説明

副鼻洞形成術ナビゲーションのためのフルオロスコープと計算機式断層写真法との位置揃えのシステム及び利用方法

【課題】単純化された画像位置揃え手順を有し、放射線量を低下させ、画像位置揃えの精度を高め、医用ナビゲーション手順の時間を短縮させる。
【解決手段】患者の解剖学的構造の第一の画像及び患者の解剖学的構造の第二の画像を取得して、第一及び第二の画像に基づいて位置揃え済み画像を作成する。基準物標識、ヘッドセット又は手動位置揃えのいずれの利用も伴わない自動式画像位置揃えのシステム(300、500)が提供され、患者の解剖学的構造の内部で医療装置(320、520)をナビゲートすることを可能にする。さらに、各実施形態は、電離放射線被曝を抑えて患者の解剖学的構造において医療装置(320、520)をナビゲートすることを教示している。加えて、改良型の画像位置揃えのシステム(300、500)及び方法は、位置揃え済み画像の向上した精度を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には、改良型の医療装置ナビゲーションのシステム及び方法に関する。さらに具体的には、本発明は、患者の解剖学的構造における手術装置の改良型の画像位置揃え(イメージ・レジストレーション:Image registration)及びナビゲーションに関する。
【背景技術】
【0002】
内科医、外科医及び他の医学専門家のような医師はしばしば、画像ガイドによる手術又は検査のような医学的処置を実行するときに科学技術に頼る。追跡(トラッキング)システムが、例えば患者又は参照座標系に関する医療器具の配置情報を提供し得る。医師は、医療器具が自分の視線の範囲内に存在しないときの器具の位置を確かめるために、追跡システムを参照することができる。追跡システムはまた、術前計画においても助けとなり得る。
【0003】
追跡システム又はナビゲーション・システムは、医師が患者の解剖学的構造を視覚化して、器具の位置及び配向を追跡することを可能にする。医師は、追跡システムを用いて、器具が所望の位置に配置されたときを決定することができる。医師は、所望の部位又は損傷部位の位置を突き止めて、他の構造を回避しつつかかる部位に手術を施すことができる。患者の体内で医療器具の位置を突き止める精度が高まると、患者に対する影響の少ないさらに小型の器具に対する改善された制御を促進することにより、侵襲性の低い医学的処置を提供することができる。また、さらに小型で精密な器具によって制御及び正確さが改善されると、切開手術のような侵襲性の高い処置に伴う危険性を低減することができる。
【0004】
このように、医用ナビゲーション・システムは、患者の解剖学的構造の多次元画像に関して手術器具の正確な位置を追跡する。加えて、医用ナビゲーション・システムは、これらの手術器具を患者の解剖学的構造と位置揃えした像を外科医に提供する視覚化ツールを用いている。この作用は典型的には、手術室全体に移動され得る車輪付き台車(1又は複数)に医用ナビゲーション・システムの構成要素を含めることにより提供される。
【0005】
追跡システムは、例えば超音波式、慣性位置式、光学式又は電磁式の追跡システムであってよい。光学式追跡システムは、LED、顕微鏡及びカメラの利用を採用して2D又は3Dの患者空間での物体の移動を追跡することができる。電磁式追跡システムは、受信器及び送信器としてコイルを用いることができる。電磁式追跡システムは、業界標準コイル・アーキテクチャ(ISCA)構成のような3個の送信器コイル及び3個の受信器コイルの組として構成され得る。電磁式追跡システムはまた、例えば受信器コイルのアレイを単一の送信器コイルと併用したもの、又は単一の受信器コイルを送信器コイルのアレイと併用したものとして構成されてもよい。送信器コイル(1又は複数)によって発生される磁場は、受信器コイル(1又は複数)によって検出され得る。得られたパラメータ測定値について、位置及び配向情報を送信器コイル(1又は複数)及び/又は受信器コイル(1又は複数)について決定することができる。
【0006】
術中撮像又は術前撮像のような医用撮像及び手術撮像では、手術前、手術中、及び手術後の異なる時刻に患者の身体の領域についての画像が形成される。これらの画像を用いて、手術用具又は手術器具を患者に適用して手術用具又は手術器具を画像から形成される参照座標系に関して追跡している状態で、進行中の処置を支援する。画像ガイド手術は、脳外科手術のような外科的処置、膝、手首、肩又は脊椎に対する関節鏡下の処置、並びに幾つかの形式の血管造影法、心臓処置、侵襲型放射線治療、耳、鼻、喉又は副鼻洞に対する頭蓋処置及び生検において格別に有用であり、これらの処置においては、X線画像を撮影して、処置に関わる用具又は器具を表示したり、用具又は器具の位置を修正したり、他の場合には用具又は器具を進路を導いたり(ナビゲート)することができる。
【0007】
幾つかの手術部位は、体内に位置し又は直接目視することが困難な組織又は骨に対する長い探針又は他の物品の配置のために、極めて正確な計画及び制御を必要とする。具体的には、脳外科手術の場合には、進入点、探針角度及び探針深さを画定する定位フレームを、一般的にはMRI画像、PET画像又はCT走査画像のように正確な組織画像を提供する事前編集された三次元診断画像と併用して、脳内の部位に接触する。脊椎での椎弓根スクリュー(螺子)の配置の場合には、目視及びフルオロスコピィ撮像による案内では骨における挿入経路のプロファイルを中心としたアキシャル像を捕捉し得ない場合があり、このような場合にかかるシステムがやはり有用とされてきた。
【0008】
既存のCT、PET又はMRIの画像集合と共に用いられる場合に、従来記録される診断画像集合は、精密走査構成又は再構成アルゴリズムの空間的な数学的性質のいずれかによって三次元(3D)直線座標系を画定している。しかしながら、入手可能な術中フルオロスコピィ像、及び表面から目視可能である解剖学的特徴又はフルオロスコピィ画像において可視である解剖学的特徴と、3D診断画像内の特徴及び用いられている用具の外部座標との相関を求めることが望ましい場合がある。相関の決定はしばしば、埋め込み型基準物を設け、且つ/又は外部から目視可能な若しくは追跡可能な撮像することのできる標識を付加することにより行なわれる。また、患者の頭部に接触した体外ヘッドセットを設けることにより位置揃えを行なうことができる。キーボード、マウス又は他のポインタを用いて、基準物又はヘッドセットを様々な画像において識別することができる。このように、相異なる画像において座標位置揃え点の共通の組を識別することができる。これら座標位置揃え点の共通の組はまた、適当にプログラムされた既製の光学追跡アセンブリのような外部座標測定装置によって自動的に追跡可能であってもよい。例えばフルオロスコピィ画像、及びMRI画像又はCT画像の両方に撮像され得るような撮像可能な基準物の代わりに、かかるシステムはまた、大抵の場合に手術用具の単純な光学追跡と共に動作することもでき、外科医が、患者の解剖学的構造に関して外部座標を画定して解剖学的特徴のソフトウェア追跡を開始するために一定数の骨突起又は他の認識可能な解剖学的特徴に触れるか又はポイントする初期化プロトコルを用いることができる。
【特許文献1】米国特許第5,829,444号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来の位置揃え手法又は相関手法には幾つかの欠点がある。キーボード又はマウスを用いて基準物、標識又はヘッドセットを識別するのは時間浪費的である場合がある。医学的処置を実行するのに必要とされる時間量を低減することが望ましい。加えて、外部標識又はヘッドセットの位置揃えは、所望通りに正確であるとは限らない。多くの手術処置は、患者の解剖学的構造の内部で実行される。患者の解剖学的構造の外部の点同士を相関付けする画像位置揃え手法は、得られる3Dデータセットを、患者の解剖学的構造の外部の点において最も正確なものとし得る。従って、患者の解剖学的構造の内部の点同士を相関付けすることが望ましい。
【0010】
一般的には、画像ガイド手術システムは、外科医の視野に配置されており、選択されたMRI画像及び様々な角度から撮影された幾つかのX線像又はフルオロスコピィ像のような数枚のパネルを表示する画像表示器と共に動作する。三次元診断画像は典型的には、直線構成であり1ミリメートル以下の範囲内といった極く小さい許容誤差の範囲内までの正確な空間分解能を有している。対照的に、フルオロスコピィ像は歪みを有する場合がある。フルオロスコピィ像は、円錐形のX線ビームが通過した全ての組織の密度を表現している点で影絵的である。用具ナビゲーション・システムでは、外科医にとって可視である表示は、フルオロスコピィ画像に投影された手術用具、生検器具、椎弓根スクリュー、探針又は他の装置の画像を示すことができるので、外科医は、撮像されている患者の解剖学的構造に関する手術器具の配向を視覚化することができる。また、追跡されている探針の先端の座標に対応し得る適当なCT又はMRI再構成画像を表示することもできる。
【0011】
かかる表示を具現化するために提案されているシステムの中でも多くのシステムが外部座標での手術器具の位置及び配向を綿密に追跡することに頼っている。様々な座標集合が、ロボット式機械的リンク及びエンコーダによって画定されることができ、又はさらに一般的には、固定式患者支持体、支持体に固定され得るビデオ・カメラのような2以上の受像器、並びに手術器具のガイド又はフレームに取り付けられており患者支持体及びカメラ・フレームに関する用具の位置及び配向を三角測量によって自動的に決定することを可能にする複数の信号伝達要素によって画定されるので、それぞれの座標の間での様々な変換を算出することができる。2台のビデオ・カメラ及び複数の放出器又は他の位置信号伝達要素を用いる三次元追跡システムは市販されて久しく、かかる手術室システムに容易に適応構成される。また、同様のシステムが市販の音響測距システムを用いて外部位置座標を決定することができ、このシステムでは、3以上の音波放出器が作動し、放出器からの音を複数の受信器において検出して、検出アセンブリからの各放出器の相対距離を決定し、このようにして放出器が装着されているフレーム又は支持体の位置及び配向を単純な三角測量によって画定する。加えて、前述のような電磁式追跡システムを用いてもよい。追跡された基準物が診断画像内に現われているときには、手術室座標と画像座標との間の変換を画定することが可能である。
【0012】
さらに最近では、3D診断データ画像集合の精度を利用して、これら3D画像を術中フルオロスコピィ画像に現われるパターンにマッチングさせることにより手術室画像の精度を高める多くのシステムが提案されている。これらのシステムは、骨のエッジ輪郭を追跡してマッチングすることを用いるもの、1枚の画像をもう1枚の画像に形態学的に変形して座標変換を決定することを用いるもの、又は他の相関法を用いるものであり得る。低品質で非平面的なフルオロスコピィ画像と3D画像データセットの平面との相関を求める手順は時間浪費的であり得る。基準物又は付加標識を用いる手法では、外科医は長時間を要する初期化プロトコル又は時間が掛かり計算集約的な手順に従って、様々な画像集合の間で標識を識別して相関させる場合がある。これらの要因の全てが、術中画像ガイド・システム又はナビゲーション・システムの速度及び有用性に影響を及ぼしてきた。
【0013】
患者の解剖学的構造又は術中フルオロスコピィ画像と、事前編集された3D診断画像データセットとの相関もまた、元の撮像の時刻と術中処置の時刻との間での被撮像構造、特に軟組織構造の干渉性の移動によって複雑化し得る。このように、二つの画像集合の3以上の座標系と手術室の物理的座標との間の変換は、実効的な相関を与えるために多数の位置揃え点を要し得る。椎弓根スクリューを配置するための脊椎追跡では、追跡アセンブリは、適当な精度を達成するために単一の椎骨について10以上の点において初期化される場合がある。患者の配置が異なっていたり、成長する腫瘍のように組織の特性が変化したりして、撮像セッションと撮像セッションとの間に組織の寸法又は位置が実際に変化する場合には、さらに複雑な要因が現われ得る。
【0014】
脊椎に椎弓根スクリューを配置する場合のように、画像ガイド追跡の目的が表面の近くの硬質構造又は骨構造に対する手術を画定することにある場合には、位置揃えは代替的には、計算機式モデリング手順を用いることにより、追跡画像への進行中の参照を行なわずに実行されてもよく、このモデリング手順では、用具の先端を幾つかの骨突起の各々に触れさせて、これらの骨突起の各々について初期化して、骨突起の座標及び配置を確定し、この後に、脊椎の仮想的表現を脊椎に取り付けられた追跡要素又はフレームと共に機械的にモデリングしながら、これらの骨突起の位置に関して用具を光学的に初期位置揃えし次いで追跡することにより、脊椎の全体としての運動をモデリングする。かかる手順では、様々な取得源からの相異なる画像集合に対する時間浪費的で計算集約的な相関決定が不要であり、点の光学的追跡を代用することにより、用いられるX線照射を排除し又は照射回数を減らして、患者の解剖学的構造に関する用具の位置を妥当な程度の精度で実効的に決定することができる。
【0015】
このように、単純で、低線量及び低経費であるフルオロスコープ画像を手術ガイドに用いて、しかも厳密な用具配置の精度向上を達成することが依然として極めて望ましい。
【0016】
医用撮像において、画像保管及び通信システム(PACS)は画像の蓄積、検索、配布及び表示専用のコンピュータ又は網である。完全型PACSは、超音波撮像、磁気共鳴撮像、陽電子放出断層写真法、計算機式断層写真法、内視鏡検査、マンモグラフィ及びX線撮影のような様々なモダリティからの画像を扱う。
【0017】
位置揃えは、患者画像座標系及び電磁追跡座標系のような二つの座標系を相関付けする行程である。撮像応用において座標を位置揃えするためには幾つかの方法を用いることができる。「既知」の物体又は予め定義されている物体を画像に配置する。既知の物体は、追跡システムによって用いられるセンサを含む。一旦、センサが画像に配置されたら、センサが二つの座標系の位置揃えを可能にする。
【0018】
1998年11月3日に付与されたFerre等による米国特許第5,829,444号は、例えばヘッドセットを用いた追跡及び位置揃えの方法を参照している。走査画像を記録するときに、患者は放射線不透過性の標識を含むヘッドセットを装着する。次いで、予め画定されている参照ユニット構造に基づいて、参照ユニットは、走査画像において参照ユニットの各部分の位置を自動的に求めて、これにより走査画像に関する参照ユニットの配向を識別することができる。参照ユニットに磁場発生器を付設して、一定面積に位置特徴的な磁場を発生することができる。参照ユニットに関する磁場発生器の相対的な位置が決定されたら、位置揃えユニットが適当な写像関数を生成することができる。次いで、追跡された表面について、記憶されている画像に関して位置を求めることができる。
【0019】
しかしながら、患者について位置決定されておりフルオロスコープ・カメラから離隔している参照ユニットを用いる位置揃えでは、参照ユニットとフルオロスコープとの間の距離のため座標位置揃えに不正確さが混入する。加えて、患者について位置決定される参照ユニットは典型的には小型であり、さもなければ画像走査に干渉し得る。参照ユニットが小型であるほど不正確な位置測定値を発生し、従って位置揃えに影響を及ぼし得る。
【0020】
典型的には、ナビゲーション・システムによって用いられる参照フレームが、手術ナビゲーションの前に解剖学的構造に位置揃えされる。参照フレームの位置揃えは、表示されるフルオロスコピィ画像に関してナビゲートされる用具の精度に影響を与える。
【0021】
加えて、医学的処置時に患者が被曝する電離放射線の量を低減することが求められている。従来の医療装置ナビゲーションの方法は、患者の解剖学的構造の全体にわたって移動されるような装置として連続式フルオロスコピィ撮像を用いている。各々のフルオロスコピィ画像は、患者が受ける実効線量を増大させ得る。このように、フルオロスコピィ撮像の全体量、従って受ける線量を低減する手法が特に望ましい。
【0022】
さらに、改良型の副鼻洞形成術(sinuplasty)ナビゲーションの方法が求められている。明確に述べると、基準物、表面標識、ヘッドセット又は手動ナビゲーションのいずれにも頼らないナビゲーション方法が求められている。従来の副鼻洞形成術ナビゲーションの方法は、副鼻洞形成術ナビゲーションの内視鏡による目視観察又はフルオロスコピィ観察に頼っていた。
【0023】
このように、単純化された画像位置揃え手順を有し、放射線量を低下させ、画像位置揃えの精度を高め、医用ナビゲーション手順の時間を短縮させた医用ナビゲーション・システムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の幾つかの実施形態は、改良型の医療装置ナビゲーションのシステム及び方法を提供する。幾つかの実施形態は、患者の解剖学的構造の第一の画像を取得し、患者の解剖学的構造の第二の画像を取得して、第一及び第二の画像に適用される画像式位置揃え手法を用いることにより位置揃え済み画像を作成するシステムを含んでいる。他の実施形態は、1又は複数の位置揃え済み画像を用いて患者の解剖学的構造の内部で副鼻洞形成術装置をナビゲートするシステム及び方法を教示する。
【0025】
本発明のこれらの特徴及び他の特徴は、以下の詳細な説明において議論され又は明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以上の概要、及び以下の本発明の幾つかの実施形態の詳細な説明は、添付図面と併せて読むとさらに十分に理解されよう。本発明を説明する目的で、幾つかの実施形態が図面に示されている。但し、本発明は、添付図面に示す構成及び手段に限定されないことを理解されたい。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に従って用いられる例示的な副鼻洞形成術システム100を示す。副鼻洞形成術システム100は、副鼻洞形成術装置120、ガイド・ワイヤ122、カテーテル風船124、及び套管(カニューレ)126を含んでいる。図1に示す副鼻洞形成術システム100は、患者の頭蓋領域110の内部に位置している。患者の頭蓋領域110はさらに、副鼻洞通路112及び副鼻洞通路114を含んでいる。さらに明確に述べると、副鼻洞形成術装置120は患者の副鼻洞通路112に位置している。副鼻洞通路はまた、副鼻洞口(ostium)としても知られる。副鼻洞形成術装置120は、ガイド・ワイヤ122、カテーテル風船124及び套管126を含む幾つかの構成要素を含んでいる。
【0028】
副鼻洞形成術は、患者の副鼻洞通路を拡大する装置を用いた医学的処置である。さらに明確に述べると、図1の単純化した例に示すように、副鼻洞形成術装置120は患者の頭蓋領域110に挿入される。副鼻洞形成術装置120は患者の鼻孔を通して挿入され得る。副鼻洞形成術装置120は、ガイド・ワイヤ122を用いて副鼻洞通路112に進入する。最初の副鼻洞への接触を行なうために、副鼻洞形成術装置120は、内視鏡による視覚化の下で患者の解剖学的構造に進入し得る。ガイド・ワイヤ122が副鼻洞通路112に到達した後に、副鼻洞形成術装置120はカテーテル風船124を案内して副鼻洞通路112に挿入する。カテーテル風船124はガイド・ワイヤ122を滑らかに辿り、閉塞した又は収縮した副鼻洞通路112に達する。カテーテル風船が副鼻洞通路112に進入した後に、副鼻洞形成術装置120はカテーテル風船124を膨らませる。カテーテル風船124が膨張するにつれて、拡大したカテーテル風船124が副鼻洞通路112に接触する。副鼻洞形成術装置120はカテーテル風船124を膨らませ続けて、副鼻洞通路112にさらに圧力を加える。膨らんだカテーテル風船124からの圧力が増大すると、副鼻洞通路112の内容積も押し広げられる。副鼻洞通路112が十分に拡大した後に、副鼻洞形成術装置120はカテーテル風船124を萎ませる。次いで、副鼻洞形成術装置120はガイド・ワイヤ122及びカテーテル風船124を含めて、患者の頭蓋領域110から引き抜かれる。副鼻洞通路112はカテーテル風船124が萎んで除去された後でも拡大した状態を保つ。再構築された副鼻洞通路112は、正常な副鼻洞機能及び排出を可能にする。
【0029】
図2(A)、図2(B)及び図2(C)は、本発明の一実施形態による副鼻洞形成術装置220の用法を示す。図2(A)、図2(B)及び図2(C)において用いられている副鼻洞形成術装置220は、図1に示す装置と同様のものである。副鼻洞形成術装置220は、ガイド・ワイヤ222、カテーテル風船224及び套管226を含んでいる。患者の頭蓋領域210はさらに、副鼻洞通路212及び副鼻洞通路214を含んでいる。図2(A)に示すように、副鼻洞通路212は収縮して狭窄化しているが、副鼻洞通路214は相対的に開いており健常である。さらに明確に述べると、副鼻洞形成術装置220は患者の副鼻洞の空洞212に位置している。
【0030】
上述の図1と同様に、副鼻洞形成術装置220は、患者の頭蓋領域に挿入され得る。図2(A)に示すように、ガイド・ワイヤ222は収縮した副鼻洞通路212を通過する。次に、副鼻洞形成術装置220は風船カテーテル224をガイド・ワイヤ222に沿って収縮した副鼻洞通路212に導き入れる。
【0031】
図2(B)は、収縮した副鼻洞通路212の拡大を示す。風船カテーテル224が収縮した副鼻洞通路212に進入した後に、副鼻洞形成術装置220は風船カテーテル224を膨らませる。図2(B)に示すように、風船カテーテル224の容積が増大すると副鼻洞通路212の内側に圧力が加わる。風船カテーテル224からの圧力が増大して、収縮した副鼻洞通路212の内壁を押圧し、収縮した副鼻洞通路212を押し広げる。風船カテーテル224が十分な時間にわたって膨張した後に、副鼻洞形成術装置220はカテーテル風船224を萎ませる。
【0032】
図2(C)は、副鼻洞形成術装置220を用いて副鼻洞形成術処置を実行した後に、収縮した副鼻洞通路212に及ぶ効果を示す。図2(C)に示すように、ガイド・ワイヤ222及び風船カテーテル224は収縮した副鼻洞通路212から除去されている。しかしながら、図2(A)とは異なり、副鼻洞通路212は最早収縮した状態にはない。副鼻洞形成術装置220が除去された後にも、副鼻洞通路212は副鼻洞通路214と同様に相対的に開いた状態にある。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態に従って用いられる例示的な手術ナビゲーション・システムを示す。さらに明確に述べると、多様な耳鼻咽喉(ENT)手術又は他の頭蓋処置に用いられる手術ナビゲーション・システムを示している。図3に示す実施形態はまた、患者の解剖学的構造の他部位の医学的処置にも用いられ得る。
【0034】
手術ナビゲーション・システム300は、副鼻洞形成術装置320、医用撮像モダリティ340、及びワークステーション360を含んでいる。副鼻洞形成術装置はさらに、套管322及び風船カテーテル324を含んでいる。医用撮像モダリティ340はさらに、Cアーム342、イメージャ344、及び受像器346を含んでいる。ワークステーション360はさらに、画像プロセッサ361、表示器362、及び入力装置364を含んでいる。また、図3には頭蓋領域310を有する患者も示されている。
【0035】
副鼻洞形成術装置320は、前述の装置と同様にガイド・ワイヤ322、風船カテーテル324、及び套管326を含んでいる。副鼻洞形成術装置320は、内視鏡カメラを選択随意で含んでいてよい。副鼻洞形成術装置320はまた、前述の装置と同様に動作する。
【0036】
医用撮像モダリティ340は、患者のモダリティの画像を取得することが可能な任意の形式の医用撮像装置であってよい。医用撮像モダリティ340は、複数の異なる撮像モダリティによる画像を選択随意で取得することができる。一例では、医用撮像モダリティ340は、フルオロスコープ・イメージャ344、及びCアーム342においてこのフルオロスコープ・イメージャ344に対向配置されたフルオロスコープ受像器346を含んでいる。もう一つの例では、医用撮像モダリティはさらに、3Dデータセット・イメージャ344及び3Dデータセット受像器346を含んでいる。医用撮像モダリティ340は、術前、術中及び術後画像データを取得することが可能である。
【0037】
医用撮像モダリティ340は、Cアーム342を多様な位置に導くことができる。Cアーム342は患者又は他の対象の周りを移動して、異なる角度又は視角から患者の画像を形成する。1箇所の位置において、イメージャ344及び受像器346は患者の解剖学的構造の1枚の画像を取得することができる。Cアームは、患者の解剖学的構造の2D画像及び3D画像を取得するために多様な位置へ移動することが可能である。追跡要素を較正設備又は補正アセンブリと併用して、用具ナビゲーション及びワークステーション表示について高められた精度を有するフルオロスコピィ画像を提供する諸観点のイメージング・システムの変化形態を思量することができる。
【0038】
ワークステーション360は、画像プロセッサ361、表示器362、及び入力装置364を含み得る。ワークステーション360の各構成要素を単一の装置として一体形成することもできるし、これらの構成要素が複数の独立型装置として存在していてもよい。画像プロセッサ361は幾つかの作用を果たすことができる。第一に、画像プロセッサ361は、患者の解剖学的構造の撮像データを取得するように医用撮像モダリティ340に指示することができる。さらに、画像プロセッサ361は、PACSシステムと交信して画像データを蓄積したり検索したりすることができる。さらに、画像プロセッサ361は、後述する表示器362にデータを与えることができる。最後に、画像プロセッサは多様な画像処理作用を実行することができる。これらの作用としては、2D/3D画像処理、患者の解剖学的構造の3Dデータセットのナビゲーション、及び画像位置揃え等が挙げられる。
【0039】
画像プロセッサ361は、患者の解剖学的構造の3Dデータセットを取得する撮像供給源から3Dモデル又は3D表現を作成することができる。画像プロセッサ361は、表示器362と交信して、表示器362に3D表現を表示させることができる。画像プロセッサ361は、利用者入力に応じて2D/3D画像データに対する演算を実行することができる。例えば、画像プロセッサは、3Dデータセットの異なる像及び視角を計算して、利用者が3D空間をナビゲートするのを可能にすることができる。
【0040】
画像プロセッサ361は、1又は複数の2D画像を患者の解剖学的構造の3Dデータセットに位置揃えすることができる。例えば、1又は複数の2Dフルオロスコピィ静止画像を患者の頭蓋領域の3DCTデータセットに位置揃えすることができる。一実施形態では、2D画像の3Dデータセットへの位置揃えは自動式である。この実施形態の一つの利点は、基準物標識、ヘッドセット又は手動位置揃えのいずれも用いずに一組よりも多い医用撮像データセットを位置揃えする能力である。画像プロセッサ361によって実行される自動式画像位置揃えは、複数の画像データセットを位置揃えするのに要求される時間量を短縮することができる。加えて、自動式画像式位置揃えは、他の位置揃え手法の利用と比較して高められた精度を生ずることができる。
【0041】
表示器362は、医学的処置時に1又は複数の画像を表示するように動作し得る。表示器362は、ワークステーション360と一体形成されていてもよいし、独立型ユニットであってもよい。表示器362は、多様な撮像モダリティからの多様な画像を提示することができる。一例では、表示器362を用いて内視鏡カメラから動画を提供することができる。他の例では、表示器362は、3D画像データセットの2D像を提供することもできる。もう一つの例では、表示器362は、フルオロスコピィ画像データをフルオロスコープ静止画像又はフルオロスコピィ動画の形態で提供することができる。さらにもう一つの例では、表示器362は、複数の画像及び複数の画像データ形式の組み合わせを提供することができる。表示のさらに他の例及び実施形態については、後に改めて述べる。
【0042】
ワークステーション360の入力装置364は、コンピュータ・マウス、キーボード、ジョイスティック、マイクロフォン、又は操作者によって用いられてワークステーション360に入力を供給する任意のデバイスであってよい。操作者は、人間であっても機械であってもよい。入力装置を用いて、患者の解剖学的構造の3Dデータセットをナビゲートしたり、表示器362を変化させたり、副鼻洞形成術装置320のような手術装置を制御したりすることができる。
【0043】
手術ナビゲーション・システム300の各構成要素は、例えば有線通信及び/又は無線通信を介して交信することができ、例えば別々のシステムであってもよいし且つ/又は様々な程度まで一体形成されていてもよい。
【0044】
ワークステーション360は、有線通信及び/又は無線通信を介して医用撮像モダリティ340と交信することができる。例えば、ワークステーション360は医用撮像モダリティ340の動作を制御することができる。加えて、医用撮像モダリティ340は、取得された画像データをワークステーション360へ供給することができる。かかる通信の一例はコンピュータ網を介したものである。さらに、医用撮像モダリティ340及びワークステーション360は、PACSシステムと交信することもできる。さらに、医用撮像モダリティ340、ワークステーション360、及びPACSシステムは様々な程度まで一体形成されていてよい。
【0045】
もう一つの例では、ワークステーション360を副鼻洞形成術装置320に接続することができる。さらに明確に述べると、副鼻洞形成術装置320を、任意の電気的リンク又は通信リンクを介してワークステーション360に接続することができる。副鼻洞形成術装置320は、取り付けられている内視鏡からワークステーション360へ動画又は静止画像を供給することができる。加えて、ワークステーション360は、風船カテーテル324を膨らませる及び/又は萎ませるように指令する制御信号を副鼻洞形成術装置320へ送ることができる。
【0046】
手術ナビゲーション・システム300は、患者の体内に配置された医療器具を追跡し、指向させ且つ/又は案内する。さらに明確に述べると、図3に示すように、手術ナビゲーション・システム300は、耳鼻咽喉処置又は他の手術に用いられる医療装置を追跡し、指向させ且つ/又は案内することができる。利用者はワークステーション360を操作して、手術装置の撮像データを患者の解剖学的構造に関して観察することができる。加えて、利用者は、患者の解剖学的構造の内部での手術装置の移動をワークステーション360を介して制御することができる。代替的には、利用者は、手術装置の移動を手動で制御することもできる。表示器362は、患者の解剖学的構造の内部での手術装置の位置を表示することができる。
【0047】
動作について述べると、術前撮像モダリティが、患者の解剖学的構造の1又は複数の術前画像を得る。術前撮像モダリティは、医療診断撮像装置のように患者の解剖学的構造の画像を捕捉することが可能な任意の装置を含み得る。一実施形態では、術前撮像モダリティは、患者の頭蓋領域310の1又は複数の術前3Dデータセットを取得する。術前3Dデータセットは、計算機式断層写真法及び磁気共鳴を含めた多様な撮像モダリティによって取得され得る。術前3Dデータセットは、如何なる特定の撮像モダリティにも限定されない。同様に、術前撮像モダリティはまた、患者の頭蓋領域310の1又は複数の術前2D画像を取得することができる。術前2D画像は、フルオロスコープを含めた多様な撮像モダリティによって取得され得る。代替的には、上述の術前画像は、医学的処置又は手術の経過中に代わりに取得されてもよい。
【0048】
術前撮像は、コンピュータ又は他の任意の電子媒体に記憶され得る。明確に述べると、術前3Dデータセット及び術前2D画像は、ワークステーション360、PACSシステム、又は他の任意の記憶装置に記憶され得る。
【0049】
また、医用撮像モダリティ340は、患者の解剖学的構造の1又は複数の術中画像を取得する。明確に述べると、医用撮像モダリティ340は、Cアーム342の1又は複数の位置から患者の頭蓋領域310の1又は複数の術中フルオロスコピィ画像を取得する。
【0050】
患者の頭蓋領域310の術中フルオロスコピィ画像は、ワークステーション360へ伝達される。加えて、ワークステーション360は患者の頭蓋領域310の術前3Dデータセットにアクセスする。次いで、画像プロセッサ361は、術中フルオロスコピィ画像を術前3Dデータセットと整列させる。
【0051】
画像プロセッサ361は、画像式位置揃え手法を用いて3Dデータセットをフルオロスコピィ画像と整列させる。前述のように、位置揃えは、画像データの特徴に基づく自動式であってよい。画像プロセッサ361は、多様な画像位置揃え手法を用い得る。原画像はしばしば参照画像と呼ばれ、参照画像に対して写像される画像は標的画像と呼ばれる。
【0052】
画像プロセッサ361は、患者の解剖学的構造の識別可能な各特徴を比較するラベル式位置揃え手法を用いることができる。ラベル式手法は、複数のデータセットの相同構造を識別して、画像の識別可能な点に最もよく重なる変換を求めることができる。画像プロセッサ361はまた、ラベル式以外の位置揃え手法を用いることもできる。ラベル式以外の位置揃え手法は、画像データ同士の間の差の指標を最小化する空間的変換を実行することができる。画像プロセッサはまた、剛体型及び/又は弾性型位置揃え手法を用いて画像データセットを位置揃えすることができる。加えて、画像プロセッサは、最尤法、近似的最尤法、Kullback-Leibler情報量、及び相互情報量のような類似性測定式位置揃えアルゴリズムを用いてもよい。画像プロセッサ361はまた、グレイ・スケール式画像位置揃え手法を用いてもよい。
【0053】
画像プロセッサ361はまた、面積式方法及び特徴式方法を用いることもできる。面積式画像位置揃え方法では、アルゴリズムは相関距離、フーリエ特性及び他の構造解析手段を介して画像の構造を見る。しかしながら、殆どの特徴式方法は、画像の全体構造を見るのではなく、直線、曲線、点、線交点、及び境界等の画像特徴の相関に対する画像の構造の写像を微調整するものである。
【0054】
画像位置揃えアルゴリズムはまた、参照画像空間を標的画像空間に関連付けるのに用いられる変換モデルに従って分類され得る。変換モデルの第一の大範疇は、並進、回転、大域的拡縮、剪断及び視角の各成分の組み合わせである線形変換を含んでいる。線形変換は本質的に大域的であり、従って局所的変形をモデル化することは可能でない。通常、視角成分は位置揃えには必要とされないので、この場合には線形変換はアフィン変換となる。
【0055】
第二の範疇は、「弾性型」変換又は「非剛体型」変換を含む。これらの変換は、画像特徴の局所的な歪みを許容し、従って局所的な変形のサポートを提供し得る。非剛体型変換アプローチには、多角形歪み、平滑基底関数の補間(薄板スプライン及びウェーブレット)、並びに物理的連続体モデル(粘性流体モデル及び大変形微分同相)等がある。
【0056】
画像位置揃え方法はまた、二つの画像領域の間の変換を算出するのに必要とされる探索の形式の観点から分類することもできる。探索式方法では、異なる画像変形の効果を評価して比較する。Lucas Kanade法及び位相式方法のような直接型の方法では、画像変形の推定が局所的な画像統計から算出され、次いで、二つの領域の間の推定された画像変形を更新するのに用いられる。
【0057】
もう一つの有用な分類は、単一モダリティ型及び多数モダリティ型の間で位置揃えアルゴリズムを分類する。単一モダリティ型位置揃えアルゴリズムは、同じモダリティの画像(すなわち同種の撮像装置を用いて取得された画像)同士を位置揃えするためのものであるが、多数モダリティ型位置揃えアルゴリズムは相異なる撮像装置を用いて取得された画像同士を位置揃えするためのものである。
【0058】
画像類似性式方法も医用撮像に広く用いられている。基本的な画像類似性式方法は、参照画像座標に適用されて標的画像空間での対応する座標を求める変換モデル、所与の変換によって達成される両画像空間の特徴の間の対応度を定量化する画像類似性距離、及び変換パラメータを変化させることにより画像類似性を最大化するように試行する最適化アルゴリズムから成る。
【0059】
画像類似性尺度の選択は、位置揃えさせたい画像の性質に依存する。画像類似性尺度の一般的な例としては、相互相関、相互情報量、平均自乗差及び比率画像一様性等がある。相互情報量及びその変形である正規化相互情報量は、多数モダリティ画像の位置揃えについて最も普及した画像類似性尺度である。相互相関、平均自乗差及び比率画像一様性は、同じモダリティの画像同士の位置揃えに広く用いられている。
【0060】
画像プロセッサ361が複数の画像データを位置揃えした後に、手術装置が患者の解剖学的構造においてナビゲートされ追跡され得る。さらに明確に述べると、フルオロスコピィ画像が3Dデータセットに位置揃えされた後に、副鼻洞形成術装置320をフルオロスコピィ画像及び3Dデータセットの両方において同時にナビゲートすることができる。装置が患者の解剖学的構造の内部を移動するにつれて、画像プロセッサ361はフルオロスコピィ画像を3Dデータセットに位置揃えすることから得られる3D空間において表示される副鼻洞形成術装置320の位置を更新することができる。
【0061】
医学的処置中には、さらなる術中撮像を取得することができる。付加的な術中画像もまた、二組の画像データセットの前回の位置揃えから得られる既存の3D空間に位置揃えされ得る。例えば、副鼻洞形成術処置が開始した後に付加的なフルオロスコープ画像を撮影することができる。これら更新後のフルオロスコピィ画像を、前回のフルオロスコピィ画像を術前CTデータセットに位置揃えしたことから作成される既存の3D空間に位置揃えすることができる。この更新後の再位置揃えは、副鼻洞形成術装置320をナビゲートするのに用いられる3D空間の精度を高めることができる。
【0062】
副鼻洞形成術処置中には、副鼻洞形成術装置320は適当な位置までナビゲートされる。上述のように、風船カテーテル324を膨らませて副鼻洞通路を拡張する。風船カテーテル324の膨張中に、イメージャ342は実時間(live)フルオロスコピィ撮像を取得することができる。実時間フルオロスコピィ撮像を表示器362に表示させて、利用者が膨脹を発生と共に監視することを可能にすることができる。また、実時間フルオロスコピィ撮像を用いて再位置揃えを通して3D空間を更新することもできる。次に、利用者は風船カテーテル324を操作して、膨張を停止して収縮を開始することができる。風船カテーテル324が萎んだ後に、副鼻洞形成術装置320を除去することができる。処置が成功したことを保証するために、副鼻洞形成術装置324の除去の後に付加的なフルオロスコピィ画像を取得して患者の解剖学的構造を観察してもよい。従来の医療装置ナビゲーションの方法は、医学的処置の全体にわたる実時間連続フルオロスコピィ動画撮像に頼っていた。医用ナビゲーション・システム300の実施形態は、1又は複数のフルオロスコピィ静止ショットのみを用いて医療装置をナビゲートする。この改良型システムの実施形態の一つの利点は、電離放射線の全実効線量が低くなることである。
【0063】
手術ナビゲーション・システム300は、副鼻洞形成術装置320との併用に限定されない。代替的に、図3に示す手術ナビゲーション・システム300を用いて患者の解剖学的構造の内部に配置され得る任意の医療装置を追跡してナビゲートすることができる。例えば、一旦、位置揃えが実行されたら、手術用具、套管、カテーテル、内視鏡又は他の任意の手術装置を患者の解剖学的構造の内部でフルオロスコピィ画像及び3Dデータセットにおいて同時にナビゲートすることができる。加えて、手術ナビゲーション・システム300は、患者の頭蓋領域310ばかりでなく患者の解剖学的構造の任意の部位において用いることができる。
【0064】
代替的な実施形態では、副鼻洞形成術装置320は、ロボット・アームのような機械的装置によって操作され得る。例えば、外科医はコンピュータ360に付設されている入力装置364を用いて、ロボット・アームの制御を指令することができる。すると、ロボット・アームが副鼻洞形成術装置320の移動を制御することができる。
【0065】
図4は、本発明の一実施形態に従って用いられる例示的な表示装置を示す。表示器462は、前述の表示器と同様に動作し得る。表示装置462はさらに、ウィンドウ410、ウィンドウ420、ウィンドウ430、ウィンドウ440及びウィンドウ450を含み得る。表示装置462のこれらのウィンドウは、利用者に多様な視覚的情報を与えることができる。例えば、ウィンドウは、CT、MR又はフルオロスコープでレンダリングされた3D像及び内視鏡による画像又は動画を含めた多様な撮像モダリティからの前後方向像、左右方向像及び上下方向像を表示することができる。加えて、表示器362は、医学的処置に関連する文字データを与えることもできる。図4に示すように、ウィンドウ410は前後方向CT像を与え、ウィンドウ420は左右方向CT像を与え、ウィンドウ430は上下方向CT像を与え、ウィンドウ440はフルオロスコープ像を与え、ウィンドウ450は医学的処置に関連する文字データを与える。
【0066】
図5は、本発明の一実施形態による医用ナビゲーション・システム500を示す。ナビゲーション・システム500は、ワークステーション560、撮像モダリティ540、PACS590、手術装置520、及び表示器562を含んでいる。ワークステーション560はさらに、制御器580、メモリ581、表示エンジン582、ナビゲーション・インタフェイス583、網インタフェイス584、手術装置制御器585、及び画像プロセッサ561を含んでいる。ワークステーション560は、複数のモジュールの集合として概念的に示されているが、専用ハードウェア基板、ディジタル信号プロセッサ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ、及びプロセッサの任意の組み合わせを用いて具現化され得る。代替的には、各モジュールは、単一のプロセッサ又は多数のプロセッサを備えた既製のコンピュータを用いて、作用動作をプロセッサの間で分散させて具現化されていてもよい。一例として、画像位置揃え計算のための専用プロセッサと、視覚化動作のための専用プロセッサとを有することが望ましい場合がある。さらに他の選択肢として、各モジュールは、幾つかのモジュール型作用を専用ハードウェアを用いて実行し、残りのモジュール型作用を既製のコンピュータを用いて実行するハイブリッド構成を用いて具現化されていてもよい。制御器580が各モジュールの動作を制御することができる。制御器580、メモリ581、表示エンジン582、ナビゲーション・インタフェイス583、網インタフェイス584、手術装置制御器585、及び画像プロセッサ561は、ワークステーション560のモジュールである。このようなものとして、各モジュールは、ワークステーション560のシステム・バスを介して互いに交信する。システム・バスは、PCI、PCIe、又は他の任意の同等のシステム・バスであってよい。
【0067】
図5に示すように、ワークステーション560は、撮像モダリティ540、PACS590、手術装置520、及び表示器562と通信している。通信は、無線通信及び/又は有線通信の任意の形態であってよい。ワークステーション560の制御器580は、システム500の他要素と通信するように網インタフェイス584を動作させることができる。例えば、網インタフェイス584は、閉域網を介してPACS590又は撮像モダリティ540と通信する有線又は無線のイーサネット・カード(「イーサネット」は商標)であってよい。
【0068】
動作について述べると、ワークステーション560は、手術装置520をナビゲートするように動作する。さらに明確に述べると、ワークステーション560は、画像プロセッサ561を用いて複数の画像データセットを位置揃えし、次いで、位置揃え済み画像空間において手術装置をナビゲートする。一例では、撮像モダリティが患者の解剖学的構造の1又は複数の術前画像を取得する。好適実施形態では、術前画像は3Dデータを含んでいる。明確に述べると、患者の解剖学的構造の計算機式断層写真法画像又は磁気共鳴画像を含んでいる。術前画像は、PACS590に蓄積され得る。
【0069】
医学的処置時に、利用者はワークステーション560を動作させて、手術器具520を患者の解剖学的構造においてナビゲートすることができる。利用者はマウス、キーボード、トラックボール、タッチスクリーン、音声起動式命令、又は他の任意の入力装置を介してワークステーションを動作させることができる。制御器580は、術前画像データにアクセスすることによりナビゲーション工程を開始する。制御器580は網インタフェイス584に、PACS590から術前画像データを検索するように指令する。制御器580は術前画像データをメモリ581に読み込む。メモリ581は、RAM、フラッシュ・メモリ、ハード・ディスク・ドライブ、テープ、CD−ROM、DVD又は他の任意の適当なデータ記憶媒体であってよい。
【0070】
次に、利用者は、手術装置520を操作して患者に医学的処置を施すことができる。典型的な実施形態では、利用者は手術装置520を患者の解剖学的構造の内部に配置する。ワークステーション560は、患者の解剖学的構造の内部に手術装置520の像を表示するように動作することができる。制御器580は撮像モダリティと交信して、患者の解剖学的構造の術中画像データを取得させる。一例では、撮像モダリティ540は、Cアームに配置されたフルオロスコープを含んでいる。制御器580は、Cアームの1又は複数の位置において1又は複数のフルオロスコピィ画像を取得するように撮像モダリティに指令する。撮像モダリティ540は術中画像データを制御器580へ伝達する。術中画像データは、患者の解剖学的構造の内部での手術装置520の画像を含み得る。撮像モダリティ540と制御器580との間の交信は、網インタフェイス584、又は他の装置と交信するために用いられるワークステーション540のその他任意のインタフェイスを通過し得る。インタフェイスはハードウェア・デバイスであってもソフトウェアであってもよい。
【0071】
制御器580は、術中撮像データをメモリ581に配置する。制御器580は、術前画像データ及び術中画像データに対して撮像作用を施すように画像プロセッサ561に指令する。例えば、制御器580は、1又は複数の術中フルオロスコープ画像を術前CT画像データセットに位置揃えするように画像プロセッサに指令することができる。画像プロセッサ561は、本出願の他の箇所で説明した画像位置揃え手法を用いて術前画像データと術後画像データとを位置揃えする。好適実施形態では、画像位置揃えは、基準物標識、ヘッドセット、又は利用者からの手動入力のいずれの利用も伴わない画像式である。画像位置揃えはまた、利用者からの入力を伴わず自動的に生じてもよい。例えば、術中画像が取得されたときに、画像プロセッサ561は利用者からのさらなる入力を伴わずに術中画像を術前画像に位置揃えすることができる。もう一つの例では、さらに他の術中画像が取得される場合に、画像プロセッサ361は利用者からのさらなる入力を伴わずに新たに取得された術中画像を既存の位置揃え済み画像と再位置揃えすることができる。画像プロセッサ561は、画像位置揃えの結果として位置揃え済み画像を作成する。一例では、位置揃え済み画像は、患者の解剖学的構造の内部での手術装置520の位置を示す3D画像であってよい。画像プロセッサ561は、位置揃え済み画像を表示エンジン582へ伝達する。
【0072】
ナビゲーション・インタフェイス583は、患者の解剖学的構造の内部で手術装置520をナビゲートすることに関連する様々な観点を制御するように動作することができる。例えば、ナビゲーション・インタフェイス583は、付加的な術中画像を撮像モダリティ540から取得するように制御器580に依頼することができる。ナビゲーション・インタフェイス583は、利用者入力、時間間隔、手術装置520の位置、又は他の任意の規準に基づいて、付加的な術中撮像を依頼することができる。さらに、利用者が、連続した術中撮像を依頼するようにナビゲーション・インタフェイス583を動作させることができる。連続的な術中撮像の例としては、実時間フルオロスコピィ動画撮像又は内視鏡カメラ装置によって提供される動画等がある。利用者はまた、フォーマット、スタイル、視点、モダリティ、又は表示器562によって表示される画像データのその他の特性を変更するようにナビゲーション・インタフェイス583を動作させることができる。ナビゲーション・インタフェイス583は、これらの利用者入力を表示エンジン582へ伝達することができる。
【0073】
表示エンジン582は、視覚的データを表示器562へ供給する。表示エンジン582は、画像プロセッサ561から位置揃え済み画像を受け取ることができる。次いで、表示エンジンは、位置揃え済み画像に関連するグラフィック出力又は他の任意の利用可能な表示データを供給する。例えば、表示エンジン582は、位置揃え済み画像に基づいて3D画像をレンダリングすることができる。表示エンジン582は、レンダリング済み3D画像又はレンダリング済み3D画像のレンダリング済み3平面像を表示器562へ出力することができる。表示エンジン582は、任意の視角からの位置揃え済み画像の表示像を出力することができる。加えて、表示エンジン582は、医学的処置に関連する動画データ、図形データ又は文字データを出力することができる。
【0074】
代替的な実施形態では、ナビゲーション・インタフェイス583は、手術装置520と交信することができる。明確に述べると、手術装置は、手術装置520の位置変化を測定することが可能な配置センサを含み得る。配置センサは、電磁式センサであっても慣性式センサであってもよい。手術装置520が位置を変化させると、配置センサはナビゲーション・インタフェイス583へデータを伝達することができる。ナビゲーション・インタフェイス583は、センサから受け取ったデータを基に位置変化を計算する。代替的には、配置センサをプロセッサと一体形成して、位置変化を計算して更新後の位置をナビゲーション・インタフェイス583へ供給してもよい。ナビゲーション・インタフェイス583は、手術装置520の位置変化に関連するデータを画像プロセッサ561へ供給する。画像プロセッサ561は、位置変化に関連するデータを基に位置揃え済み画像の内部での手術装置520の位置を更新するように動作する。
【0075】
もう一つの代替的な実施形態では、医用ナビゲーション・システム500は、専有面積が比較的小さい(例えば約1000cm)可搬型ワークステーション560を含んでいる。様々な代替的な実施形態によれば、さらに小さい又はさらに大きい任意の適当な専有面積を用いてよい。表示器562は、ワークステーション562に一体形成されていてもよい。様々な表示器構成を用いて手術室の人間工学を改善し、様々な像を表示し、又は様々な場所にいる人員に情報を表示することができる。例えば、第一の表示器が医用ナビゲーション・システムに含まれていてよく、第一の表示器よりも大型の第二の表示器が可搬型台車に装着される。代替的には、表示器の1又は複数が手術用ブームに装着されていてもよい。手術用ブームは、天井装着型であってもよいし、手術台に取り付け可能であってもよいし、可搬型台車に装着されてもよい。
【0076】
図6は、本発明の一実施形態に従って医療装置をナビゲートする方法を示す。先ず、ステップ610では、患者の解剖学的構造の術前画像を取得する。上述のように、術前画像データは、計算機式断層写真法又は磁気共鳴による撮像のような3D撮像モダリティであってよい。術前画像データはPACSに蓄積されてもよい。
【0077】
次に、ステップ620では、患者の解剖学的構造の術中画像を取得する。医学的処置中に、さらに他の画像データを取得してもよい。例えば、Cアームに装着されたフルオロスコープ撮像装置から患者の解剖学的構造の1又は複数の画像を取得することができる。
【0078】
ステップ630では、術中画像データを術前画像データと位置揃えする。術前画像データ及び術中データは、前述の画像位置揃え手法を用いて位置揃えされる。例えば、撮像ワークステーションが、術前画像データ及び術中画像データに画像式位置揃え手法を適用して位置揃え済み画像を作成することができる。一例では、位置揃え済み画像は患者の解剖学的構造の3D画像データを含んでいる。術前撮像データはPACSシステムから検索されてもよい。
【0079】
ステップ640では医療装置を患者の解剖学的構造の内部に配置する。医療装置は、医学的処置に用いられる任意の器具であってよい。一例では、医療装置は、前述のような副鼻洞形成術装置である。
【0080】
ステップ650では、医療装置を患者の解剖学的構造の内部でナビゲートする。上述の患者の解剖学的構造の位置揃え済み画像を表示装置に表示する。さらに、患者の解剖学的構造の内部での医療装置の位置を位置揃え済み画像に示す。医療装置を患者の解剖学的構造の内部で移動させることができる。患者の解剖学的構造の内部での医療装置の位置が変化するにつれて、位置揃え済み画像の内部での医療装置の位置も変化する。
【0081】
ステップ660では、更新した術中撮像データを取得することができる。位置揃え済み画像が作成された後の任意の時刻に、付加的な術中画像データを取得することができる。例えば、医療装置が患者の解剖学的構造の内部に挿入された後に、付加的な術中画像データを取得することができる。もう一つの例では、医療装置を操作する前に付加的な術中画像データを取得する。
【0082】
次に、ステップ670では、更新後の術中画像データを以前にステップ630において位置揃えされた画像データと位置揃えする。ステップ660において取得された付加的な術中画像データをステップ630において作成された位置揃え済み画像に再位置揃えする。これにより、更新後の位置揃え済み画像が作成される。更新後の位置揃え済み画像は、患者の解剖学的構造、及び患者の解剖学的構造の内部の医療装置の位置についてのさらに正確な画像を与えることができる。複数の撮像モダリティに関連する複数の術中画像を取得して、位置揃え済み画像と再位置揃えすることもできる。
【0083】
次いで、ステップ680では、患者の解剖学的構造の内部で医療装置を操作する。前述のように、医療装置は、患者の解剖学的構造の内部に配置された任意の医療器具又は手術器具であってよい。特定的な例として、医療装置は副鼻洞形成術装置であってよい。動作について述べると、副鼻洞形成術装置は、患者の頭蓋領域の内部の収縮した又は遮断された副鼻洞通路までナビゲートされる。位置揃え済み画像を用いて副鼻洞形成術装置が所望の位置までナビゲートされた後に、撮像モダリティは、付加的な術中画像を取得して、更新後の位置揃え済み画像を作成することができる。更新後の位置揃え済み画像は、副鼻洞形成術装置が所望の位置までうまくナビゲートされたことを裏付ける。次に、副鼻洞形成術装置は動作を開始する。明確に述べると、風船カテーテルが膨らんで、収縮した副鼻洞通路を拡張させる。副鼻洞形成術装置が副鼻洞通路を拡張させた後に、副鼻洞形成術装置を萎ませる。一例では、フルオロスコープが、膨張工程及び収縮工程での実時間フルオロスコピィ撮像を提供することができる。
【0084】
最後に、ステップ690では、医療装置を患者の解剖学的構造の内部から除去する。医療装置は、この除去工程でも更新後の位置揃え済み画像を用いてナビゲートされ得る。
【0085】
所載の方法には幾つかの代替的な実施形態が存在する。一実施形態では、術前画像を取得しない。代わりに、1よりも多い術中画像を取得する。もう一つの実施形態では、医療装置が患者の解剖学的構造の内部に配置された後に術中画像を取得する。他の実施形態では、副鼻洞形成術装置の動作の後に、また副鼻洞形成術装置の除去の後に、さらに術中画像を取得する。
【0086】
代替的な実施形態では、図6に掲げたステップの1又は複数を省いてもよい。加えて、図6に掲げたステップは、所載の特定の順序に限定されている訳ではない。
【0087】
以下に改めて詳述するように、本発明の幾つかの実施形態は、2Dフルオロスコピィ画像に加えて、厳密な上下方向像のような3D計算機式断層写真法(CT)データセットにおいて術中ナビゲーションを提供する。幾つかの実施形態では、CTデータセットを、標準的な前後方向及び左右方向のフルオロスコピィ画像に対する相関決定を介して、術中に患者に対して位置揃えする。処置が進行するにつれて、付加的な二次元画像が、CTデータセットの再位置揃えを必要とせずに取得されてナビゲートされ得る。
【0088】
幾つかの実施形態は、多数のレベルの処置の配置を可能にするツールを提供する。画面上のテンプレートを用いて埋植物の長さ及び寸法を選択することができる。システムは多数のレベルに配置された埋植物の位置を記憶することができる。利用者は、付加的な埋植物の配置時に、記憶されたオーバレイを参照のために呼び出すことができる。加えて、幾つかの実施形態は、ナビゲート式測定を行なうことにより、各構成要素の試行錯誤方式のフィッティングを省くのに役立つ。幾つかの実施形態では、関連する解剖学的構造及び埋植物の隣りに画面上注釈が現われる。
【0089】
幾つかの実施形態では、相関方式位置揃えアルゴリズムを利用して信頼性のある位置揃えを提供する。標準的な前後方向及び左右方向のフルオロスコピィ画像を取得することができる。脊椎のレベルが選択され、画像が位置揃えされる。脊椎のレベルの選択は、例えばナビゲートされている器具を実際の解剖学的構造においてポイントすることにより達成される。
【0090】
このように、幾つかの実施形態は、外科医が切開処置又は経皮的処置のいずれの際にも人体のあらゆる場所で解剖学的構造の位置を決定する助けとなる。幾つかの実施形態は、例えば腰椎及び/又は仙椎のレベルで用いることができる。幾つかの実施形態は、DICOMへの準拠を提供し、ガントリ傾斜及び/又は可変スライス間隔をサポートする。幾つかの実施形態は、自動窓指定、及び記憶されたプロファイルとの中心合わせを提供する。幾つかの実施形態は、相関式2D/3D位置揃えアルゴリズムを提供して、例えば実時間の多平面切除術を可能にする。
【0091】
以上、図面を参照して幾つかの実施形態を説明した。これらの図面は、本発明のシステム及び方法及びプログラムを具現化する特定の実施形態の幾つかの詳細を図示している。しかしながら、図面による本発明の記載は、本発明に対し、図面に示す特徴に関連する如何なる制限も加えないものと解釈されるべきである。本発明は、発明の動作を達成する方法、システム、及び任意の機械読み取り可能な媒体上のプログラム・プロダクトを思量している。前述のように、本発明の実施形態は、既存のコンピュータ・プロセッサを用いて、又はこの目的若しくは他の目的のために組み入れられた特殊目的用コンピュータ・プロセッサによって、又は結線システムによって具現化され得る。
【0092】
前述のように、本発明の範囲内にある実施形態は、機械実行可能な命令又はデータ構造を担持し又は記憶した機械読み取り可能な媒体を含むプログラム・プロダクトを含んでいる。かかる機械読み取り可能な媒体は、汎用若しくは特殊目的用コンピュータ、又はプロセッサを有する他の機械によってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であってよい。例として述べると、かかる機械読み取り可能な媒体は、RAM、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュ、CD−ROM若しくは他の光学的ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶装置、又は所望のプログラム・コードを機械実行可能な命令若しくはデータ構造の形態で担持し若しくは記憶するのに用いることができ、汎用若しくは特殊目的用コンピュータ又はプロセッサを有する他の機械によってアクセスすることのできるその他任意の媒体を含み得る。情報が網又は他の通信接続(結線、無線、又は結線若しくは無線の組み合わせのいずれか)を介して機械に転送され又は供給されるときに、機械は接続を機械読み取り可能な媒体として適正に見る。このようにして、かかる任意の接続は、機械読み取り可能な媒体と適正に称される。上述の組み合わせもまた機械読み取り可能な媒体の範囲に含まれる。機械実行可能な命令は例えば、汎用コンピュータ、特殊目的用コンピュータ、又は特殊目的用処理機械に、何らかの作用又は作用群を果たさせるような命令及びデータを含んでいる。
【0093】
本発明の実施形態は、一実施形態ではプログラム・コードのような機械実行可能な命令を、例えば網化された環境で機械によって実行されるプログラム・モジュールの形態で含んでいるプログラム・プロダクトによって具現化され得る方法ステップの一般的な文脈で記載されている。一般的には、プログラム・モジュールは、特定のタスクを実行し又は特定の抽象的なデータ型を具現化するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント及びデータ構造等を含んでいる。機械実行可能な命令、関連するデータ構造、及びプログラム・モジュールは、本書に開示された方法のステップを実行するプログラム・コードの例を表わしている。かかる実行可能な命令の特定の系列又は関連するデータ構造は、かかるステップに記載された機能を具現化する対応する動作の例を表わしている。
【0094】
本発明の実施形態は、プロセッサを有する1又は複数のリモート・コンピュータへの論理的接続を用いて網化された環境で実施することができる。論理的接続は、本書において限定ではなく例示のために提示されている閉域網(LAN)及び広域網(WAN)を含み得る。かかる網環境は、オフィス内又は企業内コンピュータ網、構内網及びインターネットとして普及しており、広範な異なる通信プロトコルを用いることができる。当業者は、かかる網計算機環境が典型的には、パーソナル・コンピュータ、ハンド・ヘルド型装置、マルチプロセッサ・システム、マイクロプロセッサ方式又はプログラム可能型の消費者向け電子機器、ネットワークPC、ミニコンピュータ、及びメインフレーム・コンピュータ等を含めて、多くの形式のコンピュータ・システム構成を包含することを認められよう。本発明の実施形態はまた、通信網を介してリンクされる(結線リンク、無線リンク、又は結線リンク若しくは無線リンクの組み合わせのいずれかによる)ローカル及びリモートの処理装置によってタスクが実行される分散型計算機環境で実施されてもよい。分散型計算機環境では、プログラム・モジュールはローカル及びリモートの両方のメモリ記憶装置に位置していてよい。
【0095】
本発明の全体システム又は各部分を具現化する例示的なシステムは、処理ユニット、システム・メモリ、及びシステム・メモリを含む様々なシステム構成要素を処理ユニットに結合するシステム・バスを含むコンピュータの形態にある汎用計算機装置を含み得る。システム・メモリは読み出し専用メモリ(ROM)及びランダム・アクセス・メモリ(RAM)を含み得る。コンピュータはまた、磁気ハード・ディスクに対する読み書きを行なう磁気ハード・ディスク・ドライブ、取り外し可能な磁気ディスクに対する読み書きを行なう磁気ディスク・ドライブ、及びCD−ROM又は他の光学的媒体のような取り外し可能な光ディスクに対する読み書きを行なう光ディスク・ドライブを含み得る。これらのドライブ及び関連する機械読み取り可能な媒体は、コンピュータ用の機械実行可能な命令、データ構造、プログラム・モジュール及び他のデータの不揮発性記憶を提供する。
【0096】
本発明の実施形態に関する以上の説明は、例示および説明の目的のために提示されている。説明は網羅的であること又は本発明を開示された厳密な形態に限定することを意図しておらず、以上の教示に照らして改変及び変形が可能であり、本発明の実施から改変及び変形が取得され得る。実施形態は、発明の原理及び実際的な応用を説明するために選択され記載されており、当業者が本発明を様々な実施形態として、また想到される特定の用途に適するように様々な改変を施して利用することを可能にしている。
【0097】
当業者は、本書に開示された実施形態が任意の医用ナビゲーション・システムの形成に適用され得ることを認められよう。請求される主題の実施形態の幾つかの特徴を本書に記載するように説明したが、当業者には多くの改変、置換、変形及び均等構成が想到されよう。加えて、幾つかの機能ブロック及び機能ブロックの間の関係を詳細に説明したが、当業者には、動作の幾つかは他の動作を用いることなく実行することができ、又は追加の機能若しくは機能の間の関係を確立して、請求される主題に依然従うものとし得ることが思量されよう。従って、特許請求の範囲は、請求される主題の実施形態の真意に含まれるような全ての改変及び変形を網羅するものと理解されたい。
【0098】
本発明の各実施形態の1又は複数は、改良型医療装置ナビゲーションの改良型システム及び方法を提供する。明確に述べると、一実施形態は、複数の撮像モダリティの自動式位置揃えを行なうシステムを提供する。各実施形態は、基準物標識、ヘッドセット又は手動位置揃えのいずれの利用も伴わない画像位置揃えのシステム及び方法を教示する。このように、各実施形態は、短縮された時間量で、患者の解剖学的構造の内部で医療装置をナビゲートすることを可能にする画像位置揃えの単純化された方法を教示する。さらに、各実施形態は、少ないフルオロスコピィ画像によって患者の解剖学的構造において医療装置をナビゲートすることを教示し、結果として患者が受ける放射線量を低減する。加えて、これら改良型の画像位置揃えのシステム及び方法は、位置揃え済み画像の精度を高める。
【0099】
幾つかの実施形態を参照して本発明を説明したが、当業者には、本発明の範囲から逸脱せずに様々な変形を施し、また均等構成を置換し得ることが理解されよう。加えて、本発明の範囲から逸脱せずに、特定の状況又は材料を本発明の教示に合わせて適応構成する多くの改変を施すことができる。従って、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に属する全ての実施形態を包含するものとする。また、図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は、単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり、本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして、本願の特許請求の範囲に記載した事項は、明細書に組み込まれ、明細書の記載事項の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の一実施形態に従って用いられる副鼻洞形成術システムを示す図である。
【図2A】本発明の一実施形態による副鼻洞形成術装置の用法を示す図である。
【図2B】本発明の一実施形態による副鼻洞形成術装置の用法を示す図である。
【図2C】本発明の一実施形態による副鼻洞形成術装置の用法を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に従って用いられる例示的な手術ナビゲーション・システムを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に従って用いられる例示的な表示装置を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態による医用ナビゲーション・システムを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に従って医療装置をナビゲートする方法を示す図である。
【符号の説明】
【0101】
100 副鼻洞形成術システム
110 頭蓋領域
112 副鼻洞通路
114 副鼻洞通路
120 副鼻洞形成術装置
122 ガイド・ワイヤ
124 カテーテル風船
126 套管
210 頭蓋領域
212 副鼻洞通路
214 副鼻洞通路
220 副鼻洞形成術装置
224 風船カテーテル
226 套管
300 手術ナビゲーション・システム
310 頭蓋領域
320 副鼻洞形成術装置
322 ガイド・ワイヤ
324 風船カテーテル
326 套管
340 医用撮像モダリティ
344 フルオロスコープ・イメージャ
346 フルオロスコープ受像器
360 ワークステーション
361 画像プロセッサ
362 表示器
364 入力装置
410、420、430、440、450 ウィンドウ
462 表示装置
500 ナビゲーション・システム
520 手術装置
540 撮像モダリティ
560 ワークステーション
561 画像プロセッサ
562 表示器
580 制御器
581 メモリ
582 表示エンジン
583 ナビゲーション・インタフェイス
584 網インタフェイス
585 手術装置制御器
590 PACS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の頭蓋の解剖学的構造の画像を位置揃えするシステム(300、500)であって、
患者の頭蓋の解剖学的構造の第一の画像を生成する第一のイメージャ(340、540)と、
前記患者の頭蓋の解剖学的構造の第二の画像を生成する第二のイメージャ(340、540)であって、前記第一のイメージャとは異なる撮像モダリティを含んでいる第二のイメージャ(340、540)と、
前記患者の頭蓋の解剖学的構造の内部に挿入される医療装置(320、520)と、
前記患者の頭蓋の解剖学的構造の位置揃え済み画像を作成するために前記第一の画像を前記第二の画像に位置揃えする画像プロセッサ(361、561)と、
前記位置揃え済み画像に関する前記医療装置(320、520)の位置を表示する表示装置と
を備えたシステム(300、500)。
【請求項2】
前記第二のイメージャ(340、540)は、前記患者の頭蓋の解剖学的構造の第三の画像を生成し、前記画像プロセッサ(361、561)は、前記第三の画像に基づいて前記位置揃え済み画像を修正する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第二のイメージャ(340、540)は、前記患者の頭蓋の解剖学的構造の第三の画像を生成し、前記画像プロセッサ(361、561)は、前記患者の頭蓋の解剖学的構造の再位置揃え済み画像を生成するために、前記位置揃え済み画像を前記第三の画像に位置揃えする、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第一のイメージャ(340、540)は三次元イメージャであり、前記第二のイメージャ(340、540)は二次元イメージャである、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
医学的処置を実行するシステム(300、500)であって、
患者の解剖学的構造の内部に配置され、風船カテーテル(324)を含んでいる医療装置(320、520)と、
患者の解剖学的構造の第一の画像を取得する第一のイメージャ(340、540)と、
患者の解剖学的構造の第二の画像を取得する第二のイメージャ(340、540)と、
前記患者の解剖学的構造の位置揃え済み画像を作成するために、画像式位置揃え手法を用いて前記第一の画像を前記第二の画像に位置揃えする画像プロセッサ(361、561)と、
前記位置揃え済み画像の内部に前記医療装置(320、520)の位置を表示することが可能なワークステーション(360、560)と
を備えたシステム。
【請求項6】
前記風船カテーテル(324)は患者の副鼻洞通路の内部で膨張する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記画像プロセッサ(361、561)は、前記医療装置(320、520)の位置変化に応じて前記位置揃え済み画像の内部の前記医療装置(320、520)の表示位置を更新する、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
医療装置(320、520)をナビゲートする方法であって、
患者の解剖学的構造の第一の画像を取得するステップと、
前記患者の解剖学的構造の内部に医療装置(320、520)を挿入するステップと、
前記患者の解剖学的構造の内部に配置された前記医療装置(320、520)の第二の画像を取得するステップと、
前記患者の解剖学的構造の内部に配置された前記医療装置(320、520)の位置揃え済み画像を作成するために、前記第一の画像を前記第二の画像に位置揃えするステップと、
前記患者の解剖学的構造の内部に配置された前記医療装置(320、520)の前記位置揃え済み画像を表示するステップと
を備えた方法。
【請求項9】
第三の画像を取得するステップと、前記患者の解剖学的構造の内部に配置された前記医療装置(320、520)の再位置揃え済み画像を作成するために、前記第三の画像を前記位置揃え済み画像に位置揃えするステップとをさらに含んでいる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記位置揃えするステップは、画像式位置揃え手法を利用する、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−78144(P2009−78144A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240110(P2008−240110)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】