説明

創傷治療具

本発明に係る創傷治療具は、個別的に液体にさらす際には実質的にゲル化しないが、それらを一緒にして液体にさらすとゲル化する2種以上の材料を備える。この治療具は、止血材料として、又は傷口や生理学的な対象部位から放出される体液を吸収する目的で用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷治療装置に関し、特に、別々に液体にさらす際にゲル化しないが、一緒に液体にさらす際にはゲル化する、2種以上の材料からなる吸収性の創傷治療具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒトであると否とを問わず、動物は、体液の流出を引き起こすけがや傷をこうむることが多い。血液や他の体液がにじむ傷を治療する場合、いかなる個別的な傷口組織にも順応できる吸収性被覆を施すのが有利である。このような被覆は、繊維性包帯又はヒドロゲルによって得られる。繊維性の創傷用包帯は、体液の吸収が不十分なため、及び/又は、凝集性が劣っているため、しばしば傷口から包帯をそのままの状態で剥がすことができない点が問題視されている。
【0003】
ゲルベースの包帯は、凝集性であるために傷口に癒着せず、したがって,創傷治癒に理想的な湿度環境を実現するのみならず、傷口から包帯をそのままの状態で剥がすことができる利点を有している。さらに、この種の包帯は、傷口への癒着性が低いために、患者に痛みを与えることなく、傷口から容易に取り除くことができる。
【0004】
ゲル化性を有する繊維を含む吸収性の包帯のような創傷治療具は、従来から既知である。米国特許第6998509号明細書には、膨張した密着性ゲルを形成して液体を吸収することができるキトサン繊維を含む創傷治療具について記載がある。キトサン繊維は、通常は不溶性、非膨張性および非ゲル化性であるが、酸と熱で処理した場合に不溶性、水による膨張性および水によるゲル化性を呈する構造に変化する。同様の創傷治療具については、米国特許出願公開第2005/0058694号明細書にも記載がある。このようなゲルを用いた包帯は、吸収した液体を捕集しておくのに効果的に作用する。
【0005】
また、例えばカルボキシメチルセルロースのような、ゲル化性繊維による抗菌創傷被覆材も既知である。このような包帯は、例えば、欧州特許出願公開第1882482号明細書や国際公開第03/092755号パンフレットに記載がある。しかしながら、カルボキシメチルセルロースは、それ自身でゲル化するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6998509号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0058694号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1882482号明細書
【特許文献4】国際公開第03/092755号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、流体に触れると優れたゲル化性を発現し、費用効果が高く、潜在的に危険な材料は最小限しか含まず、また環境への影響も低い創傷治療具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、第1の材料と第2の材料を備え、これらの材料は、個別的に液体にさらす際には実質的にゲル化しないが、一緒に液体にさらす際にはゲル化するものである創傷治療具が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一般的に、第1の材料と第2の材料は異なっている。第1の材料と第2の材料は、個別的に液体にさらす際には実質的には全くゲル化しない。それらの材料を一緒にした状態で、本発明の創傷治療具と、例えば水、生理食塩水、体液、血液などの液体、すなわち通常、生理学的な対象部位で使用する際に創傷治療具が接触する液体とが結合する場合のみ、ゲル化が起こる。
【0010】
生理学的な対象部位は、動物の体内又は表面のどの部位でもよい。動物は、ヒトであると否とを問わない。生理学的な対象部位は、傷であっても、例えば手術のように治療中に体を切った部位であってもよい。以下、生理学的な対象部位は、単に例示を目的として傷という。
【0011】
一般的に、本発明の治療具は2種の材料だけで構成されるが、必要であればそれ以上の材料、例えば3〜6種の異なる材料で構成しても良い。使用される材料の非限定的な例としては、酸の効果速度を速めたり遅くしたりした材料や、ゲル化の効果は生じさせないものの湿潤強度又は乾燥強度を与えるあらゆる材料、例えば完全な不織布、高分子ネット、ニットの織物、強い繊維、織物と接合するための接着剤又は凝集剤などを含む。
【0012】
さらに、追加可能な構成物としては、限定はされないが、例えば界面活性剤、着色剤、粘着性の質感を織物に与える接着剤、加工補助剤、不活性物質、充填剤、吸収性ポリマー、抗菌剤、織物との接着を補助する溶解剤などの湿潤材を含む。
【0013】
本発明の1つの態様としては、2種の材料を、治療具中で混合させておいてもよいし、層状に又は区画して分離させておいてもよい。得られたゲル化パッドは、創傷用包帯を構成する部材、例えば別の基材、接着剤、又は傷と接触する材料を備えるより複雑な構成部材の吸収部分として使用される。
【0014】
本発明の具体例の1つによれば、基材は、限定はされないが、医療グレードとしてのシート材、例えばポリマーフィルムや薄い発泡体又は織物(ポリウレタンフィルム、ポリウレタンフォーム、不織布など)を含む。
【0015】
本発明の別の具体例によれば、皮膚と接触するのに適当な接着剤は、限定はされないが、アクリレート類、シリコーン、又は接着剤をベースとするポリウレタンを含む。それらはヒドロゲルに基づくものであり、高い水蒸気透過率を備える多孔質のものとすることができる。それらは、水エマルジョン、溶剤、又はホットメルトシステムを使用するものを適用することができる。接着剤は、皮膚に対して好ましいタック性を有しているが、取り外しの際の皮膚への傷を最小限にする。それらは、基材の100%の範囲を占めているか、又はパターンやメッシュを形成する一部の範囲を占めている。
【0016】
本発明の別の具体例によれば、傷に接触する材料は、限定はされないが、皮膚にほとんど、又は全く接着しない非接着層、液体の吸収が速いウィッキング層、治療上の材料(例えば、薬剤、止血剤、抗菌剤、創傷治療剤、又は傷跡回復剤など)を供給する為のアクティブキャリア層、包帯を適所に保持することを補助するとともに取り外しの際に皮膚への傷を潜在的に減らす接着層を含む。それらは、ポリマーのメッシュ、織物(例えば不織布)、そしてヒドロゲル接着剤又は部分的に接着する被覆剤に基づく。
【0017】
別の態様としては、1種以上の材料は織物であり、第1の材料と第2の材料は、繊維性の創傷用包帯を含む。
【0018】
一般的に第1の材料は、例えば、キトサン、又は部分脱アセチル化キトサンのような吸収性のポリマーを含み、流体にさらす際にそれ自身は実質的にゲル化しない。非ゲル化キトサン、キチン塩、キトサン及び/又はキチンの混合物、及びそれらの塩は、流体にさらす際に第1の材料に使用される物質の組み合わせが実質的にゲル化しない限り、どのような混合でも使用できる。溶解性(それでも、非ゲル化性)のキトサン塩の量は、流体にさらす際にその組み合わせがゲル化しない限り、有利である。
【0019】
キトサンは甲殻類からの固形廃棄物の誘導体であり、真菌培養によって抽出できる。キトサンは、非水溶性のカチオン重合物質である。
【0020】
適切な酸がキトサンと接触すると、その場所でキトサン塩が作られる。酸は、キトサン塩が得られるどのような無機酸又は有機酸であってもよい。適切な酸は、当業者であれば理解される。
【0021】
一般的に、本発明に従う創傷治療具の準備に使用されるキトサンの分子量は、約200万未満であり、より典型的には100万未満であり、さらに典型的には50万未満であり、最も典型的には17万5000未満である。
【0022】
本発明に従う第1の材料としての使用に適したキトサン繊維は、一般的に、脱アセチル化度が約50%以上であり、より典型的には75%以上であり、最も典型的には85%以上である。
【0023】
一般的に、その繊維は平均して最小長さが約3mmであり、最大長さが約150mmであるが、より典型的には約76mm程である。繊維の長さと直径との好ましい割合は、少なくとも25であり、よりこのましくは、少なくとも80であり、最も好ましくは少なくとも500である。
【0024】
本発明に従うキトサンの繊維構造は、創傷用包帯の使用において密着性が不可欠である。例えば傷に接触する織物として使用する際に、吸収性材料を密着させることは重要であり、これは、包帯を傷からそのままの状態で剥がすことができることを意味する。
【0025】
第2の材料は、どのような非ゲル化材料であってもよい。そのような材料は、不変的に接着することがない酸のキャリアーとして、吸収し又は機能する。代表的な材料としては、限定はされないが、例えばセルロース、セルロース誘導体(例えば、エチル・セルロース、メチル・セルロースなど)、綿、アルギン酸塩、ビスコース、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはこのような材料のあらゆる組み合わせも含むものである。
【0026】
本発明の具体例の1つによれば、一般的に第2の材料は、これに関連する酸を1種以上含み、通常、その第2の材料中にその酸を吸収する。一般に、酸は有機酸であるが、無機酸も使用される。本発明に従って使用される酸の例としては、限定はされないが、例えば、ギ酸、酢酸、ハロゲン化酢酸(例えば、フルオロ酸又はクロロ酢酸など)、アスコルビン酸、塩酸、硫酸、プロパン酸、プロペン酸、乳酸、コハク酸、アクリル酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、ヒドロキシプロピオン酸、又はヒドロキシブタン酸などである。第2の材料は、流体にさらす際に、実質的にそれ自身はゲル化しない。使用される酸は、より典型的には、乳酸、酢酸、コハク酸から選択される1種以上の酸である。使用される酸は、最も典型的には、乳酸、及び/又は酢酸である。体内に既に存在している酸を使用することは、潜在的な適応性がある点で有利である。
【0027】
創傷治療具の第1の材料と第2の材料とを一緒にして、その治療具を、関連する流体を有する体の表面(一般的には人間又は動物の体の傷口)に置くと、液体は第2の材料に含まれる酸を放出させる。そのとき酸は、キトサン、又は部分脱アセチル化キトサンを含む第1の材料と接触する。酸は、キトサン、又は部分脱アセチル化キトサンと反応して、対応する塩を形成する。一般的に酸は少なくとも部分的には液体に溶けやすく、溶解を助ける。
【0028】
酸との接触は、キトサン、又は部分脱アセチル化キトサンを含む第1の材料を、非膨張性、非ゲル化性のものから膨張性及びゲル化性を呈するものに変化させるが、実質的には未だ非水溶性である。一旦変化した第1の材料が傷口からの液体と接触すると、その第1の材料は、その場所でゲル化し、事実上液体を封止する。
【0029】
一般的に第1の材料と第2の材料は、不織布を作るために一緒にされて梳くか縫いつけられる。
【0030】
一般的にキトサンは非溶解性であるが、このキトサンもまた、少なくとも部分的に又は完全に、酸の存在下で溶解することが可能である。もし溶解性のキトサン塩が必要であれば、キトサンと反応させる酸を、体液に溶ける塩が得られるものとする。溶解性のキトサン塩を得るための適当な酸や酸の組み合わせは、当業者には明らかである。例えば、リン酸化キトサンは、実質的に水に不溶であり、それ故にリン酸のみを使用することは、この目的のための酸としてはそれほど効果がない。従って、本発明の使用に供するキトサンの一部を、血液に溶解させるために水に溶ける塩に最初に変化させ、血液の流れを止めるために血液をゲル又は塊にする止血剤として用いることができる。
【0031】
キトサンは止血剤として2つの方法で使用することができる。それは、血液中の水とゲル化し、湿組織と結合して傷をふさぐ方法か、溶解し、赤血球の表面に結合して塊のようなゲルを作る方法かの何れかである。キトサンと酸との組み合わせの特性は、キトサンの性質(例えば、分子量や脱アセチル化度など)に加え、特定の酸の使用や存在する量に依存する。
【0032】
第2の材料における酸の存在は、第1の材料に含まれるキトサンの酸による前処理の必要性を省く。現在の創傷治療具に使用されるカルボキシメチルセルロースの繊維は、揮発性溶剤に含まれる毒性を有する酸を用いてセルロース繊維を処理することを必要とする。
【0033】
本発明の創傷治療具は、揮発性溶剤を使用する必要性がなく、汚染、及び労働者が危険物質にさらされる危険性を減らし、それほど高価でなく、またより取り扱いやすいプロセスを提供する。作られる廃棄物は、処理が安価で、環境的にも取り扱いやすい。加えて、いくつかの活性物は、水性のものを適用することが容易であり、新たな異なる材料に簡単に取り込まれる。
【0034】
その上、本発明の創傷治療具における全ての繊維は、互いに分離させておくと、個別的にはゲル化しない。
【0035】
本発明の別の具体例によれば、創傷治療具は1種以上の創傷治療薬や1種以上の抗菌薬(例えば銀、銀塩、銀を含む化合物、銀を含む繊維、クロルヘキシジンなど)、成長因子、サイトカイン、MMPs(マトリクス・メタロプロテイナーゼ)やエラスターゼのような治療遅延因子を吸収する因子、及び/又は止血剤を含む。活性因子は、第1の繊維又は第2の繊維のどちらか、又は第3の材料上にある。
【0036】
別の具体例によれば、界面活性剤は包帯の浸潤を補助することができ、そして又は、不活性物質は、浸潤を補助するか、強度又は嵩を加えることができる。これらの構成部材の典型的なレベルは、ppmレベルから約50%までの間にある。より典型的なレベルは、約10%未満、さらに典型的には約5%未満である。
【0037】
本発明の別の具体例によれば、創傷治療具を止血材料の一部として使用することが可能であり、例えば多糖類や、粘土又はカオリンなどのように、キトサンを除くさらに1種以上の止血剤を含んでいてもよい。止血剤とは、血液に接触した際に、出血を止める又は出血を抑える塊や栓を作り出すことが可能などのような物質も意味するものである。
【0038】
この具体例としては、キトサンを、第2の材料からの酸、及び/又は生理学的な対象部位からの液体に、少なくとも部分的に溶かして、体に吸収させる。体液中の止血剤の存在は、例えば血液をより早く凝固させて血液の流れを止める。
【0039】
キトサン塩は、ここに記載した適応例に非常に適しているが、それはキトサンが体内で容易に分解するからである。キトサンは、リゾチーム酵素によってグルコサミンに変化し、その結果自然に体から排出される。キトサンを体から取り除くにはどのような方法も必要ではないが、必要に応じて取り除くこともできる。
【0040】
その上、キトサン塩は緩やかな抗菌特性を示すため、それらの使用は、感染症の危険性を減少させる。
【0041】
本発明に従うキトサンの粘度は、一般的に約1000cP未満であり、より典型的には約500cP未満であり、さらに典型的には約300cP未満である。粘度は、約40〜約200cPであることが有利である。
【0042】
本発明の別の具体例によれば、使用される他の止血剤は、限定はされないが、カルシウム、ビタミンK、フィブリノゲン、トロンビン、第VII因子、第VIII因子、そしてカオリン、酸化再生セルロース、ゼラチン、コラーゲン等の粘土を含む。
【0043】
「水による膨張」、「水によるゲル化」、「実質的に非水溶性」とは、繊維が例えば水、生理食塩水、体液、血液のような液体に接触する際に液体を吸収し、ゲルを形成することによって膨張し、そして実質的に溶けないことを意味する。
【0044】
本発明に従う創傷治療具は、どのような形態であってもよく、例えば正方形、長方形、円形または楕円形のように、傷口に応じて必要となる様々な大きさ、形状、厚みのものとしてもよい。例えば、治療具は、一般には幅や奥行きと比較して高さが低い、平坦な形状であってもよい。どのような規則的な又は不規則な形態を用いてもよい。また、必要な大きさにカットできる大きなシートであってもよい。
【0045】
治療具の厚さは、要望に応じて上限と下限との間で変えてもよい。一般的に厚みの上限は約5cmであり、数μm、例えば5〜10μmまで薄くできる。しかしながら、治療具は体の輪郭に適合するように曲げられる柔軟性を有することが重要である。
【0046】
一般的に、キトサンのpHは約6.0〜約8.0である。キトサン塩のpHは約3.5〜約8.0である。pHは、主に使用される特定のキトサン又はキトサン塩に依存し、それらは各々異なるpHを有する。
【0047】
キトサンの材料は、無菌状態又は非無菌状態であってもよい。非無菌状態の材料には、知られているいずれかの方法、例えばガンマ線照射、電子照射処理、熱処理などを用いて消毒を行ってもよい。非無菌状態の材料は、1種以上の防腐剤を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
本発明の他の観点によれば、第1の材料と第2の材料を含む創傷治療具であって、それらの材料は個別的に液体にさらす際には実質的にゲル化しないが、一緒に液体にさらす際にはゲル化するものである創傷治療具の製造方法は、個別的に液体にさらす際には実質的にゲル化しないが、一緒に液体にさらす際にはゲル化する第1の材料と第2の材料を準備する第1のステップと、第1の材料と第2の材料を一緒にする第2のステップとを含む。
【0049】
また本発明は、生理学的な対象部位、例えば傷部から流出する液体を吸収する方法を提供する。また、生理学的な対象部位からの液体の流出を吸収する方法は、必要に応じて対象とする部位をクリーニングするステップ、ここに記載したような創傷治療具を対象とする部位に当てるステップ、ゲルが形成されるまでその部位を加圧するステップを含む。
【0050】
本発明の他の観点によれば、ここに記載したように、生理学的な対象部位からの体液の流出を吸収する創傷治療具の使用方法が提供される。
【0051】
本発明においては、例示として次の例を参照して説明するが、その例示は説明に役立つことだけを意図し、本発明の範囲を限定することは全く意図するものではない。
【実施例】
【0052】
(テスト方法)
乾燥状態のサンプルの重さを測定し、W1として記録する。そのサンプルを十分な量のテスト液で濡らす。10分後、そのサンプルを角部で保持して1分間排液する。そのときの重さをW2とする。
【0053】
サンプルのゲル化の評価を行う。これは、1)全く、又は僅かしかゲル化していない、2)若干ゲル化している、3)良好なゲル、4)一部が溶解している、5)実質的に溶解している、で記録する。
【0054】
濡れた状態のサンプルの一体性の評価を行う。これは、1)一体性を有する、2)一体性が不十分である、3)一体性が非常に不十分である、で記録する。
【0055】
吸収性(g/g)は、(W2−W1)/W1で計算する。
【0056】
(単一成分のサンプル)
サンプル1
2.4dtexセルロースステープルファイバー(オーストリア国のLenzing社製)を梳き、縫いつけて不織布を作る。
【0057】
サンプル2
酢酸をサンプル1に加えて、濃度を20%w/wにする。得られた繊維を梳き、縫いつけて不織布にする。
【0058】
サンプル3
酢酸をサンプル1に加えて、濃度を30%w/wにする。得られた繊維を梳き、縫いつけて不織布にする。
【0059】
サンプル4
乳酸をサンプル1に加えて、濃度を10%w/wにする。得られた繊維を梳き、縫いつけて不織布にする。
【0060】
サンプル5
酢酸をサンプル1に加えて、濃度を10%w/wにする。乳酸を加えて、追加後の濃度を10%w/wにする。得られた繊維を梳き、縫いつけて不織布にする。
【0061】
サンプル6
1.7dtexキトサンステープルファイバーを梳き、縫いつけて不織布にする。
【0062】
サンプル7
2.4dtexキトサンステープルファイバーを梳き、縫いつけて不織布にする。
【0063】
サンプル8
10%w/wの酢酸と10%w/wのコハク酸とを、十分な量のエタノールにさらされて30℃で乾かされた1.7dtexキトサンステープルファイバーに加える。得られた繊維を梳き、縫いつけて不織布にする。
【0064】
サンプル9
1.7dtexキトサンステープルファイバーを手で梳いて、吸収性の目が粗いウエブを作る。
【0065】
サンプル10
2.4dtexキトサンステープルファイバーを手で梳いて、吸収性の目が粗いウエブを作る。
【0066】
サンプル11
Sorbsan(英国のUnoMedical社製)、カーディングされたウエブ又は織物の中のアルギン酸繊維を用いる。
【0067】
サンプル12
2.4dtexコットンステープルファイバーを手で梳いて、梳き、縫いつけられた不織布を作る。
【0068】
サンプル13
ビスコース又はポリプロピレン製のサーマルボンド不織布(英国のLantor社製)を用いる。
【0069】
サンプル14
0.5%硝酸銀を、十分な量のエタノールにさらされて60℃で乾かされた2.4dtexキトサンステープルファイバーに加える。得られた繊維を梳き、縫いつけて不織布にする。
【0070】
サンプル15
2%ツイン20を、十分な量のエタノールにさらされて60℃で乾かされた2.4dtexキトサンステープルファイバーに加える。得られた繊維を梳き、縫いつけて不織布にする。
【0071】
サンプル16
1%乳酸カルシウムを、十分な量のエタノールにされされて60℃で乾かされた2.4dtexキトサンステープルファイバーに加える。
得られた繊維を梳き、縫いつけて不織布にする。
【0072】
サンプル17
サンプル1で使用する同様の2.4dtexセルロースステープルファイバーを、サンプル6で使用する同様のキトサンファイバーと50/50の割合でブレンドする。酸は加えない。一体化した繊維を梳き、縫いつけて不織布にする。
【0073】
【表1】

【0074】
(本発明に従うサンプル)
サンプル18
サンプル2と同様の2.4dtexセルロースステープルファイバー(酢酸を付加)を、サンプル6と同様のキトサンファイバーと50/50の割合でブレンドする。
それ以上の酸は加えない。一体化した繊維を梳き、縫いつけて不織布にする。
【0075】
サンプル19
サンプル4と同様の2.4dtexセルロースステープルファイバー(酢酸を付加)を、サンプル6と同様のキトサンファイバーと50/50の割合でブレンドする。一体化した繊維を梳き、縫いつけて不織布にする。
【0076】
サンプル20
サンプル5と同様の2.4dtexセルロースステープルファイバー(酢酸と乳酸を付加)を、サンプル6と同様のキトサンファイバーと50/50の割合でブレンドする。一体化した繊維を梳き、縫いつけて不織布にする。
【0077】
サンプル21
サンプル5と同様の2.4dtexセルロースステープルファイバー(酢酸と乳酸を付加)を、サンプル7と同様のキトサンファイバーと50/50の割合でブレンドする。一体化した繊維を梳き、縫いつけて不織布にする。
【0078】
サンプル22
サンプル3と同様の2.4dtexセルロースステープルファイバー(酢酸を付加)を、サンプル6と同様のキトサンファイバーと50/50の割合でブレンドする。一体化した繊維を梳き、縫いつけて不織布にする。
【0079】
サンプル23
サンプル5と同様の2.4dtexセルロースステープルファイバー(酢酸と乳酸を付加)を、サンプル7と同様のキトサンファイバーと50/50の割合でブレンドする。一体化した繊維を梳き、平らにして織物/網織物にする。
【0080】
サンプル24
サンプル5と同様の2.4dtexセルロースステープルファイバー(酢酸と乳酸を付加)と、2.4dtexセルロースステープルファイバー(酸は加えない)と、サンプル7と同様のキトサンファイバーとを25/25/50の割合でブレンドする。一体化した繊維を梳き、縫いつけて不織布にする。
【0081】
サンプル25
サンプル5と同様の2.4dtexセルロースステープルファイバー(酢酸と乳酸を付加)と、2.4dtexセルロースステープルファイバー(酸は加えない)と、サンプル7で使用するキトサンファイバーとを25/25/50の割合でブレンドする。一体化した繊維を梳き、熱で結合して不織布にする。
【0082】
サンプル26
サンプル5と同様の2.4dtexセルロースステープルファイバー(酢酸と乳酸を付加)を、サンプル14で使用するキトサンファイバーと50/50の割合でブレンドする。一体化した繊維を梳き、縫いつけて不織布にする。
【0083】
サンプル27
サンプル5と同様の2.4dtexセルロースステープルファイバー(酢酸と乳酸を付加)を、サンプル15で使用するキトサンファイバーと50/50の割合でブレンドする。一体化した繊維を梳き、縫いつけて不織布にする。
【0084】
サンプル28
サンプル5と同様の2.4dtexセルロースステープルファイバー(酢酸と乳酸を付加)を、サンプル16で使用するキトサンファイバーと50/50の割合でブレンドする。一体化した繊維を梳き、縫いつけて不織布にする。
【0085】
【表2】

【0086】
これにより、実施例18〜28で示す本発明に従う創傷治療具は、サンプル1〜17で示す単一成分の治療具よりもかなり容易にゲル化することがわかる。
【0087】
当然のことながら、本発明は例示として記載した上記の実施例に限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の材料と第2の材料を備え、これらの材料は、個別的に液体にさらす際には実質的にゲル化しないが、一緒に液体にさらす際にはゲル化するものである創傷治療具。
【請求項2】
前記第1の材料は、多糖類又は多糖類誘導体を含む請求項1に記載の創傷治療具。
【請求項3】
前記第1の材料は、キトサン又は部分脱アセチル化キトサンを含む請求項1に記載の創傷治療具。
【請求項4】
前記第2の材料は、セルロース、セルロース誘導体、綿、アルギン酸塩、ビスコース、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はそれらの組み合わせを含む請求項1〜3の何れか1項に記載の創傷治療具。
【請求項5】
前記第2の材料は、これに関連する酸を含む請求項1〜4の何れか1項に記載の創傷治療具。
【請求項6】
前記酸は、ギ酸、酢酸、アスコルビン酸、塩酸、硫酸、ハロゲン化酢酸、プロパン酸、プロペン酸、乳酸、コハク酸、アクリル酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、ヒドロキシプロピオン酸、及びヒドロキシブタン酸から選ばれる請求項5に記載の創傷治療具。
【請求項7】
前記第1の材料及び第2の材料は、前記創傷治療具において層状に、又は区画して、又は混合状態で配置されている請求項1〜6の何れか1項に記載の創傷治療具。
【請求項8】
前記第1の材料及び第2の材料は、繊維を備える請求項1〜7の何れか1項に記載の創傷治療具。
【請求項9】
1種以上の治療薬をさらに含む、請求項1〜8の何れか1項に記載の創傷治療具。
【請求項10】
1種以上の創傷治療薬、止血剤、成長因子、サイトカイン、及び/又は治療遅延因子を吸収する因子をさらに含む、請求項1〜9の何れか1項に記載の創傷治療具。
【請求項11】
銀、銀塩、銀を含む化合物、銀を含む繊維、又はクロルヘキシジンを含む、1種以上の抗菌薬を備える請求項10に記載の創傷治療具。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか1項に記載の創傷治療具を備える繊維性の創傷用包帯。
【請求項13】
請求項1〜11の何れか1項に記載の創傷治療具を備える止血材料。
【請求項14】
2種以上の止血剤を含む請求項13に記載の止血材料。
【請求項15】
前記止血剤は、キトサン及び多糖類から選ばれる1種以上である請求項13又は14に記載の止血材料。
【請求項16】
個別的に液体にさらす際には実質的にゲル化しないが、一緒に液体にさらす際にはゲル化する第1の材料と第2の材料を準備する第1のステップと、
前記第1の材料と第2の材料を一緒にする第2のステップとを含む、請求項1〜11の何れか1項に記載の創傷治療具を製造する方法。
【請求項17】
生理学的な対象部位から放出される液体を吸収する方法であって、請求項1〜11の何れか1項に記載の創傷治療具を、当該対象部位に当てる方法。
【請求項18】
前記生理学的な対象部位を必要に応じてクリーニングするステップと、ゲルが形成されるまで前記対象部位を加圧するステップとを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
生理学的な対象部位を治療するにあたり、請求項1〜11に記載の創傷治療具を使用する方法。
【請求項20】
本明細書及び図面中に実質的に記載されている創傷治療具、創傷用包帯、又はそれらに係る方法。

【公表番号】特表2012−502715(P2012−502715A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527392(P2011−527392)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【国際出願番号】PCT/GB2009/002184
【国際公開番号】WO2010/031995
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(510282952)メッドトレイド プロダクツ リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】MEDTRADE PRODUCTS LIMITED
【Fターム(参考)】