説明

加工用紙

【課題】寸法安定性が改善され、不透明度が向上し、同時に紙力、層間強度、サイズ度の低下等の問題を解決した加工用紙、特に壁紙用裏打ち紙を提供する。
【解決手段】平均粒子径が8μm以上150μm以下であるマイカ(雲母)、好ましくはアスペクト比が5以上である平板状の形状を有する白雲母を、紙中に3重量%以上40重量%以下の範囲で含有させる。なお、この加工用紙を壁紙裏打ち紙として使用する場合には紙層間強度を20N/m以上40N/m以下にすることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁紙用裏打ち紙、剥離紙等として用いられる加工用紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加工用紙、特に壁紙用裏打ち紙や剥離紙原紙には高い寸法安定性が要求されている。
【0003】
壁紙は一般住居やホテル、病院等において室内の美麗化のために壁に長期貼付され使用される。壁紙にはビニル壁紙、オレフィン壁紙、織物壁紙、紙壁紙、無機質壁紙等があるが、これら壁紙はビニル層、オレフィン層、織物層、紙層、無機質層等の化粧層と、該化粧層を保持するための裏打ち紙により構成されている。
【0004】
壁紙は施工時に澱粉や酢酸ビニル樹脂系の水系の糊によって貼合されるが、糊付け工程で裏打ち紙が糊中の水分を吸収するため、壁紙が柔らかくなったり裏打ち紙が水分増加により伸びたりすることがある。これらが原因となって壁紙全体がカールし、壁への貼付作業が困難になったり貼付後に捲れが発生し易くなったりする等の問題が生じる。更に糊が乾燥すると裏打ち紙が収縮するために隣接して貼り合わせた壁紙同士の繋ぎ目部分に隙間が生じ(目開き)、施工後の意匠性を損なうなどの問題がある。
【0005】
裏打ち紙の寸法安定性を改善する方法としては、水分による伸縮が少ないガラス繊維等の無機系繊維を配合した裏打ち紙(特許文献1、2、3)、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成樹脂系繊維を配合した裏打ち紙(特許文献4、5、6)が開示されている。
【0006】
これら非セルロース繊維は裏打ち紙の寸法安定性の改善には効果があるものの、自己接着性が弱いため配合量を多くすると抄紙時にウェットプレスパート、ドライヤーパート、サイズプレスロール、カンバス、キャレンダーロール等で繊維の脱落が発生したり、合成繊維では乾燥熱での溶融により汚れが発生するという操業性の問題がある。そのためより安定した操業を行うには非セルロース繊維は出来るだけ配合率を低くすることが望ましい。
【0007】
このような現状から非セルロース繊維の配合以外の壁紙用裏打ち紙の寸法安定性改善方法が望まれている。
【0008】
一方、高い不透明度が要求される壁紙用裏打ち紙などは、水酸化アルミニウム、焼成クレーなどの填料が内添されている。
【0009】
【特許文献1】特公平7−122236号公報
【特許文献2】特開平8−100394号公報
【特許文献3】特公平8−26631号公報
【特許文献4】特開平5−59696号公報
【特許文献5】特開平5−59698号公報
【特許文献6】特開平5−59699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、水酸化アルミニウム、焼成クレーなどの填料を多く含有させた場合、紙力、層間強度、サイズ度が大幅に低下し、製紙工程での断紙トラブルが懸念される。本発明の課題は、加工用紙の寸法安定性を改善し、不透明度を向上させ、同時に紙力、層間強度、サイズ度の低下等の問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、平均粒子径8μm以上150μm以下であるマイカ(雲母)を紙中に3重量%以上40重量%以下の範囲で含有させることにより達成された。マイカを内添した紙としては、不燃又は難燃性であり、機械的強度に優れたマイカペーパーがある。例えば、特開平8−35196号公報には合成膨潤性フッ素雲母粒子を無機凝集剤により凝集させ繊維に定着したものを抄造したマイカペーパーが記載されているが、マイカの含有量が70重量%以上であり、本発明の加工用紙とは目的・用途が異なる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、寸法安定性が改善され、紙力、層間強度、サイズ度の低下が少ない加工用紙を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の加工用紙は平均粒子径8μm以上150μm以下であるマイカ(雲母)を含有することが必須である。マイカの平均粒子径が8μm未満であると、上述した効果が期待されず、150μmを超えると、パルプスラリーの分散性が悪く操業上好ましくない。なお、平均粒子径はマイクロトラックレーザー解析法により測定されるもので、例えば、マスターサイザーS(マルバーンインスツルメンツ製)を用いて測定することができる。また、マイカのアスペクト比は5以上であることが好ましい。アスペクト比とは粒子の平面方向及び断面方向を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて粒子径と厚さを測定し、粒子径/厚さにより算出するものである。
【0014】
本発明で使用するマイカとしては、天然雲母、合成雲母、膨潤性マイカ等、特に限定されるものではないが、平板状の形状であることが必要である。例えば、絹雲母、白雲母、金雲母、リチア雲母、チンワルド雲母、合成雲母等の雲母類が挙げられるが、白雲母がアスペクト比、コストなどの点からも好ましい。白雲母は一般式;KO・3Al・6SiO・2HOで表現されるものである。
【0015】
マイカの紙中における含有量は3重量%以上40重量%以下であることが必須であり、好ましくは10重量%以上20重量%以下である。含有量が3重量%未満の場合、上述したような効果が得られない。また、含有量が40重量%を超えると、紙力が大幅に低下するだけでなく、マイカの歩留まりが悪く、経済的にも好ましくない。
【0016】
本発明の加工用紙は、原料パルプとして、針葉樹、広葉樹を原料とする化学パルプ、機械パルプ、及び古紙から得られる再生パルプ、さらに靭皮パルプ、リンターパルプ、麻パルプ等の非木材系天然パルプが主原料パルプとして使用される。また、紙層間強度、サイズ度等の性能に影響を与えない範囲で、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維等の合成繊維パルプ、ガラス繊維、ロックウール繊維等の無機質繊維、ステンレス繊維等の金属繊維の使用が可能である。
【0017】
なお、本発明の効果を損なわない範囲で、填料としてマイカ以外にクレー、カオリン、炭酸カルシウム、ニ酸化チタン、ホワイトカーボン、水酸化アルミニウム、あるいは合成樹脂填料等を混合して使用してもよい。
【0018】
このような非セルロース系の繊維として、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂繊維、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂繊維、ナイロン等のポリアミド系樹脂繊維、ポリアクリロニトリル等のアクリル系樹脂繊維、ポリウレタン系樹脂繊維、ポリ塩化ビニル等の含ハロゲン系樹脂繊維等の熱可塑性合成繊維が使用可能である。また、上記熱可塑性合成樹脂を共重合させた合成繊維、または芯鞘構造、海島構造等を有する2種以上の異なった熱可塑性合成樹脂を一本の繊維中に含有する複合繊維等も使用することができる。これらの合成繊維は単独で使用しても、複数種類混合して使用してもよい。
【0019】
本発明の加工用紙を壁紙用裏打ち紙に適用する場合、壁紙の張り替え時に剥がしやすく、また、張り替えた後、壁に残る裏打ち紙層を均一化するために、脂肪酸系誘導体を含有させることが好ましい。本発明に使用する脂肪酸系誘導体としては、脂肪酸アミン系樹脂、脂肪酸アミド系樹脂が挙げられる。
【0020】
脂肪酸アミン系樹脂としては、高級脂肪酸とポリアルキレンポリアミンとエピクロルヒドリンとの縮合物の4級アンモニウム塩を用いることが好ましい。上記縮合物の4級アンモニウム塩としては、例えば、高級脂肪酸(炭素数8〜24の脂肪酸、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ベヘン酸)、ポリアルキレンアミン(例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、1,1−ジエチルエチレントミアミン、1,1−ジメチルエチレントリアミン、1,1−ジエチルエチレンテトラアミン、1,1−ジメチルプロピレントリアミン)、エピクロルピドリンから重合された樹脂が例示される。高級脂肪酸、ポリアルキレンアミン、エピクロルヒドリンのモル比は、それぞれ1〜3:1:0.2〜3の範囲であることが好ましい。ここで、高級脂肪酸とポリアルキレンアミンから重合された化合物(高級脂肪酸・ポリアルキレンアミン)や、高級脂肪酸、ポリアルキレンアミン、及びジカルボン酸の3種から合成された化合物(高級脂肪酸・ポリアミノポリアミド)に存在するアミノ基(−NH、−NH−)を「活性アミノ基」と称する。従って、高級脂肪酸とポリアルキレンポリアミンとエピクロルヒドリンとの縮合反応においては、高級脂肪酸とポリアルキレンアミンの重合で生じた活性アミノ基と、エピクロルヒドリンが反応する。この場合、エピクロルヒドリンは活性アミノ基に対して0.2〜3モル当量を反応させる量だけ添加することが好ましい。
【0021】
また、脂肪酸アミド系樹脂としては、高級脂肪酸とポリアミノポリアミドとエピクロルヒドリン縮合物の4級アンモニウム塩を用いることが好ましい。上記縮合物の4級アンモニウム塩としては、例えば、高級脂肪酸(炭素数8〜24の脂肪酸、例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸)、ポリアルキレンアミン(例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、イミノビスプロピルアミン)、ジカルボン酸(例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸)、エピクロルヒドリンから重合された樹脂が例示される。ここで、ポリアルキレンアミンとジカルボン酸が反応することによってポリアミノポリアミドが生成する。高級脂肪酸、ポリアルキレンアミン、ジカルボン酸のモル比は、それぞれ1:0.2〜0.3:0.01〜0.5の範囲が好ましい。また、エピクロルヒドリンは、上記と同様、活性アミノ基に対して0.2〜3モル当量を反応させる量だけ添加するのが好ましい。
【0022】
脂肪酸系誘導体の含有率は、壁紙用裏打ち紙に用いるパルプの絶乾重量当り0.005重量%以上2重量%以下程度であることが好ましい。脂肪酸系誘導体の含有率が0.005重量%未満であると、充分な軽剥離性が得られない。含有率が2重量%を超えると、裏打ち紙の強度が低下するので好ましくない。
【0023】
本発明の加工用紙を壁紙用裏打ち紙に適用した場合、紙層間強度は20N/m以上40N/m以下の範囲であることが好ましい。紙層間強度が20N/m未満であると、紙層間強度が低すぎるため壁に貼付後裏打ち紙層から捲れが生じ易くなり好ましくない。40N/mを超えると紙層間強度が強くなりすぎ、壁に添付後剥がす際に剥離が重く剥がし難いこと、及び上層の塩化ビニル層がきれ易くなる等、作業効率が低下し好ましくない。壁に貼付期間中に捲れが発生せず、剥がす際に容易に剥がすことを可能にするためには、20N/m以上40N/m以下の紙層間強度であることが必要である。
【0024】
本発明の加工用紙には、通常の紙と同様にサイズ剤を内添及び/または外添することができる。サイズ剤は酸性抄きの場合、ロジン系サイズ剤、ロジンエマルジョン系サイズ剤、アルファカルボキシルメチル飽和脂肪酸等が使用できる。一方、中性抄きの場合には、中性抄紙用ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、カチオンポリマー系サイズ剤が使用できる。また、サイズプレス等の外添においてもロジン系、合成樹脂系等の表面サイズ剤の使用も可能である。
【0025】
また、本発明の加工用紙を壁紙用裏打ち紙に適用する場合は、ステキヒトサイズ度が10秒以上であることが望ましい。ステキヒトサイズ度が10秒未満であると接着剤として用いる澱粉糊や酢酸ビニル等の合成樹脂エマルジョン糊が裏打ち紙の紙層中に浸み込んでしまい、剥がす際に剥離が重くなり好ましくない。10秒以上であれば、糊が紙層に浸み込むこともなく、良好な軽剥離性を保つことが出来る。
【0026】
本発明の加工用紙を壁紙用裏打ち紙に適用する場合は、表面強度を高めるため水溶性高分子及び/または水分散性高分子を主成分とする塗工液を少なくとも化粧層を設ける側の表面に塗工することが好ましい。例えば、ビニル壁紙の場合には、壁紙用裏打ち紙の表面に塩化ビニルペーストを塗布し、塩化ビニルペーストの硬化後、印刷工程に付されて塩化ビニル層が化粧層となる。このとき壁紙用裏打ち紙の表面強度が低い場合には、化粧層の塗工時に紙表面の繊維が毛羽立ちを生じて、硬化後に毛羽立ち部が壁紙表面で突起状となり印刷不良の原因となる。
【0027】
本発明で使用される水溶性高分子としては、酸化澱粉、酵素変性澱粉等の各種変性澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、カゼイン等を適宜使用することが可能である。また、水分散性高分子としては、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、メチルメタアクリレート・ブタジエン共重合体ラテックス、アクリル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン等を適宜使用することができる。このとき水溶性高分子及び/または水分散高分子を単独で使用してもよいが、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、シリカ等の各種顔料と混合して使用することもできる。
【0028】
水溶性高分子及び/または水分散性高分子の塗工量は固形分で0.2〜10g/mとすることが好ましい。塗工量が0.2g/m未満の場合には毛羽立ちが多くなり、10g/m以上であると裏打ち紙表面が完全に高分子で覆われるため化粧層と裏打ち紙層の間でアンカー効果が低下する。
【0029】
また、品質に影響のない範囲で定着剤、乾紙紙力剤、湿潤紙力剤、填料、歩留り向上剤、染料、顔料等を内添薬品として使用できる。更にサイズプレス等で塗工、あるいは含浸する外添薬品として表面紙力剤、染料、顔料等を使用することができる。
【0030】
本発明の加工用紙を壁紙用裏打ち紙に適用した場合、その坪量は40g/m以上120g/m以下であることが好ましい。坪量が40g/m未満であると、強度が低く加工時、断紙が発生しやすくなる。また、坪量が120g/mを超えると壁紙に加工した時に硬くなりすぎ、施工が困難となり問題がある。
【0031】
本発明の加工用紙は公知の抄紙機にて製造されるが、その抄紙条件は特に規定されるものではない。抄紙機としては、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機等が使用される。
【0032】
本発明の壁紙は、このようにして抄造された本発明の壁紙用裏打ち紙の上に化粧層を設けることにより得られる。例えば、化粧層としてビニル層を設けたビニル壁紙、オレフィン層を設けたオレフィン壁紙、織物層を設けた織物壁紙、紙層を設けた紙壁紙、無機質層を設けた無機質壁紙等の壁紙製品が挙げられる。何れの場合にも、化粧層となる層を設けた後に必要に応じて印刷するか、あるいは発泡処理やエンボス処理を行って化粧層とする。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれによって制限されるものではない。実施例及び比較例で得られた壁紙用裏打ち紙についての評価法は以下の方法を用いた。
<評価方法>
・紙層間強度:23℃、50%R/Hの雰囲気で壁紙用裏打ち紙両面にセロハンテープを貼り、抄紙方向に15mm幅に切断し試験片とする。測定時に紙層間で剥離するようにカッターで紙層間に切れ目を入れ、JIS P 8113:1998に準じて90度の角度で引張り強さを測定した。
・引張り強度:JIS P 8113:1998に準じて引張り強さを測定した。
・ステキヒトサイズ度:JIS P 8122:2004に従って測定した。
・不透明度:JIS P 8149:2000に準じて不透明度を測定した。
・水中伸度:JAPAN TAPPI NO.27Aに準じて測定した。値が低い方が寸法安定性が良好であることを示す。
【0034】
[実施例1]
針葉樹晒クラフトパルプ(カナダ標準ろ水度(CSF):500ml)を35重量部、広葉樹晒クラフトパルプ(CSF:500ml)を65重量部配合したパルプスラリー中に抄紙pHが4.5になるように硫酸バンドを添加し、次にサイズ剤としてアルファーカルボキシメチル飽和脂肪酸塩(商品名:NSP−S、星光PMC(株)製)を対パルプ絶乾重量あたり0.15重量%添加し、更に湿潤紙力剤としてポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂(商品名:WS−547、星光PMC(株)製)を0.2重量%添加し、次に脂肪酸アミン系樹脂(商品名:N−815、星光PMC(株)製)を0.1重量%添加した。次に紙絶乾重量あたり5重量%(灰分)になるように平均粒子径100μmのマイカ(商品名:クラライト・マイカ200W、クラレ社製)を添加し、この紙料を長網抄紙機により抄紙した。製紙した壁紙用裏打ち紙は、坪量100g/m、紙層間強度35N/m、サイズ度90秒であった。
【0035】
[実施例2]
マイカの含有量が紙絶乾重量あたり15重量%となるようにしたこと以外は、実施例1と同様に抄紙した。成紙した壁紙用裏打ち紙は、坪量100g/m、紙層間強度28N/m、サイズ度80秒であった。結果をまとめて表1に示す。
【0036】
[実施例3]
マイカの含有量が紙絶乾重量あたり30重量%となるようにしたこと以外は、実施例1と同様に抄紙した。成紙した壁紙用裏打ち紙は、坪量100g/m、紙層間強度23N/m、サイズ度60秒であった。結果をまとめて表1に示す。
【0037】
[実施例4]
重量平均粒径100μmのマイカを平均粒子径30μmのもの(商品名:クラライト・マイカ300W、クラレ社製)に変えたこと以外は、実施例1と同様に抄紙した。成紙した壁紙用裏打ち紙は、坪量100g/m、紙層間強度32N/m、サイズ度90秒であった。結果をまとめて表1に示す。
【0038】
[実施例5]
マイカの含有量が紙絶乾重量あたり15重量%となるようにしたこと以外は、実施例3と同様に抄紙した。成紙した壁紙用裏打ち紙は、坪量100g/m、紙層間強度23N/m、サイズ度70秒であった。結果をまとめて表1に示す。
【0039】
[比較例1]
マイカを平均粒子径1μmの焼成クレー(商品名:ANSILEX、エンゲルハード社製)に変えたこと以外、実施例1と同様に抄紙した。成紙した壁紙用裏打ち紙は、坪量100g/m、紙層間強度28N/m、サイズ度50秒であった。結果をまとめて表1に示す。
【0040】
[比較例2]
焼成クレーの含有量を紙絶乾重量あたり15重量%となるようにしたこと以外は、比較例1と同様に抄紙した。成紙した壁紙用裏打ち紙は、坪量100g/m、紙層間強度15N/m、サイズ度30秒であった。結果をまとめて表1に示す。
【0041】
[比較例3]
焼成クレーの含有量を紙絶乾重量あたり2重量%となるようにしたこと以外は、比較例1と同様に抄紙した。成紙した壁紙用裏打ち紙は、坪量100g/m、紙層間強度37N/m、サイズ度90秒であった。結果をまとめて表1に示す。
【0042】
[比較例4]
焼成クレーの含有量を紙絶乾重量あたり45重量%となるようにしたこと以外は、比較例1と同様に抄紙した。成紙した壁紙用裏打ち紙は、坪量100g/m、紙層間強度13N/m、サイズ度30秒であった。結果をまとめて表1に示す。
【0043】
[比較例5]
マイカを添加しないこと以外は、実施例1と同様に抄紙した。成紙した壁紙用裏打ち紙は、坪量100g/m、紙層間強度38N/m、サイズ度90秒であった。結果をまとめて表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
表1に示したように、紙中含有量が同等である場合、マイカを含有する実施例1〜5の壁紙用裏打ち紙は比較例1〜2の壁紙用裏打ち紙より水中伸度が低く、引張り強度及び層間強度の低下が抑制されており、また、より平均粒子径が大きいマイカを用いた実施例1、2の壁紙用裏打ち紙の方がその効果はさらに高かった。また、平均粒子径が大きいマイカを用いた壁紙用裏打ち紙の方が水中伸度は小さく、不透明度、ステキヒトサイズ度は高かった。マイカの含有量が3重量%未満である比較例3の壁紙用裏打ち紙では水中伸度の低下が不十分で、不透明度の向上も不十分であった。マイカの含有量が40重量%を超えた比較例4の壁紙用裏打ち紙では、引張り強度及び層間強度の低下が大きくなった。従って、一般に填料を添加するとサイズ度が低下するが、填料として粒径が大きいマイカを用いるとその影響を低減できることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径が8μm以上150μm以下であるマイカを3重量%以上40重量%以下の範囲で含有することを特徴とする加工用紙。
【請求項2】
紙層間強度が20N/m以上40N/m以下であることを特徴とする請求項1記載の加工用紙。

【公開番号】特開2008−88579(P2008−88579A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−268613(P2006−268613)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【Fターム(参考)】