説明

刺繍縫い可能なミシン

【課題】 回動可能なY方向移動機構を備えた刺繍可能装置を組み込んだ刺繍縫い可能なミシンにおいて、収納位置状態で安全に維持すると共に刺繍位置に回動されたことを検出することで、通常縫いモードから刺繍縫いモードに確実に準備ができた状態での刺繍縫いを行えるような刺繍可能なミシンを提供することを目的とする。
【解決手段】
刺繍可能装置1が装着され、Y方向移動アーム11が刺繍可能位置にあり、且つ回動軸21が押し下げられて固定用突起22と溝43とが係合している時にマイクロスイッチ6はオンとなる。該オン信号と刺繍可能装置の状態により、通常縫いが可能な通常縫いモードから刺繍縫いが可能な刺繍縫いモードへの切換が有効となり刺繍縫いモードの設定が行われて、X,Yモータ動作禁止/解除装置87はX,Yモータ46、15の駆動禁止を解除して、駆動可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、刺繍縫い可能なミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
刺繍ミシンは布を刺繍枠に装着し、この刺繍枠をXY方向に移動させて刺繍を行うものであるが、刺繍枠をXY方向に移動させるための機構には種々のものがある。その中の1つは、XY移動機構をミシン本体とは別のアタッチメントとし、刺繍時に該アタッチメントを取り付けて刺繍を行う外装型の刺繍ミシンである。他の1つは、XY移動機構をすべてミシン本体の内部に納める内蔵型である。
またXY移動機構を固定せず、Y方向移動機構を回動させて折りたたみ可能として、コンパクトに収納可能に構成したものも提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−237478号公報
【特許文献2】米国特許公開公報US2002/0083872A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の刺繍可能装置を組み込まれた状態で、ミシン側から刺繍可能装置に電源を供給することが行われ、X−Y方向移動機構が駆動可能となる。しかしながら、Y方向移動機構を回動させた収納位置状態で、ミシン側から電源を供給すると、収納した位置でX−Y方向移動機構がイニシャライズしたり、初期設定動作を行なう危険がある。
また回動させた位置で刺繍縫いが可能な刺繍可能装置を組み込んだ場合に、キャリッジが移動してしまった状態となったまま、電源が供給され、イニシャライズされたりすると、収納位置で動作させることが危険である。
特にY方向移動機構を回動可能とした構成の場合、危険であり、破損や故障を引き起こす問題がある。
本発明は上記問題点を解決することを目的とする。
更に組み込まれた刺繍可能装置に異なる移動量の刺繍可能装置については、刺繍用途の拡大に寄与するため、異なるサイズの刺繍可能装置を準備して、用途に応じて使用することが可能である。特にY方向移動装置だけ別に準備して着脱可能に構成することも有効であるが、組み込まれた、或いは装着された刺繍可能装置と模様が対応しない場合に模様が形成できない等の問題があり組込まれた刺繍可能装置に対応した模様或いは模様群が適切に選択されるようにすることが求められる。
また、刺繍可能装置が組み込まれ、回動した刺繍可能位置で通常縫いのアタッチメント縫いを可能にすることも本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、
通常縫いと刺繍縫いを切り換えルことが可能な刺繍可能ミシンにおいて、刺繍対象物を保持する保持装置を、ミシン本体の幅方向に沿うX方向に移動させるためのX方向移動機構とミシン本体の奥行き方向に沿うY方向に移動させためのY方向移動機構と、を備え、前記Y方向移動機構は、前記X方向に沿って収納される収納位置とY方向に回動して刺繍可能な位置である刺繍可能位置との間を回動可能である刺繍可能装置を備えた刺繍ミシンであって;
前記刺繍可能装置が組み込まれていて、前記Y方向移動機構が前記X方向に沿って収納される収納位置か回動された刺繍可能位置かを検出する収納位置検出手段を備え、ミシンの電源投入後の前記収納位置検出手段の回動された刺繍可能位置の検出信号とにより、ミシンを通常縫いが可能な通常縫いモードから前記Y方向移動機構がY方向に回動された刺繍可能位置で可能な枠刺繍縫いモードに切り換えるようにしたことを特徴とする刺繍縫い可能なミシンとすることで課題を解決した。
また本発明は、更に上記構成について、前記刺繍可能なミシンは更に表示装置を備え、該表示装置は前記収納位置検出手段の検出信号により、刺繍可能モードであることを表示すると共に、刺繍可能な模様群を選択可能に群表示するようにした刺繍縫い可能なミシンとすることで課題を解決した。
【0006】
また本発明では、更に上記構成について、前記刺繍可能なミシンは更に表示装置を備え、該表示装置は前記収納位置検出手段の検出信号により、刺繍可能モードであることを表示すると共に、組み込まれている刺繍可能装置に対応した刺繍可能な模様群を選択可能に群表示するようにしたことを特徴とする刺繍縫い可能なミシンとすることで課題を解決した。
また本発明では、更に上記構成について、前記刺繍可能なミシンは更に表示装置を備え、該表示装置は前記収納位置検出手段の検出信号とにより、刺繍可能モードであることを表示すると共に、組み込まれた刺繍可能装置に対応した複数の刺繍可能な模様を選択可能に表示するようにした刺繍縫い可能なミシンとすることで課題を解決した。
また本発明では、更に上記構成について、前記刺繍可能なミシンは更に表示装置を備え、該表示装置は前記収納位置検出手段の検出信号とにより、刺繍可能モードで刺繍可能な模様群を選択可能に群表示すると共に、更に刺繍可能装置を用いたアタッチメント縫いモードを選択可能に表示するようにした刺繍縫い可能なミシンとすることで課題を解決した。
また本発明では、更に上記構成について、前記刺繍可能なミシンは、前記Y方向移動機構が前記X方向に沿って収納される収納位置か回動された刺繍可能位置かを検出する収納位置検出手段を備え、ミシンの電源投入後の前記収納位置検出手段の刺繍可能位置の検出信号により、前記刺繍可能装置のステップモータをイニシャライズして刺繍枠取付位置に位置制御するようにした刺繍縫い可能なミシンとすることで課題を解決した。
また本発明では、更に上記構成について、前記刺繍縫い可能なミシンにおいて、前記刺繍可能装置に刺繍枠を装着したことを検出する刺繍枠検出手段を備え、該刺繍枠検出手段の検出信号に応答して刺繍枠を刺繍初期位置に位置制御するようにした刺繍縫い可能なミシンとすることで課題を解決した。
また本発明では、更に上記構成について、前記刺繍可能なミシンは前記刺繍可能装置の前記Y方向移動機構が前記X方向に沿って収納される収納位置か回動された刺繍可能位置かを検出する収納位置検出手段を備え、ミシンの電源投入後の前記収納位置検出手段の刺繍可能位置の検出信号により、ステップモータをイニシャライズして初期位置に位置制御すると共に、前記刺繍可能装置の刺繍枠取付部を手動操作可能に位置制御から解放するための枠取付キーを備えて、該枠取付キーの操作により位置制御から解放して、所望の枠装着位置に手動操作可能にした刺繍縫い可能なミシンとすることで課題を解決した。
また本発明では、更に上記構成について、前記刺繍枠取付部への枠装着後の前記枠取付キーの操作により前記刺繍可能装置を駆動して前記刺繍枠を刺繍初期位置に位置制御するようにした刺繍縫い可能なミシンとすることで課題を解決した。
また本発明では、更に上記構成について、
前記Y方向移動機構が前記X方向に沿って収納される収納位置か回動された刺繍可能位置かを検出する収納位置検出手段を備え、ミシンの電源投入後の前記収納位置検出手段の刺繍可能位置の検出信号とにより、X、Y方向移動機構を始動許可すると共に模様群選択を可能にした刺繍縫い可能なミシンとすることで課題を解決した。
また本発明では、更に上記構成について、前記刺繍可能装置のミシン本体の奥行き方向に沿うY方向に移動させためのY方向移動機構を収納したY方向筐体の上面は回動した収納位置ではミシン本体のフリーアームベッドの上面が同一となるようにした刺繍縫い可能なミシとすることで課題を解決した。
また本発明では、更に上記構成について、前記Y方向移動機構には駆動源による移動量を増幅するための手段を備えている刺繍縫い可能なミシンとすることで課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記構成によれば、
Y方向移動機構が刺繍を実行可能な刺繍可能位置のY方向移動装置の回動した位置を検出する検出信号により、ミシンを通常縫いモードから前記Y方向移動機構をY方向に回動して刺繍可能な位置である刺繍可能位置で可能な枠刺繍縫いモードに切り換えることを有効とするようにしたから、確実な刺繍縫い切換が行えるようにすると共に、回動途中での誤動作を防止することができる。
また、表示装置は組み込まれた刺繍可能装置のY方向移動装置の回動した位置を検出する位置検出手段の検出信号により、枠を使用した刺繍縫いモードが示されて刺繍縫いが可能であることを表示すると共に、刺繍モードで刺繍可能な模様群を選択可能に群表示するようにしたから、確実な刺繍縫い切換が行えた状態であることを知ることができると共に、組み込まれた刺繍可能装置で刺繍可能な模様群を確認することで、通常縫いモードから刺繍縫いモードへの移行と迅速な模様群の選択が行える。また誤って通常縫いモードの模様を選択することを防止することができる。
また、表示装置は組み込まれた刺繍可能装置のY方向移動装置の回動した位置を検出する位置検出手段の検出信号により、枠を使用した刺繍縫いモードとなり、刺繍縫いが可能であることを表示すると共に、刺繍モードで刺繍可能な複数の模様を選択可能に表示するようにしたから、確実な刺繍縫いモード切換が行えた状態であることを知ることができると共に、組み込まれた駆動装置で刺繍可能な複数の模様を確認することで、通常縫いモードから刺繍縫いモードへの移行と迅速な模様の選択が行える。また誤って通常縫いモードの模様を選択することを防止することができる。
また、表示装置は刺繍可能装置のY方向移動装置の回動した位置を検出する検出信号により、枠を使用した刺繍縫いモードでの刺繍縫いが可能であることを表示し、刺繍可能な模様群を選択可能に群表示すると共に、刺繍可能装置を用いたアタッチメント縫いを選択可能に表示するようにしたから、確実な刺繍縫い切換が行えた状態であることを知ることができると共に、装着された駆動装置で刺繍可能な模様群を確認することで、通常縫いモードから刺繍縫いモードへの移行と迅速な模様群の選択が行える。また刺繍可能装置を用いたアタッチメント縫いも選択することができることを表示するから、安全を確保した上で、ミシンの使用用途を知らすことと活用が迅速に行える。
また、刺繍可能装置のY方向移動装置の回動した位置を検出する検出信号により、ミシンから前記刺繍可能装置に電源を供給すると共に、ステップモータをイニシャライズして刺繍枠取付位置に位置制御するようにしたから、確実な刺繍縫い切換が行えるようにすると共に、回動途中での誤動作を防止することができる。
また、刺繍可能装置のY方向移動装置の回動した位置を検出する検出信号に加えて、刺繍枠検出手段の検出信号に応答して刺繍枠を刺繍初期位置に位置制御するようにしたから、確実な刺繍縫い切換が行えるようにすると共に、回動途中での誤動作を防止し、刺繍縫いを行うことができる。
また、刺繍可能装置のY方向移動装置の回動した位置を検出する検出信号により、ステップモータをイニシャライズして位置制御するようにすると共に、枠取付キーの操作により位置制御から解放して、所望の枠装着位置に手動操作可能にしたから、自由な位置で刺繍枠を装着することができる。
また、刺繍枠装着後の枠取付キーの再操作により、自由位置から刺繍初期位置又は開始位置に自動復帰することで、自由な取付と確実な刺繍縫いを行えるようにした。
また、刺繍可能装置のY方向移動装置の回動した位置を検出する検出信号により、X、Y方向移動機構を始動許可すると共に模様群選択を可能にしたから、電源投入後の誤動作を防止し、確実な切換と安全な運転が可能であり、危険や機器の破損や故障を防止することが可能である。
また、Y方向移動機構を回動した状態で刺繍縫いが可能となっているから、収納した状態では、駆動装置を装着した状態での通常縫いが行えると共に、刺繍可能装置の上面は装着時にミシン本体のフリーアームベッドの上面と同一となるようにしたから、Y方向駆動機構が収納された位置で、通常縫いの補助テーブルとして機能するから、通常縫い時の布の操作性を高めると共に、通常縫いから刺繍縫いへの移行が極めて容易に行うことができる。
また、Y方向移動機構には駆動源による移動量を増幅するための手段を備えているから、刺繍可能範囲に対して、Y方向移動機構の収納状態ではコンパクトにできる。そして、コンパクトなY方向駆動機構は収納された位置では、ミシンの外形から突出することなく収納されるから、装着した状態でも布操作に支障がなく、通常縫いの補助テーブルとして通常縫い時の布の操作性を高めると共に、通常縫いから刺繍縫いへの移行が極めて容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
最初に刺繍縫い可能なミシンの機構の全体的な説明を行う。
図1は、本発明に係る刺繍縫い可能なミシンを前側(操作者側)から見た斜視図であり、ミシン機枠前面92側が表れている。ベースBの上にミシン機枠90が設けられ、ミシン機枠90にはアーム立上部96が立ち上がり、アーム95に続いている。アーム95には表示部98が設けられ、また縫い針部Nが設置されている。
また針部Nに保持された針糸を捕捉する釜を含む縫い目捕捉部(図示せず)及び送り歯を含む布送り部(図示せず)からなる縫目形成機構83を備え、針の左右動と送りの前後動による一般的な通常縫いと、後述する布を張設した刺繍縫いを切り換えて実行するようになっている。
通常縫いと刺繍縫いを切り換える構成については、公知文献とした、特開2002−237478号公報と同一であるので、詳細は省略する。
ミシン機枠90は、前記した縫い目捕捉部及び布送り部を収納したフリーアームベッド94、取外し可能な補助床部97、ベッド部99で構成され、これらの上面は同一レベルに保たれて、全体でベッド上面91を形成するようになっている。このベッド上面91が縫製時に作業面となる。
取外し可能な補助床部97を取り外すことにより、フリーアームベッド94は筒状縫い等のフリーアームとしての縫いを可能にするように構成されている。
なお、図示するようにミシン本体の幅方向をX方向、ミシン本体の奥行き方向をY方向とする。
【0009】
図2は、本発明に係る刺繍縫い可能なミシンを後ろ側から見た斜視図であり、図2に示すように、ベッド背面93側には前記ミシン機枠90に刺繍可能装置1が組み込まれている。
なお図14に示すように、刺繍可能装置1を着脱可能にすることもできる。その場合には、ベースB上で着脱可能とする。着脱可能な構成は前記した、公知文献とした、特開2002−237478号公報と同一であるので、詳細は省略する。
この実施例では刺繍可能装置1はミシンのベースに組み込んだものを例として説明する。刺繍可能装置1は組み込まれたX方向移動機構4と、該X方向移動機構4に対して回動するY方向移動機構11の2つの部分から構成されている。
刺繍可能装置1はX方向移動機構4を収納すると共に、該X方向移動機構4に回動可能に連結するY方向移動機構11が装着されている。このY方向移動機構11はX方向移動機構上に配置され、刺繍可能装置1のX方向移動機構4上に一致する収納位置に位置するようになっている。そして、刺繍可能装置1の上面10もベッド上面91と同一レベルになっており、ベッド上面91と連続した平面を形成している。なおY方向移動機構11は別体で構成して、連結手段で、X方向移動機構に回動可能で且つ着脱可能に構成することもできる。
【0010】
Y方向移動機構11は収納位置3から回動可能になっており、図3に示すように、組み込まれたX方向移動機構4に対して直交する位置まで回動することで、ベッド背面93側の奥行き方向(Y方向)に突出して位置決めされるようになっている。位置決めされる機械的な構造については後述する。
Y方向移動機構11はこの位置で、刺繍縫いが可能状態となる。この位置を刺繍位置という。この刺繍位置で、刺繍枠をY方向移動機構11に設けられた刺繍枠取付片19に装着するように構成されている。なお図3に示す刺繍枠取付片19位置は最端に位置する収納端であって、刺繍枠を装着する場合に適した位置とはいえない。このため操作により装着可能な位置に移動させることが望ましい。
Y方向移動機構11は後述するように、刺繍可能装置1に納められたX方向移動機構4に連結し、該X方向移動機構4によりミシン本体の幅方向(X方向)に動かされると共に、刺繍枠取付片19をY方向に移動し、ここに装着された刺繍枠をY方向に移動する。このX方向移動機構4とY方向移動機構11の動作により刺繍枠をXY方向に移動させて刺繍を行うようになっている。
なお、刺繍枠取付片19には刺繍枠センサ8が設けられており(図示せず)、刺繍枠を取り付けたときにその旨の信号を出力するように構成されている。また刺繍枠センサ8により刺繍枠の種類を識別する信号を出力するように構成することも可能である。
【0011】
収納位置3は、図2に示すように、Y方向移動機構11を収納する収納位置であり、Y方向移動機構11を回動して図3から図2のように収納したときに、Y方向移動機構11はX方向移動機構4の上で一致し、Y方向移動機構11の上面はベッド上面91とほぼ同一レベルの面になるようになっている。
Y方向移動機構11は、X方向移動機構4と連結し、X方向に移動するようになっている。
なおフリーアームベッド94と刺繍可能装置1との間に図2に示すように隙間36を設けており、この隙間36により、装着された状態でも、通常縫い及び枠刺繍縫いについても、フリーアーム縫い機能を確保している。隙間36をベッド上面91と同一面とするためのアダプタなど設けることも可能である。
【0012】
Y方向移動機構11はアーム立上部96側を基部12とし、該基部12側をX方向移動機構4に連結し、基部12側を軸として回動し、先端部12a側が開いてY方向に突出するように構成されている。アーム立上部96側にY方向移動機構11を位置させることにより、回動した刺繍可能位置でアーム立上部96と刺繍枠との干渉を防止できる最もアーム立上部96に近接するため、針からのX方向距離を大きくでき、結果として刺繍可能領域を大きくすることで刺繍枠を大きくすることが可能になる。
【0013】
刺繍可能装置1の内部を図4から図9を参照して説明する。
X方向移動機構4の前記Xキャリッジ40は、図4及び図5に示すように2本のX案内軸41、41上を移動するように構成されており、駆動ベルト45に固着されている。該駆動ベルト45はXモータ46により駆動され、これによりXキャリッジ40はX方向に移動するようになっている。
【0014】
Y方向移動機構11はYガードレール13を有し、このYガードレール13上をYキャリッジ14が移動するようになっている。Yキャリッジ14には前記した刺繍枠取付片19が装着され、刺繍枠取付片19に刺繍枠(図示せず)が装着される。
Yキャリッジ14はYガードレール13の下側に設けられたY駆動ベルト18に固着され、Y駆動ベルト18の駆動により移動するようになっている。
Y駆動ベルト18はYモータ15で駆動されるY駆動歯車とYガードレール13先端に配置されたYプーリの間に掛けわたされており、Yモータ15を駆動することで回動するように構成されている。
【0015】
前記したY方向移動機構11の基部12、即ちYガードレール13の基部12は、連結部2に結合され、この基部12を軸に、X移動機構4に対して直交するまで回動して位置決めされる。連結部2は回動基板20を備えており、該回動基板20が回動することによりY方向移動機構11を回動させるようになっている。
図4では、Y方向移動機構11はベッド背面93からほぼ90度方向に突出した直交した位置にあり、この位置が刺繍を行う位置、刺繍位置である。刺繍を行わない場合、Y方向移動機構11を約90度回動させて、X方向移動機構上に収納する。この状態が収納位置である。
【0016】
前記連結部2は該Xキャリッジ40上に装着されている。
連結部2は図6から図8に示すように回動基板20と回動軸21とを備え、該回動軸21がXキャリッジ40に設けられた回動孔42に貫挿し、回動するように構成されている。
回動基板20の下側には角形状の突起基部26が設けられ、その下端の一端側と他端側とに一対のV型の固定用突起22、22が形成されている。
Xキャリッジ40には前記一対のV型の固定用突起22、22が嵌合するV型形状の溝43、43とこの溝と直交する位置にV型形状の溝44、44が設けられている。
回動軸21は、近接手段であるバネ23により常態では下方向に押し下げられており、前記一対の固定用突起22、22が張出し時固定溝43又は収納時固定溝44に嵌挿され、且つバネ23の押し下げ力により近接する方向に力を加えられ、回動基板20はXキャリッジ40上に固定されるようになっている。この状態ではY方向移動機構11は回動しないようになっている。
【0017】
Xキャリッジ40には図8に示すように、90度の角度を有する張出時固定溝43、43及び収納時固定溝44、44が設けられており、回動基板20に180度対向して設けられた一対の固定用突起22、22が夫々嵌挿されるようになっている。
Yガードレール13がY方向に突出し、刺繍を実行する停止位置に来た時には固定用突起22、22は張出時固定溝43、43に嵌挿し、Yガードレール13が収納される収納位置に来たときには、固定用突起22、22は収納時固定溝44、44に嵌挿されるように構成されている。
収納時固定溝44の近傍には収納センサ7が設けられており、突起基部26を検出して、Y方向移動機構11が収納位置にあることを検出するようになっている。
【0018】
Y方向移動機構11が連結されている連結部2が備えた回動基板20を引き上げる操作によりバネ23の押し下げ力に抗して、上に持ち上げられるようになっており、持ち上げることにより、前記固定用突起22、22と張出時固定溝43又は収納時固定溝44の係合が解除されて、Y方向移動機構11が回動できる状態となる。
【0019】
Xキャリッジ40上には、回動バネ5、5が設けられている。この回動バネ5は、突起基部26の側壁を押圧して、固定用突起22、22と張出時固定溝43又は収納時固定溝44の嵌合が解除された時に、回動基板20を所定量回動させるためのものである。
【0020】
図9に示すように、Y方向移動機構11が収納される収納位置にある時に、固定用突起22、22は収納時固定溝44、44に嵌挿されており、回動バネ5は突起基部26に当接して、刺繍縫い位置側に押圧する位置に配置されている。この押圧方向は、Y方向移動機構11をベッド背面93側に張り出す方向、即ち刺繍を実行する刺繍縫い位置方向に回動させる方向である。
他方の回動バネ5’はY方向移動機構11が刺繍可能位置にある時に、固定用突起22、22は収納時固定溝43、43に嵌挿されており、突起基部26に当接して、Y方向移動機構11を収納位置方向に回動する方向に押圧するようになっている。
【0021】
図2に示すように、Y方向移動機構11が上記した収納位置にある時、図9(A)に示すように固定用突起22は収納時固定溝44に嵌合した状態である。この状態から操作により回動軸21が押し上げられると、固定用突起22、22と溝44、44との係合が解除され、この時同時に回動バネ5により突起基部26が押されて、回動基板2が所定量回動する。
この状態が図9の(B)である。この時、Y方向移動機構11は回動して、収納部31から少しせり出す。そして該収納部31との隙間に指を入れて、手動でアーム1を回動させることにより、簡単に刺繍位置にセットすることができる。
また、固定用突起22は図9(B)に示すようにXキャリッジの平らな上面に係止されて維持されるから、溝44に再び嵌合することがない。従って、一端操作して引き上げると、Xキャリッジの平らな上面上をなめらかに回動させることができる。
なお、上記動作は、固定用突起22、22と溝43、43が嵌合する刺繍可能位置から収納位置に戻すときも同様となる。
このように構成されているから、Y方向移動機構11は溝43又は44のいずれかに係合していない状態では安定状態とはならず、いずれかに保持される。従ってY方向移動機構11の位置は、収納位置か刺繍位置に機械的に決定される。このため上述の収納センサ8だけでも収納位置でないことで、刺繍位置であることを検出することもできる。
【0022】
以上の構成において、刺繍縫いから通常縫いに移行する場合にも刺繍可能装置1障害にならない。刺繍可能装置1組み込まれていて通常縫いを行なう場合には、図2に示すようにY方向移動機構11をX方向移動機構4上に配置される位置である、収納位置にする。この時、Y方向移動機構11のアーム上面10はベッド上面91と同一面になるから、布操作の縫製作業を阻害することがなく、むしろ補助テーブルとして、ベッド上面91を拡大することになり、利便性が向上する。
刺繍時には、図3に示すようにY方向移動機構11をほぼ90度、X方向移動機構4と直交する引き出し、刺繍枠取付片19に刺繍枠(図示せず)を固定し、刺繍を実行する。Y方向移動機構11はミシン機枠内に収納せず、ミシン本体のY方向長さよりはるかに長くすることができるフリーアームベッドの長さ方向に沿って収納することができるめ、ミシン本体のY方向長さにかかわらず大きくすることが可能であるから、Y方向の移動量を従来の内蔵型のものより大幅に増加することが可能になり、大型の刺繍を実現することが可能である。なおY方向移動機構11の長さについてはY方向移動機構11のみ着脱可能にしたものでは、着脱することが可能であるから、任意の長さのものとすることが可能である。
またY方向移動機構11として、フリーアームベッドの長さ方向に沿って長くすることで、Y方向の移動量を大きくした上で、更に大きくする、或いはY方向の移動量を大きくした上で、装置全体をコンパクトにするためには、Y方向移動機構11に増幅手段を設けることができる。
増幅手段の詳細については、本願出願人による特開2001−17765を使用することができる。詳細については省略する。
また、Y方向移動機構11は前記した連結部2の機構により、収納位置と刺繍位置に確実に固定されるため、確実な動作を得ることが可能になる。Y方向移動機構11を引き上げる又は回動軸21を押し上げれば、固定用突起22と溝43、44との係合が解除され、この時同時に回動バネ5により突起基部26が押されて、回動基板2が所定量回動する。そのため、アーム1の回動操作が簡単である。また、固定用突起22はXキャリッジの平らな上面上に係止されるから、溝43,44に再び嵌合することがなく、一端回動させれば、回転が可能で、操作性が良い。
【0023】
以上の構成において、更に図10に示すようにマイクロスイッチ6を備え、Y方向移動機構11が刺繍可能位置にあることを検出できるように構成することもできる。マイクロスイッチ6はXキャリッジ40上に装着されており、アーム1の基部12の下側に下方に突出して形成されたストライカー面60により作動するようになっている。
【0024】
ストライカー面60はY方向移動機構11が刺繍可能位置にあり、且つ回動軸21が押し下げられて固定用突起22と溝43とが係合している時にマイクロスイッチ6をオンとするようになっている。回動軸21が上昇した位置では、マイクロスイッチ6はオフになるように構成されている。
そして、Y方向移動機構11が刺繍可能位置にない時、ストライカー面60はマイクロスイッチ6の位置から外れるためマイクロスイッチ6はオフになるように構成されている。
【0025】
以上の構成において、図10に示すようにY方向移動機構11が刺繍可能位置にあり、且つ回動軸21が押し下げられて固定用突起22と溝43とが係合している時にマイクロスイッチ6はオンとなる。一方回動軸21が押し上げられると、マイクロスイッチ6はオフになる。また、Y方向移動機構11が刺繍可能位置にない時、マイクロスイッチ6はオフになる。
【0026】
このマイクロスイッチ6の信号に応じて、Yモータ15とXモータ46の駆動制御が行うようにすることができる。
このY方向移動機構11が回動した刺繍位置を検出するマイクロスィッチ6と収納センサ7とにより、位置検出手段70を構成している。
これは溝により機械的に、2位置のいづれかになるようになっていることから、収納センサで収納位置を検出することで、刺繍位置を検出することも可能で、いづれか一方を備えることで可能であるが、誤動作を考慮して、安全のため複数配置して、相互の動作チェックするようにしている。
図11は機能ブロック図であり、CPU80がミシン全体の制御を行っており、縫い目データ記憶装置86には通常縫いの縫い目データを記憶する通常縫いデータ記憶部86a及び枠刺繍縫いの縫い目データを記憶する枠刺繍縫いデータ記憶部を備えており、縫い目データ記憶装置86からのデータに対応してXYモータ駆動回路84によりYモータ15とXモータ46を制御してY方向移動機構11とX方向移動機構4の稼働をコントロールして刺繍を行わせるようになっている。刺繍縫いはミシンモータ駆動回路81、ミシンモータ82及び縫目形成機構83により行われる。
【0027】
88は通常縫いモード設定手段であって、電源がオンされると自動的に通常縫いを選択し、通常縫いモードが設定される。通常縫いモードでは、刺繍可能装置をロック状態にするか、電源を供給しないように制御する。また通常縫いに対応して送り歯の送り可能な状態にすると共に、針を振幅可能状態とする。また、通常縫いデータ記憶部の縫目データを読み出し可能とし、通常縫いモードであり、通常縫いの実用模様や連続縫いの装飾模様を選択可能に表示装置98に表示する。
89は刺繍縫いモード設定手段であって、刺繍可能装置1のY方向移動機構11を収納位置から刺繍縫い位置に引き出して位置決めされて設定して、ミシンを刺繍縫いが可能に設定するものである。刺繍縫いモードでは、刺繍可能装置をロック状態を可能にするか、電源を供給するように制御する。また刺繍縫いに対応して送り歯の送り歯をダウン状態として無効化すると共に、針を刺繍位置(例えば振幅の中心位置)に固定する。また、刺繍縫いデータ記憶部の縫目データを読み出し可能とし、刺繍縫いモードであり、及び刺繍縫いの模様群又は複数の模様を選択可能に表示装置98に表示する。
X,Yモータ動作禁止/解除装置87はX,Yモータ15、46の動作禁止と禁止解除を行わせるもので、通常縫いモードではX,Yモータ15、46の駆動を禁止し、Y方向移動機構11が刺繍可能位置となる、刺繍縫いモードでは該禁止を解除してX,Yモータ15、46の駆動を許可する。
即ちマイクロスイッチ6のオンオフ信号は通常縫いモードと刺繍縫いモードを切換を有効とし、X,Yモータ動作禁止/解除装置87に入力され、マイクロスイッチ6がオンの時は、X,Yモータ動作禁止/解除装置87はX,Yモータ駆動回路84によりYモータ15とXモータ46の駆動を行わせる。
マイクロスイッチ6がオフになると、X,Yモータ動作禁止/解除装置87はYモータ15とXモータ46の駆動を禁止する。この時同時に、表示制御装置85を制御して表示部98にその旨表示される。刺繍作業の再開はY方向移動機構11を刺繍位置に戻して再スタートにより再開する。
74はイニシャライズ/初期設定手段であって、装着検出手段71で刺繍可能装置が装着されたことを検出し、刺繍可能状態、即ちY方向移動機構が刺繍位置であることを検出した時に、刺繍縫い切換有効化手段72を有効として、電源が供給される状態で、指令してX方向移動機構4及びY方向移動機構11を作動させて夫々の駆動モータのイニシャライズを行なう。また初期設定を行なう。
73は枠取付キーであって、刺繍縫い切換有効化手段72が有効状態で操作することにより、夫々の駆動モータの自己保持状態を解除して、手動操作して刺繍枠取付片19を任意の位置に移動させて刺繍枠を装着を容易化するためのキーである。
また刺繍枠の装着後、枠取付キー73を再操作すると、刺繍開始位置に自動復帰する。なお糸切れ等の修正のための一時的な対比のために操作することも可能である。
【0028】
図12により動作を説明する。
電源ONにより、通常縫いモードが設定される(ステップS1)。通常縫いモードでは、刺繍可能装置をロック状態にするか、電源を供給しないように制御する。また通常縫いに対応して送り歯の送り可能な状態にすると共に、針を振幅可能状態とする。また、通常縫いデータ記憶部の縫目データを読み出し可能とし、通常縫いモードであり、通常縫いの実用模様や連続縫いの装飾模様を選択可能に表示装置98に表示する表示装置98に通常縫いモードの模様が選択可能に表示され、選択により通常縫いが可能となる(ステップS2)。刺繍可能装置1の動作禁止が指令され、(安全が確保されるステップS3)。次いで位置検出手段70がY方向移動機構の回動位置である、刺繍位置を検出すると;マイクロスイッチ6からの信号によりY方向移動機構11が刺繍可能位置にあることを検出(ステップS4)、刺繍縫い切換を有効化し、刺繍縫いモードとする。(ステップS5)
動作禁止状態でXモータ46及びYモータ15に電源が供給される(ステップS6)。そしてXモータ46及びYモータ15をイニシャライズする(ステップS7)。
次いで刺繍縫いとアタッチメント縫いが選択可能に表示装置98に表示され(ステップS8)、ステップS9でアタッチメント縫いを選択すると(ステップS21)、アタッチメント取付位置に移動して待機し(ステップS22)、アタッチメントの種類及び縫い方を選択することにより(ステップS23)、アタッチメントを使用した通常縫いが可能となる。
ステップS9で選択可能な表示から刺繍縫いが選択され、枠取付キー73が操作されたか否かを判別し(ステップS10)、枠取付キーの場合には、Xモータ46及びYモータ15の自己保持を解放して(ステップS11)自由位置で布張りされた刺繍枠を刺繍枠取付片19に取付て(ステップS12)、再度枠取付キーが操作されると(ステップS13)、Xモータ46及びYモータ15を指令して刺繍開始位置に自動復帰する(ステップS14)。
刺繍枠センサ8が刺繍枠を検出すると(ステップS15)、刺繍可能装置1及び刺繍枠(W)に対応した複数の模様群または複数の模様を選択可能に表示装置98に表示する(ステップS16)。この中から模様群に次いで又は直接模様を選択する(ステップS17)。始動スイッチの指令により当該刺繍の刺繍模様データを縫目データ記憶装置から読み出して針の上下動に調時させてXモータ46及びYモータ15を動作させて刺繍模様を形成する(ステップS18)。刺繍作業が終ったら(ステップSS19)、終了する。
なお、実施形態として、アタッチメント縫いを備えないケースも有り、枠取付キーを任意の割り込み制御として、一連の制御から除外することもある。
なおアタッチメント縫いの実施形態としては、本願出願人が出願した、特開平4−319385や特開平4−341295、特願平7−79902、特願平6−160565等の内容の実施が可能である。詳細については省略する。
【0029】
その実施形態を図13により説明する。
電源ONにより、通常縫いモードが設定される(ステップS31)。通常縫いモードでは、刺繍可能装置をロック状態にするか、電源を供給しないように制御する。また通常縫いに対応して送り歯の送り可能な状態にすると共に、針を振幅可能状態とする。また、通常縫いデータ記憶部の縫目データを読み出し可能とし、通常縫いモードであり、通常縫いの実用模様や連続縫いの装飾模様を選択可能に表示装置98に表示する表示装置98に通常縫いモードの模様が選択可能に表示され、選択により通常縫いが可能となる(ステップS32)。刺繍可能装置1の動作禁止が指令され、(安全が確保されるステップS33)。次いで位置検出手段70がY方向移動機構の回動位置である、刺繍位置を検出すると;マイクロスイッチ6からの信号によりY方向移動機構11が刺繍可能位置にあることを検出(ステップS34)、刺繍縫い切換を有効化し、刺繍縫いモードとする。(ステップS35)
動作禁止状態でXモータ46及びYモータ15に電源が供給される(ステップS36)。
刺繍縫いモードとして、刺繍縫いに対応して送り歯の送り歯をダウン状態として無効化すると共に、針を刺繍位置(例えば振幅の中心位置)に固定する。また、刺繍縫いデータ記憶部の縫目データを読み出し可能とし、刺繍縫いモード及び刺繍縫いの模様群又は複数の模様を選択可能に表示装置98に表示する。(ステップS3)
そしてXモータ46及びYモータ15をイニシャライズする。(ステップS38) 刺繍枠センサ8が刺繍枠を検出すると(ステップS39)、刺繍可能装置1及び刺繍枠(W)に対応した複数の模様群または複数の模様を選択可能に表示装置98に表示する(ステップS40)。この中から模様群に次いで又は直接模様を選択する(ステップS41)。始動スイッチの指令により当該刺繍の刺繍模様データを縫目データ記憶装置86から読み出して針の上下動に調時させてXモータ46及びYモータ15を動作させて刺繍模様を形成する(ステップS42)。刺繍作業が終ったら(ステップS43)、終了する。
【0030】
以上の構成により、刺繍可能装置1のY移動機構11が刺繍位置に回動しない、収納位置では、Xモータ46、Yモータ15に電源が供給されず、別の形態として、電源が供給される場合にも、Xモータ46、Yモータ15はロックされ、刺繍作業が禁止される。そのため機器の破損や事故を未然に防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態を示す正面側の斜視図。
【図2】本発明の一実施形態の刺繍可能装置を装着し、Y方向移動機構11を収納した状態を示す背面側の斜視図。
【図3】本発明の一実施形態の刺繍可能装置を装着し、Y方向移動機構11を回動した刺繍可能とした状態を示す背面側の斜視図。
【図4】本発明の一実施形態における刺繍可能装置の内部の、Y方向移動機構11とX方向移動機構の構成を示す斜視図。
【図5】本発明の一実施形態におけるX方向移動機構の構成を示す斜視図
【図6】本発明の一実施形態における連結部2の構成を示す概略断面図。
【図7】本発明の一実施形態における連結部2の構成を示す他の斜視図。
【図8】本発明の一実施形態における回動基板20の構成を示す概略平面図。
【図9】本発明の一実施形態における回動バネ5による動作説明図。
【図10】本発明の一実施形態におけるマイクロスイッチ6の動作説明図。
【図11】本発明の一実施形態の機能ブロック図。
【図12】本発明の一実施形態の動作を説明する図
【図13】本発明の別の実施形態の動作を説明する図
【符号の説明】
【0032】
1:刺繍可能装置、2:連結部、3:収納位置、4:X方向移動機構、5:回動バネ、6:マイクロスイッチ、7:収納センサ、8:刺繍枠センサ、9:駆動装置、10:アーム上面、11:Y方向移動機構、12:基部、先端部12a、13:Yガードレール、14:Yキャリッジ、15:Yモータ、16:Y駆動歯車、17:Yプーリ、18:Y駆動ベルト、19:刺繍枠取付片、20:回動基板、21:回動軸、22:固定用突起、23:バネ、24:押上げレバー、25:押上げリンク、26:突起基部、31:収納部、32:凹部、35:カバー上面、36:隙間、40:Xキャリッジ、41:X案内軸、42:回動孔、43:張出時固定溝、44:収納時固定溝、45:駆動ベルト、46:Xモータ、60:ストライカー面、70:位置検出手段、72:刺繍縫い切換有効化手段、73:枠取付キー、74:イニシャライズ/初期設定手段、80:CPU、81:ミシンモータ駆動回路、82:ミシンモータ、83:縫目形成機構、84:XYモータ駆動回路、85:表示制御装置、86:縫い目データ記憶装置、87:XYモータ動作禁止/解除装置、88:通常縫いモード設定手段、89:刺繍縫いモード設定手段、90:ミシン機枠、91:ベッド上面、92:ミシン機枠前面、93:ミシン機枠背面、94:フリーアームベッド、95:アーム、96:アーム立上部、97:取外し可能な補助床部、98:表示装置、99:ベッド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常縫いと刺繍縫いを切り換えることが可能な刺繍可能ミシンにおいて、刺繍対象物を保持する保持装置を、ミシン本体の幅方向に沿うX方向に移動させるためのX方向移動機構とミシン本体の奥行き方向に沿うY方向に移動させためのY方向移動機構と、を備え、前記Y方向移動機構は、前記X方向に沿って収納される収納位置とY方向に回動して刺繍可能な位置である刺繍可能位置との間を回動可能である刺繍可能装置を備えた刺繍ミシンであって;
前記刺繍可能装置が組み込まれていて、前記Y方向移動機構が前記X方向に沿って収納される収納位置か回動された刺繍可能位置かを検出する収納位置検出手段を備え、
ミシンの電源投入後の前記収納位置検出手段の回動された刺繍可能位置の検出信号により、ミシンを通常縫いが可能な通常縫いモードから前記Y方向移動機構がY方向に回動された刺繍可能位置で可能な枠刺繍縫いモードに切り換えるようにしたこと
を特徴とする刺繍縫い可能なミシン。
【請求項2】
前記刺繍可能なミシンは更に表示装置を備え、
該表示装置は前記収納位置検出手段の検出信号により、刺繍可能モードであることを表示すると共に、刺繍可能な模様群を選択可能に群表示するようにしたこと
を特徴とする請求項1に記載の刺繍縫い可能なミシン。
【請求項3】
前記刺繍可能なミシンは更に表示装置を備え、
該表示装置は前記収納位置検出手段の検出信号により、刺繍可能モードであることを表示すると共に、組み込まれている刺繍可能装置に対応した刺繍可能な模様群を選択可能に群表示するようにしたこと
を特徴とする請求項1に記載の刺繍縫い可能なミシン。
【請求項4】
前記刺繍可能なミシンは更に表示装置を備え、
該表示装置は前記収納位置検出手段の検出信号とにより、刺繍可能モードであることを表示すると共に、組み込まれた刺繍可能装置に対応した複数の刺繍可能な模様を選択可能に表示するようにしたこと

を特徴とする請求項1に記載の刺繍縫い可能なミシン。
【請求項5】
前記刺繍可能なミシンは更に表示装置を備え、
該表示装置は前記収納位置検出手段の検出信号とにより、刺繍可能モードで刺繍可能な模様群を選択可能に群表示すると共に、更に刺繍可能装置を用いたアタッチメント縫いモードを選択可能に表示するようにしたこと
を特徴とする請求項1に記載の刺繍縫い可能なミシン。
【請求項6】
前記刺繍可能なミシンは、
前記Y方向移動機構が前記X方向に沿って収納される収納位置か回動された刺繍可能位置かを検出する収納位置検出手段を備え、
ミシンの電源投入後の前記収納位置検出手段の刺繍可能位置の検出信号により、
前記刺繍可能装置のステップモータをイニシャライズして刺繍枠取付位置に位置制御するようにしたこと
を特徴とする請求項1に記載の刺繍縫い可能なミシン。
【請求項7】
請求項6に記載の刺繍縫い可能なミシンにおいて、前記刺繍可能装置に刺繍枠を装着したことを検出する刺繍枠検出手段を備え、
該刺繍枠検出手段の検出信号に応答して刺繍枠を刺繍初期位置に位置制御するようにしたこと
を特徴とする刺繍縫い可能なミシン。
【請求項8】
前記刺繍可能なミシンは前記刺繍可能装置の前記Y方向移動機構が前記X方向に沿って収納される収納位置か回動された刺繍可能位置かを検出する収納位置検出手段を備え、
ミシンの電源投入後の前記収納位置検出手段の刺繍可能位置の検出信号により、ステップモータをイニシャライズして初期位置に位置制御すると共に、
前記刺繍可能装置の刺繍枠取付部を手動操作可能に位置制御から解放するための枠取付キーを備えて、該枠取付キーの操作により位置制御から解放して、所望の枠装着位置に手動操作可能にしたことを
を特徴とする請求項1に記載の刺繍縫い可能なミシン。
【請求項9】
前記刺繍枠取付部への枠装着後の前記枠取付キーの操作により前記刺繍可能装置を駆動して前記刺繍枠を刺繍初期位置に位置制御するようにしたこと
を特徴とする請求項8に記載の刺繍縫い可能なミシン。
【請求項10】
前記Y方向移動機構が前記X方向に沿って収納される収納位置か回動された刺繍可能位置かを検出する収納位置検出手段を備え、
ミシンの電源投入後の前記収納位置検出手段の刺繍可能位置の検出信号とにより、
X、Y方向移動機構を始動許可すると共に模様群選択を可能にしたこと
を特徴とする請求項1から9のうち1つに記載の刺繍縫い可能なミシン。
【請求項11】
前記刺繍可能装置のミシン本体の奥行き方向に沿うY方向に移動させためのY方向移動機構を収納したY方向筐体の上面は回動した収納位置ではミシン本体のフリーアームベッドの上面が同一となるようにしたこと
を特徴とする請求項1から10のうちいずれか1つに記載の刺繍縫い可能なミシン。
【請求項12】
前記Y方向移動機構には駆動源による移動量を増幅するための手段を備えていること
を特徴とする請求項1から11のうちいずれか1つに記載の刺繍縫い可能なミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−113995(P2008−113995A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−302391(P2006−302391)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000002244)蛇の目ミシン工業株式会社 (79)
【Fターム(参考)】