説明

加熱・冷却装置

【課題】粉粒体と気体の混合流体などの被処理流体を加熱・冷却する加熱・冷却装置であって、被処理流体の流通する領域を簡単に洗浄できる加熱・冷却装置を提供する。
【解決手段】第1の蓋体1と第1の熱伝導板2の間に形成され内部が熱媒又は冷媒の流路に仕切られている第1の流路空間で構成される本体部10と、第1の熱伝導板2と第2の熱伝導板3の間に形成され内部が被処理流体の流路に仕切られている第2の流路空間7と、第2の熱伝導板3と第2の蓋体4の間に形成され内部が熱媒又は冷媒の流路に仕切られている第3の流路空間とで構成される扉部20を備えて、扉部20が、第3の流路空間と第1の流路空間を封鎖した状態で本体部10に対して離合させることができ、扉部20が本体部10から離れると被処理流体の流路7が露出して容易に清掃できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理流体の流通する流路を簡単に掃除できる加熱・冷却装置、特に粉粒体を搬送する気体を処理する工程に組み込んで利用する加熱・冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器の流路内に堆積した物質は、熱交換の効率を低下させるので、定期的に操業を中断して除去する。しかし、多品種製品を製造する設備に熱交換器を使用する場合には、流路中に残留した目的外の成分が製品に混入することを防止するため、製造品目を切り替える度に流路を清浄化する必要がある。
【0003】
ところが、たとえば、二重管式熱交換器の内部洗浄を行う場合は、容易にハンドリングできる程度の長さに配管を細かく分断し、カプラー構造で冷媒配管あるいは熱媒配管を外せるようにした熱交換器を使って、エアブローで、あるいは手や特殊な道具を配管内部に差し込んで拭き掃除や水洗することにより、堆積した粉粒体を除去している。したがって、配管の分解や組立に要する時間と手間は大きく、完全掃除は困難であった。
このため、頻繁に掃除が必要になるような工程に、このような熱交換器を適用することは避けなければならない。
【0004】
さらに、特に粉粒体と搬送気体の混合流体に使用する場合は、流路が複雑な熱交換器では、内部に除去しにくい残留物が堆積しやすい。このため、多種類の粉粒体を処理する生産設備では、たとえば二重管式熱交換器など、粉粒体が流通する配管部分を頻繁に掃除できないような加熱・冷却装置を使うと、前のロットで使った成分が不純物として混ざる心配がある。したがって、多品種製造装置では、製品の汚染をもたらすような加熱・冷却装置を使わない工程により製造するようにしてきた。
【0005】
なお、たとえば特許文献1に記載されたプレート式熱交換器のように、分解掃除ができる加熱・冷却装置を使って、必要に応じて掃除することにより、製品の汚染を防止することが考えられる。しかし、特許文献1に記載されたプレート式熱交換器では、プレートを挟んで熱交換するため、熱媒と被処理流体は重ねたプレートごとに入れ替わるので、搬送気体中の粉粒体は全てのプレートに付着する。したがって、付着した粉粒体を除去しようとすると、プレート部分をばらばらに分解して清掃し、全てのプレートから古い粉粒体を払い落とす必要がある。また、付着物を除去しようとすると、熱媒体も排除した上で処理しなければならず、プレート式熱交換器の分解掃除は、二重管式熱交換器ほどではないとしても、無視できない手数と時間が掛かる。したがって、粉粒体と搬送気体の混合流体の加熱・冷却にプレート式熱交換器を適用しても経済的に有利と言えないことも多い。
【0006】
このため、たとえば図20のフロー図に簡略に示した多段粉砕工程のように、特に、粉粒体の製造工程において粉粒体を加熱・冷却する必要がある場合に、加熱・冷却した搬送気体に粉粒体を混入する方法が使用されてきた。
図20に示す多段粉砕工程では、1段目の粉砕処理のために、ブロアにより除湿冷却器に外気を吸引して冷却し搬送気体とする。冷却した搬送気体に原料供給機から定量供給される原料を加えることにより、原料を所定の温度に冷却して粉砕機に供給する。粉砕機で1段目の粉砕処理を受けた粉粒体は、捕集装置を介して搬送気体と分離され、図示しないバッファタンクに貯留される。
【0007】
2段目の粉砕処理においても、同様に、ブロアにより除湿冷却器に外気を吸引して冷却し搬送気体とする。バッファタンクから原料供給機で定量供給される1段目の粉砕処理をされた粉粒体を冷却した搬送気体に加えることにより、原料粉粒体を所定の温度に冷却して2段目の粉砕機に供給する。粉砕機で2段目の粉砕処理を受けた粉粒体は、捕集装置を介して搬送気体と分離され、製品タンクに貯留される。
除湿冷却器と粉砕機は、冷媒製造装置から供給される冷媒により冷却される。
【0008】
図20に示した多段粉砕工程では、外気を吸引して冷却し除湿冷却して搬送気体とし、粉粒体原料を冷却した搬送気体に混合して粉砕機に供給し、粉砕処理後で搬送気体を分離して排気し、2段目の粉砕処理で再び外気を取り込んで除湿冷却して搬送気体とし、中間原料を混入して冷却している。
【0009】
ここで、もし、粉粒体と搬送気体の混合流体をそのまま加熱・冷却することができる熱交換器が使えれば、1段目の粉砕処理を受けた中間原料を混合流体のまま冷却器に搬送して冷却し、同じ搬送気体で2段目の粉砕機に搬送するようにすることができる。このようにすると、第1段目で粉粒体と搬送気体を分離する捕集装置と、中間原料の供給機、第2段目で搬送気体用の除湿冷却器が不要になり、片方のブロアも不要である。2段目の冷却では室温の大気を取り込んで除湿冷却する必要が無いのでエネルギーの節約ができ、工程自体もおおいに単純化して、効率的な生産が期待できる。
このような条件を満たす熱交換器は、熱交換器の粉粒体が流通する流路内の掃除が簡単で、前のロットで使った粉粒体を簡単に除去できるものでなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−280889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の目的は、被処理流体、特に粉粒体の気体搬送に係る流体を加熱あるいは冷却するために使用できる加熱・冷却装置であって、被処理流体の流通する領域を簡単に洗浄することができる加熱・冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明に係る第1の観点による加熱・冷却装置は、第1の蓋体と、第1の蓋体と対向して配置される第1の熱伝導板と、第1の蓋体の反対側に第1の熱伝導板と対向して平行に配置される第2の熱伝導板と、第1の熱伝導板の反対側に第2の熱伝導板と対向して配置される第2の蓋体と、第1の蓋体と第1の熱伝導板の間に形成された封鎖空間で、内部が第1の仕切り壁により第1の冷却用流体又は加熱用流体が流通する流路に仕切られている第1の流路空間と、第1の熱伝導板と第2の熱伝導板の間に形成された封鎖空間で、内部が第2の仕切り壁により被処理流体が流通する流路に仕切られている第2の流路空間と、第2の熱伝導板と第2の蓋体の間に形成された封鎖空間で、内部が第3の仕切り壁により第2の冷却用流体又は加熱用流体が流通する流路に仕切られている第3の流路空間とを備えて、第2の熱伝導板と第2の蓋体と第3の流路空間とが第1の熱伝導板に対して離合自在であって、第2の蓋体等が第1の熱伝導板から離れるときは、被処理流体が流通する流路が露出することを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するため、本発明に係る第2の観点による加熱・冷却装置は、第1の蓋体と、第1の蓋体と対向して配置される熱伝導板と、第1の蓋体の反対側に熱伝導板と対向して配置される第2の蓋体と、第1の蓋体と熱伝導板の間に形成された封鎖空間で、内部が第1の仕切り壁により被処理流体が流通する流路に仕切られている第1の流路空間と、熱伝導板と第2の蓋体の間に形成された封鎖空間で、内部が第2の仕切り壁により冷却用流体又は加熱用流体が流通する流路に仕切られている第2の流路空間とを備えて、第2の蓋体が熱伝導板に対して離合自在であって、第2の蓋体が熱伝導板から離れるときは、被処理流体が流通する流路が露出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る第3の観点による加熱・冷却装置は、内部に第1の冷却用流体又は加熱用流体が流通する第1の流路空間を有する円筒状の第1の熱伝導板と、第1の熱伝導板の外側に同軸に設けられ、第1の熱伝導板との間に内部空間が第1の仕切り壁により被処理流体が流通する流路に仕切られている第2の流路空間を形成する円筒状の第2の熱伝導板と、第2の熱伝導板の外側に同軸に設けられ、第2の熱伝導板との間に内部空間に第2の冷却用流体又は加熱用流体が流通する第3の流路空間を形成する円筒状の外套体とを備え、第2の熱伝導板と外套体に挟まれた第3の流路空間が、少なくとも2つに割れて、第1の熱伝導板から分離させることにより、被処理流体が流通する流路を露出させることができるようになっていることを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明に係る第4の観点による加熱・冷却装置は、内部に冷却用流体または加熱用流体が流通する第1の流路空間を有する円筒状の熱伝導板と、熱伝導板の外側に同軸に設けられ、熱伝導板との間に内部空間が、仕切り壁により被処理流体が流通する流路に仕切られている第2の流路空間を形成する円筒状の外套体とを備え、外套体が、軸方向に2つに分割されて、熱伝導板から分離させることにより、被処理流体が流通する流路を露出させることができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る加熱・冷却装置によれば、加熱・冷却装置内に残留物が堆積しても、外側の構造体部分を開くことで簡単に被処理流体の流路を露出させることができるので、流路内の残留物を容易に除去することができる。したがって、通常の熱交換器として使う場合にも、定期的な清掃作業が極めて簡単にできるようになる。さらに、多品種生産設備において、先のロットで使用した原料物質や中間原料物質により製品の汚染が問題になるような工程に本発明の加熱・冷却装置を適用すると、生産品種の切換に伴い適宜、流路を掃除することにより、製品へのコンタミネーションを防ぐことができる。したがって、特に粉粒体の製造工程において、従来製品汚染のため使用できなかった加熱・冷却装置を導入して効率よく生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る加熱・冷却装置の扉を開放した状態を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態の加熱・冷却装置の使用状態を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態の加熱・冷却装置の使用状態を示す一部断面斜視図である。
【図4】第1実施形態の加熱・冷却装置における本体部を扉部側から見た立面図である。
【図5】第1実施形態の加熱・冷却装置の使用状態における側面断面図である。
【図6】第1実施形態の加熱・冷却装置における本体部を外側から見たもので熱媒の流路を透過して表した立面図である。
【図7】第1実施形態の加熱・冷却装置における扉部を外側から見たもので熱媒の流路を透過して表した立面図である。
【図8】第1実施形態の加熱・冷却装置の別の態様における固定部材を中間部材側から見た立面図である。
【図9】第1実施形態の加熱・冷却装置のさらに別の態様における固定部材を中間部材側から見た立面図である。
【図10】第1実施形態の加熱・冷却装置を適用した多段粉砕工程の例を示すプロセスフロー図である。
【図11】第1実施形態の加熱・冷却装置を適用した表面処理工程の例を示すプロセスフロー図である。
【図12】第1実施形態の加熱・冷却装置を適用した粒子複合化工程の例を示すプロセスフロー図である。
【図13】第1実施形態の加熱・冷却装置を適用した粒子形状コントロール工程の例を示すプロセスフロー図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係る加熱・冷却装置の側面断面図である。
【図15】第2実施形態の加熱・冷却装置の別の態様における側面断面図である。
【図16】本発明の第3実施形態に係る加熱・冷却装置の例を示す主要部断面図である。
【図17】第3実施形態の加熱・冷却装置例の一部断面図である。
【図18】第3実施形態の加熱・冷却装置例の使用状態を表す平面図である。
【図19】第3実施形態の加熱・冷却装置例のケーシングを開けた状態を表す平面図である。
【図20】従来の多段粉砕工程のプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る加熱・冷却装置の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、図面においては、同じ機能を有する構成部材については同じ参照番号を付して説明を簡約にし、説明の重複を避けるようにした。
図1から図7は、第1実施形態について加熱・冷却装置の1態様例について説明する図面である。図1は扉を開放したときの状態を示す斜視図、図2は使用状態を示す斜視図、図3は使用状態における装置の中央を垂直に切断したところを示す一部断面斜視図である。
【0019】
図1から図3を参照すると、本態様の加熱・冷却装置は、第1の蓋体1と、第1の熱伝導板2と、第2の熱伝導板3と、第2の蓋体4と、これら円盤形状の板の間に形成される、第1の流路空間6と、第2の流路空間7と、第3の流路空間8とを備える。第2の熱伝導板3と第2の蓋体4とこれらに挟まれ封鎖された第3の流路空間8は、蝶番5を介して、第1の蓋体1と第1の熱伝導板2とこれらに挟まれ封鎖された第1の流路空間6に対して、回動可能に結合されている。
【0020】
第2の流路空間7は、第1の流路空間6とこれに付随する部分(以下において本体部10と呼ぶことがある)と第3の流路空間8とこれに付随する部分(以下において扉部20と呼ぶことがある)が閉じ合わされたときに、第1の熱伝導板2と第2の熱伝導板3に挟まれて形成される空間である。第2の流路空間7には加熱・冷却される被処理流体が流通し、第1の流路空間6と第3の流路空間8には冷媒あるいは熱媒が流通する。なお、本態様の加熱・冷却装置では、加熱・冷却される被処理流体として、特に、粉粒体を搬送気体で搬送する混合流体を対象としている。
熱伝導板は、金属など熱伝導性の良い物質で形成され、冷媒あるいは熱媒の冷熱や温熱を効率よく被処理流体に伝達する。蓋体は、熱伝導板に重ねてあるいはこれに代えて、断熱性の高い材料や断熱構造を利用して高い断熱性能を有するように形成され、冷媒あるいは熱媒から外気への熱流を遮断する機能を有する。
【0021】
本態様の加熱・冷却装置は、使用時には図2に示すように、台座9に固定された第1の流路空間6に付随する本体部10と第3の流路空間8に付随する扉部20が閉じ合わされて、第1の熱伝導板2と第2の熱伝導板3に挟まれて封鎖された第2の流路空間7が形成されている。しかし、必要に応じて、第2の蓋体4の中心部に設けられた被処理流体の入口フランジ45を図示しない被処理流体の供給配管から切り離し、第2の蓋体4の外周に設けられたフランジ46と第2の流路空間7の外周に設けられたフランジ74を締結している締結ボルト51を緩めてフランジ46から外し、取っ手47を掴んで引っ張ると、図1に示すように、両者の間が離れて蝶番5を回動軸として開く。扉部20が台座9に固定された本体部10に対して開くことにより、第2の流路空間7が露出する。
【0022】
このようにして、第2の流路空間7が露出して直接触れるようになるため、作業者は第2の流路空間7の中を直接清掃して、容易にかつ完全に残留物を排除することができる。第2の流路空間7の中が清浄になったら、第2の蓋体4のフランジ46と第2の流路空間7のフランジ74を合わせ、締結ボルト51を掛けて締めることにより、加熱・冷却装置は使用可能な状態に戻る。
図では、加熱・冷却装置と外部の配管類との接合について表示していないが、実際の使用状態では、接続された配管類と加熱・冷却装置における移動部材との切り離しおよび接続の作業を伴うことは言うまでもない。なお、外部の配管との配管接続部分にフレキシブル管などを用いることにより、扉部20を開閉するときに、配管との切り離しや接合の作業を省いてより簡単にすることができる。
【0023】
なお、残留物が堆積するのは、第2の流路空間7の中で仕切り壁75が形成する流路の部分である。そこで、仕切り壁75を本体部10の第1の熱伝導板2に固定する代わりに、扉部20の第2の熱伝導板3に固定すると、残留物は扉部20側に堆積するので、作業者が扉部20の内側に付いた堆積物を払い落とすようにすることができる。扉部20側に堆積するようにしたものは、扉部20を取り外して適宜の場所に移動して高度な除去作業をする場合に便利である。
【0024】
さらに、図4から図7を用いて、加熱・冷却装置の構成例を詳しく説明する。
図4は、台座9に固定される本体部10を第2の流路空間7の側から見た立面図である。また、図5は使用状態における加熱・冷却装置を中央で垂直に切断した面を表した側面断面図である。
図4に示した第2の流路空間7は、搬送気体に粉粒体が搬送された混合流体が流通する空間で、仕切り壁75により渦巻き状に流路76が形成されている。流路76の床は第1の熱伝導板2の面であり、開放側の面は使用状態では図5に示すように扉部20の第2の熱伝導板3に密接して封鎖される。
【0025】
流路76の始端は中心部にあり、加熱あるいは冷却される被処理流体は、第2の蓋体4に設置されたノズル44と扉部20の第3の流路空間8に設けられた貫通孔43を通して、フランジ45に接続された被処理流体の供給配管から供給される。第2の蓋体4に設置されるノズル44は、図2に示されたように、中心軸が貫通孔43の外周部に接する方向に形成されているので、ノズル44から供給される被処理流体は貫通孔43内を旋回しながら流入する。
【0026】
また、渦巻き状の流路76の終端は流路空間8の外周部にあり、加熱あるいは冷却された被処理流体は外周部を接線方向に走行し、ノズル72を介してフランジ71に接続された図示しない配管に排出される。
被処理流体が流通する流路の断面形状は、粉粒体を搬送する混合流体に適用する場合は、混合流体の流速が粉粒体を搬送するのに適した15m/sから25m/sの間になるように幅Wと高さDを選択する。また、板を介する熱伝導であるため、流路の熱伝達板に接触する幅Wをできるだけ大きく、W>3Dになるようにして、冷却性能あるいは加熱性能を向上させることが好ましい。
【0027】
第2の流路空間7の流路76における被処理流体の流れは、上記と逆の方向であっても良いことは言うまでもない。
また、被処理流体を供給するノズル44の中心軸は、貫通孔43の中心から離れたところを通るようにして被処理流体が旋回するようにしているが、貫通孔43の中心に向けて設置してもよい。さらに、ノズル44は、扉部20ではなく、本体部10の側に設けても良い。流体の供給部を本体部20に設けると、扉部20の開閉時にも、流体配管の切り離しや接続を行う必要がないので、作業がより簡易化する。
【0028】
図6は本体部10を第1の蓋体1のある外側から見た立面図で、第1の流路空間6の部分を透視して表示した図面である。なお、図中、ノズル72は第2の流路空間7の被処理流体が流出するノズルである。
本体部10は、第1の蓋体1と第1の熱伝導板2とこれらに挟まれた封鎖空間として形成された第1の流路空間6とを具備する。第1の流路空間6には、図中に透視図で示すように、仕切り壁62により適宜な形状を有する流路61が形成されている。この流路61には、加熱装置として使用するときは熱媒が流通し、冷却装置として使用するときは冷媒が流通する。
【0029】
流路61は、熱媒や冷媒の流速を所定の値以上に保持して、第1の熱伝導板2を介して伝達する熱量を確保するため、流路幅を適宜に狭めるようにしている。
また、流路61は、第1の熱伝導板2を挟んで流通する被処理流体の流れ方向に対応して、熱媒等を向流的または並流的に作用させるように導く形状に形成することが好ましい。図では、第2の流路空間7における被処理流体が中心から外周の方向に流れるのに対して、第1の流路空間6における熱媒等は、外周近傍に設けられた入口ノズル11から流入して、流路61に導かれて徐々に中心に向かって流れて、中心近傍に設けられた出口ノズル12から流出する。このように、図では、両流体に向流的に熱交換させている。熱媒等も被処理流体も流れの方向を逆にすることは簡単で、一方の流体を逆方向に流すと、両流体は並流的熱交換をするようになる。
【0030】
本体部10には、図1などに示したように、扉部20を回動させるための蝶番5が取り付けられている。
なお、本体部10は、第1の蓋体1と第1の熱伝導板2の周縁部同士を接合するボルトなどの接合具を解くことにより分解できる構造として、第1の流路空間6の内部を清掃することができる構成としてもよい。ただし、分解掃除をするときには、熱媒若しくは冷媒を第1の流路空間6から排除した上で、配管を切り離すか配管を遮断して行う必要がある。本体部10の分解掃除は、作業における手数と時間はかなり大きい上、製品の汚染などに関わるものではないので、経済的見地から見ても、生産品種の切り換えごとに行うものではなく、定期的な補修作業などの機会に行うことが適当である。
【0031】
図7は、第3の流路空間8に付随して移動する部分(扉部20)を第2の蓋体4のある外側から見た図面で、第3の流路空間8の部分を透視して表示した立面図である。
扉部20は、第2の蓋体4と第2の熱伝導板3とこれらに挟まれた封鎖空間として形成された第3の流路空間8とを具備する。第3の流路空間8には、図中に透視図で示すように、仕切り壁82により適宜な形状を有する流路81が形成されている。この流路81には、加熱装置として使用するときは熱媒が流通し、冷却装置として使用するときは冷媒が流通する。流路81のほぼ中央位置に、第2の流路空間7の被処理流体がノズル44に排出される途中に設けられる貫通孔43が配置されている。
【0032】
扉部20の流路81も、本体部10の流路61と同様に、適宜に狭めた流路幅を持って、熱媒等が外周近傍に設けられた入口ノズル41から流入して、流路81に導かれて第2の熱伝導板3の熱伝導面を万遍なく巡り徐々に中心に向かって流れて、中心近傍に設けられた出口ノズル42から流出する。ただし、流れの方向を取り替えることで、いつでも向流型と並流型の切り換えを行うことができる。
【0033】
蓋部20は、第2の蓋体4と第1の熱伝導板2の周縁部同士を接合する締結ボルト51などの接合具を解けば、図1などに示したように、本体部10に固定された蝶番5に係合した状態で本体部10に対して回動することができる。蓋部20が回動する場合に、蝶番5に係合するため、位置の再現性が高く、扉部20の開閉などの清掃準備作業を効率的に行うことができる。
【0034】
なお、装置から離れた位置で被処理流体用の第2の流路空間7の掃除を行う場合などは、蝶番5によらず、別途、吊具などの補助により扉部20の取り外しと搬送を行っても良い。また、扉部20との配管接続にフレキシブル管などを用いることにより、扉部20を本体部10から切り離して第2の流路空間7を掃除するときに、図示しない熱媒等の配管などとの切り離しを省いて作業をより簡便にすることができる。
【0035】
扉部20も、第2の蓋体4と第2の熱伝導板3の周縁部同士を接合するボルトなどの接合具を解くことにより分解して、第3の流路空間8の内部を清掃することができる構造としても良い。ただし、分解掃除をするときには、本体部10の分解掃除と同様、熱媒若しくは冷媒を第3の流路空間8から排除してから行う必要がある。扉部20の分解掃除も、作業における手数と時間はかなり大きい上、製品の汚染などに関わるものではないので、定期的な補修作業などの機会に行うことが適当である。
【0036】
図8は、本実施形態の第2の実施態様に係る加熱・冷却装置を説明する立面図である。図8は、台座9に固定される本体部10を扉部20の側から見た立面図で、第2の流路空間7の形状が明瞭に表れている。
本実施態様の加熱・冷却装置は、正方形に近い外形を有し、内部に形成される第2の流路空間7の中の流路は、外形の直線辺に適合するように、直交する直線部分91とやや円形のコーナー部分92で形成される渦巻き状形状になっている。
このように混合流体の流路に直交する直線部分91があっても、コーナー部分92で丸みを取って、混合流体の流れを妨げないようにしておけば、粉粒体の搬送に大きな支障はない。
【0037】
図9は、本実施形態の第3の実施態様に係る加熱・冷却装置を説明する図面で、本体部10を扉部20の側から見た立面図である。
本実施態様の加熱・冷却装置は、第2の流路空間7の流路76が2重の渦巻き形状になっていて、一方に中心方向に向かう流れと、他方に外周方向に向かう流れが、互いに隣り合わせに配置されている。流入した流体は、中心付近で他方の流路側に乗り移り、流入位置付近で流出する。この態様では、第2の流路空間7へ被処理流体が流入するノズル72の位置と流出する出口73の位置が共に外周部分となり、配管の設計・施工が単純になる。なお、流路の始端と終端を中心付近に置いて、流れが中心部から始まり外周付近まで流れて外周付近で転回して中心部まで戻るようにしてもよい。
この態様は、被処理流体の流入サイドと流出サイドが隣接するため、自己内熱交換して熱効率を低下させるおそれがありうるが、本態様では流路の幅Wが流路の高さDより大きいので、実効的な熱漏洩量は問題にならない。
【0038】
次に、本実施形態の加熱・冷却装置を設備に適用する利点について説明する。
先に説明した通り、特に品種の切り換えがある粉粒体処理装置では、先に取り扱った原料や中間生産物などが混入して品質を劣化させることを避けるため、残留物が発生しやすい加熱・冷却装置を工程内に取り込むことができなかった。このため、特に粉粒体を加熱・冷却する工程では、加熱・冷却した搬送気体を使って加熱・冷却処理している。このような工程で粉粒体と搬送気体の混合流体を加熱・冷却処理する場合は、粉粒体と搬送気体を一旦分離し、改めて新しく加熱・冷却した搬送気体で粉粒体を加熱・冷却処理していた。
【0039】
本実施形態の加熱・冷却装置は、上記の通り、本体部10と扉部20で構成され、本体部10と扉部20の間に被処理流体の加熱または冷却をする流路空間を備えるため、必要に応じて扉部20を開くことにより流路空間が露出され、装置内部の流路に堆積した被処理流体、特に搬送気体に混ぜられた粉粒体の堆積物を、簡単に除去することができる。
そこで、本実施形態の加熱・冷却装置の清掃容易性に注目して、多品種粉粒体処理設備に適用することにより、設備費用を節約し、生産性を向上させることができる。
【0040】
図10は、第1実施形態の加熱・冷却装置を適用した多段粉砕設備の例を示すプロセスフロー図である。本適用例は、図20に示された従来の多段粉砕設備の改良に係るもので、原料や粉砕品を気体で搬送しながら粉砕する機械式粉砕機を複数台インラインで接続する場合に必要とされる中間冷却に、本実施形態の加熱・冷却装置を適用したものである。ちなみに、従来設備では、各段の粉砕機ごとに粉砕品を捕集装置で回収し、供給機や除湿冷却器などを使って次段の粉砕機に投入する。したがって、除湿冷却器、供給機、捕集装置、ブロアなどの補機類は、各段ごとに必要となる。
【0041】
図10の設備では、2台の通気型機械式粉砕機を直列に配備し、その中間に冷却装置を介装している。1台目の粉砕機では、従来と同じく、除湿冷却器に外気を取り込んで冷媒で冷却し、水分を除去して冷却して搬送空気とし、原料供給機から定量供給される粉粒体を混入して、混合流体として粉砕機に供給する。2段目の粉砕機により製品粒度に整えられた粉粒体を含む搬送空気との混合流体は、ブロアで吸引されてバッグフィルタやサイクロンなどの捕集装置に運ばれ、そこで粉粒体が捕集されて製品タンクに貯留される。分離された空気はブロアから大気に放出される。
【0042】
除湿冷却器は、0℃以上の冷風を製造するならばプレートフィンタイプの冷却器が利用でき、さらに冷温にしたければ、吸着式除湿装置を用いて水分を除去した後にプレートフィンタイプの冷却器を使うことができる。冷媒には、冷水、ブライン、あるいはアルコールなどが使える。
粉粒体の定量供給は、テーブルフィーダ、スクリューフィーダ、振動フィーダなどで行うことができる。
【0043】
粉粒体を機械式微粉砕機で粉砕する場合、粉砕機自体を冷媒で冷却しても、粉砕動力に比例する温度上昇を伴う。1台の微粉砕機で細かく粉砕しようとすると、粉砕機の回転数上昇率の2乗を超える割合で粉砕機の動力が上昇するので、条件によって数10℃の温度上昇を来す場合がある。
したがって、高温に晒すと変質するような原料を扱うときは、機械式の粉砕では2段粉砕、3段粉砕など多段の粉砕が採用され、1段目から最終段に向かって徐々に細かくして目標の粒径に仕上げる。
従来設備では、粉砕の各段ごとに補機類を必要とするため設備コストは膨らみ、各段ごとに搬送空気を除湿冷却するのでエネルギーコストも過剰になる。
【0044】
これに対して、本実施形態の冷却装置を粉砕機の間に配置して、各段での温度上昇分を除熱して次段に流すような設備にすることにより、中間の補機類が節約でき、設備の簡約化を図ることができる。本実施形態の冷却装置を用いれば、以前の工程中に冷却装置内に残留した堆積物は、冷却器の扉部を開いて流路空間を露出させることにより、簡単に除去することができる。したがって、たとえば医薬製造装置など、取扱い品種の切り換えが頻繁な装置であっても、製品に不純物が混入して品質の低下を心配する必要がない。
本実施形態の加熱・冷却装置には、内部堆積物を簡単に除去できる特性が備わっているため、従来は図20に示すような構成が普通であった多段粉砕フローにおいても、図10に示すような中間冷却が可能な処理設備を構成することができる。
【0045】
図11は、第1実施形態の加熱・冷却装置を適用した粉粒体表面処理設備の例を示すプロセスフロー図である。本適用例は、通気型の機械式粉砕機で所定の粒度に粉砕した粉粒体を表面処理装置に掛けて製品化する場合に必要とされる中間冷却に、本実施形態の加熱・冷却装置を適用したものである。フロー的には、図10の設備における2段目の粉砕機を表面処理装置に入れ替えたものと同じである。表面処理には、粉粒体の球状化処理などがある。
通常別系統で行う表面処理装置のための冷却処理をインラインで行うことができるので、図10に示す設備と同様に、表面処理装置の補機類を節減することができ、エネルギーコストも節約することができる。
【0046】
図12は、第1実施形態の加熱・冷却装置を適用した粉粒体形状調整設備の例を示すプロセスフロー図である。本適用例は、粉粒体原料を搬送空気に載せて本実施形態の加熱装置に供給して、原料の温度を上げて粉砕され難くしてから、微粉砕機などを利用した通気型の機械式処理装置で粒子の球状化や表面の平滑化を行うことができる装置に供給し、粉砕のエネルギーを粒子形状のコントロールに使用することによって、所望の形状の粉粒体を得るようにしたもので、処理装置から排出された粉粒体を捕集装置で回収するまでに、粒子の形状を安定化させるために冷却する装置として、本実施形態の冷却装置を適用している。多品種処理設備では、本実施形態に係る簡単に残留物を除去できる熱交換器でなければ、利用できなかった。
【0047】
図13は、第1実施形態の加熱・冷却装置を適用した複合化処理設備の例を示すプロセスフロー図である。本適用例は、たとえば樹脂形の粒子表面を金属系の微粒子でコーティングする処理など、母粒子表面に子粒子を付ける複合化処理を行う設備で、母粒子を搬送空気と共に本実施形態の加熱装置により加熱して昇温し、子粒子が付着しやすくして複合化処理の効率を上昇させるものである。複合化後には、形状を安定化するために、本実施形態の冷却装置を導入して、冷却する。冷却して安定した製品は捕集装置で回収して製品ホッパに貯留する。
なお、子粒子の方を加熱する場合や、母粒子と子粒子の両方を加熱する場合もある。
【0048】
対象粒子を変更する場合は、加熱・冷却装置の扉部を開いて被処理流体の流路を露出させ、溜まっている前のロットの粉粒体を除去してから、扉部を閉じて、新しいロットの処理を行えば、製品のコンタミネーションが生じることがない。
【0049】
図14は、本発明の第2実施形態に係る加熱・冷却装置を示す断面図である。
本実施形態の加熱・冷却装置は、第1の蓋体1と熱伝導板21の間に形成され内部に加熱用流体又は冷却用流体が流通する流路が形成された第1の流路空間6と、熱伝導板21と第2の蓋体48の間に形成され内部に被処理流体が流通する流路が形成された第2の流路空間7を備えた加熱・冷却装置で、第1の流路空間6と第2の流路空間7が本体部10を構成し、第2の蓋体48が扉部20を構成する。
【0050】
本実施形態の加熱・冷却装置は、図5に示す第1実施形態の加熱・冷却装置と比較して、扉部20の構成において、第2の熱伝導板3と第3の流路空間8と第2の蓋体4が蓋体48に縮退した構造を有するもので、本体部10や、被処理流体の流路を備える第2の流路空間7などの構成には異なることがない。本実施形態の加熱・冷却装置は、被処理流体の流路に対して熱媒や冷媒を使った加熱・冷却は片面からのみ行い、扉部20側からは断熱性の蓋体48で遮熱するだけである。
【0051】
すなわち、蓋体48は、断熱性の良い材料で形成したり、金属などの材料に保温材や断熱構造で断熱処理を行ったりすることで構成され、本体部10の第2の流路空間7へ被処理流体を供給する貫通孔43を備えるが、第1実施形態では備えた流路空間は備えない。
蓋体48が、扉部20として本体部10の第2の流路空間7を塞ぐと、第1の熱導電板2と共に第2の流路空間7の壁を形成する。したがって、第2の流路空間7は、本体部10の第1の流路空間6に供給される熱媒もしくは冷媒から熱あるいは冷熱を供給され、扉部20の方は断熱機能により遮熱される。
本実施形態の加熱・冷却装置は、扉部20に繋がる熱媒・冷媒用の配管がないので、扉部20の開閉が極めて簡単になり、内部清掃が容易である。
【0052】
また、図15は、第2実施形態の第2の態様に係る加熱・冷却装置を示す断面図である。図14に表示した加熱・冷却装置では、第2の流路空間7へ被処理流体を供給する貫通孔43を扉部20に設けているが、第2の態様に係る加熱・冷却装置では、貫通孔43を第1の流路空間6に設け、本体部10の第1の蓋体1の側で被処理流体を供給する配管に接続している。
このような構成では、扉部20が1枚の断熱機能を有する板体になって簡単化される上、配管類が扉部20に接続されず全て本体部10に接続されて、扉部20を開閉するときに配管の処理が不要になるので、分解・組立作業を簡素化し作業時間を短縮化することができる。
本実施形態の加熱・冷却装置も、第1実施形態の加熱・冷却装置と同様の用途に適用することができる。
【0053】
図16から図19は、本発明の第3実施形態に係る加熱・冷却装置を説明する図面である。図16は本実施形態の加熱・冷却装置例を示す主要部断面図、図17はその一部断面図、図18は使用状態を表す平面図、図19はケーシングを開けた状態を表す平面図である。
本実施形態の加熱・冷却装置は、内部に冷媒あるいは熱媒を流す空間111を備え、外周面に螺旋状の仕切り114を設けた内筒110と、冷媒あるいは熱媒を流す第1の流路空間121を持ち、軸方向に半割りになって開閉可能な外筒120で構成されたものである。
【0054】
外筒120を閉じると、外筒120の内壁と内筒110の表面の間に空気などの搬送気体に粉粒体を混入した被処理流体が流れる第2の流路空間130が形成される。被処理流体は、入口131から供給され、内筒110表面の円筒部を下降し、出口133から排出される。被処理流体の流れ方向は出口と入口を逆にして第2の流路空間130を上昇するものであってもよい。
【0055】
第2の流路空間130には螺旋状の仕切り114が配置されているため、第2の流路空間130を流通する流体が旋回して滞留時間が長くなり、第2の流路空間130の外壁の筒形をした熱伝導板124及び内壁の筒形をした熱伝導板115を介して熱媒あるいは冷媒と効果的に熱交換する。螺旋状の仕切り114は、軸方向に30°から70°傾いていることが好ましい。傾き角は大きいほど冷却あるいは加熱の効果が高いが、圧損が大きくなるので、条件に従って角度を選択する。螺旋状の仕切り114は、外筒120の内壁に取り付けても良いが、外筒120は半割り構造になるので、仕切り114のつなぎ目に段差が生じないようにする必要があり、製作はより困難になる。なお、螺旋状の仕切り114は、無くても機能することは言うまでもない。
【0056】
内筒110の内部空間111には、熱媒あるいは冷媒が内部空間111の下に設けられた入口ノズル112から供給され、上に設けられた出口ノズル113から排出される。熱媒あるいは冷媒は、内部空間111を通過する間に熱伝導板115を介して被処理流体に熱あるいは冷熱を供給する。また、熱媒あるいは冷媒の流れ方向は逆であっても良い。
なお、流速を上げて伝熱の効率を上げるため、内部空間111には図示しない中子を設けて、流路の断面積を小さくし、熱媒や冷媒の流速を上げるようにしても良い。さらに、加熱・冷却の負荷が小さい場合は、内部空間111を使った熱交換を省いてもよい。この場合は、内部空間111を中実にして熱媒等の流体が流通しないようにしても良い。
【0057】
外筒120の壁内に仕込まれた第1の流路空間121には、熱媒あるいは冷媒が第1の流路空間121の下側の入口ノズル122から供給され、上に設けられた出口ノズル123から排出される。熱媒あるいは冷媒は、第1の流路空間121を通過する間に熱伝導板124を介して第2の流路空間130内の被処理流体に熱あるいは冷熱を供給する。
【0058】
外筒120は、軸方向に半割りになって半割り部125,126に分離され、回動軸140を軸として開閉可能になっている。半割り部125,126を開けると、螺旋状仕切り114を備えた第2の流路空間130が露出するので、作業者は、第2の流路空間130の内を清掃して、コンタミネーションの原因になりうる堆積物を除去することができる。
【0059】
なお、外筒120を開くときは、熱媒等の入口ノズルや出口ノズルを熱媒等の配管から絶縁し、粉粒体と搬送気体の混合流体の入口131や出口133と繋がるフランジ132,134を供給配管や排出配管のフランジと絶縁して、半割り部125,126を回動させる。なお、たとえばフレキシブル管を用いることにより、接続したまま外筒120を開閉することもできる。
【0060】
さらに、別の態様に係る加熱・冷却装置として、外筒120を、熱媒等が流通する第1の流路空間121を壁内に仕込まない断熱性の半割り扉として、外筒120を閉じると外筒120の内壁と内筒110の表面の間に空気などの搬送気体に粉粒体を混入した被処理流体が流れる第2の流路空間130が形成されるようにしてもよい。熱媒・冷媒は、内筒110の流路空間111を流れて、熱伝導板の壁115を介して第2の流路空間130を流れる被処理流体と熱交換する。
【0061】
このような構成を有する加熱・冷却装置では、可動部となる外筒120に外部の熱媒・冷媒の配管と接続するノズル類が存在しないので、外筒120の構造が単純化する上、外筒120の開閉に際して、熱媒・冷媒の配管を着脱する必要がなくなるので、作業手数と作業時間を減少させ、設備費用と運転費用の節減を可能にする。
さらに、被処理流体が流れる第2の流路空間130に被処理流体を供給する配管と排出する配管を内筒110内部を通るように配置すると、熱媒・冷媒と被処理流体の全ての配管が、開閉する外筒120と関連しないので、設備費用と運転費用のより大きな節減が可能になる。
【0062】
本実施形態の加熱・冷却装置は、第1実施形態あるいは第2実施形態の装置と比較して、混合流体の出入口における流れをスムーズにできるので、付着性の高い粉粒体に有効である。また、第1実施形態あるいは第2実施形態の装置では、大風量になると径が過大になって対処しきれない場合があるのに対して、本実施形態の加熱・冷却装置では径と高さの両方を調整して対処することが可能なので、より広い条件に対応することができる。
【0063】
本実施形態の加熱・冷却装置も、気体で搬送中の粉粒体に対して、熱媒あるいは冷媒で加熱あるいは冷却することができ、しかも、装置全体を分解することなく、扉の開閉だけで内部の接粉部を簡単に洗浄することができる。したがって、第1実施形態の加熱・冷却装置と同様の用途に適用することができる。
【0064】
また、従来の二重管式熱交換器においても、外筒を管軸方向に2つに割った二つ割構造にして外筒を開けると内筒表面が露出するようにして、外筒と内筒の間に形成される流路空間に被処理流体を流通させ、内筒内に熱媒あるいは冷媒を流通させるようにした加熱・冷却装置を提供することができる。このような加熱・冷却装置は、扉の開閉だけで内部の接粉部を簡単に洗浄することができ、第1実施形態の加熱・冷却装置と同様の用途に適用することができる。なお、内筒の径を適度に小さくして、内筒内の流路空間を流通する熱媒等の流速を適度なものにすると、効率的な熱交換をさせることができる。
【0065】
上記各実施形態では、粉粒体の気流輸送流体について説明したが、被処理流体の流路を洗浄することによって、製品のコンタミネーションを防ぐ要請があれば、他の流体についても本発明の加熱冷却装置を適用することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の加熱・冷却装置は、コンタミネーションを避ける必要がある工程に適用することにより、生産等の効率化を行うことができる。特に、食品、医薬原料、炭素系材料、樹脂ベースの化成品、その他、様々な粉粒体材料の処理工程に利用して、生産などの効率化を行うことができる。
【符号の説明】
【0067】
1 第1の蓋体
2 第1の熱伝導板
3 第2の熱伝導板
4 第2の蓋体
5 蝶番
6 第1の流路空間
7 第2の流路空間
8 第3の流路空間
9 台座
10 本体部
11 入口ノズル
12 出口ノズル
20 扉部
21 熱伝導板
41 入口ノズル
42 出口ノズル
43 貫通孔
44 ノズル
45 フランジ
46 フランジ
47 取っ手
48 蓋体
51 締結ボルト
61 流路
62 仕切り壁
71 フランジ
72 ノズル
73 出口
74 フランジ
75 仕切り壁
76 流路
81 流路
82 仕切り壁
91 直線部分
92 コーナー部分
110 内筒
111 内部空間
112 入口ノズル
113 出口ノズル
114 螺旋状仕切り
115 熱伝導板
120 外筒
121 第1の流路空間
124 熱伝導板
125,126 半割り部
130 第2の流路空間
131 入口
132,134 フランジ
133 出口
140 回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の蓋体と、
該第1の蓋体と対向して配置される第1の熱伝導板と、
前記第1の蓋体の反対側に前記第1の熱伝導板と対向して平行に配置される第2の熱伝導板と、
前記第1の熱伝導板の反対側に前記第2の熱伝導板と対向して配置される第2の蓋体と、
前記第1の蓋体と前記第1の熱伝導板の間に形成された封鎖空間で、内部が第1の仕切り壁により第1の加熱用流体又は冷却用流体が流通する流路に仕切られている第1の流路空間と、
前記第1の熱伝導板と前記第2の熱伝導板の間に形成された封鎖空間で、内部が第2の仕切り壁により被処理流体が流通する流路に仕切られている第2の流路空間と、
前記第2の熱伝導板と前記第2の蓋体の間に形成された封鎖空間で、内部が第3の仕切り壁により第2の加熱用流体又は冷却用流体が流通する流路に仕切られている第3の流路空間と、
を備えた加熱・冷却装置であって、
前記第2の蓋体と前記第2の熱伝導板とこれらの間に形成された前記第3の流路空間が、該第3の流路空間と前記第1の流路空間を封鎖した状態で前記第1の熱伝導板に対して離合させることができ、該第2の蓋体と前記第2の熱伝導板と前記第3の流路空間とが前記第1の熱伝導板から離れるときは、前記被処理流体が流通する流路が露出する、加熱・冷却装置。
【請求項2】
前記第2の蓋体と前記第2の熱伝導板とこれらの間に形成された前記第3の流路空間は、前記第1の熱伝導板または前記第1の蓋体に固定された蝶番に回動自在に係止されている、請求項1記載の加熱・冷却装置。
【請求項3】
前記第2の仕切り壁は、前記第2の熱伝導板に固定されて前記第3の流路空間と共に離合する、請求項1または2記載の加熱・冷却装置。
【請求項4】
前記第2の仕切り壁は、前記第1の熱伝導板に固定されている、請求項1または2記載の加熱・冷却装置。
【請求項5】
第1の蓋体と、
該第1の蓋体と対向して配置される熱伝導板と、
前記第1の蓋体の反対側に前記熱伝導板と対向して配置される第2の蓋体と、
前記第1の蓋体と前記熱伝導板の間に形成された封鎖空間で、内部が第1の仕切り壁により加熱用流体又は冷却用流体が流通する流路に仕切られている第1の流路空間と、
前記熱伝導板と前記第2の蓋体の間に形成された封鎖空間で、内部が第2の仕切り壁により被処理流体が流通する流路に仕切られている第2の流路空間と、
を備えた加熱・冷却装置であって、
前記第2の蓋体が、前記第1の流路空間を封鎖した状態で前記熱伝導板に対して離合させることができ、該第2の蓋体が前記熱伝導板から離れるときは、前記被処理流体が流通する流路が露出する、加熱・冷却装置。
【請求項6】
前記第2の蓋体は、前記第1の熱伝導板または前記第1の蓋体に固定された蝶番に回動自在に係止されている、請求項5記載の加熱・冷却装置。
【請求項7】
前記第2の仕切り壁は、前記第2の蓋体に固定されて該第2の蓋体と共に離合する、請求項5または6記載の加熱・冷却装置。
【請求項8】
前記第2の仕切り壁は、前記熱伝導板に固定されている、請求項5または6記載の加熱・冷却装置。
【請求項9】
前記被処理流体は、粉粒体と搬送気体の混合流体である、請求項1から8のいずれか1項に記載の加熱・冷却装置。
【請求項10】
前記被処理流体が流通する流路は、熱伝導板に垂直な方向の代表的な厚さをDとし、該流路の代表的な幅をWとするとき、W>3Dの関係がある、請求項1から9のいずれか1項に記載の加熱・冷却装置。
【請求項11】
前記被処理流体が流通する流路は、渦巻き状に形成される、請求項1から10のいずれか1項に記載の加熱・冷却装置。
【請求項12】
前記被処理流体が流通する流路の渦巻き状形状は、直線部分を含む、請求項11記載の加熱・冷却装置。
【請求項13】
前記被処理流体が流通する流路は、渦巻き状に往復する形状に形成され、該流路の入口と出口がいずれも外周側に形成される、請求項1から10のいずれか1項に記載の加熱・冷却装置。
【請求項14】
前記被処理流体が流通する流路は、入口ノズルと出口ノズルのいずれか一方または両方が前記第1の流路空間を貫通して前記第1の蓋体に設けられる、請求項1から13のいずれか1項に記載の加熱・冷却装置。
【請求項15】
内部に第1の冷却用流体または加熱用流体が流通する第1の流路空間を有する円筒状の第1の熱伝導板と、
該第1の熱伝導板の外側に同軸に設けられ、該第1の熱伝導板との間に、内部空間が仕切り壁により被処理流体が流通する流路に仕切られている第2の流路空間を形成する円筒状の第2の熱伝導板と、
該第2の熱伝導板の外側に同軸に設けられ、該第2の熱伝導板との間に、内部空間に第2の冷却用流体または加熱用流体が流通する第3の流路空間を形成する円筒状の外套体と、を備えた加熱・冷却装置であって、
前記第2の熱伝導板と前記外套体に挟まれた第3の流路空間が、軸方向に少なくとも2つに分割されて、前記第1の熱伝導板から分離させることにより、前記被処理流体が流通する流路を露出させることができる、加熱・冷却装置。
【請求項16】
前記第2の熱伝導板と前記外套体に挟まれた第3の流路空間が、2つに割れて、蝶番により回動可能に支持されて、前記第1の熱伝導板から分離させることができる、請求項15記載の加熱・冷却装置。
【請求項17】
内部に冷却用流体または加熱用流体が流通する第1の流路空間を有する円筒状の熱伝導板と、
該熱伝導板の外側に同軸に設けられ、該熱伝導板との間に、内部空間が仕切り壁により被処理流体が流通する流路に仕切られている第2の流路空間を形成する円筒状の外套体と、を備えた加熱・冷却装置であって、
前記外套体が、軸方向に2つに分割されて、前記熱伝導板から分離させることにより、前記被処理流体が流通する流路を露出させることができる、加熱・冷却装置。
【請求項18】
前記仕切り壁は、スクリュー状形状に形成されている、請求項15から17のいずれか1項に記載の加熱・冷却装置。
【請求項19】
前記仕切り壁は、前記第1の熱伝導板に固定されている、請求項15から18のいずれか1項に記載の加熱・冷却装置。
【請求項20】
前記被処理流体は、粉粒体と搬送気体の混合流体である、請求項15から19のいずれか1項に記載の加熱・冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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