削孔装置
【課題】 本発明はロックボルト用削孔の壁面が崩れる心配がなく、ロックボルト用削孔を一気に短時間で低コストで形成することができるとともに、構造が簡単で、安価に製造することができ、かつ、フラッシング水あるいは空気と切削物のつまりを効率よく阻止して、効率よく削孔を形成することができる削孔装置を得るにある。
【解決手段】 ガイドシェルと、このガイドシェルに前後進移動装置で前後進可能に設けられたクリーニングアダプタを備えるクリーニング装置を設けたドリフターと、このドリフターの駆動力が伝達されるように取付けられたインナーロッドおよびアウターケーシングと、このインナーロッドおよびアウターケーシングのいずれか一方の先端部に取付けられたビットとで削孔装置を構成している。
【解決手段】 ガイドシェルと、このガイドシェルに前後進移動装置で前後進可能に設けられたクリーニングアダプタを備えるクリーニング装置を設けたドリフターと、このドリフターの駆動力が伝達されるように取付けられたインナーロッドおよびアウターケーシングと、このインナーロッドおよびアウターケーシングのいずれか一方の先端部に取付けられたビットとで削孔装置を構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は法面にロックボルトを形成する場合に使用される削孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、法面にロックボルトを形成する場合、中空のドリルロッドの先端部にビットが取付けられた削孔装置を用いている。
【0003】
しかしながら、このような削孔装置を用いて形成される、ロックボルト用削孔は先端部にビットが取付けられたドリルロッドでロックボルト用削孔を形成する時に、形成されたロックボルト用削孔の壁面が崩れることがあるため、ドリルロッドを前進させたり、後退させたりして、掘ったロックボルト用削孔が崩れているか、崩れていないかを確認しながら行わないと、掘った所が崩れているとドリルロッドを抜取ることができなくなるため、このような作業が必要となる。
このため、ロックボルト用削孔の形成に時間がかかり、コスト高になるという欠点があった。
【0004】
また、掘ったロックボルト用削孔の崩れる心配のないグランドアンカー工法で使用している二重管式削孔装置を使用することも考えられるが、この二重管式削孔装置はインナーロッドとアウターケーシングを1mあるいは1.5m間隔で接続しながら削孔するものであるため、ロックボルトのような6m〜7mぐらいの削孔ではインナーロッドとアウターケーシングとの接続作業に時間がかかり、コスト高になるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−250287
【特許文献2】特開2006−63652
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、ロックボルト用削孔を一気に短時間で低コストで形成することができるとともに、構造が簡単で、安価に製造することができ、かつ、フラッシング水あるいは空気と切削物スライムのつまりを効率よく阻止して、効率よく削孔を形成することができる削孔装置を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
【0008】
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明はガイドシェルと、このガイドシェルに前後進移動装置で前後進可能に設けられたクリーニングアダプタを備えるクリーニング装置を設けたドリフターと、このドリフターの駆動力が伝達されるように取付けられたインナーロッドおよびアウターケーシングと、このインナーロッドおよびアウターケーシングのいずれか一方の先端部に取付けられたビットとで削孔装置を構成している。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1によりインナーロッドとアウターケーシングを用いているので、ロックボルト用削孔の壁面が崩れる心配がなく、ロックボルト用削孔を一気に短時間で低コストで形成することができるとともに、インナーロッドあるいはアウターケーシングのいずれか一方の先端部にビットを取付けているので、構造が簡単で、安価に製造することができる。
(2)前記(1)によって、インナーロッドあるいはアウターケーシングのいずれか一方の先端部にビットを取付けているため、取り扱いが容易で、故障したりするのを効率よく防止することができる。
(3)請求項2は前記(1)、(2)と同様な効果が得られるとともに、インナーロッドに十分な大きさのフラッシング水あるいは空気と切削物スライムを外部へ排出する通路を形成することができる。
すなわち、インナーロッドとアウターケーシングとの隙間を小さく設定しても、ビットへ十分なフラッシング水あるいは空気を供給することができるため、従来のインナーロッドとアウターケーシングとの間を、フラッシング水あるいは空気と切削物スライムを外部へ排出する通路にするものと比べ、アウターケーシングの外径寸法を小さく設定したり、インナーロッドを大径のものに設定したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の使用状態の側面図。
【図2】本発明を実施するための第1の形態の使用状態の平面図。
【図3】本発明を実施するための第1の形態の側面図。
【図4】本発明を実施するための第1の形態の平面図。
【図5】図4の5−5線に沿う断面図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態の先端部の拡大断面図。
【図7】本発明を実施するための第2の形態の使用状態の側面図。
【図8】本発明を実施するための第2の形態の側面図。
【図9】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
【図10】図9の10−10線に沿う拡大断面図。
【図11】本発明を実施するための第2の形態の先端部の拡大断面図。
【図12】本発明を実施するための第3の形態の使用状態の側面図。
【図13】本発明を実施するための第3の形態の側面図。
【図14】本発明を実施するための第3の形態の要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0013】
図1ないし図6に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は作業車2のブーム3に上下移動装置4および回動装置5を介して取付けられた本発明の二重管削孔方式の削孔装置である。
【0014】
前記作業車2は無限軌道6、6で走行することができる作業台7と、この作業台7に取付けられた、該作業台7を法面8の上部に固定された固定具9にワイヤー10を取付けて牽吊するウインチ11と、前記作業台7に垂直方向に回動するように取付けられたブーム3と、このブーム3を垂直方向に回動させる油圧シリンダー12を用いたブーム回動装置13と、前記ブーム3の先端部に枢支ピン14で回動可能に取付けられたガイドシェル支持台15と、このガイドシェル支持台15を回動させる油圧シリンダー16を用いた回動装置5と、前記ガイドシェル支持台15に取付けられた後述するガイドシェルを上下移動させる油圧シリンダー17を用いた上下移動装置4とで構成されている。
【0015】
前記削孔装置1は前記ガイドシェル支持台15に上下移動可能に取付けられ、かっ前記上下移動装置4の油圧シリンダー17の作動アーム17aの先端部が取付けられた約7mのガイドシェル18と、このガイドシェル18に前後進移動装置19で前後進可能に取付けられたベース板20と、このベース板20の前方に固定されたアウターケーシング回転装置21と、このアウターケーシング回転装置21の回転部に後端部が接続され、先端部が前記ガイドシェル18の先端部の支持部22に回転可能に支持された約7mのアウターケーシング23と、このアウターケーシング23内にフラッシング水あるいは空気を供給する供給路24となる隙間を介して挿入された中央部に排出路25を有するインナーロッド26と、このインナーロッド26の後端部と接続された前記ベース板20の後方に固定された打撃装置27を備えるインナーロッド回転装置28と、前記アウターケーシング23あるいは前記インナーロッド26の先端部のいずれか一方、本発明の実施の形態ではインナーロッド26に固定された、該アウターケーシング23の外径寸法よりわずかに大きい外径寸法で、中央部に前記排出路25と連通する排出用透孔29が形成され、外周部に前記供給路24に連通する供給用透孔30が形成されたビット31と、前記インナーロッド回転装置28と前記アウターケーシング回転装置21との間に設けられた前記アウターケーシング23とインナーロッド26との間の供給路24で前記ビット31の供給用透孔30より先端部へフラッシング水あるいは空気を供給し、ビット31の中央部の排出用透孔29よりフラッシング水あるいは空気と切削物とを排出路25を通過させて外部へ排出させることができるクリーニングアダプタ32を備えるクリーニング装置33とで構成されている。
【0016】
上記構成の作業車2は、ウインチ11と無限軌道6、6の駆動操作によって法面8のロックボルトを形成する部位へ移動させることができる。
【0017】
ロックボルトの形成部位へ作業車2を移動させる時、前後進移動装置19でガイドシェル18の後端部にベース板20を位置させ、ロックボルトを形成する部位に位置すると、ブーム回動装置13でブーム3を回動させるとともに、回動装置5および上下移動装置4の駆動でガイドシェル18をロックボルト用削孔を形成できる位置に移動させる。
【0018】
しかる後、アウターケーシング回転装置21、打撃装置27、インナーロッド回転装置28およびクリーニング装置33を駆動させるとともに、前後進移動装置19でベース板20およびインナーロッド26、アウターケーシング23を前方、すなわち削孔を形成する方向へ移動して、ビット31で削孔しながらあらかじめ設定された深さまで掘り進んでロックボルト用削孔34を形成する。
【0019】
この時、クリーニング装置33によって、ビット31での削孔はフラッシング水あるいは空気が供給路24からビット31の先端部へ供給され、中央部の排出用透孔29よりフラッシング水あるいは空気と切削物とがインナーロッド26の排出路25を通過して外部へ排出されるので、効率よくロックボルト用削孔34を形成することができる。
【0020】
また、このロックボルト用削孔34の形成時には、形成されたロックボルト用削孔34の内壁面と、アウターケーシング23との間にはほとんど隙間がない状態であるため、削孔中にロックボルト用削孔34の壁面が崩れたりするのを防止できる。
【0021】
あらかじめ設定された深さのロックボルト用削孔34が形成されると、前後進移動装置19でベース板20を後方へ移動させ、ビット31が先端部に取付けられたインナーロッド26およびアウターケーシング23を形成されたロックボルト用削孔34より抜き取る。
【0022】
ロックボルト用削孔34よりアウターケーシング23等の削孔部が抜き取られると、該ロックボルト用削孔34内へ応力材35を挿入し、セメントやモルタル等の定着材36を充填してロックボルト37を形成する。
【0023】
なお、アウターケーシング23等の削孔部をロックボルト用削孔34より抜き取る時に、ロックボルト用削孔34の壁面が崩れた場合、もう一度アウターケーシング23等の削孔部を挿入して、崩れた部位の土砂を除去してロックボルト用削孔34を形成してロックボルト37を形成する。
【0024】
なお、これらの作業はアウターケーシング23等の削孔部を所定の深さ寸法まで押し込んでロックボルト用削孔34を形成するため、従来のように前進、後退を繰り返して行なってロックボルト用削孔34を形成するものに比べ、著しく短時間に、気軽に形成できるため、崩れた場合の2度掘りでのロックボルト用削孔34の作業を気軽に行なうことができる。
【0025】
本発明の実施の形態では、アウターケーシング23をアウターケーシング回転装置21で回転させるものについて説明したが、アウターケーシング23の回転は、よりアウターケーシング23をスムーズに形成したロックボルト用削孔34内へ挿入させるためのものであるので、ビット31の外径寸法との関係で、アウターケーシング回転装置21を使用しない削孔装置であってもよい。
【0026】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図7ないし図14に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0027】
図7ないし図11に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、アウターケーシング23の先端部にビット31Aを固定した点で、このようにアウターケーシング23の先端部にだけビット31Aを固定した削孔装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0028】
なお、インナーロッド26を回転させるインナーロッド回転装置28を使用しない削孔装置にしても同様な作用効果が得られる。
【0029】
図12ないし図14に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、アウターケーシング236とインナーロッド26との間の隙間を排出路25とし、インナーロッド26の中央部を供給路24とするクリーニングアダプタ32Aを用いたクリーニング装置33A点で、このようなクリーニング装置33Aを用いて構成した削孔装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0030】
なお、前記削孔装置1、1A、1Bは無限軌道6、6やウインチ11を用いて法面8を移動させる作業車2に取付けたものについて説明したが、本発明はこれに限らず、法面を車輪で走行させたり、法面に設けた足場上をスライド移動させる作業台や、クレーンで吊り上げたり、クレーン車のクレーンの先端部に取付けたりして使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明はロックボルトを設けるためのロックボルト用削孔を形成する削孔装置
を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0032】
1、1A、1B:削孔装置、
2:作業車、 3:ブーム、
4:上下移動装置、 5:回動装置、
6:無限軌道、 7:作業台、
8:法面、 9:固定具、
10:ワイヤー、 11:ウインチ、
12:油圧シリンダー、 13:ブーム回動装置、
14:枢支ピン、 15:ガイドシェル支持台、
16:油圧シリンダー、 17:油圧シリンダー、
18:ガイドシェル、 19:前後進移動装置、
20:ベース板、
21:アウターケーシング回転装置、
22:支持部、 23:アウターケーシング、
24:供給路、 25:排出路、
26:インナーロッド、 27:打撃装置、
28:インナーロッド回転装置、
29:排出用透孔、 30:供給用透孔、
31、31A、31B、31C:ビット、
32、32A:クリーニングアダプタ、
33:クリーニング装置、 34:ロックボルト用削孔、
35:応力材、 36:定着材。
【技術分野】
【0001】
本発明は法面にロックボルトを形成する場合に使用される削孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、法面にロックボルトを形成する場合、中空のドリルロッドの先端部にビットが取付けられた削孔装置を用いている。
【0003】
しかしながら、このような削孔装置を用いて形成される、ロックボルト用削孔は先端部にビットが取付けられたドリルロッドでロックボルト用削孔を形成する時に、形成されたロックボルト用削孔の壁面が崩れることがあるため、ドリルロッドを前進させたり、後退させたりして、掘ったロックボルト用削孔が崩れているか、崩れていないかを確認しながら行わないと、掘った所が崩れているとドリルロッドを抜取ることができなくなるため、このような作業が必要となる。
このため、ロックボルト用削孔の形成に時間がかかり、コスト高になるという欠点があった。
【0004】
また、掘ったロックボルト用削孔の崩れる心配のないグランドアンカー工法で使用している二重管式削孔装置を使用することも考えられるが、この二重管式削孔装置はインナーロッドとアウターケーシングを1mあるいは1.5m間隔で接続しながら削孔するものであるため、ロックボルトのような6m〜7mぐらいの削孔ではインナーロッドとアウターケーシングとの接続作業に時間がかかり、コスト高になるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−250287
【特許文献2】特開2006−63652
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、ロックボルト用削孔を一気に短時間で低コストで形成することができるとともに、構造が簡単で、安価に製造することができ、かつ、フラッシング水あるいは空気と切削物スライムのつまりを効率よく阻止して、効率よく削孔を形成することができる削孔装置を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
【0008】
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明はガイドシェルと、このガイドシェルに前後進移動装置で前後進可能に設けられたクリーニングアダプタを備えるクリーニング装置を設けたドリフターと、このドリフターの駆動力が伝達されるように取付けられたインナーロッドおよびアウターケーシングと、このインナーロッドおよびアウターケーシングのいずれか一方の先端部に取付けられたビットとで削孔装置を構成している。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1によりインナーロッドとアウターケーシングを用いているので、ロックボルト用削孔の壁面が崩れる心配がなく、ロックボルト用削孔を一気に短時間で低コストで形成することができるとともに、インナーロッドあるいはアウターケーシングのいずれか一方の先端部にビットを取付けているので、構造が簡単で、安価に製造することができる。
(2)前記(1)によって、インナーロッドあるいはアウターケーシングのいずれか一方の先端部にビットを取付けているため、取り扱いが容易で、故障したりするのを効率よく防止することができる。
(3)請求項2は前記(1)、(2)と同様な効果が得られるとともに、インナーロッドに十分な大きさのフラッシング水あるいは空気と切削物スライムを外部へ排出する通路を形成することができる。
すなわち、インナーロッドとアウターケーシングとの隙間を小さく設定しても、ビットへ十分なフラッシング水あるいは空気を供給することができるため、従来のインナーロッドとアウターケーシングとの間を、フラッシング水あるいは空気と切削物スライムを外部へ排出する通路にするものと比べ、アウターケーシングの外径寸法を小さく設定したり、インナーロッドを大径のものに設定したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の使用状態の側面図。
【図2】本発明を実施するための第1の形態の使用状態の平面図。
【図3】本発明を実施するための第1の形態の側面図。
【図4】本発明を実施するための第1の形態の平面図。
【図5】図4の5−5線に沿う断面図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態の先端部の拡大断面図。
【図7】本発明を実施するための第2の形態の使用状態の側面図。
【図8】本発明を実施するための第2の形態の側面図。
【図9】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
【図10】図9の10−10線に沿う拡大断面図。
【図11】本発明を実施するための第2の形態の先端部の拡大断面図。
【図12】本発明を実施するための第3の形態の使用状態の側面図。
【図13】本発明を実施するための第3の形態の側面図。
【図14】本発明を実施するための第3の形態の要部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0013】
図1ないし図6に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は作業車2のブーム3に上下移動装置4および回動装置5を介して取付けられた本発明の二重管削孔方式の削孔装置である。
【0014】
前記作業車2は無限軌道6、6で走行することができる作業台7と、この作業台7に取付けられた、該作業台7を法面8の上部に固定された固定具9にワイヤー10を取付けて牽吊するウインチ11と、前記作業台7に垂直方向に回動するように取付けられたブーム3と、このブーム3を垂直方向に回動させる油圧シリンダー12を用いたブーム回動装置13と、前記ブーム3の先端部に枢支ピン14で回動可能に取付けられたガイドシェル支持台15と、このガイドシェル支持台15を回動させる油圧シリンダー16を用いた回動装置5と、前記ガイドシェル支持台15に取付けられた後述するガイドシェルを上下移動させる油圧シリンダー17を用いた上下移動装置4とで構成されている。
【0015】
前記削孔装置1は前記ガイドシェル支持台15に上下移動可能に取付けられ、かっ前記上下移動装置4の油圧シリンダー17の作動アーム17aの先端部が取付けられた約7mのガイドシェル18と、このガイドシェル18に前後進移動装置19で前後進可能に取付けられたベース板20と、このベース板20の前方に固定されたアウターケーシング回転装置21と、このアウターケーシング回転装置21の回転部に後端部が接続され、先端部が前記ガイドシェル18の先端部の支持部22に回転可能に支持された約7mのアウターケーシング23と、このアウターケーシング23内にフラッシング水あるいは空気を供給する供給路24となる隙間を介して挿入された中央部に排出路25を有するインナーロッド26と、このインナーロッド26の後端部と接続された前記ベース板20の後方に固定された打撃装置27を備えるインナーロッド回転装置28と、前記アウターケーシング23あるいは前記インナーロッド26の先端部のいずれか一方、本発明の実施の形態ではインナーロッド26に固定された、該アウターケーシング23の外径寸法よりわずかに大きい外径寸法で、中央部に前記排出路25と連通する排出用透孔29が形成され、外周部に前記供給路24に連通する供給用透孔30が形成されたビット31と、前記インナーロッド回転装置28と前記アウターケーシング回転装置21との間に設けられた前記アウターケーシング23とインナーロッド26との間の供給路24で前記ビット31の供給用透孔30より先端部へフラッシング水あるいは空気を供給し、ビット31の中央部の排出用透孔29よりフラッシング水あるいは空気と切削物とを排出路25を通過させて外部へ排出させることができるクリーニングアダプタ32を備えるクリーニング装置33とで構成されている。
【0016】
上記構成の作業車2は、ウインチ11と無限軌道6、6の駆動操作によって法面8のロックボルトを形成する部位へ移動させることができる。
【0017】
ロックボルトの形成部位へ作業車2を移動させる時、前後進移動装置19でガイドシェル18の後端部にベース板20を位置させ、ロックボルトを形成する部位に位置すると、ブーム回動装置13でブーム3を回動させるとともに、回動装置5および上下移動装置4の駆動でガイドシェル18をロックボルト用削孔を形成できる位置に移動させる。
【0018】
しかる後、アウターケーシング回転装置21、打撃装置27、インナーロッド回転装置28およびクリーニング装置33を駆動させるとともに、前後進移動装置19でベース板20およびインナーロッド26、アウターケーシング23を前方、すなわち削孔を形成する方向へ移動して、ビット31で削孔しながらあらかじめ設定された深さまで掘り進んでロックボルト用削孔34を形成する。
【0019】
この時、クリーニング装置33によって、ビット31での削孔はフラッシング水あるいは空気が供給路24からビット31の先端部へ供給され、中央部の排出用透孔29よりフラッシング水あるいは空気と切削物とがインナーロッド26の排出路25を通過して外部へ排出されるので、効率よくロックボルト用削孔34を形成することができる。
【0020】
また、このロックボルト用削孔34の形成時には、形成されたロックボルト用削孔34の内壁面と、アウターケーシング23との間にはほとんど隙間がない状態であるため、削孔中にロックボルト用削孔34の壁面が崩れたりするのを防止できる。
【0021】
あらかじめ設定された深さのロックボルト用削孔34が形成されると、前後進移動装置19でベース板20を後方へ移動させ、ビット31が先端部に取付けられたインナーロッド26およびアウターケーシング23を形成されたロックボルト用削孔34より抜き取る。
【0022】
ロックボルト用削孔34よりアウターケーシング23等の削孔部が抜き取られると、該ロックボルト用削孔34内へ応力材35を挿入し、セメントやモルタル等の定着材36を充填してロックボルト37を形成する。
【0023】
なお、アウターケーシング23等の削孔部をロックボルト用削孔34より抜き取る時に、ロックボルト用削孔34の壁面が崩れた場合、もう一度アウターケーシング23等の削孔部を挿入して、崩れた部位の土砂を除去してロックボルト用削孔34を形成してロックボルト37を形成する。
【0024】
なお、これらの作業はアウターケーシング23等の削孔部を所定の深さ寸法まで押し込んでロックボルト用削孔34を形成するため、従来のように前進、後退を繰り返して行なってロックボルト用削孔34を形成するものに比べ、著しく短時間に、気軽に形成できるため、崩れた場合の2度掘りでのロックボルト用削孔34の作業を気軽に行なうことができる。
【0025】
本発明の実施の形態では、アウターケーシング23をアウターケーシング回転装置21で回転させるものについて説明したが、アウターケーシング23の回転は、よりアウターケーシング23をスムーズに形成したロックボルト用削孔34内へ挿入させるためのものであるので、ビット31の外径寸法との関係で、アウターケーシング回転装置21を使用しない削孔装置であってもよい。
【0026】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図7ないし図14に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0027】
図7ないし図11に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、アウターケーシング23の先端部にビット31Aを固定した点で、このようにアウターケーシング23の先端部にだけビット31Aを固定した削孔装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0028】
なお、インナーロッド26を回転させるインナーロッド回転装置28を使用しない削孔装置にしても同様な作用効果が得られる。
【0029】
図12ないし図14に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、アウターケーシング236とインナーロッド26との間の隙間を排出路25とし、インナーロッド26の中央部を供給路24とするクリーニングアダプタ32Aを用いたクリーニング装置33A点で、このようなクリーニング装置33Aを用いて構成した削孔装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0030】
なお、前記削孔装置1、1A、1Bは無限軌道6、6やウインチ11を用いて法面8を移動させる作業車2に取付けたものについて説明したが、本発明はこれに限らず、法面を車輪で走行させたり、法面に設けた足場上をスライド移動させる作業台や、クレーンで吊り上げたり、クレーン車のクレーンの先端部に取付けたりして使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明はロックボルトを設けるためのロックボルト用削孔を形成する削孔装置
を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0032】
1、1A、1B:削孔装置、
2:作業車、 3:ブーム、
4:上下移動装置、 5:回動装置、
6:無限軌道、 7:作業台、
8:法面、 9:固定具、
10:ワイヤー、 11:ウインチ、
12:油圧シリンダー、 13:ブーム回動装置、
14:枢支ピン、 15:ガイドシェル支持台、
16:油圧シリンダー、 17:油圧シリンダー、
18:ガイドシェル、 19:前後進移動装置、
20:ベース板、
21:アウターケーシング回転装置、
22:支持部、 23:アウターケーシング、
24:供給路、 25:排出路、
26:インナーロッド、 27:打撃装置、
28:インナーロッド回転装置、
29:排出用透孔、 30:供給用透孔、
31、31A、31B、31C:ビット、
32、32A:クリーニングアダプタ、
33:クリーニング装置、 34:ロックボルト用削孔、
35:応力材、 36:定着材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドシェルと、このガイドシェルに前後進移動装置で前後進可能に設けられたクリーニングアダプタを備えるクリーニング装置を設けたドリフターと、このドリフターの駆動力が伝達されるように取付けられたインナーロッドおよびアウターケーシングと、このインナーロッドおよびアウターケーシングのいずれか一方の先端部に取付けられたビットとからなることを特徴とする削孔装置。
【請求項2】
ドリフターのクリーニング装置のクリーニングアダプタはインナーロッドとアウターケーシング間の通路をビットへフラッシング水あるいは空気を供給する供給路にし、前記インナーロッドの通路をビットからのフラッシング水あるいは空気と切削物を外部へ排出する排出路となるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の削孔装置。
【請求項1】
ガイドシェルと、このガイドシェルに前後進移動装置で前後進可能に設けられたクリーニングアダプタを備えるクリーニング装置を設けたドリフターと、このドリフターの駆動力が伝達されるように取付けられたインナーロッドおよびアウターケーシングと、このインナーロッドおよびアウターケーシングのいずれか一方の先端部に取付けられたビットとからなることを特徴とする削孔装置。
【請求項2】
ドリフターのクリーニング装置のクリーニングアダプタはインナーロッドとアウターケーシング間の通路をビットへフラッシング水あるいは空気を供給する供給路にし、前記インナーロッドの通路をビットからのフラッシング水あるいは空気と切削物を外部へ排出する排出路となるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の削孔装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−174330(P2011−174330A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40437(P2010−40437)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(390040073)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(390040073)
【Fターム(参考)】
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