加湿装置
【課題】通風路に設けてある開口の開口縁部と、この開口を閉塞すべき仕切板との間に生じる無用な空隙に起因する騒音の発生を抑制することができる加湿装置を提供する。
【解決手段】加湿フィルタ及び水受け皿2の第1トレイ201等は、給水空間60から、第1通風路3の中途開口34を通って、第1通風路3のフィルタ収容部へ着脱可能に押し入れられる。このとき、仕切板7は、給水空間60側から中途開口34を閉塞する。第1送風機が送風すると、第1送風機よりも通風方向上流側に位置する第1通風路3のフィルタ収容部の気圧は負圧になる。従って、仕切板7は第1通風路3側へ吸い寄せられる。このため、仕切板7が中途開口34の開口縁部に密着する。この結果、仕切板7と中途開口34の開口縁部との間に中途空隙が生じることが抑制される。故に、中途空隙に起因する騒音の発生を抑制することができる。
【解決手段】加湿フィルタ及び水受け皿2の第1トレイ201等は、給水空間60から、第1通風路3の中途開口34を通って、第1通風路3のフィルタ収容部へ着脱可能に押し入れられる。このとき、仕切板7は、給水空間60側から中途開口34を閉塞する。第1送風機が送風すると、第1送風機よりも通風方向上流側に位置する第1通風路3のフィルタ収容部の気圧は負圧になる。従って、仕切板7は第1通風路3側へ吸い寄せられる。このため、仕切板7が中途開口34の開口縁部に密着する。この結果、仕切板7と中途開口34の開口縁部との間に中途空隙が生じることが抑制される。故に、中途空隙に起因する騒音の発生を抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気化方式の加湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
気化方式の加湿装置は、エアフィルタ、加湿フィルタ、水槽、及び送風機と、その中途にこれらが配されている通風路と、水槽へ給水するための給水タンクとを備える(特許文献1参照)。
エアフィルタは、自身を通過する空気を浄化する。
加湿フィルタは、吸水性及び通気性を有する加湿フィルタ本体と、加湿フィルタ本体を保持する枠体とを用いてなり、加湿フィルタ本体の一部分が水槽にて浸水することによって、吸水する。
【0003】
通風路には吸込口及び吹出口が設けられている。送風機が送風することによって、吸込口を介し、外部から空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、エアフィルタ及び加湿フィルタをこの順に通過してから、吹出口を介して外部へ吹き出る。このとき、加湿フィルタに吸収されていた水が気化し、気化した水が、エアフィルタによって浄化された空気と共に加湿装置の外部へ放出される。以上の結果、加湿装置の外部の空気が浄化及び加湿される。
加湿フィルタ及び水槽は、通風路の中途に設けられている開口(以下、中途開口という)を介して、通風路の所定位置へ押し入れられ、また、通風路の所定位置から引き出される。中途開口の開口位置は、エアフィルタよりも通風方向下流側、且つ、送風機よりも通風方向上流側である。
【0004】
給水タンクは、通風路の外部の所定空間(以下、給水空間という)に配される。給水空間において、給水タンクから水槽へ水が供給される。給水空間と通風路とは、中途開口を介して連通している。
送風機が送風すると、通風路における送風機よりも通風方向上流側の気圧は、給水空間の気圧よりも低くなる。このため、中途開口が開放された状態で送風機が送風すると、給水空間から通風路へ、中途開口を介して空気が無用に流入する。中途開口を介して流入した空気は、エアフィルタを全く通過しない、又は、加湿フィルタを効率よく通過しない、等の問題を起こす。
【0005】
そこで、中途開口は、通風路と給水空間とを仕切る仕切板、及び水槽によって、略気密に閉塞される。この仕切板は、基端部が水槽にネジ留め固定されており、水槽が通風路の所定位置へ押し入れられたときに、中途開口の開口縁部に給水空間側から接触するよう配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−52877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
中途開口を略気密に閉塞するためには、仕切板が中途開口の開口縁部に密着している必要がある。しかしながら、加湿装置各部の僅かな寸法誤差、又は通風路の所定位置へ水槽を押し入れた際の位置ズレ等によって、中途開口の開口縁部と仕切板との間に空隙(以下、中途空隙という)が生じることがある。
このような中途空隙が生じた状態で送風機が送風すると、負圧によって、給水空間から通風路へ中途空隙を介して空気が無用に流入する。このような中途空隙は中途開口に比べて狭いため、中途空隙を通過する空気によって、ピューというような笛吹き音が発生する。
【0008】
また、仕切板は、基端部が固定端であり、先端部が自由端である。このため、負圧によって仕切板が撓み、中途開口の開口縁部に当接する現象と、弾性によって仕切板が復元し、中途開口の開口縁部から離隔する現象とが交互に起きる場合がある。そして、この場合には、バタバタというような異音が発生する。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、仕切板を、遊びを有して水槽に取り付ける構成とすることにより、仕切板と中途開口の開口縁部との間に生じる無用な空隙に起因する騒音の発生を抑制することができる加湿装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る加湿装置は、水槽と、吸水性及び通気性を有し、その一部分が前記水槽にて浸水可能にしてあるフィルタと、送風機と、空気が流通可能な通風路と、前記開口の少なくとも一部を前記通風路の外側から閉塞することによって前記通風路の内外を仕切る仕切板とを備え、前記通風路には、前記送風機が送風することによって、外部から空気を吸い込むための吸込口と、吸い込んだ空気を、前記フィルタを通過させてから外部へ吹き出すための吹出口と、前記水槽の少なくとも一部及び前記フィルタを着脱可能にその内部へ配置するための開口とが設けられている加湿装置において、前記開口は、前記送風機よりも通風方向上流側に位置し、前記仕切板は、前記仕切板に交差する方向に遊びを有して前記水槽に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る加湿装置は、前記水槽は、該水槽の前記通風路に配置される側に貯留される水の前記フィルタが浸水可能な部分以外の水面を着脱可能に被覆する被覆部と、該被覆部に設けられており、前記仕切板に係合する被覆側係合部とを有し、前記被覆側係合部と前記仕切板とが遊びを有して係脱可能に係合するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る加湿装置は、前記水槽は、水を貯留する水槽本体、該水槽本体の内部を、前記通風路に配置される側と前記通風路の外部に配置されて給水される側とに区画し、且つ、前記通風路の外部に配置されて給水される側から前記通風路に配置される側へ給水するための通水孔が形成されている区画壁、及び、該区画壁に設けられており、前記仕切板に係合する区画側係合部を有し、前記仕切板の一端部は、前記区画壁及び前記水槽本体の周壁夫々に載置されるコ字状になしてあり、前記区画側係合部と前記仕切板とが遊びを有して係合するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、加湿装置は、水槽、フィルタ、送風機、通風路、及び仕切板を備える。
通風路には中途開口が設けられており、中途開口を介して、フィルタと水槽の少なくとも一部とが通風路の内部へ着脱可能に配置される。仕切板は、通風路の外側から中途開口を閉塞する。
送風機が送風していない場合、通風路の気圧と通風路の外部の気圧とは等しい。このとき、仕切板と中途開口の開口縁部との間に中途空隙が生じていても、特段の問題はない。
【0014】
送風機が送風している場合、通風路内部の空気は、通風路に設けられている吹出口を介して送風路外部へ吹き出す。このため、通風路における送風機よりも通風方向上流側の気圧は、通風路の外部の気圧よりも低い。つまり、通風路の外部の気圧を基準とすると、通風路における送風機よりも通風方向上流側の気圧は負圧である。
このとき、負圧によって、送風路外部の空気が、通風路に設けられている吸込口を介して通風路内部へ吸い込まれる。
【0015】
また、このとき、負圧によって、仕切板が通風路側へ吸い寄せられる。このため、仕切板が中途開口の開口縁部に密着する。何故ならば、仕切板は、仕切板に交差する方向に遊びを有して水槽に取り付けられているからである。この結果、仕切板と中途開口の開口縁部との間に中途空隙が生じることが抑制される。従って、中途空隙を介して通風路の外部から通風路へ空気が無用に流入することはない。
【0016】
送風機が送風している間、仕切板は中途開口の開口縁部に密着し続ける。本発明の加湿装置が備える仕切板は、従来の加湿装置が備える仕切板とは異なり、例えばネジ留めによって水槽に固定されている部分はない。故に、仕切板の固定部分を基点として仕切板が撓むことはなく、延いては、仕切板が撓みから復元することもない。
【0017】
本発明にあっては、加湿装置が備える水槽は、被覆部及び被覆側係合部を有する。
被覆部は、水槽の通風路に配置される側から水槽外部への水滴の飛散を抑制することができる。何故ならば、被覆部は、水槽の通風路に配置される側の水と、通風路を通流する空気との間に介在するため、水槽の通風路に配置される側の水が、通風路を通流する空気との接触によって波立つことを抑制するからである。また、たとえ波立ったとしても、水面から飛散した水滴は、被覆部に付着するか、被覆部に反射して水面へ落ちるからである。
【0018】
しかも、被覆部は、フィルタが浸水可能な部分以外の水面を被覆するため、被覆部がフィルタの吸水を阻害することはない。
更に、被覆部は着脱可能であるため、例えば加湿装置の使用後に、被覆部を取り外して洗浄することが容易である。
【0019】
被覆部に設けられている被覆側係合部と仕切板とは、遊びを有して係脱可能に係合する。このため、被覆部が水面を被覆している限り、被覆側係合部と係合している仕切板が、水槽から無用に脱落することが抑制される。また、被覆側係合部と仕切板との係合は解除可能であるため、仕切板が、被覆部の水槽からの取り外しを阻害することはない。しかも、被覆側係合部と仕切板とは遊びを有して係合しているため、これらの係合が、仕切板を無用に固定する虞はない。
更にまた、被覆側係合部と仕切板との係合、及び係合解除は、一般に、例えば水槽の周壁又は被覆部等と仕切板とのネジ留め、及びネジ留め解除よりも簡易である。
【0020】
本発明にあっては、加湿装置が備える水槽は、水槽本体、区画壁、及び区画側係合部を有する。
この区画壁は、水槽本体の内部を、通風路に配置される側と通風路の外部に配置される側とに区画している。このため、送風機が送風している場合に、通風路の外部から通風路へ、水槽本体の内部を通って空気が無用に流入することが抑制される。
水槽本体への給水は、通風路の外部に配置される側に対して行なわれる。
【0021】
区画壁には通水孔が形成されている。水槽本体の、通風路の外部に配置される側へ供給された水は、通水孔を通って、通風路に配置される側へ供給される。このような通水孔は、通常、加湿装置の使用中には水没している。従って、送風機が送風している場合であっても、通風路の外部から通風路へ、通水孔を通って空気が無用に流入する虞はない。
仕切板の一端部はコ字状になしてあり、この一端部は、区画壁及び水槽本体の周壁夫々に載置される。
【0022】
水槽に対する仕切板の載置は簡易であるが、単に載置しただけでは、仕切板が水槽から無用に脱落する虞がある。
そこで、区画壁に設けられている区画側係合部と仕切板とが、遊びを有して係合する。このため、仕切板が、水槽から無用に脱落することが抑制される。しかも、区画側係合部と仕切板とは遊びを有して係合しているため、これらの係合が、仕切板を無用に固定する虞はない。
更にまた、区画側係合部と仕切板との係合は、一般に、例えば水槽の周壁又は区画壁等と仕切板とのネジ留めよりも簡易である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の加湿装置による場合、送風機が送風している間、仕切板を中途開口の開口縁部に密着させ続けることができる。
即ち、仕切板と中途開口の開口縁部との間に中途空隙が生じることを抑制することができる。従って、中途空隙を介して通風路の外部から通風路へ空気が無用に流入することによる笛吹き音は発生しない。
また、仕切板の撓み及び撓みからの復元に起因する異音は発生しない。
以上のように、本発明の加湿装置は、仕切板と仕切板が閉塞すべき中途開口とに関する騒音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る加湿装置の外観を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る加湿装置の概略構成を示す側断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る加湿装置が備える加湿フィルタの支持構造を示す背面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る加湿装置が備える水受け皿及び仕切板の構成(第1トレイ側。トレイ蓋なし)を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る加湿装置が備える水受け皿及び仕切板の構成(第2トレイ側。トレイ蓋なし)を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る加湿装置が備える水受け皿及び仕切板の構成(第1トレイ側。トレイ蓋あり)を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る加湿装置が備える水受け皿及び仕切板の構成(第2トレイ側。トレイ蓋あり)を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る加湿装置が備える水受け皿及び仕切板の構成を示す側面図である。
【図9】図4に対応する拡大斜視図である。
【図10】図6に対応する拡大斜視図である。
【図11】図8におけるXI−XI線の断面図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る加湿装置が備える仕切板の非送風時の状態を説明するための模式的断面図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る加湿装置が備える仕切板の送風時の状態を説明するための模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明の実施の形態に係る加湿装置1の外観を示す分解斜視図であり、図2は、加湿装置1の概略構成を示す側断面図である。図2の左側及び右側は、加湿装置1の正面側及び背面側であり、図1は、図2の右側(即ち加湿装置1の背面側)から見た斜視図である。以下では、加湿装置1の正面側を前側ともいい、背面側を後側ともいう。また、以下では、図1の左側(又は右側)を、加湿装置1の左側(又は右側)という。図2の紙面垂直方向は、加湿装置1の左右方向である。
【0026】
図1は、各後述する後パネル10、空気浄化部11、水受け皿2、仕切板7、加湿フィルタ51、及び給水タンク52が夫々の所定位置から取り外されている状態を示しており、図2は、これらが夫々の所定位置に取り付けられている状態を示している。ただし、図2には給水タンク52及び仕切板7は図示されていない。
本実施の形態の加湿装置1は、空気加湿機能と、脱臭及び集塵による空気清浄機能と、正イオン及び負イオン(以下、正負イオンという)による空気清浄機能とを有する。
【0027】
加湿装置1は、縦型直方体状の筐体6を備えている。筐体6は、前カバー61、天面カバー62、及び後カバー63等を有する。
加湿装置1は、壁W及び床Fを有する室内において、筐体6の後カバー63が壁Wに対面する姿勢で、床Fに載置される。
筐体6には、空気加湿機能と脱臭及び集塵による空気清浄機能とを実現するための第1通風路3、及び、正負イオンによる空気清浄機能を実現するための第2通風路4、並びに給水空間60が設けられている。
【0028】
第1通風路3及び第2通風路4の前後方向の配置は、第1通風路3が、概ね筐体6の後部から前部に亘って位置しており、第2通風路4が、概ね筐体6の前部に位置している。
第1通風路3及び給水空間60の左右方向の配置は、第1通風路3が、概ね筐体6の右側部から左右方向中央部に亘って位置しており、給水空間60が、概ね筐体6の左側部に位置している。
第1通風路3と第2通風路4とは完全に区画されている。第1通風路3と給水空間60とは、第1通風路3の中途に設けられている矩形状の中途開口34を介して連通している。
【0029】
中途開口34は、第1通風路3と給水空間60とを区画する隔壁64に形成されている。また、中途開口34は、第1通風路3と給水空間60とを仕切る仕切板7、及び水受け皿2によって、後述するように閉塞される。
水受け皿2は、上部が開口した横方向に長い形状のトレイ本体20を有し、トレイ本体20は、第1トレイ201及び第2トレイ202からなる。第1トレイ201は、第2トレイ202に比べて、前後方向の長さが短く、左右方向の長さが長い。トレイ本体20は、長手方向が左右方向に沿うように筐体6の所定位置に着脱可能に配される。このとき、第1通風路3には第1トレイ201が配され、給水空間60には第2トレイ202が配される。
【0030】
まず、図1を参照して給水空間60について説明する。
給水空間60は、筐体6の左側部に形成されている凹部である。
給水タンク52は、長手方向一端部に給水栓521を有する直方体状の容器である。給水タンク52は、給水タンク52の給水栓521側を下向きとした倒立姿勢にて給水空間60に着脱可能に配される。このとき、給水タンク52の給水栓521側は水受け皿2の第2トレイ202に装着される。
【0031】
給水栓521は、図示しない公知の定水位弁を内蔵している。この定水位弁は、第2トレイ202への給水タンク52の装着時に、第2トレイ202の底壁に立設されている押上突起203(後述する図11参照)に押し上げられて開放状態になる。この結果、給水タンク52に収容されている水が、第2トレイ202へ供給される。第2トレイ202へ供給された水は、後述する通水孔23(図11参照)を通って第1トレイ201へ供給される。このとき、定水位弁の作用によって、トレイ本体20には、一定の水位L(後述する図3参照)の水が貯留される。
【0032】
次に、図1及び図2を参照して第1通風路3について説明する。
第1通風路3は、互いに連通しているフィルタ収容部3a及び吹出風路3bを有する。また、第1通風路3には、第1吸込口31及び第1吹出口32、並びに中途開口34が設けられている。
第1吸込口31は、筐体6の後カバー63に開口しており、第1吸込口31を介して、加湿装置1の外部とフィルタ収容部3aとが連通している。
【0033】
後パネル10は、第1吸込口31を閉塞するようにして、着脱可能に筐体6に取り付けられている。ただし、後パネル10には、複数個の通気孔100,100,…が形成されている。このため、第1吸込口31を介して通流する空気とは、更に詳細には、通気孔100,100,…を介して通流する空気のことである。通気孔100,100,…は、図示しないプレフィルタによって閉塞されており、このプレフィルタは、第1吸込口31を介してフィルタ収容部3aへ流入する空気に含まれている粗い塵埃を捕集し除去する。
第1吹出口32は、筐体6の天面カバー62に開口しており、第1吹出口32を介して、吹出風路3bと加湿装置1の外部とが連通している。
【0034】
後述する第1送風機13が送風することによって、加湿装置1の外部の空気は、第1吸込口31を介して第1通風路3へ吸い込まれる。吸い込まれた空気は、フィルタ収容部3a及び吹出風路3bをこの順に通流してから、第1吹出口32を介して加湿装置1の外部へ吹き出る。
フィルタ収容部3aの第1吸込口31近傍(更に詳細には、後パネル10の前側)には空気浄化室が設けられており、この空気浄化室に、空気浄化部11が着脱可能に収容されている。第1吸込口31を介してフィルタ収容部3aへ流入した空気は、空気浄化部11を通過する。
【0035】
空気浄化部11は、集塵フィルタ111及び脱臭フィルタ112を備えている。集塵フィルタ111は、例えば、公知のHEPA(High Efficiency Particulate Air )フィルタであり、集塵フィルタ111を通過する空気中に含まれる微細な塵埃及び花粉等を捕集し、除去する。脱臭フィルタ112は、例えば、不織布に活性炭を分散保持させてなり、脱臭フィルタ112を通過する空気中の臭い成分を吸着し、除去する。従って、空気浄化部11を通過した空気は浄化される。
【0036】
空気浄化部11と第1送風機13との間のフィルタ収容部3aには加湿室が設けられており、加湿室には、水受け皿2が備えるトレイ本体20の第1トレイ201、加湿フィルタ51、及び回転駆動機構53が位置する。また、加湿室の隔壁64に、中途開口34が形成されている。つまり、中途開口34は、第1送風機13よりも通風方向上流側に位置している。
【0037】
トレイ本体20は、筐体6の底部に載置される。このために、トレイ本体20の第1トレイ201は、加湿フィルタ51と共に、中途開口34を介して第1通風路3の内部(具体的にはフィルタ収容部3aの加湿室)へ右方向へ押し入れられる。このとき、第2トレイ202は給水空間60に配される。第1トレイ201は、加湿フィルタ51と共に、中途開口34を介してフィルタ収容部3aの加湿室から左方向へ引き出される。
【0038】
図3は、加湿フィルタ51の支持構造を示す背面図である。図3では、後述する加湿フィルタ本体511の図示は省略してある。また、水受け皿2の一部を破断して示している。
加湿フィルタ51は、保持枠510と加湿フィルタ本体511とを有する。
保持枠510は中空の円盤状をなし、両面に開口を有する。また、保持枠510は、加湿フィルタ本体511を収容保持する。
【0039】
加湿フィルタ本体511は、吸水性及び通気性を有する材料(例えば不織布)製のシートが蛇腹状に折り重ねられてなる。このため、全く折り重ねられていないシートに比べて、加湿フィルタ本体511と加湿フィルタ本体511を通過する空気との接触面積は大きい。
第1トレイ201の底壁には、左右方向の両側に振り分け配置された2つの支持ローラ204,204が設けられている。各支持ローラ204の回転軸は前後方向に沿って配されている。
【0040】
加湿フィルタ51の下部は、第1トレイ201の内部に差し込まれて、支持ローラ204,204の上に着脱可能に載置される。このとき、加湿フィルタ51の回転軸は、前後方向に配され、支持ローラ204,204は、夫々の位置で保持枠510の下部外周面に転接する。この結果、加湿フィルタ51は、水受け皿2の上側にて縦姿勢で周方向に回転可能に支持される。
支持ローラ204,204上に載置された加湿フィルタ51は、上方に持ち上げることによって第1トレイ201から容易に取り外すことができる。このような加湿フィルタ51の着脱は、加湿フィルタ51の保守若しくは交換、又は水受け皿2の清掃等のために実施される。
【0041】
保持枠510の外周面には、保持枠510の全周に亘って歯が形成されたリングギヤ部512が一体に設けてある。リングギヤ部512は、保持枠510の上部にて、次に説明する回転駆動機構53の伝動ギヤ531に噛み合わされる。
回転駆動機構53は、基台530の一面に取り付けられている伝動ギヤ531及び駆動ギヤ532と、基台530の他面に取り付けられている駆動モータ533とを備え、基台530を貫通する複数本の固定ねじ534,534,…によって、筐体6の内部の隔壁の適宜位置に固定されている。駆動ギヤ532は、駆動モータ533の出力軸に嵌着されており、駆動モータ533の回転は、駆動ギヤ532を介して伝動ギヤ531に伝わる。この結果、伝動ギヤ531が回転する。
【0042】
回転駆動機構53の伝動ギヤ531と保持枠510のリングギヤ部512との噛合は、加湿フィルタ51が第1通風路3の所定位置にセットされた状態で生じる。加湿フィルタ51は、伝動ギヤ531とリングギヤ部512との噛合によって、支持ローラ204,204及び伝動ギヤ531夫々の位置、即ち周方向の異なる位置で、3点支持される。従って、加湿フィルタ51には、回転可能に支持される支軸を中心部に設ける必要がない。このため、保持枠510の前後両面には、内部の加湿フィルタ本体511を支えるための最小限の支え部を除く略全面に開口を設けることができる。この結果、保持枠510によって阻害されることなく多くの空気が加湿フィルタ本体511を通過する。即ち、加湿性能の向上を図ることができる。
【0043】
駆動モータ533を駆動した場合、伝動ギヤ531の回転は、リングギヤ部512を介して保持枠510に伝わる。このとき、加湿フィルタ51は、保持枠510の中心周りに(即ち加湿フィルタ51の周方向に)回転する。
第1トレイ201には、前述の如く、水位Lの水が貯留されており、回転する保持枠510の下部は、水受け皿2の貯留水中に浸漬される。保持枠510は、両面に開口を有しているため、加湿フィルタ本体511の周縁部の下部が浸水する。つまり、加湿フィルタ51の周方向の一部が浸水することによって、加湿フィルタ本体511は、第1トレイ201から給水される。
【0044】
このとき、第1トレイ201に貯留されていた水は、加湿フィルタ本体511の周縁部に吸収され、更に、周縁部から中央部へ吸い上げられる。保持枠510が周方向に連続的に回転すると、加湿フィルタ本体511の周縁部は周方向に連続的に浸水及び吸水し、吸収された水は回転移動することによって持ち上げられる。以上の結果、加湿フィルタ本体511全体に効率よく水が行き渡る。換言すれば、加湿フィルタ本体511が回転することによって、加湿フィルタ本体511の吸水が促進される。
【0045】
空気浄化部11を通過した空気は、次に、加湿フィルタ51を通過する。加湿フィルタ51が回転しているとき、加湿フィルタ51を通過した空気は十分に吸湿する。一方、加湿フィルタ51が回転していないとき、加湿フィルタ51を通過した空気はほとんど吸湿しない。従って、空気清浄と空気加湿とを共に行なう場合は、回転駆動機構53が作動して加湿フィルタ51を回転させるが、空気清浄のみで空気加湿を行なわない場合は、回転駆動機構53は作動しない。以下では、空気清浄と空気加湿とを共に行なう場合を説明する。
【0046】
フィルタ収容部3aと吹出風路3bとの境界部分には、第1送風機13が配されている。
第1送風機13はシロッコファン(多翼羽根車)を用いてなり、電動のファンモータ131とファン132とを備えている。
ファンモータ131は、図示しない支持部によって筐体6の内部に固定されている。ファン132は、ファンモータ131の出力軸に固定されている。ファン132は、ファンモータ131の駆動によって回転し、ファン132が回転することによって、空気が送風される。
フィルタ収容部3aにおいては、後側から前側へ略水平に空気が通流し、吹出風路3bにおいては、前下側から後上側へ傾斜して空気が通流する。
【0047】
第1吹出口32には、ルーバ33が配してある。吹出風路3bの内周面とルーバ33とは、第1吹出口32を介して吹き出した空気が壁Wに沿って上昇し易いように、空気が流れる向きを規制する。
以上のような第1通風路3に関しては、実線の白抜矢符にて示すように空気が通流する。
更に詳細には、室内から第1吸込口31を介してフィルタ収容部3aへ空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、フィルタ収容部3aを前方向へ通流する。このとき、吸い込まれた空気は、空気浄化部11及び加湿フィルタ51を通過することによって浄化及び加湿される。以下、空気浄化部11及び加湿フィルタ51によって浄化及び加湿された空気を浄化加湿空気という。
【0048】
次いで、浄化加湿空気は、フィルタ収容部3aから吹出風路3bへ通流する。吹出風路3bにおいては、浄化加湿空気は、後上方向へ通流し、最後に、第1吹出口32を介して室内へ吹き出る。
室内へ吹き出た浄化加湿空気は、壁Wに吹き付けられ、更に壁Wに沿って上昇し、次いで天井に沿って壁Wに対面する壁へ移動し、更にこの壁に沿って下降してから、床Fに沿って壁Wへ移動する。つまり、浄化加湿空気は、室内全体を循環する。
【0049】
次に、図2を参照して第2通風路4について説明する。
第2通風路4は、互いに連通している吸込室4a及び吹出室4bを有する。第2通風路4には、第2吸込口41及び第2吹出口42が設けられている。
第2吸込口41は、筐体6の前カバー61に開口しており、第2吸込口41を介して、加湿装置1の外部と吸込室4aとが連通している。
第2吹出口42は、筐体6の前カバー61と天面カバー62との境界部分に開口しており、第2吹出口42を介して、吹出室4bと加湿装置1の外部とが連通している。
【0050】
後述する第2送風機14が送風することによって、加湿装置1の外部の空気は、第2吸込口41を介して第2通風路4へ吸い込まれる。吸い込まれた空気は、吸込室4a及び吹出室4bをこの順に通流してから、第2吹出口42を介して加湿装置1の外部へ吹き出る。
第2吸込口41には、エアフィルタ40が着脱可能に配されている。エアフィルタ40は、第2吸込口41を介して吸込室4aへ流入する空気に含まれている粗い塵埃を捕集し除去する。エアフィルタ40が除去する塵埃のサイズは、後パネル10のプレフィルタが除去する塵埃のサイズと同程度である。
【0051】
吸込室4aと吹出室4bとの境界部分には、第2送風機14が配されている。
第2送風機14はクロスフローファン(貫流羽根車)を用いてなり、図示しない支持部によって筐体6の内部に固定されている電動のファンモータと、ファンモータの出力軸に固定されているファンとを備えている。第2送風機14のファンは、ファンモータの駆動によって回転し、ファンが回転することによって、空気が送風される。
【0052】
吹出室4bの中途には、イオン発生部12が配されている。
イオン発生部12は、図示しないイオン発生電極と、イオン発生電極に対向配置されている対向電極とを備え、コロナ放電によって、正負イオンが発生するよう構成されている。イオン発生電極は、吹出室4bに露出しており、発生した正負イオンは、吹出室4bを通流する空気中に浮遊する。
【0053】
吸込室4aにおいては、前下側から後上側へ傾斜して空気が通流し、吹出室4bにおいては、前上側へ傾斜して空気が通流する。
第2吹出口42には、ルーバ43が配してある。吹出室4bの内周面とルーバ43とは、第2吹出口42を介して吹き出した空気が室内の中央部分に到達し易いように、空気が流れる向きを規制する。
第2吹出口42を介して吹き出した空気と共に室内へ放出された正負イオンは、菌類、ウィルス、及びアレルゲン等を死滅又は不活性化させ、悪臭の原因となる物質(例えばアセトアルデヒドのような有機化合物)を分解する。
以上のような第2通風路4に関しては、破線の矢符にて示すように空気が通流する。
【0054】
更に詳細には、室内から第2吸込口41を介して吸込室4aへ空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、吸込室4aを後上方向へ通流してから吹出室4bを前上方向へ通流する。吹出室4bを通流する空気は、イオン発生部12で発生したイオンを含む空気(以下、イオン含有空気という)になる。そして、イオン含有空気は、第2吹出口42を介して室内へ吹き出る。
室内へ吹き出たイオン含有空気は、室内の中央部分へ向かう。この結果、イオン含有空気が、室内の中央部分に容易に到達する。
【0055】
次に、水受け皿2及び仕切板7の構成について詳述する。
図4〜図7は、水受け皿2及び仕切板7の構成を示す斜視図である。図4は、第1トレイ201側から見た斜視図であり、後述するトレイ蓋24が取り付けられていない場合を示している。図5は、第2トレイ202側から見た斜視図であり、図4と同様に、トレイ蓋24が取り付けられていない場合を示している。図6は、図4と同様に、第1トレイ201側から見た斜視図であるが、トレイ蓋24が取り付けてある場合を示している。図7は、図5と同様に、第2トレイ202側から見た斜視図であり、図6と同様に、トレイ蓋24が取り付けてある場合を示している。
【0056】
図8は、水受け皿2及び仕切板7の構成を示す側面図であり、第1トレイ201側から見た場合を示している。
図9及び図10は、図4及び図6に対応する拡大斜視図であり、仕切板7周辺を示している。
図11は、図8におけるXI−XI線の断面図である。
水受け皿2は、トレイ蓋24及び蓋側係合部25を更に有する。
【0057】
トレイ蓋24は、第1トレイ201の蓋である。具体的には、トレイ蓋24は、第1トレイ201に貯留されている水の、加湿フィルタ51が浸水可能な部分以外の水面を、着脱可能に被覆する。このために、トレイ蓋24は、中央部に挿通孔241が形成された板状になしてある。
第1トレイ201の周壁内面の上下方向中央部には、トレイ蓋24が着脱可能に載置される載置台205が設けられている。載置台205に載置されたトレイ蓋24の配置位置は、水位Lより十分に高い。
載置台205に載置されたトレイ蓋24は、自重によって、水受け皿2の外部へ無用に脱離することが抑制される。なお、トレイ蓋24は、第1トレイ201の周壁上部に着脱可能に係止される構成でもよい。
【0058】
加湿フィルタ51は、水受け皿2にセットされる際、挿通孔241に挿通されてから支持ローラ204,204上に載置される。このとき、挿通孔241の周縁部と加湿フィルタ51とは適長離隔している。従って、トレイ蓋24が加湿フィルタ51の回転又は吸水等を阻害することはない。
ところで、加湿フィルタ51と第1通風路3の内壁との間には、十分な空隙が存在する。何故ならば、加湿フィルタ51と第1通風路3の内壁とが密着していると、加湿フィルタ51の回転が阻害されるからである。このため、フィルタ収容部3aを通流する空気の一部が、加湿フィルタ51を通過せず、迂回することがある。
【0059】
仮に、トレイ蓋24が存在しない場合、加湿フィルタ51を迂回した空気が水面に触れて水面に波が生じ、更には水滴が巻き上げられる。そして、巻き上げられた空気が水受け皿2の外部へ飛散する、という問題が生じる。
一方、トレイ蓋24は、加湿フィルタ51を迂回した空気が水面に触れることを抑制する。このため、空気が水面に触れて水面に波が生じることも、水滴が巻き上げられることもない。たとえ水滴が巻き上げられたとしても、飛散した水滴はトレイ蓋24に付着するか、トレイ蓋24に反射して水面へ落ちる。
トレイ蓋24の左側部には、凸状の蓋側係合部25が一体形成されている。蓋側係合部25は、仕切板7の後述する係合孔74に遊びを有して係合する係合爪である。
【0060】
水受け皿2は、区画壁21及び壁側係合部22を更に有する。
区画壁21は、トレイ本体20の内部を、第1通風路3に配置される側である第1トレイ201と、給水空間60に配置されて給水される側である第2トレイ202とに区画する。このために、区画壁21は、トレイ本体20の内部の第1トレイ201と第2トレイ202との境界部分に一体形成してある。
区画壁21の最下部には、通水孔23が形成されている。通水孔23の形成位置は、水位Lより十分に低いため、トレイ本体20に貯水されている場合、通水孔23は完全に水没している。
【0061】
区画壁21の第1トレイ201側の面の上部には、凸状の壁側係合部22が一体形成されている。壁側係合部22は、仕切板7の係合孔74に遊びを有して係合する係合爪である。
仕切板7は、少なくとも左右方向(即ち仕切板7に交差する方向)に遊びを有して着脱可能に水受け皿2に取り付けられている。
仕切板7は矩形状になしてあり、前後方向及び上下方向に沿う(即ち左右方向に直交する)縦姿勢で、水受け皿2の上部に配されている。このとき、仕切板7の基端部71及び先端部72は、下端部及び上端部である。
【0062】
基端部71は平面視コ字状になしてあり、前部及び後部と右側部とを有する。基端部71の前部及び後部と右側部とは、第2トレイ202の区画壁21に連なる周壁20a,20bの上端部と区画壁21の上端部とに密着配置されている。
基端部71には、垂下部73が一体に設けられている。基端部71が水受け皿2に取り付けられている場合、垂下部73は、区画壁21に沿って第1トレイ201の内部に配されている。
【0063】
垂下部73には、係合孔74が設けられている。係合孔74には、区画壁21の壁側係合部22とトレイ蓋24の蓋側係合部25とが互いに逆方向から挿入されている。このとき、壁側係合部22(及び蓋側係合部25)は、係合孔74内部の上側(及び下側)に、少なくとも左右方向に遊びを有して係脱可能に係合している。また、係合孔74は、第2トレイ202側から、区画壁21によって覆われている。
ここで、トレイ本体20に対する仕切板7及びトレイ蓋24の取り付けについて説明する。
【0064】
作業者は、仕切板7の基端部71を、区画壁21及びトレイ本体20の周壁20a,20b夫々の上端部に載置する。このとき、作業者は、仕切板7の係合孔74に、区画壁21の壁側係合部22を左側から挿入する。この結果、壁側係合部22は、係合孔74の上内面に、遊びを有して係合する。
次に、作業者は、トレイ蓋24をトレイ本体20の載置台205に載置する。このとき、作業者は、仕切板7の係合孔74に、トレイ蓋24の蓋側係合部25を右側から挿入する。この結果、蓋側係合部25は、係合孔74の下内面に、遊びを有して係合する。
壁側係合部22及び蓋側係合部25と係合孔74との係合は、作業者がトレイ蓋24を取り外さない限り、自然には解除され難い。
【0065】
仮に、基端部71をトレイ本体20に載置しただけでは、仕切板7がトレイ本体20の上部から無用に脱落し易い。しかしながら、本実施の形態では壁側係合部22と蓋側係合部25とが左右両側から係合孔74に係合するため、仕切板7の無用な脱落が抑制される。
一方、壁側係合部22及び蓋側係合部25と係合孔74との係合は、遊びを有しているため、作業者が手動で容易に解除することができる。
トレイ本体20からトレイ蓋24を取り外し、更に仕切板7を取り外せば、作業者は、トレイ本体20、トレイ蓋24、及び仕切板7夫々を容易に洗浄することができる。
【0066】
次に、仕切板7の作用効果について説明する。
図12は、非送風時の仕切板7の状態を説明するための模式的断面図であり、図13は、送風時の仕切板7の状態を説明するための模式的断面図である。
まず、図1、図11、及び図12を参照しながら、筐体6に対する水受け皿2及び仕切板7の取り付けについて説明する。
【0067】
作業者は、加湿フィルタ51及び仕切板7が取り付けられた水受け皿2を、筐体6に取り付ける。このとき、加湿フィルタ51、水受け皿2の第1トレイ201、トレイ蓋24、及び仕切板7の垂下部73等が、中途開口34を通って、第1通風路3のフィルタ収容部3aに配される。また、水受け皿2の第2トレイ202、及び仕切板7の基端部71及び先端部72等は、給水空間60に配される。
以上の結果、図11及び図12に示すように、中途開口34は、仕切板7、区画壁21、及びトレイ本体20によって閉塞される。
【0068】
このとき、仕切板7の先端部72と先端部72に連なる2辺部とは、中途開口34の開口縁部に給水空間60側から密着していることが望ましい。
しかしながら、加湿装置1の各部の僅かな寸法誤差、トレイ本体20に対して仕切板7を取り付けた際の位置ズレ、又は、筐体6に対してトレイ本体20を取り付けた際の位置ズレ等によって、図12に示すように、中途開口34の開口縁部と仕切板7との間に中途空隙Gが生じることがある。
【0069】
ここで、図12を参照しながら、非送風時の仕切板7の状態を説明する。
第1送風機13が送風していない場合、第1通風路3及び給水空間60の気圧は、何れも大気圧に等しい。このため、中途空隙Gを介して第1通風路3と給水空間60との間で、気圧差に起因する空気の流れが生じることはない。第1送風機13が送風していない場合とは、加湿装置1が運転していない場合であるため、中途空隙Gが存在しても特段の問題はない。
【0070】
次に、図2及び図13を参照しながら、送風時の仕切板7の状態を説明する。
第1送風機13が送風している場合、即ち加湿装置1が運転している場合、給水空間60の気圧を基準とすると、第1通風路3のフィルタ収容部3aの気圧は負圧になる。何故ならば、第1送風機13が、フィルタ収容部3a側から空気を吸い込み、吹出風路3b側へ吹き出すからである。
【0071】
このとき、負圧によって、仕切板7を第1通風路3側(即ち右側)へ吸い寄せる力が仕切板7に働く。仕切板7は、少なくとも左右方向に遊びを有して水受け皿2に取り付けられている(即ち、少なくとも左右方向については水受け皿2に固定されていない)ため、このような力が働いた場合には、仕切板7全体が容易に右方向(即ち図13中の白抜矢符方向)へ摺動する。そして、仕切板7の先端部72及び先端部72に連なる2辺部が、中途開口34の開口縁部に給水空間60側から密着する。
つまり、非送風時に存在した中途空隙Gは、送風時には自然に消滅する。そして、第1送風機13が送風している限り、中途空隙Gが再び生じる虞はない。
【0072】
加湿装置が運転している場合、通水孔23は水没している。また、仕切板7の基端部71と区画壁21及びトレイ本体20の周壁20a,20bとの間は、仕切板7の自重によって密閉されている。更に、トレイ本体20の周壁及び底壁と中途開口34の開口縁部との間は、水受け皿2の自重によって密閉されている。
以上の結果、第1通風路3と給水空間60との間で気圧差に起因する空気の流れが生じることはない。
【0073】
以上のような加湿装置1は、簡易な構成で、中途空隙Gに起因する騒音の発生を抑制することができる。また、第1通風路3を、空気浄化部11を通過していない空気が通流することを抑制することができる。
本実施の形態の第1送風機13、水受け皿2、トレイ本体20、第1トレイ201、第2トレイ202、加湿フィルタ51、第1通風路3、第1吸込口31、第1吹出口32、中途開口34、トレイ蓋24、給水空間60、基端部71は、本発明の実施の形態における送風機、水槽、水槽本体、通風路に配置される側、通風路の外部に配置されて給水される側、フィルタ、通風路、吸込口、吹出口、開口、被覆部、通風路の外部、仕切板の一端部として機能する。
【0074】
なお、空気浄化部11は、集塵フィルタ111及び脱臭フィルタ112を有するものに限定されない。例えば、空気浄化部11は、空気を水中に通すことによって浄化する構成でもよい。
ところで、従来の一般的な加湿装置には、第2通風路4が設けられていない。また、第1吹出口32の近傍に、イオン発生部12が配されていることがある。このような構成であっても、本実施の形態のような水受け皿2及び仕切板7を備えることによって、本発明の効果を得ることができる。
本実施の形態の加湿装置1は、水受け皿2の一部を第1通風路3の内部へ配置する構成であるが、本発明の実施の形態における加湿装置は、水槽の全部を通風路の内部へ配置する構成でもよい。
【0075】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、本発明の効果がある限りにおいて、加湿装置1に、実施の形態に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 加湿装置
13 第1送風機(送風機)
2 水受け皿(水槽)
20 トレイ本体(水槽本体)
21 区画壁
22 壁側係合部(区画側係合部)
23 通水孔
24 トレイ蓋(被覆部)
25 蓋側係合部(被覆側係合部)
3 第1通風路(通風路)
31 第1吸込口(吸込口)
32 第1吹出口(吹出口)
34 中途開口(開口)
51 加湿フィルタ(フィルタ)
60 給水空間(通風路の外部)
7 仕切板
【技術分野】
【0001】
本発明は、気化方式の加湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
気化方式の加湿装置は、エアフィルタ、加湿フィルタ、水槽、及び送風機と、その中途にこれらが配されている通風路と、水槽へ給水するための給水タンクとを備える(特許文献1参照)。
エアフィルタは、自身を通過する空気を浄化する。
加湿フィルタは、吸水性及び通気性を有する加湿フィルタ本体と、加湿フィルタ本体を保持する枠体とを用いてなり、加湿フィルタ本体の一部分が水槽にて浸水することによって、吸水する。
【0003】
通風路には吸込口及び吹出口が設けられている。送風機が送風することによって、吸込口を介し、外部から空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、エアフィルタ及び加湿フィルタをこの順に通過してから、吹出口を介して外部へ吹き出る。このとき、加湿フィルタに吸収されていた水が気化し、気化した水が、エアフィルタによって浄化された空気と共に加湿装置の外部へ放出される。以上の結果、加湿装置の外部の空気が浄化及び加湿される。
加湿フィルタ及び水槽は、通風路の中途に設けられている開口(以下、中途開口という)を介して、通風路の所定位置へ押し入れられ、また、通風路の所定位置から引き出される。中途開口の開口位置は、エアフィルタよりも通風方向下流側、且つ、送風機よりも通風方向上流側である。
【0004】
給水タンクは、通風路の外部の所定空間(以下、給水空間という)に配される。給水空間において、給水タンクから水槽へ水が供給される。給水空間と通風路とは、中途開口を介して連通している。
送風機が送風すると、通風路における送風機よりも通風方向上流側の気圧は、給水空間の気圧よりも低くなる。このため、中途開口が開放された状態で送風機が送風すると、給水空間から通風路へ、中途開口を介して空気が無用に流入する。中途開口を介して流入した空気は、エアフィルタを全く通過しない、又は、加湿フィルタを効率よく通過しない、等の問題を起こす。
【0005】
そこで、中途開口は、通風路と給水空間とを仕切る仕切板、及び水槽によって、略気密に閉塞される。この仕切板は、基端部が水槽にネジ留め固定されており、水槽が通風路の所定位置へ押し入れられたときに、中途開口の開口縁部に給水空間側から接触するよう配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−52877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
中途開口を略気密に閉塞するためには、仕切板が中途開口の開口縁部に密着している必要がある。しかしながら、加湿装置各部の僅かな寸法誤差、又は通風路の所定位置へ水槽を押し入れた際の位置ズレ等によって、中途開口の開口縁部と仕切板との間に空隙(以下、中途空隙という)が生じることがある。
このような中途空隙が生じた状態で送風機が送風すると、負圧によって、給水空間から通風路へ中途空隙を介して空気が無用に流入する。このような中途空隙は中途開口に比べて狭いため、中途空隙を通過する空気によって、ピューというような笛吹き音が発生する。
【0008】
また、仕切板は、基端部が固定端であり、先端部が自由端である。このため、負圧によって仕切板が撓み、中途開口の開口縁部に当接する現象と、弾性によって仕切板が復元し、中途開口の開口縁部から離隔する現象とが交互に起きる場合がある。そして、この場合には、バタバタというような異音が発生する。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、仕切板を、遊びを有して水槽に取り付ける構成とすることにより、仕切板と中途開口の開口縁部との間に生じる無用な空隙に起因する騒音の発生を抑制することができる加湿装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る加湿装置は、水槽と、吸水性及び通気性を有し、その一部分が前記水槽にて浸水可能にしてあるフィルタと、送風機と、空気が流通可能な通風路と、前記開口の少なくとも一部を前記通風路の外側から閉塞することによって前記通風路の内外を仕切る仕切板とを備え、前記通風路には、前記送風機が送風することによって、外部から空気を吸い込むための吸込口と、吸い込んだ空気を、前記フィルタを通過させてから外部へ吹き出すための吹出口と、前記水槽の少なくとも一部及び前記フィルタを着脱可能にその内部へ配置するための開口とが設けられている加湿装置において、前記開口は、前記送風機よりも通風方向上流側に位置し、前記仕切板は、前記仕切板に交差する方向に遊びを有して前記水槽に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る加湿装置は、前記水槽は、該水槽の前記通風路に配置される側に貯留される水の前記フィルタが浸水可能な部分以外の水面を着脱可能に被覆する被覆部と、該被覆部に設けられており、前記仕切板に係合する被覆側係合部とを有し、前記被覆側係合部と前記仕切板とが遊びを有して係脱可能に係合するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る加湿装置は、前記水槽は、水を貯留する水槽本体、該水槽本体の内部を、前記通風路に配置される側と前記通風路の外部に配置されて給水される側とに区画し、且つ、前記通風路の外部に配置されて給水される側から前記通風路に配置される側へ給水するための通水孔が形成されている区画壁、及び、該区画壁に設けられており、前記仕切板に係合する区画側係合部を有し、前記仕切板の一端部は、前記区画壁及び前記水槽本体の周壁夫々に載置されるコ字状になしてあり、前記区画側係合部と前記仕切板とが遊びを有して係合するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、加湿装置は、水槽、フィルタ、送風機、通風路、及び仕切板を備える。
通風路には中途開口が設けられており、中途開口を介して、フィルタと水槽の少なくとも一部とが通風路の内部へ着脱可能に配置される。仕切板は、通風路の外側から中途開口を閉塞する。
送風機が送風していない場合、通風路の気圧と通風路の外部の気圧とは等しい。このとき、仕切板と中途開口の開口縁部との間に中途空隙が生じていても、特段の問題はない。
【0014】
送風機が送風している場合、通風路内部の空気は、通風路に設けられている吹出口を介して送風路外部へ吹き出す。このため、通風路における送風機よりも通風方向上流側の気圧は、通風路の外部の気圧よりも低い。つまり、通風路の外部の気圧を基準とすると、通風路における送風機よりも通風方向上流側の気圧は負圧である。
このとき、負圧によって、送風路外部の空気が、通風路に設けられている吸込口を介して通風路内部へ吸い込まれる。
【0015】
また、このとき、負圧によって、仕切板が通風路側へ吸い寄せられる。このため、仕切板が中途開口の開口縁部に密着する。何故ならば、仕切板は、仕切板に交差する方向に遊びを有して水槽に取り付けられているからである。この結果、仕切板と中途開口の開口縁部との間に中途空隙が生じることが抑制される。従って、中途空隙を介して通風路の外部から通風路へ空気が無用に流入することはない。
【0016】
送風機が送風している間、仕切板は中途開口の開口縁部に密着し続ける。本発明の加湿装置が備える仕切板は、従来の加湿装置が備える仕切板とは異なり、例えばネジ留めによって水槽に固定されている部分はない。故に、仕切板の固定部分を基点として仕切板が撓むことはなく、延いては、仕切板が撓みから復元することもない。
【0017】
本発明にあっては、加湿装置が備える水槽は、被覆部及び被覆側係合部を有する。
被覆部は、水槽の通風路に配置される側から水槽外部への水滴の飛散を抑制することができる。何故ならば、被覆部は、水槽の通風路に配置される側の水と、通風路を通流する空気との間に介在するため、水槽の通風路に配置される側の水が、通風路を通流する空気との接触によって波立つことを抑制するからである。また、たとえ波立ったとしても、水面から飛散した水滴は、被覆部に付着するか、被覆部に反射して水面へ落ちるからである。
【0018】
しかも、被覆部は、フィルタが浸水可能な部分以外の水面を被覆するため、被覆部がフィルタの吸水を阻害することはない。
更に、被覆部は着脱可能であるため、例えば加湿装置の使用後に、被覆部を取り外して洗浄することが容易である。
【0019】
被覆部に設けられている被覆側係合部と仕切板とは、遊びを有して係脱可能に係合する。このため、被覆部が水面を被覆している限り、被覆側係合部と係合している仕切板が、水槽から無用に脱落することが抑制される。また、被覆側係合部と仕切板との係合は解除可能であるため、仕切板が、被覆部の水槽からの取り外しを阻害することはない。しかも、被覆側係合部と仕切板とは遊びを有して係合しているため、これらの係合が、仕切板を無用に固定する虞はない。
更にまた、被覆側係合部と仕切板との係合、及び係合解除は、一般に、例えば水槽の周壁又は被覆部等と仕切板とのネジ留め、及びネジ留め解除よりも簡易である。
【0020】
本発明にあっては、加湿装置が備える水槽は、水槽本体、区画壁、及び区画側係合部を有する。
この区画壁は、水槽本体の内部を、通風路に配置される側と通風路の外部に配置される側とに区画している。このため、送風機が送風している場合に、通風路の外部から通風路へ、水槽本体の内部を通って空気が無用に流入することが抑制される。
水槽本体への給水は、通風路の外部に配置される側に対して行なわれる。
【0021】
区画壁には通水孔が形成されている。水槽本体の、通風路の外部に配置される側へ供給された水は、通水孔を通って、通風路に配置される側へ供給される。このような通水孔は、通常、加湿装置の使用中には水没している。従って、送風機が送風している場合であっても、通風路の外部から通風路へ、通水孔を通って空気が無用に流入する虞はない。
仕切板の一端部はコ字状になしてあり、この一端部は、区画壁及び水槽本体の周壁夫々に載置される。
【0022】
水槽に対する仕切板の載置は簡易であるが、単に載置しただけでは、仕切板が水槽から無用に脱落する虞がある。
そこで、区画壁に設けられている区画側係合部と仕切板とが、遊びを有して係合する。このため、仕切板が、水槽から無用に脱落することが抑制される。しかも、区画側係合部と仕切板とは遊びを有して係合しているため、これらの係合が、仕切板を無用に固定する虞はない。
更にまた、区画側係合部と仕切板との係合は、一般に、例えば水槽の周壁又は区画壁等と仕切板とのネジ留めよりも簡易である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の加湿装置による場合、送風機が送風している間、仕切板を中途開口の開口縁部に密着させ続けることができる。
即ち、仕切板と中途開口の開口縁部との間に中途空隙が生じることを抑制することができる。従って、中途空隙を介して通風路の外部から通風路へ空気が無用に流入することによる笛吹き音は発生しない。
また、仕切板の撓み及び撓みからの復元に起因する異音は発生しない。
以上のように、本発明の加湿装置は、仕切板と仕切板が閉塞すべき中途開口とに関する騒音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る加湿装置の外観を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る加湿装置の概略構成を示す側断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る加湿装置が備える加湿フィルタの支持構造を示す背面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る加湿装置が備える水受け皿及び仕切板の構成(第1トレイ側。トレイ蓋なし)を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る加湿装置が備える水受け皿及び仕切板の構成(第2トレイ側。トレイ蓋なし)を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る加湿装置が備える水受け皿及び仕切板の構成(第1トレイ側。トレイ蓋あり)を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る加湿装置が備える水受け皿及び仕切板の構成(第2トレイ側。トレイ蓋あり)を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る加湿装置が備える水受け皿及び仕切板の構成を示す側面図である。
【図9】図4に対応する拡大斜視図である。
【図10】図6に対応する拡大斜視図である。
【図11】図8におけるXI−XI線の断面図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る加湿装置が備える仕切板の非送風時の状態を説明するための模式的断面図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る加湿装置が備える仕切板の送風時の状態を説明するための模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を、その実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明の実施の形態に係る加湿装置1の外観を示す分解斜視図であり、図2は、加湿装置1の概略構成を示す側断面図である。図2の左側及び右側は、加湿装置1の正面側及び背面側であり、図1は、図2の右側(即ち加湿装置1の背面側)から見た斜視図である。以下では、加湿装置1の正面側を前側ともいい、背面側を後側ともいう。また、以下では、図1の左側(又は右側)を、加湿装置1の左側(又は右側)という。図2の紙面垂直方向は、加湿装置1の左右方向である。
【0026】
図1は、各後述する後パネル10、空気浄化部11、水受け皿2、仕切板7、加湿フィルタ51、及び給水タンク52が夫々の所定位置から取り外されている状態を示しており、図2は、これらが夫々の所定位置に取り付けられている状態を示している。ただし、図2には給水タンク52及び仕切板7は図示されていない。
本実施の形態の加湿装置1は、空気加湿機能と、脱臭及び集塵による空気清浄機能と、正イオン及び負イオン(以下、正負イオンという)による空気清浄機能とを有する。
【0027】
加湿装置1は、縦型直方体状の筐体6を備えている。筐体6は、前カバー61、天面カバー62、及び後カバー63等を有する。
加湿装置1は、壁W及び床Fを有する室内において、筐体6の後カバー63が壁Wに対面する姿勢で、床Fに載置される。
筐体6には、空気加湿機能と脱臭及び集塵による空気清浄機能とを実現するための第1通風路3、及び、正負イオンによる空気清浄機能を実現するための第2通風路4、並びに給水空間60が設けられている。
【0028】
第1通風路3及び第2通風路4の前後方向の配置は、第1通風路3が、概ね筐体6の後部から前部に亘って位置しており、第2通風路4が、概ね筐体6の前部に位置している。
第1通風路3及び給水空間60の左右方向の配置は、第1通風路3が、概ね筐体6の右側部から左右方向中央部に亘って位置しており、給水空間60が、概ね筐体6の左側部に位置している。
第1通風路3と第2通風路4とは完全に区画されている。第1通風路3と給水空間60とは、第1通風路3の中途に設けられている矩形状の中途開口34を介して連通している。
【0029】
中途開口34は、第1通風路3と給水空間60とを区画する隔壁64に形成されている。また、中途開口34は、第1通風路3と給水空間60とを仕切る仕切板7、及び水受け皿2によって、後述するように閉塞される。
水受け皿2は、上部が開口した横方向に長い形状のトレイ本体20を有し、トレイ本体20は、第1トレイ201及び第2トレイ202からなる。第1トレイ201は、第2トレイ202に比べて、前後方向の長さが短く、左右方向の長さが長い。トレイ本体20は、長手方向が左右方向に沿うように筐体6の所定位置に着脱可能に配される。このとき、第1通風路3には第1トレイ201が配され、給水空間60には第2トレイ202が配される。
【0030】
まず、図1を参照して給水空間60について説明する。
給水空間60は、筐体6の左側部に形成されている凹部である。
給水タンク52は、長手方向一端部に給水栓521を有する直方体状の容器である。給水タンク52は、給水タンク52の給水栓521側を下向きとした倒立姿勢にて給水空間60に着脱可能に配される。このとき、給水タンク52の給水栓521側は水受け皿2の第2トレイ202に装着される。
【0031】
給水栓521は、図示しない公知の定水位弁を内蔵している。この定水位弁は、第2トレイ202への給水タンク52の装着時に、第2トレイ202の底壁に立設されている押上突起203(後述する図11参照)に押し上げられて開放状態になる。この結果、給水タンク52に収容されている水が、第2トレイ202へ供給される。第2トレイ202へ供給された水は、後述する通水孔23(図11参照)を通って第1トレイ201へ供給される。このとき、定水位弁の作用によって、トレイ本体20には、一定の水位L(後述する図3参照)の水が貯留される。
【0032】
次に、図1及び図2を参照して第1通風路3について説明する。
第1通風路3は、互いに連通しているフィルタ収容部3a及び吹出風路3bを有する。また、第1通風路3には、第1吸込口31及び第1吹出口32、並びに中途開口34が設けられている。
第1吸込口31は、筐体6の後カバー63に開口しており、第1吸込口31を介して、加湿装置1の外部とフィルタ収容部3aとが連通している。
【0033】
後パネル10は、第1吸込口31を閉塞するようにして、着脱可能に筐体6に取り付けられている。ただし、後パネル10には、複数個の通気孔100,100,…が形成されている。このため、第1吸込口31を介して通流する空気とは、更に詳細には、通気孔100,100,…を介して通流する空気のことである。通気孔100,100,…は、図示しないプレフィルタによって閉塞されており、このプレフィルタは、第1吸込口31を介してフィルタ収容部3aへ流入する空気に含まれている粗い塵埃を捕集し除去する。
第1吹出口32は、筐体6の天面カバー62に開口しており、第1吹出口32を介して、吹出風路3bと加湿装置1の外部とが連通している。
【0034】
後述する第1送風機13が送風することによって、加湿装置1の外部の空気は、第1吸込口31を介して第1通風路3へ吸い込まれる。吸い込まれた空気は、フィルタ収容部3a及び吹出風路3bをこの順に通流してから、第1吹出口32を介して加湿装置1の外部へ吹き出る。
フィルタ収容部3aの第1吸込口31近傍(更に詳細には、後パネル10の前側)には空気浄化室が設けられており、この空気浄化室に、空気浄化部11が着脱可能に収容されている。第1吸込口31を介してフィルタ収容部3aへ流入した空気は、空気浄化部11を通過する。
【0035】
空気浄化部11は、集塵フィルタ111及び脱臭フィルタ112を備えている。集塵フィルタ111は、例えば、公知のHEPA(High Efficiency Particulate Air )フィルタであり、集塵フィルタ111を通過する空気中に含まれる微細な塵埃及び花粉等を捕集し、除去する。脱臭フィルタ112は、例えば、不織布に活性炭を分散保持させてなり、脱臭フィルタ112を通過する空気中の臭い成分を吸着し、除去する。従って、空気浄化部11を通過した空気は浄化される。
【0036】
空気浄化部11と第1送風機13との間のフィルタ収容部3aには加湿室が設けられており、加湿室には、水受け皿2が備えるトレイ本体20の第1トレイ201、加湿フィルタ51、及び回転駆動機構53が位置する。また、加湿室の隔壁64に、中途開口34が形成されている。つまり、中途開口34は、第1送風機13よりも通風方向上流側に位置している。
【0037】
トレイ本体20は、筐体6の底部に載置される。このために、トレイ本体20の第1トレイ201は、加湿フィルタ51と共に、中途開口34を介して第1通風路3の内部(具体的にはフィルタ収容部3aの加湿室)へ右方向へ押し入れられる。このとき、第2トレイ202は給水空間60に配される。第1トレイ201は、加湿フィルタ51と共に、中途開口34を介してフィルタ収容部3aの加湿室から左方向へ引き出される。
【0038】
図3は、加湿フィルタ51の支持構造を示す背面図である。図3では、後述する加湿フィルタ本体511の図示は省略してある。また、水受け皿2の一部を破断して示している。
加湿フィルタ51は、保持枠510と加湿フィルタ本体511とを有する。
保持枠510は中空の円盤状をなし、両面に開口を有する。また、保持枠510は、加湿フィルタ本体511を収容保持する。
【0039】
加湿フィルタ本体511は、吸水性及び通気性を有する材料(例えば不織布)製のシートが蛇腹状に折り重ねられてなる。このため、全く折り重ねられていないシートに比べて、加湿フィルタ本体511と加湿フィルタ本体511を通過する空気との接触面積は大きい。
第1トレイ201の底壁には、左右方向の両側に振り分け配置された2つの支持ローラ204,204が設けられている。各支持ローラ204の回転軸は前後方向に沿って配されている。
【0040】
加湿フィルタ51の下部は、第1トレイ201の内部に差し込まれて、支持ローラ204,204の上に着脱可能に載置される。このとき、加湿フィルタ51の回転軸は、前後方向に配され、支持ローラ204,204は、夫々の位置で保持枠510の下部外周面に転接する。この結果、加湿フィルタ51は、水受け皿2の上側にて縦姿勢で周方向に回転可能に支持される。
支持ローラ204,204上に載置された加湿フィルタ51は、上方に持ち上げることによって第1トレイ201から容易に取り外すことができる。このような加湿フィルタ51の着脱は、加湿フィルタ51の保守若しくは交換、又は水受け皿2の清掃等のために実施される。
【0041】
保持枠510の外周面には、保持枠510の全周に亘って歯が形成されたリングギヤ部512が一体に設けてある。リングギヤ部512は、保持枠510の上部にて、次に説明する回転駆動機構53の伝動ギヤ531に噛み合わされる。
回転駆動機構53は、基台530の一面に取り付けられている伝動ギヤ531及び駆動ギヤ532と、基台530の他面に取り付けられている駆動モータ533とを備え、基台530を貫通する複数本の固定ねじ534,534,…によって、筐体6の内部の隔壁の適宜位置に固定されている。駆動ギヤ532は、駆動モータ533の出力軸に嵌着されており、駆動モータ533の回転は、駆動ギヤ532を介して伝動ギヤ531に伝わる。この結果、伝動ギヤ531が回転する。
【0042】
回転駆動機構53の伝動ギヤ531と保持枠510のリングギヤ部512との噛合は、加湿フィルタ51が第1通風路3の所定位置にセットされた状態で生じる。加湿フィルタ51は、伝動ギヤ531とリングギヤ部512との噛合によって、支持ローラ204,204及び伝動ギヤ531夫々の位置、即ち周方向の異なる位置で、3点支持される。従って、加湿フィルタ51には、回転可能に支持される支軸を中心部に設ける必要がない。このため、保持枠510の前後両面には、内部の加湿フィルタ本体511を支えるための最小限の支え部を除く略全面に開口を設けることができる。この結果、保持枠510によって阻害されることなく多くの空気が加湿フィルタ本体511を通過する。即ち、加湿性能の向上を図ることができる。
【0043】
駆動モータ533を駆動した場合、伝動ギヤ531の回転は、リングギヤ部512を介して保持枠510に伝わる。このとき、加湿フィルタ51は、保持枠510の中心周りに(即ち加湿フィルタ51の周方向に)回転する。
第1トレイ201には、前述の如く、水位Lの水が貯留されており、回転する保持枠510の下部は、水受け皿2の貯留水中に浸漬される。保持枠510は、両面に開口を有しているため、加湿フィルタ本体511の周縁部の下部が浸水する。つまり、加湿フィルタ51の周方向の一部が浸水することによって、加湿フィルタ本体511は、第1トレイ201から給水される。
【0044】
このとき、第1トレイ201に貯留されていた水は、加湿フィルタ本体511の周縁部に吸収され、更に、周縁部から中央部へ吸い上げられる。保持枠510が周方向に連続的に回転すると、加湿フィルタ本体511の周縁部は周方向に連続的に浸水及び吸水し、吸収された水は回転移動することによって持ち上げられる。以上の結果、加湿フィルタ本体511全体に効率よく水が行き渡る。換言すれば、加湿フィルタ本体511が回転することによって、加湿フィルタ本体511の吸水が促進される。
【0045】
空気浄化部11を通過した空気は、次に、加湿フィルタ51を通過する。加湿フィルタ51が回転しているとき、加湿フィルタ51を通過した空気は十分に吸湿する。一方、加湿フィルタ51が回転していないとき、加湿フィルタ51を通過した空気はほとんど吸湿しない。従って、空気清浄と空気加湿とを共に行なう場合は、回転駆動機構53が作動して加湿フィルタ51を回転させるが、空気清浄のみで空気加湿を行なわない場合は、回転駆動機構53は作動しない。以下では、空気清浄と空気加湿とを共に行なう場合を説明する。
【0046】
フィルタ収容部3aと吹出風路3bとの境界部分には、第1送風機13が配されている。
第1送風機13はシロッコファン(多翼羽根車)を用いてなり、電動のファンモータ131とファン132とを備えている。
ファンモータ131は、図示しない支持部によって筐体6の内部に固定されている。ファン132は、ファンモータ131の出力軸に固定されている。ファン132は、ファンモータ131の駆動によって回転し、ファン132が回転することによって、空気が送風される。
フィルタ収容部3aにおいては、後側から前側へ略水平に空気が通流し、吹出風路3bにおいては、前下側から後上側へ傾斜して空気が通流する。
【0047】
第1吹出口32には、ルーバ33が配してある。吹出風路3bの内周面とルーバ33とは、第1吹出口32を介して吹き出した空気が壁Wに沿って上昇し易いように、空気が流れる向きを規制する。
以上のような第1通風路3に関しては、実線の白抜矢符にて示すように空気が通流する。
更に詳細には、室内から第1吸込口31を介してフィルタ収容部3aへ空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、フィルタ収容部3aを前方向へ通流する。このとき、吸い込まれた空気は、空気浄化部11及び加湿フィルタ51を通過することによって浄化及び加湿される。以下、空気浄化部11及び加湿フィルタ51によって浄化及び加湿された空気を浄化加湿空気という。
【0048】
次いで、浄化加湿空気は、フィルタ収容部3aから吹出風路3bへ通流する。吹出風路3bにおいては、浄化加湿空気は、後上方向へ通流し、最後に、第1吹出口32を介して室内へ吹き出る。
室内へ吹き出た浄化加湿空気は、壁Wに吹き付けられ、更に壁Wに沿って上昇し、次いで天井に沿って壁Wに対面する壁へ移動し、更にこの壁に沿って下降してから、床Fに沿って壁Wへ移動する。つまり、浄化加湿空気は、室内全体を循環する。
【0049】
次に、図2を参照して第2通風路4について説明する。
第2通風路4は、互いに連通している吸込室4a及び吹出室4bを有する。第2通風路4には、第2吸込口41及び第2吹出口42が設けられている。
第2吸込口41は、筐体6の前カバー61に開口しており、第2吸込口41を介して、加湿装置1の外部と吸込室4aとが連通している。
第2吹出口42は、筐体6の前カバー61と天面カバー62との境界部分に開口しており、第2吹出口42を介して、吹出室4bと加湿装置1の外部とが連通している。
【0050】
後述する第2送風機14が送風することによって、加湿装置1の外部の空気は、第2吸込口41を介して第2通風路4へ吸い込まれる。吸い込まれた空気は、吸込室4a及び吹出室4bをこの順に通流してから、第2吹出口42を介して加湿装置1の外部へ吹き出る。
第2吸込口41には、エアフィルタ40が着脱可能に配されている。エアフィルタ40は、第2吸込口41を介して吸込室4aへ流入する空気に含まれている粗い塵埃を捕集し除去する。エアフィルタ40が除去する塵埃のサイズは、後パネル10のプレフィルタが除去する塵埃のサイズと同程度である。
【0051】
吸込室4aと吹出室4bとの境界部分には、第2送風機14が配されている。
第2送風機14はクロスフローファン(貫流羽根車)を用いてなり、図示しない支持部によって筐体6の内部に固定されている電動のファンモータと、ファンモータの出力軸に固定されているファンとを備えている。第2送風機14のファンは、ファンモータの駆動によって回転し、ファンが回転することによって、空気が送風される。
【0052】
吹出室4bの中途には、イオン発生部12が配されている。
イオン発生部12は、図示しないイオン発生電極と、イオン発生電極に対向配置されている対向電極とを備え、コロナ放電によって、正負イオンが発生するよう構成されている。イオン発生電極は、吹出室4bに露出しており、発生した正負イオンは、吹出室4bを通流する空気中に浮遊する。
【0053】
吸込室4aにおいては、前下側から後上側へ傾斜して空気が通流し、吹出室4bにおいては、前上側へ傾斜して空気が通流する。
第2吹出口42には、ルーバ43が配してある。吹出室4bの内周面とルーバ43とは、第2吹出口42を介して吹き出した空気が室内の中央部分に到達し易いように、空気が流れる向きを規制する。
第2吹出口42を介して吹き出した空気と共に室内へ放出された正負イオンは、菌類、ウィルス、及びアレルゲン等を死滅又は不活性化させ、悪臭の原因となる物質(例えばアセトアルデヒドのような有機化合物)を分解する。
以上のような第2通風路4に関しては、破線の矢符にて示すように空気が通流する。
【0054】
更に詳細には、室内から第2吸込口41を介して吸込室4aへ空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、吸込室4aを後上方向へ通流してから吹出室4bを前上方向へ通流する。吹出室4bを通流する空気は、イオン発生部12で発生したイオンを含む空気(以下、イオン含有空気という)になる。そして、イオン含有空気は、第2吹出口42を介して室内へ吹き出る。
室内へ吹き出たイオン含有空気は、室内の中央部分へ向かう。この結果、イオン含有空気が、室内の中央部分に容易に到達する。
【0055】
次に、水受け皿2及び仕切板7の構成について詳述する。
図4〜図7は、水受け皿2及び仕切板7の構成を示す斜視図である。図4は、第1トレイ201側から見た斜視図であり、後述するトレイ蓋24が取り付けられていない場合を示している。図5は、第2トレイ202側から見た斜視図であり、図4と同様に、トレイ蓋24が取り付けられていない場合を示している。図6は、図4と同様に、第1トレイ201側から見た斜視図であるが、トレイ蓋24が取り付けてある場合を示している。図7は、図5と同様に、第2トレイ202側から見た斜視図であり、図6と同様に、トレイ蓋24が取り付けてある場合を示している。
【0056】
図8は、水受け皿2及び仕切板7の構成を示す側面図であり、第1トレイ201側から見た場合を示している。
図9及び図10は、図4及び図6に対応する拡大斜視図であり、仕切板7周辺を示している。
図11は、図8におけるXI−XI線の断面図である。
水受け皿2は、トレイ蓋24及び蓋側係合部25を更に有する。
【0057】
トレイ蓋24は、第1トレイ201の蓋である。具体的には、トレイ蓋24は、第1トレイ201に貯留されている水の、加湿フィルタ51が浸水可能な部分以外の水面を、着脱可能に被覆する。このために、トレイ蓋24は、中央部に挿通孔241が形成された板状になしてある。
第1トレイ201の周壁内面の上下方向中央部には、トレイ蓋24が着脱可能に載置される載置台205が設けられている。載置台205に載置されたトレイ蓋24の配置位置は、水位Lより十分に高い。
載置台205に載置されたトレイ蓋24は、自重によって、水受け皿2の外部へ無用に脱離することが抑制される。なお、トレイ蓋24は、第1トレイ201の周壁上部に着脱可能に係止される構成でもよい。
【0058】
加湿フィルタ51は、水受け皿2にセットされる際、挿通孔241に挿通されてから支持ローラ204,204上に載置される。このとき、挿通孔241の周縁部と加湿フィルタ51とは適長離隔している。従って、トレイ蓋24が加湿フィルタ51の回転又は吸水等を阻害することはない。
ところで、加湿フィルタ51と第1通風路3の内壁との間には、十分な空隙が存在する。何故ならば、加湿フィルタ51と第1通風路3の内壁とが密着していると、加湿フィルタ51の回転が阻害されるからである。このため、フィルタ収容部3aを通流する空気の一部が、加湿フィルタ51を通過せず、迂回することがある。
【0059】
仮に、トレイ蓋24が存在しない場合、加湿フィルタ51を迂回した空気が水面に触れて水面に波が生じ、更には水滴が巻き上げられる。そして、巻き上げられた空気が水受け皿2の外部へ飛散する、という問題が生じる。
一方、トレイ蓋24は、加湿フィルタ51を迂回した空気が水面に触れることを抑制する。このため、空気が水面に触れて水面に波が生じることも、水滴が巻き上げられることもない。たとえ水滴が巻き上げられたとしても、飛散した水滴はトレイ蓋24に付着するか、トレイ蓋24に反射して水面へ落ちる。
トレイ蓋24の左側部には、凸状の蓋側係合部25が一体形成されている。蓋側係合部25は、仕切板7の後述する係合孔74に遊びを有して係合する係合爪である。
【0060】
水受け皿2は、区画壁21及び壁側係合部22を更に有する。
区画壁21は、トレイ本体20の内部を、第1通風路3に配置される側である第1トレイ201と、給水空間60に配置されて給水される側である第2トレイ202とに区画する。このために、区画壁21は、トレイ本体20の内部の第1トレイ201と第2トレイ202との境界部分に一体形成してある。
区画壁21の最下部には、通水孔23が形成されている。通水孔23の形成位置は、水位Lより十分に低いため、トレイ本体20に貯水されている場合、通水孔23は完全に水没している。
【0061】
区画壁21の第1トレイ201側の面の上部には、凸状の壁側係合部22が一体形成されている。壁側係合部22は、仕切板7の係合孔74に遊びを有して係合する係合爪である。
仕切板7は、少なくとも左右方向(即ち仕切板7に交差する方向)に遊びを有して着脱可能に水受け皿2に取り付けられている。
仕切板7は矩形状になしてあり、前後方向及び上下方向に沿う(即ち左右方向に直交する)縦姿勢で、水受け皿2の上部に配されている。このとき、仕切板7の基端部71及び先端部72は、下端部及び上端部である。
【0062】
基端部71は平面視コ字状になしてあり、前部及び後部と右側部とを有する。基端部71の前部及び後部と右側部とは、第2トレイ202の区画壁21に連なる周壁20a,20bの上端部と区画壁21の上端部とに密着配置されている。
基端部71には、垂下部73が一体に設けられている。基端部71が水受け皿2に取り付けられている場合、垂下部73は、区画壁21に沿って第1トレイ201の内部に配されている。
【0063】
垂下部73には、係合孔74が設けられている。係合孔74には、区画壁21の壁側係合部22とトレイ蓋24の蓋側係合部25とが互いに逆方向から挿入されている。このとき、壁側係合部22(及び蓋側係合部25)は、係合孔74内部の上側(及び下側)に、少なくとも左右方向に遊びを有して係脱可能に係合している。また、係合孔74は、第2トレイ202側から、区画壁21によって覆われている。
ここで、トレイ本体20に対する仕切板7及びトレイ蓋24の取り付けについて説明する。
【0064】
作業者は、仕切板7の基端部71を、区画壁21及びトレイ本体20の周壁20a,20b夫々の上端部に載置する。このとき、作業者は、仕切板7の係合孔74に、区画壁21の壁側係合部22を左側から挿入する。この結果、壁側係合部22は、係合孔74の上内面に、遊びを有して係合する。
次に、作業者は、トレイ蓋24をトレイ本体20の載置台205に載置する。このとき、作業者は、仕切板7の係合孔74に、トレイ蓋24の蓋側係合部25を右側から挿入する。この結果、蓋側係合部25は、係合孔74の下内面に、遊びを有して係合する。
壁側係合部22及び蓋側係合部25と係合孔74との係合は、作業者がトレイ蓋24を取り外さない限り、自然には解除され難い。
【0065】
仮に、基端部71をトレイ本体20に載置しただけでは、仕切板7がトレイ本体20の上部から無用に脱落し易い。しかしながら、本実施の形態では壁側係合部22と蓋側係合部25とが左右両側から係合孔74に係合するため、仕切板7の無用な脱落が抑制される。
一方、壁側係合部22及び蓋側係合部25と係合孔74との係合は、遊びを有しているため、作業者が手動で容易に解除することができる。
トレイ本体20からトレイ蓋24を取り外し、更に仕切板7を取り外せば、作業者は、トレイ本体20、トレイ蓋24、及び仕切板7夫々を容易に洗浄することができる。
【0066】
次に、仕切板7の作用効果について説明する。
図12は、非送風時の仕切板7の状態を説明するための模式的断面図であり、図13は、送風時の仕切板7の状態を説明するための模式的断面図である。
まず、図1、図11、及び図12を参照しながら、筐体6に対する水受け皿2及び仕切板7の取り付けについて説明する。
【0067】
作業者は、加湿フィルタ51及び仕切板7が取り付けられた水受け皿2を、筐体6に取り付ける。このとき、加湿フィルタ51、水受け皿2の第1トレイ201、トレイ蓋24、及び仕切板7の垂下部73等が、中途開口34を通って、第1通風路3のフィルタ収容部3aに配される。また、水受け皿2の第2トレイ202、及び仕切板7の基端部71及び先端部72等は、給水空間60に配される。
以上の結果、図11及び図12に示すように、中途開口34は、仕切板7、区画壁21、及びトレイ本体20によって閉塞される。
【0068】
このとき、仕切板7の先端部72と先端部72に連なる2辺部とは、中途開口34の開口縁部に給水空間60側から密着していることが望ましい。
しかしながら、加湿装置1の各部の僅かな寸法誤差、トレイ本体20に対して仕切板7を取り付けた際の位置ズレ、又は、筐体6に対してトレイ本体20を取り付けた際の位置ズレ等によって、図12に示すように、中途開口34の開口縁部と仕切板7との間に中途空隙Gが生じることがある。
【0069】
ここで、図12を参照しながら、非送風時の仕切板7の状態を説明する。
第1送風機13が送風していない場合、第1通風路3及び給水空間60の気圧は、何れも大気圧に等しい。このため、中途空隙Gを介して第1通風路3と給水空間60との間で、気圧差に起因する空気の流れが生じることはない。第1送風機13が送風していない場合とは、加湿装置1が運転していない場合であるため、中途空隙Gが存在しても特段の問題はない。
【0070】
次に、図2及び図13を参照しながら、送風時の仕切板7の状態を説明する。
第1送風機13が送風している場合、即ち加湿装置1が運転している場合、給水空間60の気圧を基準とすると、第1通風路3のフィルタ収容部3aの気圧は負圧になる。何故ならば、第1送風機13が、フィルタ収容部3a側から空気を吸い込み、吹出風路3b側へ吹き出すからである。
【0071】
このとき、負圧によって、仕切板7を第1通風路3側(即ち右側)へ吸い寄せる力が仕切板7に働く。仕切板7は、少なくとも左右方向に遊びを有して水受け皿2に取り付けられている(即ち、少なくとも左右方向については水受け皿2に固定されていない)ため、このような力が働いた場合には、仕切板7全体が容易に右方向(即ち図13中の白抜矢符方向)へ摺動する。そして、仕切板7の先端部72及び先端部72に連なる2辺部が、中途開口34の開口縁部に給水空間60側から密着する。
つまり、非送風時に存在した中途空隙Gは、送風時には自然に消滅する。そして、第1送風機13が送風している限り、中途空隙Gが再び生じる虞はない。
【0072】
加湿装置が運転している場合、通水孔23は水没している。また、仕切板7の基端部71と区画壁21及びトレイ本体20の周壁20a,20bとの間は、仕切板7の自重によって密閉されている。更に、トレイ本体20の周壁及び底壁と中途開口34の開口縁部との間は、水受け皿2の自重によって密閉されている。
以上の結果、第1通風路3と給水空間60との間で気圧差に起因する空気の流れが生じることはない。
【0073】
以上のような加湿装置1は、簡易な構成で、中途空隙Gに起因する騒音の発生を抑制することができる。また、第1通風路3を、空気浄化部11を通過していない空気が通流することを抑制することができる。
本実施の形態の第1送風機13、水受け皿2、トレイ本体20、第1トレイ201、第2トレイ202、加湿フィルタ51、第1通風路3、第1吸込口31、第1吹出口32、中途開口34、トレイ蓋24、給水空間60、基端部71は、本発明の実施の形態における送風機、水槽、水槽本体、通風路に配置される側、通風路の外部に配置されて給水される側、フィルタ、通風路、吸込口、吹出口、開口、被覆部、通風路の外部、仕切板の一端部として機能する。
【0074】
なお、空気浄化部11は、集塵フィルタ111及び脱臭フィルタ112を有するものに限定されない。例えば、空気浄化部11は、空気を水中に通すことによって浄化する構成でもよい。
ところで、従来の一般的な加湿装置には、第2通風路4が設けられていない。また、第1吹出口32の近傍に、イオン発生部12が配されていることがある。このような構成であっても、本実施の形態のような水受け皿2及び仕切板7を備えることによって、本発明の効果を得ることができる。
本実施の形態の加湿装置1は、水受け皿2の一部を第1通風路3の内部へ配置する構成であるが、本発明の実施の形態における加湿装置は、水槽の全部を通風路の内部へ配置する構成でもよい。
【0075】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
また、本発明の効果がある限りにおいて、加湿装置1に、実施の形態に開示されていない構成要素が含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 加湿装置
13 第1送風機(送風機)
2 水受け皿(水槽)
20 トレイ本体(水槽本体)
21 区画壁
22 壁側係合部(区画側係合部)
23 通水孔
24 トレイ蓋(被覆部)
25 蓋側係合部(被覆側係合部)
3 第1通風路(通風路)
31 第1吸込口(吸込口)
32 第1吹出口(吹出口)
34 中途開口(開口)
51 加湿フィルタ(フィルタ)
60 給水空間(通風路の外部)
7 仕切板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽と、
吸水性及び通気性を有し、その一部分が前記水槽にて浸水可能にしてあるフィルタと、
送風機と、
空気が流通可能な通風路と、
前記開口の少なくとも一部を前記通風路の外側から閉塞することによって前記通風路の内外を仕切る仕切板と
を備え、
前記通風路には、
前記送風機が送風することによって、外部から空気を吸い込むための吸込口と、吸い込んだ空気を、前記フィルタを通過させてから外部へ吹き出すための吹出口と、前記水槽の少なくとも一部及び前記フィルタを着脱可能にその内部へ配置するための開口とが設けられている加湿装置において、
前記開口は、前記送風機よりも通風方向上流側に位置し、
前記仕切板は、
前記仕切板に交差する方向に遊びを有して前記水槽に取り付けられていることを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記水槽は、
該水槽の前記通風路に配置される側に貯留される水の前記フィルタが浸水可能な部分以外の水面を着脱可能に被覆する被覆部と、
該被覆部に設けられており、前記仕切板に係合する被覆側係合部と
を有し、
前記被覆側係合部と前記仕切板とが遊びを有して係脱可能に係合するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の加湿装置。
【請求項3】
前記水槽は、
水を貯留する水槽本体、
該水槽本体の内部を、前記通風路に配置される側と前記通風路の外部に配置されて給水される側とに区画し、且つ、前記通風路の外部に配置されて給水される側から前記通風路に配置される側へ給水するための通水孔が形成されている区画壁、及び、
該区画壁に設けられており、前記仕切板に係合する区画側係合部
を有し、
前記仕切板の一端部は、前記区画壁及び前記水槽本体の周壁夫々に載置されるコ字状になしてあり、
前記区画側係合部と前記仕切板とが遊びを有して係合するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の加湿装置。
【請求項1】
水槽と、
吸水性及び通気性を有し、その一部分が前記水槽にて浸水可能にしてあるフィルタと、
送風機と、
空気が流通可能な通風路と、
前記開口の少なくとも一部を前記通風路の外側から閉塞することによって前記通風路の内外を仕切る仕切板と
を備え、
前記通風路には、
前記送風機が送風することによって、外部から空気を吸い込むための吸込口と、吸い込んだ空気を、前記フィルタを通過させてから外部へ吹き出すための吹出口と、前記水槽の少なくとも一部及び前記フィルタを着脱可能にその内部へ配置するための開口とが設けられている加湿装置において、
前記開口は、前記送風機よりも通風方向上流側に位置し、
前記仕切板は、
前記仕切板に交差する方向に遊びを有して前記水槽に取り付けられていることを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記水槽は、
該水槽の前記通風路に配置される側に貯留される水の前記フィルタが浸水可能な部分以外の水面を着脱可能に被覆する被覆部と、
該被覆部に設けられており、前記仕切板に係合する被覆側係合部と
を有し、
前記被覆側係合部と前記仕切板とが遊びを有して係脱可能に係合するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の加湿装置。
【請求項3】
前記水槽は、
水を貯留する水槽本体、
該水槽本体の内部を、前記通風路に配置される側と前記通風路の外部に配置されて給水される側とに区画し、且つ、前記通風路の外部に配置されて給水される側から前記通風路に配置される側へ給水するための通水孔が形成されている区画壁、及び、
該区画壁に設けられており、前記仕切板に係合する区画側係合部
を有し、
前記仕切板の一端部は、前記区画壁及び前記水槽本体の周壁夫々に載置されるコ字状になしてあり、
前記区画側係合部と前記仕切板とが遊びを有して係合するようにしてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の加湿装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−72585(P2013−72585A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211294(P2011−211294)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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