説明

加熱処理装置および穀物飼料製造装置

【課題】処理コストの低減を図りつつ効率的な加熱処理を実現し得る加熱処理装置を提供する。
【解決手段】水平面に対して所定の傾斜角度で傾斜する傾斜面を有する傾斜部27と、傾斜部27を低所側から高所側に向かう向きに振動させる振動モータ25,26と、傾斜部の高所側に供給されて傾斜面に沿って高所側から低所側に向けて移動する食物原料に対して熱線を照射して加熱する加熱部12とを備えて、食物原料に対する加熱処理を可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食物原料に対する加熱処理を可能に構成された加熱処理装置、およびその加熱処理装置を備えて穀物飼料を製造可能に構成された穀物飼料製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大麦等の穀物を原料とする家畜用の飼料として、穀物を粉体に加工することなく圧延加工(圧ぺん加工)することによって製造される圧ぺん飼料や、この圧ぺん飼料に栄養成分を添加した飼料(例えば、特開平6−105656号公報に開示された製造方法によって製造される家畜飼料)が知られている。この種の圧ぺん飼料は、原料(穀物)を加熱処理して膨化させ、その状態の原料を圧延加工することによって製造される。この場合、穀物の加熱処理に用いられる加熱装置としては、例えば、原料に熱風を吹きかけて加熱する加熱装置(例えば、特開2003−90680号公報に開示された乾燥装置(気体噴出処理装置))が知られている。この乾燥装置は、ハウジング内に配設された複数のチャンバ、並びにハウジング内に形成された気体加熱室および処理室を備えて構成されている。この乾燥装置では、気体加熱室内の空気がバーナによって加熱されて高温となり、その高温の空気(熱風)がファンによってチャンバに送り込まれて、チャンバに配設されたノズルから噴出される。この際に、噴出された熱風がコンベアによって処理室内に搬送される被処理物(ワーク)に吹きかけられる(接触する)ことにより、被処理物が高温となって加熱処理される。
【特許文献1】特開平6−105656号公報(第2−3頁)
【特許文献2】特開2003−90680号公報(第3−4頁、第1、2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記の乾燥装置には、以下の問題点がある。すなわち、この乾燥装置では、加熱処理がすべてハウジング内で行われる。このため、従来のこの乾燥装置には、装置が大掛かりとなって装置自体のコストが高騰し、これに起因して原料(被処理物)の加熱処理コスト、ひいては加熱処理した原料を用いる飼料の製造コストが高騰するという問題点が存在する。また、従来の乾燥装置では、熱風を吹きかけることによって原料を加熱処理している。この場合、原料としての穀物を加熱処理する際には、飛散を防止するために、吹きかける熱風の風量や風速を小さく抑える必要がある。このため、従来の乾燥装置には、加熱処理に長時間を要する結果、処理効率の向上が困難であるという問題点も存在する。
【0004】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、処理コストの低減を図りつつ効率的な加熱処理を実現し得る加熱処理装置および穀物飼料製造装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成すべく請求項1記載の加熱処理装置は、水平面に対して所定の傾斜角度で傾斜する傾斜面を有する傾斜部と、当該傾斜部を低所側から高所側に向かう向きに振動させる振動モータと、前記傾斜部の前記高所側に供給されて前記傾斜面に沿って当該高所側から前記低所側に向けて移動する食物原料に対して熱線を照射して加熱する加熱部とを備えて、前記食物原料に対する加熱処理を可能に構成されている。
【0006】
また、請求項2記載の加熱処理装置は、請求項1記載の加熱処理装置において、前記傾斜部は、前記傾斜面における前記所定の傾斜角度を調整可能に構成されている。
【0007】
また、請求項3記載の加熱処理装置は、請求項1または2記載の加熱処理装置において、前記傾斜部は、前記所定の傾斜角度で傾斜した状態で前記高所側に配置された矩形の第1板材と、前記所定の傾斜角度で傾斜した状態で前記低所側に配置された矩形の第2板材とで構成され、前記第1板材および前記第2板材は、互いに近接する各々の端部同士が平面視状態において互いに重なり合い、かつ当該第1板材における当該端部が所定の高さだけ当該第2板材における当該端部の上方に位置するように配置されている。
【0008】
また、請求項4記載の穀物飼料製造装置は、請求項1から3のいずれかに記載の加熱処理装置と、当該加熱処理装置における前記傾斜部の前記低所側に配設されて前記加熱処理装置によって加熱処理された前記食物原料としての穀物に対して圧延加工を行う圧延装置とを備えて、穀物飼料を製造可能に構成されている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の加熱処理装置によれば、水平面に対して所定の傾斜角度で傾斜する傾斜面を有する傾斜部と、傾斜部を低所側から高所側に向かう向き(上流向き)に振動させる振動モータと、傾斜部の傾斜面に沿って高所側から低所側に向けて(下流向きに)移動する食物原料に対して熱線を照射して加熱する加熱部とを備えたことにより、ハウジング内で加熱処理が行われる従来の乾燥装置とは異なり、ハウジングをはじめ、チャンバ、気体加熱室および処理室など設備、つまり従来の乾燥装置を構成する各設備のうちのバーナおよびファン等の加熱のための設備やコンベア等の原料搬送用の設備を除く各種設備を不要にできる分だけ、加熱処理装置を簡易に構成することができる。したがって、この加熱処理装置によれば、装置自体のコスト、および食物原料の加熱処理コストを十分に低減することができる。
【0010】
また、請求項2記載の加熱処理装置によれば、傾斜面の傾斜角度を調整可能に傾斜部を構成したことにより、例えば食物原料としての穀物のうちの完熟粒に加わる重力の下流向きの分力が傾斜部の振動に起因して完熟粒に加わる上流向きの外力よりも大きくなるように傾斜面の傾斜角度を調整することで、完熟粒を下流向きに移動させると共に、穀物に含まれている殻や粃を上流向きに移動させることができる。このため、穀物に含まれている殻や粃を完熟粒から選別して除去する工程を別途設ける必要がない分、食物原料の加熱処理コストを一層低減することができる。
【0011】
また、請求項3記載の加熱処理装置によれば、所定の傾斜角度で傾斜した状態で高所側および低所側にそれぞれ配置された第1板材および第2板材で傾斜部を構成し、互いに近接する両板材の端部同士が平面視状態において互いに重なり合い、かつ第1板材における端部が所定の高さだけ第2板材における端部の上方に位置するように両板材を配置したことにより、例えば食物原料としての穀物に含まれている殻や粃を両板材における各端部の間の隙間から落下させることができる。したがって、この加熱処理装置によれば、食物原料の加熱処理コストを低減しつつ食物原料としての穀物に含まれている殻や粃を完熟粒から選別して確実に除去することができる。
【0012】
また、請求項4記載の穀物飼料製造装置によれば、上記の加熱処理装置と加熱処理装置によって加熱処理された穀物に対して圧延加工を行う圧延装置とを備えたことにより、加熱処理装置のコスト、および加熱処理装置による食物原料の加熱処理コストを十分に低減することができるため、穀物飼料の製造コストを十分に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る加熱処理装置および穀物飼料製造装置の最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
最初に、穀物飼料製造装置100の構成について説明する。図1に示す穀物飼料製造装置100は、本発明に係る穀物飼料製造装置の一例であって、同図に示すように、加熱処理装置1、圧延装置2および原料供給装置3を備えて、本発明における穀物飼料の一例としての圧ぺん飼料221(図6参照)を製造可能に構成されている。この場合、圧ぺん飼料221は、主として家畜の肥育に用いられる飼料であって、大麦、えん麦、マイロおよびトウモロコシ等の穀物(本発明における食物原料であって、以下、「穀物原料201」(図6参照)ともいう)を原料として製造される。
【0015】
加熱処理装置1は、本発明に係る加熱処理装置の一例であって、図1に示すように、本体部11および加熱部12を備えて構成されている。本体部11は、図1,2に示すように、4つの脚部21(1つは隠れている)、筐体22、第1板材23、第2板材24および振動モータ25,26を備えて構成されている。脚部21は、先端部(両図における下部)が設置場所の床面に固定される。筐体22は、脚部21の上に取り付けられている。この場合、筐体22の上部には、第1板材23および第2板材24を取り付けるための開口部22aが形成されている。また、筐体22は、図2に示すように、一端部22b側が高く、他端部22c側が低く構成されている。また、筐体22の側面22dには、後述するボルト23c,24cを挿通可能な長孔22eが形成されている。
【0016】
第1板材23および第2板材24は、傾斜部27(本発明における傾斜部に相当する:図1,2参照)を構成し、例えば鉄やステンレス等の金属によって形成されている。この場合、両板材23,24は、幅W1(図2参照)が筐体22における開口部22aの幅W2(同図参照)と同じで(または、やや狭く)、かつその長さL1(図3参照)が開口部22aの長さL2(同図参照)の半分の長さよりもやや長い矩形にそれぞれ構成されている。また、第1板材23は、同図に示すように、水平面に対して傾斜した状態で、筐体22の開口部22aにおける一端部22b側に配設され、第2板材24は、水平面に対して傾斜した状態で、筐体22の開口部22aにおける他端部22c側に配置されている。この場合、この加熱処理装置1では、水平面に対する両板材23,24の傾斜角度を任意に調整することが可能となっている。具体的には、両板材23,24は、各側端面に取り付けられているボルト23c,24cを筐体22の側面22dに形成されている長孔22eに挿通させてナットによって締め付けることで固定されており、各ボルト23c,24cの位置を調整することで傾斜角度の調整が可能となっている。
【0017】
さらに、各板材23,24は、図3に示すように、互いに近接する各々の端部(第1板材23の低所側端部23b、および第2板材24の高所側端部24a)同士が平面視状態において互いに重なり合い、かつ第1板材23における低所側端部23bが所定の高さ(例えば数cm)だけ第2板材24における高所側端部24aの上方に位置するように配置されている。つまり、第1板材23の低所側端部23bと第2板材24の高所側端部24aとの間には数cm程度の隙間が形成されている。
【0018】
振動モータ25は、第1板材23の裏面側に配設されて、第1板材23を低所側端部23bから高所側端部23aに向かう向きに振動させる。また、振動モータ26は、第2板材24の裏面側に配設されて、第2板材24を低所側端部24bから高所側端部24aに向かう向きに振動させる(以下、低所側端部23bから高所側端部23aに向かう向き、および低所側端部24bから高所側端部24aに向かう向きを「上流向き」ともいう)。この場合、この加熱処理装置1では、水平方向に対して傾斜している両板材23,24が上流向きに振動させられるため、穀物原料201には、高所側端部23a,24aから低所側端部23b,24bに向かう向き(以下、この向きを「下流向き」ともいう)に沿って重力の分力が加わると共に、振動によって上流向きに外力が加わっている。このため、この加熱処理装置1では、穀物原料201のうちの実が充填されてる重い粒(完熟粒)に加わる重力の下流向きの分力が上流向きの外力よりも大きくなるように両板材23,24の傾斜角度を所定の角度(例えば5°程度)に調整することにより、完熟粒を下流向きに移動させると共に、穀物原料201に含まれている殻や粃を上流向きに移動させることが可能となっている。
【0019】
加熱部12は、図4に示すように、赤外線(本発明における熱線の一例)を照射する複数の赤外線ヒータ31と、赤外線ヒータ31が配設される筐体32と、筐体32の内側に配設された反射板(図示せず)と、赤外線ヒータ31に対して供給する電力の電圧値を設定操作する操作部(図示せず)とを備えて構成されている。この場合、加熱部12は、図1に示すように、本体部11における両板材23,24の上方に配設されて、両板材23,24に沿って移動する穀物原料201に向けて赤外線を照射することにより、穀物原料201を加熱する。
【0020】
ここで、この加熱処理装置1は、ハウジング内で加熱処理が行われる従来の乾燥装置とは異なり、ハウジングをはじめ、チャンバ、気体加熱室および処理室など設備、つまり従来の乾燥装置を構成する各設備のうちのバーナおよびファン等の原料加熱のための設備やコンベア等の原料搬送用の設備を除く各種設備を不要にできる分だけ、簡易な構成となっている。このため、この加熱処理装置1では、装置自体のコスト、および穀物原料201の加熱処理コストを低減することが可能となっている。
【0021】
圧延装置2は、ローラー圧延装置であって、図5に示すように、一対のローラー41、ローラー41を回転させる回転機構(図示せず)、並びにローラー41および回転機構が収容される筐体42を備えて構成されている。この場合、圧延装置2は、図1に示すように、加熱処理装置1における筐体22の他端部22c側(本発明における傾斜部の低所側)に配設されて、加熱処理装置1によって加熱処理された穀物原料201(以下、加熱処理後の穀物原料201を「中間体211」ともいう)を圧延加工する。
【0022】
原料供給装置3は、穀物原料201を図外の貯留タンクから搬送して、加熱処理装置1の本体部11における第1板材23の高所側端部23a(本発明における傾斜部の高所側)に供給する。
【0023】
次に、穀物飼料製造装置100を用いて図6に示す圧ぺん飼料221を製造する方法について、図面を参照して説明する。
【0024】
まず、両板材23,24のボルト23c,24cの位置を調整することにより、穀物原料201(例えば大麦)の完熟粒の重量に合わせて傾斜角度を例えば5°に調整する。次いで、加熱処理装置1における加熱部12の操作部を操作して、赤外線ヒータ31に供給する電力の電圧値を、加熱温度に応じて予め規定された電圧値に設定する。続いて、本体部11の振動モータ25,26を始動させる。この際に、振動モータ25,26の振動が両板材23,24に伝達して、両板材23,24が振動を開始する。次いで、圧延装置2を始動させる。
【0025】
続いて、原料供給装置3を始動させて、図外の貯留タンクに貯留されている穀物原料201の搬送を開始する。これにより、加熱処理装置1の本体部11における第1板材23の高所側端部23aにホッパ51(図1参照)を介して穀物原料201が供給される。この際に、供給された穀物原料201のうちの完熟粒は、上記したように、重力の下流向きの分力が上流向きの外力よりも大きいため、第1板材23に沿って下流向きに徐々に移動する。一方、穀物原料201に含まれている殻や粃は、上流向きの外力が重力の下流向きの分力よりも大きくなるため、上流向きに移動して筐体22の一端部22b側における開口部22aの縁部で堰き止められて、第1板材23の高所側端部23aに留まった状態に維持される。
【0026】
次いで、第1板材23の低所側端部23bに移動した穀物原料201は、第2板材24の高所側端部24aに移動(落下)して、第2板材24に沿って下流向きに徐々に移動させられる。この場合、穀物原料201に含まれている殻や粃の一部が完熟粒と共に第2板材24の高所側端部24aに移動したとしても、それらの殻や粃は下流向きに移動させられることなく上流向きに移動させられて、第1板材23の低所側端部23bと第2板材24の高所側端部24aとの間の隙間から筐体22の底部に落下する。このため、この加熱処理装置1では、完熟粒と殻や粃とを確実に選別することが可能となっている。
【0027】
一方、穀物原料201は、第1板材23および第2板材24に沿って移動する間に、加熱部12から照射される赤外線によって加熱される。この際に、穀物原料201の澱粉質が加熱によってアルファー化されて(本発明における加熱処理)、中間体211(図6参照)が完成する。この場合、この加熱処理装置1では、赤外線を照射して穀物原料201を加熱している。このため、被処理物の飛散を防止するために吹きかける熱風の風量や風速を小さく抑えなければならないことに起因して加熱処理に長時間を要する従来の乾燥装置とは異なり、短時間で確実に熱処理を行うことが可能な結果、処理効率の向上が可能となっている。
【0028】
続いて、中間体211は、筐体22の案内板22fによって案内されて、筐体22の他端部22c側に設置されている圧延装置2に落下する。次いで、圧延装置2が中間体211を圧延加工する。これにより、図6に示す圧ぺん飼料221が完成する。
【0029】
このように、この加熱処理装置1および穀物飼料製造装置100によれば、水平面に対して所定の傾斜角度で傾斜した第1板材23および第2板材24と、上流向きに両板材23,24を振動させる振動モータ25,26と、両板材23,24に沿って下流向き移動する穀物原料201に対して赤外線を照射する加熱部12とを備えて加熱処理装置1を構成したことにより、ハウジング内で加熱処理が行われる従来の乾燥装置とは異なり、ハウジングをはじめ、チャンバ、気体加熱室および処理室など設備、つまり従来の乾燥装置を構成する各設備のうちのバーナおよびファン等の加熱のための設備やコンベア等の原料搬送用の設備を除く各種設備を不要にできる分だけ、加熱処理装置1を簡易に構成することができる。したがって、この加熱処理装置1および穀物飼料製造装置100によれば、装置自体のコスト、および穀物原料201の加熱処理コスト、ひいては圧ぺん飼料221の製造コストを十分に低減することができる。
【0030】
また、この加熱処理装置1および穀物飼料製造装置100によれば、傾斜角度を任意に調整可能に両板材23,24(傾斜部27)を構成したことにより、穀物原料201のうちの完熟粒に加わる重力の下流向きの分力が両板材23,24の振動に起因して完熟粒に加わる上流向きの外力よりも大きくなるように両板材23,24の傾斜角度を調整することで、完熟粒を下流向きに移動させると共に、穀物原料201に含まれている殻や粃を上流向きに移動させることができる。このため、穀物原料201に含まれている殻や粃を完熟粒から選別して除去する工程を別途設ける必要がない分、穀物原料201の加熱処理コスト、ひいては圧ぺん飼料221の製造コストを一層低減することができる。
【0031】
また、この加熱処理装置1および穀物飼料製造装置100によれば、互いに近接する第1板材23の低所側端部23bおよび第2板材24の高所側端部24aが平面視状態において互いに重なり合い、かつ低所側端部23bが所定の高さだけ高所側端部24aの上方に位置するように両板材23,24を配置したことにより、穀物原料201に含まれている殻や粃を低所側端部23bと高所側端部24aとの間の隙間から筐体22の底部に落下させることができる。したがって、この加熱処理装置1および穀物飼料製造装置100によれば、穀物原料201の加熱処理コスト、ひいては圧ぺん飼料221の製造コストを低減しつつ穀物原料201に含まれている殻や粃を完熟粒から選別して確実に除去することができる。
【0032】
なお、本発明は上記の構成に限定されない。例えば、穀物原料201としての大麦を加熱処理して圧ぺん飼料221を製造する例について上記したが、これに限定されず、えん麦、マイロおよびトウモロコシ等の各種の穀物原料201を用いて圧ぺん飼料221を製造することができる。また、圧ぺん飼料221製造用の穀物原料201に限らず、麦茶用の各種麦、コーヒー、胡麻および茶などの人用の食品原料(本発明における食物原料の他の一例)を加熱処理する際に加熱処理装置1を用いることもでき、この際にも、上記した各効果と同様の効果を実現することができる。また、赤外線を照射する赤外線ヒータ31を備えた加熱部12を例に挙げて説明したが、赤外線以外の熱線を照射して食物原料を加熱する各種の熱源を、赤外線ヒータ31に代えて、または赤外線ヒータ31と共に備えた加熱部を採用することができる。
【0033】
また、筐体22の側面22dに形成した長孔22eに対する各ボルト23c,24cの位置を調整することで第1板材23および第2板材24の傾斜角度を調整する構成例について上記したが、両板材23,24の傾斜角度を調整する構成はこれに限定されない。例えば、ハンドル操作に応じて軸が上下にスライドする機械式の上下動機構や油圧式の上下動機構、または電動式の上下動機構などを、第1板材23および第2板材24の各隅部にそれぞれ配設し、これらの上下動機構によって各隅部の高さを調整することで、両板材23,24の傾斜角度を調整する構成を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】加熱処理装置1の斜視図である。
【図2】本体部11の斜視図である。
【図3】本体部11の側面図である。
【図4】加熱部12の斜視図である。
【図5】圧延装置2の斜視図である。
【図6】穀物原料201、中間体211および圧ぺん飼料221の平面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 加熱処理装置
2 圧延装置
3 原料供給装置
12 加熱部
22e 長孔
23 第1板材
23a,24a 高所側端部
23b,24b 低所側端部
23c,24c ボルト
24 第2板材
25,26 振動モータ
27 傾斜部
31 赤外線ヒータ
100 穀物飼料製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面に対して所定の傾斜角度で傾斜する傾斜面を有する傾斜部と、当該傾斜部を低所側から高所側に向かう向きに振動させる振動モータと、前記傾斜部の前記高所側に供給されて前記傾斜面に沿って当該高所側から前記低所側に向けて移動する食物原料に対して熱線を照射して加熱する加熱部とを備えて、前記食物原料に対する加熱処理を可能に構成されている加熱処理装置。
【請求項2】
前記傾斜部は、前記傾斜面における前記所定の傾斜角度を調整可能に構成されている請求項1記載の加熱処理装置。
【請求項3】
前記傾斜部は、前記所定の傾斜角度で傾斜した状態で前記高所側に配置された矩形の第1板材と、前記所定の傾斜角度で傾斜した状態で前記低所側に配置された矩形の第2板材とで構成され、
前記第1板材および前記第2板材は、互いに近接する各々の端部同士が平面視状態において互いに重なり合い、かつ当該第1板材における当該端部が所定の高さだけ当該第2板材における当該端部の上方に位置するように配置されている請求項1または2記載の加熱処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の加熱処理装置と、当該加熱処理装置における前記傾斜部の前記低所側に配設されて前記加熱処理装置によって加熱処理された前記食物原料としての穀物に対して圧延加工を行う圧延装置とを備えて、穀物飼料を製造可能に構成されている穀物飼料製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−257635(P2009−257635A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105239(P2008−105239)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(593096387)株式会社イトウ精麥 (9)
【Fターム(参考)】