説明

加熱殺菌用包装袋

【課題】生麺等のボイル食品、カレー等のレトルト食品を包装袋に収納して、ボイルまたはレトルト処理による熱水加熱殺菌処理を行った際に、熱水加熱殺菌処理の有無を簡単に目視で判別できる加熱殺菌用包装袋を提供することにある。
【解決手段】基材層と熱接着性樹脂層を有する積層体からなり、前記基材層の外面に融点が100℃以下の熱可塑性樹脂を含むインキからなるインジケーターインキ層4が形成され、該インジケーターインキ層4がボイルまたはレトルト処理により前記基材層から剥離する構成からなることを特徴とする加熱殺菌用包装袋1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生麺、ハム・ソーセージ、漬物等のボイル食品、カレー、シチュー、煮豆等のレトルト食品を包装袋に収納して、ボイル処理またはレトルト処理による熱水加熱殺菌処理を行った際に、熱水加熱殺菌処理の有無を目視で判別できる加熱殺菌用包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイル処理またはレトルト処理の熱水加熱殺菌処理に耐える包装袋としては、例えば、ボイル・レトルト処理に耐える耐熱性、耐熱水性を備えた延伸ポリエステルフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルムまたはこれらに酸化アルミニウムや酸化珪素等の無機物を蒸着したフィルムを基材層として用い、必要によっては当該基材層に絵柄印刷層を設け、熱接着性樹脂層に未延伸ポリプロピレンフィルム、未延伸直鎖状低密度ポリエチレンフィルム、未延伸低密度ポリエチレン、未延伸エチレン・酢酸ビニル共重合体フィルムを用いて、基材層と熱接着性樹脂層とをドライラミネーション用接着剤を介して積層した積層体とし、当該積層体を用いて製袋した三方シール袋、四方シール袋、自立袋等がよく知られている。もちろん、包装される内容物によって積層体に要求される防湿性、ガスバリア性等の保護機能性を満足させるために中間層として例えば、エチレン・ビニルアルコール共重合体、アルミニウム箔等のバリア性を有するフィルムが積層されることは言うまでもない。
【0003】
これらの包装袋をボイル処理に用いる場合には、包装袋に生麺等の内容物を充填し、密封シール後、内容物の種類、大きさ、内容量、賞味期限等を勘案して、例えば、85℃〜100℃の温度、20〜60分の時間でボイル処理して包装製品が製造される。また、上記の包装袋をレトルト処理に用いる場合には、包装袋にカレー等の内容物を充填し、真空もしくは脱気し、密封シール後、内容物の種類、大きさ、内容量等を勘案して、通常のレトルト釜を使用し、例えば、100℃〜140℃の温度、15〜60分の時間で加圧下でレトルト処理して包装製品が製造される。ところが、ボイルまたはレトルト処理の熱水加熱殺菌処理された包装製品は、殺菌処理前と殺菌処理後では外観上では差がなく、包装製品が、熱水加熱殺菌処理済なのか、あるいは処理前なのか目視で判別することは困難である。そこで、従来、ボイル、レトルト処理の処理済か処理前かを確認する方法として、水蒸気または熱水の存在下、指定温度で一定時間加熱すると変色し、熱水加熱殺菌処理が行われたことを示すインキをグラビア印刷方式で包装袋に印刷してインジケーターインキ層を形成する方法が知られている。
【0004】
例えば、樹脂製外層フィルム、基材フィルム、樹脂製内層フィルムの順で接着剤層により貼り合わせられており、該外層フィルムと該基材フィルムとの間の少なくとも一部に、殺菌温度での水蒸気変色性のインジケータインキ層が形成されたレトルト包材シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、上記のレトルト包材シートでは、殺菌温度での水蒸気変色性のインジケーターインキ層が、外層フィルムと基材フィルムとの間の少なくとも一部に形成されている構成であるため、レトルト処理する際に水蒸気又は熱水がインジケーターインキ層に直接接触する構成ではないため、インジケーターインキ層が水蒸気又は熱水の影響を受け難くインジケーターインキ層が変色するのに時間がかかり通常の120℃、30分程度の熱水加熱殺菌処理ではインジケーターインキ層が完全に変色しないものが出るおそれがあるという欠点を有している。また、インジケーターインキ層が、遷移金属化合物と硫黄および/または硫黄化合物とを含むインキ、モノアゾ染料と有機酸および/またはその金属塩とを含むインキのいずれかからなるものであり、インジケーターインキ層が変色するタイプであって完全に消色するタイプではないという問題を有している。さらに、インキが高価であるという欠点がある。
【0006】
また、基材層と熱接着性樹脂層を有する積層体からなり、基材層の外面にレトルト処理により消色するアルミニウム粉末顔料を含むインキからなるインジケーターインキ層が形成された構成からなるレトルト用包装袋が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
上記レトルト用包装袋により、特許文献1の課題が改善された。ところが、近年、レトルト処理の殺菌条件が高温短時間、例えば、130℃、20分等のものが採用される傾向があり、一方、食の多様化に伴い、内容物によっては高温殺菌による味の劣化を防ぐために殺菌条件を低温、例えば、90℃が採用される傾向がある。特許文献1、特許文献2に開示されたインジケーターインキ層は、熱水加熱殺菌処理により変色もしくは消色するタイプのものであり、殺菌条件が短時間(30分以下)、あるいは低温(100℃以下)になると、完全に変色もしくは消色しないことがあるという欠点を有している。
【特許文献1】特開2003−334897号公報
【特許文献2】特開2006−219135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、生麺等のボイル食品、カレー等のレトルト食品を包装袋に収納して、ボイルまたはレトルト処理による熱水加熱殺菌処理を行った際に、熱水加熱殺菌処理の有無を簡単に目視で判別できる加熱殺菌用包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を達成するために、請求項1記載の本発明は、基材層と熱接着性樹脂層を有する積層体からなり、前記基材層の外面に融点が100℃以下の熱可塑性樹脂を含むインキからなるインジケーターインキ層が形成され、該インジケーターインキ層がボイルまたはレトルト処理により前記基材層から剥離する構成からなることを特徴とする加熱殺菌用包装袋である。
【0010】
また、請求項2記載の本発明は、請求項1記載の加熱殺菌用包装袋において、前記インジケーターインキ層が形成された領域に対応する前記基材層の内面に印刷により表示部が形成された構成からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の加熱殺菌用包装袋とすることにより、ボイルまたはレトルト処理による熱水加熱殺菌処理を行うことにより、基材層の外面に形成したインジケーターインキ層中の熱可塑性樹脂が高温の熱水により軟化し、ボイル槽またはレトルト釜の水流によりインジケーターインキ層が基材層から剥離して、脱落した状態となるので、インジケーターインキ層の有無を目視することにより、熱水加熱殺菌処理の有無を簡単に判別することができる。このようにインジケーターインキ層を形成することによって、誤って熱水加熱殺菌処理がされていない包装製品が市場に流通することを防止できるものであり、食品製造メーカーにとって便利なものとなる。
【0012】
また、請求項2にかかる発明では、基材層の内面に印刷によりボイルもしくはレトルト殺菌済等の文字からなる表示部を形成して、基材層の外面にインジケーターインキ層により隠蔽した状態としておくことにより、熱水加熱殺菌処理が完了した時点でインジケーターインキ層が基材層から脱落して、表示部のボイルもしくはレトルト殺菌済等の文字が現れるので、熱水加熱殺菌処理が確実に行われたことが目視により簡単に確認することができ、熱水加熱殺菌処理の未実施の包装製品と判別ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
上記の本発明について、図面等を用いて以下に説明する。
図1は本発明の加熱殺菌用包装袋の第1実施形態を示す平面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は本発明の加熱殺菌用包装袋の第2実施形態を示す平面図、図4は図3のB−B線断面図、図5は第1実施形態の熱水加熱殺菌処理後の状態を示す平面図、図6は第2実施形態の熱水加熱殺菌処理後の状態を示す平面図であって、1、1’は加熱殺菌用包装袋、2は熱接着部、3は開口部、4、4’はインジケーターインキ層、5は表示部、6は内容物、7は上端熱接着部、10は積層体、11は基材層、12は熱接着性樹脂層、13は接着剤層、20、20’は加熱殺菌用包装体をそれぞれ表す。
【0014】
本発明の加熱殺菌用包装袋の第1実施形態は図1、図2に示すとおりである。図1に示すように、第1実施形態の加熱殺菌用包装袋1は、基材層の外面にインジケーターインキ層が形成された構成で基材層と熱接着性樹脂層を有する積層体からなり、該積層体の熱接着性樹脂層を対向させて重ね合わせ、周縁を熱接着して熱接着部2を設け、上端を開口部3とした包装袋である。包装袋の下部の外面には融点が100℃以下の熱可塑性樹脂を含むインキからなるインジケーターインキ層4が抜き文字印刷により形成されている構成である。
【0015】
インジケーターインキ層4が設けられた箇所の断面構成は、図2に示すように、基材層11と接着剤層12と熱接着性樹脂層13を備えた積層体10からなり、基材層11の外面に融点が100℃以下の熱可塑性樹脂を含むインキからなるインジケーターインキ層4が形成されている構成である。
【0016】
インジケーターインキ層4は90℃、30分程度のボイル処理または100℃以上のレトルト処理による熱水加熱殺菌処理を行うことにより、基材層11の外面に形成したインジケーターインキ層4中の熱可塑性樹脂が高温の熱水により軟化もしくは溶融し、ボイル槽またはレトルト釜の熱水の対流や釜の回転により発生する水流によりインジケーターインキ層4が基材層11から剥離して、脱落するので、インジケーターインキ層4の有無を目視することにより、熱水加熱殺菌処理の有無を簡単に判別することができる。また、インジケーターインキ層4に、例えば、「未殺菌」と表示しておくことにより、熱水加熱殺菌処理により「未殺菌」の表示が脱落してなくなるので、殺菌済包装製品と未処理の包装製品との判別が容易である。第1実施形態では、インジケーターインキ層4に「未殺菌」と表示したものを示したが、インジケーターインキ層の表示は任意であり、丸型、3角形、4角形等の模様となるように形成してもよい。インジケーターインキ層4に文字、記号、模様等の柄を印刷して表示しておくことにより、熱水加熱殺菌処理により文字、記号、模様等の表示が脱落してなくなるので、熱水加熱殺菌処理が行われたかどうかの確認を簡単に行うことができる。また、インジケーターインキ層4の表示は第1実施形態に示す抜き文字としてもよいし、ベタと文字の重ね印刷としてもよい。
【0017】
本発明の加熱殺菌用包装袋の第2実施形態は図3、図4に示すとおりである。図3、図4に示すように、第2実施形態の加熱殺菌用包装袋1’は、基材層11と接着剤層12と熱接着性樹脂層13を有する積層体10からなり、該積層体10の熱接着性樹脂層13を対向させて重ね合わせ、周縁を熱接着して熱接着部2を設け、上端を開口部3とした包装袋である。包装袋の下部の外面には融点が100℃以下の熱可塑性樹脂を含むインキからなるインジケーターインキ層4’がベタ印刷により形成され、該インジケーターインキ層4’が形成された領域に対応する基材層11の内面に印刷により表示部5が形成された構成である。
【0018】
インジケーターインキ層4’が形成された箇所の断面構成を図4に示す。図4に示すように、基材層11と接着剤層12と熱接着性樹脂層13を備えた積層体10の基材層11の外面にベタ印刷されたインジケーターインキ層4’が形成されるとともに、インジケーターインキ層4’に対応する基材層11の内面に表示部5が印刷されて形成されており、基材層内面に印刷された表示部5が基材層11の外面にベタ印刷されたインジケーターインキ層4’により隠蔽されて、外部から表示部5が目視できない構成となっている。熱水加熱殺菌処理を行うと、ベタ印刷されたインジケーターインキ層4’が90℃、30分程度のボイル処理または100℃以上のレトルト処理による熱水加熱殺菌処理を行うことにより、基材層11の外面に形成したインジケーターインキ層4’中の熱可塑性樹脂が高温の熱水により軟化もしくは溶融し、ボイル槽またはレトルト釜の熱水の対流や釜の回転により発生する水流によりインジケーターインキ層4’が基材層11から剥離して、脱落するので、表示部5に例えば、「殺菌済」と印刷された表示が外部から基材層11を透して視認できるので、熱水加熱殺菌処理の有無を簡単に判別することができる。第2実施形態では、表示部5に「殺菌済」と表示しているが、表示部5の内容は任意である。
【0019】
本発明の加熱殺菌用包装袋は、インジケーターインキ層が熱水加熱殺菌処理により基材層から剥離して脱落する構成とすることにより熱水加熱殺菌処理の有無を外部から簡単に視認できるものであり、インジケーターインキ層、表示部の構成及び形成方法は任意であり、目視により簡単に熱水加熱殺菌処理の有無が確認できるものとすればよい。
【0020】
図5は第1実施形態の加熱殺菌用包装袋1を用いた加熱殺菌用包装体20の熱水加熱殺菌処理後の状態を示す平面図である。図5に示すように、本発明にかかる加熱殺菌用包装袋1を用いた加熱殺菌用包装体20は、図1の加熱殺菌用包装袋1の上方の開口部3からボイルまたはレトルト食品等の内容物6を充填し、その後、その開口部3を熱接着して上端熱接着部7を形成して、包装製品とし、その後、熱水加熱殺菌処理を行った状態を示すものであり、熱水加熱殺菌処理を行うことによりインジケーターインキ層4が基材層11から剥離して脱落し何もない状態となっている。このような構成とすることにより熱水加熱殺菌処理の有無を簡単に判別することができ、誤って「未殺菌」と表示された包装製品が市場に流通することが防止できる。
【0021】
図6は第2実施形態の加熱殺菌用包装袋1’を用いた加熱殺菌用包装体20’の熱水加熱殺菌処理後の状態を示す平面図である。図6に示すように、本発明にかかる加熱殺菌用包装袋1’を用いた加熱殺菌用包装体20’は、図3の加熱殺菌用包装袋1’の上方の開口部3からボイルまたはレトルト食品等の内容物6を充填し、その後、その開口部3を熱接着して上端熱接着部7を形成して、包装製品とし、その後、熱水加熱殺菌処理を行った状態を示すものであり、熱水加熱殺菌処理を行うことによりベタ印刷されたインジケーターインキ層4’が基材層11から剥離して、脱落し、表示部5に印刷された「殺菌済」の表示が外部から基材層11を透して視認できる状態となっている。
【0022】
第1、第2実施形態において使用するインジケーターインキ層を形成するインキに使用する融点が100℃以下の熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリアクリル系、ゴム系、ポリスチレン系、ポリウレタン系、ポリアクリルウレタン系、塩素化ポリプロピレン系などが例示できる。インジケーターインキ層を印刷する基材層の種類により基材層とインジケーターインキ層との接着性等を勘案して適宜、選択すればよい。なかでも融点80℃以下のポリエステル系又はポリアクリルウレタン系が短時間の熱水加熱殺菌処理により基材層から剥離して脱落するので好ましい。インジケーターインキ中には短時間で熱可塑性樹脂が軟化し易くさせるために可塑剤を添加するのが好ましい。また、インジケーターインキ層の耐摩擦性を向上させるとともに水分がより浸透し易くして短時間で剥離しやすくするためにインキ樹脂中にシリカ等のマット剤を添加するのが好ましい。インジケーターインキの組成は特に限定されるものではないが、樹脂:溶剤:顔料:添加剤の混合比率(重量部)は5〜25:70〜80:10〜15:2〜10程度でよい。
【0023】
第1実施形態において、基材層の外面にインジケーターインキ層を形成する方法は、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等の2軸延伸フィルムからなる基材層11の内面にグラビア印刷等により包装袋の絵柄層を形成する際に、基材層11の内面に印刷された絵柄層に対応するように見当を合わせて基材層11の外面にインジケーターインキにより印刷することによりインジケーターインキ層4が形成される。第2実施形態において、基材層の外面にインジケーターインキ層を形成し、内面に表示部を形成する方法は、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等の2軸延伸フィルムからなる基材層11の内面に包装袋の絵柄層を形成する際に絵柄層の所定位置にくるように表示部5を印刷にて形成するとともに、基材層11の内面に印刷された表示部5に見当を合わせて基材層11の外面にインジケーターインキをベタ印刷することによりインジケーターインキ層4’が形成される。なお、基材層11の外面にインジケーターインキを印刷してインジケーターインキ層を形成する際には公知の方法で基材層を表裏反転させて印刷する。
【0024】
積層体10を構成する基材層11としては、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)、2軸延伸ナイロン(ON)、二軸延伸ポリプロピレン等やこれらのフィルムに酸化アルミ、酸化珪素等の無機物を蒸着したフィルム等が使用される。熱接着性樹脂層13としては熱水加熱殺菌処理に耐え、熱接着可能なものであればよく、レトルト処理の場合には、エラストマー成分をブレンドした未延伸ポリプロピレン(CPP)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が使用され、ボイル処理の場合には低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等の未延伸フィルムが使用される。中間層としては、内容物により要求される防湿性・酸素ガス遮断性等のガスバリア性及び包装条件から要求される耐ピンホール性、突刺し強度、衝撃強度、腰等の諸条件を満足する材料を任意に選択して使用でき、上記の基材層に用いるフィルム、アルミニウム箔(AL)及びポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)等の2軸延伸フィルムが使用できる。基材層、中間層、熱接着性樹脂層は、好ましくはポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオール/イソシアネート系の2液タイプの接着剤を使用したドライラミネーション(DL)法により積層され積層体とされる。
【0025】
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0026】
熱可塑性樹脂に融点70℃のポリアクリルウレタン樹脂、顔料にカーボンブラック、添加剤にシリカ、溶剤にトルエン/イソプロピルアルコール/酢酸エチル=4/4/2の混合溶剤をそれぞれ用いて樹脂15重量部、溶剤73重量部、顔料10重量部、添加剤2重量部を混合して作製したグラビアインキ(昭和インキ工業所(株)製)をインジケーターインキとして用いた。厚さ12μmのPETを基材層とし、両面印刷可能なグラビア印刷機で片面に絵柄層を印刷し、該絵柄層に見当合せして、PETの反対面の所定の位置にインジケーターインキを用いて印刷しインジケーターインキ層を形成した。絵柄層面にポリエステルポリオール/イソシアネート系の2液型接着剤を塗布して乾燥させ接着剤層を設け、厚さ50μmの片面コロナ処理されたCPPを熱接着性樹脂層としコロナ処理面を接着剤層面に積層して積層体を作製した。積層体を40℃、3日間熟成後、製袋し、図1に示す平袋の加熱殺菌用包装袋を作製した。
【0027】
上記加熱殺菌用包装袋に水を封入し、図5に示す加熱殺菌用包装体を表1に示す条件で熱水加熱殺菌処理を行った。なお、レトルト殺菌には(株)日阪製作所製の回転式レトルト釜を用いた。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
表1に示すように、インジケーターインキ層は温度85℃以上のボイル処理で基材層から剥離して容易に脱落した。さらに、100℃以上のレトルト処理ではより容易にインジケーターインキ層は基材層から剥離して脱落した。また、表1に示すように、熱水加熱殺菌処理の温度が高くなるほど、剥離して脱落する時間が短くなることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の加熱殺菌用包装袋の第1実施形態を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明の加熱殺菌用包装袋の第2実施形態を示す平面図である。
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】第1実施形態の熱水加熱殺菌処理後の状態を示す平面図である。
【図6】第2実施形態の熱水加熱殺菌処理後の状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0031】
1、1’ 加熱殺菌用包装袋
2 熱接着部
3 開口部
4、4’ インジケーターインキ層
5 表示部
6 内容物
7 上端熱接着部
10 積層体
11 基材層
12 熱接着性樹脂層
13 接着剤層
20、20’ 加熱殺菌用包装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と熱接着性樹脂層を有する積層体からなり、前記基材層の外面に融点が100℃以下の熱可塑性樹脂を含むインキからなるインジケーターインキ層が形成され、該インジケーターインキ層がボイルまたはレトルト処理により前記基材層から剥離する構成からなることを特徴とする加熱殺菌用包装袋。
【請求項2】
前記インジケーターインキ層が形成された領域に対応する前記基材層の内面に印刷により表示部が形成された構成からなることを特徴とする請求項1に記載の加熱殺菌用包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−227320(P2009−227320A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76928(P2008−76928)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】