説明

加工機の胴のための直接駆動装置

【課題】胴用直接駆動装置を独立して駆動可能な胴に必要な横見当修正コストの低減。
【解決手段】印刷装置及び/又はコーティングユニットを備える加工機の胴用直接駆動装置。胴はサイドフレームに軸受支持されかつ被印刷物搬送のための胴/ドラムから成るギヤトレインに作用する駆動装置から機械的に連結解除されており、予め設定可能な態様で胴(9)に対して駆動可能であり、直接駆動装置が、端部側で胴(6,10)に着脱自在に配置されたロータ(14)及び該ロータに同軸状に配置され、サイドフレーム(13)に着脱自在に固定されたステータ(15)を備え、ロータ(14)がフランジ(25)によって胴(6,10)に連結され、フランジ(25)の周辺に軸受(29)が配置され、軸受には中間歯車(26)が回転自在に設けられかつ中間歯車(26)には被印刷物搬送(9)のための胴(9)から成るギヤトレインから入力(27)が与えられ、中間歯車(26)からその他の構成要素(7;11,12)への出力(28)が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の序文に記載された、加工機胴用直接駆動装置に関するものである。独立して駆動可能な胴は、特に枚葉紙形態の被印刷物(枚葉紙材料)を扱う印刷機又は塗工機に導入可能である。
【背景技術】
【0002】
制御可能なこのような直接駆動装置は、加工機用のものが従来技術文献から公知である(例えば、特許文献1参照)。望ましくは、枚葉紙材料搬送のために設けた枚葉紙オフセット印刷機のギヤトレインとの接続が解除された、少なくとも一つの印刷装置のプレート胴又はゴム胴は、予め設定可能な態様で駆動装置によって独立して駆動可能である。一つの発展形態では、該プレート胴、あるいは該プレート胴及び該ゴム胴を、残りの胴に対して駆動可能にして縦見当の修正を行う。その他の構成では、印刷リピート長修正を行うために、プレート胴及び/又はゴム胴を残りの胴に対して駆動可能にする。さらに、詳述しない機械手段により、必要に応じて横見当修正を実現することができるが、これは、サイドフレームに取り付けたプレート胴が、割り当てた駆動の他に、プレート胴の軸線方向に摺動可能に取り付けられるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第EP 0812683号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、上述した、胴用直接駆動装置を、独立して駆動可能な胴に必要な横見当修正のコストを大幅に低減できるように発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明の請求項1に記載の構成の特徴により解決できる。発展形態は、従属請求項から理解できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の第1の長所は、胴用直接駆動装置、及び必要であればその縦見当修正に加えて、横見当修正を独立して低コストで実現できることである。
【0007】
本発明の第2の長所は、直接駆動装置及び独立した横見当修正により、胴の独立した駆動装置のためのコンパクトで場所を節約した取付方法を提供可能なことである。このとき、望ましい構成では、更なる取付空間は必要ないが、それは、特にフレームに固定された、胴用直接駆動装置用及び必要であれば縦見当修正用の駆動モータの内部で、この胴の横見当修正を可能にするための独立した駆動装置が、フレームに固定して更に配置されるためである。
【0008】
さらに、横見当修正では、胴のための直接駆動装置の回転可能な駆動部分のみが、サイドフレーム内に取り付けられた胴と共に軸線方向に摺動可能な状態で構成されることも長所である。
【0009】
さらに、独立して駆動可能な胴は、望ましくは、オフセット印刷装置のプレート胴として、及び/又は加工機のニスびき装置の版胴として、直接駆動装置により実施でき、必要に応じて縦側見当修正、及び独立した横見当修正も行える。
【0010】
さらに、この直接駆動装置には、該直接駆動装置との接続が解除された、枚葉紙形態の被印刷物の搬送のために設けた、閉じたギヤトレインの中間歯車を取り付けられることも長所である。それにより、空間を節約する取付方法で、もう一つの構成要素、特にインキ装置及び/又は湿し装置及び/又は加工機の調量装置の少なくとも一つの着けローラが駆動可能である。
【0011】
本発明を、以下の図を参照しながら一つの実施例について更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】オフセット印刷装置及びコーティングユニットを設けた枚葉紙輪転印刷機を示す図である。
【図2】胴の横見当修正可能な直接駆動装置を示す図である。
【図3】胴の横見当修正可能な直接駆動装置、及び直接駆動装置から接続解除したインキ装置又はコーティングユニットの補助駆動装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
枚葉紙形態の被印刷物のための加工機には、例えば、複数の印刷装置1及び少なくとも一つのコーティングユニット2が設けられる。図1は、ゴム胴8、プレート胴6及びプレート胴6に割り当てたインキ装置7を備える、それ自体が公知の印刷装置1を例示する。必要に応じてプレート胴6には湿し装置が割り当てられる(図示せず)。印刷装置1では、被印刷物の搬送方向5にコーティングユニット2が配置され、このユニットには版胴10及び調量装置11,12が設けられる。この例では、調量システム11,12はアニロックス着けローラ11及びチャンバドクターブレードシステム12から構成される。コーティングユニット2の搬送方向5にはデリバリ3が配置され、このデリバリには、枚葉紙形態の被印刷物を搬送してパイルに積み上げるための無限循環搬送システム4が設けられる。被印刷物搬送のために、ゴム胴には、印刷装置1内で、版胴10にはコーティングユニット2内並びに印刷装置/コーティングユニット1,2の間に搬送胴9が配置される。この実施例では、搬送胴9は枚葉紙ガイド胴として構成され、駆動側で一体型ギヤトレイン、つまり閉じたギヤトレインと接続され、このギヤトレインは、主駆動装置と連結して駆動可能である。各印刷装置1のゴム胴8は、第1の構成では搬送胴9用のギヤトレインと機械連結されるが、第2の構成では搬送胴9用のギヤトレインとの連結が解除される、つまり、独立した直接駆動装置(独立した駆動装置)を備える。
【0014】
各プレート胴6及び各版胴10にはそれぞれ独自の、搬送胴9のギヤトレインから機械接続が解除された直接駆動装置(独立した駆動装置)が設けられ、この直接駆動装置は予め設定可能な態様でこの搬送胴9及び必要に応じて各ゴム胴8に対して駆動可能である。
【0015】
[第1実施例]
各印刷装置/コーティングユニット1,2内のプレート胴6及び版胴10の各直接駆動装置は同じであるため、以下に、プレート胴6又は版胴10の駆動装置について詳しく説明する。直接駆動装置は端部側でプレート胴/版胴6,10に着脱自在に配置され、プレート胴/版胴6,10に配置されたロータ14と、このロータと同軸な関係に配置され、サイドフレーム13に着脱自在に固定されたステータ15と、から構成される。フレームに固定配置されたレジスタモータ16は、歯車装置17,18に連結され、この歯車装置17,18は、プレート胴/版胴6,10の方向ではすば歯車19,20,21,22に連結され、このはすば歯車は軸/回転カップリング23,24によりプレート胴又は版胴6,10に連結される。
【0016】
望ましい構成では、ロータ14はリング状に構成され、フレームに固定されたレジスタモータ16は、ロータ14の内部に配置され、望ましくは加工機の機械制御装置に回路が連結される。
【0017】
歯車装置17,18は、レジスタモータ16に配置されたピニオン歯車17と、ピニオン歯車17に噛合するもう一つの歯車18、例えば、内歯車としての歯車18と、から構成される。この歯車18は、歯車18がレジスタシャフト19の端部側に固定されることにより、はすば歯車19,20,21,22に連結される。レジスタシャフト19には、プレート胴又は版胴6,10の方向にスピンドルネジ21が形成され、このスピンドルネジは、フレームに固定したホルダ20内でネジ継ぎ手を構成する。レジスタシャフト19は、ホルダ20内において、軸線方向ガイド22、望ましくはブッシュにより取り付けられる。反対側端部では、レジスタシャフト19にカップリング23,24が配置され、このカップリングは、レジスタシャフト19上の両側スラスト軸受23、及び、ロータ14に連結した、両側でスラスト軸受23に回転自在に噛合する、望ましくは、リング状のディスク24を備える。望ましくは、リング状のディスク24は、両側でスラスト軸受23に回転自在に噛合する。
【0018】
ディスク24は、版胴/プレート胴6,10に着脱自在に連結される。
【0019】
望ましくは、ロータ14は、フランジ25によってプレート胴/版胴6,10に着脱自在に接続され、ディスク24はフランジ25に着脱自在に固定される。
【0020】
[第2実施例]
第1の例の場合と同じく、プレート胴/版胴6,10の個別駆動ための直接駆動装置は同じであるため、以下では、このような駆動装置について詳しく説明する。この直接駆動装置には着脱自在に端部側でプレート胴/版胴6,10に配置されたロータ14、およびこれに同軸状に配置されてサイドフレーム13に着脱自在に固定されたステータ15が備わっている。
【0021】
ロータ14は、フランジ25によってプレート胴/版胴6,10に連結される。フランジ25には周辺側に(同軸な関係に)軸受29が配置され、この軸受には中間歯車26が回転自在に設けられる。この中間歯車26は、プレート胴/版胴6,10用の直接駆動装置との連結が解除される。中間歯車26には、被印刷物搬送用の搬送胴9のギヤトレインから入力27を与えることができ、また、この中間歯車26からその他の構成要素7;11,12への出力28が実現可能である。望ましくは、この出力は印刷装置1のインキ装置7へ、代替的には湿し装置へ、あるいはコーティングユニット2の調量装置11,12の着けローラ11へ行われる。
【0022】
望ましくは、リング状に構成したロータ14の内部に、フレームに固定され、歯車装置17,18に連結したレジスタモータ16が配置される。この歯車装置17,18は、はすば歯車19,20,21,22に連結され、このはすば歯車は軸/回転カップリング23,24によって胴6,10に連結される。
【0023】
望ましくは、レジスタモータ16は機械制御装置に回路が連結される。歯車装置17,18は、レジスタモータ16に配置したピニオン歯車17及びこのピニオン歯車17に噛合う歯車18から構成される。歯車18は、この歯車をレジスタシャフト19の端部側に固定することによって、はすば歯車19,20,21,22に連結される。レジスタシャフト19にはプレート胴/版胴6,10の方向にスピンドルネジ21が形成され、このスピンドルネジは、フレームに固定されたホルダ20内のネジ継ぎ手を構成し、また、レジスタシャフト19は、ホルダ20内で軸線方向ガイド22、例えば、ブッシュによって軸受支持される。レジスタシャフト19の反対側端部にはカップリング23,24が配置され、このカップリングには、レジスタシャフト19上の両側でスラスト軸受23、及び、ロータ14に連結され、回転によってスラスト軸受23に噛合する、望ましくは、リング状のディスク24が設けられる。この望ましくは、リング状のディスク24は、両側でスラスト軸受け23に回転自在に噛合する。ディスク24は、プレート胴又は版胴6,10に着脱自在に接続される。
【0024】
これら2つの例において、望ましくは、レジスタモータ16は、ホルダ20及びステータ15によって、サイドフレーム13に着脱自在に固定される。
【0025】
作動方法は以下のとおりである。直接駆動装置(ロータ14、ステータ15)は、予め設定可能な態様で、プレート胴6又は版胴10のための独立した駆動装置として駆動される。プレート胴/版胴6,10の横見当修正のために、レジスタモータ16は、望ましくは、機械制御装置により制御され、ピニオン歯車16(所与の回転方向に)及び噛合する歯車18を駆動する。歯車18はレジスタシャフト19を駆動し、このレジスタシャフトは、ネジ継ぎ手(スピンドルネジ21、ホルダ20)を介して、レジスタシャフト19の軸線を中心とした回転運動と、軸線方向(プレート胴/版胴6,10に接近又は離間する方向)のスラスト運動と、の組み合わせを実現する。レジスタシャフト19のこの(軸線方向の)スラスト運動は、フレームに固定されたガイド21内で、所与のハブ30に応じて行われ、両側でスラスト軸受23を介してディスク24に作用する。ディスク24はプレート胴/版胴6,10と接続されるため、サイドフレーム13ではロータ14によって、プレート胴又は版胴6,10の軸線方向の移動(両方向の矢印)が生じる。
【符号の説明】
【0026】
1 印刷装置
2 コーティングユニット
3 デリバリ
4 搬送システム
5 搬送方向
6 プレート胴
7 インキ装置
8 ゴム胴
9 搬送胴
10 版胴
11 着けローラ
12 チャンバドクターブレード
13 サイドフレーム
14 ロータ
15 ステータ
16 レジスタモータ
17 ピニオン歯車
18 歯車
19 レジスタシャフト
20 ホルダ
21 スピンドルネジ
22 ガイド(軸方向)
23 スラストベアリング
24 ディスク
25 フランジ
26 中間歯車
27 インプット
28 アウトプット
29 ベアリング
30 ハブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの印刷装置及び/又はコーティングユニットを備える加工機の胴用直接駆動装置であって、
前記胴はサイドフレームに軸受支持され、かつ被印刷物搬送のための前記胴/ドラムから成るギヤトレインに作用する駆動装置から機械的に連結解除されており、
予め設定可能な態様で前記胴(9)に対して駆動可能であり、
前記直接駆動装置が、端部側で前記胴(6,10)に着脱自在に配置されたロータ(14)及び該ロータに同軸な関係に配置され、
前記サイドフレーム(13)に着脱自在に固定されたステータ(15)を備え、
前記ロータ(14)がフランジ(25)によって前記胴(6,10)に連結され、
前記フランジ(25)の周辺に軸受(29)が配置され、
前記軸受には中間歯車(26)が回転自在に設けられ、及び、
前記中間歯車(26)には、被印刷物搬送(9)のための前記胴(9)から成るギヤトレインから入力(27)が与えられ、
前記中間歯車(26)からその他の構成要素(7;11,12)への出力(28)が可能であることを特徴とする直接駆動装置。
【請求項2】
リング状の前記ロータ(14)の内部には、前記サイドフレームに固定され、かつ前記歯車装置(17,18)に連結されたレジスタモータ(16)が配置され、及び、
前記歯車装置(17,18)がスクリュー機構(19,20,21,22)に連結され、
前記スクリュー機構が軸/回転カップリング(23,24)によって前記胴(6,10)に連結されることを特徴とする、請求項1に記載の直接駆動装置。
【請求項3】
前記レジスタモータ(16)が機械制御装置に回路が連結され、
前記歯車装置(17,18)が、前記レジスタモータ(16)に配置されたピニオン歯車(17)及びピニオン歯車(17)に噛合する歯車(18)により構成され、
歯車(18)は、前記歯車がレジスタシャフト(19)上の端部側で固定されることによって、前記スクリュー機構(19,20,21,22)に連結され、
前記レジスタシャフト(19)にはスピンドルネジ(21)が形成され、
前記スピンドルネジは前記サイドフレームに固定されたホルダ(20)内でネジ継ぎ手を構成し、
前記レジスタシャフト(19)は軸線方向ガイド(22)によって前記ホルダ(20)内で軸受支持され、及び、
前記レジスタシャフト(19)の他方の端部にカップリング(23,24)が配置され、
前記カップリングには、前記レジスタシャフト(19)上の両側スラスト軸受(23)及び前記ロータ(14)に連結されると共に、スラスト軸受(23)に回転自在に噛合するディスク(24)が設けられることを特徴とする、請求項2に記載の直接駆動装置。
【請求項4】
その他の前記構成要素(7;11,12)が、インキ装置(7)又は調量装置(11,12)の着けローラ(11)であることを特徴とする、請求項1に記載の直接駆動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−201320(P2011−201320A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151682(P2011−151682)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【分割の表示】特願2007−507714(P2007−507714)の分割
【原出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(599011584)マンローラント・アーゲー (257)
【Fターム(参考)】