比率算出部42は、撮像画像内に写ったスクリーン300の上辺、下辺、左辺および右辺のそれぞれの長さを測定し、上辺と下辺の長さの比率および左辺と右辺の長さの比率をそれぞれ算出する。光量比率算出部43は、上述した上辺と下辺の長さの比率にもとづいて、スクリーンの上辺に投影された光量と下辺に投影された光量との比率を算出し、上述した左辺と右辺の長さの比率にもとづいて、スクリーンの左辺に投影された光量と右辺に投影された光量との比率を算出する。
【0031】
補正値生成部44は、光量比率算出部43により算出された二つの比率に応じて、各画素の補正値を生成する。上述した上辺と下辺との間の各画素の反射光量は、上辺から下辺に向けて、グラデーション変化する。左辺と右辺についても同様である。補正値生成部44は、左右方向および上下方向の両方のグラデーション変化を同時にキャンセルまたは抑制するよう、各画素の補正ゲインを生成する。
【0032】
以下、図4、図5を参照しながら補正ゲイン生成の具体例を説明する。図4は、スクリーン300の画像が写った撮像画像の一例を示す図である。
【0033】
図4では、撮像部30がVGA(640×480)サイズで画像を撮像する例を描いている。スクリーン位置検出部41は、撮像画像内に写ったスクリーン300の四隅の頂点座標をそれぞれ検出し、辺比率算出部42は、当該スクリーン300の上辺、下辺、左辺および右辺のそれぞれの長さを測定する。ここでは、上辺が270画素、下辺が300画素、左辺が230画素および右辺が184画素である。
【0034】
下辺が上辺より長く、かつ左辺が右辺より長いため、スクリーン300の左下隅が投写部10から最も近く、右上隅が最も遠いことが分かる。上辺の下辺に対する比率は、270/300=9/10である。また、投写部10から上辺までの距離の、投写部10から下辺までの距離に対する比率は、その逆数の10/9である。投影光量は当該距離の二乗に反比例して減少するため、上辺の投影光量の、下辺の投影光量に対する比率は、1/(10/9)^2=0.81である。
【0035】
また、右辺の左辺に対する比率は、184/230=8/10である。また、投写部10から右辺までの距離の、投写部10から左辺までの距離に対する比率は、その逆数の10/8である。投影光量は当該距離の二乗に反比例して減少するため、右辺の投影光量の、左辺の投影光量に対する比率は、1/(10/8)^2=0.64である。
【0036】
図5は、図4に示したスクリーン位置における補正ゲインを示す図である。図5では、スクリーン300の左下隅以外の画素の輝度レベルを、左下隅の画素の輝度レベルに合わせている。左下隅の画素の輝度レベルは補正する必要がないため、その補正ゲインは1となる。一方、右上隅の画素の輝度レベルに対する補正ゲインは、上記の比率を使用して、(1/0.81)×(1/0.64)≒1.93となる。これらの結果を元に、補正値生成部44は、各スクリーン位置における補正ゲインを図5のように生成する。
【0037】
図3に戻る。撮像画像信号補正部50は、撮像画像内に写ったスクリーンの画像の輝度レベルが平坦化または均一化されるよう、撮像部30から出力される画素信号を、補正値生成部44により生成された補正値を用いて補正する。たとえば、各画素信号に、対応する各画素の上記補正ゲインを乗算する。撮像画像信号補正部50により輝度レベルが平坦化または均一化された画像信号は、台形歪み補正部60およびオートフォーカス調整部70に出力される。
【0038】
台形歪み補正部60は、スクリーン300に投影される画像の台形歪みを補正する。台形歪みは、スクリーン300と投写型映像表示装置200とが正対していない場合に発生する。たとえば、投写光の光軸が上向きにずれている場合、スクリーン300には上部が膨らんだ台形歪みが発生する。
【0039】
投写型映像表示装置200の起動時や、ユーザ操作により台形歪みの調整が指示されたとき、映像信号設定部84は、画像メモリ82から台形歪み調整用のテストパターンを読み出し、投写部10に投写させる。当該テストパターンは、たとえば、四角形(正方形、長方形、平行四辺形、菱形など)で形成される。撮像部30は、スクリーン300に投影されたテストパターンを撮像する。台形歪み補正部60は、撮像画像に写ったテストパターンの形状をもとに、台形歪みを検出し、その台形歪みがキャンセルされるよう、映像信号設定部84に設定すべき映像信号を補正する。
【0040】
図6は、実施の形態に係る台形歪み補正部60の構成を示す図である。台形歪み補正部60は、エッジ抽出部61、歪み検出部62および映像信号補正部63を含む。エッジ抽出部61は、上記テストパターンが写った撮像画像内からエッジを検出する。その際、エッジ抽出部61は、スクリーン位置検出部41から設定されるスクリーン領域の範囲内でエッジを抽出する。エッジは、所定の閾値を超える輝度レベル変化が発生した箇所で抽出される。
【0041】
歪み検出部62は、エッジ抽出により特定されるテストパターンの頂点座標から、上下左右のどちらの方向に、どの程度膨らんでいるかを特定する。映像信号補正部63は、スクリーン300に投影されたテストパターンの膨らみがキャンセルされるよう、映像信号設定部84に設定すべき映像信号を補正する。
【0042】
図7は、台形歪み補正を説明するための図である。図7(a)は、垂直台形歪み補正を示し、図7(b)は、水平台形歪み補正を示す。図7(a)では、投影画像PrIの上部が膨らんでいる。映像信号補正部63は、アスペクト比が維持された四角形がスクリーン300に投影されるよう、投影すべき映像の上端から下端に向けて、映像の横幅を徐々にスケールダウンする。図7(b)では、投影画像PrIの左部が膨らんでいる。映像信号補正部63は、アスペクト比が維持された四角形がスクリーン300に投影されるよう、投影すべき映像の左端から右端に向けて、映像の縦幅を徐々にスケールダウンする。
【0043】
オートフォーカス調整部70は、コントラスト検出法を用いて、フォーカスを合わせる。投写型映像表示装置200の起動時や、ユーザ操作によりオートフォーカス調整が指示されたとき、映像信号設定部84は、画像メモリ82からオートフォーカス調整用のテストパターンを読み出し、投写部10に投写させる。当該テストパターンは、たとえば、ストライプパターンやチェッカーフラグパターンで形成される。撮像部30は、スクリーン300に投影されたテストパターンを撮像する。オートフォーカス調整部70は、複数のレンズ位置にて、撮像部30によりそれぞれ撮像された当該テストパターンの鮮明度をもとに、フォーカスレンズ13の位置を決定する。
【0044】
図8は、実施の形態に係るオートフォーカス調整部70の構成を示す図である。オートフォーカス調整部70は、検出領域設定部71、ハイパスフィルタ72、積算部73およびレンズ位置決定部74を含む。検出領域設定部71は、撮像画像内にて、ハイパスフィルタ72による高周波成分の抽出対象となる検出領域を設定する。検出領域設定部71は、たとえば、スクリーン位置検出部41から設定されるスクリーン領域を、当該検出領域に設定してもよい。また、スクリーン領域内の一部の領域(たとえば、中央領域)を、当該検出領域に設定してもよい。
【0045】
ハイパスフィルタ72は、当該検出領域内の画像信号の、所定の閾値を超える高周波成分を抽出して、その抽出した高周波成分を積算部73に供給する。ハイパスフィルタ72は、水平方向に高周波成分を抽出してもよいし、水平方向および垂直方向の両方向に高周波成分を抽出してもよい。
【0046】
積算部73は、それぞれのレンズ位置にて、ハイパスフィルタ72により抽出された高周波成分を積算し、レンズ位置決定部74に供給する。なお、ハイパスフィルタ72により水平方向および垂直方向の両方向に高周波成分が抽出されている場合、積算部73は、両者の高周波成分を合算する。レンズ位置決定部74は、積算部73から供給される複数の積算値のうち、最大積算値が検出されたフォーカスレンズ13の位置を、合焦位置に決定する。
【0047】
図9は、フォーカスレンズ13の合焦位置の決定処理について説明するための図である。オートフォーカス機能が有効化されると、オートフォーカス調整部70は、映像信号設定部84にテストパターンの投写を指示するとともに、フォーカスレンズ13をニア側からファー側へまたはファー側からニア側へ、所定のステップ幅で順次、移動させるための制御信号を駆動信号設定部86に設定する。映像信号設定部84は、当該テストパターンの映像信号を光変調部12に設定し、駆動信号設定部86は、上記制御信号に応じた駆動信号をレンズ駆動部20に設定する。
【0048】
オートフォーカス調整部70は、フォーカスレンズ13の各レンズ位置において撮像された、テストパターンに含まれるシャープネス(上記積算値を用いることができる)を算出する。このシャープネスは、フォーカスレンズ13が合焦位置に近づくにつれ、上昇する。その上昇がピークをうち、下降に転換したとき、オートフォーカス調整部70は、その一つ前のレンズ位置を合焦位置に決定する。
【0049】
図3に戻る。画像メモリ82は、スクリーン300に投写すべき画像データを保持する。当該画像データは、図示しない外部インタフェースを介して、PCなどから供給される。本実施の形態では、台形歪み補正時やオートフォーカス調整時に投写されるテストパターンも保持する。映像信号設定部84は、画像メモリ82に保持される画像データにもとづく映像信号を光変調部12に設定する。映像信号設定部84は、台形歪み補正部60による台形歪み補正機能が有効な期間は、台形歪み補正部60から供給される台形歪み補正後の映像信号を光変調部12に設定する。駆動信号設定部86は、フォーカスレンズ13を、オートフォーカス調整部70から指示されるレンズ位置に移動させるための駆動信号をレンズ駆動部20に設定する。
【0050】
以上説明したように本実施の形態によれば、スクリーン300の傾きに起因する反射光量の不均一を、撮像画像信号を補正することにより、信号処理上、補償することができる。したがって、その補正後の撮像画像信号から、台形歪み検出用またはオートフォーカス調整用のテストパターンを抽出することにより、そのテストパターンの検出精度を向上させることができる。よって、台形歪み補正精度またはオートフォーカス調整精度を向上させることができる。
【0051】
図10は、本実施の形態の変形例1に係る投写型映像表示装置200の構成を示す図である。図11は、本実施の形態の変形例1に係る台形歪み補正部60の構成を示す図である。図12は、本実施の形態の変形例1に係るオートフォーカス調整部70の構成を示す図である。
【0052】
図10に示す投写型映像表示装置200の構成は、図3に示した投写型映像表示装置200と比較し、撮像画像信号補正部50が除去された構成である。その代わりに、台形歪み補正部60に閾値補正部64が追加され、オートフォーカス調整部70に閾値補正部75が追加された構成である。
【0053】
変形例1では、補正値生成部44により生成された補正値は、撮像画像信号補正部50ではなく、台形歪み補正部60内の閾値補正部64およびオートフォーカス調整部70内の閾値補正部75に設定される。変形例1の補正値には、上述した補正値のように、撮像されたスクリーン画像内の輝度レベルのグラデーション変化をキャンセルするための補正値ではなく、そのグラデーション変化そのものを表す補正値が用いられる。
【0054】
台形歪み補正部60に追加された閾値補正部64は、撮像画像内に写ったスクリーンの画像の輝度レベルが平坦であると擬制されるよう、撮像部30から出力される画像信号からエッジを検出するための閾値を、補正値生成部44により生成された補正値を用いて補正し、エッジ抽出部61に設定する。エッジ抽出部61がハイパスフィルタで構成される場合、各画素のフィルタ強度を補正する。通常、当該エッジを検出するための閾値はすべての画素で同じであるが、変形例1では、スクリーン画像内の輝度レベルのグラデーション変化に合わせて、スクリーン画像に対応した領域の当該エッジを検出するための閾値をグラデーション変化させる。
【0055】
オートフォーカス調整部700に追加された閾値補正部75は、撮像画像内に写ったスクリーンの画像の輝度レベルが平坦であると擬制されるよう、撮像部30から出力される画像信号の高周波成分を検出するための閾値を、補正値生成部44により生成された補正値を用いて補正し、ハイパスフィルタ72に設定する。すなわち、各画素ごとのフィルタ強度を補正する。通常、当該高周波成分を検出するための閾値はすべての画素で同じであるが、変形例1では、スクリーン画像内の輝度レベルのグラデーション変化に合わせて、スクリーン画像に対応した領域の当該高周波成分を検出するための閾値をグラデーション変化させる。
【0056】
以上説明したように変形例1によれば、撮像部30から出力される画像信号からエッジまたは高周波成分を検出するための閾値を、スクリーン画像内の輝度レベルのグラデーション変化に合わせて、グラデーション変化させることにより、スクリーンの画像の輝度レベルが平坦であると擬制することができる。したがって、上述した実施の形態で説明した撮像画像信号を補正する場合と同様の効果を奏する。
【0057】
図13は、本実施の形態の変形例2に係る投写型映像表示装置200の構成を示す図である。図13に示す投写型映像表示装置200の構成は、図3に示した投写型映像表示装置200と比較し、撮像画像信号補正部50が除去され、映像信号補正部83が追加された構成である。変形例2では、補正値生成部44により生成された補正値は、撮像画像信号補正部50ではなく、映像信号補正部83に設定される。変形例2の補正値には、上述した補正値と同様に、撮像されたスクリーンの画像内における輝度レベルのグラデーション変化をキャンセルするための補正値が用いられる。
【0058】
映像信号補正部83は、スクリーン面上に投影される光量が平坦化されるよう、スクリーンに投影すべき映像信号を、補正値生成部44により生成された補正値を用いて補正する。当該スクリーンに投影すべき映像信号として、主に、台形歪み検出用またはオートフォーカス調整用のテストパターンが該当する。映像信号補正部83は、当該テストパターンを、上記補正値を用いてグラデーション変化させる。これにより、スクリーン面上に投影されるテストパターンの各画素の光量が平坦化される。したがって、上述した実施の形態で説明した撮像画像信号を補正する場合と同様の効果を奏する。
【0059】
また、映像信号補正部83は、上記テストパターンではなく、実データにもとづく映像信号を、上記補正値を用いて補正してもよい。なお、光量の不均一は、形状の歪ほど、補正の必要を感じないユーザも多い。したがって、上記映像信号の補正を上記テストパターンに限る構成であってもよい。
【0060】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0061】
たとえば、スクリーン位置検出部41は、撮像画像内からスクリーン位置を検出する前に、簡易な投影光量の補正を行ってもよい。たとえば、スクリーン位置検出部41は、撮像部30により撮像された画像の輝度レベルを水平方向および垂直方向にモニタリングし、それらの輝度レベルが平坦化されるよう、映像信号設定部84に設定すべき映像信号を補正する。ここでの補正は、上述した補正のように厳密なものではなく、ラフなものでよい。たとえば、撮像画像内の上部と下部とで輝度レベルの差が所定の設定値より大きい場合、輝度レベルが小さい方の領域の映像信号を増大させる。左部と右部との間でも同様である。これにより、撮像画像内のスクリーン画像の検出精度を高めることができる。スクリーン画像が正確に検出されれば、上述した実施の形態に係る補正処理により、スクリーンの傾斜を正確に検出することができる。
【0062】
図5で説明した傾斜スクリーン位置における補正ゲインの例では、投写部から画素までの距離比が、スクリーンの一辺から対辺に向かうにつれて線形に変化すると仮定して補正ゲインを演算したものである。代替的に、正対したスクリーンと傾斜スクリーンの位置関係を考慮して傾斜スクリーン位置における補正ゲインを演算してもよい。この演算方法について、図14を用いて説明する。
【0063】
図14は、投写型映像表示装置200と、正対スクリーン400と、傾斜スクリーン410との位置関係を上面から観察した様子を示す図である。投写型映像表示装置200の投影口Mから投影される光量は、ゲイン補正をしない状態では、正対スクリーン400上の点A、Bv、Cv、Dv、Evで同一の輝度となるように調整されている。たとえスクリーン400が投影口Mに対して正対していても、投影口からスクリーン中心点Cvまでの距離と、スクリーン端の点AおよびEvまでの距離とは異なるが、この距離差を補正した光量が予め設定されていることとする。このような補正は、一般的なシェーディング補正で行うことができる。
【0064】
この状態で正対スクリーン400の代わりに傾斜スクリーン410を配置すると、正対スクリーン上の点Bv、Cv、Dv、Evは、傾斜スクリーン上の点Br、Cr、Dr、Erとしてそれぞれ投影される。図から明らかなように、投影口Mから傾斜スクリーン上の点Br〜Erまでの距離は、初期設定されている正対スクリーン上の点Bv〜Evまでの距離とは異なる。したがって、補正値生成部44は、投影口Mから正対スクリーン400上の各点までの距離Lvと、投影口Mから傾斜スクリーン410上の各点までの距離Lrとの距離比を求めることで、補正ゲインを算出することができる。
【0065】
この距離比は、以下のような手順で求められる。図14において、投影口Mを原点としたx−y直交座標を考える。そして、正対スクリーンがy=b、傾斜スクリーンがy=ax+c(a〜cは実数)の直線で表せるとする。正対スクリーン上への投影は等間隔になされるので、投影口Mから正対スクリーン上の点(図では点Dv)までの距離Lvは、三平方の定理から求められる。点Dvに対応する傾斜スクリーン上の点Drまでの距離Lrは、投影口Mと点Dvを結ぶ直線と、傾斜スクリーンを表す直線y=ax+bとの交点から求めることができる。このようにして、正対スクリーン上の各点に対する補正ゲイン=Lr/Lvを演算することができる。図15は、傾斜スクリーン位置における補正ゲインのx−y平面上分布の例を示しており、図中左下の点がスクリーンの左端に相当する。図から分かるように、補正ゲインは、スクリーンの左端から右端に向けて二次関数的に増加する形となる。
【符号の説明】
【0066】
10 投写部、 11 光源、 12 光変調部、 13 フォーカスレンズ、 20 レンズ駆動部、 30 撮像部、 31 固体撮像素子、 32 信号処理回路、 40 画像解析部、 41 スクリーン位置検出部、 42 辺比率算出部、 43 光量比率算出部、 44 補正値生成部、 50 撮像画像信号補正部、 60 台形歪み補正部、 61 エッジ抽出部、 62 歪み検出部、 63 映像信号補正部、 64 閾値補正部、 70 オートフォーカス調整部、 71 検出領域設定部、 72 ハイパスフィルタ、 73 積算部、 74 レンズ位置決定部、 75 閾値補正部、 82 画像メモリ、 83 映像信号補正部、 84 映像信号設定部、 86 駆動信号設定部、 100 制御装置、 200 投写型映像表示装置、 300 スクリーン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンに映像を投写する投写部と、前記スクリーンを撮像するための撮像部と、を備える投写型映像表示装置に搭載されるべき制御装置であって、
前記撮像部により撮像された画像内に写ったスクリーンの対向する二辺のそれぞれの長さを測定し、それら二辺の長さの比率を算出する辺比率算出部と、
前記辺比率算出部により算出された比率にもとづいて、設置されているスクリーンの、前記二辺のうちの一方の辺に投影された光量と、他方の辺に投影された光量との比率を算出する光量比率算出部と、
前記光量比率算出部により算出された比率に応じた補正値を生成する補正値生成部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記撮像部により撮像された画像内に写ったスクリーンの画像の輝度レベルが平坦化されるよう、前記撮像部から出力される画素信号を、前記補正値を用いて補正する撮像画像信号補正部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記撮像部により撮像された画像内に写ったスクリーンの画像の輝度レベルが平坦であると擬制されるよう、前記撮像部から出力される画像信号からエッジまたは高周波成分を検出するための閾値を、前記補正値を用いて補正する閾値補正部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記スクリーン面上に投影される光量が平坦化されるよう、前記スクリーンに投影すべき映像信号を、前記補正値を用いて補正する映像信号補正部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記辺比率算出部は、前記撮像部により撮像された画像内に写ったスクリーンの上辺、下辺、左辺および右辺のそれぞれの長さを測定し、上辺と下辺の長さの比率および左辺と右辺の長さの比率をそれぞれ算出し、
前記光量比率算出部は、前記上辺と下辺の長さの比率にもとづいて、前記スクリーンの上辺に投影された光量と下辺に投影された光量との比率を算出し、前記左辺と右辺の長さの比率にもとづいて、前記スクリーンの左辺に投影された光量と右辺に投影された光量との比率を算出し、
前記補正値生成部は、前記光量比率算出部により算出された二つの比率に応じた補正値を生成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
スクリーンに映像を投写する投写部と、
前記スクリーンを撮像するための撮像部と、
請求項1から5のいずれかに記載の制御装置と、
を備えることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項1】
スクリーンに映像を投写する投写部と、前記スクリーンを撮像するための撮像部と、を備える投写型映像表示装置に搭載されるべき制御装置であって、
前記撮像部により撮像された画像内に写ったスクリーンの対向する二辺のそれぞれの長さを測定し、それら二辺の長さの比率を算出する辺比率算出部と、
前記辺比率算出部により算出された比率にもとづいて、設置されているスクリーンの、前記二辺のうちの一方の辺に投影された光量と、他方の辺に投影された光量との比率を算出する光量比率算出部と、
前記光量比率算出部により算出された比率に応じた補正値を生成する補正値生成部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記撮像部により撮像された画像内に写ったスクリーンの画像の輝度レベルが平坦化されるよう、前記撮像部から出力される画素信号を、前記補正値を用いて補正する撮像画像信号補正部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記撮像部により撮像された画像内に写ったスクリーンの画像の輝度レベルが平坦であると擬制されるよう、前記撮像部から出力される画像信号からエッジまたは高周波成分を検出するための閾値を、前記補正値を用いて補正する閾値補正部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記スクリーン面上に投影される光量が平坦化されるよう、前記スクリーンに投影すべき映像信号を、前記補正値を用いて補正する映像信号補正部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記辺比率算出部は、前記撮像部により撮像された画像内に写ったスクリーンの上辺、下辺、左辺および右辺のそれぞれの長さを測定し、上辺と下辺の長さの比率および左辺と右辺の長さの比率をそれぞれ算出し、
前記光量比率算出部は、前記上辺と下辺の長さの比率にもとづいて、前記スクリーンの上辺に投影された光量と下辺に投影された光量との比率を算出し、前記左辺と右辺の長さの比率にもとづいて、前記スクリーンの左辺に投影された光量と右辺に投影された光量との比率を算出し、
前記補正値生成部は、前記光量比率算出部により算出された二つの比率に応じた補正値を生成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
スクリーンに映像を投写する投写部と、
前記スクリーンを撮像するための撮像部と、
請求項1から5のいずれかに記載の制御装置と、
を備えることを特徴とする投写型映像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図5】
【公開番号】特開2011−176629(P2011−176629A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39255(P2010−39255)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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