説明

加熱調理器

【課題】調理用の加熱部が誘導加熱コイルとラジエントヒータの組み合わせである場合のように、調理用の加熱部が複数ある場合において、加熱部の冷却と、誘導加熱コイルの駆動回路の冷却とを1個の冷却用ファンによって行なうこと、そして、調理用の加熱部への送風ルートと通電制御回路への送風ルートの確定が容易となる構成を提供する。
【解決手段】軸流冷却用ファン支持部と、誘導加熱コイル4を支持する支柱と、回路基板配置部と、冷却用ファンの送風を加熱部へ送る第1送風ルートと放熱部材へ送る第2送風ルートとに分流する分流部とがベース部材20に一体に冷却ユニットを構成し、本体部の底壁とベース部材20には、本体部側係合部及びベース部材20側係合部と、ベース部材の端縁に形成した取り付けフランジと、本体部の底壁に固定部を備え、取り付けフランジと固定部を貫通するネジにて固定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板の下方に配置した誘導加熱コイルへの通電制御に係る制御部及び誘導加
熱コイルの冷却を図る加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
2個の誘導加熱コイル27、28と中央ヒータ29とを備えた加熱調理器があり、1個
のファンモータによって、2個の誘導加熱コイル27、28に対応するインバータユニッ
ト30を冷却する技術がある(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1のものは、2個の誘導加熱コイル27、28に対応するインバータユニ
ット30の4個の放熱部材32が、プリント基板31上に設けられ、4個の放熱部材32
を上方から覆う状態で、冷却ダクト35が配置されている。冷却ダクト35の右後部にフ
ァンケーシング36が一体に設けられ、ファンケーシング36内に冷却ファン37が配置
され、ファンケーシング36の吸入口36bが、加熱調理器の上面後部に形成された吸気
口46に連通し、吸気口46に併設されるように加熱調理器の上面後部に排気口47が形
成されている。
【0004】
この構成において、誘導加熱コイル27,28の一方または双方が使用される時には、
ファンモータ38が通電される。このファンモータ38により冷却ファン37が回転され
ると、冷却ファン37の送風作用により、外部の空気が、吸気口46から吸気ダクト41
を通し、ケース26内の吸入口カバー40内を通ってファンケーシング36内に吸入され
、その空気は、ファンケーシング36の吐出口36aから冷却ダクト35内に向けて吐出
される。冷却ダクト35内に吐出された空気は、インバータユニット30を冷却しながら
冷却ダクト35内を流れ、冷却ダクト35の左側部の開口部からケース26内に吐出され
、後部側と前部側とに分かれて、通風抵抗が少ない後部側は排気口47から外部へ排出さ
れ、前部側は前面排出口52からケース26外へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−87039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような加熱調理器においては、誘導加熱コイル27、28及び中央ヒータ29に通
電しているときは、その周辺も高温となるため、この冷却も必要である。特許文献1のも
のは、1個のファンモータによって、2個の誘導加熱コイル27、28に対応するインバ
ータユニット30を冷却するものであるが、誘導加熱コイル27、28及び中央ヒータ2
9の冷却をどのようにするかは考慮されていない。
【0007】
本発明は、加熱調理器が、例えば、調理用の加熱部が2個の誘導加熱コイルである場合
、或いは調理用の加熱部が誘導加熱コイルとラジエントヒータの組み合わせである場合の
ように、調理用の加熱部が複数ある場合において、この加熱部の冷却と、誘導加熱コイル
の通電制御回路の冷却とを、1個の冷却用ファンによって行なうようにするものである。
【0008】
この場合、冷却用ファンを収納するファン支持部と、誘導加熱コイルの支持と、誘導加
熱コイルの通電制御回路及び放熱部材を含む回路基板の支持と、冷却用ファンからの送風
を誘導加熱コイル側と放熱部材側とに分流する分流機構をベース部材に備えた冷却ユニッ
トとし、冷却用送風ルートの形成と組み立ての容易さを達成すると共に、これを加熱調理
器の本体部内に取り付ける際の正確な位置決めと、安定した取り付けが達成できる技術を
提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明は、本体部の上面に天板を備え、前記天板に対応して前記本体部の内部には、
少なくとも一つの誘導加熱コイルを含む複数の調理用の加熱部と、前記加熱部の通電制御
回路及び前記通電制御回路の放熱部材を備える回路基板が配置された加熱調理器において
、下側に吸気部を形成し上側に排気部を形成して1個の軸流冷却用ファンを支持したファ
ン支持部と、前記誘導加熱コイルを支持するよう前記ファン支持部の周囲に立設された支
柱と、前記回路基板を横配置する回路基板配置部と、前記冷却用ファンの送風を前記加熱
部へ上昇する第1送風ルートと前記放熱部材へ流れるよう横方向へ分流する第2送風ルー
トとに分流する分流部とが、合成樹脂製ベース部材に一体に形成された冷却ユニットを構
成し、前記本体部の底壁と前記ベース部材には、相対的な横方向のスライドによって相互
に嵌り合う本体部側係合部及びベース部材側係合部と、前記ベース部材の端縁に形成した
取り付けフランジと、前記本体部の底壁に形成され前記両係合部が嵌まり合った状態で前
記取り付けフランジが載置される固定部を備え、前記取り付けフランジと前記固定部を貫
通するネジにて固定したことを特徴とする。
【0010】
第2発明は、第1発明において、前記本体部側係合部と前記ベース部材側係合部は、そ
れぞれ前記スライド方向の第1軸線上で前記スライド方向に分離した少なくとも2箇所に
形成され、前記本体部側係合部は、前記本体部の底壁から上方へ突出した庇状に形成され
、前記ベース部材側係合部は、前記ベース部材の底面に並行するよう下方へ突出し前記本
体部側係合部の庇状に侵入する板状に形成され、前記取り付けフランジと前記固定部は、
それぞれ前記第1軸線に平行な第2軸線上で前記スライド方向に分離した少なくとも2箇
所において、前記取り付けフランジは前記ベース部材の端縁から突出形成され、前記固定
部は前記本体部の底壁から上方へ膨出形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によって、ベース部材に一体にファン支持部と、誘導加熱コイルを支持する支柱
と、回路基板配置部と、分流部とが形成された冷却ユニット構成であるため、各部品を加
熱調理器の本体部内の所定位置に組み込む作業も簡素化されると共に、誘導加熱コイルを
含む複数の調理用の加熱部の冷却と、通電制御回路の冷却を単一ファンによって行う方式
として、調理用の加熱部の冷却用送風ルートと通電制御回路の冷却用送風ルートの確定が
容易となる。
【0012】
また、本体部へのユニットの取り付けは、本体部に対するベース部材のスライドによっ
て位置決めされ、その状態でネジ止めにて固定されるため、本体部内の所定位置に組み込
む作業も簡単且つ正確となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る加熱調理器を台所設備台に組み込む関係を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る加熱調理器を台所設備台に組み込んだ状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る加熱調理器の天板を取り外した内部を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る加熱調理器の本体部と回路基板を取り外した冷却ユニットとの関係を示す分解斜視図である。
【図5】本発明に係る冷却ユニットと誘導加熱コイルの関係を示す分解斜視図である。
【図6】本発明に係る冷却ユニットの側面図である。
【図7】本発明に係る冷却ユニットの上面図である。
【図8】図7のA−A断面図である。
【図9】本発明に係る冷却ユニットのベース部材の取り付け手段を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る誘導加熱コイル及びラジエントヒータの通電制御回路である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明では、本体部の上面に天板を備え、前記天板に対応して前記本体部の内部には、
少なくとも一つの誘導加熱コイルを含む複数の調理用の加熱部と、前記加熱部の通電制御
回路及び前記通電制御回路の放熱部材を備える回路基板が配置された加熱調理器において
、下側に吸気部を形成し上側に排気部を形成して1個の軸流冷却用ファンを支持したファ
ン支持部と、前記誘導加熱コイルを支持するよう前記ファン支持部の周囲に立設された支
柱と、前記回路基板を横配置する回路基板配置部と、前記冷却用ファンの送風を前記加熱
部へ上昇する第1送風ルートと前記放熱部材へ流れるよう横方向へ分流する第2送風ルー
トとに分流する分流部とが、合成樹脂製ベース部材に一体に形成された冷却ユニットを構
成し、前記本体部の底壁と前記ベース部材には、相対的な横方向のスライドによって相互
に嵌り合う本体部側係合部及びベース部材側係合部と、前記ベース部材の端縁に形成した
取り付けフランジと、前記本体部の底壁に形成され前記両係合部が嵌まり合った状態で前
記取り付けフランジが載置される固定部を備え、前記取り付けフランジと前記固定部を貫
通するネジにて固定した構成である。
【0015】
本発明は、前記加熱部が、例えば、2個の誘導加熱コイルである場合、或いは誘導加熱
コイルとラジエントヒータの組み合わせである場合のように、調理用の加熱部が複数であ
る場合であり、以下に示す実施例では、加熱部が、誘導加熱コイルとラジエントヒータの
組み合わせである場合について記載するものとする。
【実施例1】
【0016】
以下、本発明の実施例として、一つの誘導加熱コイル4と一つのラジエントヒータ5を
備えた加熱調理器1の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、
本発明の第1実施形態に係る加熱調理器1が台所設備台7に取り付けられる状態を示す斜
視図である。加熱調理器1は、システムキッチンや、調理台や流し台のような台所設備台
7に、ドロップイン方式によって組み込まれる形態であり、略矩形状ケースを形成した本
体部2と、本体部2の上面部に取り付けた天板枠6によって支持された耐熱ガラス製の天
板3を備え、本体部2の内部には、天板3に対応してその下方空間に前後に間隔を保って
設置された熱源となる誘導加熱コイル4及びラジエントヒータ5を備えている。本体部2
は、底壁2Aと周囲四方を囲むよう底壁2Aに取り付けた側壁2Bによって上面開口の略
矩形状ケースを形成している。また、耐熱ガラス製の天板3は、本体部2の上面開口を覆
うように側壁2Bにネジにて取り付けた天板枠6によって、周縁部が支持された状態であ
る。
【0017】
誘導加熱コイル4及びラジエントヒータ5にそれぞれ対応する天板3には、鍋等の調理
容器を載置する場所を明示するために、円形状の調理容器載置部8及び9が印刷などによ
って表示されている。実施例では、誘導加熱コイル4は、200ボルト、1.5Kwの発
熱量のものであり、ラジエントヒータ5は、200ボルト、1.2Kwの発熱量のもので
あるが、これに限定されない。
【0018】
図示の台所設備台7は流し台7の形態で示しており、シンク10と横並びに加熱調理器
1の本体部2が落とし込まれる挿入孔11が、台所設備台7(流し台7)の上面板7Aを
貫通形成されている。これによって、挿入孔11に本体部2を落とし込む、所謂ドロップ
イン方式によって、挿入孔11の周縁の上面板7Aに天板枠6の下側が係止する状態に保
持される。この保持状態で、加熱調理器1は、本体部2をボルトネジやその他の手段によ
って、外れないように台所設備台7(流し台7)に固定される。
【0019】
台所設備台7(流し台7)の上面板7Aの下方は、物品収納空間とするために、シンク
9の下側の物品収納空間12Bの前面は、開閉扉8A、8Bで開閉可能であり、加熱調理
器1の下側の物品収納空間12Aの前面は、開閉扉8Cで開閉可能である。上記のように
、挿入孔11にドロップインされた加熱調理器1は、本体部2の底壁2Aが物品収納空間
12Aの上部に露出状態である。
【0020】
加熱調理器1は、天板枠6の前部に、誘導加熱コイル4及びラジエントヒータ5の通電
制御や発熱制御等を行うための操作スイッチ部13とそれに対応したLED表示部14等
を備えた操作部15を備え、また、天板枠6の後部には、後述の冷却後の排気を行なうた
めの排気部16を形成する多数の排気孔17Aを形成した排気カバー17が取り付けられ
ている。
【0021】
本体部2内には、誘導加熱コイル4及びラジエントヒータ5が配置されている。ラジエ
ントヒータ5は、上面開口の耐熱性の支持枠5A内に取り付けられ、底壁2Aから立ち上
がるように取り付けた支持台18の上面に、支持枠5Aを複数個所でコイルバネの支持部
材19によって支持され、支持枠5Aが耐熱ガラス製の天板3の下面へ当接するように、
上方へ付勢されている。
【0022】
図4乃至図8に示すように、本発明では、誘導加熱コイル4及びラジエントヒータ5の
通電制御回路26と通電制御回路26の放熱部材27を備える回路基板25の支持部24
と、誘導加熱コイル4の支持部21と、冷却用ファン23を支持するケーシング部22と
、冷却用ファン23からの送風を誘導加熱コイル4側と放熱部材27側とに分流する分流
部40とを、ベース部材20に一体化した冷却ユニットRUとし、後述のように、ベース
部材20を本体部2内に取り付け手段によって取り付けることにより、この冷却ユニット
RUが本体部2内の所定位置に固定される構成を採用している。
【0023】
誘導加熱コイル4は、合成樹脂製の支持枠4Aの上面に取り付けられ、本体部2の底壁
2Aに取り付けた合成樹脂製ベース部材20から立設する複数の支柱21に支持されてい
る。この支持の構成は、ベース部材20から立設する複数の支柱21に、コイルバネの支
持部材21Aによって支持され、支持枠4Aの周縁フランジが耐熱ガラス製の天板3の下
面へ当接するように、上方へ付勢されている。
【0024】
合成樹脂製ベース部材20は、周囲に補強用リブ等を形成した略平板状であり、下側に
吸気部22Aを形成し上側に排気部22Bを形成して1個の軸流冷却用ファン23を収納
状態に支持するように枠状に形成されたファン支持部22と、誘導加熱コイル4を支持す
るようファン支持部22の周囲に立設した複数の支柱21と、回路基板25を略水平状態
となるように横配置する回路基板配置部24と、冷却用ファン23からの送風を誘導加熱
コイル4側と放熱部材27側とに分流する分流部40とが一体に形成された形態である。
【0025】
冷却用ファン23は、軸流ファンであり、回転中心部に電動機23Aが収納され、その
周囲に電動機23Aによって回転するプロペラが形成された構成である。冷却用ファン2
3は、下側が吸気部22Aに連通し上側が排気部22Bに連通するよう上下開放のファン
ケーシング23Kに回転可能に支持された形態である。このため、ファンケーシング23
Kがファン支持部22内に収納された状態で、ファン支持部22の一部に形成された弾性
フック片22Fの上部カギ部によって、ファンケーシング23Kがファン支持部22内に
保持された状態を保つ。
【0026】
回路基板25は、誘導加熱コイル4及びラジエントヒータ5の通電制御回路26と、通
電制御回路26の放熱部材27を備える。誘導加熱コイル4に係る通電制御回路26は、
図10に示すように、AC200V電源28が整流回路29及び平滑回路30によって所
定の直流に変換され、この直流が誘導加熱コイル4に印加される。誘導加熱コイル4には
並列に共振コンデンサ31が接続されて並列共振回路32を構成し、並列共振回路32に
共振電流を生成するためにスイッチング素子33が接続され、これらがインバータ回路3
4を構成している。スイッチング素子33は、操作スイッチ部13のスイッチ操作に基づ
き動作するマイクロコンピュータを含む制御回路35によって制御される。このため、ス
イッチング素子33のスイッチング動作によって、誘導加熱コイル4の発熱状態が制御さ
れる。
【0027】
また、ラジエントヒータ5の通電は、操作スイッチ部13のスイッチ操作に基づき動作
する制御回路36によって制御される。ラジエントヒータ5の通電は、整流回路29及び
平滑回路30によって変換された直流が印加される構成でもよい。
【0028】
回路基板25は、誘導加熱コイル4及びラジエントヒータ5の通電制御回路26を構成
する各種の電子部品(図示せず)の取り付けと、これらの配線(図示せず)がプリントさ
れた構成である。回路基板25は、更に、通電制御回路26の放熱部材27を備える。放
熱部材27は、アルミニウムなどで構成され、通電制御回路26の中で特に発熱の大きい
部品の放熱を行なうためのものであり、この発熱の大きい部品として、整流回路29のダ
イオード29Aと、スイッチング素子33が該当する。
【0029】
整流回路29のダイオード29Aとスイッチング素子33の発熱が放熱部材27へ伝達
されるようにするために、ダイオード29Aとスイッチング素子33が、回路基板25の
上面に取り付けられ、このダイオード29Aとスイッチング素子33の上面に、放熱部材
27の底面が熱伝導関係に取り付けられている。その取り付けの一つとして、共通のボル
トとナットによって、ダイオード29Aとスイッチング素子33が、回路基板25の上面
に取り付けられている。
【0030】
ファン支持部22は、冷却用ファン23による送風が、下側の吸気部22Aから吸い込
んだ空気が上側の排気部22Bへ流れるとき、冷却用ファン23の送風を誘導加熱コイル
4へ上昇する第1送風ルート41と、放熱部材27へ流れるよう横方向へ分流する第2送
風ルート42とに分流する分流部40を一体形成している。分流部40は、第1送風ルー
ト41に対しては何も存在せず、第2送風ルート42を形成するように、冷却用ファン2
3の上方において、ファン支持部22の一部が冷却用ファン23の一部に被さる位置に庇
22Pを形成している。
【0031】
放熱部材27は、第2送風ルート42を流れる冷却用ファン23からの送風によって冷
却されるようにするために、ファン支持部22に近接した位置に配置され、第2送風ルー
ト42を流れる冷却用ファン23からの送風が、略回路基板25の上面に沿って流れるよ
うに、下側のベース板27Bの上面に複数の放熱フィン27Aを並列配置に形成している

【0032】
冷却ユニットRUを本体部2内の所定位置に固定する取り付け手段の一つを図4及び図
9に示す。これにおいて、本体部2は底壁2A及び側壁2Bが金属板で構成され、本体部
2の底壁2Aとベース部材20には、相対的な横方向(図4に示すR方向)のスライドに
よって相互に嵌り合う本体部側係合部50及びベース部材側係合部51と、ベース部材2
0の端縁の補強フランジに形成した取り付けフランジ52と、両係合部50及び51が嵌
まり合った状態で取り付けフランジ52が載置されるよう本体部2の底壁2Aの切り起こ
しにて形成した固定部53を備え、取り付けフランジ52と固定部53を貫通するネジ5
4の締め付けにより、本体部2の底壁2Aにベース部材20を固定する。
【0033】
これを更に具体的に説明する。本体部側係合部50とベース部材側係合部51は、それ
ぞれ、スライド方向(図4に示すR方向)の第1軸線X1上でスライド方向に分離した少
なくとも2箇所に形成され、本体部側係合部50は、本体部2の底壁2Aをプレス加工に
よって底壁2Aから上方へ突出した庇状50Aに形成される。この庇状50Aは、プレス
加工によって底壁2Aを貫通する貫通孔50Bの対向縁から向かい合うように上方へ突出
した鉤状の一対で構成される。また、ベース部材側係合部51は、ベース部材20の底面
に並行するよう下方へ鉤状に突出し、本体部側係合部50の一対の庇状50Aの内側に侵
入する板状に形成される。
【0034】
また、取り付けフランジ52と固定部53は、それぞれ、前記第1軸線X1に平行な第
2軸線X2上で、スライド方向(図4に示すR方向)に分離した少なくとも2箇所におい
て、取り付けフランジ52は、ベース部材20の端縁の補強フランジから略水平方向へ突
出形成され、略水平な載置部52Aとその先端が下方へ屈曲したガイド部52Bを形成し
ている。一方、固定部53は本体部2の底壁2Aをプレス加工によって、底壁2Aから上
方へ膨出する台形状に形成される。
【0035】
このような構成において、本体部2内への冷却ユニットRUの取り付けを説明する。上
面開口の略矩形状ケースを形成する本体部2内へ、この上面開口から冷却ユニットRUを
入れて、本体部側係合部50の一対の庇状50Aの内側(図4では下側)にベース部材側
係合部51を対応させると共に、固定部53に取り付けフランジ52を対応させる位置に
、ベース部材20を本体部2の底壁2Aに載せる。そして、冷却ユニットRUを本体部2
の底壁2A上でスライドさせることにより、即ち、ベース部材20を本体部2の底壁2A
上で、図4に示すR方向にスライドさせることにより、固定部53の外側面(図9で固定
部53の右側面)にガイド部52Bが案内されつつ、載置部52Aが固定部53の上面に
載る状態となる。また、このR方向のスライドに伴って、本体部側係合部50の一対の庇
状50Aの内側(図4及び図9では下側)にベース部材側係合部51が侵入する。
【0036】
このような操作によって、鉤状に突出したベース部材側係合部51の基部51Aがスト
ッパ部として作用し、この基部51Aに本体部側係合部50の庇状50Aの端部(スライ
ド方向Rの後端)が衝突した位置で、本体部2に対する冷却ユニットRUのR方向のスラ
イドが停止する。この位置で、取り付けフランジ52の結合孔52Cと固定部53の結合
孔53Aが一致し、この結合孔52C及び結合孔53Aを貫通するネジ54の締め付けに
より、冷却ユニットRUが本体部2に取り付けられる。
【0037】
本体部2の底壁2Aには、底壁2Aを貫通形成した吸気口37を有しており、上記のよ
うに、本体部2内へ冷却ユニットRUが取り付けられた状態で、吸気部22Aが吸気口3
7に対応する状態となる。吸気口37は、物品収納空間12Aの上部に露出状態であるた
め、物品収納空間12Aに収納される物品によって塞がれることが懸念されるが、その解
決のために、図4に一部断面で示すように、吸気口37は、底壁2Aの一部を上方へ凸状
にプレス加工した部分に多数の孔を貫通形成した構成である。これによって、吸気口37
の全てが塞がれない限り、冷却用ファン23への吸気は良好に行なわれることとなる。
【0038】
上記のような構成において、冷却用ファン23の運転によって、物品収納空間12Aの
空気は、吸気口37から吸い上げられ、図8に示すように、冷却用ファン23からの送風
は、一部が庇22Pに衝突して、第2送風ルート42によって放熱部材27へ流れ、他の
部分はそのまま上昇する第1送風ルート41によって、誘導加熱コイル4の下面に衝突し
、一部が誘導加熱コイル4と支持枠4Aを貫通し、誘導加熱コイル4を冷却する。誘導加
熱コイル4を冷却した空気は、天板3の下面に沿って横方向へ流れてラジエントヒータ5
を冷却した後、本体部2の側壁2Bの一部である背壁2Bに形成した排気孔38から背壁
2Bの裏側へ流れ、背壁2Bの裏側に形成した排気ダクト39から、排気部16の排気孔
17Aを通って放出される。
【0039】
一方、第2送風ルート42によって放熱部材27へ流れた空気は、放熱部材27を冷却
しつつ、回路基板25の上面に沿って横方向へ流れた後、本体部2の側壁2Bの一部であ
る背壁2Bに形成した排気孔38から背壁2Bの裏側へ流れ、背壁2Bの裏側に形成した
排気ダクト39から、排気部16の排気孔17Aを通って放出される。
【0040】
実施例では、冷却用ファン23からの送風が分流部40によって分流する割合は、第1
送風ルート41が3分の2、第2送風ルート42が3分の1の割合に構成することにより
、誘導加熱コイル4及びラジエントヒータ5の冷却と、通電制御回路26のダイオード2
9Aとスイッチング素子33が熱破壊しない温度にまで低下させることができる、良好な
冷却効果を得ているが、加熱調理器1の構成によって、これに限定されるものではない。
【0041】
このようにして、誘導加熱コイル4を含む複数の調理用の加熱部の冷却と、通電制御回
路26の冷却が、単一ファン23によって良好に行えるものとなる。また、放熱部材27
が、通電制御回路26の放熱と、交流を直流に変換する整流回路29の放熱とを行なう構
成によって、これらの冷却が、単一ファン23によって、誘導加熱コイル4を含む複数の
調理用の加熱部の冷却と同時に良好に行えるものとなる。
【0042】
また、誘導加熱コイル4及びラジエントヒータ5の通電制御回路26と通電制御回路2
6の放熱部材27を備える回路基板25の支持部24と、誘導加熱コイル4の支持部21
と、冷却用ファン23を支持するケーシング部22と、冷却用ファン23からの送風を誘
導加熱コイル4側と放熱部材27側とに分流する分流部40とを、ベース部材20に一体
化した冷却ユニットRUとしものであるため、各部品を加熱調理器の本体部内の所定位置
に組み込む作業も簡素化されると共に、誘導加熱コイルを含む複数の調理用の加熱部の冷
却と、通電制御回路の冷却を単一ファンによって行う方式として、調理用の加熱部の冷却
用送風ルートと通電制御回路の冷却用送風ルートの確定が容易となる。
【0043】
また、本体部へのユニットの取り付けは、本体部に対するベース部材のスライドによっ
て位置決めされ、その状態でネジ止めにて固定されるため、本体部内の所定位置に組み込
む作業も簡単且つ正確となる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る加熱調理器は、上記実施例に示した構成に限定されず、種々の形態のもの
に適用できるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0045】
1・・・・・加熱調理器
2・・・・・本体部
2A・・・・本体部の底壁
3・・・・・天板
4・・・・・誘導加熱コイル
5・・・・・ラジェントヒータ
6・・・・・天板枠
7・・・・・台所設備台(流し台)
7A・・・・上面板
8、9・・・調理容器載置部
10・・・・シンク
11・・・・挿入孔
12A、12B・・・・物品収納空間
13・・・・操作スイッチ部
16・・・・排気部
17・・・・排気カバー
19・・・・コイルバネの支持部材
20・・・・ベース部材
21・・・・支柱
21・・・・コイルバネの支持部材
22・・・・ファン支持部
22A・・・吸気部
22B・・・排気部
22P・・・庇部
23・・・・軸流冷却ファン
24・・・・回路基板配置部
25・・・・回路基板
26・・・・通電制御回路
27・・・・放熱部材
28・・・・AC200V電源
29・・・・整流回路
30・・・・平滑回路
31・・・・共振コンデンサ
32・・・・並列共振回路
33・・・・スイッチング素子
34・・・・インバータ回路
35・・・・制御回路
36・・・・制御回路
37・・・・吸気口
38・・・・排気孔
39・・・・排気ダクト
40・・・・分流部
41・・・・第1送風ルート
42・・・・第2送風ルート
50・・・・本体部側係合部
50A・・・庇状
51・・・・ベース部材側係合部
51A・・・基部(ストッパ部)
52・・・・取り付けフランジ
52A・・・載置部
52B・・・ガイド部
53・・・・固定部
RU・・・・冷却ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部の上面に天板を備え、前記天板に対応して前記本体部の内部には、少なくとも一
つの誘導加熱コイルを含む複数の調理用の加熱部と、前記加熱部の通電制御回路及び前記
通電制御回路の放熱部材を備える回路基板が配置された加熱調理器において、下側に吸気
部を形成し上側に排気部を形成して1個の軸流冷却用ファンを支持したファン支持部と、
前記誘導加熱コイルを支持するよう前記ファン支持部の周囲に立設された支柱と、前記回
路基板を横配置する回路基板配置部と、前記冷却用ファンの送風を前記加熱部へ上昇する
第1送風ルートと前記放熱部材へ流れるよう横方向へ分流する第2送風ルートとに分流す
る分流部とが、合成樹脂製ベース部材に一体に形成された冷却ユニットを構成し、前記本
体部の底壁と前記ベース部材には、相対的な横方向のスライドによって相互に嵌り合う本
体部側係合部及びベース部材側係合部と、前記ベース部材の端縁に形成した取り付けフラ
ンジと、前記本体部の底壁に形成され前記両係合部が嵌まり合った状態で前記取り付けフ
ランジが載置される固定部を備え、前記取り付けフランジと前記固定部を貫通するネジに
て固定したことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記本体部側係合部と前記ベース部材側係合部は、それぞれ前記スライド方向の第1軸
線上で前記スライド方向に分離した少なくとも2箇所に形成され、前記本体部側係合部は
、前記本体部の底壁から上方へ突出した庇状に形成され、前記ベース部材側係合部は、前
記ベース部材の底面に並行するよう下方へ突出し前記本体部側係合部の庇状に侵入する板
状に形成され、前記取り付けフランジと前記固定部は、それぞれ前記第1軸線に平行な第
2軸線上で前記スライド方向に分離した少なくとも2箇所において、前記取り付けフラン
ジは前記ベース部材の端縁から突出形成され、前記固定部は前記本体部の底壁から上方へ
膨出形成されたことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−171149(P2011−171149A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34634(P2010−34634)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(302071092)テガ三洋工業株式会社 (244)
【Fターム(参考)】