説明

前立腺癌腫の検出のためのモノクローナル抗アネキシンA3抗体

本発明は、アネキシンA3、特に細胞外アネキシンA3を、高度に特異的な抗体、特にモノクローナル抗体を用いて決定することを含む、前立腺癌腫の診断のための方法に関する。この方法は、更に、このような抗体を含有する試験剤にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、アネキシンA3、特に細胞外アネキシンA3を、高度に特異的な抗体、特にモノクローナル抗体を用いて決定することを含む、前立腺癌腫の診断のための方法に関する。この方法は、更に、このような抗体を含有する試験剤にも関する。
【0002】
男性では、前立腺癌腫は、悪性の出現率のうちでも第1位にランクされ、かつ、他の腫瘍の存在と比較して適度な生物学的な攻撃性にもかかわらず、癌誘発死のうち第2位にランクされる(Greenlee et al., 2000)。局部に限定された段階のためには優れた治療のための選択肢、即ち、外科手術(Huland, 2001a)及び/又は放射線治療(Wiegel, 1998)が存在するが、それにもかかわらず、進行した段階の場合には、ホルモン切除の一時的にのみ有効な方法が使用されることができる。ホルモン切除療法の間、通常は2〜3年間後、初期の疾病のこの新規に生じる進行は、ホルモン不応状態と呼ばれる。現在では、ホルモン不応前立腺癌腫のためには対症療法の選択肢のみが存在する(Knox & Moore, 2001)。
【0003】
従って、早期の段階で、前立腺癌を診断することが決定的に重要である。 PSA、前立腺特異的抗原を用いて、高度に感受性のある血清腫瘍マーカーが、前立腺癌腫の初期の診断(Stamey et al., 1987)のために、そして予後の作用(Haese et al., 1999)のために使用できる。
【0004】
PSAは、かなり臓器特異的であり、腫瘍特異的でないので、良性の前立腺疾病は、4ng/mlを上限として考慮した範囲を超えるPSAの増加と関連していることもできる。現在の前立腺パンチバイオプシーにより少なくとも10つの経直腸的に得られるその後の侵入性の製造は、この状況にある前立腺癌腫の完成した診断においてゴールドスタンダードを提示する(Miller & Weissbach, 1999a,b)。
【0005】
患者の25%までが、関連する込み入った事情に苦しむが、これは、更なる相談(患者の13%)及び入院(罹患した患者の約6%)を必要にする(Lujan et al., 2001 ; Djavan et al., 2001)。尿路の感染の危険又は前立腺炎の危険とは別に、この操作の出血及び痛みが、更に不所望な症状として支配的であり、これは、いくつかの研究機関においては、局所的な麻酔剤処置によってのみ対応される(Irani et al., 1997; lssa et al., 2000; Alavi et al., 2001)。4〜10ng/mlの範囲内のPSA値を有する患者の約75%の場合に実施されるパンチバイオプシーは、陰性の、つまり良性の診断結果を示すものである(Huland, 2001b)。前立腺パンチバイオプシーを実施するための徴候が、幾人かの著者により現在示唆されているとおり(Djavan et al., 1999; Okihara et al., 2001)、2.5ng/mlから始まるPSAから既に得られる場合には、この物理学的な検査の侵入性の方法は、50〜75歳の男性の4人に1人に予期されなくてはならないことになる(Huland, 2001b)。
【0006】
PSAに対する促進した特異性を有する新規のマーカー(この亜種形態も含む(Jung et al., 2001 ; Makinen et al., 2001))は、従って、前立腺癌腫の診断のために大きな興味をもたれていて、というのは、これらは、侵入性のパンチバイオプシーを実施するための徴候をより良好に定義し、かつ従って、この検査を受ける必要のある患者の数を減らす可能性があるからである。傑出した特異性を有する、非侵入性に得られるプローブ材料、例えば血漿又は圧出液、尿のためにも適する腫瘍マーカーは、従って、アネキシンA3(ANXA3)マーカー(Wozny et al., 2006)として新規に特性決定されることができた。
【0007】
ANXA3は、アネキシンのファミリー、Ca2+エフェクタータンパク質のクラスのむしろまれな代表例であり、このタンパク質は、特定のリン脂質に結合することにより、その可変性の作用を実施する。これらは、膜表面上にネットワークを形成することができ、かつ、従って、膜ミクロドメインを組織化し、かつ、タンパク質の相互作用のための焦点を動員する(Gerke et al., 2005)。
【0008】
アネキシンはこれにより、細胞分化、細胞移動、そしてまた免疫調節において重要な役割を果たす。膜構造及び膜輸送とは別に、アネキシンの膜及びリン脂質独立性のタンパク質−タンパク質相互作用も存在する(Rescher & Gerke 2004; Gerke & Moss, 2002)。アネキシンは、軟骨形成及び骨の無機化においてマトリックス小胞の主たる成分として参加する(Wang et al., 2003)。ANXA3の差次的発現(differential expression)は、前立腺癌腫の場合に、特に、骨芽細胞性転移の発生の通常でない頻度に関して興味がもたれるものである(Keller et al., 2001)。
【0009】
ANXA3は、細胞内でも細胞外でも生じ(Carlson et al., 2004)、例えば尿中のエキソソームで生じる(Pisitkun et al., 2004)。エキソソームは、いわゆる「多小胞体」の誘導体であり、かつ、選択的な、しかしながら決定的な役割を、免疫細胞の抗原提示において果たす可能性がある(Schartz et al., 2002)。尿中で検出されるエキソソームは、早期のデータで既に説明された、いわゆるプロスタソーム(prostasome)に同一である可能性があり(Arienti et al., 2004; Utleg et al., 2003)、いずれの場合においても、両者共にANXA3を含有する。
【0010】
前立腺癌及び尿路の他の上皮癌の治療又は診断のためのタンパク質バイオマーカーは、US 2005 130 876, WO 03 086 461 , WO 2005 078 124, EP 05 011 042.8 及び EP 05 026 092.6中に説明されている。
【0011】
しかしながら、ANXA3を決定するための前の方法は、使用可能な抗体の低い特異性に苦しみ、これは、他のアネキシンに対してかなりの交差反応性を示す。従って、本発明の課題は、前立腺癌腫の早期の段階において、高い特異的な診断を可能にする前立腺癌腫の決定のための方法を提供することであった。
【0012】
第1の観点において、本発明は、アネキシンA3(ANX A3)の存在及び/又は量について、他のアネキシンに対して低い交差反応性を有するアネキシンA3に特異的な抗体を用いて、試料を分析する、癌の診断のための方法に関する。
【0013】
本発明の更なる観点は、他のアネキシンに対して低い交差反応性を有する、アネキシンA3に対して特異的な少なくとも1つの抗体を含有する、癌の診断のための試験剤である。
【0014】
また、本発明の更なる観点は、癌の治療のための医薬品の製造のための、他のアネキシンに対して低い交差反応性を有するアネキシンA3に対して特異的な抗体を活性剤として含有する医薬組成物である。
【0015】
また、本発明の更なる観点は、他のアネキシンに対して低い交差反応性を有するアネキシンA3にとって特異的な抗体である。
【0016】
また、本発明の更なる観点は、上述した抗体を産生する細胞、特にハイブリドーマ細胞である。
【0017】
本出願において使用される場合に「抗体」との用語は、少なくとも1つの抗原結合ドメインを有する抗体断片をも包含し、これは例えばFab断片又はF(ab′)2断片、又は組み換え抗体、例えば、この単鎖抗体又はこの断片、例えばFv断片である。
【0018】
有利には、この抗体は、銀染色後のウェスタンブロットの濃度測定的な分析により決定して、他のアネキシン、例えばアネキシン5、アネキシン6及び/又はアネキシン8に対して検出可能な交差反応性を有しない。有利には、この抗体は、モノクローナル抗体又はモノクローナル抗体の混合物である。モノクローナル抗体はまた、キメラのモノクローナル抗体又はヒト化したモノクローナル抗体であってよく、これはヒトでない定常の、及び、場合により可変の、フレームワーク領域のヒト化により得られる。幾つかの高度に特異的なポリクローナル抗血清はしかしながら、本発明の方法において適してもいる。
【0019】
有利なモノクローナル抗体は、実験動物、例えばマウス、ラット、ウサギその他を、精製したANXA3又はその断片、特にこのN−末端断片を用いて免疫化し、そして、標準的な方法に応じて所望のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を得ることにより得られて良い。より有利には、抗体は、ヒトアネキシンA3(アネキシンIII、リポコルチンIII、胎盤抗凝血タンパク質III(PAP−III)、35アルファカルシメジン、又はイノシトール−1,2−環式ホスファート−2−ホスホヒドロラーゼとしても示される)のN末端領域中の、特に、ヒトアネキシンA3(GenBank Accession No. P12429)のアミノ酸1〜16の領域内のエピトープに対して指向している。有利には、抗体は、癌細胞の表面に結合する。
【0020】
有利なモノクローナル抗体は、実験動物、例えばマウス、ラット、ウサギその他を、精製したANXA3又はその断片、特に16個のN末端アミノ酸を含む断片、例えば、断片、例えば、ANX A3(AA1〜324)、ANX A3(AA1〜159)又はANX A3(AA1〜106)で免疫化し、そして、標準的な方法により、所望されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を得ることにより得られてよい。上で説明したとおり、所望の特異性を有するモノクローナル抗体は、上述の又は類似の断片を、エピトープマッピング及びANXA3のN末端部分に特異的に結合するモノクローナル抗体の相応する選択のために利用するスクリーニング手法により得られて良い。特に有利であるのは、天然のヒトANXA3の使用でもあり、例えばこれは、モノクローナル抗体の産生のための免疫原としてヒトの好中球から単離される。
【0021】
更に、ANXA3に対して指向した有利なモノクローナルヒト抗体は、個々のヒト、例えば、ヒトのガン患者又は他の個人から得られて良い。抗体産生B細胞は、標準的な方法により個人から単離されてよい。
【0022】
特別な一実施態様において、抗体が、ハイブリドーマ細胞系列により産生された抗体tgc 5 Proll6G7 (DSM ACC2788), tgc 6 Prolll1 G11(DSM ACC2779), tgc 7 ProVII5C5 (DSM ACC2780), tgc 8 Prolll1E1(DSM ACC2781), tgc 13 Prol/5G9, tgc12 Prolll/4B11 , tgc 14 ProVIII/3D7であり、又は、抗体は、又はアネキシンA3上の同じエピトープに結合する。同じエピトープに結合する抗体は、標準的なプロトコルにより競合的な実験により決定されてよい。上述のハイブリドーマ細胞系列は、2006年5月5日に(DSM ACC2778, DSM ACC2779, DSM ACC2780及びDSM ACC2781)、かつ、2007年6月5日に(tgc 13 Prol/5G9, tgc 12 Prolll/4B11 , tgc 14 ProVIII/3D7)DMSZに(Deutsche Sammlung fuer Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH、Mascheroder Weg 1b, D-38124 Braunschweig)、ブタペスト条約により寄託されている。
【0023】
更なる有利な一実施態様において、抗体は、
(i) VRDYPDFSPSVD(配列番号1)、
(ii) MLISILTERSNA(配列番号2)、
(iii) GDFRKALLTLADGRRDESLKVDEHLAKQ(配列番号3)、
(iv) KLTFDEYRNISQKDIVDSIKGELSG(配列番号4)、
(v) IMVSRSEIDLLDIRTEF(配列番号5)、
(vi) YSAIKSDTSGDYEITLL(配列番号6)
又は、少なくとも6アミノ酸の長さを有するこの部分的な連続配列
から選択される配列を含む、アネキシンA3上のエピトープに対して指向されているモノクローナル抗体である。
【0024】
配列番号1の特に有利な部分配列は、DYPDFSPSVである。配列番号2の特に有利な部分配列は、LISILTERSである。配列番号3の特に有利な部分配列は、FRKALL又はSLKVDEHLAである。配列番号4の特に有利な部分配列は、TFDEYRNISである。配列番号5の特に有利な部分配列は、SRSEIDLLDである。配列番号6の特に有利な部分配列は、AIKSDTSGDEYEIである。配列番号1中のエピトープに対して指向された抗体の例は、tgct ProVII 5C5(DSM ACC2780)である。配列番号2中のエピトープに対して指向された抗体の例は、tgc5 Proll 6G7 (DSM ACC2778)及びtgc6 Prolll 1611 (DSM ACC2779)である。人のANXA3のC末端領域中のエピトープに対して指向した抗体の例は、tgc 13 Prol/5G9, tgc 12 Prolll/4B11及びtgc 14 ProVIII/3D7である。特に、有利な抗体は、配列番号5及び/又は配列番号6中のエピトープに対して指向されている。
【0025】
更に、配列番号1〜6中のエピトープに対して指向された抗体は、エピトープ配列を含むポリペプチド又はペプチド、例えば組み換えヒトANXA3、他の種からのホモログペプチド又はこの断片で実験動物を免疫化することにより得られて良い。
【0026】
本発明により診断されてよい癌は、有利には、尿生殖及び/又は消化管路の癌であってよく、例えば前立腺、膀胱、腎臓、尿道、卵巣、子宮又は大腸の癌である。特に、癌は上皮癌である。特定の有利な実施態様において、癌は、前立腺癌である。
【0027】
本発明の方法は、免疫学的決定に適した任意の試験形式において実施されてよい。いくつかの試験形式においては、ラベリング基、例えば視覚的マーカー、例えばラテックス又は金のビーズ、蛍光マーカー基、酵素マーカー基その他を有する抗体を使用することが有利であってよい。抗体及びラベリング基のコンジュゲートは、標準的な方法により産生されてよく、例えば、抗体の反応性アミノ酸側基、例えばカルボキシ、アミノ及び/又はチオール基に対する、ラベリング基を用いた、例えば二官能性スペーサー分子を介した共有結合により産生されてよい。
【0028】
この試料は有利には、ヒトの被験体から得られる。特定の有利な実施態様において、本発明の方法は、非侵入性の診断手法であり、その際試料は、例えば尿の試料、特に、圧出物である尿試料又は糞試料であってよい。所望される場合には、試料は、前処理手順、例えばゲル濾過にかけられてよい。
【0029】
この試料は、細胞外の及び細胞内のANXA3の別個の決定を可能にする分画化手順にかけられてよい。例えば、試料は、細胞ペレット及び上清を得るために遠心分離され、これにより細胞内アネキシンA3は、細胞ペレット中で決定され、細胞外アネキシンA3は、上清中で決定される。特別に有利な一実施態様において、この方法は、細胞外ANXA3の選択的な決定を含む。
【0030】
更なる実施態様において、本発明の方法は、組織化学的な手法であってよく、その際この試料は、組織試料、特にバイオプシー、例えばパンチバイオプシーであってよい。組織化学的な手法において、細胞外ANXA3の選択的な決定は、試料内でのANXA3の局所化の決定により実施されてよい。
【0031】
本発明の方法において、細胞外ANXA3の余剰量が、試料、例えば圧出物である尿の低速遠心分離後の上清中で又は相応するペレット中で、良性の前立腺過形成(BPH)、線維症、慢性前立腺炎、様々な段階の前立腺上皮新形成(PIN1〜3)にわたる種々の状態を有する癌でない患者と比較して減少する場合に、試料は、癌、例えば前立腺癌のための徴候として分類される。完全に健康な患者と比較して、ANXA3の余剰分は、ペレット及び上清の両者中で増加しているように見える。これらを一緒に考えると、圧出物である尿の上清及び/又はペレット中のANXA3の全量の又は濃度の、割合又は組み合わせの任意の種類(これは、上述した様々な症状の診断による区別化のために使用される)が、本発明により包含される。
【0032】
本発明は、様々な細胞な及び細胞外試料画分(例えば圧出物である尿)中のANXA3の余剰量に関する、実質的に任意のセットのカットオフ(cut-offs)をカバーし、これは、任意の種類の差分遠心分離及び診断目的のための関連する比により達成可能である。
【0033】
本発明の方法は、更なる癌マーカー、例えば癌マーカーの決定を更に含んでよい。更なるマーカーの決定は、同じ試料中で実施されてよく、その際、ANXA3は、異なる試料、例えば血液、血清及び/又は血漿試料中で決定される。特に有利には、血液、血清又は血漿マーカー、特にカリクレインプロテアーゼファミリーの少なくとも1つのメンバー、例えば、前立腺特異的抗原(PSA)及び/又は少なくとも1つの上皮細胞マーカー、特に前立腺特異的な膜抗原(PSMA)の決定である。
【0034】
本発明の診断方法は、疾病段階の決定を含んでよく、その際、前癌段階、例えばPIN及び癌疾病段階との間での区別化が実施される。疾病段階の決定は、臨床的な病理学者による組織学的分類に基づき、前立腺癌の標準的な分類化は、Gleasonスコアによるが、増加する重症度の3つの群に癌をグループ分けする他の段階付け方法も存在する。現在のところ、この段階分け方法は、形態学的な尺度に主に頼っていて、かつ、経験のある熟練者を必要とする。癌でない場合のためには、良性の前立腺過形成(BPH)、線維症、慢性前立腺炎、様々な段階(PIN1〜3)の前立腺上皮新形成にわたる種々の状態が説明されている。本発明は、圧出物である尿(exprimate urine)又は他の任意の試料の任意の種類の画分からの適したセットのカットオフを用いた、ANXA3に関連した読み出し(read-out)による前立腺癌又は前立腺に関連した癌でない状態の、任意の種類の層化に関する。
【0035】
本発明はまた、医薬適用における、例えば癌、特に上で説明した尿生殖及び/又は消化管路の癌、特に前立腺癌の治療のための医薬品の製造のための上述の抗体の使用にも関する。本発明のこの実施態様において、抗体は有利には、ヒトの定常領域、例えばヒトの定常IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4領域及び場合によりヒト化したフレームワーク領域を有する、キメラの又はヒト化したモノクローナル抗体である。又は、抗体は、個々のヒトの血清から得られてよい、ヒトの抗体であってよい。治療的な抗体は有利には、癌細胞、例えば前立腺癌の細胞の表面に結合する。
【0036】
この治療的な抗体は、エフェクター分子、例えば放射性及び/又は細胞毒性残基に対してコンジュゲートしてよい。治療適用のためには、抗体は、治療的に有効な量、例えば1日につき10〜5000μg、1日につき4000〜1000μgで、疾病の種類及び重症度に応じて、有利には輸液により投与されてよい。公知の方法により投与されてよい抗体は、公知の方法により、例えば、腸管外により、他の抗体、例えばトラスツズマブ、リツキシマブ、セツキシマブその他の投与のために公知である標準的な方法により、投与されてよい。この抗体の投与は、他の治療的な選択肢、例えば、他の抗腫瘍抗体の投与、細胞毒性剤の投与、手術及び/又は放射線療法と組み合わせてよい。
【0037】
更に、本発明は、以下の図及び実施例により、より詳細に説明されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】モノクローナル抗体のエピトープマッピングのために使用されるアネキシンA3(A)及びアネキシンA3の組み換え断片の構造の概要;本出願の主題であるモノクローナル抗体のエピトープマッピングによるスクリーニングのこのタイプに応じて、選択されている。
【図2】ヒトのアネキシンA3断片vANA−5(アミノ酸107−243)の精製;SDS−PAGEクロマトグラフィにより精製したvANA−5。
【図3】ヒトのアネキシンA3断片vANA−7(アミノ酸1−106)の精製;SDS−PAGEクロマトグラフィにより精製したvANA−7。
【図4】アネキシンA3断片vANA−1(アミノ酸1−324)の精製;クロマトグラフィにより精製したvANA−1のSDS−PAGE。
【図5】vANA−1ELISAプレートの試験:紫:アネキシンA3特異的抗血清;青:ゼロ血清(null serum);ウサギからの高価値(premiumu)の血清。
【図6】抗ANXA3抗体の特異性;レーン1〜9及び2Dウェスタンブロットを、Wozny et al., 2006から取り出す;レーン10−19は、この文章中で説明されるとおりの様々なモノクローナル抗ANXA3抗体を示す。これらは、他のアネキシンの任意の他のタンパク質に対して交差反応性を実質的に示さない。
【図7】PC3細胞からの全体的な細胞溶解物のウェスタンブロットのECL展開後の抗ANXA3染色の濃度測定による定量化は、モノクローナル抗体tgc7 ProVII5C5 (DSM ACC2780)の高い特異性を示す。
【図8】抗ANXA3ベースの、抗原としてvANA−1を用いたELISAの校正、この色反応を、15分(A)、30分(B)及び45分(C)後に停止した。
【図9】標準的な低速遠心分離後の圧出物尿上清中のANXA3の検出;A、D:15分;B、E:30分及びC、F:45分の展開:ピンクのカーブを、尿を除去するためのゲル濾過(GF)後に得た。
【図10】抗ANXA3ベースの診断検査のためのROC曲線、図6中のELISAを利用し、かつ、4〜10ng/mlの範囲内のPSA値を有する200名の患者を基礎とする:AUROCは、0.823であり、PSA「グレーゾーン」中の重要な集合のための、70%の感受性での90%の特異性を示す。
【図11】Wozny et al., 2006中で使用されるポリクローナル血清(図1参照)は、PC−3細胞の表面に取るに足らない程度でのみ結合する。
【図12】PC−3細胞上の表面ANXA3の、tgc7 ProVII5C5 (DSM ACC2780)による検出;この抗体は、グラフ中で示される濃度で使用した。二次抗体として、1:50の希釈にある抗マウスIgG−FITCを使用し、この出発容積は、抗体希釈の100μlであった。この結果は、この前立腺癌細胞系列中でのANXA3の表面局在化を示し、これは、治療的に利用されることができる可能性がある。
【図13】ANXA3の抗原性領域をカバーするオーバーラップ配列を用いて、6個のエピトープが見出され、かつ、ポリクローナル抗血清の高度に特異的な結合に寄与すると特性決定された。N末端領域中の2つのエピトープ(これは、tgc5 Pro II6G7= DSM ACC2778; tgc6 Prolll1G11 = DSM ACC2779; tgc7 ProVII5C5 = DSM ACC2780により認識される)の隣には、図14中でより詳細に示される更に4つのエピトープが存在する。
【図14】ヒトのANXA3及びこの抗原性領域の配列に関する概要(濃い紫、最も下の線);ポリクローナルAB1は、高度に特異的なポリクローナル抗血清であり、ANXA3にのみ結合し、その他のアネキシン又は他の任意の抗原に対して交差反応性を有しない(2Dウェスタンブロット及び質量分析により示されるとおり、図1)。ポリクローナルAB2は、エピトープ3及び4に対して指向されている;MAB1は、tgc7 ProVII5C5 = DSM ACC2780であり、MAB2は、tgc5 Pro II6G7= DSM ACC2778及びtgc6 Prolll1G11 = DSM ACC2779の両者を指す;この組み換えANXA3断片1−8は、それぞれの免疫化のために使用した。
【図15】ヒトのANXA3の結晶構造の図式。
【0039】
実施例
実施例1
ANXA 3に対して指向した特異的モノクローナル抗体の産生
ヒトのアネキシンA3、vANA−5(AA 107〜243)、vANA−7(AA1〜106)、vANA−1(AA1〜324)、vANA−2(AA1〜159)、vANA−3(AA35〜159)、vANA−4(AA191〜324)及びvANA−6(AA107〜190)の組み換え溶解性断片をクローニングし、かつ、大腸菌中で発現させ、引き続き、クロマトグラフィにより精製した。アネキシンA3及びこの組み換え断片の構造の概要は、図1中に示されている。
【0040】
図2、3及び4は、標準的なクロマトグラフィ手法により精製された、組み換え溶解性ANXA3断片vANA−5、vANA−7及びvANA−1のクーマシー染色1Dゲルを示す。
【0041】
抗体産生細胞の融合後及びクローニングの間の陽性のハイブリドーマ細胞のためのスクリーニング、断片vANA−1を基礎とする抗アネキシンA3 ELISAを展開した(図5)。ANXA3の天然のエピトープに結合する抗体の包括的な認識を達成するために、組み替えのvANA−1を、ELISAプレートへのカップリング前に変性した。組み換えvANA−1を、ELISAプレートに、1μg/ウェルの濃度で被覆した。ELISAプレートの官能性を、ポリクローナル抗ANXA3血清を用いて確認した。
【0042】
図6は、前立腺組織の良性の及び癌性の試料に対するポリクローナル血清の反応性の、擬似スペクトル色描写(false spectral colour depiction)を示す。この癌性の試料は、2D−PAGEによりブロッティングして示されている。大半のシグナルが、4つのスポットの鎖から得られ、これは、ANXA3として質量分析により同定されている。これらの擬似スペクトルカラー画像は、単一のカラーグレースケールにより許容されるよりもはるかにより深いダイナミックレンジを反映する。非ANXA 3シグナルの強度は、常にバックグラウンドに近く、これは、青(バックグランドに近い)ピクセルにより示されている。特異的シグナルと非特異的シグナルの間のこのコントラストの程度は、図6中のレーン8及び9中に示され、これは、単一のカラーグレースケールにおける結果を示す。
【0043】
この状況は、モノクローナル抗体tgc5 Pro II6G7= DSM ACC2778 (レーン10及び11); tgc6 Prolll1G11 (DSM ACC2779) (レーン15及び16); tgc7 ProVII5C5 (DSM ACC2780) (レーン12〜14); tgc8 Prolll1 E1 (DSM ACC2781 ) (レーン17〜19)の様々な希釈のレーン10〜19のシグナルプロフィールにより更に強調される;これは、一層より低い交差反応性を示す。
【0044】
図6中に示されるとおり、本発明の主題であるモノクローナル抗体は、他のアネキシンとの交差反応性を実質的に有しない。その一方で、Wozny et al. 2006からのポリクローナル血清はANXA6とのいくらかの残存交差反応性を有し、モノクローナル抗体(前立腺癌の患者からのバイオプシーの、及び、前立腺癌細胞系列、PC3の)を用いた染色は、図6の右側に示され、ANXA3に対して33kDaの他の位置での1%よりも少ないバックグラウンド染色を産生する。
【0045】
図7は、電気化学発光(ECL)展開後の抗ANXA3染色の濃度的な定量化を示す。PC3細胞からの全細胞溶解物のウェスタンブロットを、抗体tgc7 ProVII5C5 (DSM 2780)を用いて分析した。ANXA3に相応する単一バンドのみが見出された。実質的に交差反応性は存在しない。
【0046】
実施例2
圧出物尿試料及び組織区画における抗体特異性の決定
実施例1のモノクローナル抗体を、上述したELISAフォーマットにおいて使用し、癌患者からの圧出物尿からの上清中のANXA3を検出した。
【0047】
図8中に示されるとおり、校正のために、ELISAプレートを、tgc7 ProVII5C5 (DSM ACC2780)で被覆し、かつ、vANA−1(20〜0.3ng/ウェル)の希釈系列を、ビオチン化したtgc5 Pro II6G7 (DSM ACC2778)及びアビジンHRPを基質としてのTMBと共に使用して検出した。この酵素による色反応を、示したとおりに、15、30及び45分後に停止した。
【0048】
図9中に、患者から採取した圧出物尿の上清中のANXA3の検出を示した。この試料を、標準的な臨床的な手法に応じて、低速遠心分離でもって遠心分離した。このシグナルを、事前のゲル濾過(GF)により改善し、これは実質的に尿を除去し、尿は、1D PAGEからのウェスタンブロットに干渉する可能性がある。
【0049】
この抗体を、組織区画の免疫組織化学的染色手法においても試験した。ANXA3の高い細胞内濃度が、通常の前立腺上皮において見出された。PINから癌腫への疾病進行の間に、細胞外に局在するANXA3の顕著な局所的な増加が見出された。この染色された領域のバイオプシーは、しかしながら、圧出物尿の上清とペレットとの間で、診断性のANXA3分布の、定量的な関連の一般的な評価を示すことも、可能にすることもない。これは単に、バイオプシーが、むしろ定量的であり、しかしながら、良性の質の癌性の前立腺領域を、理解可能に示すことができないからである。
【0050】
実施例3
圧出物尿試料中のANXA3の決定のための臨床試験
多施設盲検臨床試験を、体液、特に圧出物尿中のANXA3の非侵入的な検出を基礎とする前立腺癌診断の感受性及び特異性を決定するために実施した。
【0051】
3.1 患者及び対照
A:組織学的に確認された前立腺癌腫を有する患者(PCA群):n=約200名
B:組織学的試験により決定して、前立腺癌腫を有しない患者(対照群):n=約300名
【0052】
3.2 試料の採取及び処理
3.2.1 血清/血漿
血清PSA値の日常的な決定のための血清管を、静脈的に採取した。更に、1〜2mlの血清を、付加的に提供(asserve)し、深冷凍結して貯蔵した。この血液試料を更に、PSAについて分析した。血液試料の採取を、パンチバイオプシー又は直腸触診の実施前に実施した。
【0053】
3.2.2 圧出物尿沈殿
20秒間の触診及び前立腺のマッサージ後に、患者に膀胱を空にするように要求した。この得られる圧出物尿を、刊行された手法(I. Rehman, A. R. Azzouzi, J. W. F. Catto, S. Allen, S. S. Cross, K. Feeley, M. Meuth, & F. C. Hamdy, Proteomic analysis of voided urine after prostatic massage from patients with prostate cancer: A pilot study, Urology 64 (6), 2004, 1238-1243; C. Goessl, M. Mueller, R. Heicappell, H. Krause, B. Straub, M. Schrader & K. Miller, DNA-based detection of prostate cancer in urine after prostatic massage. Urology 58 (3), 2001 , 335-338)に応じて処理し、この生成物を−80℃で貯蔵した。
【0054】
血清と同様に、圧出物尿を採取しなくてはならず、可能であれば、パンチバイオプシーが実施される前である。
【0055】
3.3 結果
約200名のPSA陽性患者において、圧出物尿の試料中の沈殿及び上清中のANXA3の決定では、約90%の感受性を、そして、約80%の特異性を示した。
【0056】
図10中で示されるとおり、PSAを有する患者中の上清(u.anx.tot)中のANXA3を基礎とする読み取りのためのROC値は、2〜6ng/mlの範囲内で、0.8であり、PSA値4〜10ng/mlの範囲内ではROC値は0.85であり、かつ、全患者及び全てのPSA値の全範囲の全体的な集団においては、ANXA3のためのROC値は0.74であった。
【0057】
図10中の代表的なROC曲線は、4〜10ng/mlの範囲内のPSA値を有する患者について;診断的な関連性を、特に、PSAのこの重要なグレーゾーンにおいて示し(ここで、PSAの特異性は極めて低いRoddam AW, Duffy MJ, Hamdy FC, Ward AM, Patnick J, Price CP Rimmer J, Sturgeon C, White P, Allen NE; On behalf of the NHS Prostate Cancer Risk Management Programme. Use of prostate-specific antigen (PSA) isoforms for the detection of prostate cancer in men with a PSA level of 2-10 ng/ml: systematic review and meta-analysis. Eur Urol. 2005 Sep; 48 (3):386-99; discussion 398-9. Review. PMID: 15982797; Stamey TA, Caldwell M, McNeal JE, Nolley R, Hemenez M, Downs J. The prostate specific antigen era in the United States is over for prostate cancer: what happened in the last 20 years? J Urol. 2004 Oct; 172(4 Pt 1 ): 1297-301. PMID: 15371827))、ROC曲線は、臨床的な統計学の標準的な道具であり、例えばhttp://www.anaesthetist.com/mnm/stats/roc/に詳細に説明されている。
【0058】
実施例4
癌細胞に対するモノクローナル抗体の結合
このモノクローナル抗ANXA3抗体は、診断(病理学的組織学)及び治療的適用において表面マーカーとして適している。
【0059】
以下においてフローサイトメトリーにより示されるとおり、特に、N末端のエピトープに特異的に結合するモノクローナル抗体、tgc7 ProVII5C5 (DSM ACC2780)は、前立腺癌細胞系列の細胞外結合部位(PC3細胞、ATCC, DCV-1017,2004年8月)に、カルシウム依存性の様式で結合する。
【0060】
非特異的な結合を、二次抗体単独を用いたインキュベーションによって、そして、非特異的及び未処理の対照抗体(モノクローナル及びポリクローナル)の使用により、各実験の間に評価した。
【0061】
図11は、Wozny et al., 2006中で使用されるポリクローナル血清(図6参照)が、PC−3細胞の表面に取るに足らない程度でのみ結合することを示す。
【0062】
細胞を、適した緩衝液で洗浄し、かつ、氷上で30分間、図11に示される希釈で、インキュベーションした。引き続き、全ての試料を、FITCに結合した抗ウサギ二次抗体の100μlの1:50希釈を用いてインキュベーションした。
【0063】
洗浄工程後に、各試料の12000個の細胞を、示されるとおり、フローサイトメトリーにより分析した。
【0064】
本質的には、ポリクローナル血清は、様々な希釈で、そして、対照血清に比較して、蛍光強度の著しい増加を示さなかった。PC−3細胞上のANXA3の表面発現は従って、この段階では示されることができず、ことによるとこれは、ポリクローナル血清中での特異的な抗体の濃度が低すぎるためである。
【0065】
しかしながら、図12中に示されるとおり、モノクローナル抗体tgc7 ProVII5C5 (DSM ACC2780)は、濃度依存性の及びカルシウム依存性の様式で確かに、PC−3細胞の表面エピトープに結合する。
【0066】
実施例5
エピトープマッピング
アネキシンA3(ANXA3)の全体的の抗原性領域をカバーする、重複するペプチド配列の使用後に、我々は、6個のみのエピトープが、高い特異性結合を担うことを結論づけ、これは図13及び14中に、高度に特異的なポリクローナル抗体の結合を分析することにより示されるとおりである(図1参照)。
【0067】
ポリクローナル抗血清の特異性を、ウェスタンブロット及び質量分析に由来する2D−PAGEにより制御した。同じことは、モノクローナル抗体tgc5 Pro II6G7= DSM ACC2778; tgc6 Prolll1G11 =DSM ACC2779; tgc7 ProVII5C5 = DSM ACC2780; tgc 13 Prol/5G9; tgc 12 Prolll/4B11 ; tgc 14 ProVIII/3D7に当てはまる。
【0068】
このエピトープマッピングは、N末端領域中の2つのエピトープの隣に、中央の領域中の2つのエピトープからの、そして、ANXA3のC末端領域中の2つのエピトープ寄与が存在することを示す(図13)。
【0069】
ヒトのANXA3上のこれらのエピトープの局在化(エピトープ1〜6として示される)は、図14中に示される。
【0070】
概要として図14中に示したヒトのANXA3の結晶構造(http://www.pdb.org/pdb/files/1axn.pdb 及びhttp://www.pdb.org/pdb/explore.do?structureld=1AXN)は、エピトープ1、2、5及び6が、一緒になって、ANXA3の天然の折りたたみにおけるドメインを形成することを示唆する。従って、我々は、相応する抗体を得るべくこの材料を用いて、ヒトANXA3を好中球及び免疫化したウサギから単離すべく、処理した。これらの抗体は、天然のANXA3に対して指向していて、我々は再度、最も高い特異性について、スクリーニングしかつ選択し、かつ、相応するエピトープ1、2、5及び6を含有するこれらのドメインに対する結合は、診断及び治療的目的に特に適している。
【0071】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アネキシンA3の存在及び/又は量について、他のアネキシンに対して低い交差反応性を有するアネキシンA3に特異的な抗体を用いて試料を分析する、癌の診断方法。
【請求項2】
癌が、尿生殖器及び/又は消化管路の癌である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
癌が、上皮癌である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
癌が、前立腺癌である、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
抗体が、アネキシンA3のN末端に、特に、ヒトのアネキシンA3のアミノ酸1〜16の領域内のエピトープに対して指向している、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
抗体が、ハイブリドーマ細胞系列により産生された抗体tgc 5 Proll6G7 (DSM ACC2788), tgc 6 Prolll1G11(DSM ACC2779), tgc 7 ProVII5C5 (DSM ACC2780), tgc 8 Prolll1E1(DSM ACC2781), tgc 13 Prol/5G9, tgc12 Prolll/4B11 , tgc 14 ProVIII/3D7又はアネキシンA3上の同じエピトープに結合する抗体から選択されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
抗体が、
(i) VRDYPDFSPSVD(配列番号1)、
(ii) MLISILTERSNA(配列番号2)、
(iii) GDFRKALLTLADGRRDESLKVDEHLAKQ(配列番号3)、
(iv) KLTFDEYRNISQKDIVDSIKGELSG(配列番号4)、
(v) IMVSRSEIDLLDIRTEF(配列番号5)、
(vi) YSAIKSDTSGDYEITLL(配列番号6)
又は、少なくとも6アミノ酸の長さを有するこの部分的な連続配列
から選択される配列を含む、アネキシンA3上のエピトープに対して指向されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
抗体が、ラベリング基を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
非侵入性の手法である、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
試料が、尿の試料、特に圧出物尿試料である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
試料が、糞試料である、請求項10記載の方法。
【請求項13】
組織化学的手法である、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
試料が、組織試料、特にバイオプシーである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
細胞外アネキシンA3の存在及び/又は量及び/又は細胞内アネキシンA3の存在及び/又は量を決定する、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの更なるマーカーを決定する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
更なるマーカーが、前立腺特異的な抗原(PSA)及び/又は前立腺特異的な膜抗原(PSMA)である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
診断が、この疾病段階の決定を含む、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
前癌段階及び癌段階の間の少なくとも1つの区別化を実施する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
他のアネキシンに対して低い交差反応性を有する、アネキシンA3に対して特異的な少なくとも1つの抗体を含有する、前立腺癌の診断のための試験剤。
【請求項21】
抗体が、モノクローナル抗体である、請求項20記載の剤。
【請求項22】
抗体が、アネキシンA3のN末端に、特に、ヒトのアネキシンA3のアミノ酸1〜16の領域内のエピトープに対して指向している、請求項20又は21記載の剤。
【請求項23】
抗体が、ハイブリドーマ細胞系列により産生された抗体tgc 5 Proll6G7 (DSM ACC2788), tgc 6 Prolll1 G11(DSM ACC2779), tgc 7 ProVII5C5 (DSM ACC2780), tgc 8 Prolll1E1(DSM ACC2781), tgc 13 Prol/5G9, tgc12 Prolll/4B11 , tgc 14 ProVIII/3D7又はアネキシンA3上の同じエピトープに結合する抗体から選択されている、請求項20から22までのいずれか1項記載の剤。
【請求項24】
抗体が、
(i) VRDYPDFSPSVD(配列番号1)、
(ii) MLISILTERSNA(配列番号2)、
(iii) GDFRKALLTLADGRRDESLKVDEHLAKQ(配列番号3)、
(iv) KLTFDEYRNISQKDIVDSIKGELSG(配列番号4)、
(v) IMVSRSEIDLLDIRTEF(配列番号5)、
(vi) YSAIKSDTSGDYEITLL(配列番号6)
又は、少なくとも6アミノ酸の長さを有するこの部分的な連続配列
から選択される配列を含む、アネキシンA3上のエピトープに対して指向されている、請求項20から23までのいずれか1項記載の剤。
【請求項25】
抗体が、ラベリング基を有する、請求項20から24までのいずれか1項記載の剤。
【請求項26】
癌の治療のための医薬品の製造のための、他のアネキシンに対して低い交差反応性を有するアネキシンA3に対して特異的な抗体の使用。
【請求項27】
癌が、尿生殖器及び/又は消化管路の癌である、請求項26記載の使用。
【請求項28】
抗体が、キメラの又はヒト化した又はヒトのモノクローナル抗体である、請求項26又は27記載の使用。
【請求項29】
抗体が、アネキシンA3のN末端に、特に、ヒトのアネキシンA3のアミノ酸1〜16の領域内のエピトープに対して指向している、請求項26から28までのいずれか1項記載の使用。
【請求項30】
抗体が、ハイブリドーマ細胞系列により産生された抗体tgc 5 Proll6G7 (DSM ACC2788), tgc 6 Prolll1 G11(DSM ACC2779), tgc 7 ProVII5C5 (DSM ACC2780), tgc 8 Prolll1E1(DSM ACC2781), tgc 13 Prol/5G9, tgc12 Prolll/4B11 , tgc 14 ProVIII/3D7又はアネキシンA3上の同じエピトープに結合する抗体から選択されている、請求項26から29までのいずれか1項記載の使用。
【請求項31】
抗体が、
(i) VRDYPDFSPSVD(配列番号1)、
(ii) MLISILTERSNA(配列番号2)、
(iii) GDFRKALLTLADGRRDESLKVDEHLAKQ(配列番号3)、
(iv) KLTFDEYRNISQKDIVDSIKGELSG(配列番号4)、
(v) IMVSRSEIDLLDIRTEF(配列番号5)、
(vi) YSAIKSDTSGDYEITLL(配列番号6)
又は、少なくとも6アミノ酸の長さを有するこの部分的な連続配列
から選択される配列を含む、アネキシンA3上のエピトープに対して指向されている、請求項26から30までのいずれか1項記載の使用。
【請求項32】
抗体が、エフェクター分子にコンジュゲートしている、請求項26から31までのいずれか1項記載の使用。
【請求項33】
癌の治療のための医薬品の製造のための、他のアネキシンに対して低い交差反応性を有するアネキシンA3に対して特異的な抗体を活性剤として含有する医薬組成物。
【請求項34】
他のアネキシンに対して低い交差反応性を有する、アネキシンA3に対して特異的な抗体。
【請求項35】
抗体が、モノクローナル抗体である、請求項34記載の抗体。
【請求項36】
抗体が、アネキシンA3のN末端に、特に、ヒトのアネキシンA3のアミノ酸1〜16の領域内のエピトープに対して指向している、請求項34又は35記載の抗体。
【請求項37】
抗体が、ハイブリドーマ細胞系列により産生された抗体tgc 5 Proll6G7 (DSM ACC2788), tgc 6 Prolll1 G11(DSM ACC2779), tgc 7 ProVII5C5 (DSM ACC2780), tgc 8 Prolll1E1(DSM ACC2781), tgc 13 Prol/5G9, tgc12 Prolll/4B11 , tgc 14 ProVIII/3D7又はアネキシンA3上の同じエピトープに結合する抗体から選択されている、請求項34から36までのいずれか1項記載の抗体。
【請求項38】
抗体が、
(i) VRDYPDFSPSVD(配列番号1)、
(ii) MLISILTERSNA(配列番号2)、
(iii) GDFRKALLTLADGRRDESLKVDEHLAKQ(配列番号3)、
(iv) KLTFDEYRNISQKDIVDSIKGELSG(配列番号4)、
(v) IMVSRSEIDLLDIRTEF(配列番号5)、
(vi) YSAIKSDTSGDYEITLL(配列番号6)
又は、少なくとも6アミノ酸の長さを有するこの部分的な連続配列
から選択される配列を含む、アネキシンA3上のエピトープに対して指向されている、請求項34から37までのいずれか1項記載の抗体。
【請求項39】
ラベリング基又はエフェクター基を有する、請求項34から38までのいずれか1項記載の抗体。
【請求項40】
請求項34から39までのいずれか1項記載の抗体を産生する細胞。
【請求項41】
免疫化剤の製造のための、天然のヒトのアネキシンA3の使用。
【請求項42】
天然のヒトのアネキシンA3が、好中球から単離されている、請求項41記載の使用。
【請求項43】
ヒトのアネキシンA3に対して指向したヒトの抗体を産生するための方法において、この抗体をヒトの試料から産生することができるB細胞を単離し、この抗体をこのB細胞又は細胞、例えばこの細胞に由来するハイブリドーマ細胞から獲得することを含む、ヒトのアネキシンA3に対して指向したヒトの抗体を産生するための方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公表番号】特表2009−540278(P2009−540278A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513608(P2009−513608)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005134
【国際公開番号】WO2007/141043
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(508362608)プロテオシス アクチエンゲゼルシャフト (4)
【氏名又は名称原語表記】ProteoSys AG
【住所又は居所原語表記】Carl−Zeiss−Strasse 51, D−55129 Mainz, Germany
【Fターム(参考)】