加湿装置
【課題】必要十分な加湿能力の実現と省エネルギとを両立させることができる加湿装置を提供する。
【解決手段】加湿フィルタユニット3は浸水しており、回転することによって吸水が促進される。加湿運転の停止から再開までの時間が長く、吸水量が不足している場合、加湿運転の再開時に、加湿フィルタユニット3は所定時間連続的に回転してから間欠的に回転する。一方、加湿運転の停止から再開までの時間が短く、吸水量が十分である場合、加湿運転中、加湿フィルタユニット3は間欠的に回転する。間欠回転毎の加湿フィルタユニット3の回転停止時間は、送風ファン2の送風量に応じて設定される。以上の結果、加湿フィルタユニット3の吸水不足と吸水量が過剰になることとを抑制することができるため、必要十分な加湿能力を実現することができる。しかも、加湿フィルタユニット3を常時連続回転させる場合よりも省エネルギに寄与することができる。
【解決手段】加湿フィルタユニット3は浸水しており、回転することによって吸水が促進される。加湿運転の停止から再開までの時間が長く、吸水量が不足している場合、加湿運転の再開時に、加湿フィルタユニット3は所定時間連続的に回転してから間欠的に回転する。一方、加湿運転の停止から再開までの時間が短く、吸水量が十分である場合、加湿運転中、加湿フィルタユニット3は間欠的に回転する。間欠回転毎の加湿フィルタユニット3の回転停止時間は、送風ファン2の送風量に応じて設定される。以上の結果、加湿フィルタユニット3の吸水不足と吸水量が過剰になることとを抑制することができるため、必要十分な加湿能力を実現することができる。しかも、加湿フィルタユニット3を常時連続回転させる場合よりも省エネルギに寄与することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性及び通気性を有するフィルタ部を備える気化方式の加湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
気化方式の加湿装置は、吸水性及び通気性を有する円盤状又は円筒状等のフィルタ部を備える(特許文献1〜7参照)。
特許文献1,5,6に記載の加湿装置は、縦姿勢に配された円盤状のフィルタ部の周縁部の一部を水槽にて浸水させることによって、フィルタ部へ給水する。このとき、フィルタ部が吸水する。この加湿装置は、送風機を更に備え、送風機を作動させることによって加湿運転を行なう。
加湿運転中は、装置外部(例えば加湿装置が設置されている室内)の空気が吸入され、吸入された空気が、吸水したフィルタ部を一面側から他面側へ向けて通過する。このとき、フィルタ部に吸収されていた水が気化し、次いで、気化した水を含む空気(即ち吸湿した空気)が、装置外部へ送出される。
【0003】
このフィルタ部は、フィルタ部全体で効率よく吸水するために、周方向に回転可能に支持されている。加湿装置は、フィルタ部を回転させる回転駆動機構を更に備える。
加湿運転中のフィルタ部は、回転駆動機構が作動することによって、周方向に連続的に回転する。このとき、フィルタ部の周縁部は周方向に連続的に浸水及び吸水し、更に、周縁部から中央部へ水を吸い上げる。以上の結果、水がフィルタ部全体に効率よく行き渡る。
【0004】
以上のような加湿装置は、フィルタ部を回転させることによって、フィルタ部の吸水を促進する。
一方、従来の加湿装置には、水車を用いてフィルタ部へ撒水するものも存在する。この水車の周縁部には複数の凹部が並設されており、回転駆動機構が水車を回転させることによって、各凹部が水槽から汲水し、各凹部に貯留された水がフィルタ部へ搬送され、そして供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭54−172568号公報
【特許文献2】特開2000−74429号公報
【特許文献3】特開2003−302077号公報
【特許文献4】特開2005−37076号公報
【特許文献5】特開2009−24959号公報
【特許文献6】特開2011−52875号公報
【特許文献7】特開2008−32314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
装置外部を適切に加湿するためには、フィルタ部から水が過不足なく気化する必要がある。フィルタ部からの気化量は、フィルタ部に吸収されている水量(以下、フィルタ部の吸水量という)に左右される。
しかしながら、加湿運転中、フィルタ部又は水車は一定の速度で連続的に回転する。このため、適切な気化量に比して、フィルタ部の吸水量が多すぎる場合がある。
【0007】
フィルタ部の吸水量が過剰である状態とは、換言すれば、フィルタ部に無駄に給水している状態、又は、給水されたフィルタ部の吸水を無駄に促進している状態である。従って、省エネルギの見地からも、このような無駄を省くことが望まれる。
【0008】
ところで、特許文献7に記載の加湿装置は、ポンプで汲み上げた水をフィルタ部へ供給する構成である。この加湿装置では、フィルタ部の過剰な吸水を抑制するために、ポンプを間欠的に作動させる。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、貯水部又はフィルタ部を間欠的に回転させる構成とすることにより、必要十分な加湿能力の実現と省エネルギとを両立させることができる加湿装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る加湿装置は、水を貯留する貯水部と、吸水性及び通気性を有し、前記貯水部から給水されるフィルタ部と、該フィルタ部を通過した空気を装置外部へ送出するための送風機と、前記フィルタ部への給水又は給水された前記フィルタ部の吸水の促進のために、前記貯水部又は前記フィルタ部を回転させる回転駆動機構と、該回転駆動機構の動作を制御する制御部とを備える加湿装置において、前記制御部は、前記貯水部又は前記フィルタ部を間欠的に回転させる間欠制御手段を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る加湿装置は、前記制御部は、前記貯水部又は前記フィルタ部を連続的に回転させる連続制御手段と、前記貯水部又は前記フィルタ部が連続的に回転している場合に、前記貯水部又は前記フィルタ部が、連続的な回転の開始から所定時間又は所定回数、回転したか否かを判定する判定手段とを更に有し、該判定手段が、前記貯水部又は前記フィルタ部が前記所定時間又は前記所定回数回転したと判定した場合に、前記連続制御手段による制御を前記間欠制御手段による制御に切り替えるように構成してあることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る加湿装置は、加湿運転の停止から再開までの時間を計時する計時部を更に備え、前記制御部は、前記計時部が計時した時間が所定の時間より長い場合は、前記加湿運転の再開に際して前記連続制御手段による制御を開始し、次いで前記判定手段による判定を行ない、前記判定手段が、前記貯水部又は前記フィルタ部が前記所定時間又は前記所定回数回転したと判定したときに、前記連続制御手段による制御を前記間欠制御手段による制御に切り替え、前記計時部が計時した時間が前記所定の時間以下である場合は、前記加湿運転の再開に際して前記間欠制御手段による制御を開始するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る加湿装置は、前記送風機は送風量可変になしてあり、前記所定時間又は前記所定回数は、前記送風機の送風量に応じて設定されるように構成してあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る加湿装置は、前記送風機は送風量可変になしてあり、間欠回転毎の前記貯水部又は前記フィルタ部の回転停止時間は、前記送風機の送風量に応じて設定されるように構成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る加湿装置は、間欠回転毎の前記貯水部又は前記フィルタ部の回転時間又は回転回数は一定であることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る加湿装置は、前記フィルタ部は円盤状をなし、吸水性及び通気性を有するフィルタ本体と、該フィルタ本体を保持する保持体とを用いてなり、縦姿勢に配されて、周方向の一部が前記貯水部にて浸水可能にしてあり、前記回転駆動機構は、前記フィルタ部を周方向に回転させるようにしてあり、前記送風機が送風することによって、空気が前記フィルタ部を該フィルタ部に交差する方向に通過するように構成してあることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、加湿装置は、貯水部、フィルタ部、送風機、回転駆動機構、及び制御部を備え、制御部は間欠制御手段を有する。
水車又は水槽等の貯水部は、フィルタ部へ供給される水を貯留する。
制御部は回転駆動機構の動作を制御し、回転駆動機構は貯水部又はフィルタ部を回転させる。貯水部又はフィルタ部の回転によって、フィルタ部への給水が行なわれるか、又は、給水されたフィルタ部の吸水が促進される。
制御部は、間欠制御手段による制御を行なう。具体的には、制御部は、回転駆動機構の動作を制御することによって、貯水部又はフィルタ部を間欠的に回転させる。
【0018】
貯水部又はフィルタ部が連続的に回転している場合、フィルタ部へ多量に給水されるか、又は、フィルタ部の吸水が大幅に促進される。このため、フィルタ部が吸水する量は多い。
一方、貯水部又はフィルタ部が間欠的に回転している場合、フィルタ部へ少量給水されるか、又は、フィルタ部の吸水が僅かに促進される。このため、フィルタ部が吸水する量は少ない。
つまり、貯水部又はフィルタ部を間欠的に回転させることによって、フィルタ部の吸水量が過剰になることが抑制される。
【0019】
また、貯水部又はフィルタ部を間欠的に回転させる場合に回転駆動機構が消費するエネルギは、貯水部又はフィルタ部を連続的に回転させる場合よりも少ない。
ところで、フィルタ部を通過する送風量が一定である場合、フィルタ部の適切な吸水量には上限値が存在する。更に詳細には、送風量が一定である場合、吸水量が上限値以下である間は、吸水量の増大に伴って、加湿装置から装置外部へ単位時間に送出される水分量(以下、加湿量という)も増大する。しかしながら、吸水量が上限値を超えると、更に吸水量を増大させたとしても、加湿量は増大しない。吸水量の増大に加湿量の増大が伴わないのであれば、これは、フィルタ部に無駄に給水しただけに過ぎない。従って、フィルタ部の吸水量が上限値を越えているときには、連続回転よりも間欠回転の方が有用である。
【0020】
本発明にあっては、制御部は、連続制御手段及び判定手段を更に有する。
制御部は、連続制御手段による制御を行なう。具体的には、制御部は、回転駆動機構の動作を制御することによって、貯水部又はフィルタ部を連続的に回転させる。
制御部が連続制御手段による制御を行なうと、貯水部又は前記フィルタ部が連続的に回転するため、フィルタ部は多量の水を吸収する。故に、フィルタ部の吸水量が不十分である場合には、間欠制御手段による制御よりも連続制御手段による制御の方が有用である。
ただし、連続制御手段による制御を過剰に継続すると、フィルタ部の吸水量が過剰になる。
【0021】
そこで、制御部は、貯水部又は前記フィルタ部が連続的に回転している場合に、判定手段による判定を行なう。具体的には、制御部は、貯水部又はフィルタ部が、連続的な回転の開始から所定時間(又は所定回数)、回転したか否かを判定する。ここで、貯水部又はフィルタ部が連続的な回転の開始から所定時間(又は所定回数)回転した場合とは、フィルタ部が十分に吸水した場合である。
そして、制御部は、判定手段が回転したと判定した場合に、連続制御手段による制御を間欠制御手段による制御に切り替える。この結果、フィルタ部は少量の水を吸収するため、フィルタ部の吸水量が過剰になることを抑制することができる。
【0022】
本発明にあっては、加湿装置は、計時部を更に備える。
計時部は、加湿運転の停止から再開までの時間(以下、運転停止時間という)を計時する。
計時部が計時した時間が所定の時間より長い場合とは、運転停止時間が長い場合である。この場合、加湿運転の再開時点では、フィルタ部の吸水量が不十分である可能性が高い。
計時部が計時した時間が所定の時間以下である場合とは、運転停止時間が短い場合である。この場合、加湿運転の再開時点では、フィルタ部の吸水量が十分である可能性が高い。
【0023】
そこで、制御部は、運転停止時間が長い場合は、加湿運転の再開に際して連続制御手段による制御を開始し、次いで判定手段による判定を行ない、判定手段が回転したと判定したときに、連続制御手段による制御を間欠制御手段による制御に切り替える。
この結果、加湿運転の再開時点で吸水量が不十分であるフィルタ部は、加湿運転の再開後、多量の水を吸収し、十分に吸水した後は、少量の水を吸収する。
一方、制御部は、運転停止時間が短い場合は、加湿運転の再開に際して間欠制御手段による制御を開始する。
この結果、加湿運転の再開時点で吸水量が十分であるフィルタ部は、加湿運転の再開後、少量の水を吸収する。
【0024】
以上のような加湿装置は、フィルタ部の吸水量が不足することの抑制とフィルタ部の吸水量が過剰になることの抑制とを両立することができる。
【0025】
本発明にあっては、判定手段に係る所定時間又は所定回数は、送風機の送風量に応じて設定される。
例えば装置外部を大幅に、又は急速に加湿する場合、加湿装置は、送風機の送風量を増大させることによって、フィルタ部からの気化量を増大させる。このときにはフィルタ部の吸水量を多くすべきである。何故ならば、必要な気化量に比して吸水量が少なすぎると、装置外部の加湿不足が生じるからである。
一方、装置外部を僅かに、又は緩やかに加湿する場合、加湿装置は、送風機の送風量を減少させることによって、フィルタ部からの気化量を減少させる。このときにはフィルタ部の吸水量を少なくすべきである。何故ならば、必要な気化量に比して吸水量が多すぎても無駄だからである。
【0026】
ところで、判定手段に係る所定時間が長い場合、又は判定手段に係る所定回数が多い場合、フィルタ部の吸水量は多く、所定時間が短い場合、又は所定回数が少ない場合、フィルタ部の吸水量は少ない。
従って、所定時間又は所定回数を、送風機の送風量に応じて適宜に設定することによって、フィルタ部が適切な量の水を吸収し、延いてはフィルタ部から適切な量の水が気化する。この結果、加湿装置は必要十分な加湿能力を実現することができる。
【0027】
本発明にあっては、間欠回転毎の貯水部又はフィルタ部の回転停止時間、即ち、貯水部又はフィルタ部が回転した後、一時的に回転を停止してから次の回転を開始するまでの停止時間は、送風機の送風量に応じて設定される。
送風機の送風量が多い(又は少ない)場合、過不足のない加湿のためには、フィルタ部の吸水量を多く(又は少なく)する必要がある。
回転停止時間が短い場合、フィルタ部の吸水量は多く、回転停止時間が長い場合、フィルタ部の吸水量は少ない。
【0028】
従って、回転停止時間を、送風機の送風量に応じて適宜に設定することによって、フィルタ部が適切な量の水を吸収し、延いてはフィルタ部から適切な量の水が気化する。この結果、加湿装置は必要十分な加湿能力を実現することができる。
【0029】
本発明にあっては、間欠回転毎の貯水部又はフィルタ部の回転時間(又は回転回数)、即ち、貯水部又はフィルタ部が回転を開始してから、一時的に回転を停止するまでの回転時間(又は回転回数)は、一定である。何故ならば、加湿装置は、回転停止時間の長短によってフィルタ部の吸水量を調整しているからである。また、回転時間又は回転回数と回転停止時間との兼ね合いでフィルタ部の吸水量を調整することは困難だからである。
即ち、加湿装置は、送風機の送風量に応じて回転停止時間を変更したとしても回転時間又は回転回数は変更しない簡便な手法で、フィルタ部の吸水量を調整することができる。
【0030】
本発明にあっては、円盤状のフィルタ部が縦姿勢に配され、このフィルタ部の周方向の一部が、貯水部にて浸水可能にしてある。フィルタ部は、貯水部にて浸水することによって、貯水部から給水される。
また、回転駆動機構は、縦姿勢に配されたフィルタ部を周方向に回転させる。
更に、送風機が送風することによって空気がフィルタ部を通過する方向は、フィルタ部に交差する方向である。即ち、空気はフィルタ部を一面側から他面側へ通過する。
【0031】
フィルタ部の周方向の一部は浸水中に吸水し、浸水している部分から浸水していない部分へ水が吸い上げられる。このような吸水が、フィルタ部の周方向の回転に伴ってフィルタ部の周方向の全部で行なわれると、フィルタ部全体に水が行き渡る。つまり、フィルタ部はフィルタ部全体で効率よく吸水する。この結果、吸水したフィルタ部を通過した空気は十分に吸湿し、十分に吸湿した空気が装置外部へ送出される。
以上のような加湿装置では、フィルタ部の浸水に伴ってフィルタ本体が浸水していれば、フィルタ部の回転が停止していてもフィルタ部の吸水は行なわれる。従って、間欠的な回転を行なうことによるフィルタ部の吸水不足が生じる虞はない。
【0032】
また、貯水部が回転する必要がないため、貯水部回転時の振動又は衝撃等によって、貯水部に貯留されている水が貯水部の外部へ流出する虞はない。
【発明の効果】
【0033】
本発明の加湿装置による場合、貯水部又はフィルタ部を間欠的に回転させることによって、フィルタ部に対する無駄な給水、又は、フィルタ部の吸水の無駄な促進を抑制することができる。このため、フィルタ部の吸水量が過剰になることを抑制することができる。即ち、フィルタ部に適切な量の水を吸収させることができる。
この結果、フィルタ部から水が過不足なく気化するため、装置外部を適切に加湿することができる。即ち、加湿装置は、必要十分な加湿能力を実現することができる。しかも、貯水部又はフィルタ部を連続的に回転させる場合よりも、省エネルギに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の概略構成を示す側断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る加湿装置が備える加湿フィルタユニットを支持する支持構造を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る加湿装置が備える加湿フィルタユニットを支持する支持構造を示す一部破断正面図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る加湿装置で実行される加湿運転処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1に係る加湿装置で実行される連続回転処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1に係る加湿装置で実行される間欠回転処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の加湿運転(500rpm )による加湿時間と加湿量との関係を示す特性図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の加湿運転(1000rpm )による加湿時間と加湿量との関係を示す特性図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の加湿運転(連続1回転)による加湿時間と加湿量との関係を示す特性図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の加湿運転(連続2回転)による加湿時間と加湿量との関係を示す特性図である。
【図13】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の加湿運転(連続3回転)による加湿時間と加湿量との関係を示す特性図である。
【図14】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の加湿運転(サイクル時間5分及び10分)による加湿時間と加湿量との関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0036】
実施の形態 1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る加湿装置7の外観を示す斜視図であり、図2は、加湿装置7の概略構成を示す側断面図である。図2の左側及び右側は、加湿装置7の正面側及び背面側であり、図1は、図2の右側(即ち加湿装置7の背面側)から見た斜視図である。以下では、加湿装置7の正面側を前側といい、背面側を後側という。
図3は、加湿装置7の制御系の構成を示すブロック図である。
本実施の形態の加湿装置7は、加湿能力及び空気清浄能力を有している。加湿装置7は、加湿能力及び空気清浄能力の両方が実現される加湿運転モードと、空気清浄能力のみが実現される清浄運転モードとを有する。
【0037】
加湿装置7は、図1及び図2に示す矩形箱形のハウジング1の内部に、図2及び図3に示す送風ファン2、図1〜図3に示す加湿フィルタユニット3、図1及び図2に示す水受け皿4、図2及び図3に示す伝動機構5、並びに図3に示す制御部70、湿度センサ71、及び埃センサ72を備えている。また、加湿装置7は、ハウジング1の上部に、図1〜図3に示す操作部73を備えている。
図1に示すように、ハウジング1にはセンサカバー19が着脱可能に設けられている。センサカバー19の中央部分は格子状になしてあり、格子の開口を介して装置外部とハウジング1の内部の図示しないセンサ室とが連通している。センサ室には湿度センサ71と埃センサ72とが配されている。
制御部70は、加湿装置7の制御中枢である。
【0038】
湿度センサ71は、装置外部の湿度を検出して、検出結果(以下、検出湿度という)を制御部70へ出力する。湿度センサ71の検出湿度が所定湿度(例えば60%)を超過している場合、装置外部の湿度は十分に高いため、加湿の必要はない。一方、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度以下である場合、装置外部の湿度は低いため、加湿の必要がある。以下では、特に言及しない限り、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度以下の場合について説明する。
装置外部の空気に含まれている塵埃又は煙等の粒子が多い場合、空気の汚染度は高い。一方、装置外部の空気に含まれている粒子が少ない場合、空気の汚染度は低い。そこで、埃センサ72は、装置外部の空気に含まれている粒子の多寡を検出することによって装置外部の空気の汚染度を検出し、検出結果(以下、検出汚染度という)を制御部70へ出力する。
【0039】
操作部73は、図1及び図3に示すように、加湿装置7のユーザによって操作される空気清浄ボタン731、加湿ボタン732、停止ボタン733、及び風量ボタン734を有する。これらのボタン731〜734は、ハウジング1の天板外面に配されている。
【0040】
加湿装置7が停止している場合に空気清浄ボタン731(又は加湿ボタン732)が操作されたとき、加湿装置7は、清浄運転モード(又は加湿運転モード)での運転を開始する。また、加湿運転モード(又は清浄運転モード)での運転中に空気清浄ボタン731(又は加湿ボタン732)が操作されたとき、加湿装置7は、加湿運転モードから清浄運転モードへ(又は清浄運転モードから加湿運転モードへ)運転を切り替える。運転中に停止ボタン733が操作されたとき、加湿装置7は、加湿運転モード及び清浄運転モードの何れで運転していようとも、運転を停止する。
【0041】
清浄運転モードでの運転を開始する場合、制御部70は、後述するファンモータ21を駆動開始し、清浄運転モードでの運転を終了する場合、ファンモータ21を駆動終了する。加湿運転モードでの運転を開始する場合、制御部70は、ファンモータ21及び後述する駆動モータ53の両方を駆動開始し、加湿運転モードでの運転を終了する場合、ファンモータ21及び駆動モータ53の両方を駆動終了する。加湿運転モードから清浄運転モードへ(又は清浄運転モードから加湿運転モードへ)運転を切り替える場合、制御部70は、駆動モータ53を駆動終了(又は駆動開始)する。
【0042】
また、制御部70は、加湿運転モードでの運転の停止から加湿運転モードでの運転の再開までの経過時間(以下、非加湿時間という)を計時する。このために制御部70は、加湿運転モードでの運転中に停止ボタン733が操作された場合に計時を開始し、次に加湿ボタン732が操作されたときに計時を終了する。停止ボタン733の操作後に空気清浄ボタン731が操作されたとしても、非加湿時間の計時は続行される。このような制御部70は、本発明の実施の形態における計時部として機能する。制御部70による経過時間の計時は、例えば、制御部70に与えられるクロックの個数を計数することによって行なわれる。なお、加湿装置7は、計時部として機能するタイマを備え、このタイマの計時結果が制御部70に入力される構成でもよい。
【0043】
図1及び図2に示すハウジング1の後面パネル14は、ハウジング1の後側開口部に対して着脱可能であり、後面パネル14の前側には、脱臭フィルタ17及び集塵フィルタ18が積層配置してある。
脱臭フィルタ17は、例えば、不織布に活性炭を分散保持させてなり、脱臭フィルタ17を通過する空気中の臭い成分を吸着し、除去する。集塵フィルタ18は、例えば、公知のHEPA(High Efficiency Particulate Air )フィルタであり、集塵フィルタ18を通過する空気中に含まれる微細な塵埃を捕集、除去する。脱臭フィルタ17及び集塵フィルタ18は、合成樹脂製の矩形の枠体17a,18aに各別に一体化され、ハウジング1の内部における後面パネル14の前側に設けられたフィルタ室に嵌め込まれている。
【0044】
図2に示すように、ハウジング1の内部は、隔壁11によって、後側の吸込室12と前側の吐出室13とに分割されている。吸込室12は、後面パネル14に開設された多数の吸込口15,15,…(図1及び図2参照)を介して装置外部に連通している。吐出室13は、ハウジング1の天板に開設された吐出口16(図1及び図2参照)を介して装置外部に連通している。吸込室12と吐出室13とは、隔壁11の下部に設けた開口11aを介して相互に連通している。
【0045】
送風ファン2は、羽根車20と、羽根車20を駆動する電動のファンモータ21(図2及び図3参照)とを備えている。ファンモータ21は、吐出室13の外部に固定されている。羽根車20は、吐出室13内に突出するファンモータ21の出力端に固定され、隔壁11下部の開口11aに対向配置してある。また、羽根車20は、ファンモータ21の駆動によって回転する。
【0046】
羽根車20が回転した場合、図2中に白抜矢符にて示すように、後面パネル14の吸込口15,15,…を経て吸込室12の内部に空気が導入され、吸込室12の内部を前方向に流れて隔壁11下部の開口11aを経て羽根車20に吸い込まれ、上向きに方向を変えて吐出室13の内部に導出され、吐出室13上部の吐出口16を経て装置外部へ送り出される。つまり、吸込口15,15,…、吸込室12、開口11a、吐出室13、及び吐出口16は、加湿装置7の送風路を形成している。
【0047】
図1及び図2に示すように、送風路の上流側には、脱臭フィルタ17及び集塵フィルタ18が位置している。このため、吸込口15,15,…を経て吸込室12に導入される空気は、脱臭フィルタ17の通過によって臭い成分を除去され、集塵フィルタ18の通過によって塵埃を除去された清浄な空気となる。つまり、加湿装置7は、脱臭フィルタ17及び集塵フィルタ18を備えていることによって、空気清浄能力を有する。
加湿フィルタユニット3及び水受け皿4は、脱臭フィルタ17及び集塵フィルタ18によって浄化された直後の空気を加湿すべく、集塵フィルタ18と送風ファン2との間に配置してある。
【0048】
水受け皿4は、ハウジング1の底板内面に載置され、集塵フィルタ18の前側の吸込室12の内部に配してある。この水受け皿4は、水受け皿4の上側にて後述するように支持される加湿フィルタユニット3と共に、ハウジング1の一側部から装置外部へ引き出すことが可能である。図1に示すように、水受け皿4の引き出し側の端部には、広幅のタンク受け40が連設してあり、タンク受け40には、給水タンク41が着脱される。
【0049】
給水タンク41は、長手方向一端部に給水栓42を有する直方体状の容器であり、給水栓42の側を下向きとした倒立姿勢にてタンク受け40(後述する図4及び図5も参照)に装着される。給水栓42は、公知の定水位弁を内蔵している。この定水位弁は、タンク受け40への給水タンク41の装着時に、タンク受け40の該当位置に立設した押し上げ突起43(後述する図4参照)に押し上げられて開放状態となり、給水タンク41内の収容水を水受け皿4に送り出し、水受け皿4の内部に一定水位L(後述する図5参照)の水を貯留させるように作用する。
【0050】
図1及び図2に示すように、加湿フィルタユニット3は、中空の円盤状をなす保持枠30と、保持枠30に収納保持されている加湿フィルタ31とを用いて構成されている。加湿フィルタ31は、吸水性及び通気性を有する材料(例えば不織布)製のシートが蛇腹状に折り重ねられてなる。このため、全く折り重ねられていないシートに比べて、加湿フィルタ31と加湿フィルタ31を通過する空気との接触面積は大きい。
図4及び図5は、加湿フィルタユニット3を支持する支持構造を示す斜視図及び一部破断正面図である。図5は、水受け皿4の一部を破断して示している。図4及び図5中には、加湿フィルタユニット3の保持枠30のみを図示し、加湿フィルタ31の図示は省略してある。
【0051】
図5に示すように、加湿フィルタユニット3の下部は、水受け皿4の内部に差し込まれて、水受け皿4の内部に設けられた2つの支持ローラ6,6の上に載置される。この結果、加湿フィルタユニット3は、水受け皿4の上側にて縦姿勢で支持されている。支持ローラ6,6は、水受け皿4の底面上で長手方向の両側に振り分け配置され、夫々の位置で保持枠30の下部外周面に転接している。
【0052】
このように支持された加湿フィルタユニット3は、図1に示すように、ハウジング1の一側面から水受け皿4と共に装置外部に引き出すことができる。この後、加湿フィルタユニット3は、上方に持ち上げることによって水受け皿4から容易に取り外すことができる。また逆に、加湿フィルタユニット3は、水受け皿4内部の支持ローラ6,6の上に載置することによって、縦姿勢に容易に支持することができる。更に、この状態で水受け皿4と共にハウジング1内に押し込むことによって、加湿フィルタユニット3は、ハウジング1の内部の所定位置にセットすることができる。このような加湿フィルタユニット3の着脱は、加湿フィルタ31の保守、交換、更には、水受け皿4内の清掃等のために実施される。
【0053】
保持枠30の外周面には、図2、図4、及び図5に示すように、幅方向の中央部に全周に亘って歯が形成された適宜幅のリングギヤ部32が一体に設けてある。リングギヤ部32は、図2及び図5に示すように、保持枠30の上位置に配した伝動機構5の伝動ギヤ51に噛合される。
伝動機構5は、基台50の一面に取り付けられている伝動ギヤ51及び駆動ギヤ52と、基台50の他面に取り付けた駆動モータ53とを備え、基台50を貫通する複数本の固定ねじ54,54,…によって、ハウジング1の内部の隔壁11の適宜位置に固定されている。駆動ギヤ52は、駆動モータ53の出力軸に嵌着されており、駆動モータ53の回転は、駆動ギヤ52を介して伝動ギヤ51に伝わり、この結果、伝動ギヤ51が回転するように構成されている。
【0054】
伝動機構5の伝動ギヤ51と保持枠30のリングギヤ部32との噛合は、加湿フィルタユニット3がハウジング1の内部の所定位置にセットされた状態で生じる。加湿フィルタユニット3は、伝動ギヤ51とリングギヤ部32との噛合によって、支持ローラ6,6及び伝動ギヤ51夫々の位置、即ち周方向の異なる位置で、3点支持される。従って、加湿フィルタユニット3には、回転可能に支持される支軸を中心部に設ける必要がない。このため、保持枠30の前後両面には、図4及び図5に示すように、内部の加湿フィルタ31を支えるための最小限の支え部を除く略全面に開口を設けることができる。この結果、保持枠30によって阻害されることなく多くの空気が加湿フィルタ31を通過する。即ち、加湿性能の向上を図ることができる。
【0055】
図2、図3、及び図5に示す駆動モータ53を駆動した場合、駆動ギヤ52の回転が、伝動ギヤ51及びリングギヤ部32を介して保持枠30に伝わる。このとき、加湿フィルタユニット3は、保持枠30の中心周りに(即ち加湿フィルタユニット3の周方向に)回転する。
ところで、駆動モータ53はACモータを用いてなる。このため、駆動モータ53への給電周波数が異なれば、駆動モータ53の回転数、延いては加湿フィルタユニット3の回転数も異なる。給電周波数が50Hz(又は60Hz)である場合、加湿フィルタユニット3は約85秒(又は約70秒)で1回転する。
【0056】
水受け皿4の内部には、前述の如く、一定水位Lの水が貯留されており、回転する保持枠30の下部は、水受け皿4の貯留水中に浸漬される。図2、図4、及び図5に示すように保持枠30は、両面に開口を有しているため、加湿フィルタ31の周縁部の下部が浸水する。つまり、加湿フィルタユニット3の周方向の一部が浸水することによって、加湿フィルタ31は、水受け皿4から給水される。
【0057】
このとき、貯留水は加湿フィルタ31に吸収され、更に、周縁部から中央部へ吸い上げられる。保持枠30が周方向に連続的に回転すると、加湿フィルタ31の周縁部は周方向に連続的に浸水及び吸水し、吸収された水は回転移動することによって持ち上げられる。以上の結果、水が加湿フィルタ31全体に効率よく行き渡る。換言すれば、加湿フィルタ31が回転することによって、加湿フィルタ31の吸水が促進される。
【0058】
一方、ファンモータ21の駆動により、前述したように、吸込室12の内部に、後側から前側へ向かう空気の流れが発生する。この空気は、保持枠30の後面の開口を経て保持枠30の内部に導入され、保持枠30に収納保持された加湿フィルタ31を後面側から前面側へ通過する。加湿フィルタ31を通過した空気は、加湿フィルタ31に吸収されている水と接触することによって、気化水分を含む湿り空気となり、保持枠30の前面の開口を経て保持枠30の外部へ導出される。
【0059】
ところで、本実施の形態における加湿フィルタ31は常に浸水している。つまり、加湿フィルタ31へは常に給水されている。従って、清浄運転モードで運転している場合にも、空気は僅かに加湿される。そこで、例えば特許文献5に記載されているように、清浄運転モードでの運転中は、加湿フィルタ31の吸水が行なわれないように構成してもよい。
【0060】
図3に示す制御部70は、ファンモータ21の回転数を制御することによって、送風ファン2の送風量を調節する。ファンモータ21の回転数が高い場合、送風ファン2の送風量は多いが、ファンモータ21の消費電力は大きい。一方、ファンモータ21の回転数が低い場合、送風ファン2の送風量は少ないが、ファンモータ21の消費電力は小さい。本実施の形態においては、ファンモータ21の回転数として、回転数R1、回転数R2、回転数R3、及び回転数R4(0<R1<R2<R3<R4)が用いられる。回転数R1、回転数R2、回転数R3、及び回転数R4は、例えば、500rpm 、600rpm 、700rpm 、及び1000rpm であり、このときの送風ファン2の送風量は1.1m3/min、1.4m3/min、1.8m3/min、及び3.0m3/minである。以下では、これらを送風量「小」、「中」、「大」、及び「極大」という。
【0061】
加湿装置7は、送風ファン2の送風量が自動的に設定される自動風量モードと、送風ファン2の送風量をユーザが手動で設定する手動風量モードとを有する。
自動風量モードでは、送風ファン2の送風量は、埃センサ72の検出汚染度に応じて設定される。この場合、埃センサ72の検出汚染度が高いほど、送風ファン2の送風量を増大させるべく、制御部70は、ファンモータ21の回転数を増加させる。この結果、多量の空気が脱臭フィルタ17及び集塵フィルタ18を通過するため、空気清浄の効率が向上する。一方、空気の汚染度が低いほど、送風ファン2の送風量を減少させるべく、制御部70は、ファンモータ21の回転数を減少させる。この結果、省電力を図ることができる。
【0062】
手動風量モードでは、ユーザが風量ボタン734を操作することによって、送風量「小」、「中」、「大」、及び「極大」の内、何れかひとつが加湿装置7に設定される。このとき、設定された送風量に応じてファンモータ21の回転数が固定的に設定される。
【0063】
加湿装置7は、電源投入後、空気清浄ボタン731又は加湿ボタン732が操作されると、自動風量モードでの運転を開始する。運転中に風量ボタン734が操作されると、加湿装置7は、自動風量モードから手動風量モードの送風量「極大」(回転数R4)に切り替えられる。この後、運転中に風量ボタン734が操作される都度、加湿装置7は、送風量「大」(回転数R3)、送風量「中」(回転数R2)、及び送風量「小」(回転数R1)にこの順で切り替えられてから、再び自動風量モードに切り替えられる。
加湿運転モードにおける制御部70は、ファンモータ21を連続的に駆動する。従って、ファンモータ21は連続的に回転し、このとき、送風ファン2は連続的に送風する。
【0064】
また、加湿運転モードにおける制御部70は、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度以下である場合、駆動モータ53を連続的に駆動するか、又は間欠的に駆動する。従って、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度以下である場合、駆動モータ53は連続的又は間欠的に回転し、この結果、加湿フィルタユニット3は連続的又は間欠的に回転する。ただし、加湿運転モードにおける制御部70は、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度超過である場合、駆動モータ53を駆動しない。従って、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度超過である場合、駆動モータ53は回転せず、この結果、加湿フィルタユニット3は回転しない。
【0065】
加湿フィルタユニット3の回転は、加湿フィルタ31の吸水の促進につながるため、加湿フィルタユニット3が連続的に回転している場合の方が、間欠的に回転している場合よりも、加湿フィルタ31の吸水は促進される。また、加湿フィルタユニット3を連続的に回転させる場合の方が、間欠的に回転させる場合よりも、駆動モータ53の消費電力は大きい。
このため、仮に、加湿フィルタユニット3を長時間連続的に回転させると、加湿フィルタ31の吸水量が過剰になる虞がある上に、省エネルギを図ることができない。故に、制御部70は、加湿フィルタユニット3を間欠的に回転させるか、又は、加湿フィルタユニット3の連続的な回転と間欠的に回転とを適宜に切り替える。
【0066】
ここで、加湿フィルタユニット3の間欠的な回転について説明する。
加湿フィルタユニット3が間欠的に回転している状態とは、加湿フィルタユニット3の回転と一時停止とが交互に繰り返される状態である。以下では、加湿フィルタユニット3が回転を開始してから、回転を一時的に停止し、次いで回転を再開するまでを1サイクルという。
【0067】
本実施の形態では、1サイクルの間に、加湿フィルタユニット3が1回転し、次いで、所定の回転停止時間だけ回転を一時停止する。1サイクルの所要時間(以下、サイクル時間という)は、ファンモータ21の回転数(換言すれば送風ファン2の送風量)に応じて設定される。具体的には、ファンモータ21の回転数R1、回転数R2、回転数R3、及び回転数R4に関連付けて、サイクル時間S1、サイクル時間S2、サイクル時間S3、及びサイクル時間S4(0<S4<S3<S2<S1)が制御部70に与えられている。サイクル時間S1、サイクル時間S2、サイクル時間S3、及びサイクル時間S4は、例えば、10分、8分、7分、及び5分である。
【0068】
加湿フィルタユニット3が1回転する回転時間は、駆動モータ53への給電周波数に応じて一意に定まる。従って、本実施の形態においては、間欠回転毎(換言すれば1サイクル毎)の加湿フィルタユニット3の回転時間又は回転回数は、送風ファン2の送風量とは無関係に一定である。
一方、加湿フィルタユニット3の回転停止時間は、サイクル時間が長いほど(即ち送風ファン2の送風量が少ないほど)長い。加湿フィルタユニット3の回転停止時間中にも、送風ファン2は継続的に送風している。
【0069】
加湿フィルタユニット3の回転停止時間が短いほど、加湿フィルタユニット3の吸水は促進される。ただし、加湿フィルタユニット3の回転停止時間が短い場合には、送風ファン2の送風量が多い(即ち、加湿フィルタユニット3を通過する送風量が多い)ため、加湿フィルタユニット3からの気化も促進される。故に、加湿フィルタユニット3の吸水量が過剰になる虞はない。
一方、加湿フィルタユニット3の回転停止時間が長い場合には、送風ファン2の送風量が少ない(即ち、加湿フィルタユニット3を通過する送風量が少ない)ため、加湿フィルタユニット3からの気化は抑制される。しかしながら、加湿フィルタユニット3の回転停止時間が長いほど、加湿フィルタユニット3の吸水は抑制される。故に、加湿フィルタユニット3の吸水量が過剰になる虞はない。
【0070】
次に、加湿フィルタユニット3の連続的な回転について説明する。
加湿フィルタユニット3の吸水量が不十分である場合には、加湿フィルタユニット3の連続的な回転によって加湿フィルタユニット3を十分に吸水させることが望ましい。仮に、加湿フィルタユニット3の吸水量が十分ではないにもかかわらず加湿フィルタユニット3を間欠的に回転させると、加湿装置7が十分な加湿能力を発揮することができない。かといって、加湿フィルタユニット3を長時間連続的に回転させると、加湿フィルタユニット3の吸水量が過剰になる虞がある。
【0071】
従って、加湿フィルタユニット3の連続的な回転は、加湿フィルタユニット3の吸水量が不十分である場合に、加湿フィルタユニット3が十分に吸水するまでの時間(以下、十分吸水時間)だけ、行なう。
制御部70は、非加湿時間が所定非加湿時間以下であるか否かを判定することによって、加湿フィルタユニット3の吸水量が十分であるか否かを判定する。何故ならば、非加湿時間が所定非加湿時間を超過している場合には、加湿フィルタユニット3が非加湿時間中に自然に、又は送風ファン2の送風によって強制的に、乾燥したと考えられるからである。
【0072】
なお、制御部70は、加湿フィルタユニット3の間欠的な回転を所定サイクル(例えば20サイクル)実行した場合にも、加湿フィルタユニット3の吸水量が不十分であると判定する構成でもよい。何故ならば、間欠的な回転を長時間行なうと、加湿フィルタユニット3の吸水量が不足しがちになるからである。
本実施の形態では、十分吸水時間は、送風ファン2の送風量とは無関係に一定(例えば5分)である。
制御部70は、駆動モータ53の駆動開始からの経過時間(以下、回転経過時間という)を計時する。回転経過時間が十分吸水時間以上であれば、制御部70は、加湿フィルタユニット3が十分に吸水したと判定する。
【0073】
なお、制御部70は、十分吸水時間と回転経過時間とに替えて、加湿フィルタユニット3が十分に吸水するまでの回転回数と、加湿フィルタユニット3の回転開始からの回転回数とを用いる構成でもよい。この場合、回転開始からの回転回数が多いことは、回転経過時間が長いことに相当する。一方、回転開始からの回転回数が少ないことは、回転経過時間が短いことに相当する。そして、制御部70は、回転開始からの回転回数が、加湿フィルタユニット3が十分に吸水するまでの回転回数以上であれば、加湿フィルタユニット3が十分に吸水したと判定する。
【0074】
ところで、開始後回転回数を計数するためには、例えば特許文献5に記載されているように、加湿装置7が、加湿フィルタユニット3の周縁部に固定された磁石と、水受け皿4の側壁外面に固定され、磁石が接近するとオンになり、離隔するとオフになるリードスイッチとを備えていればよい。この場合、制御部70は、リードスイッチがオフからオンに切り替わった回数を計数すればよい。
図6は、加湿装置7で実行される加湿運転処理の手順を示すフローチャートである。以下では、空気清浄ボタン731が操作される場合については説明を省略する。
【0075】
制御部70は、加湿ボタン732が操作された否かを判定し(S11)、操作されていない場合には(S11でNO)、S11の処理を再度実行する。
加湿ボタン732が操作された場合(S11でYES)、制御部70は、加湿運転モードでの運転を開始すべく、ファンモータ21の駆動を開始する(S12)。S12における制御部70は、ファンモータ21の回転数を、例えば前回ファンモータ21を駆動していたときの回転数と同じものに設定する。ただし、加湿装置7の電源投入直後のS12においては、制御部70は、ファンモータ21の回転数を、デフォルトの回転数に設定する。S12の処理の実行終了後、図示はしないが、制御部70は、風量ボタン734の操作又は埃センサの検出汚染度に応じて、ファンモータ21の回転数を再設定する。
【0076】
次いで、制御部70は、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度以下であるか否かを判定する(S13)。
湿度センサ71の検出湿度が所定湿度超過である場合(S13でNO)、制御部70は、停止ボタン733が操作されない限り、S13の処理を再度実行する。図示はしないが、S13の処理を再度実行する前に停止ボタン733が操作されたならば、制御部70は、後述するS19の処理を実行してから、処理をS11へ戻す。
【0077】
湿度センサ71の検出湿度が所定湿度以下である場合(S13でYES)、制御部70は、非加湿時間の計時を終了する(S14)。更に、制御部70は、S14で計時を終了した非加湿時間が所定非加湿時間以下であるか否かを判定する(S15)。ただし、例えば加湿装置7の電源投入直後であって、S13でYESの場合にまだ非加湿時間の計時が実行されていない(即ち、後述するS20の処理をまだ実行していない)場合は、制御部70は、S14の処理を実行せず、更に、S15でNOと判定すればよい。
【0078】
S14で計時を終了した非加湿時間が所定非加湿時間を超過している場合(S15でNO)、制御部70は、加湿フィルタユニット3を連続的に回転させるべく、連続回転処理(後述する図7参照)を実行する(S16)。そして、S16における連続回転処理の終了後、又は、S14で計時を終了した非加湿時間が所定非加湿時間以下である場合(S15でYES)、制御部70は、加湿フィルタユニット3を間欠的に回転させるべく、間欠回転処理(後述する図8参照)を実行する(S17)。
図7は、加湿装置7で実行される連続回転処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【0079】
制御部70は、駆動モータ53を駆動開始する(S31)。S31の処理終了後、後述するS33でYESと判定されるまでの間、制御部70は、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度を超過すれば駆動モータ53の駆動を一旦停止し、その後、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度以上になれば駆動モータ53の駆動を再開する処理を繰り返し実行する(不図示)。
また、S31の処理終了後、制御部70は、回転経過時間の計時を開始する(S32)。
更に、制御部70は、回転経過時間が十分吸水時間以上であるか否かを判定する(S33)。
【0080】
回転経過時間が十分吸水時間未満である場合(S33でNO)、制御部70は、停止ボタン733が操作されない限り、S33の処理を再度実行する。図示はしないが、S33の処理を再度実行する前に停止ボタン733が操作されたならば、制御部70は、回転経過時間の計時を終了してから、後述するS18へ処理を移す。
回転経過時間が十分吸水時間以上である場合(S33でYES)、制御部70は、駆動モータ53を駆動停止し(S34)、回転経過時間の計時を終了してから(S35)、連続回転処理を終了して、図6に示す加湿運転処理へリターンする。
【0081】
図8は、加湿装置7で実行される間欠回転処理手順の詳細を示すフローチャートである。
制御部70は、ファンモータ21の現在の回転数に応じて、サイクル時間を設定する(S41)。S41にてサイクル時間を設定した後、制御部70は、ファンモータ21の回転数を変更する都度、サイクル時間を再設定する(不図示)。
次に、制御部70は、加湿フィルタユニット3の1サイクル分の間欠的な回転を開始すべく、駆動モータ53を駆動開始し(S42)、次に、経過時間の計時を開始する(S43)。
【0082】
S43の処理終了後、制御部70は、加湿フィルタユニット3が1回転したか否かを判定する(S44)。S44における制御部は、例えば、S42における駆動モータ53の駆動開始から、加湿フィルタユニット3の1回転分の時間(例えば駆動モータ53への給電周波数が60Hzである場合は約70秒)が経過したか否かを判定する。
加湿フィルタユニット3がまだ1回転していない場合(S44でNO)、制御部70は、S44の処理を再度実行する。
加湿フィルタユニット3が1回転した場合(S44でYES)、制御部70は、駆動モータ53の駆動を一時的に停止する(S45)。
【0083】
次いで、制御部70は、S43での計時開始からサイクル時間が経過したか否かを判定する(S46)。
サイクル時間が経過した場合(S46でYES)、加湿フィルタユニット3の1サイクル分の間欠的な回転が終了したため、制御部70は、経過時間の計時を終了し(S47)、次の1サイクル分の間欠的な回転を開始すべく、処理をS42へ戻す。
まだサイクル時間が経過していない場合(S46でNO)、制御部70は、停止ボタン733が操作されたか否かを判定する(S48)。
停止ボタン733が操作されていない場合(S48でNO)、制御部70は、処理をS46へ戻す。
【0084】
停止ボタン733が操作された場合(S48でYES)、制御部70は、経過時間の計時を終了し(S49)、間欠回転処理を終了して、図6に示す加湿運転処理へリターンする。
ところで、図8に示すS43の処理終了後、S48でYESと判定されるまでの間、制御部70は、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度を超過すればS45及びS47の処理を行ない、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度以上になるか、又は停止ボタン733が操作されるまで待機する。このとき、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度以上になれば、制御部70は、S42へ処理を戻す。一方、停止ボタン733が操作されれば、制御部70は、間欠回転処理を終了して、図6に示す加湿運転処理へリターンする。
【0085】
S17における間欠回転処理の終了後、制御部70は、駆動モータ53の駆動を連続的に停止し(S18)、更に、加湿運転モードでの運転を終了すべく、ファンモータ21の駆動を停止する(S19)。最後に、制御部70は、非加湿時間の計時を開始し(S20)、処理をS11へリターンする。
次に、従来の加湿装置と比した加湿装置7の有用性について説明する。
図9及び図10夫々は、加湿装置7の加湿運転による加湿時間と加湿量との関係を示す特性図である。図9は、ファンモータ21の回転数が500rpm の場合の測定結果であり、図10は1000rpm の場合である。
【0086】
図9及び図10夫々の横軸は加湿時間[分]を示し、縦軸は加湿量[l]を示している。また、黒い菱形のプロット(◆)は加湿装置7に係る測定結果を表わし、白い四角形のプロット(□)は従来の加湿装置に係る測定結果を表わしている。
ここで、加湿時間とは、ファンモータ21の駆動中に、加湿フィルタユニット3を5分だけ連続的に回転させてから計時を開始した時間である。加湿時間0分以降、加湿装置7の加湿フィルタユニット3は間欠的に回転しており、従来の加湿装置の加湿フィルタユニット3は連続的に回転している。
また、加湿量とは、加湿装置7又は従来の加湿装置から装置外部へ送出される水分の容積である。
【0087】
図9及び図10を参照すれば、ファンモータ21の回転数(即ち送風ファン2の送風量)とは無関係に、加湿装置7の加湿量は、従来の加湿装置の加湿量と比べて遜色がないことがわかる。
一方、図9に示す500rpm の場合、図示はしないが、従来の加湿装置7の消費電力は5.2Whであり、加湿装置7の消費電力は3.3Whである。つまり、約36%の省電力効果が得られている。
また、図10に示す1000rpm の場合、図示はしないが、従来の加湿装置7の消費電力は16.1Whであり、加湿装置7の消費電力は14.5Whである。つまり、約10%の省電力効果が得られている。
【0088】
以上のことから、加湿装置7における加湿フィルタユニット3の間欠的な回転は、加湿能力の劣化を招くことなく、省エネルギに寄与していることがわかる。
以下では、加湿装置7及び従来の加湿装置夫々の駆動モータ53への給電周波数は60Hzである。
次に、加湿装置7の製造者による十分吸水時間の設定について説明する。
図11〜図13夫々は、加湿装置7の加湿運転による加湿時間と加湿量との関係を示す特性図である。
図11〜図13夫々の横軸、縦軸、及び各プロットの意味は図9又は図10のこれらと略同様である。
【0089】
ただし、加湿量は水分の重量[kg]である。
また、実線は従来の加湿装置に係る測定結果の近似直線である。
更に、図11(図12、及び図13)における加湿時間とは、ファンモータ21の駆動中に、加湿フィルタユニット3を連続的に1回転(2回転、及び3回転)させてから計時を開始した時間である。換言すれば、図11(図12、及び図13)における加湿時間とは、加湿フィルタユニット3を約70秒(約140秒、及び約210秒)だけ連続的に回転させてから計時を開始した時間である。
更にまた、加湿量の測定は、温度約20℃及び湿度約29%〜約31%の環境下で行なっている。
【0090】
図11において、加湿装置7と従来の加湿装置とは、共にファンモータ21が500rpm で駆動されている。同様に、図12(及び図13)において、加湿装置7と従来の加湿装置とは、共にファンモータ21が600rpm (及び1000rpm )で駆動されている。
つまり、加湿時間0分の時点では、加湿フィルタユニット3の吸水量は、図13、図12、及び図11の順に多い。ただし、送風ファン2の送風量が、図13、図12、及び図11の順に多いため、加湿フィルタユニット3は、図13、図12、及び図11の順に乾燥し易い。
【0091】
図11及び図12を参照すれば、加湿装置7の加湿量は、従来の加湿装置の加湿量より少なく、更に、加湿時間の経過に伴って両者の差が拡大していることがわかる。これは、図11及び図12の条件下では、加湿フィルタユニット3が連続的に回転していた時間が短かったため、加湿フィルタユニット3が十分に吸水できていない状態で間欠的な回転を開始した(即ち、加湿時間0分の時点で加湿フィルタユニット3の吸水量が不十分であった)からであると考えられる。
【0092】
一方、図13を参照すれば、加湿フィルタユニット3が最も乾燥し易い条件下であるにも拘らず、加湿装置7の加湿量は、従来の加湿装置の加湿量に匹敵することがわかる。これは、加湿フィルタユニット3が連続的に回転していた時間が長かったため、加湿時間0分の時点で加湿フィルタユニット3が十分に吸水していたからであると考えられる。
以上のことから、十分吸水時間は、加湿フィルタユニット3の3回転分の時間(即ち約3分30秒)以上であればよいことがわかる。従って、製造者は、測定誤差、又は加湿すべき環境の違い等によって加湿量が増減し得ることを考慮し、十分吸水時間を例えば5分と設定すればよい。
次に、製造者によるサイクル時間の設定について説明する。
【0093】
図14は、加湿装置7の加湿運転による加湿時間と加湿量との関係を示す特性図である。
図14の横軸及び縦軸の意味は図9又は図10のこれらと同様である。加湿量の単位はリットルである。
また、加湿量の測定は、温度約21℃及び湿度約31%の環境下で行なっている。
【0094】
図14において、加湿装置7と従来の加湿装置とは、共にファンモータ21が1000rpm で駆動されている。黒丸のプロット(●)及び白三角のプロット(△)は夫々加湿装置7に係る測定結果を表わしている。実線は従来の加湿装置に係る近似直線を表わしている。ただし、黒丸のプロットで示す加湿装置7は、サイクル時間が5分であり、白三角のプロットで示す加湿装置7は、サイクル時間が10分である。つまり、前者は5分毎に1回、後者は10分毎に1回、加湿フィルタユニット3が1回転する。従って、前者の回転停止時間は約3分50秒であり、後者の回転停止時間は約8分50秒である。
【0095】
図14を参照すれば、サイクル時間が10分の場合、加湿装置7の加湿量は、従来の加湿装置の加湿量より少なく、更に、加湿時間の経過に伴って両者の差が拡大していることがわかる。これは、サイクル時間が長い分だけ、回転停止時間も長いからだと考えられる。
一方、サイクル時間が5分の場合、加湿装置7の加湿量は、従来の加湿装置の加湿量と同程度であることがわかる。
【0096】
製造者は、サイクル時間、延いては回転停止時間を変更した加湿実験を、ファンモータ21の異なる回転数毎に(例えば回転数R1〜R4夫々に対して)行なう。そして、製造者は、加湿量が従来の加湿装置の加湿量と同程度であり、且つ、最も長いサイクル時間を、当該回転数に関連付けるべきサイクル時間として設定する。このようにサイクル時間を設定すれば、加湿能力の低下を招くことなく、消費電力を最小限に抑えることができる。
以上のような加湿装置7における送風ファン2、加湿フィルタユニット3、保持枠30、加湿フィルタ31、水受け皿4、伝動機構5、及び制御部70は、本発明の実施の形態における送風機、フィルタ部、保持体、フィルタ本体、貯水部、回転駆動機構、及び制御部として機能する。
【0097】
また、図7に示すS31の処理を実行する制御部70は、本発明の実施の形態における連続制御手段として機能し、S33の処理を実行する制御部70は、本発明の実施の形態における判定手段として機能する。
更に、図8に示すS42〜S47の処理を繰り返し実行する制御部70は、本発明の実施の形態における間欠制御手段として機能する。
【0098】
加湿装置7は加湿フィルタユニット3を回転させる構成であるが、本発明の実施の形態における加湿装置は、貯水部を回転させる構成でもよい。この加湿装置は、送風ファンと、加湿フィルタユニットと、貯水部としての水車と、水車を回転させる伝動機構と、制御部と、水車へ給水するための水受け皿とを備える。制御部が伝動機構の動作を制御することによって、水車は間欠的又は連続的に回転する。回転する水車は水受け皿から汲水し、汲み上げた水を加湿フィルタユニットへ搬送する。つまり、この加湿装置は、水車が回転することによって、加湿フィルタユニットへ給水される。この場合の加湿フィルタユニットは非回転式でもよい。ただし、加湿フィルタユニットから滴下した水を貯留し、貯留した水に加湿フィルタユニットを浸漬させる場合には、加湿フィルタユニットは加湿フィルタユニット3と同様に回転式であってもよい。
【0099】
なお、加湿装置7は、例えばインバータ制御によって駆動モータ53の回転数を可変とする構成でもよい。
【0100】
実施の形態 2.
本実施の形態における加湿装置7のハードウェア構成は、実施の形態1における加湿装置7のハードウェア構成と同様である。以下では、実施の形態1との差異について説明し、その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
本実施の形態においては、十分吸水時間は、ファンモータ21の回転数(換言すれば送風ファン2の送風量)に応じて設定される。具体的には、ファンモータ21の回転数R1、回転数R2、回転数R3、及び回転数R4に関連付けて、十分吸水時間T1、十分吸水時間T2、十分吸水時間T3、及び十分吸水時間T4(0<T1<T2<T3<T4)が制御部70に与えられている。
【0101】
この場合、制御部70は、図7に示す連続回転処理において、ファンモータ21の現在の回転数に応じて十分吸水時間を設定する処理を実行した後で、S31の処理を実行する。ただし、十分吸水時間を設定した後、制御部70は、ファンモータ21の回転数を変更する都度、十分吸水時間を再設定する。
以上のような加湿装置7は、ファンモータ21の回転数が高い場合、即ち送風ファン2の送風量が多い場合に、十分吸水時間を長くする。このことによって、加湿フィルタユニット3が乾燥し易い場合に、加湿フィルタユニット3の吸水量が過剰になったり不足したりすることを抑制することができる。一方、加湿装置7は、ファンモータ21の回転数が低い場合、即ち送風ファン2の送風量が少ない場合に、十分吸水時間を短くする。このことによって、加湿フィルタユニット3が乾燥し難い場合に、加湿フィルタユニット3の吸水量が過剰になったり不足したりすることを抑制することができる。この結果、省エネルギに寄与しつつも、送風ファン2の送風量に応じた適切な加湿能力を実現することができる。
【0102】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、本発明の効果がある限りにおいて、加湿装置7に、実施の形態1,2に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0103】
2 送風ファン(送風機)
3 加湿フィルタユニット(フィルタ部)
30 保持枠(保持体)
31 加湿フィルタ(フィルタ本体)
4 水受け皿(貯水部)
5 伝動機構(回転駆動機構)
7 加湿装置
70 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性及び通気性を有するフィルタ部を備える気化方式の加湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
気化方式の加湿装置は、吸水性及び通気性を有する円盤状又は円筒状等のフィルタ部を備える(特許文献1〜7参照)。
特許文献1,5,6に記載の加湿装置は、縦姿勢に配された円盤状のフィルタ部の周縁部の一部を水槽にて浸水させることによって、フィルタ部へ給水する。このとき、フィルタ部が吸水する。この加湿装置は、送風機を更に備え、送風機を作動させることによって加湿運転を行なう。
加湿運転中は、装置外部(例えば加湿装置が設置されている室内)の空気が吸入され、吸入された空気が、吸水したフィルタ部を一面側から他面側へ向けて通過する。このとき、フィルタ部に吸収されていた水が気化し、次いで、気化した水を含む空気(即ち吸湿した空気)が、装置外部へ送出される。
【0003】
このフィルタ部は、フィルタ部全体で効率よく吸水するために、周方向に回転可能に支持されている。加湿装置は、フィルタ部を回転させる回転駆動機構を更に備える。
加湿運転中のフィルタ部は、回転駆動機構が作動することによって、周方向に連続的に回転する。このとき、フィルタ部の周縁部は周方向に連続的に浸水及び吸水し、更に、周縁部から中央部へ水を吸い上げる。以上の結果、水がフィルタ部全体に効率よく行き渡る。
【0004】
以上のような加湿装置は、フィルタ部を回転させることによって、フィルタ部の吸水を促進する。
一方、従来の加湿装置には、水車を用いてフィルタ部へ撒水するものも存在する。この水車の周縁部には複数の凹部が並設されており、回転駆動機構が水車を回転させることによって、各凹部が水槽から汲水し、各凹部に貯留された水がフィルタ部へ搬送され、そして供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭54−172568号公報
【特許文献2】特開2000−74429号公報
【特許文献3】特開2003−302077号公報
【特許文献4】特開2005−37076号公報
【特許文献5】特開2009−24959号公報
【特許文献6】特開2011−52875号公報
【特許文献7】特開2008−32314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
装置外部を適切に加湿するためには、フィルタ部から水が過不足なく気化する必要がある。フィルタ部からの気化量は、フィルタ部に吸収されている水量(以下、フィルタ部の吸水量という)に左右される。
しかしながら、加湿運転中、フィルタ部又は水車は一定の速度で連続的に回転する。このため、適切な気化量に比して、フィルタ部の吸水量が多すぎる場合がある。
【0007】
フィルタ部の吸水量が過剰である状態とは、換言すれば、フィルタ部に無駄に給水している状態、又は、給水されたフィルタ部の吸水を無駄に促進している状態である。従って、省エネルギの見地からも、このような無駄を省くことが望まれる。
【0008】
ところで、特許文献7に記載の加湿装置は、ポンプで汲み上げた水をフィルタ部へ供給する構成である。この加湿装置では、フィルタ部の過剰な吸水を抑制するために、ポンプを間欠的に作動させる。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、貯水部又はフィルタ部を間欠的に回転させる構成とすることにより、必要十分な加湿能力の実現と省エネルギとを両立させることができる加湿装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る加湿装置は、水を貯留する貯水部と、吸水性及び通気性を有し、前記貯水部から給水されるフィルタ部と、該フィルタ部を通過した空気を装置外部へ送出するための送風機と、前記フィルタ部への給水又は給水された前記フィルタ部の吸水の促進のために、前記貯水部又は前記フィルタ部を回転させる回転駆動機構と、該回転駆動機構の動作を制御する制御部とを備える加湿装置において、前記制御部は、前記貯水部又は前記フィルタ部を間欠的に回転させる間欠制御手段を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る加湿装置は、前記制御部は、前記貯水部又は前記フィルタ部を連続的に回転させる連続制御手段と、前記貯水部又は前記フィルタ部が連続的に回転している場合に、前記貯水部又は前記フィルタ部が、連続的な回転の開始から所定時間又は所定回数、回転したか否かを判定する判定手段とを更に有し、該判定手段が、前記貯水部又は前記フィルタ部が前記所定時間又は前記所定回数回転したと判定した場合に、前記連続制御手段による制御を前記間欠制御手段による制御に切り替えるように構成してあることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る加湿装置は、加湿運転の停止から再開までの時間を計時する計時部を更に備え、前記制御部は、前記計時部が計時した時間が所定の時間より長い場合は、前記加湿運転の再開に際して前記連続制御手段による制御を開始し、次いで前記判定手段による判定を行ない、前記判定手段が、前記貯水部又は前記フィルタ部が前記所定時間又は前記所定回数回転したと判定したときに、前記連続制御手段による制御を前記間欠制御手段による制御に切り替え、前記計時部が計時した時間が前記所定の時間以下である場合は、前記加湿運転の再開に際して前記間欠制御手段による制御を開始するように構成してあることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る加湿装置は、前記送風機は送風量可変になしてあり、前記所定時間又は前記所定回数は、前記送風機の送風量に応じて設定されるように構成してあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る加湿装置は、前記送風機は送風量可変になしてあり、間欠回転毎の前記貯水部又は前記フィルタ部の回転停止時間は、前記送風機の送風量に応じて設定されるように構成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る加湿装置は、間欠回転毎の前記貯水部又は前記フィルタ部の回転時間又は回転回数は一定であることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る加湿装置は、前記フィルタ部は円盤状をなし、吸水性及び通気性を有するフィルタ本体と、該フィルタ本体を保持する保持体とを用いてなり、縦姿勢に配されて、周方向の一部が前記貯水部にて浸水可能にしてあり、前記回転駆動機構は、前記フィルタ部を周方向に回転させるようにしてあり、前記送風機が送風することによって、空気が前記フィルタ部を該フィルタ部に交差する方向に通過するように構成してあることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、加湿装置は、貯水部、フィルタ部、送風機、回転駆動機構、及び制御部を備え、制御部は間欠制御手段を有する。
水車又は水槽等の貯水部は、フィルタ部へ供給される水を貯留する。
制御部は回転駆動機構の動作を制御し、回転駆動機構は貯水部又はフィルタ部を回転させる。貯水部又はフィルタ部の回転によって、フィルタ部への給水が行なわれるか、又は、給水されたフィルタ部の吸水が促進される。
制御部は、間欠制御手段による制御を行なう。具体的には、制御部は、回転駆動機構の動作を制御することによって、貯水部又はフィルタ部を間欠的に回転させる。
【0018】
貯水部又はフィルタ部が連続的に回転している場合、フィルタ部へ多量に給水されるか、又は、フィルタ部の吸水が大幅に促進される。このため、フィルタ部が吸水する量は多い。
一方、貯水部又はフィルタ部が間欠的に回転している場合、フィルタ部へ少量給水されるか、又は、フィルタ部の吸水が僅かに促進される。このため、フィルタ部が吸水する量は少ない。
つまり、貯水部又はフィルタ部を間欠的に回転させることによって、フィルタ部の吸水量が過剰になることが抑制される。
【0019】
また、貯水部又はフィルタ部を間欠的に回転させる場合に回転駆動機構が消費するエネルギは、貯水部又はフィルタ部を連続的に回転させる場合よりも少ない。
ところで、フィルタ部を通過する送風量が一定である場合、フィルタ部の適切な吸水量には上限値が存在する。更に詳細には、送風量が一定である場合、吸水量が上限値以下である間は、吸水量の増大に伴って、加湿装置から装置外部へ単位時間に送出される水分量(以下、加湿量という)も増大する。しかしながら、吸水量が上限値を超えると、更に吸水量を増大させたとしても、加湿量は増大しない。吸水量の増大に加湿量の増大が伴わないのであれば、これは、フィルタ部に無駄に給水しただけに過ぎない。従って、フィルタ部の吸水量が上限値を越えているときには、連続回転よりも間欠回転の方が有用である。
【0020】
本発明にあっては、制御部は、連続制御手段及び判定手段を更に有する。
制御部は、連続制御手段による制御を行なう。具体的には、制御部は、回転駆動機構の動作を制御することによって、貯水部又はフィルタ部を連続的に回転させる。
制御部が連続制御手段による制御を行なうと、貯水部又は前記フィルタ部が連続的に回転するため、フィルタ部は多量の水を吸収する。故に、フィルタ部の吸水量が不十分である場合には、間欠制御手段による制御よりも連続制御手段による制御の方が有用である。
ただし、連続制御手段による制御を過剰に継続すると、フィルタ部の吸水量が過剰になる。
【0021】
そこで、制御部は、貯水部又は前記フィルタ部が連続的に回転している場合に、判定手段による判定を行なう。具体的には、制御部は、貯水部又はフィルタ部が、連続的な回転の開始から所定時間(又は所定回数)、回転したか否かを判定する。ここで、貯水部又はフィルタ部が連続的な回転の開始から所定時間(又は所定回数)回転した場合とは、フィルタ部が十分に吸水した場合である。
そして、制御部は、判定手段が回転したと判定した場合に、連続制御手段による制御を間欠制御手段による制御に切り替える。この結果、フィルタ部は少量の水を吸収するため、フィルタ部の吸水量が過剰になることを抑制することができる。
【0022】
本発明にあっては、加湿装置は、計時部を更に備える。
計時部は、加湿運転の停止から再開までの時間(以下、運転停止時間という)を計時する。
計時部が計時した時間が所定の時間より長い場合とは、運転停止時間が長い場合である。この場合、加湿運転の再開時点では、フィルタ部の吸水量が不十分である可能性が高い。
計時部が計時した時間が所定の時間以下である場合とは、運転停止時間が短い場合である。この場合、加湿運転の再開時点では、フィルタ部の吸水量が十分である可能性が高い。
【0023】
そこで、制御部は、運転停止時間が長い場合は、加湿運転の再開に際して連続制御手段による制御を開始し、次いで判定手段による判定を行ない、判定手段が回転したと判定したときに、連続制御手段による制御を間欠制御手段による制御に切り替える。
この結果、加湿運転の再開時点で吸水量が不十分であるフィルタ部は、加湿運転の再開後、多量の水を吸収し、十分に吸水した後は、少量の水を吸収する。
一方、制御部は、運転停止時間が短い場合は、加湿運転の再開に際して間欠制御手段による制御を開始する。
この結果、加湿運転の再開時点で吸水量が十分であるフィルタ部は、加湿運転の再開後、少量の水を吸収する。
【0024】
以上のような加湿装置は、フィルタ部の吸水量が不足することの抑制とフィルタ部の吸水量が過剰になることの抑制とを両立することができる。
【0025】
本発明にあっては、判定手段に係る所定時間又は所定回数は、送風機の送風量に応じて設定される。
例えば装置外部を大幅に、又は急速に加湿する場合、加湿装置は、送風機の送風量を増大させることによって、フィルタ部からの気化量を増大させる。このときにはフィルタ部の吸水量を多くすべきである。何故ならば、必要な気化量に比して吸水量が少なすぎると、装置外部の加湿不足が生じるからである。
一方、装置外部を僅かに、又は緩やかに加湿する場合、加湿装置は、送風機の送風量を減少させることによって、フィルタ部からの気化量を減少させる。このときにはフィルタ部の吸水量を少なくすべきである。何故ならば、必要な気化量に比して吸水量が多すぎても無駄だからである。
【0026】
ところで、判定手段に係る所定時間が長い場合、又は判定手段に係る所定回数が多い場合、フィルタ部の吸水量は多く、所定時間が短い場合、又は所定回数が少ない場合、フィルタ部の吸水量は少ない。
従って、所定時間又は所定回数を、送風機の送風量に応じて適宜に設定することによって、フィルタ部が適切な量の水を吸収し、延いてはフィルタ部から適切な量の水が気化する。この結果、加湿装置は必要十分な加湿能力を実現することができる。
【0027】
本発明にあっては、間欠回転毎の貯水部又はフィルタ部の回転停止時間、即ち、貯水部又はフィルタ部が回転した後、一時的に回転を停止してから次の回転を開始するまでの停止時間は、送風機の送風量に応じて設定される。
送風機の送風量が多い(又は少ない)場合、過不足のない加湿のためには、フィルタ部の吸水量を多く(又は少なく)する必要がある。
回転停止時間が短い場合、フィルタ部の吸水量は多く、回転停止時間が長い場合、フィルタ部の吸水量は少ない。
【0028】
従って、回転停止時間を、送風機の送風量に応じて適宜に設定することによって、フィルタ部が適切な量の水を吸収し、延いてはフィルタ部から適切な量の水が気化する。この結果、加湿装置は必要十分な加湿能力を実現することができる。
【0029】
本発明にあっては、間欠回転毎の貯水部又はフィルタ部の回転時間(又は回転回数)、即ち、貯水部又はフィルタ部が回転を開始してから、一時的に回転を停止するまでの回転時間(又は回転回数)は、一定である。何故ならば、加湿装置は、回転停止時間の長短によってフィルタ部の吸水量を調整しているからである。また、回転時間又は回転回数と回転停止時間との兼ね合いでフィルタ部の吸水量を調整することは困難だからである。
即ち、加湿装置は、送風機の送風量に応じて回転停止時間を変更したとしても回転時間又は回転回数は変更しない簡便な手法で、フィルタ部の吸水量を調整することができる。
【0030】
本発明にあっては、円盤状のフィルタ部が縦姿勢に配され、このフィルタ部の周方向の一部が、貯水部にて浸水可能にしてある。フィルタ部は、貯水部にて浸水することによって、貯水部から給水される。
また、回転駆動機構は、縦姿勢に配されたフィルタ部を周方向に回転させる。
更に、送風機が送風することによって空気がフィルタ部を通過する方向は、フィルタ部に交差する方向である。即ち、空気はフィルタ部を一面側から他面側へ通過する。
【0031】
フィルタ部の周方向の一部は浸水中に吸水し、浸水している部分から浸水していない部分へ水が吸い上げられる。このような吸水が、フィルタ部の周方向の回転に伴ってフィルタ部の周方向の全部で行なわれると、フィルタ部全体に水が行き渡る。つまり、フィルタ部はフィルタ部全体で効率よく吸水する。この結果、吸水したフィルタ部を通過した空気は十分に吸湿し、十分に吸湿した空気が装置外部へ送出される。
以上のような加湿装置では、フィルタ部の浸水に伴ってフィルタ本体が浸水していれば、フィルタ部の回転が停止していてもフィルタ部の吸水は行なわれる。従って、間欠的な回転を行なうことによるフィルタ部の吸水不足が生じる虞はない。
【0032】
また、貯水部が回転する必要がないため、貯水部回転時の振動又は衝撃等によって、貯水部に貯留されている水が貯水部の外部へ流出する虞はない。
【発明の効果】
【0033】
本発明の加湿装置による場合、貯水部又はフィルタ部を間欠的に回転させることによって、フィルタ部に対する無駄な給水、又は、フィルタ部の吸水の無駄な促進を抑制することができる。このため、フィルタ部の吸水量が過剰になることを抑制することができる。即ち、フィルタ部に適切な量の水を吸収させることができる。
この結果、フィルタ部から水が過不足なく気化するため、装置外部を適切に加湿することができる。即ち、加湿装置は、必要十分な加湿能力を実現することができる。しかも、貯水部又はフィルタ部を連続的に回転させる場合よりも、省エネルギに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の概略構成を示す側断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る加湿装置が備える加湿フィルタユニットを支持する支持構造を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る加湿装置が備える加湿フィルタユニットを支持する支持構造を示す一部破断正面図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る加湿装置で実行される加湿運転処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1に係る加湿装置で実行される連続回転処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1に係る加湿装置で実行される間欠回転処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の加湿運転(500rpm )による加湿時間と加湿量との関係を示す特性図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の加湿運転(1000rpm )による加湿時間と加湿量との関係を示す特性図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の加湿運転(連続1回転)による加湿時間と加湿量との関係を示す特性図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の加湿運転(連続2回転)による加湿時間と加湿量との関係を示す特性図である。
【図13】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の加湿運転(連続3回転)による加湿時間と加湿量との関係を示す特性図である。
【図14】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の加湿運転(サイクル時間5分及び10分)による加湿時間と加湿量との関係を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0036】
実施の形態 1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る加湿装置7の外観を示す斜視図であり、図2は、加湿装置7の概略構成を示す側断面図である。図2の左側及び右側は、加湿装置7の正面側及び背面側であり、図1は、図2の右側(即ち加湿装置7の背面側)から見た斜視図である。以下では、加湿装置7の正面側を前側といい、背面側を後側という。
図3は、加湿装置7の制御系の構成を示すブロック図である。
本実施の形態の加湿装置7は、加湿能力及び空気清浄能力を有している。加湿装置7は、加湿能力及び空気清浄能力の両方が実現される加湿運転モードと、空気清浄能力のみが実現される清浄運転モードとを有する。
【0037】
加湿装置7は、図1及び図2に示す矩形箱形のハウジング1の内部に、図2及び図3に示す送風ファン2、図1〜図3に示す加湿フィルタユニット3、図1及び図2に示す水受け皿4、図2及び図3に示す伝動機構5、並びに図3に示す制御部70、湿度センサ71、及び埃センサ72を備えている。また、加湿装置7は、ハウジング1の上部に、図1〜図3に示す操作部73を備えている。
図1に示すように、ハウジング1にはセンサカバー19が着脱可能に設けられている。センサカバー19の中央部分は格子状になしてあり、格子の開口を介して装置外部とハウジング1の内部の図示しないセンサ室とが連通している。センサ室には湿度センサ71と埃センサ72とが配されている。
制御部70は、加湿装置7の制御中枢である。
【0038】
湿度センサ71は、装置外部の湿度を検出して、検出結果(以下、検出湿度という)を制御部70へ出力する。湿度センサ71の検出湿度が所定湿度(例えば60%)を超過している場合、装置外部の湿度は十分に高いため、加湿の必要はない。一方、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度以下である場合、装置外部の湿度は低いため、加湿の必要がある。以下では、特に言及しない限り、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度以下の場合について説明する。
装置外部の空気に含まれている塵埃又は煙等の粒子が多い場合、空気の汚染度は高い。一方、装置外部の空気に含まれている粒子が少ない場合、空気の汚染度は低い。そこで、埃センサ72は、装置外部の空気に含まれている粒子の多寡を検出することによって装置外部の空気の汚染度を検出し、検出結果(以下、検出汚染度という)を制御部70へ出力する。
【0039】
操作部73は、図1及び図3に示すように、加湿装置7のユーザによって操作される空気清浄ボタン731、加湿ボタン732、停止ボタン733、及び風量ボタン734を有する。これらのボタン731〜734は、ハウジング1の天板外面に配されている。
【0040】
加湿装置7が停止している場合に空気清浄ボタン731(又は加湿ボタン732)が操作されたとき、加湿装置7は、清浄運転モード(又は加湿運転モード)での運転を開始する。また、加湿運転モード(又は清浄運転モード)での運転中に空気清浄ボタン731(又は加湿ボタン732)が操作されたとき、加湿装置7は、加湿運転モードから清浄運転モードへ(又は清浄運転モードから加湿運転モードへ)運転を切り替える。運転中に停止ボタン733が操作されたとき、加湿装置7は、加湿運転モード及び清浄運転モードの何れで運転していようとも、運転を停止する。
【0041】
清浄運転モードでの運転を開始する場合、制御部70は、後述するファンモータ21を駆動開始し、清浄運転モードでの運転を終了する場合、ファンモータ21を駆動終了する。加湿運転モードでの運転を開始する場合、制御部70は、ファンモータ21及び後述する駆動モータ53の両方を駆動開始し、加湿運転モードでの運転を終了する場合、ファンモータ21及び駆動モータ53の両方を駆動終了する。加湿運転モードから清浄運転モードへ(又は清浄運転モードから加湿運転モードへ)運転を切り替える場合、制御部70は、駆動モータ53を駆動終了(又は駆動開始)する。
【0042】
また、制御部70は、加湿運転モードでの運転の停止から加湿運転モードでの運転の再開までの経過時間(以下、非加湿時間という)を計時する。このために制御部70は、加湿運転モードでの運転中に停止ボタン733が操作された場合に計時を開始し、次に加湿ボタン732が操作されたときに計時を終了する。停止ボタン733の操作後に空気清浄ボタン731が操作されたとしても、非加湿時間の計時は続行される。このような制御部70は、本発明の実施の形態における計時部として機能する。制御部70による経過時間の計時は、例えば、制御部70に与えられるクロックの個数を計数することによって行なわれる。なお、加湿装置7は、計時部として機能するタイマを備え、このタイマの計時結果が制御部70に入力される構成でもよい。
【0043】
図1及び図2に示すハウジング1の後面パネル14は、ハウジング1の後側開口部に対して着脱可能であり、後面パネル14の前側には、脱臭フィルタ17及び集塵フィルタ18が積層配置してある。
脱臭フィルタ17は、例えば、不織布に活性炭を分散保持させてなり、脱臭フィルタ17を通過する空気中の臭い成分を吸着し、除去する。集塵フィルタ18は、例えば、公知のHEPA(High Efficiency Particulate Air )フィルタであり、集塵フィルタ18を通過する空気中に含まれる微細な塵埃を捕集、除去する。脱臭フィルタ17及び集塵フィルタ18は、合成樹脂製の矩形の枠体17a,18aに各別に一体化され、ハウジング1の内部における後面パネル14の前側に設けられたフィルタ室に嵌め込まれている。
【0044】
図2に示すように、ハウジング1の内部は、隔壁11によって、後側の吸込室12と前側の吐出室13とに分割されている。吸込室12は、後面パネル14に開設された多数の吸込口15,15,…(図1及び図2参照)を介して装置外部に連通している。吐出室13は、ハウジング1の天板に開設された吐出口16(図1及び図2参照)を介して装置外部に連通している。吸込室12と吐出室13とは、隔壁11の下部に設けた開口11aを介して相互に連通している。
【0045】
送風ファン2は、羽根車20と、羽根車20を駆動する電動のファンモータ21(図2及び図3参照)とを備えている。ファンモータ21は、吐出室13の外部に固定されている。羽根車20は、吐出室13内に突出するファンモータ21の出力端に固定され、隔壁11下部の開口11aに対向配置してある。また、羽根車20は、ファンモータ21の駆動によって回転する。
【0046】
羽根車20が回転した場合、図2中に白抜矢符にて示すように、後面パネル14の吸込口15,15,…を経て吸込室12の内部に空気が導入され、吸込室12の内部を前方向に流れて隔壁11下部の開口11aを経て羽根車20に吸い込まれ、上向きに方向を変えて吐出室13の内部に導出され、吐出室13上部の吐出口16を経て装置外部へ送り出される。つまり、吸込口15,15,…、吸込室12、開口11a、吐出室13、及び吐出口16は、加湿装置7の送風路を形成している。
【0047】
図1及び図2に示すように、送風路の上流側には、脱臭フィルタ17及び集塵フィルタ18が位置している。このため、吸込口15,15,…を経て吸込室12に導入される空気は、脱臭フィルタ17の通過によって臭い成分を除去され、集塵フィルタ18の通過によって塵埃を除去された清浄な空気となる。つまり、加湿装置7は、脱臭フィルタ17及び集塵フィルタ18を備えていることによって、空気清浄能力を有する。
加湿フィルタユニット3及び水受け皿4は、脱臭フィルタ17及び集塵フィルタ18によって浄化された直後の空気を加湿すべく、集塵フィルタ18と送風ファン2との間に配置してある。
【0048】
水受け皿4は、ハウジング1の底板内面に載置され、集塵フィルタ18の前側の吸込室12の内部に配してある。この水受け皿4は、水受け皿4の上側にて後述するように支持される加湿フィルタユニット3と共に、ハウジング1の一側部から装置外部へ引き出すことが可能である。図1に示すように、水受け皿4の引き出し側の端部には、広幅のタンク受け40が連設してあり、タンク受け40には、給水タンク41が着脱される。
【0049】
給水タンク41は、長手方向一端部に給水栓42を有する直方体状の容器であり、給水栓42の側を下向きとした倒立姿勢にてタンク受け40(後述する図4及び図5も参照)に装着される。給水栓42は、公知の定水位弁を内蔵している。この定水位弁は、タンク受け40への給水タンク41の装着時に、タンク受け40の該当位置に立設した押し上げ突起43(後述する図4参照)に押し上げられて開放状態となり、給水タンク41内の収容水を水受け皿4に送り出し、水受け皿4の内部に一定水位L(後述する図5参照)の水を貯留させるように作用する。
【0050】
図1及び図2に示すように、加湿フィルタユニット3は、中空の円盤状をなす保持枠30と、保持枠30に収納保持されている加湿フィルタ31とを用いて構成されている。加湿フィルタ31は、吸水性及び通気性を有する材料(例えば不織布)製のシートが蛇腹状に折り重ねられてなる。このため、全く折り重ねられていないシートに比べて、加湿フィルタ31と加湿フィルタ31を通過する空気との接触面積は大きい。
図4及び図5は、加湿フィルタユニット3を支持する支持構造を示す斜視図及び一部破断正面図である。図5は、水受け皿4の一部を破断して示している。図4及び図5中には、加湿フィルタユニット3の保持枠30のみを図示し、加湿フィルタ31の図示は省略してある。
【0051】
図5に示すように、加湿フィルタユニット3の下部は、水受け皿4の内部に差し込まれて、水受け皿4の内部に設けられた2つの支持ローラ6,6の上に載置される。この結果、加湿フィルタユニット3は、水受け皿4の上側にて縦姿勢で支持されている。支持ローラ6,6は、水受け皿4の底面上で長手方向の両側に振り分け配置され、夫々の位置で保持枠30の下部外周面に転接している。
【0052】
このように支持された加湿フィルタユニット3は、図1に示すように、ハウジング1の一側面から水受け皿4と共に装置外部に引き出すことができる。この後、加湿フィルタユニット3は、上方に持ち上げることによって水受け皿4から容易に取り外すことができる。また逆に、加湿フィルタユニット3は、水受け皿4内部の支持ローラ6,6の上に載置することによって、縦姿勢に容易に支持することができる。更に、この状態で水受け皿4と共にハウジング1内に押し込むことによって、加湿フィルタユニット3は、ハウジング1の内部の所定位置にセットすることができる。このような加湿フィルタユニット3の着脱は、加湿フィルタ31の保守、交換、更には、水受け皿4内の清掃等のために実施される。
【0053】
保持枠30の外周面には、図2、図4、及び図5に示すように、幅方向の中央部に全周に亘って歯が形成された適宜幅のリングギヤ部32が一体に設けてある。リングギヤ部32は、図2及び図5に示すように、保持枠30の上位置に配した伝動機構5の伝動ギヤ51に噛合される。
伝動機構5は、基台50の一面に取り付けられている伝動ギヤ51及び駆動ギヤ52と、基台50の他面に取り付けた駆動モータ53とを備え、基台50を貫通する複数本の固定ねじ54,54,…によって、ハウジング1の内部の隔壁11の適宜位置に固定されている。駆動ギヤ52は、駆動モータ53の出力軸に嵌着されており、駆動モータ53の回転は、駆動ギヤ52を介して伝動ギヤ51に伝わり、この結果、伝動ギヤ51が回転するように構成されている。
【0054】
伝動機構5の伝動ギヤ51と保持枠30のリングギヤ部32との噛合は、加湿フィルタユニット3がハウジング1の内部の所定位置にセットされた状態で生じる。加湿フィルタユニット3は、伝動ギヤ51とリングギヤ部32との噛合によって、支持ローラ6,6及び伝動ギヤ51夫々の位置、即ち周方向の異なる位置で、3点支持される。従って、加湿フィルタユニット3には、回転可能に支持される支軸を中心部に設ける必要がない。このため、保持枠30の前後両面には、図4及び図5に示すように、内部の加湿フィルタ31を支えるための最小限の支え部を除く略全面に開口を設けることができる。この結果、保持枠30によって阻害されることなく多くの空気が加湿フィルタ31を通過する。即ち、加湿性能の向上を図ることができる。
【0055】
図2、図3、及び図5に示す駆動モータ53を駆動した場合、駆動ギヤ52の回転が、伝動ギヤ51及びリングギヤ部32を介して保持枠30に伝わる。このとき、加湿フィルタユニット3は、保持枠30の中心周りに(即ち加湿フィルタユニット3の周方向に)回転する。
ところで、駆動モータ53はACモータを用いてなる。このため、駆動モータ53への給電周波数が異なれば、駆動モータ53の回転数、延いては加湿フィルタユニット3の回転数も異なる。給電周波数が50Hz(又は60Hz)である場合、加湿フィルタユニット3は約85秒(又は約70秒)で1回転する。
【0056】
水受け皿4の内部には、前述の如く、一定水位Lの水が貯留されており、回転する保持枠30の下部は、水受け皿4の貯留水中に浸漬される。図2、図4、及び図5に示すように保持枠30は、両面に開口を有しているため、加湿フィルタ31の周縁部の下部が浸水する。つまり、加湿フィルタユニット3の周方向の一部が浸水することによって、加湿フィルタ31は、水受け皿4から給水される。
【0057】
このとき、貯留水は加湿フィルタ31に吸収され、更に、周縁部から中央部へ吸い上げられる。保持枠30が周方向に連続的に回転すると、加湿フィルタ31の周縁部は周方向に連続的に浸水及び吸水し、吸収された水は回転移動することによって持ち上げられる。以上の結果、水が加湿フィルタ31全体に効率よく行き渡る。換言すれば、加湿フィルタ31が回転することによって、加湿フィルタ31の吸水が促進される。
【0058】
一方、ファンモータ21の駆動により、前述したように、吸込室12の内部に、後側から前側へ向かう空気の流れが発生する。この空気は、保持枠30の後面の開口を経て保持枠30の内部に導入され、保持枠30に収納保持された加湿フィルタ31を後面側から前面側へ通過する。加湿フィルタ31を通過した空気は、加湿フィルタ31に吸収されている水と接触することによって、気化水分を含む湿り空気となり、保持枠30の前面の開口を経て保持枠30の外部へ導出される。
【0059】
ところで、本実施の形態における加湿フィルタ31は常に浸水している。つまり、加湿フィルタ31へは常に給水されている。従って、清浄運転モードで運転している場合にも、空気は僅かに加湿される。そこで、例えば特許文献5に記載されているように、清浄運転モードでの運転中は、加湿フィルタ31の吸水が行なわれないように構成してもよい。
【0060】
図3に示す制御部70は、ファンモータ21の回転数を制御することによって、送風ファン2の送風量を調節する。ファンモータ21の回転数が高い場合、送風ファン2の送風量は多いが、ファンモータ21の消費電力は大きい。一方、ファンモータ21の回転数が低い場合、送風ファン2の送風量は少ないが、ファンモータ21の消費電力は小さい。本実施の形態においては、ファンモータ21の回転数として、回転数R1、回転数R2、回転数R3、及び回転数R4(0<R1<R2<R3<R4)が用いられる。回転数R1、回転数R2、回転数R3、及び回転数R4は、例えば、500rpm 、600rpm 、700rpm 、及び1000rpm であり、このときの送風ファン2の送風量は1.1m3/min、1.4m3/min、1.8m3/min、及び3.0m3/minである。以下では、これらを送風量「小」、「中」、「大」、及び「極大」という。
【0061】
加湿装置7は、送風ファン2の送風量が自動的に設定される自動風量モードと、送風ファン2の送風量をユーザが手動で設定する手動風量モードとを有する。
自動風量モードでは、送風ファン2の送風量は、埃センサ72の検出汚染度に応じて設定される。この場合、埃センサ72の検出汚染度が高いほど、送風ファン2の送風量を増大させるべく、制御部70は、ファンモータ21の回転数を増加させる。この結果、多量の空気が脱臭フィルタ17及び集塵フィルタ18を通過するため、空気清浄の効率が向上する。一方、空気の汚染度が低いほど、送風ファン2の送風量を減少させるべく、制御部70は、ファンモータ21の回転数を減少させる。この結果、省電力を図ることができる。
【0062】
手動風量モードでは、ユーザが風量ボタン734を操作することによって、送風量「小」、「中」、「大」、及び「極大」の内、何れかひとつが加湿装置7に設定される。このとき、設定された送風量に応じてファンモータ21の回転数が固定的に設定される。
【0063】
加湿装置7は、電源投入後、空気清浄ボタン731又は加湿ボタン732が操作されると、自動風量モードでの運転を開始する。運転中に風量ボタン734が操作されると、加湿装置7は、自動風量モードから手動風量モードの送風量「極大」(回転数R4)に切り替えられる。この後、運転中に風量ボタン734が操作される都度、加湿装置7は、送風量「大」(回転数R3)、送風量「中」(回転数R2)、及び送風量「小」(回転数R1)にこの順で切り替えられてから、再び自動風量モードに切り替えられる。
加湿運転モードにおける制御部70は、ファンモータ21を連続的に駆動する。従って、ファンモータ21は連続的に回転し、このとき、送風ファン2は連続的に送風する。
【0064】
また、加湿運転モードにおける制御部70は、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度以下である場合、駆動モータ53を連続的に駆動するか、又は間欠的に駆動する。従って、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度以下である場合、駆動モータ53は連続的又は間欠的に回転し、この結果、加湿フィルタユニット3は連続的又は間欠的に回転する。ただし、加湿運転モードにおける制御部70は、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度超過である場合、駆動モータ53を駆動しない。従って、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度超過である場合、駆動モータ53は回転せず、この結果、加湿フィルタユニット3は回転しない。
【0065】
加湿フィルタユニット3の回転は、加湿フィルタ31の吸水の促進につながるため、加湿フィルタユニット3が連続的に回転している場合の方が、間欠的に回転している場合よりも、加湿フィルタ31の吸水は促進される。また、加湿フィルタユニット3を連続的に回転させる場合の方が、間欠的に回転させる場合よりも、駆動モータ53の消費電力は大きい。
このため、仮に、加湿フィルタユニット3を長時間連続的に回転させると、加湿フィルタ31の吸水量が過剰になる虞がある上に、省エネルギを図ることができない。故に、制御部70は、加湿フィルタユニット3を間欠的に回転させるか、又は、加湿フィルタユニット3の連続的な回転と間欠的に回転とを適宜に切り替える。
【0066】
ここで、加湿フィルタユニット3の間欠的な回転について説明する。
加湿フィルタユニット3が間欠的に回転している状態とは、加湿フィルタユニット3の回転と一時停止とが交互に繰り返される状態である。以下では、加湿フィルタユニット3が回転を開始してから、回転を一時的に停止し、次いで回転を再開するまでを1サイクルという。
【0067】
本実施の形態では、1サイクルの間に、加湿フィルタユニット3が1回転し、次いで、所定の回転停止時間だけ回転を一時停止する。1サイクルの所要時間(以下、サイクル時間という)は、ファンモータ21の回転数(換言すれば送風ファン2の送風量)に応じて設定される。具体的には、ファンモータ21の回転数R1、回転数R2、回転数R3、及び回転数R4に関連付けて、サイクル時間S1、サイクル時間S2、サイクル時間S3、及びサイクル時間S4(0<S4<S3<S2<S1)が制御部70に与えられている。サイクル時間S1、サイクル時間S2、サイクル時間S3、及びサイクル時間S4は、例えば、10分、8分、7分、及び5分である。
【0068】
加湿フィルタユニット3が1回転する回転時間は、駆動モータ53への給電周波数に応じて一意に定まる。従って、本実施の形態においては、間欠回転毎(換言すれば1サイクル毎)の加湿フィルタユニット3の回転時間又は回転回数は、送風ファン2の送風量とは無関係に一定である。
一方、加湿フィルタユニット3の回転停止時間は、サイクル時間が長いほど(即ち送風ファン2の送風量が少ないほど)長い。加湿フィルタユニット3の回転停止時間中にも、送風ファン2は継続的に送風している。
【0069】
加湿フィルタユニット3の回転停止時間が短いほど、加湿フィルタユニット3の吸水は促進される。ただし、加湿フィルタユニット3の回転停止時間が短い場合には、送風ファン2の送風量が多い(即ち、加湿フィルタユニット3を通過する送風量が多い)ため、加湿フィルタユニット3からの気化も促進される。故に、加湿フィルタユニット3の吸水量が過剰になる虞はない。
一方、加湿フィルタユニット3の回転停止時間が長い場合には、送風ファン2の送風量が少ない(即ち、加湿フィルタユニット3を通過する送風量が少ない)ため、加湿フィルタユニット3からの気化は抑制される。しかしながら、加湿フィルタユニット3の回転停止時間が長いほど、加湿フィルタユニット3の吸水は抑制される。故に、加湿フィルタユニット3の吸水量が過剰になる虞はない。
【0070】
次に、加湿フィルタユニット3の連続的な回転について説明する。
加湿フィルタユニット3の吸水量が不十分である場合には、加湿フィルタユニット3の連続的な回転によって加湿フィルタユニット3を十分に吸水させることが望ましい。仮に、加湿フィルタユニット3の吸水量が十分ではないにもかかわらず加湿フィルタユニット3を間欠的に回転させると、加湿装置7が十分な加湿能力を発揮することができない。かといって、加湿フィルタユニット3を長時間連続的に回転させると、加湿フィルタユニット3の吸水量が過剰になる虞がある。
【0071】
従って、加湿フィルタユニット3の連続的な回転は、加湿フィルタユニット3の吸水量が不十分である場合に、加湿フィルタユニット3が十分に吸水するまでの時間(以下、十分吸水時間)だけ、行なう。
制御部70は、非加湿時間が所定非加湿時間以下であるか否かを判定することによって、加湿フィルタユニット3の吸水量が十分であるか否かを判定する。何故ならば、非加湿時間が所定非加湿時間を超過している場合には、加湿フィルタユニット3が非加湿時間中に自然に、又は送風ファン2の送風によって強制的に、乾燥したと考えられるからである。
【0072】
なお、制御部70は、加湿フィルタユニット3の間欠的な回転を所定サイクル(例えば20サイクル)実行した場合にも、加湿フィルタユニット3の吸水量が不十分であると判定する構成でもよい。何故ならば、間欠的な回転を長時間行なうと、加湿フィルタユニット3の吸水量が不足しがちになるからである。
本実施の形態では、十分吸水時間は、送風ファン2の送風量とは無関係に一定(例えば5分)である。
制御部70は、駆動モータ53の駆動開始からの経過時間(以下、回転経過時間という)を計時する。回転経過時間が十分吸水時間以上であれば、制御部70は、加湿フィルタユニット3が十分に吸水したと判定する。
【0073】
なお、制御部70は、十分吸水時間と回転経過時間とに替えて、加湿フィルタユニット3が十分に吸水するまでの回転回数と、加湿フィルタユニット3の回転開始からの回転回数とを用いる構成でもよい。この場合、回転開始からの回転回数が多いことは、回転経過時間が長いことに相当する。一方、回転開始からの回転回数が少ないことは、回転経過時間が短いことに相当する。そして、制御部70は、回転開始からの回転回数が、加湿フィルタユニット3が十分に吸水するまでの回転回数以上であれば、加湿フィルタユニット3が十分に吸水したと判定する。
【0074】
ところで、開始後回転回数を計数するためには、例えば特許文献5に記載されているように、加湿装置7が、加湿フィルタユニット3の周縁部に固定された磁石と、水受け皿4の側壁外面に固定され、磁石が接近するとオンになり、離隔するとオフになるリードスイッチとを備えていればよい。この場合、制御部70は、リードスイッチがオフからオンに切り替わった回数を計数すればよい。
図6は、加湿装置7で実行される加湿運転処理の手順を示すフローチャートである。以下では、空気清浄ボタン731が操作される場合については説明を省略する。
【0075】
制御部70は、加湿ボタン732が操作された否かを判定し(S11)、操作されていない場合には(S11でNO)、S11の処理を再度実行する。
加湿ボタン732が操作された場合(S11でYES)、制御部70は、加湿運転モードでの運転を開始すべく、ファンモータ21の駆動を開始する(S12)。S12における制御部70は、ファンモータ21の回転数を、例えば前回ファンモータ21を駆動していたときの回転数と同じものに設定する。ただし、加湿装置7の電源投入直後のS12においては、制御部70は、ファンモータ21の回転数を、デフォルトの回転数に設定する。S12の処理の実行終了後、図示はしないが、制御部70は、風量ボタン734の操作又は埃センサの検出汚染度に応じて、ファンモータ21の回転数を再設定する。
【0076】
次いで、制御部70は、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度以下であるか否かを判定する(S13)。
湿度センサ71の検出湿度が所定湿度超過である場合(S13でNO)、制御部70は、停止ボタン733が操作されない限り、S13の処理を再度実行する。図示はしないが、S13の処理を再度実行する前に停止ボタン733が操作されたならば、制御部70は、後述するS19の処理を実行してから、処理をS11へ戻す。
【0077】
湿度センサ71の検出湿度が所定湿度以下である場合(S13でYES)、制御部70は、非加湿時間の計時を終了する(S14)。更に、制御部70は、S14で計時を終了した非加湿時間が所定非加湿時間以下であるか否かを判定する(S15)。ただし、例えば加湿装置7の電源投入直後であって、S13でYESの場合にまだ非加湿時間の計時が実行されていない(即ち、後述するS20の処理をまだ実行していない)場合は、制御部70は、S14の処理を実行せず、更に、S15でNOと判定すればよい。
【0078】
S14で計時を終了した非加湿時間が所定非加湿時間を超過している場合(S15でNO)、制御部70は、加湿フィルタユニット3を連続的に回転させるべく、連続回転処理(後述する図7参照)を実行する(S16)。そして、S16における連続回転処理の終了後、又は、S14で計時を終了した非加湿時間が所定非加湿時間以下である場合(S15でYES)、制御部70は、加湿フィルタユニット3を間欠的に回転させるべく、間欠回転処理(後述する図8参照)を実行する(S17)。
図7は、加湿装置7で実行される連続回転処理手順の詳細を示すフローチャートである。
【0079】
制御部70は、駆動モータ53を駆動開始する(S31)。S31の処理終了後、後述するS33でYESと判定されるまでの間、制御部70は、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度を超過すれば駆動モータ53の駆動を一旦停止し、その後、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度以上になれば駆動モータ53の駆動を再開する処理を繰り返し実行する(不図示)。
また、S31の処理終了後、制御部70は、回転経過時間の計時を開始する(S32)。
更に、制御部70は、回転経過時間が十分吸水時間以上であるか否かを判定する(S33)。
【0080】
回転経過時間が十分吸水時間未満である場合(S33でNO)、制御部70は、停止ボタン733が操作されない限り、S33の処理を再度実行する。図示はしないが、S33の処理を再度実行する前に停止ボタン733が操作されたならば、制御部70は、回転経過時間の計時を終了してから、後述するS18へ処理を移す。
回転経過時間が十分吸水時間以上である場合(S33でYES)、制御部70は、駆動モータ53を駆動停止し(S34)、回転経過時間の計時を終了してから(S35)、連続回転処理を終了して、図6に示す加湿運転処理へリターンする。
【0081】
図8は、加湿装置7で実行される間欠回転処理手順の詳細を示すフローチャートである。
制御部70は、ファンモータ21の現在の回転数に応じて、サイクル時間を設定する(S41)。S41にてサイクル時間を設定した後、制御部70は、ファンモータ21の回転数を変更する都度、サイクル時間を再設定する(不図示)。
次に、制御部70は、加湿フィルタユニット3の1サイクル分の間欠的な回転を開始すべく、駆動モータ53を駆動開始し(S42)、次に、経過時間の計時を開始する(S43)。
【0082】
S43の処理終了後、制御部70は、加湿フィルタユニット3が1回転したか否かを判定する(S44)。S44における制御部は、例えば、S42における駆動モータ53の駆動開始から、加湿フィルタユニット3の1回転分の時間(例えば駆動モータ53への給電周波数が60Hzである場合は約70秒)が経過したか否かを判定する。
加湿フィルタユニット3がまだ1回転していない場合(S44でNO)、制御部70は、S44の処理を再度実行する。
加湿フィルタユニット3が1回転した場合(S44でYES)、制御部70は、駆動モータ53の駆動を一時的に停止する(S45)。
【0083】
次いで、制御部70は、S43での計時開始からサイクル時間が経過したか否かを判定する(S46)。
サイクル時間が経過した場合(S46でYES)、加湿フィルタユニット3の1サイクル分の間欠的な回転が終了したため、制御部70は、経過時間の計時を終了し(S47)、次の1サイクル分の間欠的な回転を開始すべく、処理をS42へ戻す。
まだサイクル時間が経過していない場合(S46でNO)、制御部70は、停止ボタン733が操作されたか否かを判定する(S48)。
停止ボタン733が操作されていない場合(S48でNO)、制御部70は、処理をS46へ戻す。
【0084】
停止ボタン733が操作された場合(S48でYES)、制御部70は、経過時間の計時を終了し(S49)、間欠回転処理を終了して、図6に示す加湿運転処理へリターンする。
ところで、図8に示すS43の処理終了後、S48でYESと判定されるまでの間、制御部70は、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度を超過すればS45及びS47の処理を行ない、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度以上になるか、又は停止ボタン733が操作されるまで待機する。このとき、湿度センサ71の検出湿度が所定湿度以上になれば、制御部70は、S42へ処理を戻す。一方、停止ボタン733が操作されれば、制御部70は、間欠回転処理を終了して、図6に示す加湿運転処理へリターンする。
【0085】
S17における間欠回転処理の終了後、制御部70は、駆動モータ53の駆動を連続的に停止し(S18)、更に、加湿運転モードでの運転を終了すべく、ファンモータ21の駆動を停止する(S19)。最後に、制御部70は、非加湿時間の計時を開始し(S20)、処理をS11へリターンする。
次に、従来の加湿装置と比した加湿装置7の有用性について説明する。
図9及び図10夫々は、加湿装置7の加湿運転による加湿時間と加湿量との関係を示す特性図である。図9は、ファンモータ21の回転数が500rpm の場合の測定結果であり、図10は1000rpm の場合である。
【0086】
図9及び図10夫々の横軸は加湿時間[分]を示し、縦軸は加湿量[l]を示している。また、黒い菱形のプロット(◆)は加湿装置7に係る測定結果を表わし、白い四角形のプロット(□)は従来の加湿装置に係る測定結果を表わしている。
ここで、加湿時間とは、ファンモータ21の駆動中に、加湿フィルタユニット3を5分だけ連続的に回転させてから計時を開始した時間である。加湿時間0分以降、加湿装置7の加湿フィルタユニット3は間欠的に回転しており、従来の加湿装置の加湿フィルタユニット3は連続的に回転している。
また、加湿量とは、加湿装置7又は従来の加湿装置から装置外部へ送出される水分の容積である。
【0087】
図9及び図10を参照すれば、ファンモータ21の回転数(即ち送風ファン2の送風量)とは無関係に、加湿装置7の加湿量は、従来の加湿装置の加湿量と比べて遜色がないことがわかる。
一方、図9に示す500rpm の場合、図示はしないが、従来の加湿装置7の消費電力は5.2Whであり、加湿装置7の消費電力は3.3Whである。つまり、約36%の省電力効果が得られている。
また、図10に示す1000rpm の場合、図示はしないが、従来の加湿装置7の消費電力は16.1Whであり、加湿装置7の消費電力は14.5Whである。つまり、約10%の省電力効果が得られている。
【0088】
以上のことから、加湿装置7における加湿フィルタユニット3の間欠的な回転は、加湿能力の劣化を招くことなく、省エネルギに寄与していることがわかる。
以下では、加湿装置7及び従来の加湿装置夫々の駆動モータ53への給電周波数は60Hzである。
次に、加湿装置7の製造者による十分吸水時間の設定について説明する。
図11〜図13夫々は、加湿装置7の加湿運転による加湿時間と加湿量との関係を示す特性図である。
図11〜図13夫々の横軸、縦軸、及び各プロットの意味は図9又は図10のこれらと略同様である。
【0089】
ただし、加湿量は水分の重量[kg]である。
また、実線は従来の加湿装置に係る測定結果の近似直線である。
更に、図11(図12、及び図13)における加湿時間とは、ファンモータ21の駆動中に、加湿フィルタユニット3を連続的に1回転(2回転、及び3回転)させてから計時を開始した時間である。換言すれば、図11(図12、及び図13)における加湿時間とは、加湿フィルタユニット3を約70秒(約140秒、及び約210秒)だけ連続的に回転させてから計時を開始した時間である。
更にまた、加湿量の測定は、温度約20℃及び湿度約29%〜約31%の環境下で行なっている。
【0090】
図11において、加湿装置7と従来の加湿装置とは、共にファンモータ21が500rpm で駆動されている。同様に、図12(及び図13)において、加湿装置7と従来の加湿装置とは、共にファンモータ21が600rpm (及び1000rpm )で駆動されている。
つまり、加湿時間0分の時点では、加湿フィルタユニット3の吸水量は、図13、図12、及び図11の順に多い。ただし、送風ファン2の送風量が、図13、図12、及び図11の順に多いため、加湿フィルタユニット3は、図13、図12、及び図11の順に乾燥し易い。
【0091】
図11及び図12を参照すれば、加湿装置7の加湿量は、従来の加湿装置の加湿量より少なく、更に、加湿時間の経過に伴って両者の差が拡大していることがわかる。これは、図11及び図12の条件下では、加湿フィルタユニット3が連続的に回転していた時間が短かったため、加湿フィルタユニット3が十分に吸水できていない状態で間欠的な回転を開始した(即ち、加湿時間0分の時点で加湿フィルタユニット3の吸水量が不十分であった)からであると考えられる。
【0092】
一方、図13を参照すれば、加湿フィルタユニット3が最も乾燥し易い条件下であるにも拘らず、加湿装置7の加湿量は、従来の加湿装置の加湿量に匹敵することがわかる。これは、加湿フィルタユニット3が連続的に回転していた時間が長かったため、加湿時間0分の時点で加湿フィルタユニット3が十分に吸水していたからであると考えられる。
以上のことから、十分吸水時間は、加湿フィルタユニット3の3回転分の時間(即ち約3分30秒)以上であればよいことがわかる。従って、製造者は、測定誤差、又は加湿すべき環境の違い等によって加湿量が増減し得ることを考慮し、十分吸水時間を例えば5分と設定すればよい。
次に、製造者によるサイクル時間の設定について説明する。
【0093】
図14は、加湿装置7の加湿運転による加湿時間と加湿量との関係を示す特性図である。
図14の横軸及び縦軸の意味は図9又は図10のこれらと同様である。加湿量の単位はリットルである。
また、加湿量の測定は、温度約21℃及び湿度約31%の環境下で行なっている。
【0094】
図14において、加湿装置7と従来の加湿装置とは、共にファンモータ21が1000rpm で駆動されている。黒丸のプロット(●)及び白三角のプロット(△)は夫々加湿装置7に係る測定結果を表わしている。実線は従来の加湿装置に係る近似直線を表わしている。ただし、黒丸のプロットで示す加湿装置7は、サイクル時間が5分であり、白三角のプロットで示す加湿装置7は、サイクル時間が10分である。つまり、前者は5分毎に1回、後者は10分毎に1回、加湿フィルタユニット3が1回転する。従って、前者の回転停止時間は約3分50秒であり、後者の回転停止時間は約8分50秒である。
【0095】
図14を参照すれば、サイクル時間が10分の場合、加湿装置7の加湿量は、従来の加湿装置の加湿量より少なく、更に、加湿時間の経過に伴って両者の差が拡大していることがわかる。これは、サイクル時間が長い分だけ、回転停止時間も長いからだと考えられる。
一方、サイクル時間が5分の場合、加湿装置7の加湿量は、従来の加湿装置の加湿量と同程度であることがわかる。
【0096】
製造者は、サイクル時間、延いては回転停止時間を変更した加湿実験を、ファンモータ21の異なる回転数毎に(例えば回転数R1〜R4夫々に対して)行なう。そして、製造者は、加湿量が従来の加湿装置の加湿量と同程度であり、且つ、最も長いサイクル時間を、当該回転数に関連付けるべきサイクル時間として設定する。このようにサイクル時間を設定すれば、加湿能力の低下を招くことなく、消費電力を最小限に抑えることができる。
以上のような加湿装置7における送風ファン2、加湿フィルタユニット3、保持枠30、加湿フィルタ31、水受け皿4、伝動機構5、及び制御部70は、本発明の実施の形態における送風機、フィルタ部、保持体、フィルタ本体、貯水部、回転駆動機構、及び制御部として機能する。
【0097】
また、図7に示すS31の処理を実行する制御部70は、本発明の実施の形態における連続制御手段として機能し、S33の処理を実行する制御部70は、本発明の実施の形態における判定手段として機能する。
更に、図8に示すS42〜S47の処理を繰り返し実行する制御部70は、本発明の実施の形態における間欠制御手段として機能する。
【0098】
加湿装置7は加湿フィルタユニット3を回転させる構成であるが、本発明の実施の形態における加湿装置は、貯水部を回転させる構成でもよい。この加湿装置は、送風ファンと、加湿フィルタユニットと、貯水部としての水車と、水車を回転させる伝動機構と、制御部と、水車へ給水するための水受け皿とを備える。制御部が伝動機構の動作を制御することによって、水車は間欠的又は連続的に回転する。回転する水車は水受け皿から汲水し、汲み上げた水を加湿フィルタユニットへ搬送する。つまり、この加湿装置は、水車が回転することによって、加湿フィルタユニットへ給水される。この場合の加湿フィルタユニットは非回転式でもよい。ただし、加湿フィルタユニットから滴下した水を貯留し、貯留した水に加湿フィルタユニットを浸漬させる場合には、加湿フィルタユニットは加湿フィルタユニット3と同様に回転式であってもよい。
【0099】
なお、加湿装置7は、例えばインバータ制御によって駆動モータ53の回転数を可変とする構成でもよい。
【0100】
実施の形態 2.
本実施の形態における加湿装置7のハードウェア構成は、実施の形態1における加湿装置7のハードウェア構成と同様である。以下では、実施の形態1との差異について説明し、その他、実施の形態1に対応する部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
本実施の形態においては、十分吸水時間は、ファンモータ21の回転数(換言すれば送風ファン2の送風量)に応じて設定される。具体的には、ファンモータ21の回転数R1、回転数R2、回転数R3、及び回転数R4に関連付けて、十分吸水時間T1、十分吸水時間T2、十分吸水時間T3、及び十分吸水時間T4(0<T1<T2<T3<T4)が制御部70に与えられている。
【0101】
この場合、制御部70は、図7に示す連続回転処理において、ファンモータ21の現在の回転数に応じて十分吸水時間を設定する処理を実行した後で、S31の処理を実行する。ただし、十分吸水時間を設定した後、制御部70は、ファンモータ21の回転数を変更する都度、十分吸水時間を再設定する。
以上のような加湿装置7は、ファンモータ21の回転数が高い場合、即ち送風ファン2の送風量が多い場合に、十分吸水時間を長くする。このことによって、加湿フィルタユニット3が乾燥し易い場合に、加湿フィルタユニット3の吸水量が過剰になったり不足したりすることを抑制することができる。一方、加湿装置7は、ファンモータ21の回転数が低い場合、即ち送風ファン2の送風量が少ない場合に、十分吸水時間を短くする。このことによって、加湿フィルタユニット3が乾燥し難い場合に、加湿フィルタユニット3の吸水量が過剰になったり不足したりすることを抑制することができる。この結果、省エネルギに寄与しつつも、送風ファン2の送風量に応じた適切な加湿能力を実現することができる。
【0102】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、本発明の効果がある限りにおいて、加湿装置7に、実施の形態1,2に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0103】
2 送風ファン(送風機)
3 加湿フィルタユニット(フィルタ部)
30 保持枠(保持体)
31 加湿フィルタ(フィルタ本体)
4 水受け皿(貯水部)
5 伝動機構(回転駆動機構)
7 加湿装置
70 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯留する貯水部と、
吸水性及び通気性を有し、前記貯水部から給水されるフィルタ部と、
該フィルタ部を通過した空気を装置外部へ送出するための送風機と、
前記フィルタ部への給水又は給水された前記フィルタ部の吸水の促進のために、前記貯水部又は前記フィルタ部を回転させる回転駆動機構と、
該回転駆動機構の動作を制御する制御部と
を備える加湿装置において、
前記制御部は、
前記貯水部又は前記フィルタ部を間欠的に回転させる間欠制御手段
を有することを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記貯水部又は前記フィルタ部を連続的に回転させる連続制御手段と、
前記貯水部又は前記フィルタ部が連続的に回転している場合に、前記貯水部又は前記フィルタ部が、連続的な回転の開始から所定時間又は所定回数、回転したか否かを判定する判定手段と
を更に有し、
該判定手段が、前記貯水部又は前記フィルタ部が前記所定時間又は前記所定回数回転したと判定した場合に、前記連続制御手段による制御を前記間欠制御手段による制御に切り替えるように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の加湿装置。
【請求項3】
加湿運転の停止から再開までの時間を計時する計時部を更に備え、
前記制御部は、
前記計時部が計時した時間が所定の時間より長い場合は、前記加湿運転の再開に際して前記連続制御手段による制御を開始し、次いで前記判定手段による判定を行ない、前記判定手段が、前記貯水部又は前記フィルタ部が前記所定時間又は前記所定回数回転したと判定したときに、前記連続制御手段による制御を前記間欠制御手段による制御に切り替え、
前記計時部が計時した時間が前記所定の時間以下である場合は、前記加湿運転の再開に際して前記間欠制御手段による制御を開始するように構成してあることを特徴とする請求項2に記載の加湿装置。
【請求項4】
前記送風機は送風量可変になしてあり、
前記所定時間又は前記所定回数は、前記送風機の送風量に応じて設定されるように構成してあることを特徴とする請求項2又は3に記載の加湿装置。
【請求項5】
前記送風機は送風量可変になしてあり、
間欠回転毎の前記貯水部又は前記フィルタ部の回転停止時間は、前記送風機の送風量に応じて設定されるように構成してあることを特徴とする請求項1から4の何れかひとつに記載の加湿装置。
【請求項6】
間欠回転毎の前記貯水部又は前記フィルタ部の回転時間又は回転回数は一定であることを特徴とする請求項5に記載の加湿装置。
【請求項7】
前記フィルタ部は円盤状をなし、吸水性及び通気性を有するフィルタ本体と、該フィルタ本体を保持する保持体とを用いてなり、縦姿勢に配されて、周方向の一部が前記貯水部にて浸水可能にしてあり、
前記回転駆動機構は、前記フィルタ部を周方向に回転させるようにしてあり、
前記送風機が送風することによって、空気が前記フィルタ部を該フィルタ部に交差する方向に通過するように構成してあることを特徴とする請求項1から6の何れかひとつに記載の加湿装置。
【請求項1】
水を貯留する貯水部と、
吸水性及び通気性を有し、前記貯水部から給水されるフィルタ部と、
該フィルタ部を通過した空気を装置外部へ送出するための送風機と、
前記フィルタ部への給水又は給水された前記フィルタ部の吸水の促進のために、前記貯水部又は前記フィルタ部を回転させる回転駆動機構と、
該回転駆動機構の動作を制御する制御部と
を備える加湿装置において、
前記制御部は、
前記貯水部又は前記フィルタ部を間欠的に回転させる間欠制御手段
を有することを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記貯水部又は前記フィルタ部を連続的に回転させる連続制御手段と、
前記貯水部又は前記フィルタ部が連続的に回転している場合に、前記貯水部又は前記フィルタ部が、連続的な回転の開始から所定時間又は所定回数、回転したか否かを判定する判定手段と
を更に有し、
該判定手段が、前記貯水部又は前記フィルタ部が前記所定時間又は前記所定回数回転したと判定した場合に、前記連続制御手段による制御を前記間欠制御手段による制御に切り替えるように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の加湿装置。
【請求項3】
加湿運転の停止から再開までの時間を計時する計時部を更に備え、
前記制御部は、
前記計時部が計時した時間が所定の時間より長い場合は、前記加湿運転の再開に際して前記連続制御手段による制御を開始し、次いで前記判定手段による判定を行ない、前記判定手段が、前記貯水部又は前記フィルタ部が前記所定時間又は前記所定回数回転したと判定したときに、前記連続制御手段による制御を前記間欠制御手段による制御に切り替え、
前記計時部が計時した時間が前記所定の時間以下である場合は、前記加湿運転の再開に際して前記間欠制御手段による制御を開始するように構成してあることを特徴とする請求項2に記載の加湿装置。
【請求項4】
前記送風機は送風量可変になしてあり、
前記所定時間又は前記所定回数は、前記送風機の送風量に応じて設定されるように構成してあることを特徴とする請求項2又は3に記載の加湿装置。
【請求項5】
前記送風機は送風量可変になしてあり、
間欠回転毎の前記貯水部又は前記フィルタ部の回転停止時間は、前記送風機の送風量に応じて設定されるように構成してあることを特徴とする請求項1から4の何れかひとつに記載の加湿装置。
【請求項6】
間欠回転毎の前記貯水部又は前記フィルタ部の回転時間又は回転回数は一定であることを特徴とする請求項5に記載の加湿装置。
【請求項7】
前記フィルタ部は円盤状をなし、吸水性及び通気性を有するフィルタ本体と、該フィルタ本体を保持する保持体とを用いてなり、縦姿勢に配されて、周方向の一部が前記貯水部にて浸水可能にしてあり、
前記回転駆動機構は、前記フィルタ部を周方向に回転させるようにしてあり、
前記送風機が送風することによって、空気が前記フィルタ部を該フィルタ部に交差する方向に通過するように構成してあることを特徴とする請求項1から6の何れかひとつに記載の加湿装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−40755(P2013−40755A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−139013(P2012−139013)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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