説明

制御装置及び該制御装置を備えるショーケース

【課題】複数の制御内容をまとめて設定することができ、しかもその制御内容の設定値を容易に確認することができる制御装置及び該制御装置を備えるショーケースを提供する。
【解決手段】制御装置10は、操作部30での設定内容を記憶する設定内容記憶部44を有し、操作部30を制御する操作部制御部32と、設定内容記憶部44に記憶された設定内容に基づき、制御対象機器であるショーケース12を運転制御する機器制御部34と、複数の制御内容の組み合わせを1単位とし、該1単位の標準的な設定値が標準設定用データとして予め記憶される標準設定用データ記憶部46と、操作部30での設定内容に応じて、標準設定用データ記憶部46に記憶された標準設定用データを設定内容記憶部44に設定する設定値設定部48と、設定内容記憶部44に記憶された設定内容と標準設定用データ記憶部46に記憶された標準設定用データとを比較し、その比較結果を操作部制御部32を介して表示部40に表示する設定値比較部50とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部によって設定された制御内容に基づいて業務用温度制御機器等の制御対象機器を運転制御する制御装置及び該制御装置を備えるショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等では、食品等の温蔵や冷蔵を行うためにショーケース(冷凍冷蔵ショーケース)が使用され、また、室内の暖房や冷房等を行うために空調機器が使用されている。
【0003】
このようなショーケースや空調機器等の業務用温度制御機器では、その温度管理が食品等の保存に大きな影響を及ぼすことがあり、特にショーケースでは、保管収納される品目(例えば、青果や精肉)によって最適な庫内温度が異なることから、その制御内容は誤りなく設定されることが必要である。
【0004】
特許文献1には、ショーケースの庫内温度設定に関し、人手による誤設定を回避するために、食品毎の管理温度範囲の情報をその包装に設けたバーコード等から読み取り、この読み取った情報に基づいて庫内温度を設定管理する庫内温度設定装置が開示されている。
【0005】
ところで、このような業務用温度制御機器では、その制御内容の設定値に誤りがないことを確認することも誤設定を回避するための重要な要素である。そこで、その確認方法として、従来は、制御内容の設定値を設定する際の操作と同じ手順を辿ることで、現状の制御内容の設定値を一つ一つ確認するという手法をとることが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−83602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の装置は、制御内容である庫内温度の設定値をバーコードを用いて簡便に設定できるという利点がある。ところが、その制御内容はショーケースの庫内温度の設定値のみであり、冷却装置の除霜運転等に関する制御内容等については個別に設定する必要があり、結局のところ、誤設定を回避できる項目は限定的であり、その他の項目についての設定は煩雑であって手間がかかる。しかも、制御内容の設定値を確認する際には、人手によって複数の設定値を一つ一つ確認し、それを食品毎の標準的な設定値と比較する必要があり、確認作業が煩雑で誤確認が生じ易いという問題もある。
【0008】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、複数の制御内容をまとめて設定することができ、しかもその制御内容の設定値を容易に確認することができる制御装置及び該制御装置を備えるショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る制御装置は、制御対象機器の制御内容を設定する入力部と前記制御内容を表示する表示部とを有する操作部を備え、該操作部によって設定された制御内容に基づいて前記制御対象機器を運転制御する制御装置であって、前記操作部での設定内容を記憶する設定内容記憶部を有し、前記操作部を制御する操作部制御部と、前記設定内容記憶部に記憶された設定内容に基づき、前記制御対象機器を運転制御する機器制御部と、複数の制御内容の組み合わせを1単位とし、該1単位の標準的な設定値が標準設定用データとして予め記憶される標準設定用データ記憶部と、前記操作部での設定内容に応じて、前記標準設定用データ記憶部に記憶された標準設定用データを前記設定内容記憶部に設定する設定値設定部と、前記設定内容記憶部に記憶された設定内容と、前記標準設定用データ記憶部に記憶された標準設定用データとを比較し、その比較結果を前記操作部制御部を介して前記表示部に表示する設定値比較部とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るショーケースは、操作部で設定された制御内容に従って運転制御を行う制御装置を備えたショーケースであって、前記制御装置は、当該ショーケースの制御内容を設定する入力部と前記制御内容を表示する表示部とを有する前記操作部と、前記操作部での設定内容を記憶する設定内容記憶部を有し、前記操作部を制御する操作部制御部と、前記設定内容記憶部に記憶された設定内容に基づき、当該ショーケースを運転制御する機器制御部と、複数の制御内容の組み合わせを1単位とし、該1単位の標準的な設定値が標準設定用データとして予め記憶される標準設定用データ記憶部と、前記操作部での設定内容に応じて、前記標準設定用データ記憶部に記憶された標準設定用データを前記設定内容記憶部に設定する設定値設定部と、前記設定内容記憶部に記憶された設定内容と、前記標準設定用データ記憶部に記憶された標準設定用データとを比較し、その比較結果を前記操作部制御部を介して前記表示部に表示する設定値比較部とを備えることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、操作部での設定内容に応じて、標準設定用データ記憶部に記憶された標準設定用データを設定内容記憶部に設定する設定値設定部を備えるため、制御対象機器の複数の制御内容の設定値を、操作部の簡易な操作で一度に設定でき、制御内容の設定値の設定作業を容易に行うことができる。しかも、設定内容記憶部に記憶された設定内容と標準設定用データ記憶部に記憶された標準設定用データとを比較し、その比較結果を表示部に表示する設定値比較部を備えるため、現在の制御内容の設定値がいずれの標準設定用データに合致するか否かを簡易な操作によって表示部に表示させることができ、制御内容の設定値の確認作業も容易に行うことができる。その結果、操作部の操作に不慣れな利用者であっても、制御内容の設定値の設定を短時間で且つ誤設定なく行うことができ、さらに、制御内容の設定値の確認作業も短時間で且つ誤確認なく行うことができる。
【0012】
当該制御装置の制御対象機器は、ショーケースであってもよく、この場合、前記制御内容は、前記ショーケースの庫内温度の設定値と、前記ショーケースに設けられる冷却器の除霜運転の有無と、前記冷却器での水切運転の有無と、高温警報を発する庫内の最低温度と、低温警報を発する庫内の最高温度とのうち、いずれか1以上を含むものであってもよい。
【0013】
前記制御対象機器は、複数の用途に用いられ、前記標準設定用データ記憶部には、前記制御対象機器の用途毎の前記標準設定用データがそれぞれ記憶されていると、制御対象機器の用途に応じた標準設定用データを容易に設定することができ、その設定内容の確認も容易である。この場合、前記用途は、前記制御対象機器に保管される商品の品目であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、制御対象機器の複数の制御内容の設定値を、操作部の簡易な操作で一度に設定でき、制御内容の設定値の設定作業を容易に行うことができる。さらに、現在の制御内容の設定値がいずれの標準設定用データに合致するか否かを簡易な操作によって表示部に表示させることができ、制御内容の設定値の確認作業も容易に行うことができる。その結果、操作部の操作に不慣れな利用者であっても、制御内容の設定値の設定を短時間で且つ誤設定なく行うことができ、さらに、制御内容の設定値の確認作業も短時間で且つ誤確認なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置を備えたショーケースの構成図であり、図1(A)は、ショーケースの側面図を示し、図1(B)は、ショーケースの正面図を示している。
【図2】図2は、制御装置のブロック構成図である。
【図3】図3は、ショーケースの用途別温度帯の一例を示す表である。
【図4】図4は、ショーケースの制御内容の一例を示す表である。
【図5】図5は、標準設定用データ記憶部に予め設定・記憶される標準設定用データの一例を示す表である。
【図6】図6は、図2に示す制御装置での制御内容の設定値の設定方法の一例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、標準設定モードでの用途選択画面の初期画面の一例を示す説明図である。
【図8】図8は、標準設定モードでの用途選択画面の表示順の一例を示す説明図である。
【図9】図9は、図2に示す制御装置での制御内容の設定値の確認方法の一例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、設定内容記憶部に記憶されている内容が標準設定用データと合致した場合の一例を示す説明図であり、図10(A)は、制御内容の設定値の一例を示し、図10(B)は、図10(A)に示される制御内容に対応した操作部表示内容の一例を示している。
【図11】図11は、設定内容記憶部に記憶されている内容が標準設定用データと合致した場合の別の一例を示す説明図であり、図11(A)は、制御内容の設定値の別の一例を示し、図11(B)は、図11(A)に示される制御内容に対応した操作部表示内容の一例を示している。
【図12】図12は、設定内容記憶部に記憶されている内容が標準設定用データと合致した場合のさらに別の一例を示す説明図であり、図12(A)は、制御内容の設定値のさらに別の一例を示し、図12(B)は、図12(A)に示される制御内容に対応した操作部表示内容の一例を示している。
【図13】図13は、設定内容記憶部に記憶されている内容が標準設定用データと合致しない場合の一例を示す説明図である。
【図14】図14は、図13に示す制御内容の設定値を順に表示している状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る制御装置について、この制御装置を適用したショーケースとの関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置10を備えたショーケース12の構成図であり、図1(A)は、ショーケース12の側面図を示し、図1(B)は、ショーケース12の正面図を示している。この制御装置10は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等で食品等を展示・保管する業務用温度制御機器としてのショーケース(冷凍冷蔵ショーケース)12に内蔵されたコントローラであり、設定された制御内容の設定値に基づき冷却装置14等の運転を制御するものである。勿論、制御装置10の制御対象機器は、ショーケース12以外であってもよい。
【0018】
図1に示すように、ショーケース12は、オープン型のショーケース本体16と、ショーケース本体16の庫内に複数段設置された商品陳列棚18と、庫内を冷却するための冷却装置14と、冷却装置14の冷却器14aで発生する冷気を循環ダクト16aを通して庫内へと供給する送風ファン20と、冷却器14aを除霜するための除霜ヒータ22と、庫内温度が所定温度以上(高温)又は所定温度以下(低温)となった場合に警報を発する警報器24とを備え、ショーケース本体16上部のキャノピー部に制御装置10が設けられている。
【0019】
ショーケース12には、さらに、庫内温度を検出する庫内温度センサT1と、循環ダクト16a内の温度を検出し、庫内温度センサT1の検出結果と共に庫内の温度調節(温調)に供される温調用センサT2と、除霜運転の判断指標となる冷却器14aの温度を検出する除霜温度センサT3と、当該ショーケース12の設置環境の温度を検出する外気温度センサT4とが備えられる。これら各センサT1〜T4の検出結果は、図示しない信号線等によって制御装置10へと送信される。勿論、各センサT1〜T4の設置位置は適宜変更可能であり、さらにショーケース12には、各センサT1〜T4以外にも、各部温度を検出する温度センサを適宜配設可能である。
【0020】
冷却装置14は、冷却器14aと共に、図示しない圧縮機や凝縮器、膨張装置等によって冷媒回路を構成した公知の冷凍回路である。送風ファン20は、冷却装置14の蒸発器である冷却器14aで発生する冷気を庫内へと供給するために循環ダクト16a内に配設されており、冷却器14aの除霜運転後の水切運転時に冷却器14aを送風する際にも用いられる。除霜運転は、冷却器14aに付着した霜を除霜ヒータ22によって溶かす運転であり、水切運転は、除霜運転に続いて送風ファン20を駆動することで除霜運転によって冷却器14aに付着した水分を除去する運転であり、いずれも従来の冷凍回路において一般的に行われているものである。
【0021】
図2は、制御装置10のブロック構成図であり、制御対象機器であるショーケース12との関係で制御装置10の制御系統を示している。
【0022】
図2に示すように、制御装置10は、ショーケース12の制御内容を設定する操作部30と、操作部30を制御する操作部制御部(操作部制御機能)32と、操作部30で設定された制御内容の設定値に応じて制御対象機器であるショーケース12を運転制御する機器制御部(機器制御機能)34と、ショーケース12の用途毎に予め設定された複数の制御内容の標準的な設定値である標準設定用データを操作部制御部32に供給すると共に、現在の制御内容の設定値と標準設定用データとの比較を行う設定値管理部36とを備える。ショーケース12の制御内容としては、例えば、庫内温度を設定する「温調」や除霜運転の有無を設定する「除霜」等があるが、詳細は後述する。
【0023】
操作部30は、ショーケース12の制御内容を設定・登録するための入力部38と、入力部38での入力項目(登録項目)や現在の庫内温度、警報器24による警報等の各種情報を表示可能な表示部40とを備える。図1に示すように、操作部30を構成する入力部38及び表示部40はショーケース12上部のキャノピー部の前面パネルに配置され、外部からの視認及び操作が可能である。
【0024】
入力部38は、入力項目を切り替える切替スイッチ38aと、入力項目を決定する決定スイッチ38bと、各入力項目の値を変更するUPスイッチ(送りスイッチ)38c及びDOWNスイッチ(戻りスイッチ)38dとから構成されている。表示部40は、制御内容やその設定値をデジタル表示する液晶ディスプレイである。
【0025】
操作部制御部32は、操作部30に対して信号線等によって接続され、当該操作部制御部32と操作部30との間の情報・信号の送受信を担う操作部I/F装置(操作部インタフェース装置)42と、操作部30での設定内容(登録内容)を記憶する設定内容記憶部(設定内容記憶装置)44とを備える。
【0026】
操作部I/F装置42は、複数の入力端子及び出力端子を有し、操作部30や機器制御部34、設定値管理部36と接続されるインタフェース装置であって、入力部38での入力動作や表示部40での表示動作の制御も行うことができる。設定内容記憶部44は、操作部30での設定内容を記憶するための記憶装置(メモリ。例えば、RAM)であり、ここに設定・記憶された制御内容の設定値は、例えば操作部I/F装置42を介して機器制御部34によって読み出される。
【0027】
機器制御部34は、設定内容記憶部44に設定・記憶された制御内容の設定値に基づき、制御対象機器であるショーケース12の運転を制御する運転制御部である。すなわち、機器制御部34は、設定内容記憶部44に登録された制御内容の設定値に基づき、各センサT1〜T4の検出結果をフィードバックしながら冷却装置14や除霜ヒータ22、送風ファン20を駆動制御すると共に、庫内温度センサT1等の検出結果に応じて警報器24を駆動制御する。
【0028】
設定値管理部36は、標準設定用データ記憶部(標準設定用データ記憶装置)46と、設定値設定部(設定値設定機能)48と、設定値比較部(設定値比較機能)50とから構成されている。ここで、標準設定用データとは、複数の制御内容の組み合わせを1単位とし、この1単位を構成する各制御内容の標準的な設定値を設定したものである。
【0029】
標準設定用データ記憶部46は、標準設定用データが予め記憶される記憶装置(メモリ。例えば、ROM)であり、標準設定用データを表示部40に表示する表示内容(操作部表示内容)との組み合わせで記憶している。本実施形態の場合、標準設定用データとしては、図5に示すように、ショーケース12の用途(例えば、「青果」や「精肉」)を1単位とし、この用途(1単位)毎の各制御内容の標準的な設定値を予め設定したものであるが、詳細は後述する。
【0030】
設定値設定部48は、操作部30での設定内容(制御内容の設定値)に応じて、標準設定用データ記憶部46に記憶された標準設定用データを読み出し、この標準設定用データを操作部I/F装置42を介して設定内容記憶部44に設定・記憶するものである。すなわち、設定値設定部48は、いずれかの用途に対応する標準設定用データを用いてショーケース12を運転制御する、との設定が操作部30から入力された場合に、設定された用途の標準設定用データを標準設定用データ記憶部46から読み出し、設定内容記憶部44に設定・記憶する機能を有する。
【0031】
設定値比較部50は、現在のショーケース12の運転条件である設定内容記憶部44に記憶された設定内容(制御内容の設定値)と、標準設定用データ記憶部46に記憶された標準設定用データとを比較し、その比較結果を操作部I/F装置42を介して表示部40に表示する。すなわち、設定値比較部50は、利用者が操作部30を利用してショーケース12の現在の制御内容の設定値を確認しようとした場合に、操作部I/F装置42を介して、現在の制御内容の設定値と標準的な設定値である標準設定用データとを比較し、現在の制御内容の設定値に合致する標準設定用データがあるか否かを検索し、その合致の有無を判定する機能を有する。
【0032】
次に、本実施形態に係るショーケース12の用途、制御内容及び標準設定用データの具体例について説明する。
【0033】
図3は、図1に示すショーケース12の用途別温度帯の一例を示す表であり、商品陳列棚18に陳列・保管される商品の品目毎に設定される庫内温度の温度帯(℃)を例示したものである。ショーケース12は、例えば、「土物」、「青果」、「日配」、「乳製品」、「精肉」、「鮮魚」、「氷温」、「チルド」、「冷凍食品」、「アイス」の10品目の用途に対応しており、各用途に適した庫内温度の温度帯(℃)は、図3に例示した通りである。通常、制御装置10は、設定された制御内容に基づき、その用途に応じて、図3に示される温度帯を保つようにショーケース12を運転制御する。
【0034】
図4は、図1に示すショーケース12の制御内容の一例を示す表である。ショーケース12の制御内容は、例えば、庫内温度の設定値(制御温度)を設定する「温調」、除霜運転の有無を設定する「除霜」、水切運転の有無を設定する「水切」、高温警報を発する庫内の最低温度を設定する「高温」、低温警報を発する庫内の最高温度を設定する「低温」の5種類がある。すなわち、制御装置10は、これら制御内容毎に設定された設定値に基づき、ショーケース12の運転制御を行う。勿論、このような5種類以外の制御内容を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
図5は、標準設定用データ記憶部46に予め設定・記憶される標準設定用データの一例を示す表である。標準設定用データは、ショーケース12の用途毎の標準的な制御内容の設定値と、その用途の操作部30(表示部40)への表示内容(操作部表示内容)との組み合わせとして、予め標準設定用データ記憶部46に記憶されるものであり、例えば、ショーケース12の出荷前に工場内で設定・記憶される。
【0036】
図5では、標準設定用データとして、9種類の用途の操作部表示内容と、その制御内容とを例示している。例えば、「青果」の場合には、「温調:6℃」、「除霜:無」、「水切:無」、「高温:10℃」、「低温:3℃」として設定され、「氷温」の場合には、「温調:−4℃」、「除霜:有」、「水切:有」、「高温:−2℃」、「低温:−5℃」として設定され、他の用途である操作部表示項目「青果夏」、「青果冬」、「日配」、「精肉」、「チルド」、「冷凍食品」、「アイス」についてもそれぞれ図5に示すように設定されている。なお、「青果夏」は、用途は「青果」と同様であるが、外気温が高くなる夏用に、「温調」を春や秋等の中間期の6℃よりも1℃低い5℃に設定した場合の標準設定用データであり、「青果冬」についても略同様に「青果」よりも多少高い温度に設定したデータである。
【0037】
次に、以上のように構成される制御装置10での制御内容の設定値の設定方法の一例について、図6のフローチャートに基づいて説明する。
【0038】
以下では、標準設定用データ記憶部46に標準設定用データが予め記憶された制御対象機器であるショーケース12が、スーパーマーケットやコンビニエンスストアに設置された後、サービス担当者や店員である利用者が、商品陳列棚18に陳列する品目に応じて、その制御内容の設定値を設定する場合を例示して当該設定方法を説明する。
【0039】
図6中のステップS1では、利用者が操作部30を利用して、標準設定用データ記憶部46に記憶された標準設定用データを用いて制御内容の設定値を設定するか(標準設定モード)、又は、制御内容の設定値を個別に設定するか(個別設定モード)を選択する(モード選択)。このモード選択は、例えば、入力部38の切替スイッチ38aを数秒間長押しすることで表示部40に表示されるモード選択画面に従って、UPスイッチ38cやDOWNスイッチ38dを操作してモードを選択し、決定スイッチ38bによって決定する。
【0040】
先ず、顧客の個別要求に従う必要がある場合等の理由により、制御内容の設定値を個別に設定したい場合には、ステップS1において個別設定モードを選択する。
【0041】
すなわち、ステップS1で個別設定モードが選択されたと判断されると(ステップS2のYES)、次にステップS3が実行される。なお、ステップS3では、従来から一般的に行われている設定手順に従って制御内容の設定値を一つ一つ設定すればよい。例えば、制御内容の設定値を、「温調:3℃」、「除霜:無」、「水切:無」、「高温:6℃」、「低温:1℃」と設定したい場合には、先ず、入力部38の切替スイッチ38aを押して設定する制御内容として「温調」を表示させた後、UPスイッチ38c及びDOWNスイッチ38dを操作して「3℃」を表示させる。この状態で、決定スイッチ38bを押すことで「温調:3℃」が設定されるため、以降は、同様な操作を行い、順に、「除霜:無」、「水切:無」、「高温:6℃」、「低温:1℃」と設定すればよい。
【0042】
続いて、ステップS5において、ステップS3で設定された各制御内容の設定値が、操作部I/F装置42を介して設定内容記憶部44に登録される。これにより、機器制御部34は、ステップS3、S5を順に経て設定内容記憶部44に登録された個別設定の制御内容の設定値(例えば、上記した「温調:3℃」、「除霜:無」、「水切:無」、「高温:6℃」、「低温:1℃」)に基づき、ショーケース12を運転制御する。従って、利用者は、顧客の個別要求や品目等に応じて、制御内容の設定値を個別に最適化させた運転条件でショーケース12を運転することができる。
【0043】
一方、標準的な(一般的な)制御内容の設定値を設定したい場合には、ステップS1において標準設定モードを選択する。
【0044】
すなわち、ステップS1で標準設定モードが選択されたと判断されると(ステップS2のNO)、次にステップS4が実行される。ステップS4では、先ず、操作部I/F装置42の制御下に、用途を選択する画面(用途選択画面)の初期画面が表示部40に表示される。
【0045】
この用途選択画面の初期画面は、利用者が所望する用途に対応した標準設定用データを選択するために、図5中の操作部表示内容に記載された用途のうちの所定の1つを初期的に表示するものであり、例えば、図7に示す例では、初期画面として「用途:青果」を表示している。勿論、初期画面には、「用途:日配」、「用途:冷凍食品」等を表示させてもよいが、複数の用途のうち、当該ショーケース12で最も選択されることが多いと想定される用途や、前回設定された用途を初期画面として設定しておくとよい。
【0046】
続いて、切替スイッチ38aを押す度に又は一定時間毎に、表示部40での表示が切り替わる。すなわち、初期画面の後に、標準設定用データ記憶部46に記憶された残りの用途(図5中の操作部表示内容)が、順に表示部40に表示されるため(図8参照)、選択したい用途が表示部40に表示されている状態で決定スイッチ38bを押せば当該用途を決定することができる。例えば、図8では、初期画面に「用途:青果」を表示した後、順に、「用途:青果夏」、「用途:青果冬」、「用途:日配」、「用途:精肉」、・・・、と表示するパターンを例示している。
【0047】
このように操作部30によって所望の用途を決定することで、図5に示す操作部表示内容のうちのいずれか1つの用途が選択されるため、この用途に対応する標準設定用データが制御内容の設定値として設定される。例えば、「用途:青果」を選択した場合には、その制御内容の設定値である標準設定用データは、「温調:6℃」、「除霜:無」、「水切:無」、「高温:10℃」、「低温:3℃」となる。
【0048】
そこで、ステップS5では、ステップS4で設定された制御内容の設定値、つまり選択した用途に対応する標準設定用データが、設定値設定部48及び操作部I/F装置42を介して標準設定用データ記憶部46から読み出されて設定内容記憶部44に登録される。これにより、機器制御部34は、ステップS4、S5を順に経て設定内容記憶部44に登録された制御内容の設定値である標準設定用データ(例えば、上記した「用途:青果」では、「温調:6℃」、「除霜:無」、「水切:無」、「高温:10℃」、「低温:3℃」)に基づき、ショーケース12を運転制御する。従って、利用者は、操作部30を用いた簡単な操作によって用途を決定するだけで、複数の制御内容の設定値を一度に設定し、用途に適した一般的な運転条件でショーケース12を運転することができる。しかも、用途を選択するだけで制御内容の設定値も一義的に設定されるため、人手による誤設定も未然に防止できる。
【0049】
次に、制御装置10での制御内容の設定値の確認方法の一例について、図9のフローチャートに基づいて説明する。
【0050】
以下では、図6のフローチャートに示す設定方法等によって制御内容の設定値が設定された後のショーケース12について、利用者が、その制御内容の設定値を確認する場合を例示して当該確認方法を説明する。
【0051】
先ず、図9中のステップS10において、利用者が操作部30を利用して、設定内容記憶部44に登録されている制御内容の設定値を確認するためのモード(確認モード)を起動する。この確認モードの起動は、例えば、入力部38の決定スイッチ38bを数秒間長押しする等の予め規定された操作を行うことで行われる。
【0052】
確認モードが起動されると、設定値比較部50において、実際に設定内容記憶部44に記憶されている現在の制御内容の設定値と、標準設定用データ記憶部46に予め記憶されている標準設定用データとを比較する処理が実行される(ステップS11)。
【0053】
その結果、現在の制御内容の設定値が、標準設定用データ記憶部46に記憶されたいずれかの標準設定用データに合致すると判断された場合には(ステップS12のYES)、次にステップS13が実行される。一方、現在の制御内容の設定値が、標準設定用データ記憶部46に記憶されたいずれの標準設定用データにも合致しないと判断された場合には(ステップS12のNO)、次にステップS14が実行される。
【0054】
ここで、ステップS11、S12における比較処理の具体例を説明する。
【0055】
例えば、実際に設定内容記憶部44に記憶されている内容(現在の制御内容の設定値)が、図10(A)に示される内容(「温調:6℃」、「除霜:無」、「水切:無」、「高温:10℃」、「低温:3℃」)であった場合、設定値比較部50は、この内容を図5に示される各標準設定用データと順に比較する。この場合、当該内容は、図5中の1行目に示す「青果」の標準設定用データと合致すると判断されるため(ステップS12のYES)、図10(B)に示すように、設定値比較部50は操作部I/F装置42を介して標準設定用データ記憶部46に記憶された操作部表示内容である「青果」を操作部30の表示部40に表示する(ステップS13)。従って、利用者は、現在の制御内容の設定値が、「青果」を用途とした場合の標準設定用データに設定されていることを容易に把握することができる。
【0056】
略同様に、例えば、設定内容記憶部44に記憶されている内容が、図11(A)に示される内容であった場合には、図5中の4行目に示す「日配」の標準設定用データと合致すると判断されるため(ステップS12のYES)、図11(B)に示すように、表示部40には「日配」が表示される(ステップS13)。さらに、設定内容記憶部44に記憶されている内容が、図12(A)に示される内容であった場合には、図5中の2行目に示す「青果夏」の標準設定用データと合致すると判断されるため(ステップS12のYES)、図12(B)に示すように、表示部40には「青果夏」が表示される(ステップS13)。
【0057】
このように、利用者は、操作部30を1回操作するだけで、制御対象機器であるショーケース12の現在の制御内容の設定値がどのような設定になっているかを容易に確認できる。このため、その確認結果を、実際に商品陳列棚18に陳列されている商品と比較すれば、現在の制御内容がその商品に適した設定値となっているかどうかを知ることができる。
【0058】
一方、実際に設定内容記憶部44に記憶されている内容が、例えば、図13に示される内容(「温調:5℃」、「除霜:無」、「水切:無」、「高温:10℃」、「低温:4℃」)であった場合、当該内容は、図5に示される各標準設定用データのいずれにも合致しないと判断される(ステップS12のNO)。そこで、図14に示すように、設定値比較部50は操作部I/F装置42を介して表示部40に、その内容を順に、「温調:5℃」、「除霜:無」、「水切:無」、「高温:10℃」、「低温:4℃」と表示する(ステップS14)。従って、利用者は、現在の制御内容の設定値が、標準設定用データ記憶部46に記憶されたいずれの標準設定用データとも合致しないこと、及び、その制御内容の設定値を容易に把握することができる。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る制御装置10によれば、操作部30での設定内容を記憶する設定内容記憶部44を有し、操作部30を制御する操作部制御部32と、設定内容記憶部44に記憶された設定内容に基づき、制御対象機器であるショーケース12を運転制御する機器制御部34と、複数の制御内容の組み合わせを1単位とし、該1単位の標準的な設定値が標準設定用データとして予め記憶される標準設定用データ記憶部46と、操作部30での設定内容に応じて、標準設定用データ記憶部46に記憶された標準設定用データを設定内容記憶部44に設定する設定値設定部48と、設定内容記憶部44に記憶された設定内容と標準設定用データ記憶部46に記憶された標準設定用データとを比較し、その比較結果を操作部制御部32を介して表示部40に表示する設定値比較部50とを備える。
【0060】
すなわち、制御装置10では、操作部30での設定内容に応じて、標準設定用データ記憶部46に記憶された標準設定用データを設定内容記憶部44に設定する設定値設定部48を備えることにより、制御対象機器の複数の制御内容(例えば、ショーケース12の庫内温度の設定値や除霜運転の有無)の設定値を、操作部30の簡易な操作で一度に設定でき、制御内容の設定値の設定作業を容易に行うことができる。しかも、制御装置10では、設定内容記憶部44に記憶された設定内容と標準設定用データ記憶部46に記憶された標準設定用データとを比較し、その比較結果を操作部制御部32を介して表示部40に表示する設定値比較部50を備えることにより、現在の制御内容の設定値がいずれの標準設定用データに合致するか否かを簡易な操作によって表示部40に表示させることができ、制御内容の設定値の確認作業も容易に行うことができる。その結果、操作部30の操作に不慣れな利用者であっても、制御内容の設定値の設定を短時間で且つ誤設定なく行うことができ、さらに、制御内容の設定値の確認作業も短時間で且つ誤確認なく行うことができる。
【0061】
制御対象機器がショーケース12の場合には、その制御内容として、例えば、ショーケース12の庫内温度の設定値、ショーケース12に設けられる冷却器14aの除霜運転の有無、冷却器14aでの水切運転の有無、高温警報を発する庫内の最低温度、及び、低温警報を発する庫内の最高温度のうち、いずれか1以上又は全てを含むものを例示することができ(図4参照)、他の制御対象機器、例えば空調機器の場合にも、一般的な空調機器の運転条件として用いられる室内温度や冷却器の温度等を制御内容として設定すればよい。
【0062】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0063】
例えば、上記実施形態では、制御装置の適用例としてショーケースを例示したが、当該制御装置の制御対象機器は、ショーケース以外の業務用温度制御機器等であっても勿論よく、空調機器や自動販売機、冷蔵庫等の各種機器を挙げることができる。
【符号の説明】
【0064】
10 制御装置
12 ショーケース
14 冷却装置
30 操作部
32 操作部制御部
34 機器制御部
36 設定値管理部
38 入力部
40 表示部
42 操作部I/F装置
44 設定内容記憶部
46 標準設定用データ記憶部
48 設定値設定部
50 設定値比較部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象機器の制御内容を設定する入力部と前記制御内容を表示する表示部とを有する操作部を備え、該操作部によって設定された制御内容に基づいて前記制御対象機器を運転制御する制御装置であって、
前記操作部での設定内容を記憶する設定内容記憶部を有し、前記操作部を制御する操作部制御部と、
前記設定内容記憶部に記憶された設定内容に基づき、前記制御対象機器を運転制御する機器制御部と、
複数の制御内容の組み合わせを1単位とし、該1単位の標準的な設定値が標準設定用データとして予め記憶される標準設定用データ記憶部と、
前記操作部での設定内容に応じて、前記標準設定用データ記憶部に記憶された標準設定用データを前記設定内容記憶部に設定する設定値設定部と、
前記設定内容記憶部に記憶された設定内容と、前記標準設定用データ記憶部に記憶された標準設定用データとを比較し、その比較結果を前記操作部制御部を介して前記表示部に表示する設定値比較部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の制御装置において、
前記制御対象機器は、ショーケースであることを特徴とする制御装置。
【請求項3】
請求項2記載の制御装置において、
前記制御内容は、前記ショーケースの庫内温度の設定値と、前記ショーケースに設けられる冷却器の除霜運転の有無と、前記冷却器での水切運転の有無と、高温警報を発する庫内の最低温度と、低温警報を発する庫内の最高温度とのうち、いずれか1以上を含むことを特徴とする制御装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の制御装置において、
前記制御対象機器は、複数の用途に用いられ、
前記標準設定用データ記憶部には、前記制御対象機器の用途毎の前記標準設定用データがそれぞれ記憶されていることを特徴とする制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の制御装置において、
前記用途は、前記制御対象機器に保管される商品の品目であることを特徴とする制御装置。
【請求項6】
操作部で設定された制御内容に従って運転制御を行う制御装置を備えたショーケースであって、
前記制御装置は、当該ショーケースの制御内容を設定する入力部と前記制御内容を表示する表示部とを有する前記操作部と、
前記操作部での設定内容を記憶する設定内容記憶部を有し、前記操作部を制御する操作部制御部と、
前記設定内容記憶部に記憶された設定内容に基づき、当該ショーケースを運転制御する機器制御部と、
複数の制御内容の組み合わせを1単位とし、該1単位の標準的な設定値が標準設定用データとして予め記憶される標準設定用データ記憶部と、
前記操作部での設定内容に応じて、前記標準設定用データ記憶部に記憶された標準設定用データを前記設定内容記憶部に設定する設定値設定部と、
前記設定内容記憶部に記憶された設定内容と、前記標準設定用データ記憶部に記憶された標準設定用データとを比較し、その比較結果を前記操作部制御部を介して前記表示部に表示する設定値比較部と、
を備えることを特徴とするショーケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−57489(P2013−57489A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197656(P2011−197656)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】