説明

加湿機

【課題】本発明は貯水している水を気化させる加湿機に関するもので、冷風感の低減に伴なう、加湿量の低下を抑制することを目的とするものである。
【解決手段】そしてこの目的を達成するために本発明は、吸気口2と吹出口1とを有する本体ケース3と、この本体ケース3内で、吸気口2から吹出口1に送風される送風路4に送風手段5と加湿手段11とを設け、吹出口1に冷風感調整手段15を設け、この冷風感調整手段15は、第1の冷風感と第2の冷風感とに調整可能な構成とし、第1の冷風感は、第1の風速で第1の加湿量を有し、第2の冷風感は、第2の風速で第2の加湿量を有し、第2の風速は第1の風速より遅く、第2の加湿量は第1の加湿量より大きいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナル空間を加湿する加湿機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の加湿機の構成は以下のようになっていた。
【0003】
すなわち、吸気口と排気口とを有する本体ケースと、この本体ケース内で、前記吸気口から前記排気口に送風される送風路に送風手段と加湿手段とを設けた構成となっていた(例えば、これに類似する先行文献は下記特許文献1に記載されている)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−172145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来例における課題は、パーソナル空間を加湿する加湿機において、冷風感を低減すると、加湿量も低下することであった。
【0006】
パーソナル空間を加湿する場合には、人の近くで加湿し、人に対して直接加湿空気が当たる為、特に冬季は、室内の気温によっては冷風感を感じ易いものであった。従来の物は、冷風感を抑制するには、ノッチを下げ、加湿風量を低下させ、風速が低下することにより、冷風感を低減できるものであった。しかし、加湿風量が低下するので、加湿量も低下するものであった。
【0007】
そこで、本発明は、冷風感の低減に伴なう、加湿量の低下を抑制することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そしてこの目的を達成するために本発明は、吸気口と吹出口とを有する本体ケースと、この本体ケース内で、前記吸気口から前記吹出口に送風される送風路に送風手段と加湿手段とを設け、前記吹出口には、風向を変更する風向変更手段を備え、この風向変更手段には冷風感調整手段を設け、この冷風感調整手段は、第1の冷風感と第2の冷風感とに調整可能な構成とし、前記第1の冷風感は、第1の風速で第1の加湿量を有し、前記第2の冷風感は、第2の風速で第2の加湿量を有し、前記第2の風速は前記第1の風速より遅く、前記第2の加湿量は前記第1の加湿量より大きいことを特徴とするものである。
【0009】
これにより、初期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明は、吸気口と吹出口とを有する本体ケースと、この本体ケース内で、前記吸気口から前記吹出口に送風される送風路に送風手段と加湿手段とを設け、前記吹出口には、風向を変更する風向変更手段を備え、この風向変更手段には冷風感調整手段を設け、この冷風感調整手段は、第1の冷風感と第2の冷風感とに調整可能な構成とし、前記第1の冷風感は、第1の風速で第1の加湿量を有し、前記第2の冷風感は、第2の風速で第2の加湿量を有し、前記第2の風速は前記第1の風速より遅く、前記第2の加湿量は前記第1の加湿量より大きいものである。
【0011】
すなわち、第1の冷風感で冷風感を感じた場合には、冷風感調整手段によって、第2の冷風感に切り替えることにより、第2の風速は第1の風速より遅く、第2の加湿量は第1の加湿量より大きくなる。つまり、加湿空気の風速が低減するので冷風感は低減すると共に、加湿風量が増加するので、加湿量の低下を抑制することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1の加湿機の概略図
【図2】同加湿機を示す概略図
【図3】同加湿機の概略断面を示す図
【図4】同加湿機を示す概略図
【図5】同加湿機の冷風感調整手段を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1の加湿機は、図1と図3に示すように、略円筒状の本体ケース3の天面には、吹出口1を設け、本体ケース3の後部側面の下部には、吸気口2を設けている。この本体ケース3内で、吸気口2から吹出口1に送風される送風路4に送風手段5を備えている。
【0014】
吹出口1には、図2と図3に示すように、仰角方向に回動自在な風向変更手段19を設けている。この風向変更手段19は、略平板状の第1の水平板20と、第1の水平板20の下方に間隔をおいて配設した略平板状の第2の水平板21と、第1の水平板20の後部から下方へ向けて形成した背面板22と、第1の水平板20と第2の水平板21を連結する複数枚の連結板23とから形成されている。
【0015】
第1の水平板20の面積は、第2の水平板21の面積より大きく、第1の水平板20と第2の水平板21とは、ほぼ平行に位置するものである。第2の水平板21は、第1の水平板20の下方で、第1の水平板20の先端寄り、つまり本体ケース3における前面側に位置するものである。
【0016】
複数枚の連結板23のなかで、第2の水平板21の両端部に位置する連結板23には、これらの連結板23の外面から外方水平方向に伸びた軸部24を備えている。
【0017】
これらの軸部24を介して、風向変更手段19が、吹出口1に仰角方向に回動自在に装着されている。
【0018】
送風手段5は、スクロール形状のケーシング6と、このケーシング6内に設けられた電動機7と、この電動機7によって回転するシロッコファン8とから形成している。ケーシング6の側面には吸込口9を備え、ケーシング6の天面には吐出口10を有している。このケーシング6の吸込口9と本体ケース3の吸気口2との間に加湿手段11を設けている。
【0019】
加湿手段11は、本体ケース3内の下部に配設されており、上面を開口し、一定水位の水を貯水する貯水容器12と、貯水容器12内に上面の開口から挿入して下部が浸漬された加湿フィルター13とからなる。貯水容器12には一定量の水が給水タンク14によって供給される。
【0020】
送風手段5によって、吸気口2から吸い込まれた室内の空気が、加湿手段11の加湿フィルター13を通過し、空気が加湿される。この加湿された空気が、送風手段5、吹出口1、風向変更手段19を介して、室内へ送風されることにより室内が加湿される。ここで、パーソナル空間を加湿する場合には、人の近くで空気を加湿し、この加湿した空気を人に対して直接送風するものである。一例としては、机の上に加湿機を置き、座っている人の顔に向けて直接加湿空気を送風するものである。
【0021】
本実施形態における特徴は、吹出口1の風向変更手段19に冷風感調整手段15を設けた点である。この冷風感調整手段15は、第1の冷風感と第2の冷風感とに調整可能なものである。この第1の冷風感は、第1の風速で第1の加湿量を有し、第2の冷風感は、第2の風速で第2の加湿量を有するものである。ここで、第2の風速は第1の風速より遅く、第2の加湿量は第1の加湿量より大きいものである。
【0022】
すなわち、パーソナル空間を加湿する場合には、人の近くで加湿し、人に対して直接加湿空気を送風するので、第1の冷風感で冷風感を感じた場合には、冷風感調整手段15によって、第2の冷風感に切り替えることにより、第2の風速は第1の風速より遅く、第2の加湿量は第1の加湿量より大きくなる。つまり、加湿空気の風速が低減するので冷風感は低減すると共に、加湿風量が増加するので、加湿量の低下を抑制することができるものである。
【0023】
冷風感調整手段15は、送風範囲を変化させることができるものである。具体的には、図3から5に示すように、冷風感調整手段15は、四角筒形状の筒部16と、この筒部16の一方側の第1の開口部17と、筒部16の他方側の第2の開口部18を有するもので、吹出口1に着脱可能である。ここで、一方側の第1の開口部17の開口面積が、他方側の第2の開口部18の開口面積より小さいものである。すなわち、四角筒形状の筒部16の上面部25および下面部26は、風向変更手段19の第1の水平板20と第2の水平板21とは、ほぼ平行から内方に傾斜し、四角筒形状の筒部16の左面部27および右面部28は、風向変更手段19の連結板23とは、ほぼ平行から内方に傾斜しているものである。つまり、空気の流れにおける下流側である第1の開口部17の開口面積が、上流側である第2の開口部18の開口面積より小さいものであり、上流側である第2の開口部18の開口面積が次第に小さくなり、下流側である第1の開口部17の開口面積になるものである。これにより、筒部16の中心軸方向に集まるように吹き出すものである。この筒部16の上流側である第2の開口部18が、風向変更手段19を介して吹出口1に着脱可能である。
【0024】
すなわち、筒部16を吹出口1に装着し運転すると、吹出口1から上方へ吹き出された加湿空気は、風向変更手段19である第1の水平板20と第2の水平板21の下面に沿いながら流れるので、本体ケース3における前面側に風向が変化する。そして、筒部16を通過することにより、上流側である第2の開口部18の開口面積が次第に小さくなり、下流側である第1の開口部17の開口面積になるので、筒部16の中心軸方向に集まるように吹き出すものである。これにより、筒部16の第1の開口部17から吹き出される送風範囲は、後述する吹出口1から吹き出される送風範囲より小さくなる。この状態で、吹き出される加湿空気は、第1の風速で第1の加湿量を有するものである。
【0025】
ここで、第1の冷風感で冷風感を感じた場合には、筒部16を吹出口1の風向変更手段19から外して使用する。ここで、四角筒形状の筒部16の上面部25および下面部26は、風向変更手段19の第1の水平板20と第2の水平板21とは、ほぼ平行から内方に傾斜し、四角筒形状の筒部16の左面部27および右面部28は、風向変更手段19の連結板23と、ほぼ平行から内方に傾斜していたので、吹出口1の風向変更手段19からは、冷風感調整手段15である筒部16を装着時とほぼ同方向へ吹き出されるが、筒部16を通過し第1の開口部17から吹き出される送風範囲より、風向変更手段19から吹き出される送風範囲は大きくなり、この状態で、吹き出される加湿空気は、第2の風速で第2の加湿量を有するものである。つまり、風向変更手段19の開口面積が、第1の開口部17の開口面積より大きく、広がりながら吹き出されるので、第2の風速は第1の風速より遅くなる。一方、吹出口1から筒部16を外すことにより、送風抵抗が低減し、加湿風量が増えるので、第2の加湿量は第1の加湿量より大きくなる。結果として、吹出口1から筒部16を外すことにより、加湿空気の風速が低減するので冷風感は低減すると共に、加湿風量が増加するので、加湿量の低下を抑制することができるものである。
【0026】
また、筒部16の下流側である第1の開口部17の水平方向の開口寸法は、上流側である第2の開口部18の水平方向の開口寸法より小さいものである。一方、筒部16の下流側である第1の開口部17の垂直方向の開口寸法は、上流側である第2の開口部18の垂直方向の開口寸法より小さいものであり、上流側である第2の開口部18の開口面積が次第に小さくなり、下流側である第1の開口部17の開口面積になるものである。これにより、筒部16の下流側である第1の開口部17から吹き出す加湿空気は、筒部16の中心軸方向に集まるように吹き出すので、筒部16の第1の開口部17から吹き出される送風範囲より、筒部16の第1の開口部17から吹き出される送風範囲は小さくなる。
【0027】
ここで、空気の流れにおける上流側から下流側への開口寸法の減少割合は、垂直方向の開口寸法の減少割合が、水平方向の開口寸法に減少割合に比べて大きいものである。つまり、冷風感調整手段15を装着することによって吹き出される、空気の流れに対する垂直断面形状は、横長四角形状であると共に、空気の流れにおける上流側から下流側への開口寸法の減少割合は、垂直方向の開口寸法が水平方向の開口寸法に比べて大きいものである。
【0028】
これにより、パーソナル空間を加湿する場合には、人に対して直接加湿空気を送風するので、第1の冷風感で冷風感を感じた場合には、筒部16を吹出口1から外して使用すると、風向変更手段19から吹き出される送風範囲は、筒部16の第2の開口部18から吹き出される送風範囲に比べ、水平方向より垂直方向へ広がる割合が大きくなる。つまり、パーソナル空間を加湿する場合には、人の近くで加湿し、人に対して直接加湿空気を送風するが、第1の冷風感で冷風感を感じた場合には、人の体の一部に集中するのではなく、体全体に送風範囲を広げられる。特に、机の上に加湿機を置き、座っている人の顔に向けて直接加湿空気を送風している場合には、垂直方向に送風範囲が広がることで、上半身全体に送風範囲が広がり、パーソナル空間での加湿空気の風速は低減し、冷風感は低減すると共に、加湿風量が増加するので、加湿量の低下を抑制することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように本発明は、吸気口と吹出口とを有する本体ケースと、この本体ケース内で、前記吸気口から前記吹出口に送風される送風路に送風手段と加湿手段とを設け、前記吹出口には、風向を変更する風向変更手段を備え、この風向変更手段には冷風感調整手段を設け、この冷風感調整手段は、第1の冷風感と第2の冷風感とに調整可能な構成とし、前記第1の冷風感は、第1の風速で第1の加湿量を有し、前記第2の冷風感は、第2の風速で第2の加湿量を有し、前記第2の風速は前記第1の風速より遅く、前記第2の加湿量は前記第1の加湿量より大きいものである。
【0030】
すなわち、第1の冷風感で冷風感を感じた場合には、冷風感調整手段によって、第2の冷風感に切り替えることにより、第2の風速は第1の風速より遅く、第2の加湿量は第1の加湿量より大きくなるので、加湿空気の風速が低減するので冷風感は低減すると共に、加湿風量が増加するので、加湿量の低下を抑制することができるものである。
【0031】
従って、家庭用や事務所用などの、加湿機として活用が期待されるものである。
【符号の説明】
【0032】
1 吹出口
2 吸気口
3 本体ケース
4 送風路
5 送風手段
6 ケーシング
7 電動機
8 シロッコファン
9 吸込口
10 吐出口
11 加湿手段
12 貯水容器
13 加湿フィルター
14 給水タンク
15 冷風感調整手段
16 筒部
17 第1の開口部
18 第2の開口部
19 風向変更手段
20 第1の水平板
21 第2の水平板
22 背面板
23 連結板
24 軸部
25 上面部
26 下面部
27 左面部
28 右面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口と吹出口とを有する本体ケースと、この本体ケース内で、前記吸気口から前記吹出口に送風される送風路に送風手段と加湿手段とを設け、前記吹出口には、風向を変更する風向変更手段を備え、この風向変更手段には冷風感調整手段を設け、この冷風感調整手段は、第1の冷風感と第2の冷風感とに調整可能な構成とし、前記第1の冷風感は、第1の風速で第1の加湿量を有し、前記第2の冷風感は、第2の風速で第2の加湿量を有し、前記第2の風速は前記第1の風速より遅く、前記第2の加湿量は前記第1の加湿量より大きいことを特徴とする加湿機。
【請求項2】
前記冷風感調整手段は、送風範囲を変化させることを特徴とする請求項1に記載の加湿機。
【請求項3】
前記冷風感調整手段は、筒形状の筒部で、空気の流れにおける下流側の開口面積が、上流側の開口面積より小さく、前記風向変更手段に着脱可能であることを特徴とする請求項2に記載の加湿機。
【請求項4】
前記冷風感調整手段を装着することによって吹き出される、空気の流れに対する垂直断面形状は、横長四角形状であると共に、空気の流れにおける上流側から下流側への開口寸法の減少割合は、垂直方向の開口寸法の減少割合が、水平方向の開口寸法の減少割合に比べて大きいことを特徴とする請求項3に記載の加湿機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−36690(P2013−36690A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173521(P2011−173521)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】