説明

制御装置及び制御プログラム

【課題】消費電力やコスト、環境負荷を効率的に低減するために必要な情報を提示することができる制御装置及び制御プログラムの提供。
【解決手段】制御装置を、印刷装置及び表示装置の装置情報を記憶する記憶部と、前記印刷装置の装置情報に基づいて、前記印刷装置で文書を印刷する際に消費する電力量、前記文書の印刷に要する金銭コスト、及び、前記電力量又は前記金銭コストに対応するCO排出量、の少なくとも1つの印刷コストを算出する算出部と、前記表示装置の装置情報に基づいて、前記印刷コストを、前記表示装置で前記文書を表示する際の表示時間に換算する表示時間換算部と、表示部に、前記印刷コストと前記表示時間とを比較可能に表示させる制御部と、を少なくとも有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置及び制御プログラムに関し、特に、消費電力やコスト、環境負荷を参照して出力を選択することができる制御装置及び当該制御装置で動作する制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コストや環境に対する意識の高まりから、電気機器においては低消費電力、低コスト、環境負荷の低減を考慮した設計が求められている。例えば、機器が消費する電力やコストなどを表示して、電力やコストを節約できるようにした装置なども市場に出回っている。
【0003】
また、電力コストを安くする方法として、例えば、下記特許文献1には、電力の単価に関する情報を電力単価情報として保持する保持手段と、通信回線を介し、定期的に電力の単価に関する情報を取得して前記電力単価情報を更新する更新手段と、画像形成ジョブを受け付ける受付手段と、前記電力単価情報に基づき、前記受け付けた画像形成ジョブの実行に必要な電力料金を算出する電力料金算出手段と、所定の許容電力料金と前記画像形成ジョブの実行に必要な電力料金とを比較して、当該画像形成ジョブを実行するか待機させるかを決定するジョブ実行決定手段と、実行すると決定された画像形成ジョブを実行する画像形成ジョブ実行手段とを備えた画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−47760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、近年、電子ペーパーやタブレット端末、モバイルフォンなどの比較的大きな画面を備えた表示装置が普及しており、この表示装置では、情報の閲覧、編集が可能であることから、会議の資料等を紙媒体に印刷して出力するかわりに、会議の参加者の表示装置に電子データを送信して、画面上で資料等を閲覧させることも行われている。このような場合には、会議の資料等を印刷装置に印刷させるか、表示装置に表示させるかを適切に選択することによって、消費電力やコスト、環境負荷を低減することができる。
【0006】
しかしながら、印刷と表示のような複数種類の出力形態がある場合において、複数種類の出力形態を比較できるようにする情報を提示するシステムはないため、消費電力やコスト、環境負荷を効率的に低減することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、消費電力やコスト、環境負荷を効率的に低減するために必要な情報を提示することができる制御装置及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の制御装置は、印刷装置及び表示装置の装置情報を記憶する記憶部と、前記印刷装置の装置情報に基づいて、前記印刷装置で文書を印刷する際に消費する電力量、前記文書の印刷に要する金銭コスト、及び、前記電力量又は前記金銭コストに対応するCO排出量、の少なくとも1つの印刷コストを算出する算出部と、前記表示装置の装置情報に基づいて、前記印刷コストを、前記表示装置で前記文書を表示する際の表示時間に換算する表示時間換算部と、表示部に、前記印刷コストと前記表示時間とを比較可能に表示させる制御部と、を少なくとも有するものである。
【0009】
また、本発明は、制御装置で動作する制御プログラムであって、前記制御装置を、予め記憶した印刷装置の装置情報に基づいて、前記印刷装置で文書を印刷する際に消費する電力量、前記文書の印刷に要する金銭コスト、及び、前記電力量又は前記金銭コストに対応するCO排出量、の少なくとも1つの印刷コストを算出する算出部、予め記憶した表示装置の装置情報に基づいて、前記印刷コストを、前記表示装置で前記文書を表示する際の表示時間に換算する表示時間換算部、表示部に、前記印刷コストと前記表示時間とを比較可能に表示させる制御部、として機能させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の制御装置及び制御プログラムによれば、消費電力やコスト、環境負荷を効率的に低減するために必要な情報を提示することができる。
【0011】
その理由は、制御装置(制御プログラム)は、印刷と表示とで出力が可能な場合において、印刷した場合の消費電力や金銭コスト、CO排出量などを算出し、その値を表示する場合の表示可能時間に換算し、両者を比較可能に表示する制御を行うからである。
【0012】
このように、制御装置が、消費電力、金銭コスト、環境負荷(CO排出量)を考慮した代替案(例えば、電子データとしての閲覧)を提供することで、ユーザはその利用状況に応じて、最適な出力形態を選択することが可能となり、消費電力や金銭コスト、環境負荷を効率的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施例に係る画像形成システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置に記憶される管理テーブルの一例である。
【図4】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の制御動作(ジョブ処理)を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の制御動作(管理情報設定処理)を示すフローチャート図である。
【図6】本発明の第2の実施例に係る画像形成装置の制御動作(ジョブ処理)を示すフローチャート図である。
【図7】本発明の第3の実施例に係る画像形成装置の制御動作(ジョブ処理)を示すフローチャート図である。
【図8】本発明の第4の実施例に係る画像形成装置の制御動作(ジョブ処理)を示すフローチャート図である。
【図9】本発明の第5の実施例に係る画像形成装置の制御動作(ジョブ処理)を示すフローチャート図である。
【図10(a)】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置に表示される画面の一例(表示時間換算表示例)を示す図である。
【図10(b)】本発明の第2の実施例に係る画像形成装置に表示される画面の一例(表示時間換算表示例)を示す図である。
【図10(c)】本発明の第3の実施例に係る画像形成装置に表示される画面の一例(表示時間換算表示例)を示す図である。
【図10(d)】本発明の第4の実施例に係る画像形成装置に表示される画面の一例(推奨表示例)を示す図である。
【図10(e)】本発明の第5の実施例に係る画像形成装置に表示される画面の一例(表示時間換算表示例)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
背景技術で示したように、近年の装置には消費電力やコスト、環境負荷を低減する施策が求められており、消費電力やコストなどを表示する装置(例えば、空調機器)などが提供されている。しかしながら、従来の装置は、単一の出力形態で出力する場合の消費電力やコストなどを表示するのみであり、複数の出力形態で出力可能な状態において、複数の出力形態を比較できるようにする情報を提示するものではないため、どの出力形態で出力すれば、より消費電力やコスト、環境負荷を低減できるかを判断することはできなかった。
【0015】
特に、複合機(MFP:Multi Function Peripheral)のような画像形成装置は、消費電力が大きく、様々な消耗品を使用するため、消費電力やコスト、環境負荷を低減するための施策が必要である。また、複合機では、文書を印刷するだけでなく、文書の電子データを送信することもできるため、出力形態を適切に選択することによって、消費電力やコスト、環境負荷を低減することが可能である。
【0016】
例えば、長時間の会議に使用する資料の場合は、資料を長時間表示するよりも、印刷した方が消費電力やコスト、環境負荷を低減することができると考えられる。一方、資料のページ数の多い場合や会議の参加者が多い場合は、資料を大量に印刷するよりも表示した方が消費電力やコスト、環境負荷を低減することができると考えられる。しかしながら、印刷と表示のような複数種類の出力形態を比較できるようにする情報は提示されないため、消費電力やコスト、環境負荷を効率的に低減することができないという問題があった。
【0017】
そこで、本発明の一実施の形態では、印刷と表示のような複数種類の出力形態が選択可能なシステムにおいて、ユーザが一方の出力形態での出力を指示(例えば、印刷を指示)する時、制御装置(制御プログラム)は、一方の出力形態で出力した際に環境に影響を与える指標(例えば、消費電力や金銭コスト、CO排出量など、これらを総称して印刷コストと呼ぶ。)を、他方の出力形態で出力したときのコスト(例えば、表示可能時間)に換算して提示し、より消費電力や金銭コスト、環境負荷を低減できる出力形態を選択できるようにする。
【0018】
これにより、ユーザは、画像形成装置で印刷した方がよいか、表示装置で閲覧した方がよいかを適切に判断することができ、消費電力や金銭コスト、環境負荷を効率的に低減することができる。なお、本発明は、複数の出力形態に対して適用可能であるが、以下の実施例では、印刷と表示を例にして説明する。
【実施例1】
【0019】
上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の第1の実施例に係る制御装置及び制御プログラムについて、図1乃至図5及び図10(a)を参照して説明する。図1は、本実施例の画像形成システムの構成を模式的に示す図であり、図2は、画像形成装置の構成を示すブロック図、図3は、画像形成装置に記憶される管理テーブルの一例である。また、図4及び図5は、本実施例の画像形成装置の制御動作を示すフローチャート図であり、図10(a)は、画像形成装置に表示される画面の一例を示す図である。
【0020】
図1に示すように、本実施例の画像形成システムは、1台の画像形成装置1と1又は複数台のクライアント端末2とで構成され、これらはLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などの通信ネットワーク3で互いに接続されている。
【0021】
画像形成装置1は、例えば、デジタル式の複写機であって、画像読取部と画像形成部を備え、通常のコピー機能のほか、クライアント端末2からの要求に応じてプリントジョブを実行するプリント機能を有している。なお、本明細書において、「画像形成ジョブ」という場合には、コピージョブとプリントジョブを含むものとし、以下では単に「ジョブ」とのみ表記する場合もある。
【0022】
また、クライアント端末2は、例えば、コンピュータ装置やタブレット端末、モバイルフォン、電子ペーパーなどであって、表示部を備え、画像形成装置1から取得した電子データに基づく文書を表示する機能を有している。
【0023】
なお、本実施例では、画像形成装置1が、クライアント端末2から装置情報を取得し、文書を印刷する場合とクライアント端末2に文書を表示する場合のコストを算出して比較可能に表示する構成とするが、通信ネットワーク3に制御装置(例えば、プリンタコントローラやコンピュータ装置)を接続し、制御装置が画像形成装置1とクライアント端末2から装置情報を取得し、画像形成装置1で文書を印刷する場合の印刷コストとクライアント端末2に文書を表示する場合のコストを算出して比較可能に表示する構成としてもよい。
【0024】
次に、画像形成装置1の構成について説明する。本実施例の画像形成装置1は、図2に示すように、マシン部10、ジョブ実行管理部20、操作インターフェース部30などに大別される。
【0025】
[マシン部]
マシン部10は、マシン本体とその制御に関わる機能ブロック部であり、画像形成制御部11、記憶部12、外部通信部13、画像読取部14、画像形成部15などで構成される。
【0026】
画像形成制御部11は、主にCPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリとで構成され、ROM内の制御プログラムに基づき画像読取部14や画像形成部15の動作を制御して、各種のジョブを円滑に実行させる。
【0027】
記憶部12は、不揮発性のメモリなどからなり、画像形成すべき画像データを一旦格納すると共に、後述する管理テーブルを保持する。
【0028】
外部通信部13は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどのインターフェースであり、イーサネット(登録商標)などの規格に基づいて、クライアント端末2との通信を行う。
【0029】
画像読取部14は、原稿台上の原稿用紙から画像データを光学的に読み取る部分であり、原稿を走査する光源と、原稿で反射された光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Devices)等のイメージセンサと、電気信号をA/D変換するA/D変換器等により構成される。
【0030】
画像形成部15は、画像読取部14で生成された画像データもしくはクライアント端末2から受信したプリントジョブに係る画像データに基づき、記録シート上に画像を形成する。具体的には、帯電装置により帯電された感光体ドラムに露光装置から画像に応じた光を照射して静電潜像を形成し、現像装置で帯電したトナーを付着させて現像し、そのトナー像を転写ベルトに1次転写し、転写ベルトから紙媒体に2次転写し、更に定着装置で紙媒体にトナー像を定着させる処理を行う。
【0031】
[ジョブ実行管理部]
ジョブ実行管理部20は、ジョブの制御に関わる機能ブロック部であり、主にCPUと、RAMやROMなどのメモリとで構成される。そして、ROMに記憶され、CPUで実行される制御プログラムは、ジョブ実行制御部21、表示時間換算部22、電力量算出部23、CO排出量算出部24、金銭コスト算出部25などとして機能する。
【0032】
ジョブ実行制御部21は、新規に受け付けたジョブもしくは待機中のジョブについて、実行制御を行う。また、表示・操作制御部31からの指示に基づいて、ジョブの実行を切り替える制御を行う。また、ジョブ実行制御部21は、ユーザに提示するための情報を取得するための制御を行う。具体的には、電力量算出部23、CO排出量算出部24、金銭コスト算出部25から、文書を印刷するために必要な電力量、CO排出量、金銭コストを取得すると共に、表示時間換算部22から、文書を表示可能な時間を取得し、それらを比較するための情報を表示・操作制御部31に通知する。
【0033】
表示時間換算部22は、ジョブを実行するために費やすと想定される電力量(電力コスト)、CO排出量(環境コスト)、金銭コストから、画像形成装置1に予め登録されているクライアント端末2に表示させた場合の表示可能時間を算出する。
【0034】
電力量算出部23は、受け付けたジョブに対し、事前に画像形成装置1が動作するために費やすと想定される電力量を算出する。
【0035】
CO排出量算出部24は、受け付けたジョブに対し、事前に画像形成装置1が動作するために排出すると想定されるCO排出量を算出する。
【0036】
金銭コスト算出部25は、受け付けたジョブに対し、事前に画像形成装置1が動作するために費やすと想定される金銭コストを算出する。
【0037】
なお、本実施例では、ジョブ実行管理部20の機能を理解しやすくするために、ジョブ実行制御部21、表示時間換算部22、電力量算出部23、CO排出量算出部24、金銭コスト算出部25に分けているが、ジョブ実行管理部20の構成は適宜変更可能である。例えば、電力量算出部23、CO排出量算出部24、金銭コスト算出部25をまとめて印刷コスト算出部などとしてもよいし、電力量算出部23、CO排出量算出部24、金銭コスト算出部25、表示時間換算部22をジョブ実行制御部21に包含させてもよい。
【0038】
[操作インターフェース部]
操作インターフェース部30は、ユーザとのインターフェース(表示、操作)に関する機能ブロック部であり、表示・操作制御部31、操作部32、表示部33などで構成される。
【0039】
表示・操作制御部31は、主にCPUと、RAMやROMなどのメモリとで構成され、画像形成制御部11やジョブ実行制御部21と連繋し、操作部32で受け付けた指示をジョブ実行制御部21、画像形成制御部11に伝え、あるいは、表示部33の表示内容を制御する。
【0040】
操作部32は、ユーザが所定の入力をするためのテンキーやスタートキーなどのボタン類を備えている。
【0041】
表示部33は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(electroluminescence)ディスプレイなどであり、ユーザに対し必要な表示を行う。一方、画面表面にタッチパネルが積層されてパネルキーとしても動作し、この限りで上記操作部32の一部を兼ねている。通常、上記操作部32と表示部33を合わせて操作パネルとして、画像形成装置1のユーザが操作しやすい位置に設置される。
【0042】
なお、本実施例では、画像形成装置1に、マシン部10とジョブ実行管理部20と操作インターフェース部30とを備える構成とするが、ジョブ実行管理部20とマシン部10とが分離した構成(すなわち、マシン部10(又はマシン部10及び操作インターフェース部30)を印刷装置とし、ジョブ実行管理部20(又はジョブ実行管理部20及び操作インターフェース部30)を印刷装置を制御する制御装置とする構成)としてもよい。
【0043】
次に、上記構成の画像形成装置1が電力量やCO排出量、金銭コスト、表示可能時間などを算出する際に参照する管理テーブルについて、図3を参照して説明する。
【0044】
図3(a)は、機器属性テーブルであり、電子データを表示するためのクライアント端末2を登録するための管理テーブルである。登録される項目は、機器名称、識別番号、消費電力、属性などである。この属性は、クライアント端末2が個人利用端末か否かを判断するための情報である。
【0045】
図3(b)は、ユーザ管理テーブルであり、画像形成装置1を操作しているユーザを管理するためのテーブルである。登録される項目は、ユーザ識別番号、氏名、個人利用機器などである。このテーブルは、ユーザが利用しているクラインアント端末2を特定する際に参照される。
【0046】
図3(c)は、印刷属性テーブルであり、ジョブの実行条件を管理するテーブルである。画像形成装置1は、この情報に基づいて各種指標の算出を行う。登録される項目は、ジョブ識別番号、色指定、ページ集約、解像度、用紙サイズ、給紙口、用紙枚数、用紙種別、両面、フィニッシャー、部数、閲覧予定時間などである。
【0047】
図3(d)は、ジョブの環境負荷管理テーブルであり、ジョブ実行に費やすと推定される消費電力量、CO排出量、金銭コストを保持する。この値は、電力量算出部23、CO排出量算出部24及び金銭コスト算出部25により算出される。登録される項目は、消費電力量(Wh)、CO排出量(g)、コスト(円)などである。
【0048】
図3(e)は、電力量の算出テーブルの一例であり、画像形成装置1は、このテーブルに基づいて取得した印刷条件から算出し電力量を算出する。例えば、画像形成部、給紙部は動作、種別毎に決定される単位電力量から、印刷条件(動作モード)を加味した係数と印刷枚数により求める。フィニッシャー部は、種別毎に決定される単位電力量から、動作回数と部数により求める。なお、この算出方法は一例であり、他の算出方法を採用してもよい。
【0049】
図3(f)は、金銭コスト、CO排出量の算出テーブルの一例であり、画像形成装置1は、表示可能時間に換算するための単位量あたりの金銭コスト、CO排出量を取得する。登録される項目は、種別、単位、コスト(円)、CO排出量(g)などである。
【0050】
以下、本実施例の画像形成装置1の動作について説明する。図4は、本実施例の画像形成装置1の制御動作(ジョブ処理)の一例を示すフローチャート図である。
【0051】
まず、ジョブ処理を開始すると、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、ユーザからのコピー指示を受け付ける前に、ユーザの認証を行う(S101)。認証方法としては、ユーザから操作部32を通じて入力されるユーザ名やパスワードが、画像形成装置1に記憶されている情報と一致するかどうかに基づいて判断する方法が一般的であるが、ICカードを利用した認証方法などの他の方法を用いてもよい。また、認証サーバを通信ネットワーク3に接続し、複数台の装置への認証を一元管理するようにしてもよい。そして、ユーザが特定されると、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、図3(b)のユーザ管理テーブルから、氏名、個人利用機器の情報を取得する。
【0052】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、ユーザが操作部32で設定した印刷条件を取得する(S102)。なお、この印刷条件は、クライアント端末2上から通信ネットワーク3を通じて取得してもよい。この印刷条件に含まれる情報に基づいて、ジョブ実行管理部20は、ジョブを実行した場合に想定される消費電力量を算出するための印刷属性テーブル(図3(c)参照)を構成する。通常、コピー動作では原稿用紙の読み込みと印刷動作とが並行して行われるが、本実施例の場合は、印刷動作を開始する前に印刷のための想定電力量を算出するため、全ての原稿用紙を読み込む動作となる。
【0053】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(電力量算出部23)は、S102で取得した印刷条件を元に、印刷に必要な電力量を計算し、図3(d)のテーブルに保持する(S103)。電力量の求め方は、図3(e)の印刷動作における消費電力算出テーブルに示すように、各印刷動作における単位電力量を予め保持しておき、ジョブの動作モード、印刷枚数からジョブの印刷動作に費やす想定電力量を算出する。
【0054】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、ログインユーザに関連づけられているクライアント端末2の消費電力を、図3(a)の機器属性テーブルから取得する(S104)。
【0055】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(表示時間換算部22)は、S103で算出した印刷動作における想定電力量を、S104で取得したクライアント端末2の消費電力で電子データとして表示可能な時間に換算する(S105)。例えば、クライアント端末Aの消費電力が3W、印刷のための消費電力量が60Whとすると、クライアント端末Aで表示可能な時間は、60/3=20時間となる。
【0056】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(ジョブ実行制御部21)は、S103で電力量算出部23が算出した印刷のための電力量と、S105で表示時間換算部22が算出した表示可能時間を表示・操作制御部31に通知し、表示・操作制御部31はこれらの情報を記載した画面を表示部33に表示させて、ユーザに通知する(S106)。これらの情報に基づき、印刷動作をするか、スキャン画像の保存をするのかをユーザに選択させる。この表示時間換算結果の表示例を図10(a)に示す。
【0057】
次に、ユーザは、ジョブを継続させるために印刷動作をするか、電子データとして扱うかを操作部32により選択する(S107)。画像形成装置1(画像形成制御部11)は、この結果に従って、次の動作を決定する。
【0058】
ユーザの選択が印刷動作であれば、画像形成装置1(画像形成制御部11)は、画像形成部15(エンジン)を立ち上げ、ジョブの印刷動作を開始する(S108)。
【0059】
ユーザの選択がスキャン動作であれば、画像形成装置1(画像形成制御部11)は、画像形成部15(エンジン)を立ち上げないで、スキャン画像の保存をするための制御に切り替える(S109)。なお、電子データの保存処理や送信処理は、画像形成装置1が有する機能(BOX、Scan to XX)に従って行う。
【0060】
次に、上記制御を行うために必要な設定情報を登録する手順について、図5のフローチャート図を参照して説明する。この登録処理は、画像形成装置1の操作部32から行ってもよいし、クライアント端末2から通信ネットワーク3を通じて行ってもよい。また、複数台の装置へ設定情報を適用するために、専用のサーバを通信ネットワーク3に接続し、このサーバで一元管理をする構成としてもよい。また、この登録処理は、情報を登録するための権限が与えられた管理者が一元的に行うようにしてもよく、新規登録のほか、登録後の内容変更、内容削除もできるようにすることができる。
【0061】
画像形成装置1は、ユーザからの登録指示を取得し、クライアント端末2の登録要求かどうかを判定する(S201)。端末の登録要求の場合、画像形成装置1は、クライアント端末2の登録処理を実施する(S201)。具体的には、ユーザから登録するクライアント端末2の名称、消費電力を取得し、図3(a)の機器属性テーブルを更新する。
【0062】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、ユーザからの登録指示を取得し、ユーザ情報の登録要求かどうかを判定する(S203)。ユーザ情報の登録要求の場合、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、ユーザ情報の登録処理を実施する(S204)。具体的には、ユーザからユーザ識別番号、氏名、個人利用機器を取得し、図3(b)のユーザ管理テーブルを更新する。
【0063】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、ユーザからの登録指示を取得し、モードの登録要求かどうかを判定する(S205)。モードの登録要求の場合、画像形成装置1は、モードの登録処理を実施する(S206)。具体的には、ユーザからモード名称、ユーザ、登録機器、想定表示時間、メール配信の有無を取得し、図3(e)の印刷動作における消費電力量算出テーブルを更新する。
【0064】
以上説明したように、画像形成装置1で印刷する場合の消費電力と、クライアント端末2で表示する場合の表示可能時間とを比較可能に表示することにより、ユーザは印刷と表示のどちらがよいかを適切に判断することができる。
【実施例2】
【0065】
次に、本発明の第2の実施例に係る制御装置及び制御プログラムについて、図6及び図10(b)を参照して説明する。図6は、本実施例の画像形成装置の制御動作を示すフローチャート図であり、図10(b)は、画像形成装置に表示される画面の一例を示す図である。なお、画像形成装置及び管理テーブルの構成は前記した第1の実施例と同様であるため、説明は省略する。
【0066】
前記した第1の実施例では、消費電力量から表示可能時間を算出する場合の動作について説明したが、印刷と表示をより正確に比較できるようにするために、用紙や消耗品の金銭コストを加味することもできる。この場合、印刷に必要な電力(電力コスト)と用紙、消耗品の金銭コストを算出し、これらを合算したコストと同じとなるクライアント端末2上での表示可能時間に換算することになる。以下、図6のフローチャート図を参照して説明する。なお、図4のフローチャート図と同じ部分は簡潔に説明する。
【0067】
まず、図4と同様に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、ユーザからのコピー指示を受け付ける前に、ユーザの認証を行う(S301)。そして、ユーザが特定されると、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、図3(b)のユーザ管理テーブルから、氏名、個人利用機器の情報を取得する。
【0068】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、ユーザが設定した印刷条件を取得する(S302)。そして、この印刷条件に含まれる情報に基づいて、ジョブ実行管理部20は、ジョブを実行した場合に想定される消費電力量を算出するための印刷属性テーブル(図3(c)参照)を構成する。
【0069】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(電力量算出部23)は、S302で取得した印刷条件を元に、印刷に必要な電力量を計算し、図3(d)のテーブルに保持する。そして、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(金銭コスト算出部25)は、図3(f)のコスト、CO排出量算出テーブルを参照して、印刷に必要な電力量を金銭コストに換算する(S303)。
【0070】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(金銭コスト算出部25)は、印刷に要する用紙及び消耗品の金銭コストを算出する(S304)。具体的には、金銭コスト算出部25は、S302で取得した印刷条件を元に、図3(f)のコスト、CO排出量算出テーブルを参照して、印刷に必要な用紙、消耗品に対する金銭コストを計算し、S303で求めた金銭コストを加算して、図3(d)のテーブルに保持する。
【0071】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、ログインユーザに関連づけられているクライアント端末2の消費電力を図3(a)の機器属性テーブルから取得する(S305)。
【0072】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(表示時間換算部22)は、想定電力量のコスト(電力コスト)と用紙、消耗品の金銭コストを合算した、印刷におけるコストとクライアント端末2上に電子データとして表示するコストとが一致するときの表示可能時間を求める(S306)。例えば、クライアント端末Aの消費電力が3W、印刷のための消費電力量が60Wh、普通用紙10枚(=100g)、トナー消費1gとすると、クライアント端末Aで表示可能な時間は、図3(f)のテーブルを参照して、次のように求めることができる。
【0073】
印刷のための電力コストは、44×(60/1000)=2.6円、
印刷のための用紙コストは、200×(100/1000)=20円、
印刷のためのトナーコストは、10円、
合計コストは、32.6円((1)+(2)+(3))となる。
【0074】
上記合計コストを全て電力量に変換すると、
1000×32.6/44=741Wh、となり、
クライアント端末A(消費電力3W)で上記全ての電力量で表示可能時間は、
741/3=247時間、となる。
【0075】
なお、ここでは、消耗品として、用紙、トナーを考慮したが、本明細書において、その他の消耗品であるイメージカートリッジや定着器のコストなどを加味してもよい。
【0076】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(ジョブ実行制御部21)は、S304で金銭コスト算出部25が算出した印刷のためのコスト(合計コスト)と、S306で表示時間換算部22が算出した表示可能時間を表示・操作制御部31に通知し、表示・操作制御部31はこれらの情報を記載した画面を表示部33に表示させて、ユーザに通知する(S307)。この情報に基づき、印刷動作をするか、スキャン画像の保存をするのかをユーザに選択させる。この表示時間換算結果の表示例を図10(b)に示す。
【0077】
次に、ユーザは、ジョブを継続させるために印刷動作をするか、電子データとして扱うかの選択を操作部32から選択する(S308)。画像形成装置1(画像形成制御部11)は、この結果に従って、次の動作を決定する。
【0078】
ユーザの選択が印刷動作であれば、画像形成装置1(画像形成制御部11)は、画像形成部15(エンジン)を立ち上げジョブの印刷動作を開始する(S309)。一方、ユーザの選択がスキャン動作であれば、画像形成装置1(画像形成制御部11)は、画像形成部15(エンジン)を立ち上げないで、スキャン画像の保存をするための制御に切り替える(S310)。
【0079】
このように、用紙や消耗品の金銭コストを加味することにより、クライアント端末2に表示する場合の表示可能時間を正確に算出することができ、印刷と表示を適切に比較することができる。
【実施例3】
【0080】
次に、本発明の第3の実施例に係る制御装置及び制御プログラムについて、図7及び図10(c)を参照して説明する。図7は、本実施例の画像形成装置の制御動作を示すフローチャート図であり、図10(c)は、画像形成装置に表示される画面の一例を示す図である。なお、本実施例においても、画像形成装置及び管理テーブルの構成は前記した第1の実施例と同様であるため、説明は省略する。
【0081】
第1の実施例及び第2の実施例では、印刷物を一部印刷するための電力量や金銭コストと1台のクライアント端末2に表示させるための表示可能時間とを比較可能にする場合について記載したが、複数部の印刷物を印刷したり、プロジェクタで表示したりすることができる。この場合の制御手順について、図7のフローチャート図を参照して説明する。なお、本フローの前提として、ユーザは全員、同じ仕様のクライアント端末2を使用するものとする。また、部数指定があれば、この印刷物は会議などの場で複数人に配布されるものとする。
【0082】
まず、図6と同様に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、ユーザからのコピー指示を受け付ける前に、ユーザの認証を行う(S401)。そして、ユーザが特定されると、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、図3(b)のユーザ管理テーブルから、氏名、個人利用機器の情報を取得する。
【0083】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、ユーザが設定した印刷条件を取得する(S402)。そして、この印刷条件に含まれる情報に基づいて、ジョブ実行管理部20は、ジョブを実行した場合に想定される消費電力量を算出するための印刷属性テーブル(図3(c)参照)を構成する。
【0084】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(電力量算出部23)は、S402で取得した印刷条件を元に、印刷に必要な電力量を計算し、図3(d)のテーブルに保持する。そして、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(金銭コスト算出部25)は、図3(f)のコスト、CO排出量算出テーブルを参照して、印刷に必要な電力量を金銭コストに換算する(S403)。
【0085】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(金銭コスト算出部25)は、印刷に要する用紙及び消耗品の金銭コストを算出し、S403で求めた金銭コストを加算して、図3(d)のテーブルに保持する(S404)。
【0086】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、ログインユーザに関連づけられているクライアント端末2の消費電力を図3(a)の機器属性テーブルから取得する(S405)。
【0087】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(表示時間換算部22)は、想定電力量のコスト(電力コスト)と用紙、消耗品の金銭コストを合算した、印刷におけるコストとクライアント端末2上に電子データとして表示するコストとが一致するときの表示可能時間を求める(S406)。このとき、部数指定があれば、この印刷物は会議などの場で複数人に配布されるものであるとし、印刷に要するトータルのコストから、個人表示のクライアント端末2での表示可能時間と、プロジェクタでの表示可能時間の2通りの表示可能時間を求める。
【0088】
例えば、端末Aの消費電力が3W、印刷のための消費電力量が60Wh、普通用紙10枚(=100g)、トナー消費1gとすると、クライアント端末Aで表示可能な時間は、上述した通り、741/3=247時間となる。また、プロジェクタA(200W)で表示する場合は、741/200=約3.71時間となる。
【0089】
また、印刷部数が10部の場合、10台のクライアント端末2を使用することになり、1台当たりの表示可能時間は(741×10)/(3×10)=247時間となり、上記と同じであるが、1台のプロジェクタ(200W)を使用する場合、表示可能時間は(741×10)/200=37.1時間となる。
【0090】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(ジョブ実行制御部21)は、S404で金銭コスト算出部25が算出した印刷のためのコスト(合計コスト)と、S406で表示時間換算部22が算出したクライアント端末2での表示可能時間及びプロジェクタでの表示可能時間を表示・操作制御部31に通知し、表示・操作制御部31はこれらの情報を記載した画面を表示部33に表示させて、ユーザに通知する(S407)。この情報に基づき、印刷動作をするか、スキャン画像の保存をするのかをユーザに選択させる。この表示時間換算結果の表示例を図10(c)に示す。
【0091】
次に、ユーザは、ジョブを継続させるために印刷動作をするか、電子データとして扱うかの選択を操作部32から選択する(S408)。画像形成装置1(画像形成制御部11)は、この結果に従って、次の動作を決定する。
【0092】
ユーザの選択が印刷動作であれば、画像形成装置1(画像形成制御部11)は、画像形成部15(エンジン)を立ち上げジョブの印刷動作を開始する(S409)。一方、ユーザの選択がスキャン動作であれば、画像形成装置1(画像形成制御部11)は、画像形成部15(エンジン)を立ち上げないで、スキャン画像の保存をするための制御に切り替える(S410)。
【0093】
このように、印刷部数を指定したり、プロジェクタでの表示可能時間を合わせて表示したりすることにより、ユーザはどの出力形態が好ましいかをより正確に判断することができる。
【実施例4】
【0094】
次に、本発明の第4の実施例に係る制御装置及び制御プログラムについて、図8及び図10(d)を参照して説明する。図8は、本実施例の画像形成装置の制御動作を示すフローチャート図であり、図10(d)は、画像形成装置に表示される画面の一例を示す図である。なお、本実施例においても、画像形成装置及び管理テーブルの構成は前記した第1の実施例と同様であるため、説明は省略する。
【0095】
本実施例では、印刷物の閲覧予定時間が決定されている場合について説明する。例えば、ユーザによって印刷物の閲覧予定時間(会議の時間など、印刷物の閲覧が可能な時間)が決定されている場合は、画像形成装置1がこの時間を取得することによって、印刷した方が良いのか、クライアント端末2を利用した方がよいのか、コストの観点からどちらが得であるかを比較することができる。この場合の制御手順について、図8のフローチャート図を参照して説明する。
【0096】
まず、図6と同様に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、ユーザからのコピー指示を受け付ける前に、ユーザの認証を行う(S501)。そして、ユーザが特定されると、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、図3(b)のユーザ管理テーブルから、氏名、個人利用の表示端末を取得する。
【0097】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、ユーザが設定した印刷条件を取得する(S502)。そして、この印刷条件に含まれる情報に基づいて、ジョブ実行管理部20は、ジョブを実行した場合に想定される消費電力量を算出するための印刷属性テーブル(図3(c)参照)を構成する。
【0098】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(電力量算出部23)は、S502で取得した印刷条件を元に、印刷に必要な電力量を計算し、図3(d)のテーブルに保持する。そして、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(金銭コスト算出部25)は、図3(f)のコスト、CO排出量算出テーブルを参照して、印刷に必要な電力量を金銭コストに換算する(S503)。
【0099】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(金銭コスト算出部25)は、印刷に要する用紙及び消耗品の金銭コストを算出し、S503で求めた金銭コストを加算して、図3(d)のテーブルに保持する(S504)。
【0100】
次に、次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、ログインユーザに関連づけられているクライアント端末2の消費電力を図3(a)の機器属性テーブルから取得する(S505)。
【0101】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(表示時間換算部22)は、想定電力量のコスト(電力コスト)と用紙、消耗品の金銭コストを合算した、印刷におけるコストとクライアント端末2上に電子データとして表示するコストとが一致するときの表示可能時間を求める(S506)。例えば、端末Aの消費電力が3W、印刷のための消費電力量が60Wh、普通用紙10枚(=100g)、トナー消費1gとすると、クライアント端末Aで表示可能な時間は、上述した通り、741/3=247時間となる。
【0102】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(ジョブ実行制御部21)は、図3(c)の印刷属性テーブルを参照し、該当ジョブの印刷物の閲覧予定時間が指定されているかどうかを判定する(S507)。
【0103】
閲覧予定時間が指定されていない場合は、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(ジョブ実行制御部21)は、S504で金銭コスト算出部25が算出した印刷のためのコスト(合計コスト)と、S506で表示時間換算部22が算出したクライアント端末2での表示可能時間を表示・操作制御部31に通知し、表示・操作制御部31はこれらの情報を記載した画面を表示部33に表示させて、ユーザに通知する(S508)。この情報に基づき、印刷動作をするか、スキャン画像の保存をするのかをユーザに選択させる。この表示時間換算結果の表示例を図10(b)に示す。
【0104】
一方、閲覧予定時間が指定されている場合は、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(ジョブ実行制御部21)は、図3(c)の印刷属性テーブルを参照し、閲覧予定時間とS506で求めた表示可能時間を比較する(S509)。この閲覧予定時間と、クライアント端末2での表示可能時間とを比べることで、コストの観点からどちらが有利かを判定することが出来る。
【0105】
閲覧予定時間よりもクライアント端末2での表示可能時間の方が長い場合、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(ジョブ実行制御部21)は、電子データとして閲覧した方が低コストであることを表示・操作制御部31に通知し、表示・操作制御部31はこの情報を記載した画面を表示部33に表示させて、ユーザに通知する(S510)。この推奨表示例を図10(d)に示す。
【0106】
次に、ユーザは、ジョブを継続させるために印刷動作をするか、電子データとして扱うかの選択を操作部32から選択する(S511)。画像形成装置1(画像形成制御部11)は、この結果に従って、次の動作を決定する。
【0107】
ユーザの選択が印刷動作であれば、画像形成装置1(画像形成制御部11)は、画像形成部15(エンジン)を立ち上げジョブの印刷動作を開始する(S512)。一方、ユーザの選択がスキャン動作であれば、画像形成装置1(画像形成制御部11)は、画像形成部15(エンジン)を立ち上げないで、スキャン画像の保存をするための制御に切り替える(S513)。
【0108】
このように、印刷物の閲覧予定時間が決定されている場合に、印刷又は表示のどちらがコストの観点から有利であるかを推奨することにより、ユーザはより好ましい出力形態を確実に選択することができる。
【実施例5】
【0109】
次に、本発明の第5の実施例に係る制御装置及び制御プログラムについて、図9及び図10(e)を参照して説明する。図9は、本実施例の画像形成装置の制御動作を示すフローチャート図であり、図10(e)は、画像形成装置に表示される画面の一例を示す図である。
【0110】
第1の実施例では電力量に基づいて表示可能時間を算出し、第2乃至第4の実施例では、金銭コストに基づいて表示可能時間を算出したが、印刷の際に発生するCO排出量を考慮して、クライアント端末2での表示可能時間を算出することもできる。この場合の制御手順について、図9のフローチャート図を参照して説明する。
【0111】
まず、図6と同様に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、ユーザからのコピー指示を受け付ける前に、ユーザの認証を行う(S601)。そして、ユーザが特定されると、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、図3(b)のユーザ管理テーブルから、氏名、個人利用機器の情報を取得する。
【0112】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、ユーザが設定した印刷条件を取得する(S602)。そして、この印刷条件に含まれる情報に基づいて、ジョブ実行管理部20は、ジョブを実行した場合に想定される消費電力量を算出するための印刷属性テーブル(図3(c)参照)を構成する。
【0113】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(電力量算出部23)は、S602で取得した印刷条件を元に、印刷に必要な電力量を計算し、図3(d)のテーブルに保持する。そして、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(CO排出量算出部24)は、図3(f)のコスト、CO排出量算出テーブルを参照して、印刷に必要な電力量をCO排出量に換算する(S603)。
【0114】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(CO排出量算出部24)は、印刷に要する用紙及び消耗品のCO排出量を算出する(S604)。具体的には、CO排出量算出部24は、S602で取得した印刷条件を元に、図3(f)のコスト、CO排出量算出テーブルを参照して、印刷に必要な用紙、消耗品に対するCO排出量を計算し、S603で求めたCO排出量を加算して、図3(d)のテーブルに保持する。
【0115】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20は、ログインユーザに関連づけられているクライアント端末2の消費電力を図3(a)の機器属性テーブルから取得する(S605)。
【0116】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(表示時間換算部22)は、想定電力量のCO排出量と用紙、消耗品のCO排出量を合算した、印刷に必要となるCO排出量とクライアント端末2上に電子データとして表示するコストとが一致するときの表示可能時間を求める(S606)。例えば、クライアント端末Aの消費電力が3W、印刷のための消費電力量が60Wh、普通用紙10枚(=100g)、トナー消費1gとすると、クライアント端末Aで表示可能な時間は、図3(f)のテーブルを参照して、次のように求めることができる。
【0117】
印刷のための電力CO排出量は、33×(60/1000)=2.0g
印刷のための用紙CO排出量は、50×(100/1000)=5g
印刷のためのトナーCO排出量は、10g、
合計CO排出量は、17.0g((1)+(2)+(3))となる。
【0118】
上記合計CO排出量を全て電力量に変換すると、
1000×17.0/33=515Wh、となり、
クライアント端末A(消費電力3W)で上記全ての電力量で表示可能時間は、
515/3=172時間、となる。
【0119】
次に、画像形成装置1のジョブ実行管理部20(ジョブ実行制御部21)は、S604でCO排出量算出部24が算出した印刷のためのCO排出量(合計CO排出量)と、S606で表示時間換算部22が算出した表示可能時間を表示・操作制御部31に通知し、表示・操作制御部31はこれらの情報を記載した画面を表示部33に表示させて、ユーザに通知する(S607)。この情報に基づき、印刷動作をするか、スキャン画像の保存をするのかをユーザに選択させる。この表示時間換算結果の表示例を図10(e)に示す。
【0120】
次に、ユーザは、ジョブを継続させるために印刷動作をするか、電子データとして扱うかの選択を操作部32から選択する(S608)。画像形成装置1(画像形成制御部11)は、この結果に従って次の動作を決定する。
【0121】
ユーザの選択が印刷動作であれば、画像形成装置1(画像形成制御部11)は、画像形成部15(エンジン)を立ち上げジョブの印刷動作を開始する(S609)。一方、ユーザの選択がスキャン動作であれば、画像形成装置1(画像形成制御部11)は、画像形成部15(エンジン)を立ち上げないで、スキャン画像の保存をするための制御に切り替える(S610)。
【0122】
このように、CO排出量を通知することにより、環境負荷の観点から印刷又は表示のどちらがよいかを判断することができ、これにより効果的に環境負荷を軽減することができる。
【0123】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しないかぎりにおいて、その構成や制御は適宜変更可能である。例えば、上記各実施例では、印刷する際の電力量、CO排出量、コストのいずれか1つを表示したが、これらを組み合わせて表示(例えば、電力量とコストを合わせて表示)することもできる。また、上記各実施例では、印刷する際の印刷コストとして、電力量とCO排出量と金銭コストを例示し、表示する際の表示コストとして表示可能時間を例示したが、印刷コストや表示コストはこれらに限定されない。また、上記各実施例では、出力形態として印刷と表示の2つを例示したが、他の出力形態としてもよいし、3以上の出力形態を比較できるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、複数の出力形態で出力可能なシステムで動作する制御装置、特に、印刷と表示装置への電子データの送信とが可能な画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 画像形成装置
2 クライアント端末
3 通信ネットワーク
10 マシン部
11 画像形成制御部
12 記憶部
13 外部通信部
14 画像読取部
15 画像形成部
20 ジョブ実行管理部
21 ジョブ実行制御部
22 表示時間換算部
23 電力量算出部
24 CO排出量算出部
25 金銭コスト算出部
30 操作インターフェース部
31 表示・操作制御部
32 操作部
33 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置及び表示装置の装置情報を記憶する記憶部と、
前記印刷装置の装置情報に基づいて、前記印刷装置で文書を印刷する際に消費する電力量、前記文書の印刷に要する金銭コスト、及び、前記電力量又は前記金銭コストに対応するCO排出量、の少なくとも1つの印刷コストを算出する算出部と、
前記表示装置の装置情報に基づいて、前記印刷コストを、前記表示装置で前記文書を表示する際の表示時間に換算する表示時間換算部と、
表示部に、前記印刷コストと前記表示時間とを比較可能に表示させる制御部と、を少なくとも有する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記金銭コストは、印刷に際して消費する電力のコストと、印刷に際して消費する消耗品のコストと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記表示装置は、各々のユーザが個別に閲覧可能な第1の表示装置と、複数のユーザが同時に閲覧可能な第2の表示装置と、を含み、
前記表示時間換算部は、前記文書を1部印刷する場合の前記印刷コストを、前記第1の表示装置で前記文書を表示する際の第1の表示時間に換算すると共に、前記文書を複数部数印刷する場合の前記印刷コストを、前記第2の表示装置で前記文書を表示する際の第2の表示時間に換算し、
前記制御部は、前記表示部に、前記文書を前記複数部印刷する場合の前記印刷コストと、前記第1の表示時間と、前記第2の表示時間と、を比較可能に表示させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記印刷装置で印刷された前記文書の閲覧時間が定められている場合、
前記制御部は、前記表示時間と前記閲覧時間とを比較し、前記表示時間が前記閲覧時間よりも長い場合は、前記表示部に、前記表示装置での前記文書の閲覧を推奨する情報を表示させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項5】
制御装置で動作する制御プログラムであって、
前記制御装置を、
予め記憶した印刷装置の装置情報に基づいて、前記印刷装置で文書を印刷する際に消費する電力量、前記文書の印刷に要する金銭コスト、及び、前記電力量又は前記金銭コストに対応するCO排出量、の少なくとも1つの印刷コストを算出する算出部、
予め記憶した表示装置の装置情報に基づいて、前記印刷コストを、前記表示装置で前記文書を表示する際の表示時間に換算する表示時間換算部、
表示部に、前記印刷コストと前記表示時間とを比較可能に表示させる制御部、として機能させる、
ことを特徴とする制御プログラム。
【請求項6】
前記金銭コストは、印刷に際して消費する電力のコストと、印刷に際して消費する消耗品のコストと、を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の制御プログラム。
【請求項7】
前記表示装置は、各々のユーザが個別に閲覧可能な第1の表示装置と、複数のユーザが同時に閲覧可能な第2の表示装置と、を含み、
前記表示時間換算部は、前記文書を1部印刷する場合の前記印刷コストを、前記第1の表示装置で前記文書を表示する際の第1の表示時間に換算すると共に、前記文書を複数部印刷する場合の前記印刷コストを、前記第2の表示装置で前記文書を表示する際の第2の表示時間に換算し、
前記制御部は、前記表示部に、前記文書を前記複数部印刷する場合の前記印刷コストと、前記第1の表示時間と、前記第2の表示時間と、を比較可能に表示させる、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の制御プログラム。
【請求項8】
前記印刷装置で印刷された前記文書の閲覧時間が定められている場合、
前記制御部は、前記表示時間と前記閲覧時間とを比較し、前記表示時間が前記閲覧時間よりも長い場合は、前記表示部に、前記表示装置での前記文書の閲覧を推奨する情報を表示させる、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【図10(c)】
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【図10(d)】
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【図10(e)】
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【公開番号】特開2013−58901(P2013−58901A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195904(P2011−195904)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】