説明

加工処理し、泡立ちの良い、脂肪酸セッケン/脂肪酸固形石鹸

本発明は、固形石鹸が、押し出し性に優れ、合成界面活性剤レベルが低くても優れた特性(例えば泡立ち)を有することができるように構築される(つまり特別な三元システムを介して)、脂肪酸セッケン及び合成界面活性剤を含む、固形石鹸組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、合成界面活性剤を低濃度含む、脂肪酸セッケン/遊離脂肪酸固形石鹸(つまり、ベースとして脂肪酸セッケン及び/又は脂肪酸を有する。)に関する。
【0002】
具体的に、本発明は、セッケンを非常に高濃度で、及び/又は遊離脂肪酸を高濃度で含むことができ、これらが高濃度であるため、当業者が、加工され得る、及び/又は良く泡立ち得ると以前には考えなかった、固形石鹸に関する。しかし、合成成分及びその他の固形石鹸成分と混合する前に前駆固形石鹸組成物を作るために、「純粋な」脂肪酸/純粋セッケンストックを使用することにより(つまり、不飽和物が規定量以下であり、実質的に、鎖長の短い、脂肪酸又は脂肪酸セッケン不含のストック。)、思いがけなく、加工処理性に優れ泡立ちの良いこのような固形石鹸を提供することが可能であることが見出される。
【背景技術】
【0003】
脂肪酸セッケンは効率的で安価な洗浄製品であることが知られている一方、また、皮膚に対して刺激もあり得る(つまり、マイルドではない。)。短鎖(例えばC14以下、主にC12以下)及び不飽和長鎖(例えばオレイン酸ナトリウム)セッケンは、例えば、泡立ちがよく、洗浄力に優れているが、また、刺激もあり乾燥も起こし得る。
【0004】
出願者らは、上記で示した、一般により可溶性が高く刺激がある成分をセッケン鎖分布から除去することで、全般的に、固形石鹸の構造及び加工処理特性に影響を与えないが(その特性は、刺激性がより低く、溶解性がより低く、より長鎖であるセッケンにより大きく依存する。)、例えば泡立ち特性には影響し得ることを指摘した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、ある大きな難関は、脂肪酸セッケンストックから作られる固形石鹸(例えば、オレイン酸塩などの、不飽和でより溶解度の高いセッケンは、通常、より長鎖の不溶性のセッケンと同じソース由来、つまり、獣脂又はヤシなどの非堅果油由来であることに注目されたい。)を見出すことであり、そのストックは、加工処理性に優れ、優れた泡立ち特性を保持し、所望するマイルドさを有する固形石鹸を作るために使用できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
出願者らは、ここで、所定のモル%を超えない不飽和鎖長成分及び、残りのモル%の飽和成分を有し、実質的に鎖長 C14以下の成分を含まない(添加した合成界面活性剤全体から、取り除くことが非常に困難である残渣又は人為的成分を除く;これらの含有量は、そのストックの、約1%未満、好ましくは0.5%未満であり得、好ましくは存在せず、いずれにしろ、その結果、最終固形石鹸において、あらゆるC14以下の脂肪酸又はセッケン成分が1%を超える。)、脂肪酸及び/又は脂肪酸セッケンから前駆固形石鹸処方物を作ることができることを見出した。
【0007】
最終固形石鹸にブレンドされ、又は混合されるべきさらなる成分に対するマトリックスのようなものとして作用する、前駆固形石鹸は、2つの方法のうち1つにおいて形成することができる。第一に、不飽和脂肪酸(0から12.5モル%)、鎖長C16以上の飽和脂肪酸(50モル%から87.5モル%)及び、前駆マトリックス中での所望する中和の程度に依存して苛性剤(12.5モル%から50モル%、例えばNaOH又はKOH)をブレンド/混合することにより形成することができる。さらなる実施形態において、苛性剤による中和が不必要となるように、前もって形成されたセッケンを脂肪酸と混合することにより形成することができる。
【0008】
この前駆物質の、40重量%から88重量%の脂肪酸セッケン及び/又は脂肪酸(50モル% 苛性剤で、中和法により作ると仮定して、100% 中和であり、その固形石鹸は、100%セッケンであり;苛性剤が少ない場合には、セッケンと脂肪酸との混合物となる。)を含む最終固形石鹸を、合成界面活性剤、水及び充填剤とブレンド/混合し、予想外に、本固形石鹸が、加工処理性に優れ(例えば、チーズワイヤ(cheese wire)測定法を用いて少なくとも100kPaの硬度を有する。)、非常に泡立ちが良く(所定の方法により、50mlを超える、固形石鹸泡立ち評価)、ならびに、所望するマイルドさが見込まれることが分かった。
【0009】
このように、本発明のある実施形態にいおて、0から12.5モル%の不飽和脂肪酸(例えばオレイン酸);50%から87.5モル%の、鎖長 C15からC24、好ましくはC16からC20の飽和脂肪酸;及び12.5モル%から50モル%の苛性剤(所望する中和レベルに依存する。)を配合することにより、前駆固形石鹸/マトリックス処方物を調製する。重要な事は、できる限り「汚染なく」、できる限り、実質的に、鎖長C14以下の、セッケン又は脂肪酸(部分的中和の場合)を含まない、前駆物質を形成することである。このような前駆物質/マトリックスを後にその他の固形石鹸成分とブレンドする場合、それは加工処理性に優れ、実質的に可溶性脂肪酸酸/セッケンを含まない(本前駆物質を固めるもの以外のその他の固形石鹸成分により持ち込まれるものを除く。)状態でも、予想外に優れた泡立ちをもたらす。
【0010】
第二の実施形態において、同じ「汚染のない」前駆物質が形成されるが、しかし、前もって形成したセッケン及び遊離脂肪酸をブレンドすることにより(同じく、0から12.5モル% 不飽和物を含み、実質的に鎖長C14以下の成分を含まない。)、中和するための苛性剤なしで、形成される。
【0011】
実際、出願者らは、獣脂及び堅果油(より短鎖の飽和物が通常見られる。)の混合物ではなく、非堅果油(通常、可溶性の不飽和脂肪酸及び不溶性で、より長鎖の飽和脂肪酸の混合物として定義する。)から調製することができる固形石鹸を見出した。
【0012】
短鎖長セッケン(優れた使用者特性を与える。)を最低限に抑える場合、合成(例えば陰イオン性)物の使用は、固形石鹸の使用者特性の喪失を補う1つの方法である。しかし、本発明によると、優れた使用者特性を維持しながら、短鎖セッケン/脂肪酸の使用及び合成界面活性剤(泡立ちなどのその他の特性を向上させ得るが、同時に刺激性であり得る。)の使用の両方を最低限に抑える。
【0013】
Tollensらに対する米国特許第5,387,362号は、ラウリン酸、選択したC14−C18脂肪酸及びオレイン酸と反応させるために、それに応じたMg++、Na及びKイオンの混合物を含有する固形石鹸を開示する。
【0014】
本発明において、より短い鎖長の脂肪酸(例えばラウリン酸)を最低限に抑えるか、又は実質的に存在しないようにする。また、Tollensは、純粋なセッケン固形石鹸組成物であると思われ、一方、本発明の固形石鹸は、少なくとも約7重量%の合成物を必要とする。
【0015】
Kacherらに対する米国特許第5,262,079号は、高レベルの陰イオン性及び非イオン性硬化助剤を含む、枠付き固形石鹸を形成するための、部分的に中和するモノカルボン酸を開示する。本発明は、合成物の量を最低限に抑え(25%未満、好ましくは22%未満、より好ましくは20%未満)、硬化助剤を必要としない。それはまた、押し出し固形石鹸でもある。Kacherの固形石鹸はまた、15%を超える水を使用しなければならない。
【0016】
Narathらに対する米国特許第6,121,216号は、セッケン濃度を最低限に抑えることによる加工処理性の向上を記載する。本発明は、セッケンを最低限に抑えることを求めるものではないが、有益なセッケンブレンドを提供する。
【0017】
第一の実施形態において、本発明は、主に、セッケン/遊離脂肪酸 固形石鹸に関し、不飽和脂肪酸のレベルがある一定レベルを超えず、実質的に、鎖長C14以下の、脂肪酸セッケン又は遊離脂肪酸を含まない前駆固形石鹸が、加工処理性に優れ、非常に優れた泡立ちを示す、セッケン脂肪酸が多く合成物が少ない固形石鹸を調製するための、ベース又はマトリックスとして使用される。本前駆固形石鹸を調製するために使用されるセッケンストックは主に、例えば、いくつかの可溶性で不飽和(例えばオレイン酸)及び殆ど不溶性のより長い鎖長の脂肪酸を含有する非堅果油由来である。不飽和物(例えばオレイン酸)及びより短い鎖の飽和物の量を最低限に抑えることにより、出願者らは、加工処理性に優れ、泡立ちが良く、許容可能なマイルドさを有する固形石鹸を得る。
【0018】
適切な合成界面活性剤を少量使用することは、泡立ち及びマイルドさなどの所望する特性を確実に保つのに役立つ。本固形石鹸は、脂肪酸を苛性剤で中和(100%まで中和することができる。)することにより、又は、界面活性剤添加前にセッケン及び脂肪酸をブレンドすることにより、調製することができる。
【0019】
特に、ある実施形態において、本発明は、
(1)最終固形石鹸組成物の40重量%から88重量%を占め、成分の次のモル%が混合される場合、すなわち、
(a)不飽和脂肪酸 0モル%から12.5モル%と
(b)50モル%から87.5モル%の、鎖長C16以上、好ましくはC16−C22を有する脂肪酸と、
(c)12.5モル%から50モル%の、苛性剤と、
が混合される場合、既定された処方範囲内で形成される、前駆固形石鹸組成物と;
(2)7重量%から25重量%の、合成界面活性剤と;
(3)5重量%から15重量の、水と;
(4)0重量%から20重量%の、充填剤と、
を含み、該前駆固形石鹸組成物が、実質的に、鎖長C14以下の、セッケン又は脂肪酸不含であり、該最終固形石鹸が、該前駆固形石鹸組成物中のもの以外の成分により取り込まれ得るものを除き、実質的に、鎖長C14以下の、セッケン又は遊離脂肪酸不含であり;
標準的泡立ち評価試験(BLAM)により測定する場合、少なくとも50mlの泡立ちを有する、最終固形石鹸組成物を含む。
【0020】
この第一の実施形態において、セッケン、遊離脂肪酸(あれば)及び苛性剤(あれば)の最終的バランスは、苛性剤によりどの程度の脂肪酸を中和するか、により決定される。
【0021】
本発明の第二の実施形態において、前駆物質を調製するために使用される脂肪酸セッケン及び脂肪酸は、中和により固形石鹸前駆物質を形成するのではなく、界面活性剤及びその他の固形石鹸成分の添加前に、脂肪酸にセッケンを分散させることにより形成されるか、又はその逆により形成される。
【0022】
単なる一例として添付図面を参照して、本発明を説明する。
図1は、本発明の固形石鹸前駆物質を形成するために(中和実施形態を使用する場合)使用され得る、モル%量の範囲(影を付した領域内)のモデルを示す。形成される前駆物質は、実質的に、鎖長C14以下の、セッケン/脂肪酸不含であり、最終固形石鹸を形成するために使用される場合、加工処理性に優れ予想外に泡立ちの良い固形石鹸をもたらす。この図で表される全ての値は、モル%である。苛性剤軸の「X」は、例えば、ナトリウム又はカリウムのいずれかを示し得る。このような方式における代表的苛性剤は、セッケンベースを調製する際の三番目の軸において水が考慮されることを見越す。
【0023】
本発明は、驚くべきことに、加工処理及び泡立ちの両方に優れる、主にセッケン/脂肪酸で、合成物(7重量%から25重量%)が低レベルである、固形石鹸組成物に関する。具体的に、不飽和物が少なく、実質的に、鎖長C14以下の成分を含まない、前駆固形石鹸組成物を使用することにより、驚くべきことに加工処理性及び泡立ちに優れた最終固形石鹸を処方することが可能であることを見出した。
【0024】
より具体的には、出願者らは、(1)長鎖飽和脂肪酸(例えばパルミチン酸/ステアリン酸)(2)不飽和脂肪酸(例えばオレイン酸)及び(3)苛性剤(例えば1/2(NaO))のモル%比が、合わせられた場合、マトリックスを形成する範囲をモデルとした(図1参照。)。次いで、本前駆物質とその他の固形石鹸成分を混合/ブレンドすると、最適特性の固形石鹸が形成される。
【0025】
固形石鹸製造は、約80℃から90℃にミキサーを加熱し、脂肪酸(例えばパルミチン酸/ステアリン酸及びオレイン酸)を添加し、次いで、前駆物質を形成するために苛性剤を添加し(前駆物質はまた、苛性剤を用いずに、前もって形成されたセッケン及び脂肪酸(あれば)を添加することによっても形成され得る。);次いで、界面活性剤及びその他固形石鹸物質を添加することにより、遂行される。目標とする湿度までその混合物を乾燥させ、次いで冷却した。次に、冷却した物質を卓上単軸プロッダーを介して押し出し、ビレット状にして押圧した。次いで、泡の体積を含む実験室評価を行った。
【0026】
使用したミキサーは、プローシェアミキサーであり、バッチ調製は、前述のとおり:溶融脂肪酸に、苛性剤を添加し、界面活性剤を添加し、次いで目標とする湿度で取り出した。ミキサーから、速やかに冷却するためにその物質を3−ロールミルに置いた。次に、その結果得られたリボン状物質に香料を添加し、2段階、単軸Mazonniプロッダーで押し出した。
【0027】
述べたとおり、本発明のさらなる実施形態によると、合成界面活性剤及びその他の物質と合わせる前に、既に形成したセッケンと脂肪酸を合わせることができる(中和を介してセッケンを形成するのではない。)。
【0028】
より具体的には、実施形態において、本発明の最終固形石鹸組成物は、
(1)脂肪酸(不飽和物を最大量含み、実質的に鎖長C14以下の飽和物を含まない。)及び苛性剤をあわせること、又は、中和なしで、既に形成されたセッケン及び脂肪酸(不飽和物を最大量含み、鎖長C14以下の場合は実質的に含まない。)をブレンドすること、のいずれかにより、調製することができる、前駆物質又はベースとなる固形石鹸組成物 40%から88重量%と、
(2)7%から25重量%、好ましくは10%から22重量%の合成界面活性剤と;
(3)5%から15重量%、好ましくは6%から13重量%の水と;
(4)0重量%から20重量%の充填剤(例えば、炭水化物;ワックス;皮膚軟化剤;炭酸塩、ケイ酸塩などの塩;タルクなど)と、を含み、
(1)は、実質的にC14以下の、脂肪酸セッケン及び遊離脂肪酸を含まず;例えば合成界面活性剤などにより取り込まれ得る、あらゆるC14以下のセッケン/遊離脂肪酸を除き、最終固形石鹸においても同じである。
【0029】
しかし、最終固形石鹸に含有される鎖長C14以下のものの量が、5重量%未満、好ましくは3重量%未満、より好ましくは2重量%未満、最も好ましくは1重量%未満であることが好ましい。
【0030】
本最終固形石鹸はまた、標準的泡立ち評価試験により測定する場合、少なくとも50mlの泡立ちも有する。
【0031】
本前駆物質が中和により調製される場合、不飽和物が少なく、実質的に、鎖長C14以下の脂肪酸セッケン/遊離脂肪酸不含である、所望する前駆物質を形成するために組合わされる出発反応物質のモル%は、次の通りである(図1参照。):
(1)約12.5モル%から50モル%の、苛性剤(50モル%の場合、完全に中和される。);
(2)約0モル%から12.5モル%の、不飽和物(例えばオレイン脂肪酸)、及び
(3)約50モル%から87.5モル%の、C16以上の長鎖脂肪酸(例えば、パルミチン酸/ステアリン酸)。
【0032】
好ましい範囲内で形成された前駆固形石鹸/マトリックスは、0から65重量%の遊離脂肪酸(中和レベルに依存する。);高レベルの長鎖(C16以上)脂肪酸;及び低レベルの不飽和脂肪酸を含有し得る。部分中和により、これらの前駆物質が、遊離脂肪酸を非常に高濃度(65%以下)含む最終固形石鹸を形成するために使用できることが分かる。従来、脂肪分過剰の固形石鹸においては、遊離脂肪酸の含有量は、多くても5%から10%であり、遊離脂肪酸を添加した、合成物を基にした処方(例えば、Dove(R))でさえも、遊離脂肪酸の含有量は約25%のみである。したがって、本発明において使用される量は、以前に可能であると考えられていた量よりも遥かに多いものであり得る。
【0033】
最終固形石鹸組成物中の各成分を下記に詳細に記す。
【0034】
ベース又は前駆固形石鹸組成物に関して、実験モデルにおいてある特定の分子を使用したが、使用される分子は、具体的に例示されたものよりも広い範囲に広がり得ることを理解されたい。
【0035】
このように、例えば、不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸又はエライジン酸であり得る。述べられたような不飽和脂肪酸を、固形石鹸前駆物質の形成の際に(例えば、
中和法を使用する場合。)、出発反応物質として0から12.5モル%のレベルで使用することができる。前もって形成された脂肪酸セッケン及び遊離脂肪酸をブレンドする場合であっても、不飽和物の含有量は、合わせたセッケン/脂肪酸の12.5モル%を超えるべきではない。
【0036】
長鎖脂肪酸は、好ましくは、C16−C24、より好ましくは、C16−C22、さらにより好ましくは、C16−C20脂肪酸及びそれらの混合物であり、中和法を使用する場合は、出発脂肪酸の、又は中和法を使用しない場合は、総セッケン/脂肪酸ブレンドの、約50モル%から87.5モル%の量で使用される。
【0037】
最後に、苛性剤は、NAOHもしくはKOH又は、例えば苛性アルコール(CONa)など、IA族金属を放出する、これらと同類のあらゆる化合物であり得る。本苛性剤は、脂肪酸が一部中和され、脂肪酸セッケン及び脂肪酸の混合物を残すような量で使用され得る。一般に、これは、12.5モル%から50モル%以下の苛性剤を使用することにより得られる。固形石鹸が脂肪酸セッケンのみを含むように、本苛性剤が、脂肪酸を(たとえば50モル%)完全に中和し得ることを理解されたい。しかし、通常得ることができると考えられているものよりも非常に多い量の遊離脂肪酸を含む固形石鹸を得ることができることは本発明の有益性であり、それにより、優れた加工処理性をもたらしながら、同時にマイルドさを与える。
【0038】
別の実施形態において、中和プロセスを使用する必要はなく、界面活性剤及びその他の固形石鹸質を固形石鹸前駆物質に添加する前に、脂肪酸を、前もって調製されたセッケンと合わせ得る。
【0039】
前駆固形石鹸は、最終固形石鹸の、40重量%から88重量%、好ましくは50重量%から86重量%、より好ましくは55重量%から85重量%を占め得る(例えば、最終固形石鹸が5%の水、7%の合成物を有し、充填剤不含の場合、前駆固形石鹸は、前駆固形石鹸組成物の88%を占めることになる。)。
【0040】
本発明によると、前駆固形石鹸組成物とブレンド/混合するために、様々な界面活性剤を使用することができる。
【0041】
合成界面活性剤には、当業者にとって公知であるものなど、陰イオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性/両イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤などが含まれる。多くの界面活性剤の中で、Parran Jrら、に対する米国特許第3,723,325号、Schwartz,Perry及びBerchによる“Surface Active Agents and Detergents(Vol.I&II)(両者とも参照により本明細書中に組込まれる。)において記載されているものが使用され得る。
【0042】
補助的界面活性剤として有用な適切な陰イオン界面活性剤の例には:アルカン及びアルケンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ココイルイセチオン酸ナトリウムなどのアシルイセチオン酸塩、アルキルグリセロールエーテルスルホン酸塩、脂肪アミドエタノールアミドスルホコハク酸塩、アシルクエン酸塩及びアシル酒石酸塩、アルキルサルコシン酸塩及びアルキルアミノカルボン酸塩が含まれる。好ましいアルキル基又はアルケニル基は、C12−18の鎖長を有する。
【0043】
適切な非イオン性界面活性剤の例には、長鎖(12から22炭素原子)アルコールのエトキシレート(6から25モル エチレンオキシド)(エーテルエトキシレート)及び脂肪酸のエトキシレート(6から25モル エチレンオキシド)(エステルエトキシレート);アルキルグルカミドなどのアルキルポリヒドロキシアミド;及びアルキルポリグリコシドが含まれる。
【0044】
適切な両性界面活性剤の例には、単純アルキルベタイン、アミドベタイン、特にアルキルアミドプロピルベタイン、スルホベタイン及びアルキルアンフォアセテートが含まれる。
【0045】
合成界面活性剤は、最終固形石鹸組成物の、7重量%から25重量%、好ましくは10重量%から20重量%を占める。
【0046】
本組成物の最終固形石鹸は、水 5重量%から15重量%、好ましくは6重量%から13重量%を含み得る。
【0047】
最後に、最終固形石鹸は、カルボン酸塩(例えばグルコース、マルトデキストリン)から皮膚軟化剤(グリセリン、プロピレングリコール)、塩(例えば炭酸塩、硫酸塩)、水、デンプン及び無機充填剤(タルク、雲母)までの何らかを含み得る充填剤物質 0から20重量%を含有し得る。本充填剤は、本発明に対して決定的なものではなく、最終固形石鹸を調製するために前駆物質及び合成界面活性剤に添加し得る多くの化合物の単なる一例である。
【0048】
本発明の固形石鹸は、本明細書中で定義される泡立ち評価試験により測定した場合、少なくとも50mlの泡立ちを示さねばならない。
【0049】
(実施例)
操作及び比較実施例を除き、又は明らかに指示する場合を除き、物質の、量もしくは割合又は条件もしくは反応、物質の物理特性及び/又は使用を示すこの記述における数字は全て、「約」という語により修飾されるものと理解されたい。
【0050】
この明細書において使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、定められた特性、整数、段階、成分の存在を含むが、1もしくは複数の特性、整数、段階、成分もしくはそれらの群の存在又は追加を除外するものではない。
【0051】
次の実施例は、本発明をさらに説明するものであり、本発明を何ら制限するものではない。
【0052】
別段の断りがない限り、全てのパーセンテージは、重量%であるものとする。さらに、全ての範囲は、その範囲の両端と、その範囲内に組み込まれる全ての数字を包含するものと理解されたい。
【0053】
プロトコール
(固形石鹸の泡立ち体積評価(BLAM))
原理
洗浄の厳密な統制のもと、ある特定の固形石鹸処方物から生じ、回収できる、泡立ちの体積を決定すること。
【0054】
装置
化粧用固形石鹸
2個の大型シンク
測定用漏斗
測定用漏斗は、26.7cm(101/2インチ)直径のプラスチック漏斗を、完全に底を除去したメスシリンダーに取り付けることにより組み立てる。最低限、このメスシリンダーは、100ccのものであるべきである。この漏斗とメスシリンダーの間のかみ合いは、ぴったりとして安定しているべきである。
【0055】
方法
評価を進める前に、測定用漏斗をシンクのうち1つに置き、メスシリンダーにおいて0ccの印に届くまで、そのシンクに水を満たす。
【0056】
i.第二のシンクで蛇口を開け、温度を95F°(35℃)に設定する。
【0057】
ii.流水の下で固形石鹸を両手で持ち、固形石鹸を10回半回す。
【0058】
iii.流水下から手及び固形石鹸を離す。
【0059】
iv.固形石鹸を15回半回す。
【0060】
v.固形石鹸を横に置く。
【0061】
vi.10秒間泡立てを行う。
【0062】
vii.漏斗を手の上に置く。
【0063】
viii.手と漏斗を第一のシンクに下げる。
【0064】
ix.手を完全に浸したら、漏斗の下から滑り出させる。
【0065】
x.漏斗をそのシンクの底まで下げる。
【0066】
xi.泡立ち体積を読み取る。
【0067】
xii.泡が付いた漏斗を第一のシンクから取り出し、第二のシンクですすぐ。
【0068】
同じ処方、同じバッチなどの2個の固形石鹸においてこの試験を行い、2つの評価の平均として体積を記録するものとする。
【0069】
(降伏応力測定)
本発明の固形石鹸は、0.5mm直径のチーズワイヤを用いて200グラムのおもりを付けて測定する場合、好ましくは、少なくとも90kPa、好ましくは100kPaの降伏応力を有する。
【実施例1】
【0070】
プロトタイプモデルの確立
出願者らは、さらなる界面活性剤が添加され得る、モデルとなるセッケンベースの設計(本発明の三元構造化系を決めること。)を目指した。その考え方とは、その他の界面活性剤をそこに配合し得るセッケンベースとして役立つように受け入れ得る、不飽和セッケンに対する長鎖飽和物の組合せ(又は範囲)を定義することであった。少なくともいくつかの遊離脂肪酸を有することは、マイルドさを与えるのに望ましかった。
【0071】
位相係数を用いて、出願者らは、軸にモル%として目盛が付けられているモデルを確立した。
【0072】
全般的に、使用した苛性剤のレベル及びセッケン及び脂肪酸の得られたレベルに関して、次の観察を行った:
(1)50モル% 苛性剤を用いると、完全に中和される(全てセッケンであり、遊離脂肪酸を含まない。);
(2)37.5モル% 苛性剤を用いると、セッケンの脂肪酸に対する比が、3:2となる。
【0073】
(3)25モル% 苛性剤を用いると、セッケンの脂肪酸に対する比が、1:2となる。
【0074】
(4)12.5モル% 苛性剤を用いると、セッケンの脂肪酸に対する比が、1:6となる。
【実施例2】
【0075】
固形石鹸調製
本固形石鹸の調製において使用されるミキサーは、プローシェアミキサーであり、バッチ調製を用いた。その手順は、脂肪酸を溶融し(つまり、約65℃から105℃の温度で)、苛性剤を添加し(遊離脂肪酸を一部又は全部中和するために)、界面活性剤を添加し、所望の湿度で取り出す、というものであった。このミキサーから、速やかに冷却するために、材料を3−ロールミルに置いた。その結果生じたリボン状物質を2段階、短軸Mazzoniプロッダーで押し出した。
【0076】
実施例3から実施例30
以下の実施例3から実施例30は、より長い鎖長の飽和セッケン/脂肪酸が最大であり;より短い鎖長の飽和セッケン/脂肪酸が最小であるか、又は不含であり、不飽和物のレベルが常に脂肪酸/苛性剤混合物の最大モル%を下回る(例えば、鹸化前)、本発明の範囲内の全例である。実施例3から実施例30は、苛性剤による中和を介して調製され;実施例31は、中和によるものではなく、界面活性剤添加前に脂肪酸にセッケンを添加することにより調製される。
【0077】
本固形石鹸が加工処理性に優れ(例えば、プロトコールで定義したチーズワイヤ法により測定する場合、少なくとも90、好ましくは少なくとも100kPaの降伏応力)、約50以上、好ましくは約50を超える、より好ましくは60を超える泡立ち値を有することは注目されよう。
【0078】
注目すべきは、同じ方法により測定した場合、代表的な82/18固形石鹸が約50から60molの範囲で泡立ち、Dove(C)が、約110から120molの範囲で泡立つということである。
【0079】
実施例を下記に示す。
【実施例3】
【0080】
【表1】

【0081】
この例は、長鎖が75%(モル比)であり、不飽和物不含であり、脂肪酸が一部中和されている(25% NaOH)、セッケン/脂肪酸を示す。明らかなように、長鎖は最大量であり、短鎖及び不飽和物の両者が最少量であるか又は含まれない場合、出願者らは泡立ちの良い硬い固形石鹸(加工処理可能)を得る。
【実施例4】
【0082】
【表2】

【0083】
ここにあるのは完全に遊離脂肪酸不含の(完全に中和された)セッケンの一例である。この場合も先と同様に、セッケンは鎖長特異的である(長鎖長及び不飽和物について定義されるモル範囲)。不飽和物及び短鎖長のものなどの、一般により溶解度の高い成分を排除し及び/又は最小化する場合でも、固形石鹸は良く泡立ち(値は72)、同時に、界面活性剤を送達するための優れたマトリクスを提供する。
【実施例5】
【0084】
【表3】

【0085】
ここでは不完全中和により27.1%の遊離脂肪酸が残される。長鎖(C16−C18)脂肪酸/セッケン及び不飽和物(C18:1)のモル量は定義された制限内である。泡立ち体積は良好である。
【実施例6】
【0086】
【表4】

【0087】
中和により、46% セッケンとなり、25% 脂肪酸が残る。モル比は定義された制限内であり、泡立ちは良好である。
【実施例7】
【0088】
【表5】

前述の実施例と同じコメントがこの実施例及び残りの実施例に当てはまる。さらなるコメントを示す場合がある。
【実施例8】
【0089】
【表6】

【0090】
ここでは、46.1%の遊離脂肪酸が、加工可能かつ泡立ちの良い固形石鹸の中にあることがわかる。
【実施例9】
【0091】
【表7】


【0092】
この場合も先と同様に、41.9% 遊離脂肪酸という優れた値が示される。
【実施例10】
【0093】
【表8】

【実施例11】
【0094】
【表9】

【実施例12】
【0095】
【表10】

【0096】
ここでは、遊離脂肪酸レベルは60.2重量%である。
【実施例13】
【0097】
【表11】

【実施例14】
【0098】
【表12】

【実施例15】
【0099】
【表13】

【実施例16】
【0100】
【表14】

【0101】
67%という、高い遊離脂肪酸値が、加工可能な固形石鹸において示される。
【実施例17】
【0102】
【表15】

【実施例18】
【0103】
【表16】

【実施例19】
【0104】
【表17】

【実施例20】
【0105】
【表18】

【実施例21】
【0106】
【表19】

【実施例22】
【0107】
【表20】

【実施例23】
【0108】
【表21】

【実施例24】
【0109】
【表22】

【実施例25】
【0110】
【表23】

【実施例26】
【0111】
【表24】

【実施例27】
【0112】
【表25】

【実施例28】
【0113】
【表26】

【実施例29】
【0114】
【表27】

【実施例30】
【0115】
【表28】

【0116】
先行する実施例は全て、蒸留された脂肪酸を中和することを介して調製した。少なくとも一つのサンプルは、中和ではなく、界面活性剤の添加前にセッケンが脂肪酸へと分散されるように調製する必要がある。
【実施例31】
【0117】
【表29】

【0118】
実施例31は、中和を介して調製せず、粉末状ステアリン酸ナトリウムを溶融脂肪酸に混合し、次いでこの手段の残りの部分に従うことにより調製した。本実施例は、それが独特である理由は、単にプロセスではなく、組成であることを実証している。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】図1は、本発明の固形石鹸前駆物質を形成するために(中和実施形態を使用する場合)使用され得る、モル%量の範囲(影を付した領域内)のモデルを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)最終固形石鹸の40重量%から88重量%を占め、次のモル%の成分、
a.0モル%から12.5モル%の、不飽和脂肪酸、
b.約50モル%から87.5モル%の、鎖長 C16以上を有する脂肪酸、
c.約12.5モル%から50モル%の、苛性剤
が混合される場合、既定された処方範囲内で形成される、前駆固形石鹸組成物と;
(2)最終固形石鹸に対して約7重量%から25重量%の、合成界面活性剤と;
(3)最終固形石鹸に対して約5重量%から15重量%の、水と;
(4)最終固形石鹸に対して約0重量%から20重量%の、充填剤と、
を含み、
該前駆固形石鹸組成物が、実質的に、鎖長C14以下の、セッケン又は脂肪酸を含まず、該最終固形石鹸が、該前駆固形石鹸組成物以外の成分により取り込まれ得るものを除き、実質的に、鎖長C14以下の、セッケン又は脂肪酸を含まず;
該固形石鹸が、標準的泡立ち評価試験により測定する場合、少なくとも50mlの泡立ちを有する、固形石鹸組成物。
【請求項2】
最終固形石鹸組成物に存在する脂肪酸セッケンが、脂肪酸及び苛性剤の中和から形成される、請求項1に記載の固形石鹸組成物。
【請求項3】
少なくとも100kPaの降伏応力値を有する、請求項1又は請求項2に記載の固形石鹸組成物。
【請求項4】
前駆固形石鹸が、
(a)0から12.5モル%の、不飽和脂肪酸、および
(b)50から87モル%の、鎖長C16以上の脂肪酸
のみを含み;
前駆物質が、苛性剤及び遊離脂肪酸のb反応ではなく、行われる(performed)セッケン及び脂肪酸から形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の固形石鹸組成物。
【請求項5】
10重量%から22重量%の合成界面活性剤を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の固形石鹸組成物。
【請求項6】
6重量%から13重量%の水を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の固形石鹸組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2007−517944(P2007−517944A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548151(P2006−548151)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014383
【国際公開番号】WO2005/068600
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】