説明

加熱層を備える積層要素

本発明は、表面同士が接着され、電極6を介して電圧を印加することによって加熱されることができる全表面を覆う導電性の被覆5をそれぞれ有する、特に窓ガラスである少なくとも2つの剛性の板ガラス2、4を備える積層板要素1に関する。本発明によると、2つの剛性の板ガラスの1つが、接続領域内に、それを通って外部電気コネクタ12、14、15が通過することができる切欠き部分9を有し、前記コネクタが2つの被覆5と接触状態にされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに示されている特徴を有する加熱層を備える積層パネル要素に関する。
【0002】
ガラスまたはその他の非導電性基板に付着されたこのような加熱要素は、設定された加熱力がこの目的のために十分である場合、放射ヒーターユニットとして使用されることができる。これらのヒーター要素は、通常の(中央)加熱ユニットの代替として、建物の壁に接してまたは壁内に設置される、またはこれらの建物内に一体化されることができる。この目的のために、これらは、窓の形態で実施される必要はなく、同様に鏡、装飾表面などの形態であってもよい。別法として、このようなパネル要素が、これらの制限された設置高さおよび滑らかで清掃の容易な表面が大きな利点を与えるため、たとえば家庭用電気器具などの工業器具の表面から熱を発生させるための一般的な手段として使用されることも可能である。
【0003】
大面積の加熱層の出力要件は、比較的高い電圧の使用を要求する。したがって、安全かつ信頼性の高い電気的絶縁が、特に当該パネルの縁部に沿って提供される必要がある。パネルはその全表面を覆って被覆されてもよい。
【0004】
独国特許出願公開第198 60 870号明細書は、ガラス基板を有し、その全表面が被覆されているこのタイプのパネルヒーター要素を記載している。電力供給される被覆の外部からの安全かつ信頼性の高い絶縁を確実にするために、被覆の周縁部の周りの枠を形成している領域が、分離線によって絶縁され、したがって電気的に中性化されている。このような構成はまた、外縁部から浸透する腐食が分離線にまで浸透することができるだけであるため、そのような腐食から被覆を保護する。
【0005】
加熱層の電気的接続部は、この枠によって包囲された表面の内部に配置された被覆と接続され、他の分離線が、被覆の全表面にわたる加熱電流経路を画定している。同じ文書が、積層または安全ガラスパネルの接着された板ガラスの2つ以上を導電体で被覆することから成るオプションも開示している。しかし、このような二重の加熱層の電気的接続または電気的制御のいずれに関しても、このような積層板ガラスの実用的な実施形態の詳細にはここでは入らない。
【0006】
別の知られているパネル要素(独国特許第2 113 876号明細書)では、導電性の加熱被覆は、絶縁ガラスパネルのためのスペーサフレームが、特別な構成なしで、ガラスパネルの境界(層がないところ)に直接接着されることができるように、パネルの縁部に至るまでは延びていない。電極電力供給導体が、スペーサフレーム内に形成された密封された供給孔を通過する。絶縁ガラスパネルの第2の板ガラスは、非加熱太陽光保護層を有する。
【0007】
本願出願人の以前の特許出願102 41 728.8号明細書が、接着によって第1の層とその全表面にわたって接合された第2の剛性の板ガラス(vitre、pane)を伴う加熱層を有する第1の剛性の板ガラスを備える積層パネル要素のための接続デバイスを記載している。接続デバイスが、剛性の板ガラスの1つの中に形成された供給孔内に挿入される。接続デバイスは、加熱層との直接の接触が確立されることを可能にする接点を備える。この目的のために、加熱層は、前記切欠きの領域内に配置された少なくとも2つの電極を備える。電気的に並列に接続されている、被覆内に形成された複数の電流経路が、これらの電極の間を走ることができる。
【0008】
電流経路または経路群の長さおよび幅は、使用される層形状の表面導電率(オーム/単位面積で表現される)とともに、パネル要素の電気エネルギーおよび加熱力の消費量を決定することになる。使用可能なまたは事前に決定された特定の電源電圧に応じて、様々な加熱力が、電流経路パターンによって広範囲にわたって確立されることができ、最大許容温度もまた、完成したパネル要素の使用のタイプに依存する。たとえば、使用者が、それと直接接触することが可能でない、またはこの必要性が仮定されていない場合、温度は、50℃を超えてもよい。しかし、被覆される板ガラスに接着する被覆、たとえば積層ガラスパネルの接着層が、通常動作中に到達される温度で劣化しないことを確実にするように、もちろん留意されなければならない。
【0009】
文献では、様々な材料が、このような加熱層に適していることが述べられている。一例として、酸化インジウムスズ(ITO)、および金、銀、銅またはアルミニウムなどのよい導電体である金属が、ここで述べられている。誘電性の反射防止層とそれらの間に配置された少なくとも1つの金属層を有する層形状が、十分な導電性での可視光の極めて良好な伝達を可能にし、それと同時に、赤外線反射板としても使用されることができる。このような典型的な層形状は、1から4Ω/単位面積のシート抵抗を有する。
【0010】
これらのヒーター要素は、高い加熱力で動作し、接着層、一般に熱可塑性プラスチック(好ましくはPVB、PMMAまたはEVAシート)がその熱的限界に到達することがある。十分に長い時間、最大加熱力が加えられた場合、(被覆された)ガラス表面との接着が失われることがある。ある場合では、高い電流密度の位置で特に、このことが局所的な被覆の層間剥離に至ることがある。製造方法およびコストの理由で、積層ガラス製造で数年にわたって試行および検証されてきた接着剤から離れることが望ましくないため、これらの熱的問題を回避する他の手段が、見出されなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、加熱層を備えるより良い積層パネル要素を提案することによって、この問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によると、この問題は、請求項1の特徴によって解決される。従属請求項の特徴は、この対象からの有利な発展形態を示している。
【0013】
第1に、二重の被覆によって、ヒーターユニットの容積をさほど増加させることなく、単一の被覆の場合と同じ加熱力を得ることから成るオプションが提案される。層厚は、各被覆に対して単位面積当たりのずっと低い電流を有するナノメーター範囲にある。この場合、熱はガラスパネルと接着層の間に配置された接合層の1つのみで生成されるのではない。さらに、それを通ってすべての電流がすべての電流経路内へ流入しなければならない、接続電極の熱負荷が、低減される。本発明によるこの構成の別の特徴は、2つのパネルのうちの1つが外部接続部の通過を許す切欠きを有するという事実によって、2つの被覆がパネル要素の平坦な側面を介して電気的に接続されるということにある。
【0014】
本発明の第1の有利な実施形態では、2つの被覆が、2つの剛性の板ガラスを接合する接着層の両側に配置される。剛性の板ガラスの厚さに応じて、積層パネル要素に対してわずかに大きな全厚を有する第2の有利な実施形態では、第3の剛性の板ガラスが設けられ、少なくとも1つの加熱層が、第3の剛性の板ガラスの両側に配置されている。特に、中央の板ガラスが、2つの加熱層を保持することが絶対に必要なわけではなく、いくつかの変形構成が、以下でより詳細に説明するように、可能である。
【0015】
2つの変形形態の他の組合せもまた、加熱力のさらに大きな分散が望まれるところで実施され、および必要に応じて、および本発明の範囲内で、他の剛性の板ガラス(被覆されているまたは被覆されていない)が追加されてもよい。
【0016】
すべての構成で、一方で2つの被覆が同一であり、同一の供給電圧(好ましくは、当該国での通常の本線電圧(たとえばAC110または230V))によって電力供給される場合、加熱の分散が制御されることができる。
【0017】
有利な発展形態では、(並列での)1つまたは複数の抵抗加熱要素をそれぞれ形成する被覆が、それぞれ互いに独立して使用されることができるか、または直列または並列回路で使用されることができる。
【0018】
後者の場合、最も高い加熱力が得られることができ、後者は、たとえば、長期的な動作のためにより低い加熱力に戻して、まだ寒いときにヒーター要素を加熱するために使用されることができる。
【0019】
しかし、本発明による構成は、2つの被覆が完全に異なる特性を備えることを可能にする。一方では、これらは異なる材料製であってもよい。これらの抵抗は、同じ印加電圧に対してさえも異なる加熱力が得られるように、たとえば、特定の導電率および/または層構成の内部構造の選択によって広い範囲にわたって調節されることができる。
【0020】
他方では、被覆はまた、様々な厚さで付着されてもよい。したがって、シート抵抗が、様々な厚さの被覆が、同一の材料から形成されているか、異なる材料から形成されているかに応じて、再び調節されることができる。
【0021】
また、特に透明なパネルヒーター要素の場合、材料の選択はまた、所望の着色された外観が得られることを可能にする。たとえば、金被覆は、多少目立つ赤または金の色を有する一方、銀の層は、より中間の色を有する。
【0022】
それ自体知られている方式で、本発明のパネル要素上に、必要とされる場合ステージ内での加熱電力を接続または遮断することができるように、必要に応じて被覆のいずれかまたは両方の中で互いに独立して接続されてもよい2つ以上の電流経路が設けられてもよいことは明らかである。これは、被覆上で使用可能な接点または電極の数に依存する。
【0023】
窓として使用されないパネルヒーター要素の製造中、たとえば銀または別の導電性金属製の、導電層自体の反射防止被覆が、一方では、電力接続部(誘電性の反射防止層は通常非導電性であるか、導電性の低い導体である)を単純化するために除去されることができ、他方では、表面上で装飾効果が得られることを可能にする。しかし、加熱層の構成のための適切な材料の正しい決定は、所望の加熱電力を計算するという課題を有する当業者の決定権に残される。
【0024】
特別な特徴として、1つまたは複数の温度プローブが、パネル要素の有効温度を検知するために提供されることができる。このような温度プローブは、電流制限器(たとえば、その電気/オーム抵抗が温度とともに増加する低温導体)の形態で同じように実施されてもよい。変形形態として、別個の切替機構が、この機構が温度プローブによって制御されることができるところで、パネル要素の過熱のリスクがある場合、別個の切替機構が、加熱電力を断つために提供されてもよい。
【0025】
特に有利な方式では、本発明によるパネル要素は、上述の従来技術の適用例で説明したタイプの接続デバイスを備えることができる。2つの加熱層を、板ガラスの1つの切欠き内に配置される単一の接続デバイスに同時に接続することが可能である。加熱要素の電気的な接続は、したがって、極めてコンパクトな方式で有利には分類されることができる。同時に、接続要素は、ヒーター要素の加熱電力を制御するために必要な切替要素を備えることができる。これらは、特に、一方または両方の被覆の、および必要な場所では1つまたは複数の被覆内に配置された2つ以上の独立な電流経路の独立な制御のための要素である。これらの要素は、並列または直列接続が、いくつかの場合、熱プローブによって制御された切替要素とともに確立されることを可能にする。最後に、安全な遮断器として、ガラスヒーター要素の起こり得る破壊の場合に必要とされる切替要素が設けられることができる。
【0026】
この接続デバイスは、積層パネル要素の製造後に装着されること、および必要であればそれから取り外されることができるという利点を有する。接続デバイスが、取外し可能な接点手段、たとえばプラグまたはばね接点に固定されることが特に好ましい。積層パネル要素の比較的高い供給電圧に対して、これらは、小さい(交流の)電流を送信するだけでよい。また、建物内で使用されるヒーター要素は、原則として振動を受けない。したがって、腐食の問題は、他の用途(自動車製造)の分野では、接触抵抗を増加させることによって接触効率を減少させる効果を有することができると期待されるべきではない。さらに、接続または接触領域は、必要に応じて、システム内に浸透する湿気と塵を防止するために密閉的に封止されてもよい。
【0027】
しかし、必要に応じて、それらの能動素子上への、または場合に応じてそれらの電極への電気接点も、はんだ付けによって取り付けられてもよく、またはオプションとして保護されてもよい。はんだ付け点が、熱源との直接接触なしで(誘導またはレーザーはんだ付け)信頼性高く溶融されることを可能にする、またはいかなる被覆の損傷もなく被覆された板ガラスを通って使用されることさえもできるはんだ付け技術が知られている。
【0028】
本発明に従って装備されたパネル要素は、独立型加熱ユニットとして使用されてもよい。これは、分離フレームを介して別の板ガラスと接合された絶縁ガラスパネル内に一体化されることもできる。他の(ガラス)パネルが、これを行うことによって、本発明が基にしている概念から外れることなく、パネルヒーター要素の2つの剛性の板ガラスとその全表面にわたって接合された積層内に備えられてもよいことは、明らかである。
【0029】
本発明の主題の他の詳細および利点は、例示的な実施形態および変形実施形態の図面からおよび以下の節で示される説明から明らかになるであろう。
【0030】
簡略化された図面は、一定の比率では描かれていない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1では、本発明によるパネルヒーター要素1が、第1の剛性の板ガラス2、接着層3および第2の剛性の板ガラス4を有する積層ガラスパネルの形態で製造されている。2つの剛性の板ガラス2および4は、好ましくは熱的に初期応力を加えられている、または部分的に初期応力を加えられている。接着層3に面したそれらの平坦な側面上に、2つの板ガラスのそれぞれが加熱層5を有する。剛性の板ガラス2の厚さの一部のみが示されており、剛性の板ガラス4上の横方向2重破線は、図示されたその厚さがまた省略されていることを示している。これら2つの剛性の板ガラスは接着層3よりもかなり厚いことを理解されよう。
【0032】
加熱層5は、表面加熱層として機能したとき熱応力に対して十分に抵抗力があり、かつ特定の用途に、および必要な場合、板ガラスの初期応力付加に適している層の複合体および/または連続体から成る。適切な層形状が従来技術の様々な変形形態で示されており、したがってこれらは、本明細書でさらに考慮される必要はない。高い可視光線伝達を有する、したがって透明である層形状が、実施されてもよい。
【0033】
たとえば、「Planitherm 1.3」の名称下で本願出願人によって販売されている被覆が使用されることができる。ここで、数はk指数を示している。これは、高い熱抵抗を有し、初期応力を加えられることができる層形状であり、銀層と、この層の両側の誘電性の反射防止層とを有し、赤外線反射特性も有する。
【0034】
しかし、要求に応じて、他の導電性の層形状が、もちろん使用されてもよい。これらのシート抵抗は、1〜25オーム/単位面積の範囲である必要性があろう。シート抵抗が低いほど、所与の電圧で加熱されなければならない平坦なヒーター要素が大きくなる。
【0035】
適切な手段が、それ自体知られている方式で、パネル要素の縁部(ここでは図示せず)に沿った被覆5の周縁の被膜保護、言い換えれば、その外部表面またはその前部表面との導電性の接触と、外部からの層材料の腐食攻撃の危険性のいずれもないことを確実にする。いずれの場合でも、境界隙間の密封的なカバーが、接着層3を形成する合成熱可塑性接着剤(たとえば、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン/ビニルアセテート(VA))を用いて得られる。接着層材料は、被覆5の材料と適合性があるように選択されなければならないことが理解されよう。
【0036】
断面図は、共通接続領域での2つの加熱層5の電力供給源の重要な構成要素を示している。これらのそれぞれは、加熱層5の2つの電極を互いから絶縁する絶縁分離線7の両側に配置された(少なくとも)2つの平面電極6を有する。最初に連続して被着された加熱層5が、それ自体知られている方式で、後で作製される構造線によって電流経路に分割される。これは、電流がパネル要素の表面全体にわたって流れるように、2対の電極6の間に電流経路を画定する。電流経路(ここでは図示せず)は、2つの被覆5に対して同一であってもよいが、必ずしもそうである必要はない。
【0037】
2つの層5の電極6はまた、必要に応じて、同じまたは異なる方法で実装されてもよい。すべての用途に対して両方の被覆5に同じ電流が必ずしも流れる必要はなく、また同じ加熱電力が予想される必要もない。
【0038】
電極6自体は不透明であり、外部から見ることができない。したがって、これらは、たとえば会社または製造業者のロゴを表す装飾要素として構成されることもできる。
【0039】
ここに示した層の連続体とは違って、被覆5の下に、言い換えればガラス表面上への被覆5の被着の前に、電極6が被着されてもよい。これらは、薄い金属箔の、または(板ガラスの初期応力付加中に)焼成されることができる導電性のスクリーン印刷ペーストのリボンとしての形態をとってもよい。収集レールとも称される電極の適切な実施形態が、従来技術で広く説明されている。電極のために使用される導電性のスクリーン印刷ペーストを着色することによって、所与の着色効果が得られることもできる。
【0040】
必要に応じて、電気的接触領域が、たとえば、その下部に不透明な装飾を配置することによって、またはこのような装飾をその上に印刷することによって、もしくは板ガラスのために極めて濃色のガラスペーストを使用することによってなど、適切な手段によって見かけ上覆われることができることは、明らかである。一例として、電極の領域内で、板ガラス4が、導電性でなく、被覆5の被着の前にガラスの表面に印刷され、初期応力付加プロセス中に熱処理された不透明の被覆8を有する。
【0041】
電極6の接続領域内に、供給孔または切欠き9が、板ガラス4内および接着層3内に形成されている。これは、2つの被覆5の2対の電極6のための外部電気接続部の通過を可能にする。接着層3内の切欠きは、接着材料が、溶融によって電極6にまで貫通しないように、2つの剛性の板ガラス2および4が互いに結合される前のサイズに切削されている。必要に応じて、適切な保護手段がとられるであろう。
【0042】
ブシュの形態のインサート10が、板ガラス4の供給孔9内に固定される。インサートの軸方向長さは、剛性の板ガラス4の厚さ(2、3ミリメートル)にほぼ対応しており、インサートは接着層3の平面にまで貫通している。インサート10が、抜き出されるのを防止する幾何的な連結で供給孔9に固定されるように、外部に向かってせり出した半径方向ショルダ11が、供給孔9の後端部に架かっている。
【0043】
このインサートは、2つの剛性の板ガラス2と4を接合する前に供給孔9内の定位置にすでに配置されていなければならない。熱可塑性の接着層3が溶融されたときにのみ、最終的に固定される。ショルダ11が、接着層3の材料内でさらに保持されていることが図面で見ることができる。
【0044】
インサート10は、接続ハウジング12の機械的なベースを形成している。2つの鉛直方向の破線は、分離されることを許す2つの部品間のねじ連結を示している。支持ブロック13が、接続ハウジング12を通してインサート10の中央孔に固定されている。これは、電極6に押し込まれて接触されるばね接点の2つのペア14、15のベースを形成する。ばね接点の内側のペア14は、支持ブロック13からの短い軸方向の付属物の下端部に配置されている。付属物は、支持ブロック13自体よりもわずかに小さい直径または外周を有する。ばね接点は、(下側)板ガラス2の被覆5の電極6と直接導電状態で配置されている。電力供給または加熱電圧は、これらの接点14によって剛性の板ガラス2の被覆にもたらされる。
【0045】
ばね接点14は、表面ヒーター要素1の意図された用途で(比較的高い供給電圧、AC電流)の安全で耐久性のある電気的接続のために十分であるが、必要に応じて、特に事前に加えられた特に適切なスズめっきで、電極6にオプションで溶接されることができる。ここで、必要とされる熱は好ましくは接触なしで(誘導によってまたはレーザーによって)供給されることができる。
【0046】
ばね接点15の外側のペアは、その付属物との移行部分に形成されたショルダの所で支持ブロック13から延びている。ばね接点15は、剛性の板ガラス4が供給孔9の両側を終点としなければならないため、(上側の)剛性の板ガラス4の加熱層5の表面電極6と直接の接触状態にない。しかし、インサート10がこの目的のための2つの接続ブリッジ16を有する。一方の側で、これらはインサート10の中央孔内へ貫通する。これらは、支持ブロック13の付属物の両側で止まり、ばね接点15と直接相補的な要素を形成する。他方の側で、これらはインサート10の壁を通過し、インサート10のショルダ11の(上側)表面、すなわち板ガラス4の被覆5に面した表面を両側で保持する。
【0047】
インサート10の剛性の板ガラス4の供給孔9内への挿入および固定の後、および2つの剛性の板ガラス2および4の接着の後、ショルダ11が、接続ブリッジ16を(上側の)平坦な電極6と接触状態に保持する。インサート10が、接続ハウジング12内にねじ込まれる。このようにして、ショルダ11が、平坦な電極6に対する初期応力付加によって引かれる。この接触面積は特に重要でない。平坦な電極6と接触している接続ブリッジ16の表面が粗くされてもよく、または平坦な電極6内への接続ブリッジのある貫通を許す点を有してもよい。ここではまた、上記ですでに示されたように、熱を付加することによって、接続ブリッジおよび/または平坦な電極の事前のスズめっきとともに、追加のはんだ付けが実施されてもよい。
【0048】
接続ブリッジ16は、接続デバイスができる限り容易にアセンブリされることができるように、インサート10に好ましくは固定される。このことは、たとえば、接続ブリッジ16(幅狭のシートメタルストリップ)をその製造中インサート10の合成材料で被覆することによって達成されることができる。
【0049】
ばね接点14、15を備える支持ブロック13が、ばね接点14、15が対応する相補要素(電極、ブリッジ接点)と接触するように、必要に応じて適切に形成された要素で力を加えることによって、正しい位置でインサート10内に挿入され、その後固定される。支持ブロック13は、接続ハウジング12と一体型のアセンブリを形成し、同時にインサート10に後者と同時に固定されてもよい。ばね接点のペア14と15の間の軸方向および半径方向の偏移が、それらの間の直接の接触が排除されることを可能にする。
【0050】
スイッチ17およびトランジスタ18の回路記号は、支持ブロック13または接続ハウジング12の電気または電子装置を表しており、複数の対応する要素にそれぞれ対応してもよい。接続ケーブルから電極6への電力供給電圧の通過に加えて、他の制御および切替機能が、接続デバイスのこの部分に帰属している。特に、これらの切替要素は、上記ですでに説明したような外部制御部からの対応する指示に応じて、被覆の一方または両方の電圧制御された電力供給を提供する。
【0051】
接続部分では、インサート10および支持ブロック13を用いて、1つまたは複数の温度プローブが(図示せず)が、電極6の接点領域での有効温度を検知するために、1つまたは複数の被覆された板ガラス2および4と接触状態に維持されてもよい。
【0052】
切替要素は次に、温度プローブからの測定値を評価し、必要に応じて、有効温度が許容可能な閾値を越えた場合、加熱層の一方または他方への電流供給を少なくとも瞬間的に遮断する。しかし、温度超過を防止し、それ自体知られている方式で消費される電力を許容可能なレベルに制限する、切替要素が設けられることもできる。
【0053】
電子的または電気機械的構成を有する少なくとも1つの切替デバイスが、加熱層への電流供給を管理する。この切替デバイスは基本的に、手動で局所的に接続され、センサによって、たとえば温度プローブによって、またはウインドウ制御デバイスによって制御される。すでに示したように、ウインドウ制御デバイスは、建物用の自動温度調節システム(空調設備など)の部品であるが、しかし、これも基本的に手動で選択的に制御されることができる。
【0054】
制御信号が無線によって送信される場合、適切な受信機が、デコーダおよびその他の切替手段(たとえば、増幅器)に加えて、接続ハウジング8内または支持ブロック13内に設けられることになる。制御信号がラインによって送信される場合、特に制御信号がすでに既存の本線接続ラインを介して送信され、それらの入力部でフィルタリングされなければならないところでは、適切な評価手段がこれらのために設けられることになる。
【0055】
特定の有利な実施形態では、電気デバイスまたはインターフェイスのすべてが、このようにしてパネルヒーター要素1の接続部分内で局所的にアセンブリされる。
【0056】
接続デバイスが構成され、その動作が確認された後に、必要に応じて、板ガラス表面と接続ハウジング12の間の移行部が、密封シール19によってさらに密閉的に密封されることができる。図面に示した実施形態とは違って、この密封シールは、もちろん、接続ハウジング12の下側面と板ガラス表面の間に直接設置されてもよい。
【0057】
インサート10は、実際には、剛性の板ガラス4の主表面と同一平面に接合されることができるが、接続ハウジング12はこの表面からわずかに突き出している。大部分の場合、平坦なヒーター要素1のこの側面は、設置位置では観察者または使用者のほうへ向けられていない、および/またはたとえば壁に面してまたは壁内に配置されているため、マスク上での(または、別法として、装飾要素として働く不透明の電極6上での)接続デバイスの視界は制限されたままであり、さらに接続デバイスの不当なまたは不慮の操作の危険性が、実際に排除される。接続デバイスのための制御ユニットの活動化スイッチが設けられる必要がある場所では、これは、もちろん、たとえば平坦なヒーター要素の縁部の近くなど、容易にアクセス可能な場所に好ましくは設置されることになる。
【0058】
図2では、図1の要素と同一の要素が同じ符号を与えられている。ここで、積層パネル要素は、接着層3を用いて中央の剛性の板ガラス2と表面接着によって接合された第3の(下側)剛性の板ガラス20を備える。2つの剛性の板ガラス2および20の、図の上部に配置された表面は、平坦な加熱被覆5を有する。再度、2つの被覆5はそれぞれ1対の電極6を有する。図1に対して示された説明が、被覆5と電極6のペアの間の電流の経路の分割、ならびに電気的な制御および動作にも一般に適用される。
【0059】
ここでもまた、剛性の板ガラス2は、剛性の板ガラス4の供給孔9に対してほぼ軸方向に方向付けられている供給孔21によって交差されている。第2の接着層3は、下側被覆の電極6がその中を終点とする対応する切欠きを有する。支持ブロック13の軸方向延長部22が、接続ハウジングおよび支持ブロックとともに供給孔21内に挿入されている。その直径または、場合に応じてその外周は、支持ブロック13の直径または外周よりも小さい。積層板ガラスの製造の結果生じることがある穿孔された孔9および21の中心の間の考えられるいかなる差も補償するために、延長部22と供給孔21の壁の間に所与の量の半径方向の遊びがある。この遊びは、積層内に配置された第3の板ガラス20の表面のすぐ前まで長手方向に延びている。ここでまた、ばね接点のペア14および15の間の接触が軸方向偏移および半径方向偏移によって排除される。
【0060】
図1に示されているばね接点14は、ここでは付属物22の下端部に配置され、十分な接触圧力で下側被覆5の電極6上に載っている。他方では、ばね接点15は、付属物22との移行部に形成された支持ブロック13のショルダから再び延びて、これらは、中央板ガラス2の上側被覆5の電極6上に直接配置されている。
【0061】
二重層ヒーターの別の変形形態(図示せず)では、中央板ガラス2の上側表面上に被覆5を被着する代わりに、(図1で示すように)上側板ガラス4の下側表面上に被覆5を被着すること、および図1の接触に対応するようにしてその接触を実施することが、もちろん可能である。
【0062】
図1に示した構成ではほぼ同一の熱放射が、パネル要素の両側から放出されるが(したがって2つの被覆に対する同じ電力および剛性の板ガラスに対する同じ厚さを有する完全に対称的な実施形態の場合)、積層内の被覆の別の配置は、必要性がある場合には全体的に望ましいことがある非対称の放射が得られることを可能にする。
【0063】
同様にして、3つ以上の加熱層をおそらく備える、層配置の他の組合せが、本明細書で説明された本発明の範囲内にまだ残存している。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】2つの電気加熱被覆が単一の接着層の両側に配置されている、接続デバイスの領域内での本発明による積層パネル要素の断面図である。
【図2】第3の剛性の板ガラスと、中央の剛性のパネルの両側に配置された2つの電気加熱被覆とを有する本発明による積層パネル要素の変形形態の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面同士が接着され、電極(6)を介しての電圧の印加によって加熱されることができる導電性の被覆(5)を全表面を覆ってそれぞれ有する、特に窓ガラスである少なくとも2つの剛性の板ガラス(2、4)を備える積層パネル要素(1)であって、2つの剛性の板ガラスの1つが、接続領域内に、2つの被覆(5)と電気的接触状態にある外部電気接続部(12、14、15)の通過を可能にする切欠き(9)を備えることを特徴とする積層パネル要素。
【請求項2】
互いに向かい合う2つの剛性の板ガラス(2、4)の2つの表面が、それらを接合する接着層(3)の両側に導電性の被覆(5)を備えることを特徴とする請求項1に記載の積層パネル要素。
【請求項3】
表面上に接合された第3の剛性の板ガラス(20)を少なくとも備えること、および導電性の被覆(5)の少なくとも1つが、中央の剛性の板ガラス(4)の両側に設けられていることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の積層パネル要素。
【請求項4】
被覆(5)の両方またはすべてが、切欠き(9)内に固定された方式で配置された接続デバイス(10、11、12)を用いて電気的に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の積層パネル要素。
【請求項5】
被覆(5)の両方またはすべてが、直列回路内および/または並列回路内で個別に選択的に使用されることができることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の積層パネル要素。
【請求項6】
被覆(5)が、同じ材料および/または同じ層構成から成ることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の積層パネル要素。
【請求項7】
被覆(5)が、異なる材料および/または層構成から成ることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の積層パネル要素。
【請求項8】
被覆(5)の少なくとも1つの中の電流が、被覆の局所的に絶縁する区域によって作製された事前に決定された経路に沿って接続領域内に配置された2つの電極(6)の間を常に流れることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の積層パネル要素。
【請求項9】
加熱被覆の有効温度を検知するための温度プローブを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の積層パネル要素。
【請求項10】
事前決定された温度閾値が超えられたときの加熱電流の遮断または低減のために、温度プローブによって制御されることが可能な切替要素を特徴とする請求項9に記載の積層パネル要素。
【請求項11】
少なくとも接続領域が、マスクによって視覚的に覆われていることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の積層パネル要素。
【請求項12】
視覚的なマスクが、初期応力を付加された板ガラス(2)のための不透明のガラスペーストの使用によって得られることを特徴とする請求項11に記載の積層パネル要素。
【請求項13】
視覚的なマスクが、不透明の装飾(8)によって形成されていることを特徴とする請求項11および12のいずれかに記載の積層パネル要素。
【請求項14】
不透明の装飾(8)が、板ガラス(2)の表面と加熱被覆(5)の間の薄い層として配置されていることを特徴とする請求項13に記載の積層パネル要素。
【請求項15】
電極(6)が、加熱被覆(5)の被着の前または後の導電性のスクリーン印刷ペーストの付加および熱処理によって形成されることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の積層パネル要素。
【請求項16】
電極(6)が、視覚可能な装飾要素の形態で実施されていることを特徴とする請求項15に記載の積層パネル要素。
【請求項17】
被覆が、取外し可能な電気接点を用いて、特にばね接点(14、15)を用いて外部接続部と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の積層パネル要素。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−500807(P2007−500807A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530383(P2006−530383)
【出願日】平成16年5月26日(2004.5.26)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001301
【国際公開番号】WO2004/110102
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(399052888)サン−ゴバン グラス フランス (23)
【Fターム(参考)】