説明

加工食品の水分量測定方法、及び加工食品の水分量測定装置

【課題】加工食品を破壊することなく、その含有水分量を同定する新規な方法及び装置を提供する。
【解決手段】加工食品に対して所定の周波数領域の振動を付与し、前記加工食品の表面側の振動波を計測するとともに、前記加工食品の裏面側の振動波を計測し、前記加工食品の前記表面側の前記振動波と、前記加工食品の前記裏面側の前記振動波との位相差を計測し、前記位相差に基づいて、前記加工食品の水分量を非破壊で同定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工食品の水分量測定方法、及び加工食品の水分量測定装置に関し、特に水分を比較的多量に含有する果実などの加工食品に対する水分量測定方法、及び水分量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水分を比較的多量に含む加工食品の中には保存状態や搬送状態などによって、液だれなどを起し、それらの外観がくずれてしまう場合がある。したがって、これらの加工食品は商品としての価値がなくなってしまうため、市場に出すことができなくなってしまうという問題が生じてしまう。
【0003】
特に島根県では柿の多量の水分を生かしてしっとりとした食感の干し柿を製造することが試みられている。干し柿を製造する場合は、採取した柿を乾燥室内に配置し、含有水分量をある程度の値にまで低減させる。しかしながら、含有水分量の低減が十分でないと、上述したように、干し柿の保存や搬送などの過程で液だれが生じてしまい、商品として提供できなくなってしまうという問題がある。
【0004】
一般に加工食品中の水分量の同定は困難であり、従来においては例えば加工食品などの場合、外部からの観察、あるいは加工食品を破壊して内部観察を行うことにより、経験的にその水分量を同定していた。このような観点から、加工食品中の水分量を前記加工食品を破壊することなく客観的、定量的な測定方法で同定できるような方法の開発が望まれていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、加工食品を破壊することなく、その含有水分量を同定する新規な方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく、本発明は、
加工食品に対して所定の周波数領域の振動を付与する工程と、
前記加工食品の表面側の振動波を計測するとともに、前記加工食品の裏面側の振動波を計測する工程と、
前記加工食品の前記表面側の前記振動波と、前記加工食品の前記裏面側の前記振動波との位相差を計測する工程と、
前記位相差に基づいて、前記加工食品の水分量を非破壊で同定する工程と、
を具えることを特徴とする、加工食品の水分量測定方法(第1の測定方法)に関する。
【0007】
また、本発明は、
加工食品に対して所定の周波数領域の振動を付与する振動装置と、
前記加工食品の表面側の振動波を計測する表面振動波計測装置と、
前記加工食品の裏面側の振動波を計測する裏面振動波計測装置と、
前記加工食品の前記表面側の前記振動波と、前記加工食品の前記裏面側の前記振動波との位相差を計測するとともに、前記位相差に基づいて、前記加工食品の水分量を非破壊で同定する演算装置と、
を具えることを特徴とする、加工食品の水分量測定装置(第1の測定装置)に関する。
【0008】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を実施した。その結果、水分量を測定すべき加工食品を所定の振動装置に取り付けて振動させ、その際の加工食品の表面及び裏面の振動波を計測し、得られた振動波の位相差を解析することによって、前記加工食品中の水分量を非破壊で同定できることを見出した。すなわち、前記加工食品中の水分量の大小によって、前記位相差が異なる挙動を呈することを見出し、本発明を想到するに至ったものである。
【0009】
本発明の一態様においては、前記位相差に対して高速フーリエ変換(FFT)を行い、前記位相差を所定の周波数領域の波形に展開することができる。この場合、加工食品の水分量に起因する位相差の挙動を前記波形上で観察することができ、前記位相差の挙動、すなわち前記加工食品中の水分量をより簡易に同定することができる。
【0010】
この場合、特に限定されるものではないが、加工食品中の水分量の大小によって、前記波形中の−180度の位相変化が発現する周波数が変化する場合がある。特に、前記加工食品中の水分量が少ない場合には、前記波形中の比較的低い周波数で−180度の位相変化が生じる傾向があり、前記加工食品中の水分量が多い場合には、前記波形中の比較的高い周波数で−180度の位相変化が生じる傾向がある。したがって、予め特定の加工食品に対して−180度の位相変化が生じる周波数に対して水分量を特定しておけば、その後は、本態様に従って、−180度の位相変化が生じる周波数を調べるのみで、前記加工食品中のおおまかな水分量を同定することができる。
【0011】
なお、本発明の一態様において、前記加工食品の前記表面側の前記振動波は、非接触式又は接触式の振動計測装置で計測することができる。これによって、前記加工食品の前記表面側の前記振動波を簡易に計測することができる。
【0012】
また、本発明の他の態様では、前記加工食品の前記裏面側の前記振動波は、前記加工食品に対して付与した前記振動に起因した振動波と等しく設定することができる。すなわち、前記加工食品を、振動を付与する装置に裏面側を固定して取り付けて振動させる場合、前記加工食品の前記裏面側の振動波は、前記振動装置が発生する振動波と相等しくなる。したがって、前記振動装置に対して所定のセンサを取り付けておくことによって、前記振動装置の振動波を解析すれば、結果的に前記加工食品の前記裏面側の前記振動波を解析した場合と相等しくなる。
【0013】
なお、上記第1の測定方法及び第1の測定装置は、基本的に総ての加工食品に対して適用できるが、特に水分を多く含む干し柿などの加工食品に対して好適に用いることができる。
【0014】
また、上記目的を達成すべく、本発明は、
加工食品に対して所定の周波数領域の振動を付与し、共鳴周波数を計測する工程と、
前記共鳴周波数に基づいて、前記加工食品の水分量を非破壊で同定する工程と、
を具えることを特徴とする、加工食品の水分量測定方法(第2の測定方法)に関する。
【0015】
さらに、本発明は、
加工食品に対して所定の周波数領域の振動を付与する振動装置と、
前記加工食品の共鳴周波数を計測する振動波計測装置と、
前記加工食品の前記共鳴周波数に基づいて、前記加工食品の水分量を非破壊で同定する演算装置と、
を具えることを特徴とする、加工食品の水分量測定装置(第2の測定装置)に関する。
【0016】
本発明者は、水分量を測定すべき加工食品を所定の振動装置に取り付けて振動させ、その際に得られる共鳴周波数と加工食品の水分量との間に相関があることを見出した。したがって、所定の加工食品に対する共鳴周波数を得、所定の相関式を用いることにより、前記加工食品の水分量を非破壊で同定することができる。
【0017】
なお、前記加工食品を所定の周波数領域で振動させることによって、複数の次数の共鳴周波数を得ることができるが、本発明ではなるべく低次数の共鳴周波数を用いることが好ましい。これは、低次数の共鳴周波数の方が、前記加工食品の水分量との相関が高いことに起因する。具体的には、第1共鳴周波数あるいは第2共鳴周波数を用いることが好ましい。
【0018】
第1共鳴周波数は、最も周波数の低い共鳴周波数を意味し、第2共鳴周波数は、前記第1共鳴周波数に次いで周波数の低い共鳴周波数を意味する。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、加工食品を破壊することなく、その含有水分量を同定する新規な方法及び装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の詳細並びにその他の特徴及び利点を、発明を実施するための最良の形態に基づいて説明する。
【0021】
(第1の測定方法及び第1の測定装置)
図1は、本発明における第1の加工食品の水分測定装置の一例を示す概略図である。図1に示す加工食品の水分測定装置10は、振動装置11と、この振動装置11の主面上端部に載置された振動計測センサ12と、振動装置11と対向するようにして配置された非接触式の振動計測装置13とを具えている。また、振動計測センサ12及び振動計測装置13はそれぞれ演算装置14に接続され、この演算装置14において後に説明する振動波の解析を行う。また、水分量を計測すべき加工食品Sは、その裏側が振動装置11の主面に固定されるようにして取り付けられている。
【0022】
なお、振動装置11は汎用のものを用いることができ、アンバランスマス型や、油圧型、動電型などの振動装置を用いることができる。
【0023】
振動計測センサ12は汎用のものを用いることができ、例えば加速度センサを用いることができる。この場合、振動に起因した加速度変化から前記振動を読み取ることができる。
【0024】
非接触式の振動計測装置13も汎用のものを用いることができ、レーザ等を用いた振動計測装置を用いることができる。好ましくは、レーザドップラー方式の非接触振動センサを用いることができる。これは、レーザ光を加工食品Sに照射するとともに、加工食品Sの振動によって生じた光ドップラー効果に起因した周波数シフトを計測することにより、加工食品Sの振動状態をモニタリングするものである。非接触式の振動計測装置13としてレーザドップラー方式の非接触振動センサを用いることにより、加工食品Sの振動を高感度に計測することができる。
【0025】
次に、図1に示す加工食品の水分測定装置10を用いた、加工食品Sの水分測定方法について説明する。
【0026】
最初に、加工食品Sに対して振動装置11から所定の周波数領域の振動を付与する。なお、付与する振動の周波数は、後の高速フーリエ変換(FFT)を用いた解析に供すべく、複数の相異なる周波数、多くの周波数を内包するホワイトノイズ、好ましくは前記所定の周波数領域で連続的に振動周波数が変化するようにして付与する。なお、好ましい振動の周波数領域は、加工食品Sの種類や含有する水分量などによって異なる。
【0027】
このとき、加工食品Sの表面及び裏面にはそれぞれ前記振動に起因した振動波が形成されるが、本実施形態において、加工食品Sは振動装置11にその裏面が固定されているので、加工食品Sの裏面側に生じる振動波は、振動装置11に生じる振動波と相等しくなる。したがって、本実施形態では、加工食品Sの裏面側に生じる振動波を振動装置11の振動波で代用し、この振動波の振動を振動計測センサ12で計測する。なお、計測した振動波は演算装置14に送られ、以下に説明する解析に供される。
【0028】
一方、加工食品Sの表面に生じる振動波は、振動装置11に対向して設けられた非接触の振動計測装置13で計測される。加工食品Sは振動装置11に固定されているが、加工食品Sが比較的多量の水分を含有することによって、加工食品Sの表面に生じる振動波は、その裏面に生じる振動波と相異なるようになる。計測した振動波は演算装置14に送られ、以下に説明する解析に供される。
【0029】
演算装置14では、振動計測センサ12によって計測された加工食品Sの裏面側の振動波の位相と、非接触の振動計測装置13によって計測された加工食品Sの表面側の振動波の位相との差分をとって位相差を計算する。その後、この位相差に対して上述した所定の周波数領域に位相差波形として展開する。
【0030】
すると、加工食品S中の水分量の大小によって、前記波形中の−180度の位相変化が発現する周波数が変化する。特に、加工食品S中の水分量が少ない場合には、前記波形中の比較的低い周波数で−180度の位相変化が生じる傾向があり、加工食品S中の水分量が多い場合には、前記波形中の比較的高い周波数で−180度の位相変化が生じる傾向がある。
【0031】
したがって、加工食品Sに対して−180度の位相変化が生じる周波数に対する水分量をその所定の方法、例えば破壊検査などで予め特定しておけば、その後は、本実施形態に従って、−180度の位相変化が生じる周波数を調べるのみで、加工食品S中のおおまかな水分量を同定することができる。
【0032】
なお、本実施形態は加工食品Sの種類は問わないが、例えば比較的多量の水分を含む干し柿などの加工食品の水分量を特定する際に、前記水分量を高い精度で同定することができる。
【0033】
(第2の測定方法及び第2の測定装置)
図2は、本発明における第2の加工食品の水分測定装置の一例を示す概略図である。図2に示す加工食品の水分測定装置20は、非接触式の振動計測装置13に代えて接触式の振動計測装置が設けられている点を除き、図1に示す加工食品の水分測定装置10と同様の構成を呈する。
【0034】
したがって、図2に示す振動装置21及び振動計測センサ22は、図1に示す水分測定装置10で使用した振動装置11及び振動計測センサ12を援用することができるので、それらの詳細については説明を省略する。なお、本例における接触式の振動計測装置23としては、加速度ピックアップ及ピエゾ圧電素子を用いることができる。
【0035】
次に、図2に示す加工食品の水分測定装置を用いた水分測定方法について説明する。最初に、加工食品Sの裏面を振動装置21の表面に固定する。次いで、加工食品Sに対して振動装置21から所定の周波数領域の振動を付与する。なお、前記周波数領域は、加工食品Sの共鳴周波数が得られるような範囲とする。振動装置21から負荷される振動は、振動装置21の表面に固定された振動計測センサ22で計測する。
【0036】
次いで、加工食品Sの前記共鳴周波数を接触式の振動計測装置23で計測し、前記共鳴周波数の計測値は演算装置24に送られて、加工食品Sの水分量の同定に供される。
【0037】
演算装置24では、加工食品Sの種類に応じて最適な次数の共鳴周波数が適宜選定され、前記共鳴周波数を予め導出した相関式中に代入することによって、加工食品Sの水分量が同定できるようになる。
【0038】
なお、加工食品Sの水分量の同定をより正確に行うには、低次数の共鳴周波数を用いることが好ましく、具体的には、第1共鳴周波数又は第2共鳴周波数を用いることが好ましい。第1共鳴周波数は、最も周波数の低い共鳴周波数を意味し、第2共鳴周波数は、前記第1共鳴周波数に次いで周波数の低い共鳴周波数を意味する。
【0039】
なお、本実施形態は加工食品Sの種類は問わないが、例えば比較的多量の水分を含む干し柿のみならず、比較的水分が少ないような団子等などの加工食品の水分量を特定する際に、前記水分量を高い精度で同定することができる。
【実施例】
【0040】
次に、実施例に従って本発明を具体的に説明する。
【0041】
(実施例1)
本実施例では、図1に示すような装置を用い、干し柿の水分量の評価を実施した。干し柿を振動装置11上にその裏側が固定されるようにして取り付け、10Hz〜500Hzまでの振動を付与した。その際、周波数毎の干し柿の表面側の振動波を計測するとともに、裏面側の振動波(振動装置11の振動波)を、それぞれ振動計測装置13及び振動計測センサ12で計測し、得られた振動波のデータを演算装置14に送信した。
【0042】
次いで、演算装置14で得られた振動波同士の位相差を計算するとともに、FFT解析を行い、前記位相差を10Hz〜500Hzの周波数領域における波形として展開した。
【0043】
図3は、干し柿に対する乾燥処理を十分に施し、おおよその水分含有量を60%程度とした際の位相差の波形であり、図4は、干し柿に対する乾燥処理を十分に施さないで、おおよその水分含有量を60%以上とした際の位相差の波形である。
【0044】
図3及び図4から明らかなように、干し柿中の水分量が十分に少ない場合(60%程度の場合)、波形中に−180度の位相変化が生じるのは約100Hzであるのに対し、干し柿中の水分量が多い場合(60%以上の場合)、波形中に−180度の位相変化が生じるのは約200Hzであることが分かる。これにより、干し柿中の水分量が少ない場合は、水分量が多い場合に比較して、低い周波数で−180度の位相変化が生じていることが分かる。
【0045】
また、同様な測定を複数の干し柿(固体数6〜9)に対して実施したところ、水分量が60%程度の場合は、−180度の位相変化が生じる周波数の平均値が106Hzであるのに対し、水分量が60%以上の場合は、−180度の位相変化が生じる周波数の平均値が192Hzであることが判明した。また、有意差検定により、前記平均値の危険率は1%以下であることが判明した。
【0046】
したがって、本実施例によれば、干し柿中の水分量を本発明の装置及び方法で十分正確に同定できることが判明した。
【0047】
(実施例2)
本実施例では、図2に示すような装置を用い、干し柿の水分量の評価を実施した。干し柿を振動装置21上にその裏側が固定されるようにして取り付け、10Hz〜500Hzまでの振動を付与した。その際、前記干し柿の共鳴周波数を、接触式の振動計測装置23で計測し、演算装置24に送信した。
【0048】
その結果、図5に示すような関係のグラフを得ることができ、前記干し柿の水分量は、次数の低い共鳴周波数との相関が高く、特に100Hz以下の第1共鳴周波数との相関が高いことが判明した。なお、相関係数は0.879であった。したがって、前記干し柿の第1共鳴周波数を計測することによって、前記干し柿の水分量を破壊することなく、比較的高精度に同定できることが判明した。また、有意差検定により、前記平均値の危険率は1%以下であることが判明した。
【0049】
(実施例3)
本実施例では、図2に示すような装置を用い、団子の水分量の評価を実施した。団子は、上新粉と水との割合を変化させ、水分量が38.1%、42.9%、及び50%となるように計3種類製造した。
【0050】
それぞれの団子を振動装置21上にその裏側が固定されるようにして取り付け、10Hz〜500Hzまでの振動を付与した。その際、各団子の共鳴周波数を、振動計測センサ22で計測し、演算装置24に送信した。
【0051】
その結果、前記団子の水分量は、次数の低い共鳴周波数との相関が高く、特に上記周波数の範囲の第2共鳴周波数との相関が高いことが判明した。この際、
E=m2/3×(f2) (1)
なる指標(m:団子の重量(g)、f2:第2共鳴周波数(Hz))を得ることによって、前記団子の水分量とほぼ100%の相関(相関係数0.999)が得られることが判明した。なお、前記団子の水分量と指標Eとの相関を示すグラフを図5に示した。
【0052】
また、図6に示すグラフより、前記団子の水分量及び指標Eは
水分量(%)=109.42−11.526×logE (2)
なる関係式を満足することが判明した。したがって、前記団子の重量と第2共鳴周波数とを計測することによって指標Eを得、(2)式に代入することによって前記団子の水分量を直接導出できることが判明した。
【0053】
以上、本発明を上記実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいてあらゆる変形や変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の加工食品の水分測定装置の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の加工食品の水分測定装置の他の例を示す概略図である。
【図3】本実施例における、干し柿に対する乾燥処理を十分に施し、おおよその水分含有量を60%程度とした際の、FFT変換後の位相差の波形である。
【図4】本実施例における、干し柿に対する乾燥処理を十分に施さないで、おおよその水分含有量を60%以上とした際の、FFT変換後の位相差の波形である。
【図5】本実施例における、干し柿の水分量と、共鳴周波数との相関を示すグラフである。
【図6】本実施例における、団子の水分量と、共鳴周波数に基づく指標Eとの相関を示すグラフである。
【符号の説明】
【0055】
10、20 加工食品の水分測定装置
11、21 振動装置
12、22 振動計測センサ
13 非接触式の振動計測装置
14、24 演算装置
23 接触式の振動計測装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工食品に対して所定の周波数領域の振動を付与する工程と、
前記加工食品の表面側の振動波を計測するとともに、前記加工食品の裏面側の振動波を計測する工程と、
前記加工食品の前記表面側の前記振動波と、前記加工食品の前記裏面側の前記振動波との位相差を計測する工程と、
前記位相差に基づいて、前記加工食品の水分量を非破壊で同定する工程と、
を具えることを特徴とする、加工食品の水分量測定方法。
【請求項2】
前記位相差に対して高速フーリエ変換を行い、前記位相差を前記所定の周波数領域の波形に展開する工程を具えることを特徴とする、請求項1に記載の加工食品の水分量測定方法。
【請求項3】
前記波形中の−180度の位相変化に基づいて、前記加工食品の前記水分量を非破壊で同定することを特徴とする、請求項2に記載の加工食品の水分量測定方法。
【請求項4】
前記加工食品の前記表面側の前記振動波は、非接触式又は接触式の振動計測装置で計測することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載の加工食品の水分量測定方法。
【請求項5】
前記振動計測装置は、レーザドップラー方式の計測装置を含むことを特徴とする、請求項7に記載の加工食品の水分量測定方法。
【請求項6】
前記加工食品の前記裏面側の前記振動波は、前記加工食品に対して付与した前記振動に起因した振動波と等しく設定することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載の加工食品の水分量測定方法。
【請求項7】
加工食品に対して所定の周波数領域の振動を付与し、共鳴周波数を計測する工程と、
前記共鳴周波数に基づいて、前記加工食品の水分量を非破壊で同定する工程と、
を具えることを特徴とする、加工食品の水分量測定方法。
【請求項8】
前記共鳴周波数は、第1共鳴周波数であることを特徴とする、請求項7に記載の加工食品の水分量測定方法。
【請求項9】
前記共鳴周波数は、第2共鳴周波数であることを特徴とする、請求項7に記載の加工食品の水分量測定方法。
【請求項10】
前記加工食品は水分を含有する加工食品であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一に記載の加工食品の水分量測定方法。
【請求項11】
加工食品に対して所定の周波数領域の振動を付与する振動装置と、
前記加工食品の表面側の振動波を計測する表面振動波計測装置と、
前記加工食品の裏面側の振動波を計測する裏面振動波計測装置と、
前記加工食品の前記表面側の前記振動波と、前記加工食品の前記裏面側の前記振動波との位相差を計測するとともに、前記位相差に基づいて、前記加工食品の水分量を非破壊で同定する演算装置と、
を具えることを特徴とする、加工食品の水分量測定装置。
【請求項12】
前記演算装置は、前記位相差に対して高速フーリエ変換を行い、前記位相差を前記所定の周波数領域の波形に展開するように構成したことを特徴とする、請求項11に記載の加工食品の水分量測定装置。
【請求項13】
前記演算装置は、前記波形中の−180度の位相変化に基づいて、前記加工食品の前記水分量を非破壊で同定するように構成したことを特徴とする、請求項11に記載の加工食品の水分量測定装置。
【請求項14】
前記表面振動波計測装置は、非接触式又は接触式の振動計測装置であることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一に記載の加工食品の水分量測定装置。
【請求項15】
前記表面振動波計測装置は、レーザドップラー方式の計測装置を含むことを特徴とする、請求項14に記載の加工食品の水分量測定装置。
【請求項16】
前記裏面振動波計測装置は前記振動装置に取り付け、前記加工食品の前記裏面側の前記振動波は、前記加工食品に対して付与した前記振動に起因した振動波と等しく設定することを特徴とする、請求項11〜15のいずれか一に記載の加工食品の水分量測定装置。
【請求項17】
加工食品に対して所定の周波数領域の振動を付与する振動装置と、
前記加工食品の共鳴周波数を計測する振動波計測装置と、
前記加工食品の前記共鳴周波数に基づいて、前記加工食品の水分量を非破壊で同定する演算装置と、
を具えることを特徴とする、加工食品の水分量測定装置。
【請求項18】
前記振動波計測装置は、第1共鳴周波数を計測することを特徴とする、請求項17に記載の加工食品の水分量測定装置。
【請求項19】
前記振動波計測装置は、第2共鳴周波数を計測することを特徴とする、請求項17に記載の加工食品の水分量測定装置。
【請求項20】
前記加工食品は水分を含有する加工食品であることを特徴とする、請求項11〜19のいずれか一に記載の加工食品の水分量測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−80097(P2009−80097A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115959(P2008−115959)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【出願人】(591282205)島根県 (122)
【Fターム(参考)】