説明

加工物内の中空空間の内面を撮影する装置

【課題】 本発明は、加工物(8)内の中空空間(6)の内面(4)を撮影する装置(2)に関する。
【解決手段】 本装置(2)は、画像撮影機(12)及びその後に配置された評価機器(14)と画像を伝送できるように接続された全視界方式の光学系(10)を備えている。更に、本装置(2)は、光学系(10)によって検出される内面(4)の撮影範囲を照明する光源(18)を備えた照明機器(16)を有する。本発明では、照明機器(16)の発光部材と偏光部材の一方又は両方(20,20’)が少なくとも一つ光学系(10)のレンズ(22)、特に、視野レンズ(22)に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載された形式の加工物内の中空空間の内面を撮影する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような装置は、例えば、特に、品質管理の枠組みにおいて、クランク室のシリンダボアを検査するために、特に、自動車業界で使用されている。その装置は、例えば、シリンダボアの内面を半径方向に撮影して、それにより表面の状態に関する所定の要件を満たしているか否かを調べるために用いられている。
【0003】
そのような装置は、特許文献1により周知である。それは、画像撮影機及びその後に配置された評価機器と画像を伝送できるように接続された全視界方式の光学系を備えている。更に、その周知の装置は、光学系によって検出する内面の撮影範囲を照明するための照明機器を備えている。
【0004】
同様の装置が、特許文献2により周知であり、撮影範囲の第一の軸方向の区間を明視野照明により、それと同時に第一の軸方向の区間に対して間隔を開けた撮影範囲の別の軸方向の区間を暗視野照明により照明できるように、照明機器が光学系に対して相対的に配置されるとともに、その光路が選択されている。
【0005】
特許文献3により、請求項1の上位概念に記載された形式の加工物内の中空空間の内面を撮影する装置が周知であり、画像撮影機及びその後に配置された評価機器と画像を伝送できるように接続された光学系を備えている。その装置は、光学系によって検出される内面の撮影範囲を照明する光源を備えた照明機器を有する。その光源は、例えば、LED光源として構成することができ、光学系の視野レンズに対して軸方向の間隔を開けて配置されるとともに、支持部によって光学系と機械的に連結されている。
【0006】
特許文献4により、光学系及びその光学系によって検出される内面の撮影範囲を照明する光源を備えた医療用内視鏡として構成された装置が周知である。その光源は、プリント回路上に配置されており、光学系の視野レンズの直ぐ近くに有る。
【0007】
特許文献5により、視野レンズを備えた光学系を光学素子上に配置した医療用内視鏡が周知であり、レンズの方を向いた端部がミラーとして構成されている。そのミラーは、光源を構成するリング形配列の発光ダイオードを装着している。
【0008】
特許文献6により、作業車上に配置される、全視界方式の光学系を備えた、管路を調べるための装置が周知である。
【0009】
特許文献7により、非球面光学物体を備えた広角レンズが周知であり、その材料は、特定の波長帯域を通すように選択されている。その周知の光学系は、特に、監視カメラで使用するために規定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際特許公開第2009/003692号明細書
【特許文献2】ドイツ特許公開第102009019459号明細書
【特許文献3】ドイツ特許公開第102008009975号明細書
【特許文献4】国際特許公開第2009/150653号明細書
【特許文献5】米国特許公開第2009/0082629号明細書
【特許文献6】米国特許第6,621,516号明細書
【特許文献7】米国特許公開第2006/0164733号明細書
【特許文献8】ドイツ特許公開第102007031358号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、構造の大きさを低減することによって用途を拡大した、請求項1の上位概念に記載された形式の加工物内の中空空間の内面を撮影する装置を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本課題は、請求項1に記載された発明によって解決される。
【0013】
本発明は、装置の構成部材のサイズを小さくして、それにより、構造の大きさの低減を実現するとの考えに囚われない。
【0014】
むしろ、本発明は、加工物内の中空空間の内面を撮影する装置の構成を変更して、それにより、特に、本装置の幾何学的なサイズに関する構造の大きさを低減して、比較的小さい中空空間内でも使用できるようにするとの考えに基づいている。
【0015】
即ち、例えば、自動車製造分野では、常により高い燃焼エンジン用環境適性要件が設定されている。それに準拠できるように、特に、エンジンの排気量が低下している。そのような排気量の低下は、大抵燃焼エンジンのピストンと相応に適合したシリンダボアの直径の低減によって実現されている。例えば、そのような排気量を低減させたクランク室の中空空間の内面を検査できるように、本発明は、光学系のレンズが照明機器の発光部材と偏光部材の一方又は両方を少なくとも一つ装着しているものと規定する。従って、本発明では、発光部材と偏光部材の一方又は両方が、少なくとも一つ光学系の少なくとも一つのレンズと直に、即ち、別の部材を間に挟まずに固定されている。この意味するところは、そのような発光部材と偏光部材の一方又は両方は、その全ての光学部品、電気/電子部品及び機械部品を備えており、例えば、LEDの場合、半導体部品、光学系及び支持部/保持部を備えている。
【0016】
本発明による装置によって得られる利点は、特に、評価と関連する光学系の範囲が妨げられることがなく、特に、例えば、照明機器の発光部材と偏光部材の一方又は両方に関する支持部によって制限されないことである。それと関連して、内面の相応の検査を実施できるためには、全視界方式の光学系によって検出する撮影範囲の画像撮影だけが必要であるとの利点が得られる。その結果、例えば、照明機器の発光部材と偏光部材の一方又は両方に関する支持部を光学系に対して回転させて別途撮影することが不要となるので、特に、加工物内の当該の中空空間の内面を高速に撮影することができる。
【0017】
本発明では、光学系のレンズとは、少なくとも部分的にガラス又はそれ以外の透明な媒体から成る光学的な作用を有する、屈折面を備えた部材であり、その少なくとも一つの面が、例えば、特に凸面又は凹面に形成されており、そのためレンズを通過する光がその面で相応に屈折するレンズであると理解する。更に、視野レンズとは、内面によって反射された光線を本装置の第一のレンズとして光学的に屈折させるレンズであると理解する。従って、本発明では、視野レンズとは、本装置の加工物内の中空空間から入射する方向に見て光学系の前方のレンズであると理解する。
【0018】
本発明では、発光部材とは、光を発生させる部材と少なくとも表面の一部を介して照明すべき周囲環境に光を放出する部材の一方又は両方であると理解する。
【0019】
本発明では、発光部材は、光ファイバーによって構成することもでき、光の出口から離して光源を配置することができる。例えば、発光部材を光ファイバーに光源を配備した光ファイバーとすることができ、その光を放出する端部と逆側の端部に光源が配置されており、そのため、光ファイバーを通して光ファイバーの光を放出する端部にまで光を誘導することができる。
【0020】
本発明では、偏光部材は、特に、光の方向を変化させる役割を果たす。
【0021】
本発明では、ミラー、プリズム、レンズなどのフィルター、或いはそれらの部材の組合せによって、偏光部材を構成することができる。
【0022】
光学系のレンズに発光部材と偏光部材の一方又は両方を配置する構成は、様々な手法で行なうことができる。例えば、前記の部材をレンズに貼り付けるか、或いは支持部を用いてレンズと固定することができる。この支持部は、又もや例えば、レンズと貼り合わせるか、或いは別の手法で連結することができる。
【0023】
更に、光学系により検出する内面の撮影範囲を照明する光源から放出された光をレンズの孔、特に、貫通孔を通して誘導することが可能である。それは、特に、光ファイバー、有利には、ガラス製ファイバーケーブルによって行なうこともできる。更に、孔の鏡面加工は、光の誘導を改善する役割を果たす場合も有る。
【0024】
本発明による装置の加工物内の中空空間の内面を撮影する検出能力を出来る限り損なわないようにするために、本発明の更に有利な改善構成は、発光部材と偏光部材の一方又は両方が内面の撮影に用いられる光学系の視野の外に配置されるものと規定する。例えば、シリンダボアの表面の状態を検査する場合、光学系の一部の領域だけを通して撮影すれば、それと関連した評価のためには、それで充分である。従って、評価に対して悪影響を及ぼすこと無く、発光部材と偏光部材の一方又は両方を支持するために、光学系の使用されない領域を用いることができる。即ち、例えば、シリンダの内面を検査する場合に、光学系を光軸上に、或いは孔を有する光軸の領域に配備することができ、その理由は、そのような光学系の領域は、撮影とそれに続く評価には通常必要ないからである。
【0025】
そのような背景から、本発明の更に有利な改善構成は、そのような部材が光学系の視野レンズの頂点の領域に、或いは頂点に配置されていることを特徴とする。そうすることによって、前述した通り、その後の評価と関連する光学系の撮影範囲が妨げられないとの利点が得られる。
【0026】
同じく前述した通り、幾つかの用途では、光学系の光軸(中心軸)の回りの領域は評価と無関係であり、そのため、そのような領域に発光部材と偏光部材の一方又は両方を配置するのが有利である。従って、本発明の有利な改善構成は、発光部材と偏光部材の一方又は両方を光学系の光軸に、或いは光軸の領域に配置するものと規定する。
【0027】
光学系のレンズ、特に、視野レンズにおける発光部材と偏光部材の一方又は両方の幾何学的な配置構成は、様々な手法で行なうことができる。即ち、そのような部材は、光学系の近端又は遠端に配置することができる。しかし、有利には、発光部材と偏光部材の一方又は両方は、光学系の遠端に配置され、それによって、特に、光出力が別の光学素子又は障害物によって減衰されず、そのため内面の検出すべき撮影範囲に損失無しに偏向することができる。それに対応して、本発明の更に有利な改善構成では、発光部材と偏光部材の一方又は両方が光学系の遠端に配置されるものと規定する。
【0028】
本発明では、光学系の遠端とは、入射方向に対して光学系の前方の端部であると理解する。
【0029】
光学系によって検出する内面の撮影範囲を照明するためには、光源が発生した光を様々な手法で偏向することが可能であり、前述した通り、特に、プリズム又はレンズが、そのような役割を果たすことができる。簡単で安価な手法により、一つのミラー又は複数のミラーを用いた偏光が可能であり、そのため、本発明の更に有利な改善構成は、偏光部材が少なくとも一つのミラーを備えているものと規定する。
【0030】
光学系によって検出される内面の撮影範囲の照明は、様々な手法で実現することができる。例えば、本装置の近端に光源を配置して、光ファイバーを用いて、光を放出するために本装置の所望の領域に光を誘導することが可能である。そのようにして、レンズの領域における発熱量を低下させて、例えば、撮影エラー又は測定エラーを低減することができる。
【0031】
それに対して、発光部材がエネルギー供給手段を配備した光源素子であることによって、光ファイバーを不要とすることも可能である。それに関して、エネルギー損失を出来る限り低くするために、内面の検出すべき撮影範囲の近傍で光を発生させることが可能である。非常に簡単な手法で電気エネルギー源及びそれと接続する電気配線によって実現できるエネルギー供給手段が、そのような光源素子にエネルギーを供給する役割を果たす。それらの配線は、例えば、内面の撮影範囲の検出に関して無視できる光学系の領域に配置して、その領域を最終的に光源素子と電気的に接続することができる。これらの配線は、例えば、光学系の孔、例えば、貫通孔を通して配線することができ、この孔は、内面の撮影に使用されない光学系の立体的な領域として設けることができる。
【0032】
光源素子へのエネルギー供給は、様々な手法で行なうことができる。即ち、光源素子の動作に必要なエネルギーは、有線方式でも無線方式でも供給することができる。
【0033】
このような背景において、本発明の有利な改善構成は、エネルギー供給手段が、光源素子にエネルギーを無線方式で伝送可能なように、或いは伝送するように構成されるものと規定する。そうすることによって、光学系の視野を損なうこと無く、電力を特別な手法で送らなくとも良いとの利点が得られる。更に、そのようにして、本装置のモジュール構造を促進することができる。
【0034】
無線方式によるエネルギー伝送は、様々な手法で実現することができ、例えば、電気誘導により行なうことができる。それに関して、本発明の更に有利な改善構成は、エネルギー供給手段が、少なくとも一つの誘導コイル機器を備えているものと規定する。この実施構成では、光源素子へのエネルギー供給は、非接触方式により実現可能である、詳しくは、光源素子のエネルギー消費量が大きい場合でも実現可能である。更に、この実施構成では、特に簡単に少なくとも二つ以上の光源素子に電力を供給することが可能である。
【0035】
誘導コイル機器によって、光学系の視野を損なうことがないようにするため、本発明の更に有利な改善構成は、誘導コイル機器の少なくとも一つのコイルが内面の撮影に用いられる光学系の視野の外に配置されるものと規定する。
【0036】
前記の実施構成の改善構成は、そのコイルが受信コイルであるものと規定する。
【0037】
更に、無線方式によるエネルギー伝送を少なくとも部分的に有線方式によるエネルギー供給で補完する、或いは置換することが可能である。それに関して、本発明の更に有利な改善構成は、光源素子が少なくとも一つのエネルギー供給配線を介してエネルギー供給手段と接続されるものと規定する。そのようにして、光源素子へのエネルギー供給は、簡単な手段で実現することができる。例えば、光源素子が電気で動作する場合、光学系の視野を損なわない範囲内にエネルギー供給手段から光源素子に通じる電気配線を使用することが可能である。
【0038】
本発明の別の改善構成は、エネルギー供給配線を光源素子と電気的に接続するための少なくとも一つの電極が光学的に透明な材料から構成されるものと規定する。例えば、光学的に透明な材料又はほぼ透明な材料から成る電極は、例えば、光学系の上に被膜されたコーティング部により実現することができる。その手法を考慮して、更に有利な改善構成では、少なくとも一つの電極が光学系のレンズのコーティング部を構成する。この場合、電極が少なくとも部分的に光学系のレンズのコーティング部を構成することが可能である。更に、レンズをセグメント毎にコーティングすることが可能であり、そうすることによって、コーティング部を用いて、様々な電極をレンズ上に構成することができる。
【0039】
更に、そのようにして、様々な電気消費部を光学系又はレンズの様々な領域に配置して、必要なエネルギーを供給することが可能である。
【0040】
光学系によって検出される内面の撮影範囲の照明は、様々な手法で行なうことができる。即ち、例えば、前述した通り、例えば、少なくとも一つのLEDを用いて構成できる光源素子を使用することができる。
【0041】
更に、発光部材を外部から励起することが可能である。そのために、本発明の更に有利な改善構成は、発光部材が電磁放射線による励起により光を発生する少なくとも一つの発光体を備えているものと規定する。そのような光を放出させるための励起は、様々な手法で行なうことができる。即ち、例えば、ルミネセンスにより、本発明による光学系によって検出する内面の撮影範囲の照明を行なうことができる。それに関して、例えば、電磁放射線による励起により光を発生する本発明による発光体として、蛍光体又は燐光体を使用することができる。
【0042】
更に、本発明の更に有利な改善構成は、撮影範囲の第一の軸方向の区間を明視野照明により、それと同時に第一の軸方向の区間から間隔を開けた撮影範囲の第二の軸方向の区間を暗視野照明により照明可能なように、或いは照明するように、照明機器を光学系に対して相対的に配置するとともに、その光路を選択することによって規定される。
【0043】
そのようにして、光学系によって検出される内面の撮影範囲を部分的に明視野照明で照明し、部分的に暗視野照明で照明できるとの利点が得られる。撮影する内面から反射された光を撮影のために使用する明視野照明では、例えば、特に、撮影する内面の引っ掻き傷及び小泡を確認できる特にコントラストの大きい撮影が実現される。それに対して、撮影のために特に撮影する内面で散乱した光線を使用するように光路を誘導する暗視野照明では、それ以外の構造欠陥、例えば、鋳物の鋳造欠陥を確認することができる。この場合、撮影する内面を明視野照明でも暗視野照明でも撮影することが可能である。そのため、そのように構成された装置では、二つの照明方法の欠陥の検出に関して得られる利点を組み合わせた利点が得られる。
【0044】
しかし、それに対応して構成された本発明による装置では、撮影する内面の一つの同じ軸方向の区間を暗視野照明と明視野照明で時間的に順番に撮影することが可能である。そのために、例えば、撮影する内面に対して相対的に本装置を軸方向に移動させることが可能な送り機器を配備することができる。例えば、暗視野照明で調査する内面の区間が送り方向に対して光学系の前に斜めに置かれる一方、明視野照明で調査する区間が中空空間の軸方向に対してほぼ光学系の高さに、或いはほぼ光学系の後に置かれている場合、送り動作の間に内面の所定の軸方向の範囲を先ずは暗視野照明で撮影し、それに続き本装置を更に送り移動させて明視野照明で撮影することができる。
【0045】
本発明の範囲内には、発光部材と偏光部材の一方又は両方を光学系のレンズに配置した本発明による照明機器と、発光部材又は偏光部材を光学系のレンズではなく、本装置の別の部材に配置した特許文献2により周知の照明機器との組合せも含まれる。
【0046】
本発明による発光部材又は偏光部材を光学系のレンズ、特に、視野レンズに配置するとの基本的な考えは、光学系と画像撮影機を備えた撮影装置でも一般的に用いることができる。その場合、後置の評価機器及び照明機器は必ずしも配備する必要はない。
【0047】
以下において、本発明による装置の大幅に模式化した実施例を図示した添付図面により本発明を詳しく説明する。この場合、図面に図示され、請求項に記載された全ての特徴は、請求項及び参照する請求項との関連に関係無く、並びに明細書の記述及び図面に図示された内容に関係無く、個々に、並びに技術的に意味の有る形で互いに任意に組み合わされて本発明の対象を構成する。
【0048】
見易くするために、図面で図示する内容は、理解を助ける構成素子に限定した。図面では、同じ又は対応する部材、構成要素又は構成素子は、同じ符号で表示されている。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による装置の第一の実施例の撮影位置における模式的な側面図
【図2】本発明による装置の第二の実施例の図1と同様の図
【図3】本発明による装置の第三の実施例の図1と同様の図
【図4】本発明による装置の第四の実施例の図1と同様の図
【図5】本発明による装置の第五の実施例の図1と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1では、加工物8内の中空空間6の内面4を撮影する本発明による装置2の第一の実施例が大幅に模式的な側面図で図示されている。本装置2は、画像撮影機12及びその後に配置された評価機器14と画像を伝送できるように接続された全視界方式の光学系10を備えている。更に、本装置2は、光学系10によって検出する内面4の撮影範囲を照明する照明機器16を備えている。この実施例では、偏光部材20が、照明のために配備されており、この場合視野レンズ22である光学系10のレンズに配置されている。
【0051】
この実施例では、視野レンズ22が偏光部材20を装着している。更に、偏光部材20は、内面4の撮影に使用される光学系10の視野の外に配置されている。この場合、偏光部材20は、視野レンズ22の頂点28の領域に配置されている、詳しくは、偏光部材20は、光学系10の光軸30(中心軸)に配置されている。更に、前記の配置構成によって、偏光部材20は光学系10の遠端32に配置されている。
【0052】
この実施例では、偏光部材20は、ミラー34により構成されており、内面4の検出すべき撮影範囲を照明するように、そこに入射した光線を相応に分割している。
【0053】
更に、この実施例では、撮影範囲の第一の軸方向の区間を明視野照明により、それと同時に第一の軸方向の区間から間隔を開けた撮影範囲の第二の軸方向の区間を暗視野照明により照明するように、照明機器16が光学系10に対して相対的に配置されるとともに、その光路が選択されている。
【0054】
光学系10は、この実施例ではシリンダ36である中空空間6を円周方向から完全に検出するために360°の全視界が実現可能であるように構成されている。
【0055】
この実施例では、画像撮影機12は、画像センサー40を備えたデジタルカメラ38により構成されている。
【0056】
図1に図示された実施例では、光学系10は純粋に屈折光学方式で撮影するための魚眼レンズである。
【0057】
図示されている実施例では、偏光部材20を中に配置した角度範囲を除く光学系10の視野角は、180°を上回り、即ち、約185°であり、そのため、光学系10は、光学系10の視野レンズの前に傾斜して存在する内面4の範囲だけでなく、光軸30に沿った、光学系10の視野レンズ22と逆側に有る内面4の領域も検出する。
【0058】
図示されている実施例では、画像センサー40は光学系10のイメージサークル全体を検出するように構成されている。光学系10によって撮影された内面4の画像は、画像撮影機12の画像センサー40により記録されて、図示されていない記憶装置に保存される。
【0059】
内面4の撮影範囲を照明するために、この実施例ではLED42により構成されるとともに、偏光部材20から離れて配置された光源18が配備されており、このLEDの後には、このLED42から放出された光線をほぼ平行に偏向するための光線成形素子44が配置されている。
【0060】
LED42から放出されて光線成形素子44により偏向された光線を偏光部材20に誘導するために、視野レンズ22は、光線を偏光部材20に誘導するための孔46を有する。
【0061】
この孔46の内面48は、機械的に精密に加工されているだけである。しかし、この孔46は、例えば、内面48を鏡面加工した形で構成することもできる。
【0062】
この実施例では、孔46は、視野レンズ22の貫通孔によって構成されており、この貫通孔の(図示されていない)軸は、光学系10の光軸30と一致する。LED42が発生した光線は、孔46を通過した後、前記の明視野照明及び暗視野照明を可能とするような幾何学的な形状を有するミラー34に当たる。このミラー32により、LED42から放出された光線は、中空空間6の内面4の方に偏向されて、そこで反射される。この場合、内面4を撮影するための第一の部分光線50は、内面4の第一の軸方向の区間を明視野照明で照明するように内面4に当たる。図1では、この形式の照明は、それに代わって部分光線50により象徴的に図示されている。図1では、暗視野照明に関して、それに代わって内面で反射した部分光線52,54及び56が象徴的に図示されている。
【0063】
加工物8に対して相対的な本装置2の送り動作の間に、内面4の異なる軸方向の範囲が順番に撮影されて、評価機器14で、それぞれ内面4を強調した画像に相当する画像に変換される。
【0064】
明視野照明及び暗視野照明に関する更なる情報は、特許文献2から得ることができる。更に、例えば、特許文献8からは、評価機器14が画像センサー40上に撮影された領域を直交座標画像に変換する手法に関する情報を得ることができる。前記の文献の開示内容を参照することによって、それを本出願に取り入れる。
【0065】
明視野構成又は暗視野構成で撮影された画像に基づき、調査する内面4が表面の状態に関する所定の要件を満たしているのか否かを決定することができる。
【0066】
以下において、分かり易くするために、図1の第一の実施例とそれに続く図面に図示された実施例との相違点だけを説明する。
【0067】
図2は、発光及び偏光部材20’が視野レンズ22の頂点28に配置されている、本発明による装置2の第二の実施例を図示している。この部材20’は、エネルギー供給手段62を配備された、内面4の照明に必要な光を発生させるための光源素子60を備えている。エネルギー供給配線64,64’が、発光及び偏向部材20’にエネルギーを供給する役割を果たし、この実施例では、簡単で安価な手法により発光及び偏向部材20’に光源素子60の動作に必要な電気エネルギーを供給するための電気供給配線64,64’によって構成されている。
【0068】
これらのエネルギー供給配線64,64’は、視野レンズ22の孔46を通って配線されている。この孔46は、又もや視野レンズ22を貫通する円筒形の貫通孔として構成されている。
【0069】
これらのエネルギー供給配線64,64’は、エネルギー伝送のために、(図示されていない)電気エネルギー源とも発光及び偏向部材20’とも電気的に接続されている。
【0070】
図3は、光を発生させる発光及び偏光部材20’に誘導によりエネルギーを供給する、本発明による装置2の第三の実施例を図示している。そのために、エネルギー供給手段62は、送信コイル68と受信コイル70を備えた誘導コイル機器66を有する。
【0071】
図4は、各エネルギー供給配線64,64’を光源素子60と電気的に接続するための電極72,72’がそれぞれ光学的に透明な材料から構成された、本発明による装置2の第四の実施例を図示している。この場合、これらの電極72,72’は、視野レンズ22のコーティング部74を構成している。
【0072】
図5は、本発明による装置2の第五の実施例を図示している。この場合、発光部材20’は、電磁放射線による励起によって光を発生する発光体76を備えている。この電磁放射線は、第一の実施例と同様に、発光体7から離れて配置された光源18を用いて光の形で発生させることができ、その光源は、又もやLED42により構成することができる。LED42が発生する光は、第一の実施例と同様に、視野レンズ22内の孔46を通して発光体76に誘導することができる。この発光体76は、光を発生させるための燐光材料を備えている。
【0073】
図5による実施例の考えられる変化形態は、孔46を省略して、光学系10の光軸を通して直接発光体76に光を誘導することである。この場合に起こり得る光線の変形は、光線成形素子44を用いて補正することができる。図5による実施例でも、前述した変化形態でも、発光体76からの光を妨げられること無く、或いはほぼ妨げられること無く通過させるが、光源18から放出された光を阻止する光学フィルターを画像撮影機12の前に配置することができる。そのようにして、照明からの散乱光が画像撮影機12に到達することを防止している。この変化形態は、発光体76により発生される光が通常光源18から放出される光よりも長い波長の光であるとの考えに基づいている。
【符号の説明】
【0074】
2 本装置
4 内面
6 中空空間
8 加工物
10 光学系
12 画像撮影機
14 評価機器
16 照明機器
18 光源
20,20’ 発光部材と偏光部材の一方又は両方
22 視野レンズ
28 視野レンズ22の頂点
30 光学系10の光軸
32 ミラー
34 ミラー
36 シリンダ
38 デジタルカメラ
40 画像センサー
42 LED
44 光線成形素子
46 孔
48 孔46の内面
50,52,54,56 部分光線
60 光源素子
62 エネルギー供給手段
64,64’ エネルギー供給配線
66 誘導コイル機器
68 送信コイル
70 受信コイル
72,72’ 電極
74 コーティング部
76 発光体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像撮影機及びその後に配置された評価機器と画像を伝送できるように接続された光学系と、この光学系により検出される内面の撮影範囲を照明する光源を備えた照明機器とを有する、加工物内の中空空間の内面を撮影する装置において、
この光学系のレンズ(22)が、照明機器(16)の発光部材と偏光部材の一方又は両方(20,20’)を少なくとも一つ装着していることを特徴とする装置。
【請求項2】
当該の発光部材と偏光部材の一方又は両方(20,20’)が、内面(4)の撮影に用いられる光学系(10)の視野の外に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
当該の発光部材と偏光部材の一方又は両方(20,20’)が、光学系(10)のレンズ(22)の頂点(28)の領域又は頂点(28)に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
当該の発光部材と偏光部材の一方又は両方(20,20’)が、光学系(10)の光軸(20)又は光軸(20)の領域に配置されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項5】
当該の発光部材と偏光部材の一方又は両方(20,20’)が、光学系(10)の遠端(32)に配置されていることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
当該の偏光部材(20)が、少なくとも一つのミラー(34)を備えていることを特徴とする請求項1から5までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
当該の発光部材(20)が、エネルギー供給手段(62)を配備された光源素子(60)であることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
当該のエネルギー供給手段(62)が、無線方式により光源素子(60)にエネルギーを伝送可能なように、或いはエネルギーを伝送するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
当該のエネルギー供給手段(62)が、少なくとも一つの誘導コイル機器(66)を備えていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
当該の誘導コイル機器(66)の少なくとも一つのコイルが、内面(4)の撮影に用いられる光学系(10)の視野の外に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
当該のコイルが、受信コイル(70)であることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
当該の光源素子(60)が、少なくとも一つのエネルギー供給配線(64,64’)を介してエネルギー供給手段(62)と接続されていることを特徴とする請求項1から11までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項13】
当該のエネルギー供給配線(64,64’)を光源素子(60)と電気的に接続するための電極( 72,72’)が、光学的に透明な材料から構成されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも一つの電極( 72,72’)が、光学系(10)のレンズ(22)のコーティング部(74)を構成することを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
当該の発光部材(20)が、電磁放射線による励起によって光を発生させる少なくとも一つの発光体(76)を備えていることを特徴とする請求項1から14までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項16】
撮影範囲の第一の軸方向の区間を明視野照明により、それと同時に第一の軸方向の区間に対して間隔を開けた撮影範囲の第二の軸方向の区間を暗視野照明により照明可能なように、或いは照明するように、当該の照明機器(16)が、光学系(10)に対して相対的に配置されるとともに、その光路が選択されることを特徴とする請求項1から15までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項17】
当該の光学系(10)が、全視界方式の光学系であることを特徴とする請求項1から16までのいずれか一つに記載の装置。
【請求項18】
当該の発光部材と偏光部材の一方又は両方(20,20’)を少なくとも一つ装着したレンズ(22)が、光学系(10)の視野レンズ(22)であることを特徴とする請求項1から17までのいずれか一つに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−96996(P2013−96996A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−242309(P2012−242309)
【出願日】平成24年11月2日(2012.11.2)
【出願人】(510121754)ホンメル−エターミク・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (3)
【Fターム(参考)】