説明

前照灯光軸調整装置

【課題】配索経路の異なる2本のコントロールケーブルを引き操作および戻し操作するときに、操作荷重の大小関係が変わらず、かつ前照灯の角度変化量が等しくなるような前照灯の角度操作装置を提供することを目的とする。
【解決手段】一方の前照灯まで配索される第一コントロールケーブルの第一インナーケーブルの先端と、他方の前照灯まで配索され、配索経路の距離が第一コントロールケーブルよりも長い第二コントロールケーブルの第二インナーケーブルの先端とが、車両の前照灯へそれぞれ接続され、前記第一および第二インナーケーブルが操作されることによって、前記駆動部の前記第二連結部に接続され、インナーケーブルの先端側方向へ前記駆動部を付勢する駆動部用付勢部材を備えた前照灯光軸調整装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右の前照灯の角度を同時に、かつ互いに略同一の角度になるように操作する前照灯光軸調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両には、車両の運転席と後部座席のみに乗車したり、荷室へ荷物を積載することによる車両後部の重量増加によって車両の後部が車両の前部より低くなり、前照灯が上向きになったときや、運転席と助手席のみに乗車することによる車両前部の重量増加によって車両の前部が車両の後部より低くなり、前照灯が下向きになったときに、前照灯の角度を変更して良好な前照灯の照射範囲を設定することができる装置が搭載されており、運転席近傍に設けられた電子式の操作ノブを操作し、前照灯に設けられたアクチュエータを駆動させることによって、前照灯の角度を変更させている。
【0003】
一方、操作ノブにプルコントロールケーブルや回転伝達ケーブル(トルクケーブル)等のコントロールケーブルの一端が接続され、他端が前照灯に接続され、操作ノブを操作することにより前照灯の角度を変更させている装置があり、このものは前照灯が常に下向きになるように付勢部材で前照灯を付勢しており、操作ノブを操作するとコントロールケーブルのインナーケーブルが付勢部材の付勢力に抗して引き操作されたり、付勢部材の付勢力によって戻し操作されたりすることによって、前照灯の角度を変更させている。
【0004】
装置の重量やコストを考慮すると、アクチュエータを使用するのに比べてコントロールケーブルを使用する方法が好ましく、左右の前照灯をそれぞれ別の操作ノブで操作するものと、1つの操作ノブで左右の前照灯の角度を一度に操作するものがある。
【0005】
たとえば、特許文献1には、車両の運転席に設けられた操作ノブを時計回り、反時計回りに回転させることにより、操作ノブに連結され、雄ねじが形成された軸状部材が回転し、当該軸状部材が回転することにより、前記雄ねじとかみ合う雌ねじが形成された略立方形の従動部材が、前記軸状部材の長手方向に沿って、共回りせずにスライドし、当該略立方形の従動部材に連結されたコントロールケーブルのインナーケーブルの押し引き操作により、ヘッドランプの角度を変更させる機構が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、ヘッドライトのレベリング装置が記載されており、運転席に設けられたノブを回転させることにより回転する駆動軸と、駆動軸の回転により駆動軸の軸方向に移動する従動部材とを螺旋係合させ、駆動軸を回転させることにより、従動部材を介してヘッドライトに一端が連結されたコントロールケーブルを操作することにより、ヘッドライトの角度を変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4045666号明細書
【特許文献2】実開昭54−123559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、左右の前照灯をそれぞれ別の操作ノブで操作するものは操作が煩雑になる問題があり、特許文献1および2のように、左右の前照灯を1つの操作ノブで操作するものは、操作ノブから左右の前照灯まで2本のコントロールケーブルを、他部品と干渉しないようにアウターケーシングの数箇所を車両へ固定して配索しなければならないため、それぞれのコントロールケーブルの配索経路が異なることとなる。湾曲状に配索されたコントロールケーブルは、その湾曲半径や湾曲長さ等によってインナーケーブル表面とアウターケーシング内面との接触面積が異なるため、摩擦抵抗が異なる。湾曲半径が小さいときは前述のストロークロスで説明したようにアウターケーシングがインナーケーブルからアウターケーシングを直線状態にしようとする力を受けるため、面積あたりの圧力が高くなり、摩擦抵抗が増大する。湾曲長さが長いときも同様に、インナーケーブルが直線状態になろうとするため、インナーケーブル表面とアウターケーシング内面の接触面積が大きくなり、摩擦抵抗が増大する。そのため、配索経路が異なることにより、弾性伸び発生による損失移動量や摩擦抵抗などにより、前照灯の付勢部材の付勢力が左右同一のときは、引き操作時と戻し操作時で操作ノブの操作荷重が左右で異なることになる。
【0009】
特許文献1および2では配索経路の異なる2本のコントロールケーブルのインナーケーブルを操作ノブ側で同じ操作荷重で操作しているが、前述のように2本のコントロールケーブルの配索経路が異なる場合はそれぞれ操作荷重が異なり、また引き操作時と戻し操作時でも操作荷重が変わることから、駆動軸と従動部材の係合部のガタの分だけ従動部材が都度傾き、コントロールケーブルの配索経路が変わるのに伴い、ストロークロスが変わるため、操作ノブ側のインナーケーブル操作量と左右の前照灯側のインナーケーブル操作量が一致しないという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は配索経路の異なる2本のコントロールケーブルを一度に操作したときに、左右の前照灯の角度が等しくなるような前照灯の角度操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の前照灯光軸調整装置は、一方の前照灯まで配索される第一コントロールケーブルの第一インナーケーブルの先端と、他方の前照灯まで配索され、配索経路の距離が第一コントロールケーブルよりも長い第二コントロールケーブルの第二インナーケーブルの先端とが、車両の前照灯へそれぞれ接続され、前記第一および第二インナーケーブルが操作されることによって、前記前照灯の光軸を調整する前照灯光軸調整装置であって、前記光軸を調整するための操作をする操作部と、接続部において前記操作部と接続し、前記操作部の操作よってインナーケーブルの基端側延長方向及びインナーケーブルの先端側方向への移動操作がされる駆動部とを備え、前記駆動部には、前記第一インナーケーブルの基端と第二インナーケーブルの基端とが前記接続部を挟んで前記駆動部の一方の側に第一連結部が設けられ、他方の側に第二連結部が設けられ、前記駆動部の前記第二連結部側に接続され、インナーケーブルの先端側方向へ前記駆動部を付勢する駆動部用付勢部材を備えた前照灯光軸調整装置である。
【発明の効果】
【0012】
(1)本発明の前照灯光軸調整装置は、インナーケーブルの先端側方向へ駆動部を付勢する駆動部用付勢部材を用いることにより、引き操作と戻し操作との切り替え時に駆動部がガタつくことがなく、駆動部が駆動部用付勢部材で付勢されるので操作感が軽くなり、操作が容易になる。また、径時変化や部品交換など荷重効率が変化した場合などでも、付勢部材を交換することなど簡単に調節できるので、引き操作と戻し操作との切り替え時に駆動部が一定の状態に保つのが容易なので、ガタつきを容易に防止することができる。さらに、前照灯光軸調整装置の幅も広くする必要がないのでコンパクトである。
【0013】
(2)前記駆動部を収納するケースを備え、前記ケースには前記引き操作及び前記戻し操作による前記駆動部の移動をガイドするガイド部が設けられ、前記駆動部には前記ガイド部と摺接する摺接部が設けられた上記の前照灯光軸調整装置とすることにより、前記ガイド部により前記駆動部がさらにガタつきなく移動することができる。
【0014】
(3)前記操作部が外周に螺旋凸部を有する回転軸を有し、前記接続部には、前記回転軸の回動により前記駆動部が前記回転軸の軸方向へ移動自在に、前記螺旋凸部と係合する係合部を有する上記の前照灯光軸調整装置とすることにより、前記駆動部を容易に軸方向へ移動させることができる。
【0015】
(4)前記前照灯がそれぞれ第一付勢部材と第二付勢部材とを備えることによりケーブルが容易に張力を有する状態となるので、前照灯の光軸の調整が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の前照灯光軸調整装置の模式図である。
【図2】図2(a)は、本発明の光軸調整装置の一実施形態の操作制御装置についての正面図である。図2(b)は、図2(a)の操作制御装置の斜視図である。
【図3】図3は、図2の操作制御装置についてのAA断面図である。
【0017】
本発明の前照灯光軸調整装置1は、図1に示すように、第一コントロールケーブル3が右側の前照灯2まで配索されている。第一コントロールケーブル3は、第一インナーケーブル31を備え、その先端である第一先端側ケーブルエンド32を有し、その基端である第一基端側ケーブルエンド33を有している。第一インナーケーブル31は、前照灯2に接続された接続部材4と第一先端側ケーブルエンド32とが係合することにより、接続部材4を介して前照灯2に接続される。同様に、第二コントロールケーブル3'は、左側の前照灯2'まで配索され、第二インナーケーブル31'には第二先端側ケーブルエンド32'と基端に第二基端側ケーブルエンド33'を有する。第二インナーケーブル31'は、第二先端側ケーブルエンド32'が前照灯2'に接続された接続部材4'と係合することで、接続部材4を介して前照灯2に接続されている。
【0018】
前記前照灯光軸調整装置1は、運転席側で光軸を調整するための操作をする操作部5を備えており、操作部5は接続部7において駆動部6と接続している。第一インナーケーブル31を基端側へ延長した方向である基端側延長方向(図1の下側方向)へ操作部5を操作した場合には、駆動部6は、操作部5の操作によって基端側延長方向への移動操作を受けることとなる。また、第一インナーケーブル31を基端から先端へとケーブルが延びる先端側方向(図1の上側方向)へ操作部5を操作した場合には、駆動部6は、操作部5の操作によって先端側方向への移動操作を受けることとなる。
【0019】
駆動部6には、第一インナーケーブル31の基端である第一基端側ケーブルエンド33と第二インナーケーブル31'の基端である第二基端側ケーブルエンド33'とが接続部7を挟んで駆動部6に接続され、第一インナーケーブルエンドの第一基端側ケーブルエンド33は、前記接続部を挟んで第一インナーケーブル31の側に設けられた第一連結部に接続され、他方の側に設けられた第二連結部に接続されている。
【0020】
前照灯光軸調整装置1においては、右ハンドル車で運転者が操作可能な様に操作制御装置10が運転席側に配置されて車幅方向の右側に配置されることとなるので、第一コントロールケーブル3よりも第二コントロールケーブル3'が配索経路の距離が長くなることとなる。前照灯光軸調整装置1では、駆動部6の第二連結部61'において第二インナーケーブル31'の第二基端側ケーブルエンド33'が接続し、さらに第二連結部側の駆動部には第一インナーケーブル31の先端方向へ付勢する付勢部材である駆動部用付勢部材8を備えている。なお、駆動部用付勢部材8は、図1の前照灯光軸調整装置では、駆動部6を含む操作制御装置10を構成するケース9の内部に配置され、ケース9の基端内面93と駆動部6の基端62との間に配置されている。駆動部用付勢部材8は、ケース9への装着が容易なように、ケース9に凸部や凹部などの付勢部材取付け部を設けてもよく、駆動部6に同様の付勢部材取付け部を設けても良い。
【0021】
前照灯光軸調整装置1は、操作性のために運転席近傍に操作部5を備えていることから前照灯2へ接続される第一コントロールケーブル3と、前照灯2’へ接続される第二コントロールケーブル3’とはそれぞれ車両の運転席近傍からバルクヘッドを貫通してエンジンルーム内を他部品と干渉しないようにアウターケーシングの数箇所を車両に固定して前照灯まで配索されるのであるが、第二コントロールケーブル3’は運転席より遠位側の前照灯に接続されるために第一コントロールケーブル3よりも配索経路が長いので、第二コントロールケーブル3’よりも第一コントロールケーブル3の方が荷重効率が低くなる。特に、遠位側の前照灯に接続されるコントロールケーブルは、エンジンルーム内の複数箇所をより小さい湾曲半径かつ長い湾曲長さで配索され場合が多いので、荷重効率がより低くなるのが通常である。このような場合には、操作部5の引き操作により駆動部6が基端側延長方向へ移動する際には、第二コントロールケーブル3’の操作荷重が第一コントロールケーブル3の操作荷重より大きくなる。一方、操作部5の戻し操作により駆動部6が先端側方向へ移動する際には、第一コントロールケーブル3の操作荷重が第二コントロールケーブル3’の操作荷重より大きくなり、引き操作の場合と逆転する。前記のような逆転が生じる場合には、接続部7において操作部5と駆動部6との間に隙間がある場合には、操作荷重の差により駆動部の傾斜が生じてしまう。この傾斜は、引き操作時と戻し操作時とで傾斜の方向が変わり、傾斜の方向の転換によりガタつきを生じることとなる。このガタつきを生じた場合には、引き操作時と戻し操作時とで前照灯2、2’へと与える力が均一ではなくなるために、光軸調整が難しくなる。
【0022】
前照灯光軸調整装置は、駆動部6において、荷重効率の低い第二コントロールケーブル3'の第二基端側ケーブルエンド33'が接続する側を駆動部用付勢部材8で付勢することにより、引き操作の際と戻し操作の際とで駆動部6にかかる外力が、接続部7を軸として第一コントロールケーブル側と第二コントロールケーブル側とで大きさの傾向の変化がないために、駆動部6に生じる傾斜が引き操作の際と戻し操作の際とで実質的に変わらないこととなる。このように駆動部用付勢部材8を用いることにより駆動部が一定の傾斜状態で引き操作と戻し操作がなされるので、前照灯2、2'に与えられる力は引き操作と戻し操作とでほぼ一定とすることができる。また、駆動部の第一連結部61と第二連結部61'とを接続部7から異なる距離で配置したレバー比構造によって同様な効果を得るようにした場合に比べ、前照灯光軸調整装置1は、接続部7からの第一連結部61、第二連結部61'までのそれぞれの距離に制限を受けないために短くすることもできるので、駆動部6を収納するケース9の幅を狭くでき、コンパクトな装置構成とすることもできるために、運転席のパネル類のレイアウトの自由度を容易に確保することができる。さらに、駆動部用付勢部材8の付勢力を一定以上としておけば、第一コントロールケーブル3、第二コントロールケーブル3'第一前照灯角度変更手段11や第二前照灯角度変更手段11'などの前照灯2、2'を動作させるのに必要な部品を交換した場合や径時変化した場合に、前照灯2と前照灯2'との動作に必要な荷重が変わった場合であっても、駆動部材を適切がレバー比構造の駆動部材に部品交換する必要がなく、駆動部が駆動部用付勢部材で付勢されているので操作感も軽くすることもできる。なお、駆動部用付勢部材8は、その材質、形状などが特に限定されるものではなく、引き操作と戻し操作との切り替え時に駆動部のガタつきを防止できる付勢部材であればよく、コイルバネを好適に用いることができる。
【0023】
また、前照灯光軸調整装置1は、図2(a)及び図2のAA断面図である図3に示すように、操作制御装置10において駆動部6を収納するケース9を備え、ケース9には引き操作及び戻し操作による駆動部6の移動をガイドするガイド部91が設けられても良い。ガイド部91が設けられることにより、例えば駆動部6にガイド部91と摺接する摺接部63が設けた場合には摺接部63とガイド部91とが摺動するので、引き操作及び戻し操作の際の駆動部6のガタつきがより少ない、安定した駆動部6の移動をすることができるので、前照灯2、2'の光軸調整がより容易となる。なお、ガイド部は、駆動部6の移動に差し支えなければ、本数、幅、高さなどが特に限定されるものではなく、摺接部63と対応するように形成されていればよい。
【0024】
また、前照灯光軸調整装置1は、図2のように、操作制御装置10において、操作部5が外周に螺旋凸部51を有する回転軸52を有し、駆動部6の接続部7において螺旋凸部51と係合する係合部(図示せず)を有してよい。図2においては、第一コントロールケーブル3の第一基端側ケーシングキャップ35がケース9の第一係止部92に係止され、第一基端側ケーブルエンド33が第一連結部で接続し、第二コントロールケーブル3'の第二基端側ケーシングキャップ35'がケース9の第二係止部92'に係止され、第二基端側ケーブルエンド33'が第二連結部61'で接続している。第一コントロールケーブル3と第二コントロールケーブル3'とに接続した駆動部6は、螺旋凸部51と駆動部6の係合部との係合によって、回転軸52の回動により回転軸52の軸方向へ移動自在とすることができるので、引き操作及び戻し操作による駆動部6の移動を円滑かつ安定して行うことができ、駆動部が不必要に振動することがなく、前照灯2、2'の光軸の調整を容易にすることができる。なお、図2の操作制御装置は、図2(b)に示すように回転軸52が孔94に挿通されて外部に延出しており、延出された回転軸にはパネル等への取り付け可能な取付け部材15が嵌挿されて、回転軸52が回動可能な様に取付け部材保持部16に保持されている。回転軸52の基端にはノブ(図示せず)が取り付けられ回動が容易なようになされる。
【0025】
前照灯光軸調整装置1は、図1においては、さらに、前照灯2に第一インナーケーブルを付勢する第一付勢部材を備えた第一前照灯角度調節手段11と、前照灯2'に第二インナーケーブルを付勢する第二付勢部材を備えた第二前照灯角度調節手段11'とを有していても良い。前照灯2に接続された第一前照灯角度調節手段11は、前照灯2と接続し、第一コントロールケーブル3の第一先端側ケーシングキャップ34が接続するブラケット12と、前照灯2に接続し、第一インナーケーブル31の第一先端側ケーブルエンド32と係合する接続部材4とを含む。前照灯光軸調整装置1の操作部5の操作により、引き操作の際には駆動部6が基端側延長方向に移動するために、第一インナーケーブル31の第一先端側ケーブルエンド32も駆動部6の動作に応じて駆動する。戻し操作の際には駆動部6が先端側方向に移動するために、第一先端側ケーブルエンド32も駆動部6の動作に応じて移動する。そのため、第一先端側ケーブルエンド32と係合された接続部材4は、駆動部6の動作に応じて前照灯2を動作させることとなる。前照灯2は、ブラケット12と回動軸13により接続しており、接続部材4が動作することにより回動軸13を中心として回動することとなる。
同様に、前照灯2'に接続された第二前照灯角度調節手段11'は、前照灯2'と接続し、第二コントロールケーブル3'の第二先端側ケーシングキャップ34'と接続するブラケット12'と、前照灯2'に接続し、第二インナーケーブル31'の第二先端側ケーブルエンド32'と係合する接続部材4'とを含む。前照灯調整装置1の操作部5の操作により、引き操作の際には第二インナーケーブル31'の第二先端側ケーブルエンド32'も駆動部6の動作に応じて基端側延長方向に移動し、戻し操作の際には第二先端側ケーブルエンド32'も先端側方向に移動するので、第二先端側ケーブルエンド32'と係合された接続部材4'は、駆動部6の動作に応じてブラケット12'と回動軸13'により接続した前照灯2'を動作させることとなるので、前照灯2'は回動軸13'を中心として回動することとなる。このため、前照灯光軸調整装置1は、操作部5の操作により、前照灯2、2'が回動軸を中心として回動することができるので、前照灯2、2'の光軸を調整することができる。
【0026】
図1の前照灯光軸調整装置1においては、第一付勢部材14は、接続部材4と接続し、駆動部6の移動に応じて第一ケーブルエンド32が移動する際に、第一ケーブルエンド32の移動方向に付勢するように配されており、第一インナーケーブル31と係合する接続部材4の第一インナーケーブル係合部41と、第一先端側ケーシングキャップ34と係合するブラケット12のケーシングキャップ係合部121との間に、第一付勢部材14が配されている。このような第一付勢部材14の配置により、操作部5の戻し操作の際に、第一先端側ケーブルエンド32の先端側方向への移動に伴う接続部材4の先端側方向への移動を、簡単な構成で容易に行うことができる。また、第二付勢部材14'も、第一付勢部材14と同様に、接続部材4'と接続し、駆動部6の移動に応じて第二先端側ケーブルエンド32'が移動する際に、第二先端側ケーブルエンド32'の移動方向に付勢するように配されており、第二インナーケーブル31'と係合する接続部材4'の第二インナーケーブル係合部41'と、第二先端側ケーシングキャップ34'と係合するブラケット12'のケーシングキャップ係合部121'との間に、第二付勢部材14'が配されている。このような第二付勢部材14の配置により、第一付勢部材14の場合と同様に、第二付勢部材14は、操作部5の戻し操作の際に、第一先端側ケーブルエンド32の先端側方向への移動に伴う接続部材4の先端側方向への移動を、簡単な構成で容易に行うことができる。
【0027】
前照灯光軸調整装置1は、駆動部6と前照灯2、2'との間を繋ぐ第一コントロールケーブル3、第二コントロールケーブル3'を有するが、これらのコントロールケーブルは、操作部5の操作によって駆動部6が移動操作を受け、駆動部6の移動に応じて前照灯2、2'を回動させることができるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、鋼線を1×7の構成で撚り合わせた外径φ1.0mmの第1および第2インナーケーブルを用い、内径がφ1.5mmのポリエチレン製の内層と、前記内層の周りに外径がφ0.5mmの鋼線を16本螺旋状に巻回した補強層と、前記補強層の周りにポリプロピレン製の被覆を施し、外径をφ4.2mmとした長さが1852mmの第二アウターケーシングと、第二アウターケーシングと同じ構成で長さが875mmの第一アウターケーシングを用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 前照灯光軸調整装置
2、2' 前照灯
3 第一コントロールケーブル
3' 第二コントロールケーブル
4、4' 接続部材
5 操作部
6 駆動部
7 接続部
8 駆動部用付勢部材
9 ケース
11 第一前照灯光軸調整手段
11' 第二前照灯光軸調整手段
12、12' ブラケット
13、13' 回動軸
14 第一付勢部材
14' 第二付勢部材
15 取り付け部材
16 取付け部材保持部
31 第一インナーケーブル
31' 第二インナーケーブル
32 第一先端側ケーブルエンド
32' 第二先端側ケーブルエンド
33 第一基端側ケーブルエンド
33' 第二基端側ケーブルエンド
34 第一先端側ケーシングキャップ
34' 第二基端側ケーシングキャップ
35 第一基端側ケーシングキャップ
35' 第二基端側ケーシングキャップ
41 第一インナーケーブル係合部
41' 第二インナーケーブル係合部
51 螺旋凸部
52 回転軸
61 第一連結部
61' 第二連結部
63 摺接部
91 ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の前照灯まで配索される第一コントロールケーブルの第一インナーケーブルの先端と、他方の前照灯まで配索され、配索経路の距離が第一コントロールケーブルよりも長い第二コントロールケーブルの第二インナーケーブルの先端とが、車両の前照灯へそれぞれ接続され、前記第一および第二インナーケーブルが操作されることによって、前記前照灯の光軸を調整する前照灯光軸調整装置であって、
前記光軸を調整するための操作をする操作部と、
接続部において前記操作部と接続し、前記操作部の操作よってインナーケーブルの基端側延長方向及びインナーケーブルの先端側方向への移動操作がされる駆動部とを備え、
前記駆動部には、前記第一インナーケーブルの基端と第二インナーケーブルの基端とが、前記接続部を挟んで前記駆動部の一方の側に設けられた第一連結部に接続され、他方の側に設けられた第二連結部に接続され、
前記駆動部の前記第二連結部に接続され、インナーケーブルの先端側方向へ前記駆動部を付勢する駆動部用付勢部材を備えた前照灯光軸調整装置。
【請求項2】
前記駆動部を収納するケースを備え
前記ケースには前記引き操作及び前記戻し操作による前記駆動部の移動をガイドするガイド部が設けられ、前記駆動部には前記ガイド部と摺接する摺接部が設けられた
請求項1に記載の前照灯光軸調整装置。
【請求項3】
前記操作部が外周に螺旋凸部を有する回転軸を有し、
前記接続部には、前記回転軸の回動により前記駆動部が前記回転軸の軸方向へ移動自在に、前記螺旋凸部と係合する係合部を有する請求項1または2記載の前照灯光軸調整装置。
【請求項4】
前記前照灯には、前記第一インナーケーブルが接続する第一前照灯角度変更手段と第二インナーケーブルが接続する第二前照灯角度変更手段が設けられ、前記第一前照明灯角度変更手段が第一インナーケーブルを付勢する第一付勢部材を備え、第二前照灯角度変更手段が第二インナーケーブルを付勢する第二付勢部材を備えた請求項1〜3のいずれかに記載の前照灯光軸調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−9352(P2012−9352A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145480(P2010−145480)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(390000996)株式会社ハイレックスコーポレーション (362)
【Fターム(参考)】