説明

券媒体処理装置、券媒体処理システム及び券媒体処理方法

【課題】利用者に対する利便性の向上を可能とする券媒体処理装置、券媒体処理システム及び券媒体処理方法を提供する。
【解決手段】無料配布物から固有の識別情報を含む改札処理に必要な改札情報に対応した無効状態の二次元コードを読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた前記二次元コードにより得られた前記改札情報に基づいて利用額を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された利用額を受け取る金額処理手段と、前記金額処理手段により利用額を受け取ったのに基づき、前記二次元コードにより得られた前記改札情報に対応付けて改札機の利用を許可する許可情報を生成する許可情報生成手段と、を備えたことを特徴とする券媒体処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、二次元コードを有する券媒体を処理する券媒体処理装置、券媒体処理システム及び券媒体処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、改札処理の省力化を目的として、改札機が導入されている。この改札機は、利用者が駅構内や遊戯施設などの施設内に入場する場合や、施設内から出場する場合などに、入場券や乗車券などの券媒体の改札情報に基づいて入場処理または出場処理といった改札処理を行う。
【0003】
このような改札機を利用するための券媒体としては、改札情報を磁気情報として記録した磁気式の券媒体や、改札情報を記憶したメモリを有し改札機との間で無線通信が可能な券媒体(ICチップを内蔵したICカードや携帯端末機器などを含む)などが実用化されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、券媒体として、二次元バーコードからなる券情報を有する携帯端末機器、二次元バーコードが印刷された媒体を利用し、入出場処理等を行う券情報処理システムが開示されている。特に、ここでは、券媒体が乗車券として利用される場合に、中央管理装置で生成された乗車券情報が当該乗車券で入場できる乗車区間の全駅に配信され、入場時には二次元バーコードを用いた入場が行われた旨の情報つまりネガティブ情報が全入場可能駅に配信され、出場時には二次元バーコードを用いた出場が行われた旨の情報つまりネガティブ情報が全出場可能駅に配信されることで、不正な使用を防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−59249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、利用者に対する利便性の向上を可能とする券媒体処理装置、券媒体処理システム及び券媒体処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の態様の券媒体処理装置は、
無料配布物から固有の識別情報を含む改札処理に必要な改札情報に対応した無効状態の二次元コードを読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた前記二次元コードにより得られた前記改札情報に基づいて利用額を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された利用額を受け取る金額処理手段と、前記金額処理手段により利用額を受け取ったのに基づき、前記二次元コードにより得られた前記改札情報に対応付けて改札機の利用を許可する許可情報を生成する許可情報生成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明の他の態様の券媒体処理装置は、
改札機の利用を許可する許可情報を記憶する記憶手段と、無料配布物から固有の識別情報を含む改札処理に必要な改札情報に対応した二次元コードを読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた前記二次元コードにより得られた前記改札情報の前記識別情報を基に、前記記憶手段に記憶された前記許可情報を参照し、該当する前記識別情報を含む前記許可情報が存在するか否かの照合を行う照合手段と、前記照合手段により該当する前記許可情報が前記記憶手段に記憶されていると判断したのに基づいて、改札通路を開放するドア機構と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明の他の態様の券媒体処理システムは、
固有の識別情報及び有効区間を含む改札処理に必要な改札情報に対応した二次元コードを有する無料配布物を改札機で利用可能な券媒体に変更する券媒体処理システムであって、無料配布物から二次元コードを読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた前記二次元コードにより得られた前記改札情報に基づいて利用額を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された利用額を受け取る金額処理手段と、前記金額処理手段により利用額を受け取ったのに基づき、前記二次元コードにより得られた前記改札情報に対応付けて改札機の利用を許可する許可情報を生成する許可情報生成手段と、前記許可情報生成手段により生成された前記許可情報に含まれる有効区間に基づいて、前記許可情報を配信すべき駅を判断する判断手段と、前記判断手段により配信すべきと判断された駅の改札機に対して、前記許可情報を配信する配信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明の他の態様の券媒体処理方法は、
無料配布物から固有の識別情報を含む改札処理に必要な改札情報に対応した無効状態の二次元コードを読み取り、読み取った前記二次元コードにより得られた前記改札情報に基づいて利用額を算出し、算出した利用額を受け取ったのに基づき、前記二次元コードにより得られた前記改札情報に対応付けて改札機の利用を許可する許可情報を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、利用者に対する利便性の向上を可能とする券媒体処理装置、券媒体処理システム及び券媒体処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本実施形態における改札システムの一構成例を概略的に示すブロック図である。
【図2】図2は、本実施形態における無料配布物の利用形態の一例を模式的に示す図である。
【図3】図3は、図1に示した改札システムの券売機の一構成例を概略的に示すブロック図である。
【図4】図4は、図1に示した改札システムの改札機の一構成例を概略的に示すブロック図である。
【図5】図5は、本実施形態における無料配布物の有効化処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は、本実施形態におけるホストコンピュータ及び改札機での許可情報の処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】図7は、本実施形態における無料配布物を用いた改札処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
特に、本実施形態においては、券媒体処理装置の一例として券売機及び改札機について説明し、券媒体処理システムの一例として券売機、改札機、及び、ホストコンピュータを備えた改札システムについて説明し、さらに、券媒体処理方法の一例として券売機あるいは改札システムにおける券媒体の処理方法について説明する。
【0015】
図1は、本実施形態における改札システムの構成を概略的に示すブロック図である。
この改札システムは、改札機1や券売機2などの各種駅務機器と、これらの各種駅務機器に対する上位機器(あるいは外部機器)として機能するホストコンピュータ4と、を有している。各種駅務機器と、ホストコンピュータ4とは、通信回線を介して各種情報の送受信を行うように構成されている。
【0016】
図示した例の改札システムにおいて、各種駅務機器は、複数の駅にそれぞれ設置されており、また、ホストコンピュータ4は、複数の駅に設置された各種駅務機器を管理・監視する鉄道会社の社局サーバなどに相当する。なお、各種駅務機器とホストコンピュータ4との間には、各駅の駅サーバなどが介在していても良い。
【0017】
改札機1は、駅の改札口において利用者が通行可能な改札通路に沿って配置されている。この改札機1は、利用者が所持している券媒体の券情報(あるいは改札情報)に基づいて改札処理、つまり駅構内に入場する際の入場処理や駅構内から出場する際の出場処理などの処理を行う。このような改札処理では、改札機1は、券媒体から読み取った券情報に基づいて改札通路の通行の可否を判定する。
【0018】
券売機2は、利用者の操作に応じて券媒体を発行する発行業務を行う。より具体的には、券売機2は、駅構内への入場券、各種乗車券、定期券、特急券、回数券などの各種券媒体を発行する。なお、詳述しないが、券売機2には、券媒体の券情報に基づいて利用額の不足分を精算し、精算券を発行する精算機も含まれる。券売機2によって発行された券媒体は、いずれも上記した改札機1で利用可能となる。
【0019】
このような券売機2によって発行される券媒体の形態としては、券情報つまり改札処理に必要な改札情報(すなわち、固有の識別情報、有効期間、有効区間などの各種情報を含む)に対応した二次元コードを有するものである。なお、券売機2は、二次元コードを有する券媒体のほかに、無線式の券媒体や磁気式の券媒体の発行が可能となるように構成されても良い。
【0020】
本実施形態においては、改札情報に対応した無効状態の二次元コードを有する無料配布物も処理対象の券媒体となる。つまり、券売機2は、無料配布物が有する無効状態の二次元コードを有効化して改札機1などで利用可能な券媒体に変更することも券媒体の発行業務として行う。
【0021】
無料配布物とは、例えば、イベントや観光スポットなどを紹介したパンフレットやチラシなどであり、不特定多数の人々に無料で配布される配布物、あるいは、不特定多数の人々が料金を支払うことなく持ち去ることができるものなどである。また、関連施設などで買い物をした際などに発行されるレシート類も無料配布物に含まれる。いずれにしても、ここでの無料配布物とは、改札情報に対応した二次元コードが印刷可能であり、且つ、それ自体が無料の媒体である。
【0022】
このような無料配布物に予め印刷されている二次元コードは、そのままでは利用不可能であり、無効状態となっている。つまり、二次元コードを有効化する前の段階では、改札機1を利用して駅構内に入場することも駅構内から出場することもできない。ニ次元コードを有効化するためには、券売機2において、利用相当分の利用額の決済を完了する必要がある。券売機2では、無料配布物から二次元コードを読み取り、利用額の決済が完了した場合に、読み取った二次元コードから得られた改札情報に対応付けて改札機1の利用を許可する許可情報(すなわち、固有の識別情報、有効期間、有効区間などの各種情報を含むとともに、改札機1での入場または出場を許可する旨の情報)を生成し、生成した許可情報をホストコンピュータ4に送信する。
【0023】
ホストコンピュータ4は、図示した改札システム上の改札機1や券売機2などの下位の各種駅務機器を監視し、各種駅務機器における処理データを集計したり、各種駅務機器の動作状況を管理したりする。このホストコンピュータ4は、判断手段及び配信手段として機能する制御部41、通信部42、メモリ43などを有している。
【0024】
制御部41は、ホストコンピュータ4の制御のみならず、改札システム全体の制御を行う。通信部42は、各種駅務機器との間で種々の情報の送受信を行うインターフェースである。メモリ43は、ホストコンピュータ4を制御するための制御データなどの各種データに加えて、各種駅務機器から送信された各種情報を記憶している。
【0025】
このようなホストコンピュータ4においては、制御部41は、券売機2から送信された許可情報をメモリ43に記憶させる。また、制御部41は、許可情報の有効区間に基づいて許可情報を配信すべき駅を判断し、当該駅の改札機1に対し、許可情報を配信する。
【0026】
図2は、無料配布物50の利用形態の一例を模式的に示す図である。
無料配布物50として、「観光地Xの旅」などと称したパンフレットに二次元コード51が印刷されたものを用意し、A駅及びその周辺エリアで配布する。二次元コード51は、有効期間(例えば、無料配布物50が発行された発行日から○日以内とか、観光地Xでのイベント開催期間内など)、有効区間(例えば、A駅及びその周辺駅からB駅までの区間とか、乗車駅は設定せずに観光地Xの最寄り駅であるB駅までの区間など)固有の識別情報などの各種情報を含む改札情報に対応している。
【0027】
このような無料配布物50を手にした人々のうち、実際に利用してみたい人は、無料配布物50を持参してA駅に赴き、券売機2において、無効状態であった二次元コード51の有効化処理を行う。すなわち、A駅の券売機2では、無料配布物50から二次元コード51を読み取り、運賃などの利用額(A駅が乗車駅として設定された場合にはA駅からB駅までの運賃など)を受け取ったのに基づいて、当該二次元コード51から読み取った改札情報に対応付けて許可情報を生成し、生成した許可情報をホストコンピュータ4に送信する。
【0028】
ホストコンピュータ4では、A駅の券売機2から送信された改札情報の有効区間から利用者が乗車し得る駅及び利用者が後者し得る駅を判断し、これらの駅に対して許可情報を配信する。ここに示した例では、ホストコンピュータ4は、例えば、A駅に設置されたすべての改札機1に対して、入場を許可する許可情報を配信し、また、B駅に設置されたすべての改札機1に対して、出場を許可する許可情報を配信する。なお、ホストコンピュータ4は、より広範囲の駅の改札機1に対して許可情報を配信しても良く、例えば、A駅のみならずその周辺駅、あるいは、A駅からB駅までの間の各駅に入場を許可する許可情報を配信しても良いし、B駅のみならずその周辺駅、あるいは、A駅からB駅までの間の各駅に出場を許可する許可情報を配信しても良いが、システム負荷を軽減するためには、最小限の駅の改札機1に対してのみ許可情報を配信することが望ましい。
【0029】
このような状態において、無料配布物50の二次元コード51は、所定の駅の改札機1で利用可能となる。つまり、A駅の改札機1では、無料配布物50から二次元コード51を読み取り、読み取った二次元コード51に含まれる識別情報を基に、ホストコンピュータ4から配信された許可情報と照合する。そして、改札機1では、該当する識別情報を含む許可情報が存在すると判断した場合に、無料配布物50を持参した利用者の入場を許可する。
【0030】
また、B駅の改札機1でも同様に、無料配布物50から二次元コード51を読み取り、読み取った二次元コード51に含まれる識別情報を基に、ホストコンピュータ4から配信された許可情報と照合する。そして、改札機1では、該当する識別情報を含む許可情報が存在すると判断した場合に、無料配布物50を持参した利用者の出場を許可する。
【0031】
次に、上述した改札システムに適用可能な券売機2の構成について説明する。
図3は、券売機2の構成を概略的に示すブロック図である。
すなわち、券売機2は、制御部21、通信部22、メモリ23、表示部24、入力手段として機能する操作部25、音声出力部26、読取手段として機能する読取部27、算出手段として機能する算出部28、金額処理手段として機能する金額処理部29、許可情報生成手段として機能する許可情報生成部30、発行手段として機能する発行部31などを有している。
【0032】
制御部21は、無料配布物50の有効化処理などを含む券媒体の発行業務を行うに際して、券売機2を構成する各部の制御を行うものである。通信部22は、上位のホストコンピュータ4との通信を行うインターフェースである。メモリ23は、券売機2の制御に必要な制御データや、各種券媒体を発行する発行業務を行うのに必要な各種情報などを記憶している。
【0033】
表示部24は、液晶表示器などで構成されている。この表示部24は、制御部21による制御に基づいて、券売機2を利用する利用者に対して無料配布物50の有効化処理などの券媒体の発行業務に必要な各種操作を案内する画面や、発行する券媒体の内容などの種々の情報を案内する画面などを表示する。
【0034】
操作部25は、各種ボタンや、接触を検知したのに基づいて対応する情報を出力するタッチパネルなどで構成されている。この操作部25は、制御部21による制御に基づいて、利用者による各種操作の入力を受け付ける。より具体的には、操作部25は、券媒体の発行指示を受け付けたり、乗車駅などの改札情報を生成するために必要な情報、予約情報例えば乗車日の指定、列車の指定、座席の指定などの情報の入力を受け付けたりする。表示部24及び操作部25の少なくとも一部は、例えば、タッチパネル内蔵の液晶表示器などで構成される。
【0035】
音声出力部26は、制御部21による制御に基づいて、券売機2を利用する利用者に対して無料配布物50の有効化処理などの券媒体の発行業務に必要な各種操作を案内する音声や、発行する券媒体の内容などの種々の情報を案内する音声などを図示しないスピーカーから出力する。
【0036】
読取部27は、制御部21による制御に基づいて、無料配布物50から二次元コード51を読み取る。この読取部27は、所定の読取エリアに翳された二次元コード51を走査して光学的に読み取るものであっても良いし、投入口から機体内に投入された無料配布物50から二次元コード51を読み取るものであっても良い。投入された無料配布物50については、二次元コード51の読み取りが完了した後に機体外に排出され、利用者に返却される。
【0037】
算出部28は、制御部21による制御に基づいて、読取部27により読み取られた二次元コード51に基づいて利用額を算出する。より具体的には、算出部28は、二次元コード51に対応した改札情報の有効区間に基づいて乗車駅から降車駅までの区間(図2に示した例ではA駅−B駅の区間)の運賃、及び、必要に応じて特急料金や座席指定料金などを合算した総額を利用額として算出する。
【0038】
金額処理部29は、制御部21による制御に基づいて、利用者によって投入された現金あるいは金額カード(すなわちストアードフェアカードやクレジットカードなど)の金額を処理する。より具体的には、金額処理部29は、投入された現金から算出部28によって算出された利用額相当分を受け取る、あるいは、投入された金額カードの残額から利用額相当分を引き去った後に金額カードを返却する。
【0039】
許可情報生成部30は、制御部21による制御に基づいて、二次元コード51から得られた改札情報に対応付けた許可情報を生成する。より具体的には、許可情報生成部30は、金額処理部29により利用額相当分を受け取ったのに基づいて、読取部27により読み取られた二次元コードを有効化するために、改札機1を利用した入場あるいは出場を許可する許可情報を生成する。許可情報生成部30によって生成された許可情報は、制御部21により、通信部22を介してホストコンピュータ4に送信される。
【0040】
発行部31は、制御部21による制御に基づいて、必要に応じて印刷物60を発行する。より具体的には、発行部31は、印刷物60となる原券媒体を収容しており、必要に応じて操作部25を介して入力された乗車駅や、予約情報(例えば乗車日、列車番号、座席番号、発着時刻)有効期限などを原券媒体に印刷し、発行口から排出する。
【0041】
なお、このような券売機2は、必要に応じて、磁気式の券媒体を処理する磁気券処理部や無線式の券媒体を処理するカードリーダライタなどを備えていても良い。これらの磁気券処理部及びカードリーダライタについては説明を省略する。
【0042】
次に、上述した改札システムに適用可能な改札機1の構成について説明する。
図4は、改札機1の構成を概略的に示すブロック図である。
すなわち、改札機1は、制御部11、通信部12、記憶手段として機能するメモリ13、表示部14、ドア制御部15、読取手段として機能する読取部16、照合手段として機能する照合部17などを有している。
【0043】
制御部11は、有効化処理された無料配布物50などを含む券媒体による改札処理を行うに際して、改札機1を構成する各部の制御を行うものである。通信部12は、上位のホストコンピュータ4との通信を行うインターフェースである。メモリ13は、改札機1の制御に必要な制御データや、改札処理を行うのに必要な各種データ、さらにはホストコンピュータ4から配信された許可情報などを記憶している。
【0044】
表示部14は、液晶表示器などで構成されている。この表示部14は、制御部11による制御に基づいて、改札機1を利用する利用者に対して操作を案内する画面や有効性の判定結果などに対応した案内画面を表示する。ドア制御部15は、改札機1に設けられているドア機構15Aの開閉を制御するものであり、有効性の判定結果に対応して改札通路を開放したり閉鎖したりする。
【0045】
読取部16は、制御部11による制御に基づいて、利用者が持参する無料配布物50から二次元コード51を読み取る。より具体的には、読取部16は、利用者によって翳された無料配布物50から二次元コード51を読み取り可能な所定の読取エリアを有している。
【0046】
照合部17は、制御部11による制御に基づいて、読取部16により読み取られた二次元コードに含まれる識別情報を基に、ホストコンピュータ4から配信されメモリ13に記憶された許可情報との照合を行う。より具体的には、照合部17は、メモリ13に記憶されている許可情報を参照し、この中から該当する識別情報(つまり、読み取った二次元コードに含まれる識別情報)を含む許可情報が存在するか否かの照合処理を行う。
【0047】
なお、このような改札機1は、必要に応じて、磁気式の券媒体を処理する磁気券処理部や無線式の券媒体を処理するカードリーダライタなどを備えていても良い。これらの磁気券処理部及びカードリーダライタについては説明を省略する。
【0048】
次に、無料配布物50の有効化処理について券売機2の各部の動作とともに説明する。
図5は、本実施形態における無料配布物50の有効化処理を説明するためのフローチャートである。
【0049】
まず、制御部21は、無料配布物50の有効化処理を開始するか否かを判断する(ST11)。すなわち、制御部21は、操作部25を介した無料配布物50の有効化処理の開始指示の入力や、無料配布物50の投入口からの投入を受け付けた場合、あるいは、読取部27の読取エリアに無料配布物50の二次元コード51が翳された場合に、当該無料配布物50の有効化処理を開始するものと判断する(ST11、YES)。
【0050】
そして、制御部21は、読取部27を制御して、無料配布物50から二次元コード51を読み取る(ST12)。そして、読取部27は、二次元コード51の読み取りが正常に完了したのに伴い、読取結果つまり読み取った二次元コード51から得られた改札情報を算出部28及び許可情報生成部30に出力する。
【0051】
そして、制御部21は、算出部28を制御して、読取部27から入力された改札情報に基づいて利用額を算出する(ST13)。より具体的には、算出部28は、改札情報に含まれる有効区間の乗車駅、あるいは、当該券売機2が設置された駅、あるいは、操作部25を介して入力された乗車駅から、改札情報に含まれる降車駅、あるいは、操作部25を介して入力された降車駅までの区間の運賃などを含む利用額を算出する。算出部28は、算出した利用額を表示部24、音声出力部26、及び、金額処理部29に出力する。
【0052】
そして、制御部21は、表示部24及び音声出力部26を制御して、算出部28によって算出した利用額を利用者に案内する(ST14)。より具体的には、表示部24は、利用額を表示するとともに利用額相当の現金の投入あるいは金額カードの投入を促す画面を表示する。また、音声出力部26は、利用額を表示するとともに利用額相当の現金の投入あるいは金額カードの投入を促す音声を出力する。
【0053】
そして、制御部21は、金額処理部29を制御して、算出部28によって算出した利用額を受け取る(ST15)。そして、制御部21は、金額処理部29により利用額を受け取ったか否かを判断する(ST16)。
【0054】
制御部21は、金額処理部29により利用額を受け取ったと判断したのに基づいて(ST16、YES)、許可情報生成部30を制御して、対応する許可情報を生成する(ST17)。より具体的には、許可情報生成部30は、読取部27から入力された改札情報に対応付けた許可情報を生成する。
【0055】
そして、制御部21は、通信部22から通信回線を介して、許可情報生成部30によって生成された許可情報をホストコンピュータ4に送信する(ST18)。その後、制御部21は、表示部24及び音声出力部26を制御して、無料配布物50の有効化処理が完了した旨(つまり、無料配布物50が指定の乗車駅からの入場及び降車駅での出場が可能な券媒体に変更された旨)を案内する。また、制御部21は、操作部25を介した予約情報の入力を受け付けた場合には、発行部31を制御して、入力された予約情報を印刷した印刷物60を発行する。
以上のようなステップを経て無料配布物50の有効化処理を終了する。
【0056】
次に、券売機2から送信された許可情報が改札機1に配信されるまでの配信処理についてホストコンピュータ4の各部の動作及び改札機1の各部の動作について説明する。
図6は、本実施形態におけるホストコンピュータ4及び改札機1での許可情報の処理を説明するためのフローチャートである。
【0057】
すなわち、ホストコンピュータ4の制御部41は、通信部42から通信回線を介して券売機2から許可情報を受信したのに基づいて(ST21、YES)、受信した許可情報をメモリ43に記憶する(ST22)。
【0058】
そして、制御部41は、受信した許可情報に含まれる有効区間に基づいて、許可情報を配信すべき駅を判断する(ST23)。例えば、制御部41は、有効区間として設定された乗車駅及び降車駅、さらには必要に応じてこれらの駅の周辺駅や、乗車駅と降車駅との間の各駅などが許可情報を配信すべき駅であると判断する。
【0059】
そして、制御部41は、配信すべき駅の改札機1に対して、許可情報を配信する(ST24)。なお、このような許可情報は、ホストコンピュータ4から改札機1に対して直接配信されても良いが、ホストコンピュータ4から配信すべき駅に設置された駅サーバに配信された後に、駅サーバから改札機1に配信されても良い。
【0060】
一方、改札機1の制御部11は、通信部12から通信回線を介してホストコンピュータ4から許可情報を受信したのに基づいて(ST25、YES)、受信した許可情報をメモリ13に記憶する(ST26)。
以上のようなステップを経て許可情報の配信処理を終了する。
【0061】
次に、有効化処理された無料配布物50を用いた改札処理について改札機1の各部の動作とともに説明する。
図7は、本実施形態における無料配布物50を用いた改札処理を説明するためのフローチャートである。
【0062】
まず、制御部11は、無料配布物50が所定の読取エリアに翳されたと判定したのに基づいて(ST31、YES)、読取部16を制御して、無料配布物50から二次元コード51を読み取る(ST32)。そして、読取部16は、二次元コード51の読み取りが正常に完了したのに伴い、読取結果つまり読み取った二次元コード51から得られた改札情報を照合部17に出力する。
【0063】
そして、制御部11は、照合部17を制御して、読取部16から入力された改札情報に基づいて対応付けされた許可情報の有無を判断する照合処理を行う(ST33)。より具体的には、照合部17は、入力された改札情報に含まれる識別情報を基に、メモリ13に記憶されている許可情報を参照し、この中から該当する識別情報を含む許可情報が存在するか否かの照合処理を行う。
【0064】
そして、制御部11は、照合部17により該当する許可情報がメモリ13に記憶されていると判断したのに基づいて、無料配布物50が有効化されている、つまり、利用者の改札通路の通行を許可すると判定する(ST34、YES)。そして、制御部11は、ドア制御部15を制御してドア機構15Aを駆動し、改札通路を開放する(ST35)。
【0065】
また、制御部11は、照合部17により該当する許可情報がメモリ13に記憶されていないと判断したのに基づいて、無料配布物50が有効化されていない、つまり、利用者の改札通路の通行を許可しないと判定する(ST34、NO)。そして、制御部11は、ドア制御部15を制御してドア機構15Aを駆動し、改札通路を閉鎖する(ST36)。
【0066】
以上のようなステップを経て無料配布物50による改札処理を終了する。
【0067】
以上説明したように、本実施形態によれば、利用者にとっては、無料配布物50を持参して券売機2において利用額を支払うのみで無料配布物50そのものが乗車券などの券媒体として機能するため、料金表などから必要な利用額を探し出したり利用者自らが計算したりする必要はなく、また、券売機2において種々の情報を入力するなどの煩わしい操作が不要となる。また、パンフレットなどを持参して駅窓口などに出向き、パンフレットとは別の券媒体を発行してもらう必要がなくなるため、煩わしさがなくなる。したがって、利用者にとって利便性を向上することが可能となる。
【0068】
また、そのまま乗車券として利用可能となりうる二次元コード51を印刷した無料配布物50を不特定多数の人々に配布することにより、鉄道の利用機会の増加を図ること可能となるとともに、無料配布物50に記載された観光地などへの集客効果の向上を図ることが可能となる。
【0069】
さらに、割引などの企画に応じた運賃設定を容易に行うことが可能となる。
また、無料配布物50そのものが乗車券などの券媒体として機能するため、省資源化に貢献できる。
【0070】
また、改札機1や券売機2などの券媒体処理装置が利用者によって翳された無料配布物50から二次元コード51を読み取る構成を適用した場合には、券媒体として機能する無料配布物を機体内に取り込んで搬送するといった機構が不要であり、装置本体のコストの低減が可能となる。
【0071】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…改札機(券媒体処理装置)
2…券売機(券媒体処理装置)
4…ホストコンピュータ
11…制御部
13…メモリ(記憶手段)
16…読取部(読取手段)
17…照合部(照合手段)
21…制御部
25…操作部(入力手段)
27…読取部(読取手段)
28…算出部(算出手段)
29…金額処理部(金額処理手段)
30…許可情報生成部(許可情報生成手段)
31…発行部(発行手段)
41…制御部(判断手段、配信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無料配布物から固有の識別情報を含む改札処理に必要な改札情報に対応した無効状態の二次元コードを読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた前記二次元コードにより得られた前記改札情報に基づいて利用額を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された利用額を受け取る金額処理手段と、
前記金額処理手段により利用額を受け取ったのに基づき、前記二次元コードにより得られた前記改札情報に対応付けて改札機の利用を許可する許可情報を生成する許可情報生成手段と、
を備えたことを特徴とする券媒体処理装置。
【請求項2】
改札機の利用を許可する許可情報を記憶する記憶手段と、
無料配布物から固有の識別情報を含む改札処理に必要な改札情報に対応した二次元コードを読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた前記二次元コードにより得られた前記改札情報の前記識別情報を基に、前記記憶手段に記憶された前記許可情報を参照し、該当する前記識別情報を含む前記許可情報が存在するか否かの照合を行う照合手段と、
前記照合手段により該当する前記許可情報が前記記憶手段に記憶されていると判断したのに基づいて、改札通路を開放するドア機構と、
を備えたことを特徴とする券媒体処理装置。
【請求項3】
固有の識別情報及び有効区間を含む改札処理に必要な改札情報に対応した二次元コードを有する無料配布物を改札機で利用可能な券媒体に変更する券媒体処理システムであって、
無料配布物から二次元コードを読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた前記二次元コードにより得られた前記改札情報に基づいて利用額を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された利用額を受け取る金額処理手段と、
前記金額処理手段により利用額を受け取ったのに基づき、前記二次元コードにより得られた前記改札情報に対応付けて改札機の利用を許可する許可情報を生成する許可情報生成手段と、
前記許可情報生成手段により生成された前記許可情報に含まれる有効区間に基づいて、前記許可情報を配信すべき駅を判断する判断手段と、
前記判断手段により配信すべきと判断された駅の改札機に対して、前記許可情報を配信する配信手段と、
を備えたことを特徴とする券媒体処理システム。
【請求項4】
無料配布物から固有の識別情報を含む改札処理に必要な改札情報に対応した無効状態の二次元コードを読み取り、
読み取った前記二次元コードにより得られた前記改札情報に基づいて利用額を算出し、
算出した利用額を受け取ったのに基づき、前記二次元コードにより得られた前記改札情報に対応付けて改札機の利用を許可する許可情報を生成することを特徴とする券媒体処理方法。
【請求項5】
無料配布物から固有の識別情報を含む改札処理に必要な改札情報に対応した二次元コードを読み取り、
読み取った前記二次元コードにより得られた前記改札情報の前記識別情報を基に、改札機の利用を許可する許可情報を記憶する記憶手段を参照し、該当する前記識別情報を含む前記許可情報が存在するか否かの照合を行い、
照合の結果、該当する前記許可情報が前記記憶手段に記憶されていると判断したのに基づいて、改札通路を開放することを特徴とする券媒体処理方法。
【請求項6】
固有の識別情報及び有効区間を含む改札処理に必要な改札情報に対応した二次元コードを有する無料配布物を改札機で利用可能な券媒体に変更する券媒体処理方法であって、
無料配布物から二次元コードを読み取り、
読み取った前記二次元コードにより得られた前記改札情報に基づいて利用額を算出し、
算出した利用額を受け取ったのに基づき、前記二次元コードにより得られた前記改札情報に対応付けて改札機の利用を許可する許可情報を生成し、
生成した前記許可情報に含まれる有効区間に基づいて、前記許可情報を配信すべき駅を判断し、
配信すべきと判断した駅の改札機に対して、前記許可情報を配信することを特徴とする券媒体処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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