説明

券類発行機

【課題】先端を後続部分に重ねて接着されていたロール紙を装填した際に、ロール紙の接着部分であった箇所を切り取るための手段を提供する。
【解決手段】ロール紙40を、その接着面46を剥がしてロール紙装填部2aに装填し、ロール紙40の先端をロール紙検知センサ22bが検知する位置にセットすると、そのときのロール紙検知センサ22aの検知信号に基づき、ロール紙搬送路3aによってロール紙40をカッタ6へ搬送し、ロール紙40の先端の接着面46に接着していた接着面46をロール紙40から切断するまで、カッタ6によるロール紙40の切断を繰り返し行い、その切断された券片を全て回収スタッカ部17に搬送して集積することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空券の搭乗券や列車の乗車券等の券類を発行する券類発行機に関し、特にロール紙等のロール状媒体が装填されたときの先端部及び終端部の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の券類発行機としての発券装置は、乗車券、定期券等を発行する場合、ロール紙を搬送路に沿ってカッター部に搬送し、発行する券種に応じた長さにロール紙をカッター部によって切断し、切断した券片の表面に顧客の購入情報を印字部によって印刷し、裏面の磁気ストライプに磁気書込ヘッドで磁気情報を書き込んで排出スタッカに排出している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一般に、上記のロール紙は近年セキュリティ意識の高まりと共にその管理の厳正化が求められている。そのため偽造を容易にしてしまう券片が不用意に流出しないようにロール紙の端切れも放置できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−33464号公報(段落「0009」、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術においては、ロール紙の補充を係員が行い、そこで用いる新品のロール紙は先端部がロール紙外周に接着され、それを剥がして使用するので、接着跡が残らないように、予め先端からロール紙外周の約1周分を切り取って接着跡が残る箇所を完全に取り除いた状態にして補充する必要があり、切り取りの際に係員が手で直接破り取るとロール紙の先端がギザギザや斜めになるので、補充後に装置側で先端部分の切断と、切断した部分を回収する処理を行うが、先端がギザギザや斜めになっているために搬送路の途中で引っ掛かって搬送詰まりなどエラーとなる恐れがある。
【0006】
そのため、鋏などの道具を使う必要があり係員の負担となり、さらにロール紙の外周1周分を切り取って廃棄する際も、切り取ったものが偽造可能な状態で流出しないよう、鉄道の乗車券発行機の場合は最低でも近距離券サイズ(30mm×57.5mm)未満の大きさに裁断する必要があり、係員にとって業務の妨げとなってしまう場合があるという問題がある。
【0007】
また、ロール紙がニアエンド状態またはエンド状態となったために係員がロール紙の補充を行う場合には、ニアエンド状態またはエンド状態で装置内に残っているロール紙を取り除いてから新しいロール紙を補充し、取り除いたロール紙を廃棄する際も、それが偽造可能な状態で流出しないよう、鉄道の乗車券発行機の場合は近距離券サイズ(30mm×57.5mm)未満の大きさに裁断する必要があり、係員にとって業務の妨げとなってしまう場合があるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、装填されたロール紙を回転可能に支持するロール紙装填部と、ロール紙に印字を行う印字部と、前記印字部によって印字が済んだロール紙を券片の大きさに切断するカッタと、該カッタによりロール紙から切断された券片の内廃棄の対象となった券片を集積するスタッカと、ロール紙および券片を搬送する搬送路と、前記ロール紙装填部の近傍に配されて前記搬送路上のロール紙を検知するロール紙検知センサとを備えた券類発行機であって、先端部を後続部分に重ねて接着したロール紙を、その接着部分を剥がして前記ロール紙装填部に装填し、かつロール紙の先端を前記ロール紙検知センサが検知する位置にセットすると、そのときの前記ロール紙検知センサの検知信号に基づき、前記搬送路によって前記ロール紙を前記カッタへ搬送し、前記ロール紙の先端部に接着していた部分を前記ロール紙から切断するまで、前記カッタによる前記ロール紙の切断を繰り返し行い、その切断された券片を全て前記スタッカに搬送して集積することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
これにより、本発明は、ロール紙が装填された際に、装置側で自動的に接着跡を取り除くので、係員が先端から外周約1周分を切り取る等の作業を行う必要が無くなり、係員にとっての利便性が向上すると共に、係員の手間を省くので、係員の業務効率を向上させることができるという効果が得られる。
【0011】
また、切断した券片には無効である旨の印字をしているので、スタッカに集積した券片が外に持ち出されても、それによって偽造券が作られてしまうのを防止できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1の乗車券発行機を示す概略構成図
【図2】実施例1の各センサの位置関係を示す説明図
【図3】実施例1の乗車券発行機を示すブロック図
【図4】ロール紙の仕立てを示す説明図
【図5】VOID印字がなされた85mmの券片を示す説明図
【図6】実施例3の乗車券発行機を収納した筐体を示す側断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図面を参照して本発明による券類発行機の実施例について説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は実施例1の乗車券発行機を示す概略構成図である。
【0015】
図1において、1は駅に設置された券類発行機としての乗車券発行機であり、図示しないタッチパネル等の操作盤を顧客が操作する顧客操作型であって新幹線の切符、特別企画切符等の乗車券を発行する。
【0016】
2a、2bはロール紙装填部であり、ロール状媒体であるロール紙40を回転可能に支持する支持軸等によって構成されてロール紙40が装填される。本実施例においては2個設けているため一方を第1のロール紙装填部2a、他方を第2のロール紙装填部2bとして説明する。
【0017】
3a、3bはロール紙搬送路であり、第1のロール紙装填部2a、第2のロール紙装填部2bから繰り出したロール紙40を合流搬送路5へと搬送する搬送手段であり、ロール紙搬送路3aは第1のロール紙装填部2aからロール紙40を繰り出して搬送し、またロール紙搬送路3bは第2のロール紙装填部2bからロール紙40を繰り出して搬送するものとしそれぞれを区別する。
【0018】
合流搬送路5は、ロール紙搬送路3a、3bが合流した箇所から排出媒体集積部20へと延びる搬送路であり、ロール紙搬送路3a、3bから搬送されてきたロール紙を後述する各部へと搬送する。
【0019】
上記のロール紙搬送路3a、3bと合流搬送路5はそれぞれ図示しない駆動伝達機構により回転駆動するローラやベルトによりロール紙40及び券を搬送する。
【0020】
また、合流搬送路5には搬送先を切り替える図示しないブレードが各所に設けてある。
【0021】
6はカッタであり、ロール紙40を所定の乗車券のサイズに切断する。なお、本実施例ではロール紙40を特別企画切符等の長さである120mm、新幹線等の切符の長さである85mmのどちらかの長さで切断する。
【0022】
7は感熱印字部であり、カッタ6よりもロール紙40の搬送方向の上流に配され、乗車券のサイズに切断された券片に印字ヘッドを直接当てる感熱方式によって券片の表面に発行する乗車券の情報等を印字する。
【0023】
8は磁気部であり、券片の裏面に磁気情報を書き込む他、例えば後述の接客部10を介して挿入された乗車券や定期券等から磁気情報を読み取る等の機能を有する。
【0024】
9は排出券載置部であり、感熱印字部7による印字と磁気部8による磁気情報の書き込みが正常に行われて作成された乗車券を載置し、その載置された乗車券を排出挿入口を備えた接客部10を介して排出して顧客に受け渡すようにしている。
【0025】
排出券載置部9は、接客部10を介して乗車券等の挿入を受け入れるために、図示しない吸引機構及び、吸引した乗車券等の種別を判別するための判別部が設けてある。
【0026】
また排出券載置部9は、載置した発行券を1枚でも束の状態であっても、接客部10を介して排出できるものとする。
【0027】
12は取り忘れ券取込部であり、接客部10に排出した乗車券の取り忘れがあったときに、その取り忘れた乗車券を集積する部位である。
【0028】
なお乗車券の取り忘れがあった時は、接客部10に設けた図示しない券取込み機構によって乗車券を排出券載置部9側に取り込んで、合流搬送路5によってその乗車券を取り忘れ取込部12に搬送し集積する。
【0029】
13、14は追加印字部であり、印字ヘッド、プラテン、インクリボン等により構成される熱転写式の印字部であり、一方が黒色のインクリボン、他方が赤色のインクリボンを実装している。
【0030】
追加印字部13、14は、主に感熱印字部7により印字が施された乗車券や追加印字処理のために乗車券発行機1に挿入された券に対して追加印字を行うため、感熱印字仕様の券でも媒体自体に発色構造を持たない熱転写仕様の券でも媒体種別を選ぶこと無く印字ができるように熱転写式の印字部となっている。
【0031】
16はパンチ部であり、例えば乗車券を排出券載置部へと搬送している途中の処理で障害が発生して廃棄しなくてはならなくなった場合等の、廃棄の対象となった乗車券(廃券という。)に穴をあける穴あけ処理を行う。
【0032】
17は回収スタッカ部(スタッカ)であり、パンチ部16で穴あけ処理がなされた廃券や後述するVOID印字がなされて廃棄の対象となった券片を集積する。
【0033】
18は単票収納部であり、定期券の発行で用いるための単票を収納しており、収納している単票を積み重ねて載置するステージや、ステージ上の単票を繰り出すピックアップローラ、ピックアップローラによって繰出される単票を1枚ずつに分離して合流搬送路5に送り出す、対向配置されたフィードローラおよびゲートローラ等を備えている。
【0034】
20は先端検知センサであり、合流搬送路5によるロール紙40の搬送方向におけるカッタ6の下流に配置され、搬送されてきたロール紙40の先端を検知する。
【0035】
22a、22bはロール紙検知センサであり、ロール紙搬送路3a、3bの始端の近傍に配されて繰り出されるロール紙を検知する。
【0036】
なお、上流側ロール紙検知センサ22aはロール紙搬送路3aの始端近傍に配され、上流側ロール紙検知センサ22bはロール紙搬送路3bの始端近傍に配されている。
【0037】
23a、23bはエンド検知センサであり、ロール紙搬送路3a、3bの終端部に配されて搬送されるロール紙40の終端の通過を検知する。
【0038】
なお、エンド検知センサ23aはロール紙搬送路3aの終端部に配され、エンド検知センサ23bはロール紙搬送路3bの終端部に配されている。
【0039】
ここで、図2は実施例1の各センサの位置関係を示す説明図である。
【0040】
エンド検知センサ23a、23bはそれぞれにロール紙搬送路3a、3bと合流搬送路5による搬送経路に沿って、図2に示すようにカッタ6から200mm離れた上流側に位置する。
【0041】
また、上記先端検知センサ20は、合流搬送路5による搬送経路に沿って、図2に示すようにカッタ6から80mm離れた下流側に位置している。
【0042】
図3は実施例1の乗車券発行機を示すブロック図である。
【0043】
図3において、25は制御部であり、記憶部26に格納された制御プログラムに従って乗車券発行機1の各部の動作を制御し、乗車券の発行処理を遂行する。
【0044】
26は記憶部であり、乗車券発行機1の制御プログラムを格納する他、制御部25による処理結果等を記憶する。
【0045】
次にロール紙の仕立てについて、図4に示すロール紙の仕立てを示す説明図を用いて説明する。
【0046】
新品のロール紙40は、一般的に図4に示す仕立てで作られており、鑑別印字部7によって印字がなされる印字面を内側、磁気部8によって磁気情報を書き込む磁気塗膜面を外側とするように、紙管45を中心に巻きつけられている。
【0047】
そして、ロール紙40の先端部の内側が触れる後続部分の外周に重ねて接着剤によって接着している。よって先端部の内側と後続部分の外周部分との2箇所が接着剤の付着した図4に示す接着面46になる。
【0048】
そのため、ロール紙40の接着部分である接着面同士を図4に示す矢印の方向に剥がした上でロール紙40を乗車券発行機1に装填する必要がある。
【0049】
上述した構成の作用について説明する。
【0050】
ここでは、ロール紙40をロール紙装填部2aに装填した際の、ロール紙40の接着面46を含めてロール紙40の外周1周分を除去する先端部処理について説明する。
【0051】
ロール紙40の交換を行う係員は図示しない扉等を開くことで、乗車券発行機1の内部を開き、ロール紙装填部2aに新品のロール紙40を先端部を剥がした状態で装填する。
【0052】
次に係員は、装填したロール紙40の先端を第1のロール紙搬送路3aに沿わせながら引張り、その先端を上流側ロール紙検知センサ22aを遮る箇所に位置させ、開けていた図示しない扉を閉じる。
【0053】
そのとき、制御部25は、図示しないセンサによる扉が閉じられたことを示す検知信号と、上流側ロール紙検知センサ22aによるロール紙40を検知した旨の検知信号とを受け、ロール紙40の交換がなされたことを認識する。
【0054】
これにより、制御部25は図示しない駆動機構を動作させることで、第1のロール紙装填部2aを回転させながら、ロール紙搬送路3aによってロール紙40を合流搬送路5へ搬送し、さらに合流搬送路5によってロール紙40の先端を感熱印字部7まで搬送する。
【0055】
なお、このとき、ロール紙40の先端部とその先端部と接触する外周部分が接着面46であることから、接着面46を剥がしたときに外周の一部が破れて先端部側に張り付くことがある。あるいはその逆に先端部の一部が破れて外周部分に張り付いて残っていることがある。
【0056】
いずれの場合であっても、この状態のロール紙40には正常な印字処理を行うことができず、また磁気情報の書き込みができないこともあるため、顧客へ発行する乗車券には適さない。
【0057】
制御部25は、感熱印字部7によってロール紙40の表面に乗車券としては無効であることを示す印、あるいは「無効」や「VOID」等の乗車券として無効であることを示す文字等を印字するVOID印字処理を行う。
【0058】
そして、制御部25はロール紙40を合流搬送路5によって、その先端が先端検知センサ20を遮る位置までを搬送し、先端検知センサ20によってロール紙40の先端を検知したときから、ロール紙40をさらに5mm搬送した位置で、カッタ6によってロール紙40を切断する。
【0059】
ここで、図2に示すようにカッタ6と先端検知センサ20との間は80mmの間隔があり、さらにロール紙40の先端が先端検知センサ20から5mm先に位置しているので、ロール紙40は85mmの長さで切断されたことになり、このようにしてVOID印字処理を行って85mmの長さの券片にする。
【0060】
ここで、図5はVOID印字がなされた85mmの券片を示す説明図である。
【0061】
制御部25は、VOID印字処理では券片に印字の無い部分が30mm以上発生しないようにしている。
【0062】
それは当該乗車券発行機1では発行していないが、新幹線の切符ではなく在来線の近距離券のサイズが券長30mmであり、万が一30mm以上印字の無い部分が外部に持ち出されてそれをもとに近距離券が偽造されてしまう可能性を考慮したものである。
【0063】
そのため、少なくとも近距離券のサイズでは何も印字されていない部分ができないようにする必要があり、VOID印字は印字する文字や印の大きさ等に合わせて行っており、本実施例では図5に示すように上下2箇所で1列に並べた「VOID」の文字を3列印字する。
【0064】
制御部25は、VOID印字を行った券片を回収スタッカ部17に搬送して集積する。
【0065】
このとき集積する券片の印字の状態は接着跡によって不鮮明になる場合も有るが、顧客に渡さず回収するため問題は無い。
【0066】
制御部25は、ロール紙40の約1周分に渡って上記のVOID印字を行った券片を作成していく。これにより接着面46が設けられた先端部とその先端部と接触していた外周部分とを取り除いていく。
【0067】
即ち、外形が最大直径310mmのロール紙を使用する乗車券発行機1であれば、ロール紙40の外周は、310×π=約980mmである。それを85mmの長さに切断すると、券片が約11.5枚分で外周1周分になる。従って12回分、上記動作を繰り返すことで、ロール紙40の先端から最後に接着面46が残っている部分までを取り除くことができる。
【0068】
以上説明したように、本実施例では、係員がロール紙を装填した際に先端からVOID印字を行って乗車券の長さで切断した券片を作成し、それを約1周分以上に渡って行うことで、ロール紙の接着面である先端部とその先端部に接着していた部分とを切断し、そのVOID印字を行った券片を回収スタッカ部に集積して回収するため、係員が予め接着面が無くなるまでロール紙の先端部を剥いて接着面となっている部分を含めて先端から1周分以上を切取り、その切り取った部分をさらに鋏などで裁断する等の作業が不要となり、係員にとっての利便性を向上させることができ、さらに係員の手間を省くので業務効率が向上する。
【0069】
また、係員がロール紙から接着面の部分を取り除くのを忘れたために、乗車券発行機が顧客に乗車券を発行する際に磁気情報の書き込みエラーや印字が不鮮明な乗車券を発行してしまうのを防止できる。
【0070】
さらに、先端から切断していった券が乗車券として無効である旨を示す為にVOID印字を行うことで、仮にその券が外部に持ち出されたとしても乗車券が偽造されることを防止でき、またパンチ部が廃券に対して行う券への穴開けの必要が無く、処理を短時間で済ませることができる。
【0071】
なお、本実施例においては、先端部処理でロール紙を85mmの長さで切断したが、これに限るものではなく、例えば制御部による制御でロール紙を切断する長さを85mmあるいは120mmと設定していれば、120mmでロール紙を切断してもよい。
【実施例2】
【0072】
本発明の構成は上記実施例1と同様である。
【0073】
従来の技術では、係員がロール紙40を補充する際に、補充されるロール紙装填部2a、2bに元々装填されていたロール紙40の残った分がロール紙搬送路3a、3bまたは合流搬送路5に残っていたときは、その残ったロール紙40を外部に取り出して細かく切り取る等の処理を行っていた。
【0074】
そこで、本実施例ではそのような係員の処理を乗車券発行機1で行うようにしたものであり、ロール紙40の残量が少なくなったときに行う終端部処理について、ロール紙装填部2aのロール紙40の残量が減っていった場合を例に説明する。
【0075】
乗車券を発行しているロール紙40の残量が減ってくると、徐々にロール紙40の外形が小さくなる。
【0076】
やがて、ロール紙装填部2aのロール紙40の終端が紙管45より外れてそのまま搬送されていくと、制御部25はエンド検知センサ23aによってその終端を検知し、ロール紙装填部2aのロール紙40がニアエンド状態であることを認識し、終端部処理を開始する。
【0077】
制御部25は、エンド検知センサ23aで終端を検知してからのロール紙40の搬送量と、その際の発券券種から残ったロール紙40の長さ(以下、残量という。)を算出する。
【0078】
つまり、エンド検知センサ23a、23bからカッタ6までの距離が200mmであることから、エンド検知センサ23a、23bが終端を検知してからロール紙40を10mmだけ搬送した場合は、ロール紙40の残量は200mmからロール紙40の搬送量10mmを差し引いた190mmとなる。
【0079】
ここでロール紙40の残量の最小長さと最大長さを算出する。
【0080】
ロール紙40の搬送開始直後にエンド検知センサ23aによって終端を検知すると共に、120mmの券片を発券した場合、エンド検知センサ23aからカッタ6までの距離が200mmであることからロール紙の残量は、
200mm−120mm=80mm
となり、これがロール紙40の残量の最小長さとなる。
【0081】
また、85mmの券片に切断するためにロール紙40を搬送している際、そのロール紙40の先端がカット位置へ到達したときに、ちょうどエンド検知センサ23aがロール紙40の終端を検知し、ロール紙40が切断されて85mmの券片を発券した場合、切断前のロール紙40の残量が200mmと85mmとを足した長さで、そこから85mm分を切断したので、
200mm+85mm−85mm=200mm
となり、それがロール紙40の残量の最大長さとなる。従って、エンド検知センサ23aが終端を検知した後は、80〜200mmの範囲のロール紙40が残る。
【0082】
制御部25は、ロール紙40の残量に応じて以下の様に処理を行う。
【0083】
残量170mm以上のロール紙40は、感熱印字部7によってVOID印字を行ってカッタ6で先端から85mmの位置で切断する。
【0084】
このとき、上記実施例1と同様に少なくとも近距離券のサイズで何も印字されていない部分ができないようにする必要があり、VOID印字は図5に示すように上下2箇所で1列に並べた「VOID」の文字を3列印字する。
【0085】
次に、ロール紙40の残量が120mm以上、170mm未満のときは、ロール紙40にVOID印字を行ってカッタ6で先端から57.5mmの位置で切断する。
【0086】
このときのVOID印字は上下2箇所で1列に並べた「VOID」の文字を2列印字する。
【0087】
ロール紙40の残量が115mm以上、120mm未満のときは、残ったロール紙40全体にかけて上下2箇所で1列に並べた「VOID」の文字を4列印字するVOID印字を行う。
【0088】
ロール紙40の残量が85mm以上、115mm未満のときは、残ったロール紙40全体にかけて上下2箇所で1列に並べた「VOID」の文字を3列印字するVOID印字を行う。
【0089】
ロール紙40の残量が85mm未満のときは、残ったロール紙40全体にかけて上下2箇所で1列に並べた「VOID」の文字を2列印字するVOID印字を行う。
【0090】
そして、制御部25は、上記のVOID印字を施した120mm未満のロール紙40や券片を廃棄対象として回収スタッカ部17に搬送して集積する。
【0091】
制御部25は、エンド検知センサ23aによる終端の検知後は、上記の条件に合わせてロール紙40の残量に合わせて処理を行い、ロール紙40の切断を行ったときは切断後の残量をもとにさらに処理を行う。
【0092】
従って、例えばロール紙40の残量が160mmの場合、制御部25は、最初にVOID印字を行うと共に先端から57.5mmで切断し、その切断した券片を回収スタッカ部17に搬送する。
【0093】
次に制御部25は、残量が160mmから57.5mm引いた102.5mmであることから、残ったロール紙40の全体に「VOID」の文字を3列印字するVOID印字を行い、当該ロール紙40を回収スタッカ部17に搬送する。
【0094】
更にロール紙40の終端がロール紙検知センサ22aを通過してエンド検知センサ23aよりも上流側に位置した状態、つまり制御部25がロール紙検知センサ22aでロール紙40を検知していない状態で、かつエンド検知センサ23aで未だロール紙40の後端を検知していない状態のときに、係員によって乗車券発行機1の電源を落とすための操作が行われた際は、これをロール紙40の交換が必要なエンド状態であるものとして、上記と同様にして後端処理を行ってから電源を落とすようにする。
【0095】
以上説明したように、本実施例は上記実施例1の効果に加えて、ロール紙の終端をエンド検知センサで検知してから、所定の処理によってVOID印字を行い回収スタッカ部に搬送して集積するので、係員がロール紙を乗車券発行機から取り外して細かく裁断する手間を省くことができ、係員にとっての利便性が向上する。
【0096】
また、本発明の乗車券発行機は、ロール紙装填部が2つあるので、複数枚の乗車券を連続して発行する連続発券動作の途中で、エンド検知センサによるロール紙の後端を検知したときは、一旦そのロール紙の搬送方向を反転させて合流搬送路からロール紙搬送路側に退避させ、もう一方のロール紙を合流搬送路に搬送するように切り替えれば、連続発券動作を中止する必要も無い。また連続発券動作の終了後等や業務終了のタイミングで退避させていたロール紙の後端部処理を実施すれば、顧客を待たせず乗車券を発行することができ、業務効率を向上させることができる。
【実施例3】
【0097】
図6は実施例3の乗車券発行機を収納した筐体を示す側断面図である。
【0098】
図6において、50は乗車券発行機1を内部に収納する筐体であり、乗車券発行機1の他に乗車券を購入する際に投入される現金や投入された現金に対する釣銭を払出す機能を持った図示しない現金入出金ユニット等も搭載される。
【0099】
図6において、51は筐体50前面に設けられた顧客操作部であり、液晶ディスプレイ等の表示部とその表示部上に配されたタッチパネル等の操作部とからなり、鉄道の座席指定や乗車券あるいは定期券の購入等に関する顧客への操作案内を表示する他、顧客による入力操作等を受け付ける。
【0100】
52は筐体50背面に設けられた係員操作部であり、液晶ディスプレイ等の表示部やキーボード等の操作部とからなり、乗車券発行機1のロール紙の残量や利用状況等を確認するために係員が操作部によって行う入力操作を受け付け、その受け付けた入力操作の内容に応じた情報を表示部に表示する。
【0101】
55は背面扉であり、筐体50の背面で、係員操作部52の下方に設けられており、開くことで筐体50内から乗車券発行機1を引き出すことが可能となる。
【0102】
そのため、乗車券発行機1は筐体50が引き出せる構造となっている。
【0103】
56は扉開閉検知センサであり、背面扉55の開閉を検知するセンサである。
【0104】
57は発行機検知センサであり、筐体50からの乗車券発行機1の引き出しを検知するセンサである。
【0105】
上述した構成におけるロール紙の補充後の先端部処理について説明する。
【0106】
先ず、制御部25は、ロール紙検知センサ22aによってロール紙装填部2aに装填しているロール紙40の終端を検知したとき、それをロール紙40のニアエンド状態と判断し、記憶部26にニアエンド状態であることを記憶し、係員が待機している待機場所に設置された端末等に図示しない専用回線を介してニアエンド状態である旨のニアエンド通知を送信する。
【0107】
ニアエンド通知を受信した端末は、音声や画面表示等によって当該乗車券発行部1のロール紙40がニアエンド状態であることを係員に報知する。
【0108】
本実施例では係員はニアエンド状態のロール紙40の代わりに新たなロール紙40を交換して補充するための処理を行う。
【0109】
係員がロール紙40を補充するときは、背面扉55を開いて筐体50内から乗車券発行機1を引き出し、ロール紙装填部2a、2bにロール紙40を装填するようにしている。
【0110】
制御部25は、記憶部26にニアエンド状態であることを記憶した状態で、発行機検知センサ57で乗車券発行部1の引き出しを検知したとき、これから係員がロール紙40の補充を行うものと判断し、この時点でニアエンド状態のままロール紙搬送路3aあるいは合流搬送路5に残っているロール紙40についての終端部処理を遂行し、この終端部処理は上記実施例2と同様にしてそのロール紙40の残量に応じて行う。
【0111】
なお、本実施例のニアエンド状態で行う終端部処理を発行機検知センサ57による検知のタイミングで実行するものとして説明したが、これに限らず扉開閉検知センサ56により背面扉55が開いたことを検知したときに実行するようにしてもよい。
【0112】
また、係員が乗車券発行機1を筐体50から引き出しているときに後端部処理を実行するため、係員が不用意に触れて怪我をしないようその稼働している部位に安全カバーがしてあることはいうまでも無い。
【0113】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例2の効果に加えて、係員はニアエンド状態のときから、手の空いた都合の良いときにロール紙の補充を行うことができるようになる。
【符号の説明】
【0114】
1 乗車券発行機
2a、2b ロール紙装填部
3a、3b ロール紙搬送路
5 合流搬送路
6 カッタ
7 感熱印字部
8 磁気部
9 排出券載置部
10 接客部
12 取り忘れ券取込部
13、14 追加印字部
16 パンチ部
17 回収スタッカ部
18 単票収納部
20 先端検知センサ
22a、22b ロール紙検知センサ
23a、23b エンド検知センサ
25 制御部
26 記憶部
40 ロール紙
50 筐体
51 顧客操作部
52 係員操作部
55 背面扉
56 扉開閉検知センサ
57 発行機検知センサ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
装填されたロール紙を回転可能に支持するロール紙装填部と、ロール紙に印字を行う印字部と、前記印字部によって印字が済んだロール紙を券片の大きさに切断するカッタと、該カッタによりロール紙から切断された券片の内廃棄の対象となった券片を集積するスタッカと、ロール紙および券片を搬送する搬送路と、前記ロール紙装填部の近傍に配されて前記搬送路上のロール紙を検知するロール紙検知センサとを備えた券類発行機であって、
先端部を後続部分に重ねて接着したロール紙を、その接着部分を剥がして前記ロール紙装填部に装填し、かつロール紙の先端を前記ロール紙検知センサが検知する位置にセットすると、そのときの前記ロール紙検知センサの検知信号に基づき、前記搬送路によって前記ロール紙を前記カッタへ搬送し、前記ロール紙の先端部に接着していた部分を前記ロール紙から切断するまで、前記カッタによる前記ロール紙の切断を繰り返し行い、その切断された券片を全て前記スタッカに搬送して集積することを特徴とする券類発行機。
【請求項2】
請求項1に記載の券類発行機において、
前記スタッカに搬送する券片を切断する前に、前記印字部によって予めロール紙に無効である旨を印字しておくことを特徴とする券類発行機。
【請求項3】
請求項2に記載の券類発行機において、
前記ロール紙検知センサよりも搬送方向の下流にロール紙の終端を検知するエンド検知センサを設け、
券片の印字中に前記エンド検知センサがロール紙の終端を検知したとき、該券片の発行後、残りのロール紙については、その長さが所定の長さ未満となるまで、前記カッタで切断していき、前記ロール紙から切断された券片を前記スタッカに搬送して集積し、所定の長さ未満となったロール紙を前記スタッカに搬送して集積することを特徴とする券類発行機。
【請求項4】
請求項3に記載の券類発行機において、
本機を収納する筐体と、該筐体から本機が引き出されたことを検知する発行機検知センサとを備え、
前記ロール紙検知センサでロール紙を検知しなくなり、かつ前記発行機検知センサで前記筐体から引き出されたことを検知したとき、残りのロール紙については、その長さが所定の長さ未満となるまで、前記カッタで切断していき、前記ロール紙から切断された券片を前記スタッカに搬送して集積し、所定の長さ未満となったロール紙を前記スタッカに搬送して集積することを特徴とする券類発行機。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の券類発行機において、
前記スタッカに搬送する券片を切断する前に、前記印字部によって予めロール紙に無効である旨を印字し、
前記スタッカに搬送するロール紙に、前記印字部によって無効である旨を印字することを特徴とする券類発行機。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−128745(P2011−128745A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284748(P2009−284748)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】