副腎皮質癌を治療するためのOSI−906の使用
副腎皮質癌をOSI−906で治療する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が本明細書に援用される、米国出願第61/176346号(2009年5月7日出願)および第61/180249号(2009年5月21日出願)の優先権を請求する。
【0002】
本発明は、いくつかの側面において、癌治療、副腎皮質癌(adrenocortical carcinomaまたはadrenal cortex cancer(ACC))、小分子分子ターゲティング療法、およびIGF−1R阻害剤に関する。
【背景技術】
【0003】
ACCは、一般的に劣った予後を有する、稀な内分泌悪性腫瘍である。ACCの治療には、手術、放射線照射、化学療法、ホルモン治療、およびミトタンが含まれる。J. Clin. Endocrinol. Metab., 91, 2027−2037(2006); Cancer, 113, 11, 3130−3136(2008)を参照されたい。
【0004】
Logieらは、IGF系がACCに関与し、そしてヒト成体ACCに由来するNCI H295R細胞株が、ACC腫瘍増殖の分子機構を研究するのに適したin vitroモデルであると述べている。J. Molec. Endocrinol., 23, 23−32(1999); Rev. Endocr. Metab. Disord., 8, 343−348(2007)もまた参照されたい。
【0005】
Hammerらは、インスリン様増殖因子2(IGF2)が、ACCの80〜90%で最も上方制御される転写物であり、そしてIGF経路シグナル伝達がACC病態生理において非常に重要な役割を果たすと述べている。J. Clin. Endocrinol. Metab., doi:10.1210/jc.2008−1456; J. Clin. Endocrinol. Metab., doi:10.1210/jc.2008−0065もまた参照されたい。
【0006】
Giordanoらは、有意に異なる生存率を示す2つのサブタイプを明らかにする、ACC腫瘍の分子プロファイリングを記載する。Clin. Cancer. Res., 15(2), 668−676(2009)。
【0007】
OSI−906は、US 2006/0235031、実施例31に開示される小分子IGF−1R阻害剤である。2009年現在、OSI−906はOSI Pharmaceuticals, Inc.によって開発中である。ACCにおけるOSI−906の臨床有効性が立証されてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US 2006/0235031
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J. Clin. Endocrinol. Metab., 91, 2027−2037(2006)
【非特許文献2】Cancer, 113, 11, 3130−3136(2008)
【非特許文献3】J. Molec. Endocrinol., 23, 23−32(1999)
【非特許文献4】Rev. Endocr. Metab. Disord., 8, 343−348(2007)
【非特許文献5】J. Clin. Endocrinol. Metab., doi:10.1210/jc.2008−1456
【非特許文献6】J. Clin. Endocrinol. Metab., doi:10.1210/jc.2008−0065
【非特許文献7】Clin. Cancer. Res., 15(2), 668−676(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
IGF−1R阻害剤などの小分子経口療法を含む、新たなACC療法に関する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
いくつかの側面において、本発明は、OSI−906を用いて副腎皮質癌(ACC)を治療する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ACC患者1原発性副腎腫瘤ベースラインCTスキャン(2008年7月21日);
【図2】ACC患者1原発性副腎腫瘤CTスキャン(2009年3月9日);
【図3】ACC患者1右下葉転移ベースラインCTスキャン(2008年7月21日);
【図4】ACC患者1右下葉転移CTスキャン(2009年3月9日);
【図5】ACC患者1肺転移ベースラインCTスキャン(2008年7月21日);
【図6】ACC患者1肺転移CTスキャン(2009年3月9日);
【図7】ACC患者1肺転移ベースラインCTスキャン(2008年7月21日);
【図8】ACC患者1肺転移CTスキャン(2009年3月9日);
【図9】ACC患者1 RECISTデータ;
【図10】ACC患者1 FDG−PETスキャン2009年4月7日;
【図11】H295R ACC腫瘍細胞株OSI−906感受性;
【図12】pIGF−1RおよびpIR OSI−906阻害。
【発明を実施するための形態】
【0013】
患者
本発明にしたがって、治療のために選択される患者はACCに罹患している。
【0014】
いくつかの態様において、患者は、進行したか、転移したか、または確立された療法形式に対して抵抗性であるか、あるいはそれに対して有効な療法が存在しない、組織学的または細胞学的に立証された悪性腫瘍を示す。
【0015】
いくつかの態様において、選択される患者は、化学療法、放射線照射、手術、またはホルモン療法を以前受けて中断した。
【0016】
いくつかの態様において、ACCは以前のミトタン含有治療に対して抵抗性である。
【0017】
いくつかの態様において、ACCは以前治療されていない。
【0018】
いくつかの態様において、選択される患者は、糖尿病、心臓疾患、グルココルチコイドの最近の使用、併用する抗癌療法、脳転移、脳卒中、発作性疾患、活動性または管理されない感染、あるいは他の深刻な疾病または医学的状態を持たない。
【0019】
いくつかの態様において、患者は、ACCにおけるOSI−906の感受性または有効性のバイオマーカーを示す。いくつかの態様において、選択される患者はIGF2遺伝子転写物を過剰発現する。いくつかの態様において、過剰発現は、少なくとも約10倍、25倍、または50倍である。
【0020】
化合物および配合物
活性剤は、シス−3−[8−アミノ−1−(2−フェニル−キノリン−7−イル)−イミダゾ[1,5−a]ピラジン−3−イル]−1−メチル−シクロブタノールと称されてもよいOSI−906、またはその薬学的に許容されうる塩である。いくつかの態様において、化合物はその遊離塩基型である。
【0021】
US 2006/0235031または他の適切な方法にしたがって、OSI−906を調製し、そして配合してもよい。いくつかの態様において、慣用的な賦形剤を用いて、OSI−906を経口即効型錠剤、カプセル等として配合する。
【0022】
投薬および投与
本発明は、ACCを治療する必要がある患者を、OSI−906またはその薬学的に許容されうる塩を含む有効な措置で治療する工程を含む、ACCを治療する方法を提供する。
【0023】
いくつかの態様において、他の抗癌剤を伴わずに措置を行う。
【0024】
いくつかの態様において、投与日に、約0.5〜約25mg/kg・日、約1〜約15mg/kg・日、約2〜約12mg/kg・日、または約4〜約10mg/kg・日の量で、OSI−906を経口投与する。
【0025】
いくつかの態様において、各14日の治療期間または周期の最初の3、4、5、6、または7日間のみ、OSI−906を投与し、各期間の残りの日には薬剤をまったく投与しない。いくつかの態様において、OSI−906を毎日投与する。
【0026】
いくつかの態様において、有意な副作用、疾患進行、患者のリクエスト、または患者の死亡が生じるまで、措置を続ける。
【0027】
結果
いくつかの態様において、患者は、少なくとも半年、または少なくとも1年、措置されて安定なACC疾患を有する。いくつかの態様において、治療された患者の少なくとも約20%または少なくとも約40%が、少なくとも半年、または少なくとも1年、措置されて安定なACC疾患を有する。
【0028】
いくつかの態様において、患者は、RECISTによって評価された際、該方法に対して少なくとも部分的な奏功を示す。いくつかの態様において、RECISTによって評価された際の部分奏功は、少なくとも約30%、40%、50%、60%、または70%である。
【0029】
いくつかの態様において、措置は薬剤関連毒性を生じない。
【0030】
実験データ
H295R ACC腫瘍細胞株は、OSI−906に感受性を示す。H295R腫瘍細胞を多様な濃度のOSI−906で処理し、そして投薬のそれぞれ72時間後および48時間後に、増殖(細胞力価Glo、Promega)およびアポトーシス(カスパーゼGlo、Promega)の測定を行った。図11を参照されたい。
【0031】
H295R ACC腫瘍細胞株は、高レベルのリン酸化IGF−1RおよびIRを示し、そしてOSI−906は、両方の受容体のリン酸化を阻害し、pAktの阻害を生じる。H295R腫瘍細胞を3μM OSI−906または3μg/mlのIGF−1R中和抗体MAB−391で24時間処理した。RTK捕捉アレイ(ARY001、R&D Systems)によってpIGF−1RおよびpIRの測定を行い、そしてWBによってpAktの測定を行った。図12を参照されたい。
【0032】
2009年4月14日現在、2つの第I相臨床試験において、ACCの7人の患者が登録されている。1人は部分奏功を有し(患者1)、2人は、>6ヶ月、安定であり、そして1人は劇的な短期の症候性反応を有し、そして3人は、69+、22+、および8+日間、研究対象であり続ける。
【0033】
患者1は、35歳の女性ACC患者であり、以前、2008年2月から2008年7月まで、6周期のエトポシド、シスプラチン、およびドキソルビシンおよびミトタンで治療された。該患者は進行を示した。次いで、患者1を、2008年9月1日から、450mg/日で始まり、600mgに増加させて、OSI−906で各14日期間の第1〜3日に治療した。治療第8週、CTスキャンでは安定と報告された。第16週、CTスキャンは原発性病変の減少ならびにすべての肺病変の改善を示した。標的病変のRECIST測定の全体の減少は、43%であった。続くスキャンによって、ベースラインに比較して、RECISTによって72%の減少の部分奏功を示すスキャンを含めて、増加性の奏功が示された。56週まで、薬剤関連毒性は観察されなかった。この患者は、治療30週で18−FDG−PETスキャンを受け、残渣原発性腫瘍またはCTスキャン上で見える残りの転移2つにおけるトレーサーの取り込みはないことが示された。ACCは、典型的にはFDG集積性(avid)腫瘍であると考えられる。図1〜10を参照されたい。
【0034】
客観的判断基準(RECIST)
完全奏功(Complete Response):立証されている場合、ベースラインで上昇している腫瘍マーカーの正常化を含めて、腫瘍(標的および非標的両方)のすべての臨床的および放射線学的証拠の消失。患者は、すべての腫瘍関連症状を有してはならない。完全奏功は、CRが観察された時点の評価から、28日以上空けた第二の腫瘍評価で確認されなければならない。
【0035】
部分奏功(Partial Response):参照として、ベースライン合計LDを採用して、標的病変の最長直径(LD)合計の少なくとも30%の減少。部分奏功は、PRが観察された時点の評価から、28日以上空けた第二の腫瘍評価で確認されなければならない。
【0036】
安定(Stable Disease):疾患の落ち着いた状態。PRと認定されるのに十分な縮小もなく、また進行と認定されるのに十分な増加もない。安定は、療法開始から少なくとも28日間、存在すると立証されなければならない。このカテゴリーに関して、新たな病変の出現はない可能性もある。
【0037】
進行(Progressive Disease):参照として、治療開始から記録した最小合計LDを採用して、測定した病変のLD合計の少なくとも20%の増加。新規病変の出現もまた、進行を構成するであろう。例外的な状況では、非標的病変の明確な進行を、疾患進行(DP)の証拠として認めてもよい。
【0038】
腫瘍測定
RECISTにしたがって測定可能な疾患を有し、少なくとも2回の治療期間の療法を受け、そして疾患を再評価されたすべての患者は、奏功に関して評価可能であろう。すべての疾患部位は、ベースラインで分類されるように、標的または非標的病変のいずれかとして追跡されなければならない。臓器あたり最大5つの病変のすべての測定可能な病変、または関与するすべての臓器を代表する総数10の病変を標的病変として同定し、一方、すべての他の病変(さらなる測定可能な病変または測定不能な病変のいずれか)を非標的病変として分類しなければならない。比較可能性を確実にするため、奏功を評価するためのベースライン放射線学/スキャンおよびそれに続く放射線学/スキャンを、同一の技術を用いて行わなければならない(すなわちボーラス造影剤投与直後に行うスキャンは、標準的な体積の造影剤、同一の造影剤、および好ましくは同じスキャナーで行わなければならない)。放射線学的または物理学的に同じ方法を使用し、そして各場合で同じ個人によって評価されなければならない。
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が本明細書に援用される、米国出願第61/176346号(2009年5月7日出願)および第61/180249号(2009年5月21日出願)の優先権を請求する。
【0002】
本発明は、いくつかの側面において、癌治療、副腎皮質癌(adrenocortical carcinomaまたはadrenal cortex cancer(ACC))、小分子分子ターゲティング療法、およびIGF−1R阻害剤に関する。
【背景技術】
【0003】
ACCは、一般的に劣った予後を有する、稀な内分泌悪性腫瘍である。ACCの治療には、手術、放射線照射、化学療法、ホルモン治療、およびミトタンが含まれる。J. Clin. Endocrinol. Metab., 91, 2027−2037(2006); Cancer, 113, 11, 3130−3136(2008)を参照されたい。
【0004】
Logieらは、IGF系がACCに関与し、そしてヒト成体ACCに由来するNCI H295R細胞株が、ACC腫瘍増殖の分子機構を研究するのに適したin vitroモデルであると述べている。J. Molec. Endocrinol., 23, 23−32(1999); Rev. Endocr. Metab. Disord., 8, 343−348(2007)もまた参照されたい。
【0005】
Hammerらは、インスリン様増殖因子2(IGF2)が、ACCの80〜90%で最も上方制御される転写物であり、そしてIGF経路シグナル伝達がACC病態生理において非常に重要な役割を果たすと述べている。J. Clin. Endocrinol. Metab., doi:10.1210/jc.2008−1456; J. Clin. Endocrinol. Metab., doi:10.1210/jc.2008−0065もまた参照されたい。
【0006】
Giordanoらは、有意に異なる生存率を示す2つのサブタイプを明らかにする、ACC腫瘍の分子プロファイリングを記載する。Clin. Cancer. Res., 15(2), 668−676(2009)。
【0007】
OSI−906は、US 2006/0235031、実施例31に開示される小分子IGF−1R阻害剤である。2009年現在、OSI−906はOSI Pharmaceuticals, Inc.によって開発中である。ACCにおけるOSI−906の臨床有効性が立証されてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US 2006/0235031
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J. Clin. Endocrinol. Metab., 91, 2027−2037(2006)
【非特許文献2】Cancer, 113, 11, 3130−3136(2008)
【非特許文献3】J. Molec. Endocrinol., 23, 23−32(1999)
【非特許文献4】Rev. Endocr. Metab. Disord., 8, 343−348(2007)
【非特許文献5】J. Clin. Endocrinol. Metab., doi:10.1210/jc.2008−1456
【非特許文献6】J. Clin. Endocrinol. Metab., doi:10.1210/jc.2008−0065
【非特許文献7】Clin. Cancer. Res., 15(2), 668−676(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
IGF−1R阻害剤などの小分子経口療法を含む、新たなACC療法に関する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
いくつかの側面において、本発明は、OSI−906を用いて副腎皮質癌(ACC)を治療する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ACC患者1原発性副腎腫瘤ベースラインCTスキャン(2008年7月21日);
【図2】ACC患者1原発性副腎腫瘤CTスキャン(2009年3月9日);
【図3】ACC患者1右下葉転移ベースラインCTスキャン(2008年7月21日);
【図4】ACC患者1右下葉転移CTスキャン(2009年3月9日);
【図5】ACC患者1肺転移ベースラインCTスキャン(2008年7月21日);
【図6】ACC患者1肺転移CTスキャン(2009年3月9日);
【図7】ACC患者1肺転移ベースラインCTスキャン(2008年7月21日);
【図8】ACC患者1肺転移CTスキャン(2009年3月9日);
【図9】ACC患者1 RECISTデータ;
【図10】ACC患者1 FDG−PETスキャン2009年4月7日;
【図11】H295R ACC腫瘍細胞株OSI−906感受性;
【図12】pIGF−1RおよびpIR OSI−906阻害。
【発明を実施するための形態】
【0013】
患者
本発明にしたがって、治療のために選択される患者はACCに罹患している。
【0014】
いくつかの態様において、患者は、進行したか、転移したか、または確立された療法形式に対して抵抗性であるか、あるいはそれに対して有効な療法が存在しない、組織学的または細胞学的に立証された悪性腫瘍を示す。
【0015】
いくつかの態様において、選択される患者は、化学療法、放射線照射、手術、またはホルモン療法を以前受けて中断した。
【0016】
いくつかの態様において、ACCは以前のミトタン含有治療に対して抵抗性である。
【0017】
いくつかの態様において、ACCは以前治療されていない。
【0018】
いくつかの態様において、選択される患者は、糖尿病、心臓疾患、グルココルチコイドの最近の使用、併用する抗癌療法、脳転移、脳卒中、発作性疾患、活動性または管理されない感染、あるいは他の深刻な疾病または医学的状態を持たない。
【0019】
いくつかの態様において、患者は、ACCにおけるOSI−906の感受性または有効性のバイオマーカーを示す。いくつかの態様において、選択される患者はIGF2遺伝子転写物を過剰発現する。いくつかの態様において、過剰発現は、少なくとも約10倍、25倍、または50倍である。
【0020】
化合物および配合物
活性剤は、シス−3−[8−アミノ−1−(2−フェニル−キノリン−7−イル)−イミダゾ[1,5−a]ピラジン−3−イル]−1−メチル−シクロブタノールと称されてもよいOSI−906、またはその薬学的に許容されうる塩である。いくつかの態様において、化合物はその遊離塩基型である。
【0021】
US 2006/0235031または他の適切な方法にしたがって、OSI−906を調製し、そして配合してもよい。いくつかの態様において、慣用的な賦形剤を用いて、OSI−906を経口即効型錠剤、カプセル等として配合する。
【0022】
投薬および投与
本発明は、ACCを治療する必要がある患者を、OSI−906またはその薬学的に許容されうる塩を含む有効な措置で治療する工程を含む、ACCを治療する方法を提供する。
【0023】
いくつかの態様において、他の抗癌剤を伴わずに措置を行う。
【0024】
いくつかの態様において、投与日に、約0.5〜約25mg/kg・日、約1〜約15mg/kg・日、約2〜約12mg/kg・日、または約4〜約10mg/kg・日の量で、OSI−906を経口投与する。
【0025】
いくつかの態様において、各14日の治療期間または周期の最初の3、4、5、6、または7日間のみ、OSI−906を投与し、各期間の残りの日には薬剤をまったく投与しない。いくつかの態様において、OSI−906を毎日投与する。
【0026】
いくつかの態様において、有意な副作用、疾患進行、患者のリクエスト、または患者の死亡が生じるまで、措置を続ける。
【0027】
結果
いくつかの態様において、患者は、少なくとも半年、または少なくとも1年、措置されて安定なACC疾患を有する。いくつかの態様において、治療された患者の少なくとも約20%または少なくとも約40%が、少なくとも半年、または少なくとも1年、措置されて安定なACC疾患を有する。
【0028】
いくつかの態様において、患者は、RECISTによって評価された際、該方法に対して少なくとも部分的な奏功を示す。いくつかの態様において、RECISTによって評価された際の部分奏功は、少なくとも約30%、40%、50%、60%、または70%である。
【0029】
いくつかの態様において、措置は薬剤関連毒性を生じない。
【0030】
実験データ
H295R ACC腫瘍細胞株は、OSI−906に感受性を示す。H295R腫瘍細胞を多様な濃度のOSI−906で処理し、そして投薬のそれぞれ72時間後および48時間後に、増殖(細胞力価Glo、Promega)およびアポトーシス(カスパーゼGlo、Promega)の測定を行った。図11を参照されたい。
【0031】
H295R ACC腫瘍細胞株は、高レベルのリン酸化IGF−1RおよびIRを示し、そしてOSI−906は、両方の受容体のリン酸化を阻害し、pAktの阻害を生じる。H295R腫瘍細胞を3μM OSI−906または3μg/mlのIGF−1R中和抗体MAB−391で24時間処理した。RTK捕捉アレイ(ARY001、R&D Systems)によってpIGF−1RおよびpIRの測定を行い、そしてWBによってpAktの測定を行った。図12を参照されたい。
【0032】
2009年4月14日現在、2つの第I相臨床試験において、ACCの7人の患者が登録されている。1人は部分奏功を有し(患者1)、2人は、>6ヶ月、安定であり、そして1人は劇的な短期の症候性反応を有し、そして3人は、69+、22+、および8+日間、研究対象であり続ける。
【0033】
患者1は、35歳の女性ACC患者であり、以前、2008年2月から2008年7月まで、6周期のエトポシド、シスプラチン、およびドキソルビシンおよびミトタンで治療された。該患者は進行を示した。次いで、患者1を、2008年9月1日から、450mg/日で始まり、600mgに増加させて、OSI−906で各14日期間の第1〜3日に治療した。治療第8週、CTスキャンでは安定と報告された。第16週、CTスキャンは原発性病変の減少ならびにすべての肺病変の改善を示した。標的病変のRECIST測定の全体の減少は、43%であった。続くスキャンによって、ベースラインに比較して、RECISTによって72%の減少の部分奏功を示すスキャンを含めて、増加性の奏功が示された。56週まで、薬剤関連毒性は観察されなかった。この患者は、治療30週で18−FDG−PETスキャンを受け、残渣原発性腫瘍またはCTスキャン上で見える残りの転移2つにおけるトレーサーの取り込みはないことが示された。ACCは、典型的にはFDG集積性(avid)腫瘍であると考えられる。図1〜10を参照されたい。
【0034】
客観的判断基準(RECIST)
完全奏功(Complete Response):立証されている場合、ベースラインで上昇している腫瘍マーカーの正常化を含めて、腫瘍(標的および非標的両方)のすべての臨床的および放射線学的証拠の消失。患者は、すべての腫瘍関連症状を有してはならない。完全奏功は、CRが観察された時点の評価から、28日以上空けた第二の腫瘍評価で確認されなければならない。
【0035】
部分奏功(Partial Response):参照として、ベースライン合計LDを採用して、標的病変の最長直径(LD)合計の少なくとも30%の減少。部分奏功は、PRが観察された時点の評価から、28日以上空けた第二の腫瘍評価で確認されなければならない。
【0036】
安定(Stable Disease):疾患の落ち着いた状態。PRと認定されるのに十分な縮小もなく、また進行と認定されるのに十分な増加もない。安定は、療法開始から少なくとも28日間、存在すると立証されなければならない。このカテゴリーに関して、新たな病変の出現はない可能性もある。
【0037】
進行(Progressive Disease):参照として、治療開始から記録した最小合計LDを採用して、測定した病変のLD合計の少なくとも20%の増加。新規病変の出現もまた、進行を構成するであろう。例外的な状況では、非標的病変の明確な進行を、疾患進行(DP)の証拠として認めてもよい。
【0038】
腫瘍測定
RECISTにしたがって測定可能な疾患を有し、少なくとも2回の治療期間の療法を受け、そして疾患を再評価されたすべての患者は、奏功に関して評価可能であろう。すべての疾患部位は、ベースラインで分類されるように、標的または非標的病変のいずれかとして追跡されなければならない。臓器あたり最大5つの病変のすべての測定可能な病変、または関与するすべての臓器を代表する総数10の病変を標的病変として同定し、一方、すべての他の病変(さらなる測定可能な病変または測定不能な病変のいずれか)を非標的病変として分類しなければならない。比較可能性を確実にするため、奏功を評価するためのベースライン放射線学/スキャンおよびそれに続く放射線学/スキャンを、同一の技術を用いて行わなければならない(すなわちボーラス造影剤投与直後に行うスキャンは、標準的な体積の造影剤、同一の造影剤、および好ましくは同じスキャナーで行わなければならない)。放射線学的または物理学的に同じ方法を使用し、そして各場合で同じ個人によって評価されなければならない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
副腎皮質癌(ACC)を治療する必要がある患者を、OSI−906またはその薬学的に許容されうる塩を含む有効な措置で治療する工程を含む、ACCを治療する方法。
【請求項2】
患者がACCに関して以前治療されたことがない、請求項1の方法。
【請求項3】
ACCが以前のミトタン含有治療に対して抵抗性である、請求項1の方法。
【請求項4】
他の抗癌剤を伴わずに措置を行う、請求項1〜3のいずれか一項の方法。
【請求項5】
措置が薬剤関連毒性を生じない、請求項1〜4のいずれか一項の方法。
【請求項6】
投与日に、約1〜約15mg/kg・日の量で、OSI−906を経口投与する、請求項1〜5のいずれか一項の方法。
【請求項7】
投与日に、約2〜約12mg/kg・日の量で、OSI−906を経口投与する、請求項1〜5のいずれか一項の方法。
【請求項8】
OSI−906を措置のすべての日に投与する、請求項1〜7のいずれか一項の方法。
【請求項9】
各14日の治療期間の最初の3〜7日間のみ、OSI−906を投与する、請求項1〜7のいずれか一項の方法。
【請求項10】
患者が、少なくとも半年、措置されて安定なACC疾患を有する、請求項1〜9のいずれか一項の方法。
【請求項11】
患者が、少なくとも1年、措置されて安定なACC疾患を有する、請求項1〜9のいずれか一項の方法。
【請求項12】
RECISTによって評価された際、患者が方法に対して少なくとも部分的な奏功を示す、請求項1〜11のいずれか一項の方法。
【請求項13】
RECISTによって評価された際、患者が、少なくとも約40%の量で、方法に対して少なくとも部分的な奏功を示す、請求項1〜11のいずれか一項の方法。
【請求項14】
患者が、ACCにおけるOSI−906有効性のバイオマーカーを示す、請求項1〜13のいずれか一項の方法。
【請求項15】
患者が、少なくとも約10倍、IGF2遺伝子転写物を過剰発現する、請求項1〜13のいずれか一項の方法。
【請求項1】
副腎皮質癌(ACC)を治療する必要がある患者を、OSI−906またはその薬学的に許容されうる塩を含む有効な措置で治療する工程を含む、ACCを治療する方法。
【請求項2】
患者がACCに関して以前治療されたことがない、請求項1の方法。
【請求項3】
ACCが以前のミトタン含有治療に対して抵抗性である、請求項1の方法。
【請求項4】
他の抗癌剤を伴わずに措置を行う、請求項1〜3のいずれか一項の方法。
【請求項5】
措置が薬剤関連毒性を生じない、請求項1〜4のいずれか一項の方法。
【請求項6】
投与日に、約1〜約15mg/kg・日の量で、OSI−906を経口投与する、請求項1〜5のいずれか一項の方法。
【請求項7】
投与日に、約2〜約12mg/kg・日の量で、OSI−906を経口投与する、請求項1〜5のいずれか一項の方法。
【請求項8】
OSI−906を措置のすべての日に投与する、請求項1〜7のいずれか一項の方法。
【請求項9】
各14日の治療期間の最初の3〜7日間のみ、OSI−906を投与する、請求項1〜7のいずれか一項の方法。
【請求項10】
患者が、少なくとも半年、措置されて安定なACC疾患を有する、請求項1〜9のいずれか一項の方法。
【請求項11】
患者が、少なくとも1年、措置されて安定なACC疾患を有する、請求項1〜9のいずれか一項の方法。
【請求項12】
RECISTによって評価された際、患者が方法に対して少なくとも部分的な奏功を示す、請求項1〜11のいずれか一項の方法。
【請求項13】
RECISTによって評価された際、患者が、少なくとも約40%の量で、方法に対して少なくとも部分的な奏功を示す、請求項1〜11のいずれか一項の方法。
【請求項14】
患者が、ACCにおけるOSI−906有効性のバイオマーカーを示す、請求項1〜13のいずれか一項の方法。
【請求項15】
患者が、少なくとも約10倍、IGF2遺伝子転写物を過剰発現する、請求項1〜13のいずれか一項の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−526138(P2012−526138A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509963(P2012−509963)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/033825
【国際公開番号】WO2010/129740
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(511205552)オーエスアイ・ファーマシューティカルズ,エルエルシー (14)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/033825
【国際公開番号】WO2010/129740
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(511205552)オーエスアイ・ファーマシューティカルズ,エルエルシー (14)
【Fターム(参考)】
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