説明

加熱調理器

【課題】グリル扉や透明窓に、手や指が触れないようにする加熱調理器を得る。
【解決手段】加熱調理器100は、グリル加熱室20のグリル扉40の前方を覆うガード体110が取り付けられている。ガード体110は全体が金属線から形成され、複数の横棒110aと縦棒110bと側棒110cとから構成された梯子状である。最下段に位置する横棒110aには前脚110eが連結され、これに連結片113によって後脚110fが連結されている。後脚110fは取っ手50に形成された細長形状の前記スリット90に上方から挿入され、前脚110eは取っ手50の前面に当接した状態で、ガード体110はグリル扉40に取り付けられ、少なくとも透明窓41wを覆っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱調理器、特に、引き出し自在なグリル扉が設置されているグリル室を有する加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
システムキッチン家具や流し台に組み込まれたり、キッチンキャビネット等の上にセットされたりする加熱調理器は、上面に載置された被加熱物を加熱するための加熱手段(誘導加熱コイル、輻射加熱式電気ヒータ、ガスバーナ等)と、側面から内部に挿入された被加熱物を加熱するためのグリル加熱室(電気ヒータ、ガスバーナ等が設置されている)と、を有している。そして、グリル加熱室には被加熱物を出し入れするためのトレー(その他例としては、更に魚等を載置するための載置網も設置されている)が配置され、トレーとグリル扉は一体化しているから、トレーをグリル加熱室に押し込んだ際、グリル扉によってグリル加熱室はシールされる。また、グリル扉には取っ手が設けられ、トレーの出し入れを容易にしている。
【0003】
したがって、調理者は取っ手に手を掛けて、トレーを出し入れしたり、グリル加熱室を閉じたりすることができる。また、グリル加熱室には外気が吸引されると共に、加熱に伴って発生した煙等は所定の排気口から排出されている。通常、調理者が立つ側(前方に同じ)から吸気し、調理者から離れた側(後方に同じ)から排気されている。
そこで、グリル加熱室からの輻射や電熱によって取っ手が過熱しないように、取っ手に通気孔を設け、これを通過する空気によって取っ手を冷却しようとする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】実開平2−137610号公報(第3−4頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された発明は、グリル加熱室からの輻射や電熱によって取っ手が過熱しないように、取っ手の冷却には工夫しているが、グリル扉自体の過熱を防止するものではない。特に、グリル扉には通常加熱室の内部を覗けるような透明窓(覗き窓)があり、この部分は耐熱性のガラスで覆われているものの、グリル加熱室の高熱を受けて高温になる。したがって、調理中や調理終了後の所定時間に亘り高温になっているグリル扉や透明窓に、大人の調理者が取っ手に手を掛ける際に誤って触れたり、子供が不用意に手を触れたりするおそれがあった。
【0006】
本発明は、前記に鑑み、グリル扉や透明窓に、手や指が触れないようにする加熱調理器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る加熱調理器は、被加熱物を収納自在なグリル加熱室と、該グリル加熱室の前方に設置された開閉自在なグリル扉と、前記グリル加熱室を加熱する発熱体と、を具備する加熱調理器であって、
前記グリル扉の前方にガード体が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る加熱調理器は、グリル扉の前面がガード体によって覆われているから、高温になるグリル扉や透明窓への手や指の接触が防止される。よって、調理の際や台所等に設置された際の快適性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(加熱調理器)
図1および図2は本発明の実施形態に係る加熱調理器を模式的に示すものであって、図1は一部を削除した斜視図、図2は側面視の断面図である。
なお、以下のそれぞれの図において、同じ部分または相当する部分には同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、複数の部材であって、符号に「a、b、あるいはc等」を付記するものについて、共通する内容を説明する際には、符号に付した「a、b、あるいはc等」を削除して、その一方の部材について説明する。
図1および図2において、加熱調理器100は、略直方体の函体である本体10と、本体10の内部に設けられたグリル加熱室20と、グリル加熱室20に挿入自在な載置皿30と、載置皿30の前方(図2において左側)に設置されたグリル扉40と、グリル加熱室20の後方開口部に連通する排気手段60と、本体10の上面に形成された天板70と、天板70に連続して外周に向かって突出する枠体80と、を有している。
【0010】
(グリル加熱室)
グリル加熱室20は、略直方体状の空間であって、前方(図2において左側)に前方開口部21と、後方(図2において右側)に後方開口部22が形成され、天井近くに上ヒータ23と、底面近くに下ヒータ24と、がそれぞれ配置されている。
そして、本体10の上面の後方(天板70の後方に同じ)に排気口64が形成され、排気口64とグリル加熱室20の後方開口部22とを連通する排気風路63が設けられている。なお、排気風路63には触媒還元作用で排気を浄化する浄化フィルター61と送風機62とが配置されているから、被加熱物(たとえば、魚)の加熱によって発生した煙や臭いが分解され、発生した熱気や蒸気等は排気口64から排出されることになる。
【0011】
(グリル扉)
グリル扉40はグリル加熱室20の前方開口部21を覆うものであって、前面(図2において左側の面)には、縦断面形状が庇状になっている取っ手50が設けられている。したがって、調理者は取っ手50に手を掛けて載置皿30をグリル加熱室20に出し入れすることができる。また、載置皿30を最も奥に押し込んだとき、グリル扉40はグリル加熱室20の前方開口部21の周囲に気密的に密着するものである(正確には、後記する吸気孔45a、45bに限って通気性がある)。
なお、グリル扉40にはガード体110(図7以降に図示する)が取り付けられるものであるが、これらについては別途詳細に説明する。
【0012】
(載置皿)
さらに、グリル扉40の裏板42には、載置皿30を支持する皿支持フレーム31が固定または傾動自在に設置されている。皿支持フレーム31はグリル加熱室の側壁に形成されたフレームガイド(図示しない)に案内されて、これに摺動するものである。
【0013】
なお、載置皿30の上方には、被加熱物を直接載置するための載置網32が配置されるが、載置網32を載置皿30の上縁で支持するようにしても、皿支持フレーム31で支持するようにしてもよい。されに、載置皿30自体に皿支持フレーム31に相当する部位を形成してもよい。
【0014】
(天板)
天板70の上面には、鍋載置サークル71a、71b、71c(以下まとめて「鍋載置サークル71」と称する場合がある)が描かれ、天板70の下面でそれぞれの直下に加熱体72a、72b、72c(以下まとめて「加熱体72」と称する場合がある)が設置されている。加熱体72a、72b、72cは、本体10の前面に設けられた前面操作部11に設置されている電源スイッチ73a、73b、73cによって、あるいは枠体80の前方に設けられた天板操作部81に設置されている電源スイッチ74a、74b、74c(図1では代表符号74)によって、操作されるものである。なお、操作や調理の状態は、天板70に設けられた表示部75、例えば天板70の下方に設置された液晶画面により天板上に表示される。
【0015】
前記加熱体72a、72bは、何れも誘導加熱式加熱体であり、後部中央位置にある加熱体72cは誘導加熱式加熱体又はラジアントヒータ等で知られる輻射式電熱体である。
【0016】
(グリル扉)
図3〜図6は、本発明の実施形態に係る加熱調理器におけるグリル扉を模式的に示すものであり、図3の(a)は部分を分離して示す斜め前方から後方に向かって見た斜視図、図3の(b)は平面視の断面図、図4は斜め後方から前方に向かって見た斜視図、図5は風路を示す斜視図、図6の(a)は側方から見た中央部の断面図、図6の(b)は側方から見た側部の断面図である。
【0017】
(グリル扉)
図6において、グリル扉40は、前面上側の表板41および前面下側の前板45と、後面の裏板42と、表板41および前板45の外周と裏板42の外周とを連結する外周板43と、を有する函体である。
表板41は、外周が矩形の耐熱性ガラスから形成されており、透明窓41w(図7において複斜線が付されている)が形成されている。すなわち、透明窓41wを除く裏面全体には不透過性の耐熱塗装面が形成されており、透明窓41wの部分だけは当該耐熱性塗装を施していないので、透明性が確保されている。そして、表板41の下端部41cは、前板45の上端部に形成された垂直方向の溝に挿入されてネジ等の固定手段(図示せず)で固定されている。
裏板42は外周が矩形の金属製であって、開口部42wが形成され、表板41に対してシール材121を介して略平行に配置されている。そして、裏板42の外周から前方へ一体に伸びている外周板43(略矩形筒状)と、開口部42w(内周に同じ)から前方へ一体に伸びている内周板44(略矩形筒状)と、を有している。
【0018】
さらに、透明窓41wの背面(後面)には、その全体を覆うような大きさの耐熱性ガラスからなる平板状の内側透明窓120(図7において複斜線が付されている)が設置されている。このとき、表板41の透明窓41wの周囲には耐熱性のゴム等からなる枠状のシール材121が配置され、シール材121を挟んで透明窓41wと内側透明窓120とが対向するから、かかる対向面同士の間には密閉された空気層からなる断熱層Sが形成されている。
【0019】
そして、内側透明窓120の後面には内周板44の前端面が当接しているから、シール材121および内側透明窓120とは重なった状態で、表板41と内周板44とによって挾持されている。
そのため、表板41と、裏板42と、外周板43の上部のコ字状の範囲と、内周板44の上側と、シール材121および内側透明窓120の一部と、によって囲まれた上部ドアー空間49Uが形成されている。また、前板45と、裏板42と、外周板43の下部のコ字状の範囲と、内周板44の下側と、シール材121および内側透明窓120の一部と、によって囲まれた下部ドアー空間49Lが形成されている。
すなわち、グリル扉40には、上部ドアー空間49Uおよび下部ドアー空間49Lの2つの空間が区画形成されている。
【0020】
(通気孔)
図3の(a)において、グリル扉40の前板45の前面には前方に突出する取っ手50が設けられており、前板45の側方寄りに貫通する吸気孔45a、45bが形成されている。なお、図3において、吸気孔45a、45bは6個の丸孔を示しているが、その数量や形状はこれに限定されるものではない。
図4において、グリル扉40の裏板42には側方吹出孔46および中央吹出孔47が形成されている(これについては別途詳細に説明する)。
【0021】
なお、「前板45の側方寄り」とは、使用者が取っ手50に手を掛けた際、手の位置に一致しない範囲を指し、たとえば、前板45の幅方向の中央範囲である約100〜150mmを除く部分で、表板41の側縁41a、41b寄りの範囲を指している。
したがって、図3に示すような表板41の全幅に渡る取っ手50においては、取っ手50の中央範囲である約100〜150mmを除く、側縁41a、41b寄りの範囲を指している。あるいは、取っ手50が表板41の幅方向の中央範囲である約100〜150mmの範囲に設置された場合には、取っ手50を除く側縁41a、41b寄りの範囲を指している。
【0022】
(取っ手)
取っ手50は、前板45の略全幅に渡って設置されるものであって、取っ手50の端部50a、50b(手掛け部52の端部52a、52bに同じ)が、それぞれ前板45の左右両側縁に設置(ネジなどで固定接続)されている。
取っ手50は、前板45の前方に向かって略水平に伸びたフランジ部51と、前板45に略平行(正確にはアーチ状)で上下方向に伸びた手掛け部52と、前板45の前面に当接する後面壁55と、が一体に形成された側面視で断面略h字状である。そして、手掛け部52と後面壁55とを連結する一対の仕切壁53a、53bが、所定間隔を空けて設置されている。
さらに、側方寄りで、取っ手50のフランジ部51と後面壁55とが交わる角部に、フランジ部51を上下に貫通するように、細長形状のスリット90が形成されている。
【0023】
(取っ手空間)
したがって、手掛け部52および後面壁55の中央部と一対の仕切壁53a、53bとによって囲まれ、上方をフランジ部51の中央部によって覆われた中央取っ手空間59c(略四角柱状)が形成されている。
また、手掛け部52および後面壁55の側方寄り部と一方の仕切壁53aとによって囲まれ、上方をフランジ部51の側方寄り部によって覆われた側方取っ手空間59a(略直角三角柱状)が形成され、同様に、手掛け部52および後面壁55の側方寄り部と他方の仕切壁53bとによって囲まれ、上方をフランジ部51の側方寄り部によって覆われた側方取っ手空間59b(略直角三角柱状)が形成されている。
【0024】
(透孔)
そして、略直角三角柱状の側方取っ手空間59a、59bにおける後面壁55に、透孔56a、56bが形成されている。取っ手50が設置された状態で、透孔56a、56bはそれぞれ吸気孔45a、45bに一致し、透孔56aと吸気孔45aとによって、透孔56bと吸気孔45bとによって、それぞれ通気路が形成されるようになっている。すなわち、グリル扉40の下部ドアー空間49Lに通ずる吸気通路になる。したがって、台所等の室内の空気は、側方取っ手空間59a、59bから、前記吸気通路を経由してグリル扉40の下部ドアー空間49Lに吸引される。
【0025】
また、取っ手50は、正面視において、吸気孔45a、45bが手掛け部52に覆われているから、直接視認することができない。
そして、平面視において前方中央に行くに従って徐々に突出した「アーチ形状」であるため、手掛け部52の端部50a、50bに近い範囲は、手掛け部52と後面壁55との間隔が狭くなり、使用者が手指を掛けることが困難になっている。すなわち、使用者の手指が側方取っ手空間59a、59bに侵入しないため、調理の際、吸気孔45a、45bが塞がれるおそれがない。また、万一、グリル加熱室20の圧力が上昇して熱気が逆流し、連通している吸気孔45aおよび透孔56a、あるいは連通している吸気孔45bおよび透孔56bから側方取っ手空間59a、59bに熱気が流出した場合であっても、下方のみが開口しているから、かかる熱気は下方に向かって流れ出し、使用者の手指に熱気が触れることがない(図6の(b)参照)。
【0026】
また、仕切壁53a、53bによって中央取っ手空間59cが形成されているから、使用者が仕切壁53a、53bよりも側方に手指を掛けること、あるいは、手指を側方に移動させることがさらに困難になっている。
なお、取っ手50は断面略h字状であって、下方が開口した函体であるから、大きな断面二次モーメントを具備するものであるが、仕切壁53a、53bを設けたことによって、剛性がさらに大きくなっている。また、取っ手50(含む、仕切壁53)は前板45と一体的に成形してもよい。
【0027】
(吹出孔)
図4において、グリル扉40の裏板42の側縁42a、42b寄りの範囲に、貫通する側方吹出孔46a、46b(以下まとめて「側方吹出孔46」と称する場合がある)と、裏板42の中央範囲に、貫通する中央吹出孔47と、が形成されている。
【0028】
図4および図5において、側方吹出孔46は、前板45に形成された吸気孔45a、45bと同様に「側方寄り」に配置されているものの、吸気孔45a、45bとは上下方向で位相が一致していない(ズレている)。このため、透孔56aおよび吸気孔45aと透孔56bおよび吸気孔45bとを通過した吸気(空気)は、側方吹出孔46に直接侵入することはなく、裏板42に衝突して下部ドアー空間49Lに充満した後、側方吹出孔46および中央吹出孔47からグリル加熱室20に吹き出すことになる。
【0029】
このとき、中央吹出孔47の開口面積が側方吹出孔46の開口面積より大きくなっているから、吸気の吹き出しが吸気孔45a、45bに近い側方吹出孔46に集中することがない。したがって、吸気孔45a、45bから遠い中央吹出孔47からの吹き出し量が確保されるから、グリル加熱室20の全幅に渡って、比較的均一な風流れが形成され、被加熱物の均一な冷却が可能になる。
【0030】
また、後面壁55の左右両端部に形成された透孔56aおよび吸気孔45aの通路と、透孔56bおよび吸気孔45bの通路とが、グリル扉40の外部からドアー空間49に通ずる吸気通路になるから、室内の新鮮な空気が吸気となって下部ドアー空間49Lに充満するから、かかる吸気によって透明窓41wや取っ手50が冷却されることになる。
【0031】
なお、図4において、側方吹出孔46および中央吹出孔47はそれぞれ長穴であるが、その形状、数量さらに、配置の範囲をこれに限定するものではない。たとえば、それぞれを複数の丸孔によって構成してもよい。このとき、当該丸孔の単位面積当たりの形成数あるいは開口面積(丸孔の直径)を、中央吹出孔47の方が側方吹出孔46よりも、密にあるいは大きくしておけば、グリル加熱室20において全幅に渡る均一な風流れが形成される。
【0032】
また、裏板42の全幅に渡って側方吹出孔46および中央吹出孔47を形成してもよい(このとき、側方吹出孔46および中央吹出孔47の境界が明確でなくなる)。このとき、かかる吹出孔の開口面積(丸孔のとき、その直径)を、裏板42の中央に近づく程大きく、あるいは、かかる吹出孔同士の間隔を中央に近づく程狭くしておけば、グリル加熱室20において全幅に渡る均一な風流れが形成される。
さらに、下部ドアー空間49Lに、風流れを誘導する誘導板(いわゆる「邪魔板」)やオリフィスを形成して、吹き出す空気の流れを均一にしてもよい。
【0033】
(シール用パッキン)
図4において、裏板42の外周にそって、矩形環状にシール用パッキン48が設置されている。シール用パッキン48はグリル扉40を後方に押し込んだ際、グリル加熱室の前方開口部21の周囲に気密的に当接するものであって、吸気孔45a、45b以外の個所から空気がグリル加熱室に侵入しないようにシールしており、断面が真円形や楕円形又は2重の円形などの形状になっている。
【0034】
(ガード体)
図7〜図11は、本発明の実施形態に係る加熱調理器におけるグリル扉に取り付けられるガード体を模式的に説明するものであり、図7は正面図、図8は側面視の断面図、図9は取り付け要領を示す斜視図、図10は取り付けられた状態を示す斜視図、図11は取り付けられた状態を示す平面図である。
図7〜図11において、ガード体110は全体が金属線から形成されている。ガード体110は、前方にあって互いに所定(たとえば、5〜6mm)の対向間隔で平行で、かつ水平に伸びる複数(たとえば、10本)の横棒110aと、横棒110aの左右両端部を一体化する垂直に伸びる複数の縦棒110bと、各横棒110aの左右両端部にそれと直角に接読され後方に向かって水平に伸びた複数の側棒110cと、から構成されている。すなわち、正面視および側面視において、それぞれ梯子状を呈している。
【0035】
(ガード体の前脚および後脚)
そして、側棒110cのうち最上段に位置する一対の側棒110cは、連結棒110dによって連結され、横棒110aのうち最下段に位置する横棒110aには前脚110eが連結され、前脚110eには連結片113によって後脚110fが連結されている。
すなわち、前脚110eは一対の縦片111eと1本の横片112eとから構成され、正面視でコ(U)字状を呈する。後脚110fは一対の縦片111fと1本の横片112fとから構成され、正面視でコ(U)字状を呈する。そして、左右一対の縦片111eと縦片111fとは、それぞれ上下2箇所で連結片113によって連結されている(連結片113は左右の上下に配置され、合計4本ある)。
【0036】
(ガード体の取り付け)
ガード体110の後脚110fは、取っ手50に形成された細長形状の前記スリット90に上方から挿入され、このとき、前脚110eは取っ手50のフランジ部51の前面に当接する。したがって、ガード体110は、取っ手50のフランジ部51を前脚110eと後脚110fとでもって前後から弾力的に挟み込む形に設置されている。
これによりガード体110は、ネジなどを用いることなく、後脚110fをスリット90に押し込むことによりグリル扉40の前方位置に固定することができる。
なお、このとき、連結片113は取っ手50のフランジ部51の上面に当たっており、ガード体110の後脚110fをスリット90に上方に挿入した際の「位置決めストッパー」になっている。よって、ガード体110をスリット90に行き止まりまで挿入すれば丁度所定位置になり、後述する通り、グリル扉40の透明窓41wの前面全体を所定間隔を置いて覆うことになる。
【0037】
また、横棒110a、縦棒110b及び側棒110cはそれぞれ1本の線材で別々に、所定の長さに切断して接続するのではなく、例えば、横棒110aの左右両端部を直角に折り曲げ、横棒110aと側棒110cとを、1本の線材をコ字状に折り曲げられた一体物にするようにしても良い。
また前脚110eを最下段の横棒110aだけでなく、複数あるいは全ての横棒110aに連結し、かつ、後脚110fを上方に延長して連結棒110dに連結することにより、ガード体110の全体強度(特に、前脚110eおよび後脚110fの剛性)を更に増すようにしても良い。
なお、図中、110gは1つの側棒110cの後端をU字型に折り曲げて隣合う側棒110cに連続した折り曲げ部である。
【0038】
前記ガード体110は、複数(たとえば、10本)の横棒110aの相互間隔が上記したように所定(たとえば、5〜6mm程度)に設定されており、前方から使用者の指がその間に挿入できないようになっている。
また、ガード体110は、グリル扉40の前方位置に取り付けた状態で、ガード体110がグリル扉40の透明窓41wの前面全体を所定間隔を置いて覆う大きさに形成されている。したがって、透明窓41wがグリル加熱室20内部の高熱(最高時には350℃にもなる)を受けて高温になったとしても、このような高温部に対する使用者の不用意な接触を防止することができる。
また、ガード体110は、グリル扉40の前板45や表板41との接触面積が小さいため、前板45や表板41がグリル加熱室20からの熱で熱せられて高温なっても、ガード体110自体の温度を比較的低く抑えることができる(例えば、グリル加熱室20が300℃の状態でも、横棒110aの温度は50℃以下)。
【0039】
(グリル扉のバリエーション)
以上、理解を容易にするため、グリル扉40は表板41、裏板42、前板45等で形成され、取っ手50は前板45に設置(接続)されるものとして説明しているが、かかる構成部材(構成する部分に同じ)は、それぞれ別体のものを相互に接続したものであっても、一枚の板材を成形したものであってもよい。たとえば、裏板42と外周板43と内周板44とは、一体的に成形(たとえば、プレス成形や鋳造)しても良い。
【0040】
(加熱体のバリエーション)
また、複数の加熱体72(図2参照)の一部として、高周波数電流が流れるコイルであって、被加熱物を電磁誘導によって加熱するものを示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、また、これを必須とするものではない。たとえば、1つの加熱体72が、電熱ヒータやガスバーナ等であってもよい。このとき、加熱体の形式に応じて、天板70が撤去され、電源スイッチ73、74の形式が変動することになる。また、グリル加熱室20のみにおいて調理し、天面に加熱手段を具備しないものであってもよい。
さらに、グリル加熱室20には、上ヒータ23および下ヒータ24が配置されたものを示しているが、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、上ヒータ23および下ヒータ24の一方のみが配置されたものであってもよい。なお、上ヒータ23および下ヒータ24は通電による発熱体(ニクロム線やハロゲンヒータ等)であっても、ガスバーナであってもよい。
【0041】
図12は、本発明の他の実施形態に係る加熱調理器におけるグリル扉を模式的に示す断面図である。図12に示すように、この実施形態では、グリル扉40の手掛け部52の後面壁55を削除したことが特徴である。
つまり、手掛け部52がフランジ部51および仕切壁53a、53bを介して前板45に固定されたものである。これによれば後面壁55の削除によりグリル扉40の重量軽減でき、また構成をより簡略化できるので、組立性が向上する効果がある。
【0042】
なお、グリル扉40の透明窓(図12において複斜線が付されている)41wと、透明窓41wを覆う内側透明窓120(図12において複斜線が付されている)との間に形成された断熱層Sに、グリル扉40の外部から導入された空気を下部ドアー空間49Lを介して流通させるようにしても良い。
具体的にはグリル扉40の外部から吸気孔45a、45bを介して下部ドアー空間49Lに通ずる通路に、室内の新鮮な空気が自然吸気によって、又はファンによる強制吸気によって、導入する構成にすれば、かかる吸気流によって断熱層Sの温度上昇が抑制され、透明窓41wや取っ手50がより効果的に冷却されることになる。
【0043】
また、ガード体110自体を熱伝導性の低い材料(例えばプラスチック)で形成することや、ガード体が金属製であってもそのガード体110の主要部表面を全て熱伝導性の低い材料で覆う(例えば、塗装で皮膜付けることを含む)こと、又は表面に細かい繊維の起毛処理を施すなどの工夫により、使用者が触れた場合の温度感覚を緩和させ、調理器の使用の快適性や安心感を増大させることも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上より、本発明の加熱調理器は、グリル扉の前面を覆うガード体により、グリル扉の高温部分に対する使用者の接触を抑止するから、グリル加熱室を具備する各種加熱調理器に広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係る加熱調理器を模式的に示す一部を削除した斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係る加熱調理器を模式的に示す側面視の断面図。
【図3】図1に示す加熱調理器におけるグリル扉の部分を示す斜視図と断面図。
【図4】図1に示す加熱調理器におけるグリル扉を斜め後方から見た斜視図。
【図5】図1に示す加熱調理器におけるグリル扉の風路を示す斜視図
【図6】図1に示す加熱調理器におけるグリル扉を側方から見た断面図。
【図7】図1に示す加熱調理器におけるガード体を模式的に説明する正面図。
【図8】図1に示す加熱調理器におけるガード体を模式的に説明する断面図。
【図9】図1に示す加熱調理器におけるガード体の取り付け要領を示す斜視図。
【図10】図1に示す加熱調理器におけるガード体の取り付け状態を示す斜視図。
【図11】図1に示す加熱調理器におけるガード体の取り付け状態を示す平面図。
【図12】本発明の他の実施形態に係る加熱調理器におけるグリル扉を示す断面図。
【符号の説明】
【0046】
10:本体、11:前面操作部、20:グリル加熱室、21:前方開口部、22:後方開口部、23:上ヒータ、24:下ヒータ、30:載置皿、31:皿支持フレーム、32:載置網、40:グリル扉、41:表板、41a:側縁、41c:下端部、41w:透明窓、42:裏板、42a:側縁、42w:開口部、43:外周板、44:内周板、45:前板、45a:吸気孔、45b:吸気孔、46a:側方吹出孔、46b:側方吹出孔、47:中央吹出孔、48:シール用パッキン、49L:下部ドアー空間、49U:上部ドアー空間、50:取っ手、50a:端部、51:フランジ部、52:手掛け部、52a:端部、52b:端部、53a:仕切壁、53b:仕切壁、55:後面壁、56a:透孔、56b:透孔、59a:側方取っ手空間、59b:側方取っ手空間、59c:中央取っ手空間、60:排気手段、61:浄化フィルター、62:送風機、63:排気風路、64:排気口、70:天板、71:鍋載置サークル、71a:鍋載置サークル、72:加熱体、72a:加熱体、72c:加熱体、73:電源スイッチ、73a:電源スイッチ、74a:電源スイッチ、75:表示部、80:枠体、81:天板操作部、90:スリット、100:加熱調理器、110:ガード体、110a:横棒、110b:縦棒、110c:側棒、110d:連結棒、110e:前脚、110f:後脚、111e:縦片、111f:縦片、112e:横片、112f:横片、113:連結片、120:内側透明窓、121:シール材、S:断熱層(空気層)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収納自在なグリル加熱室と、該グリル加熱室の前方に設置された開閉自在なグリル扉と、前記グリル加熱室を加熱する発熱体と、を具備する加熱調理器であって、
前記グリル扉の前方にガード体が設けられていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記グリル扉には、グリル加熱室の内部を透視可能な覗き用窓が形成され、
前記ガード体は、少なくとも前記覗き用窓の前方を覆っていることを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記ガード体は、前記グリル扉に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記ガード体には脚部が設けられ、
前記グリル扉の前面には取っ手が突出して形成されて、且つ、当該取っ手に前記脚部を挿入自在な挿入孔または挿入スリットが形成され、
前記脚部が前記挿入孔または前記挿入スリットに挿入されることによって、前記ガード体が前記グリル扉に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記ガード体には後面側脚部と、該後面側脚部に並行した前面側脚部とが設けられ、
前記グリル扉の前面には取っ手が突出して形成されて、且つ、当該取っ手に前記後面側脚部を挿入自在な挿入孔または挿入スリットが形成され、
前記後面側脚部が前記挿入孔または前記挿入スリットに挿入され、且つ、前記前面側脚部が前記取っ手の前面に当接することによって、前記ガード体が前記グリル扉に取り付けられることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記ガード体が、線材または棒材から構成された梯子状であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記覗き用窓の後方に、グリル加熱室の内部を透視可能な耐熱性の板材からなる内側透明窓が配置され、
前記覗き用窓と前記内側透明窓との間に、断熱用の空気層が形成されることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記取っ手は、アーチ状板材からなるフランジ部と、フランジ部の前面縁に設けられた手掛け部と、フランジ部の後面縁に設けられた後面壁とが一体に形成された断面略h字状であって、
前記手掛け部と前記後面壁とを連結する一対の仕切壁が、所定間隔を空けて設置され、
前記後面壁の前記仕切壁よりも側方に、通気自在な透孔が形成されていることを特徴とする請求項4乃至7の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記グリル扉が、両端にそれぞれ配置されたロ字状の表板および裏板と、外周に配置された矩形筒状の外周側板と、内周に配置された矩形筒状の内周板と、を有する断面ロ字状の筐体であって、
前記表板に吸気孔が、前記裏板に吹出孔が、それぞれ形成され、前記筐体内を通過する風路が形成されることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記グリル扉の裏板に外周部に沿って、前記グリル加熱室の前方端面に密着する環状のシール用パッキンが設置されていることを特徴とする請求項9記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−204180(P2009−204180A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44348(P2008−44348)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】