説明

創傷治療用の細片化発泡材

細片化発泡材を含む創傷治療材料を記載する。細片化発泡材は、生体適合性かつ生体分解性のポリマーを含む。細片化発泡材を用いた創傷の治療及び/又は修復及び/又は組織再生方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔技術分野〕
創傷の治療及び/又は修復及び/又は組織再生のための細片化発泡材を含んだ創傷の治療材料を開示する。
【0002】
〔背景技術〕
創傷とは、一般的に正常な解剖学的構造及び機能の障害であるとされ、体外(皮下)又は体外(皮膚の表面上)に生じ得るものである。創傷の治癒は、創傷を閉鎖させるための一連の、異なるが重複する段階を経る順序立った過程によって通常は特徴付けられる(急性創傷)。これらの過程は、時として複数の機構又は基礎となる病変によって妨げられる(慢性創傷)。創傷はその位置及び期間(急性と慢性)並びに基礎病変において異なる。
【0003】
米国及び西欧で年間に発生する20億件の創傷の約10分の1が急性創傷である。急性創傷は身体の通常の治癒反応によって通常治癒する。急性創傷には、形成外科手術、美容整形手術又は再建手術などによる手術創傷、腫瘍の除去又は他の外科的切除の後に残る空洞のような軟部組織の欠損、及び皮膚の状態に起因する創傷、並びに外傷などがある。
【0004】
年間に発生する20億件の創傷の内、約7〜8百万件が慢性創傷である。慢性創傷は、損傷組織を破壊すると同時に新しい組織を形成する正常な修復過程が妨げられているために治癒しない。慢性創傷は、閉鎖の進行が遅く、数ヶ月から数年にわたって開いたままである場合があり、しばしば再発する。慢性創傷は深さが部分層である場合もあれば全層に及ぶ場合もあり、様々な病理的結果から生じ得る。慢性創傷には、糖尿病性、圧迫性、静脈性又は動脈性潰瘍、治癒しない手術創傷、及び皮膚癌、火傷による創傷などがある。
【0005】
臨床的創傷評価では、創傷の治療に当たって考慮すべき更なるパラメータとして解剖学的位置、大きさ、体積(深さ)、及び穿掘性及びトンネル性を定義する過程を行う。創傷の深さは、真皮が完全な状態に維持されたままで上皮層が失われる部分層創傷におけるような表在性損傷など様々である。創傷はまた、全層創傷におけるように真皮だけではなく下層組織にも及ぶような深い創傷である場合もある。創傷は身体の外表面の様々な箇所に生じ得る。最も一般的には、創傷は四肢、特に足に生じ得る。創傷は足指又は付随する足指底面、踵又は足首に生じる場合もある。これらの表面はすべて、表面のトポグラフィーが大きく異なり、医師が創傷表面に治療を行う際に考慮する必要がある。
【0006】
様々な創傷の治療法がこれまでに述べられてきている。1つのアプローチでは、組織工学用足場を使用する。組織工学用足場は、織物、編物、編組、孔空きフィルム、メッシュ、不織布及び発泡材などの様々な形態のものがある。組織工学用の足場を用いることによって、構造及び形状を与え、発達する組織を案内し、細胞を付着、増殖、及び分化させる。組織工学用足場(「足場」)は、通常、細胞及び組織の増殖、並びに栄養分及び老廃物の輸送を可能とする3次元の高度に多孔質の構造である。新たに形成された組織が隙間を埋めた時点で、足場は組織反応を最小に抑えて自然に分解することが望ましい。この生体分解のプロセスは、酵素による切断、表面の浸食、又は加水分解による切断によって生じ得る。組織工学用足場を適用するための従来の方法では、創傷に合わせて足場シートを裁断した後、この足場を創傷床に配置する。より深い創傷では、複数のシートを互いに重ね合わせてすべての隙間を埋める。足場を正確に裁断する工程は時間がかかり、特定の創傷が異なり得るので患者ごとに異なる。足場シートは、トポグラフィー的に多様な創傷に適用することは困難である。このため、組織工学用足場は、シートのいかなる部分の破損も足場全体の排除につながり得ることから、創傷に取り込まれないことがしばしばある。このような排除は、身体表面における損傷の不均一な性質によって悪化し得る。
【0007】
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
したがって、適用に先立って更なる操作を行う必要なくして様々な大きさ、形状及び深さの創傷の治療を可能とし、更に足場が排除される可能性を最小に抑えることによって創傷床への足場の取り込みを改善するような創傷の治療法が依然求められている。
【0008】
〔課題を解決するための手段〕
創傷を治療するための細片化発泡材を提供する。細片化発泡材は、生体適合性かつ生体分解性のポリマーを含み、創傷との接触後約7日目の細片化発泡材の肉芽組織過増殖が、同一の非細片化発泡材に関する肉芽組織過増殖の量よりも大きい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】細片化発泡材の肉芽組織過増殖を示す組織スライドの顕微鏡写真。
【図2】コントロールとしての発泡材シートの組織スライドの顕微鏡写真。
【発明を実施するための形態】
【0010】
細片化発泡材を含む創傷治療材料を用いた創傷の治療及び/又は修復及び/又は組織再生のための組成物及び方法を提供する。本組成物及び方法は、様々な大きさ、形状及び深さの創傷の治療を可能とすることによって、創傷治療材料の更なる操作を必要とすることなく、創傷の治療、修復及び/又は組織の再生を可能とするものである。本組成物及び方法は、創傷治療材料の排出を最小に抑えることによる創傷床への取り込みの改善、及び肉芽組織過増殖の改善を可能とするものである。
【0011】
細片化発泡材組成物
細片化発泡材は創傷に挿入することによって創傷の治癒を促進する目的で用いられる複数の発泡材細片である。細片化発泡材は生体適合性ポリマーから調製することができる。細片化発泡材を調製するために用いられる生体適合性ポリマーは生体分解性でもあり得る。生体分解性ポリマーには、水分を含んだ生体組織に触れると細かいセグメントに直ちに分解するあらゆるポリマーが含まれ得る。これらのセグメントは身体に吸収されるか、身体を通過する。生体分解されたセグメントは、セグメントの永続的な痕跡又は残渣が身体に保持されないように身体に吸収されるか、身体を通過するため、生体分解されたセグメントは永続的な慢性異物生体反応を引き起こさない。
【0012】
細片化発泡材は、生体適合性かつ生体分解性のポリマーから調製することができる。例えば、生体適合性かつ生体分解性のポリマーは、脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基含有ポリオキサエステル、ポリ(無水物)、ポリホスファゼン、並びにこれらのコポリマー及び/又はそれらの混合物から選択することができる。
【0013】
細片化発泡材は、脂肪族ポリエステルから調製することができる。脂肪族ポリエステルとしては、ラクチド(乳酸、D−、L−、及びメソラクチドを含む)のホモポリマー及びコポリマー、グリコリド(グリコール酸を含む)、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)、トリメチレンカーボネート(1,3−ジオキサン−2−オン)、トリメチレンカーボネートのアルキル誘導体、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−デカラクトン、ヒドロキシブチレート(繰り返し単位)、ヒドロキシバレレート(繰り返し単位)、1,4−ジオキセパン−2−オン(その二量体である1,5,8,12−テトラオキサシクロテトラデカン−7,14−ジオンを含む)、1,5−ジオキセパン−2−オン、6,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2−オン、2,5−ジケトモルホリン、ピバロラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン、エチレンカーボネート、エチレンオキサレート、3−メチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、3,3−ジエチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、6,8−ジオキサビシクロオクタン−7−オン、及びこれらのポリマー混合物を含み得る。
【0014】
細片化発泡材は、生体適合性かつ生体分解性のエラストマー性コポリマーから調製することができる。細片化発泡材として使用するのに適したエラストマー性コポリマーとしては、室温で元の長さの少なくとも約2倍に繰り返し伸ばすことが可能であり、応力を瞬時に開放するとほぼ元の長さに戻る材料が含まれる。例えば、好適な生体適合性かつ生体分解性のエラストマー性コポリマーとしては、これらに限定されるものではないが、ε−カプロラクトンとグリコリドとの共重合体(ε−カプロラクトンの、グリコリドに対するモル比は好ましくは約30/70〜約70/30、より好ましくは約35/65〜約65/35である)、ε−カプロラクトンと、L−ラクチド、D−ラクチド、それらの混合物又は乳酸コポリマーを含むラクチドとのエラストマー性コポリマー(ε−カプロラクトンの、ラクチドに対するモル比は好ましくは約35/65〜約65/35、より好ましくは約30/70〜約45/55である)、p−ジオキサノン(1,4−ジオキサン−2−オン)と、L−ラクチド、D−ラクチド及び乳酸を含むラクチドとのエラストマー性コポリマー(p−ジオキサノンの、ラクチドに対するモル比は好ましくは約40/60〜約60/40である);ε−カプロラクトンとp−ジオキサノンとのエラストマー性コポリマー(ε−カプロラクトンの、p−ジオキサノンに対するモル比は好ましくは約30/70〜約70/30である)、p−ジオキサノンとトリメチレンカーボネートとのエラストマー性コポリマー(p−ジオキサノンの、トリメチレンカーボネートに対するモル比は好ましくは約30/70〜約70/30である)、トリメチレンカーボネートとグリコリドとのエラストマー性コポリマー(トリメチレンカーボネートの、グリコリドに対するモル比は好ましくは約30/70〜約70/30である)、トリメチレンカーボネートと、L−ラクチド、D−ラクチド、それらの混合物又は乳酸コポリマーを含むラクチドとのエラストマー性コポリマー(トリメチレンカーボネートの、ラクチドに対するモル比は好ましくは約30/70〜約70/30である)、及びこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、エラストマー性コポリマーは、ε−カプロラクトンの、グリコリドに対するモル比が約30/70〜約70/30であるようなε−カプロラクトン/グリコリドである。別の実施形態では、エラストマー性コポリマーは、ε−カプロラクトンの、グリコリドに対するモル比が約35/65〜約65/35であるようなε−カプロラクトン/グリコリドである。更なる別の実施形態では、エラストマー性コポリマーは35/65ポリ(ε−カプロラクトン−コ−グリコリド)である。
【0015】
細片化発泡材は、凍結乾燥法、ここに援用する欧州特許第EP464,163B1号に例えば述べられるような超臨界溶媒発泡法、ガス注入押出し法、ガス射出成形法、若しくは抽出可能な物質(すなわち、塩、砂糖)を用いた注型成形、又は当業者には周知の他の任意の手段などの方法によって調製することができる。
【0016】
細片化発泡材は、ここにその全容を援用する米国特許第6,712,850号の実施例2に述べられるような凍結乾燥法によって調製することができる。例えば、ポリマー溶液を調製して金型に注入する。次いで金型を凍結乾燥機に移す。ここで溶液は凍結された後、真空乾燥されることによって、昇華及び/又は乾燥によって溶媒が除去され、ポリマー発泡材シートが得られる。凍結工程フェーズにおいてポリマー溶液が分離され、真空乾燥工程において昇華及び/又は乾燥によって溶媒が除去され、多孔質のポリマー構造又は相互連結された開放セル多孔性発泡材が得られる。細片化発泡材の多孔度は90体積%よりも大きいことが好ましい。細片化発泡材の厚さは約0.25mm〜約0.75mmであることが好ましい。より好ましくは、細片化発泡材の厚さは約0.4mm〜約0.6mmである。
【0017】
細片化発泡材は、大型のシート又は他の幾何形状に調製してこれを下記に述べるように後でより小さい細片に細かくすることができる。細片化発泡材の特徴は、例えば、(1)孔径が10〜200マイクロメートル(又はこれよりも大きい)の範囲である、細胞の内殖及び栄養分の通路を与える相互連結孔、(2)好ましくは90%以上の多孔度、及び(3)細片化発泡材の厚さを通じて走行して血管新生及び栄養分の拡散を向上させる通路、を与える改変された凍結乾燥法によって所望の用途に適するように調節することができる。
【0018】
細片化発泡材は、前述の大型のシート又は他の幾何形状を細片に裁断するか、型成形、押出し成形、又は当業者に知られる他の発泡材形成方法によって個々の細片化発泡材の細片を形成することによって調製することができる。細片化発泡材は、創傷治療材料として最適な性能を与えるように適合された寸法の細片に裁断又は形成される。発泡材細片の大部分は、好ましくは90体積%よりも高い多孔度、約0.25mm〜約0.75mmの厚さ、約1mm〜約4mmの長さ、及び約1mm〜約4mmの幅を有する。例えば、細片の長さは独立して約1mm〜約4mmとすることができ、細片の幅は独立して約1mm〜約4mmとすることができ、厚さは約0.25mm〜約0.75mmとすることができる。他の大きさを用いることも可能である。発泡材細片の大部分とは、創傷治療材料の全体積の50%よりも多いことを指す。好ましくは、発泡材細片の大部分とは、創傷治療材料の全体積の75%よりも多いことを指す。より好ましくは、発泡材細片の大部分とは、創傷治療材料の全体積の90%よりも多いことを指す。細片は均一な形状、不均一な形状、又は均一形状の細片と不均一形状の細片の混合物であってよい。細片化発泡材は任意の規則的又は不規則的な多角形状のものであってよく、あるいはこうした形状の混合物であってもよい。例えば、細片化発泡材はほぼ正方形の形状を有してもよい。発泡材シート又は他の幾何形状は機械的装置を用いて細片化するか、あるいは手で細片化することができる。細片化発泡材は、例えば所定の形状の細片化発泡材を得るか、かつ/又は所定の大きさ若しくは大きさの範囲内の細片化発泡材を得るために篩分けするか、分類するか、かつ/又は分離することができる。細片の大きさの範囲は、標準的な統計学的方法によって計算される平均値及び/又は平均の大きさを有する分布によって表わしてもよい。例えば細片化発泡材の細片の平均値又は平均の大きさは、約1mm〜約4mmであり得る。
【0019】
創傷の治療及び/又は修復及び/又は組織再生の方法
組織の修復及び再生方法を提供する。本方法は、患者の創傷を創傷治療材料と接触させることを含む。創傷治療材料は、生体適合性かつ生体分解性の細片化発泡材を含んでいる。他の創傷治療材料を本明細書に開示する創傷治療材料と組み合わせるか同時に使用することも可能である。例えば、細片化発泡材をゲル、クリーム、又は軟膏などの治療上許容されるキャリアに分散又は懸濁して創傷部位に塗布してもよい。
【0020】
創傷治療材料は創傷の治療及び/又は修復及び/又は組織の再生に用いることができる。創傷は皮膚又は組織の急性又は慢性の創傷であってよい。急性創傷には、形成外科手術、美容整形手術又は再建手術などによる手術創傷、腫瘍の除去又は他の外科的切除の後に残る空洞のような軟部組織の欠損、皮膚の状態に起因する創傷、及び外傷などがある。慢性創傷は深さが部分層である場合もあれば全層に及ぶ場合もあり、様々な病理的結果から生じ得る。慢性創傷には、糖尿病性、圧迫性、静脈性又は動脈性潰瘍、治癒しない手術創傷、及び皮膚癌、火傷による創傷などがある。
【0021】
細片化発泡材は、適用に先立って創傷治療材料を更に操作する必要なくして、様々な大きさ、形状、及び深さの創傷を治療することを可能とするものである。したがって、医療従事者は、例えば創傷部位への適用に先立って、所定の大きさ又は形状に裁断することによって創傷治療材料を改変する必要がない。
【0022】
本明細書で開示する細片化発泡材が組織工学用足場として取り込まれる場合、足場の排除が最小に抑えられるか又は防止される。通常、組織工学用足場を深い創傷又は血流が制限された創傷に適用する場合には、足場内への細胞の遊走は、細胞が浸潤できる速度に制限される。本明細書で述べる細片化発泡材の組織工学用足場は、多数の細片として存在し、例えば、より速やかな細胞の遊走及び/又は取り込みを促進するように足場の間隙内への細胞の遊走を増大させ得るものである。
【0023】
組織足場として使用される細片化発泡材は、微小構造レベルでの組織化を与える構造、及び/又は真皮組織などの天然の組織を模倣した細胞の組織化を促進する鋳型を有することが好ましい。細胞は細片化発泡材細片の外形に沿って接着、増殖及び分化する。これにより、例えば真皮組織などの組織の解剖学的特徴をほぼ模倣した組織が得られる。
【0024】
細片化発泡材は創傷部位に導入された際に、細片化発泡材細片の50%よりも多くが約7日間以内に肉芽組織によって浸潤及び/又は覆われることが好ましい。より好ましくは、細片化発泡材細片の約75%〜90%が約7日間以内に肉芽組織によって浸潤及び/又は覆われる。更により好ましくは、細片化発泡材細片のほぼすべてが創傷部位への導入後約7日間以内に肉芽組織によって浸潤及び/又は覆われる。浸潤した肉芽組織の測定値は、光学顕微鏡法及び/又は画像分析法を用いて組織スライドから得ることができる。
【0025】
肉芽組織過増殖は、2つの方法のいずれかによって創傷部位の組織スライドを分析することにより測定される。細片化発泡材の上面から創傷部位の表面までの最小距離(平均値±SEM(mm))を計算する。あるいは、細片化発泡材の上面から創傷部位の表面までの最大距離(平均値±SEM(mm))を計算する。
【0026】
7日後の創傷の組織切片を光学顕微鏡法によって測定して求められる、例えば細片化発泡材細片のうち1以上の細片の創傷治療材料の肉芽組織過増殖は、同一の非細片化発泡材の組織過増殖の量よりも大きい。「同一の非細片化発泡材」は、単一のシート(又は他の幾何形状)である点を除いて細片化発泡材とまったく同様に調製したものである。細片化発泡材の肉芽組織過増殖の量は、上記に述べた組織過増殖の距離のいずれかが、非細片化発泡材よりも細片化発泡材で大きい場合に、同一の非細片化発泡材よりも大きい。
【0027】
細片化発泡材は、肉芽組織などの組織の付着、増殖又は分化を刺激又は促進することが可能な1以上の薬剤を含有するか、あるいはこの1以上の薬剤で細片化発泡材を含浸、封入、又は被覆することができる。こうした薬剤としては、抗感染症剤、ホルモン、鎮痛剤、抗炎症剤、増殖因子、化学療法剤、抗拒絶剤、プロスタグランジン、及びRGDペプチドを挙げることができる。細片化発泡材は、その開示内容を本明細書に援用する米国特許出願公開第2005/005498号に記載されるような、臍帯組織に由来する1以上の分娩後細胞、細胞産物、若しくは細胞派生物、又は、米国特許出願公開第2005/0058631号に記載されるような、胎盤組織に由来する分娩後細胞、細胞産物、若しくは細胞派生物を含有するか、あるいはこれらで含浸、封入又は被覆してもよい。細片化発泡材は、1以上の細胞産物、細胞派生物、筋細胞、脂肪細胞、筋繊維芽細胞、外胚葉細胞、筋肉細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、膵臓細胞、肝細胞、胆管細胞、骨髄細胞、神経細胞、尿生殖器細胞、多能性細胞、幹細胞、前駆細胞、及びそれらの細胞産物又は細胞派生物を含有するか、あるいはこれらで含浸、封入又は被覆することができる。
【0028】
本明細書で開示する細片化発泡材を含む創傷治療材料は、従来の滅菌法で滅菌することができる。例えば、細片化発泡材を含む創傷治療材料をパッケージングし、滅菌して使用可能な状態で提供することができる。
【0029】
以下の実施例は例示的なものであって、限定的又は制限的なものとして解釈すべきではない。本発明の広義の範囲を示す数値の範囲及び変量は近似的な値であるが、具体例に記載されている数値は可能な限り正確に報告している。しかしながら、いずれの数値も、各測定値において見られる標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を内在的に含むものである。例えば、ある数値について「約」という用語を使用する場合、特に指定しない限り、約±10%の範囲を指すものである。
【実施例】
【0030】
実施例IA:細片化発泡材及びコントロールの調製
35/65モル/モル%のポリ(ε−カプロラクトン−コ−グリコール酸)(PCL/PGA)コポリマー(エチコン社(Ethicon, Inc.)ニュージャージー州サマーヴィル(Somerville)所在)を1,4−ジオキサン(フィッシャーケミカル社(Fisher Chemical)ニュージャージー州フェアローン(Fairlawn)所在)に5重量/体積%で溶解した溶液を、9部の溶媒当たり1部のポリマーを加えることによって調製した。ポリマー及び溶媒を60℃で約4〜8時間、ポリマーが溶解するまで攪拌しながら加熱した。このポリマー溶液を濾過し、約10gの溶液を約114.3ミリメートル(4.5インチ)平方、深さ約12.7ミリメートルのアルミニウム製の金型に注ぎいれた。ポリマー溶液で満たされた金型を予め−17℃に冷却したFTS DuraDry凍結乾燥機の棚に置いた。15分後にサイクルを開始し、温度を−17℃で60分間維持した。次いで真空に引き、13.3Pa(100mTorr)で60分間、昇華によるジオキサンの1次乾燥を開始した。次に、5℃で60分間、更に20℃で60分間2次乾燥を行った。真空を2.7Pa(20mTorr)に維持した。最後に、凍結乾燥機を室温に戻し、乾燥窒素で真空を破壊した。乾燥窒素で30分間パージした後、ドアを開いて発泡材を金型から外した。このようにして調製した発泡材は、厚さが約0.5mmであり、多孔度が90%よりも高いものであり得る。多孔度は、例えばASTM標準試験法D6226「剛性セルプラスチックの開放セル容量」(Open cell contents of rigid cellular plastics)に従い、ヘリウム比重法によって測定することができる。こうした発泡材の生体内実験によれば、発泡材は約90〜120日以内に身体に完全に吸収されることが示され得る。
【0031】
実施例IB
細片化発泡材を以下のようにして調製した。実施例IAで述べたようにして調製した発泡材を1.5×1.5cmのシートに裁断した。12枚の発泡材シートを同様の方法で調製し、個別に袋詰めしてγ線照射により滅菌した。これらの発泡材シートをコントロールとして使用した。創傷床に入れる直前に、滅菌した1.5×1.5cmの発泡材シートの内の6枚を約1〜4mmの細片に裁断することによって細片化発泡材の試料を調製した。
【0032】
実施例2:ブタ組織修復及び再生モデル
この実験の目的は、全層切除欠損における細片化発泡材の細胞浸潤及び創傷治癒反応を調べることである。
【0033】
実験計画:
比較のため2つの処置群を準備した。第1の処置群は実施例1Bで調製した細片化発泡材からなるものとした。第2の処置群は、発泡材シートのコントロールからなるものとした。全層切除創傷(約1.5×1.5cmの正方形)を4頭のブタの背部領域に形成した。処置群はブタについてランダム化し、実験期間の全体を通じて所定位置に放置した。各処置群でn=6とした。
【0034】
発泡材シートのコントロールは創傷に適合するように裁断して創傷床に置いた。細片化発泡材の細片(約13〜35個)を創傷床に置いた。各創傷をNU−GELの商品名で販売される2×2センチメートルの創傷ドレッシング(ジョンソン・アンド・ジョンソン・メディカル社(Johnson and Johnson Medical)テキサス州アーリントン所在)で覆った後、BIOCLUSIVEの商品名で販売される透明創傷ドレッシング(ジョンソン・アンド・ジョンソン・メディカル社(Johnson and Johnson Medical)テキサス州アーリントン所在)で覆った。創傷からの液漏れによる相互汚染を防止するため、RESTONの商品名で販売される自己接着発泡材(スリーエム社(3M)医療手術部門、ミネソタ州セントポール所在)のストリップを創傷部位間に配した。ZONASの商品名で販売される石膏テープ(ジョンソン・アンド・ジョンソン・メディカル社(Johnson and Johnson Medical)テキサス州アーリントン所在)を用いて背部を覆って滅菌ガーゼを固定した。SPANDAGEの商品名で販売される全身用メリヤス地(メディテック・インターナショナル社(Medi-Tech International Corporation)ニューヨーク州ブルックリン所在)を使用してドレッシングを所定位置に固定した。創傷形成後、2日目に包帯を交換した。
【0035】
7日目に動物から組織を採取した。創傷の全体及び周辺の正常な皮膚を切除して、10%の中性緩衝ホルマリンに入れた。組織を2等分し、頭部に近い方の半分を組織学的処置を行うために送った。
【0036】
組織学的評価:
各切片を、肉芽組織過増殖の量(創傷床内の足場の深さによって測定される)、及び創傷床へのコントロール又は細片化発泡材の取り込みについて分析した。各組織スライドの組織過増殖の量を2つの評価法を用いて求めた。第1の評価法では、コントロール又は細片化発泡材の細片の上面から創傷の表面までの最小の距離を計算した。第2の評価法では、コントロール又は細片化発泡材の細片の上面から創傷の表面までの最大の距離を計算した。これらの測定値の結果を表1にまとめた。足場の排除について組織スライドの評価も行った。これは足場のいずれかの部分が創傷から押し出されたり、突出しているか否かを視覚的に判定するものである。
【0037】
【表1】

【0038】
ここで図面を参照すると、細片化発泡材(図1)とコントロールとしての発泡材シート(図2)との間で創傷床への取り込みの差を示した典型的な組織スライドが示されている。図1は、肉芽組織6の内部かつ上皮舌4の下側に細片化発泡材の細片2が取り込まれた、創傷縁部10、創傷床8、及び創傷表面12によって画定される創傷を示したものである。図2は、創傷表面12の下側かつ上皮舌4の下側にコントロール5が含まれる、創傷縁部10、創傷床8、及び創傷表面12によって画定される創傷を示したものである。
【0039】
例えば図2に示されるように、6箇所の試験部位のそれぞれにおいて、コントロールの少なくとも1つの部分が創傷の表面にあった(創傷の上面からの平均最小距離=0mm)。これに対し、細片化発泡材では、創傷の上面からの最小距離の平均は0.33mmであった。コントロールの上面の、創傷内で最も深い点における平均は1.44mmであったのに対し、細片化発泡材の創傷内で最も深い点における平均は2.67mmであった。発泡材細片は、一貫してコントロールよりも創傷のより深くに位置しており、コントロールよりも多くの肉芽組織によって覆われていた。6個の処置群の半分において、コントロールは創傷床から少なくとも部分的に押し出されていた。これに対し、細片化発泡材の細片の大部分は創傷床に深く取り込まれており、細片化発泡材の数片のみが創傷表面付近に存在した。
【0040】
細片化発泡材では、数片が創傷から押し出される場合があるものの、他の多くの細片は残留して組織の修復及び再生過程に利する。これに対し、コントロールとしての発泡材シートでは一部が創傷の一部から押し出されると、発泡材シート全体が押し出されてしまう可能性がある。更に、発泡材シートの一部が創傷の一部から押し出された場合、発泡材シートのその部分は足場として利用されなくなってしまう。
【0041】
図1に示される組織切片は、7日目に創傷床深くに位置し、肉芽組織によって被覆及び浸潤された細片化発泡材を示しているのに対し、図2に示されるように、コントロールは7日目にもっぱら創傷表面に存在しており、細片化発泡材がコントロールとしての発泡材シートよりも速やかに創傷床内に取り込まれることが示された。
【0042】
実施例3:組織の修復及び再生のための細片化発泡材の臨床的応用
組織の修復及び再生を必要とし、細片化発泡材によって治療を行う患者では、創傷部位に更なる前処理を行わずに、発泡材の細片を直接創傷に適用してもよい。一部の慢性創傷では、細片化された創傷治療材料を取り込ませるために創傷部位を準備する必要が生じる場合もある。これは、外科的、機械的、化学的、自己分解的方法、ウジ療法、又はこれらの組み合わせによって行うことができる。
【0043】
創傷部位の内部又は周辺の、壊死又は生育不能な組織を様々な方法で取り除くことができる。例えば、創傷部位はデブリードマンによって準備することができる。創傷のデブリードマンを行うには、必要に応じて局所麻酔を適用してもよい。外科的デブリードマンでは、鋭利な器具、メス、キュレット又はレーザーを使用して、特に創傷に感染を伴う場合に大量の壊死組織を取り除くことができる。死んだ組織を除去する機械的デブリードマンは、低コストのデブリードマンの手段を与えるものであり、ガーゼを使用して行うことができる。この手法は外科的なスキルを必要としないため、創傷の治療状況下において看護師が容易に行うことができる。
【0044】
創傷は、デブリードマンを行ったか否かによらず、細片化発泡材の創傷治療材料の適用に先立って、まず最初に滅菌塩水で洗浄する。細片化発泡材創傷治療材料は、感染の臨床的兆候が見られない清潔な創傷に適用するか、あるいは準備をしない創傷に直接適用することもできる。創傷に適用される細片化発泡材創傷治療材料の細片の数は、面積及び厚さなどの創傷の大きさを考慮して、医師が決定することができる。この後、細片化発泡材創傷治療材料を、創傷の種類及び位置に応じて非接着性の2次ドレッシング及び/又は適当な他の創傷ドレッシングによって覆うことができる。
【0045】
細片化発泡材の占有全創傷体積のコントロールとの比較
4頭のブタの背部領域に形成した全層切除創傷(約1.5cm×1.5cm)の測定された創傷深さは、2.21〜2.36mmの範囲であった。したがって計算される全創傷体積は約515mmである。創傷内に置かれた厚さ約0.5mmの1.5cm×1.5cmのコントロール発泡材シートの体積は113mmと計算されたが、これは全創傷体積の約22%を占めるものと計算された。
【0046】
平均の長さが1〜2mmである約35個の細片化発泡材の細片は、同じ515mmの創傷体積の約7.5%を占める。平均の長さが3〜4mmである約13個の細片化発泡材の細片は、同じ515mmの創傷体積の約15.5%を占める。したがって、平均的な細片化発泡材の細片は実施例2の全創傷体積の約0.2%〜約1.2%を占める。特定の平均の大きさを有する細片化発泡材の細片、又は平均の大きさが異なる細片化発泡材の細片を使用することで、所望の創傷体積を占有することができる。好ましくは平均的な細片化発泡材の細片は、全創傷体積の約0.1%〜約5%を占有する。
【0047】
本明細書で用いる「備える、含む、有する(comprising)」、「有する、含む(including)」、「有する、含有する(containing)」、「を特徴とする(characterized by)」、及びこれらの文法的に等価な表現は、更なる記載されていない要素又は方法の工程を除外しない包括的すなわち非限定的な用語である。「備える、含む、有する(Comprising)」は、より限定的な用語である「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」を包含するものとして解釈されるべきである。
【0048】
本明細書で用いる「からなる(consisting of)」、及びその文法的に等価な表現は、特許請求の範囲において特定されないすべての要素、工程、又は成分を除外するものである。
【0049】
本明細書で用いる「から本質的になる(consisting essentially of)」、及びその文法的に等価な表現は、特定の請求項の範囲を、特定された材料又は工程、及び権利を請求しようとする発明の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響しないものに限定するものである。
【0050】
本明細書の特許請求の範囲に含まれる他の実施形態は、本明細書に開示される発明の詳細又は実施を考慮すれば当業者には自明であろう。本明細書は実施例と合わせて、あくまで例示的なものとしてみなされるべきものであり、発明の範囲及び趣旨は特許請求の範囲によって示されるものである。
【0051】
〔実施態様〕
(1) 創傷の、細片化発泡材での治療であって、前記細片化発泡材は生体適合性かつ生体分解性のポリマーを含み、前記創傷との接触後約7日目の前記細片化発泡材の肉芽組織過増殖が、同一の非細片化発泡材に関する肉芽組織過増殖の量よりも大きい、細片化発泡材での治療。
(2) 前記生体適合性かつ生体分解性のポリマーが、脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基含有ポリオキサエステル、ポリ(無水物)、ポリホスファゼン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様1に記載の細片化発泡材。
(3) 前記脂肪族ポリエステルが、ラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーのホモポリマー及びコポリマーである、実施態様2に記載の細片化発泡材。
(4) 前記脂肪族ポリエステルが、ポリ(ε−カプロラクトン−コ−グリコリド)、ポリ(ε−カプロラクトン−コ−ラクチド)、ポリ(p−ジオキサノン−コ−ラクチド)、ポリ(ε−カプロラクトン−コ−p−ジオキサノン)、ポリ(p−ジオキサノン−コ−トリメチレンカーボネート)、ポリ(トリメチレンカーボネート−コ−グリコリド)、ポリ(トリメチレンカーボネート−コ−ラクチド)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるエラストマー性コポリマーである、実施態様2に記載の細片化発泡材。
(5) 前記エラストマー性コポリマーは、ε−カプロラクトンの、グリコリドに対するモル比が約30/70〜約70/30であるようなポリ(ε−カプロラクトン−コ−グリコリド)である、実施態様4に記載の細片化発泡材。
(6) 前記エラストマー性コポリマーは、ε−カプロラクトンの、グリコリドに対するモル比が約35/65〜約65/35であるようなポリ(ε−カプロラクトン−コ−グリコリド)である、実施態様4に記載の細片化発泡材。
(7) 前記エラストマー性コポリマーは、ε−カプロラクトンの、グリコリドに対するモル比が35/65であるようなポリ(ε−カプロラクトン−コ−グリコリド)である、実施態様4に記載の細片化発泡材。
(8) 前記発泡材が、90体積%よりも高い多孔度を有する、実施態様1に記載の細片化発泡材。
(9) 前記発泡材が、約0.25mm〜約0.75mmの厚さを有する、実施態様1に記載の細片化発泡材。
(10) 前記発泡材が、約1mm〜約4mmの幅、及び約1mm〜約4mmの長さを有する、実施態様1に記載の細片化発泡材。
(11) 前記発泡材が、90体積%よりも高い多孔度、約0.25mm〜約0.75mmの厚さ、約1mm〜約4mmの幅、及び約1mm〜約4mmの長さを有する、実施態様1に記載の細片化発泡材。
(12) 細片化発泡材の平均的な細片が全創傷体積の約0.1%〜約5%を占める、実施態様1に記載の細片化発泡材。
(13) ε−カプロラクトンの、グリコリドに対するモル比が35/65であるようなポリ(ε−カプロラクトン−コ−グリコリド)の生体適合性かつ生体分解性のエラストマー性コポリマーを含み、
90体積%よりも高い多孔度、約0.25mm〜約0.75mmの厚さ、約1mm〜約4mmの幅、及び約1mm〜約4mmの長さを有する、細片化発泡材。
(14) 組織の付着、増殖又は分化を刺激又は促進することが可能な1以上の薬剤を更に含み、前記1以上の薬剤は前記細片化発泡材の表面上及び/又は内部に含浸、封入、及び/又は被覆されている、実施態様1に記載の細片化発泡材。
(15) 前記1以上の薬剤が、
(i)抗感染症剤、ホルモン、鎮痛剤、抗炎症剤、増殖因子、化学療法剤、抗拒絶剤、プロスタグランジン、RGDペプチド、
(ii)臍帯組織に由来する分娩後細胞、胎盤組織に由来する分娩後細胞、又はこれらの細胞産物若しくは派生物、及び、
(iii)筋細胞、脂肪細胞、筋繊維芽細胞、外胚葉細胞、筋肉細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、膵臓細胞、肝細胞、胆管細胞、骨髄細胞、神経細胞、尿生殖器細胞、多能性細胞、幹細胞、前駆細胞、又はそれらの細胞産物若しくは派生物、から選択される、実施態様14に記載の細片化発泡材。
(16) 組織の修復及び/又は再生方法であって、
患者の創傷を、生体適合性かつ生体分解性のポリマーを含む細片化発泡材と接触させることを含み、前記創傷との接触後約7日目の前記細片化発泡材の肉芽組織過増殖が、同一の非細片化発泡材に関する肉芽組織過増殖の量よりも大きい、方法。
(17) 前記細片化発泡材が、90体積%よりも高い多孔度、約0.25mm〜約0.75mmの厚さ、約1mm〜約4mmの長さ、及び約1mm〜約4mmの幅を有する、実施態様16に記載の方法。
(18) 組織の付着、増殖又は分化を刺激又は促進することが可能な1以上の薬剤を更に含み、前記1以上の薬剤は前記細片化発泡材の表面上及び/又は内部に含浸、封入、及び/又は被覆されている、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記1以上の薬剤が、
(i)抗感染症剤、ホルモン、鎮痛剤、抗炎症剤、増殖因子、化学療法剤、抗拒絶剤、プロスタグランジン、RGDペプチド、
(ii)臍帯組織に由来する分娩後細胞、胎盤組織に由来する分娩後細胞、又はこれらの細胞産物若しくは派生物、及び、
(iii)筋細胞、脂肪細胞、筋繊維芽細胞、外胚葉細胞、筋肉細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、膵臓細胞、肝細胞、胆管細胞、骨髄細胞、神経細胞、尿生殖器細胞、多能性細胞、幹細胞、前駆細胞、又はそれらの細胞産物若しくは派生物、から選択される、実施態様18に記載の方法。
(20) 細片化発泡材の平均的な細片が全創傷体積の約0.1%〜約5%を占める、実施態様16に記載の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷の、細片化発泡材での治療であって、前記細片化発泡材は生体適合性かつ生体分解性のポリマーを含み、前記創傷との接触後約7日目の前記細片化発泡材の肉芽組織過増殖が、同一の非細片化発泡材に関する肉芽組織過増殖の量よりも大きい、細片化発泡材での治療。
【請求項2】
前記生体適合性かつ生体分解性のポリマーが、脂肪族ポリエステル、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリアミドエステル、アミン基含有ポリオキサエステル、ポリ(無水物)、ポリホスファゼン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の細片化発泡材。
【請求項3】
前記脂肪族ポリエステルが、ラクチド、グリコリド、ε−カプロラクトン、p−ジオキサノン、トリメチレンカーボネート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーのホモポリマー及びコポリマーである、請求項2に記載の細片化発泡材。
【請求項4】
前記脂肪族ポリエステルが、ポリ(ε−カプロラクトン−コ−グリコリド)、ポリ(ε−カプロラクトン−コ−ラクチド)、ポリ(p−ジオキサノン−コ−ラクチド)、ポリ(ε−カプロラクトン−コ−p−ジオキサノン)、ポリ(p−ジオキサノン−コ−トリメチレンカーボネート)、ポリ(トリメチレンカーボネート−コ−グリコリド)、ポリ(トリメチレンカーボネート−コ−ラクチド)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるエラストマー性コポリマーである、請求項2に記載の細片化発泡材。
【請求項5】
前記エラストマー性コポリマーは、ε−カプロラクトンの、グリコリドに対するモル比が約30/70〜約70/30であるようなポリ(ε−カプロラクトン−コ−グリコリド)である、請求項4に記載の細片化発泡材。
【請求項6】
前記エラストマー性コポリマーは、ε−カプロラクトンの、グリコリドに対するモル比が約35/65〜約65/35であるようなポリ(ε−カプロラクトン−コ−グリコリド)である、請求項4に記載の細片化発泡材。
【請求項7】
前記エラストマー性コポリマーは、ε−カプロラクトンの、グリコリドに対するモル比が35/65であるようなポリ(ε−カプロラクトン−コ−グリコリド)である、請求項4に記載の細片化発泡材。
【請求項8】
前記発泡材が、90体積%よりも高い多孔度を有する、請求項1に記載の細片化発泡材。
【請求項9】
前記発泡材が、約0.25mm〜約0.75mmの厚さを有する、請求項1に記載の細片化発泡材。
【請求項10】
前記発泡材が、約1mm〜約4mmの幅、及び約1mm〜約4mmの長さを有する、請求項1に記載の細片化発泡材。
【請求項11】
前記発泡材が、90体積%よりも高い多孔度、約0.25mm〜約0.75mmの厚さ、約1mm〜約4mmの幅、及び約1mm〜約4mmの長さを有する、請求項1に記載の細片化発泡材。
【請求項12】
細片化発泡材の平均的な細片が全創傷体積の約0.1%〜約5%を占める、請求項1に記載の細片化発泡材。
【請求項13】
ε−カプロラクトンの、グリコリドに対するモル比が35/65であるようなポリ(ε−カプロラクトン−コ−グリコリド)の生体適合性かつ生体分解性のエラストマー性コポリマーを含み、
90体積%よりも高い多孔度、約0.25mm〜約0.75mmの厚さ、約1mm〜約4mmの幅、及び約1mm〜約4mmの長さを有する、細片化発泡材。
【請求項14】
組織の付着、増殖又は分化を刺激又は促進することが可能な1以上の薬剤を更に含み、前記1以上の薬剤は前記細片化発泡材の表面上及び/又は内部に含浸、封入、及び/又は被覆されている、請求項1に記載の細片化発泡材。
【請求項15】
前記1以上の薬剤が、
(i)抗感染症剤、ホルモン、鎮痛剤、抗炎症剤、増殖因子、化学療法剤、抗拒絶剤、プロスタグランジン、RGDペプチド、
(ii)臍帯組織に由来する分娩後細胞、胎盤組織に由来する分娩後細胞、又はこれらの細胞産物若しくは派生物、及び、
(iii)筋細胞、脂肪細胞、筋繊維芽細胞、外胚葉細胞、筋肉細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、膵臓細胞、肝細胞、胆管細胞、骨髄細胞、神経細胞、尿生殖器細胞、多能性細胞、幹細胞、前駆細胞、又はそれらの細胞産物若しくは派生物、から選択される、請求項14に記載の細片化発泡材。
【請求項16】
組織の修復及び/又は再生方法であって、
患者の創傷を、生体適合性かつ生体分解性のポリマーを含む細片化発泡材と接触させることを含み、前記創傷との接触後約7日目の前記細片化発泡材の肉芽組織過増殖が、同一の非細片化発泡材に関する肉芽組織過増殖の量よりも大きい、方法。
【請求項17】
前記細片化発泡材が、90体積%よりも高い多孔度、約0.25mm〜約0.75mmの厚さ、約1mm〜約4mmの長さ、及び約1mm〜約4mmの幅を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
組織の付着、増殖又は分化を刺激又は促進することが可能な1以上の薬剤を更に含み、前記1以上の薬剤は前記細片化発泡材の表面上及び/又は内部に含浸、封入、及び/又は被覆されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記1以上の薬剤が、
(i)抗感染症剤、ホルモン、鎮痛剤、抗炎症剤、増殖因子、化学療法剤、抗拒絶剤、プロスタグランジン、RGDペプチド、
(ii)臍帯組織に由来する分娩後細胞、胎盤組織に由来する分娩後細胞、又はこれらの細胞産物若しくは派生物、及び、
(iii)筋細胞、脂肪細胞、筋繊維芽細胞、外胚葉細胞、筋肉細胞、骨芽細胞、軟骨細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、膵臓細胞、肝細胞、胆管細胞、骨髄細胞、神経細胞、尿生殖器細胞、多能性細胞、幹細胞、前駆細胞、又はそれらの細胞産物若しくは派生物、から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
細片化発泡材の平均的な細片が全創傷体積の約0.1%〜約5%を占める、請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−532225(P2010−532225A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515097(P2010−515097)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/068271
【国際公開番号】WO2009/006174
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】