説明

加熱調理器

【課題】調理室内の室内高さを確保しつつ、排気風路内への食材等の侵入を軽減することができ、汚染濃度の高い空気を排気しやすい加熱調理器を得る。
【解決手段】筐体2内に配置され、壁面の一部に排気用開口部30が形成された調理室17と、調理室17内に配置された上方加熱手段24と、上面から見て調理室17と重ならない位置に配置され、排気用開口部30と筐体2外とを連通させる調理室排気ダクト10と、排気用開口部30と相対して調理室17内に設けられ、排気用開口部30が設けられた後壁17aとの間に隙間を設けて調理室排気口28を形成する遮蔽部材40とを備え、調理室排気口28は、調理室17内部の高さ方向の中央よりも上方に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理室内を加熱手段で加熱することにより、調理室内に収容された調理用食材等の被加熱物に対して焼く・蒸す等の調理を行う加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、調理室内を加熱手段で加熱することで、調理室内に収容された食材等の被加熱物に対して加熱調理を行う加熱調理器が知られている。この種の加熱調理器においては、調理室内での調理の際、食材の加熱に起因した煙や臭気成分が調理室内に充満すると、この煙や臭気成分が食材に付着し、調理の仕上がり(外観や食味等)が低下するという課題があった。
【0003】
上記のような課題を背景として、調理室内の空気を調理室外へと排出する手段が種々提案されている。
このような加熱調理器として、「焼き網2上に載せた魚介類などの調理物3を収容する調理室1と、調理物3の上面を加熱するシーズヒーターなどの上面加熱手段4と、調理物3の下面を焼き網2の下から加熱するシーズヒーターなどの下面加熱手段5と、調理室1の上部で上面加熱手段4の近傍位置に設けた排気口6と、排気口6と連なり外部と連通する排気通路7と、排気口6に設けた触媒体8と、焼き網2を載置した受け皿9とを備え」たものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、他の加熱調理器として、調理室の後板部の上部に排気口を形成し、この排気口に排気ダクトを連設したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−29141号公報(第4頁、図1)
【特許文献2】特開2006−329456号公報(第3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の加熱調理器においては、排気口を調理室上面に設け、調理室の上方に排気風路を配置しているため、調理室の高さ寸法に排気風路の高さ寸法が加わり、加熱調理器の高さ寸法が高くなる。
この種の加熱調理器は、いわゆるIHクッキングヒーターやガステーブルなど、キッチンのカウンター内に組み込んで使用される組み込み式の加熱調理装置に用いられる場合がある。一般的に、キッチンのカウンター内に組み込まれる加熱調理装置はモジュール化されており、その高さ寸法は標準化されている。例えば、加熱調理装置の高さ寸法が約230mmであり、この加熱調理装置がキッチンカウンターの上面から220mm程度の深さに納まるように組み付けられる。このように高さ寸法に制約がある加熱調理器において、排気風路を調理室の上方に配置すると、調理室内の高さが低くなり、鯛等の比較的大きな魚の姿焼きやパン、スポンジケーキ等の厚みのある(高さ寸法の大きい)被加熱物の調理ができなくなってしまう。すなわち、調理室内で調理可能な被加熱物の高さが大きく制限されることとなり、調理範囲や調理能力が制約されてしまう。
【0006】
上記特許文献2に記載の加熱調理器においては、排気口は調理室後側の側壁面に設けられるとともに、排気風路も調理室と高さ方向に重なることなく配置されており、調理室からの排気構造が製品高さや調理室内の高さ寸法に影響を与えない配置となっている。
しかしながら、上記特許文献2に記載の加熱調理器では、被加熱物に含まれる水分等が加熱調理により気化する際に、被加熱物の一部が破裂して飛散して、調理室の側面に設けられた排気口から排気風路内に侵入しうる。排気風路内に被加熱物の飛散物が侵入すると、排気風路の内面が汚れてしまう。また、排気風路内には排気に含まれる汚染物質を分解除去するための触媒体が設けられており、この触媒体に被加熱物の飛散物が付着すると、触媒体と汚染物質との接触面積を低下させて触媒体の浄化能力を低下させる可能性がある。また、触媒体に被加熱物の飛散物が付着すると、触媒体の開口部を塞いで通気を阻害し、圧力損失を増大させて排気の通風を妨げ、十分な排気が行えなくなりうる。このようになると、調理の仕上がりを低下させる可能性もある。
【0007】
また、上記特許文献2に記載の加熱調理器では、排気口は、調理室後側の側壁面の比較的低い位置(被加熱物を載置する焼き網とほぼ同じ高さ)に開口している。このため、調理室内の上方に溜まる濃度の高い煙や汚染物質だけでなく、煙や臭気成分の濃度が比較的低い中低層部の空気も含めて排気してしまう。このような余分な調理室内の空気の排出により、調理室内の空気温度が低下してしまい、被加熱物の加熱効率が低下するという課題もあった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、調理室内の室内高さを確保しつつ、排気風路内への食材等の侵入を軽減することができ、汚染濃度の高い空気を排気しやすい加熱調理器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る加熱調理器は、筐体内に配置され、壁面の一部に排気用開口部が形成された調理室と、前記調理室内に配置された加熱手段と、上面から見て前記調理室と重ならない位置に配置され、前記排気用開口部と筐体外とを連通させる調理室排気ダクトと、前記排気用開口部と相対して前記調理室内に設けられ、前記排気用開口部が設けられた前記壁面との間に隙間を設けて調理室排気口を形成する遮蔽部材とを備え、前記調理室排気口は、前記調理室内部の高さ方向の中央よりも上方に形成されているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上面から見て調理室と重ならない位置に調理室排気ダクトを設けたので、加熱調理器の高さ寸法の大型化を抑制できる。このため、加熱調理器の高さ寸法に制限がある場合でも、調理室の高さ寸法を確保することができ、高さ寸法の大きい被加熱物の調理が可能な加熱調理器を得ることができる。
また、本発明によれば、調理室の壁面に設けられた排気用開口に相対して遮蔽部材を設けるとともに、調理室内の上方に調理室排気口を設けたので、加熱に伴い被加熱物から発生した飛散物が調理室排気ダクト内に流入しにくく、調理室排気ダクト内の汚染を抑制できる。調理室排気ダクト内の汚染が抑制できることにより、排気の圧力損失の増加も抑制され、より少ない排気風量での排気が可能となる。
また、本発明によれば、調理室排気口は調理室内部の高さ方向中央よりも上方に形成されているので、調理室の上部に溜まる濃度の高い煙や臭気成分等の汚染物を、少ない排気風量で効率的に排気できる。このため、排気に伴う調理室内空気の排熱が抑制され、加熱効率が向上して省エネルギーで環境負荷の低い加熱調理器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1に係る誘導加熱調理器100の斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る誘導加熱調理器のトッププレート4と吸排気口カバー5を取り外した状態の本体1の斜視図である。
【図3】実施の形態1に係る誘導加熱調理器の筐体上枠3、トッププレート4、吸排気口カバー5、及び前面右側の誘導加熱コイルユニット11を取り外した状態の本体1の斜視図である。
【図4】右側の基板ケースユニット15の斜視図であり、一部透視して示している。
【図5】実施の形態1に係る調理室17全体を示す斜視図である。
【図6】実施の形態1に係る調理室17の上板23a及び調理室扉7を取り外した状態の斜視図である。
【図7】実施の形態1に係る調理室17の上板23a、調理室扉7、調理台26、受皿27を取り外した状態の遮蔽部材40の取付状態を示す分解斜視図である。
【図8】実施の形態1に係る本体1の調理室排気ダクト10部分における側面断面図である。
【図9】実施の形態1に係る調理室排気口28近傍を説明する図である。
【図10】実施の形態2に係る調理室17全体を示す上方斜視図である。
【図11】実施の形態2に係る調理室17全体を下方から見た斜視図である。
【図12】実施の形態2に係る調理室17の上板23a及び調理室扉7を取り外した状態の斜視図である。
【図13】実施の形態2に係る調理室17の上板23a、調理室扉7、調理台26、受皿27を取り外した状態の遮蔽部材400の取付状態を示す分解斜視図である。
【図14】実施の形態2に係る遮蔽部材400への触媒体32の保持状態の分解斜視図である。
【図15】実施の形態2に係る本体1の調理室排気ダクト10部分における側面断面図である。
【図16】実施の形態2に係る調理室排気口280近傍を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
本実施の形態1では、キッチンのカウンター内等に組み込まれて使用される誘導加熱調理器に、本発明の加熱調理器を適用した場合を例に説明する。本実施の形態1の加熱調理器は、調理室内を発熱体で加熱することにより、調理室内に収容された肉、魚、野菜、ピザ、パスタ等の食材である被加熱物に対し、直接的または間接的に焼く・煮る・蒸す等の加熱調理を行うものである。
なお、以降の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば、「前面」、「背面」、「上」、「下」、「左」、「右」等)を用いる場合があるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は発明を限定するものではない。これらの方向を示す用語は、特に明示しない限り、加熱調理器を前面側から見た場合の方向を意味している。また、図1及び後述の各図において、同一の符号を付したものは、同一のまたはこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。さらに、明細書全文に表れている構成要素の形態は、あくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。
【0013】
[誘導加熱調理器の構成]
図1は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器100の斜視図である。
図1において誘導加熱調理器100の本体1の筐体2の上側には、筐体上枠3が着脱自在に配置される。筐体上枠3の背面側に吸排気口カバー5、中央にトッププレート4が配置される。また、筐体2の内部には、調理室17が配置されている。
【0014】
筐体2の前面側には、中央に調理室扉7が設けられている。調理室扉7は、調理室扉7から背面側に続く調理室17内で調理される被加熱物を調理室17内へ出し入れできるよう開閉可能となっている。また、調理室扉7は、調理室17内や調理室17自身の清掃等のメンテナンスのため、筐体2に対して着脱可能となっている。なお、本実施の形態1においては、調理室17は筐体2の中央に配置されているが、どちらかの側面に寄せて配置されてもよい。また、調理室扉7の両側に操作部6を設けない構成としてもよい。
【0015】
吸排気口カバー5は、通気性を有するパンチングメタルや格子状の金属部材で構成されている。吸排気口カバー5は、筐体2の内部を冷却するための冷却風や調理室17の排気流が、通気抵抗少なくスムースに通過できるよう構成されている。
【0016】
トッププレート4には、液晶画面やランプ等の視覚的な表示手段を備えた操作部6が設けられている。また、筐体2の調理室扉7の両側にも、操作部6が設けられている。操作部6は、誘導加熱調理器100における加熱動作の設定を受け付けるための操作ボタンやスイッチ等で構成されている。操作部6の具体的構成を限定するものではなく、例えばタッチパネルにより構成された操作部6を設けてもよい。また、本実施の形態1では、トッププレート4と筐体2の調理室扉7の両側に操作部6を設ける例を示しているが、いずれかにのみ操作部6を設けてもよい。
【0017】
図2は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器のトッププレート4と吸排気口カバー5を取り外した状態の本体1の斜視図である。
【0018】
筐体上枠3の背面側の中央には筐体排気口9が設けられ、左右にはそれぞれ筐体吸気口8が設けられている。筐体排気口9には、筐体2内を冷却した冷却風の排気風路である冷却風排気ダクト14が接続されている。筐体吸気口8から吸い込まれて筐体2内を通過した冷却風は、冷却風排気ダクト14により導かれ、筐体排気口9から本体1の外部へ排出される。また、冷却風排気ダクト14内には、調理室17からの排気を導く調理室排気ダクト10が配置されており、調理室17からの排気も筐体排気口9から本体1の外部へ排出される。なお、通常の使用状態においては、筐体排気口9は、図1で示した吸排気口カバー5により覆われている。
【0019】
筐体2の内部には、トッププレート4の上に載置された被加熱物(図示せず)を加熱するための加熱手段として、前面側の左右に誘導加熱コイルユニット11が配置され、背面側中央にはラジエントヒーター13が配置されている。誘導加熱コイルユニット11は、上方に載置される被加熱物の誘導加熱を行い、ラジエントヒーター13は自身に備える発熱体の発熱の伝熱にて被加熱物の加熱調理を行う。これらの加熱手段は、トッププレート4上での調理機能の必要性に応じて搭載され、必要に応じて組み合わせることができる。例えば、トッププレート4上の被加熱物を加熱する加熱手段のすべてを誘導加熱コイルユニット11、あるいはラジエントヒーター13等の電気ヒーターとしてもよいし、いわゆるガスコンロとしてもよい。
【0020】
なお、本実施の形態1では、トッププレート4上においても加熱調理を行う誘導加熱調理器100を例に示しているが、トッププレート4上において加熱調理を行うための加熱手段は必要に応じて搭載すればよく、調理室17における加熱調理のみを行う加熱調理器としてもよい。この場合には、調理室17や調理室排気ダクト10等の外側を覆う外装を設ければよい。
【0021】
誘導加熱コイルユニット11及びラジエントヒーター13の下方には、調理室収納部19が板金等により区画形成され、調理室収納部19の内部には調理室17が配置される。調理室17内の空間では、焼く、蒸す、煮る等の加熱調理・スチーム調理等が行われる。
【0022】
図3は、実施の形態1に係る誘導加熱調理器の筐体上枠3、トッププレート4、吸排気口カバー5、及び前面右側の誘導加熱コイルユニット11を取り外した状態の本体1の斜視図である。図4は、右側の基板ケースユニット15の斜視図であり、一部透視して示している。なお、左右に設けられた基板ケースユニット15の構成は概ね対称であり、ここでは、右側に設けられた基板ケースユニット15を用いて説明する。
【0023】
調理室収納部19の左右両側には、それぞれ、基板ケースユニット15が配置されている。基板ケースユニット15には、基板ケースユニット吸気口21が開口している。基板ケースユニット吸気口21は、筐体吸気口8に接続される。
【0024】
基板ケースユニット15には、冷却ファン18と、誘導加熱コイルユニット11に高周波電力を供給するインバータ回路や、誘導加熱調理器100の動作を制御する制御回路等の電子部品が実装された電子回路基板12が収容されている。電子回路基板12には、発熱を伴い冷却が必要な被冷却物となる部品も含まれており、冷却効率を高めるためにヒートシンク(冷却フィン)を備えていてもよい。
【0025】
基板ケースユニット15には、基板ケースユニット排気口22が開口している。基板ケースユニット15は、基板ケースユニット吸気口21から基板ケースユニット排気口22に至る一体的な風路として形成されている。
【0026】
誘導加熱コイルユニット11の下方には、平面的に見て略円形状のチャンバ16が配置されている。チャンバ16は、基板ケースユニット15内に設けた冷却ファン18からの空気を誘導加熱コイルユニット11に導く風路として形成されており、その上面には空気噴き出し用の複数の吹出口16aが形成されている。誘導加熱コイルユニット11、ラジエントヒーター13及びチャンバ16はトッププレート4上での調理機能の必要性に応じて搭載され、調理機能不要の場合は搭載されない。
【0027】
冷却ファン18が動作することにより、基板ケースユニット吸気口21に吸引力が生じ、筐体吸気口8を介して基板ケースユニット吸気口21から基板ケースユニット15内に空気が流入する。基板ケースユニット15内に流入した空気は、冷却ファン18にて吸引・送出され、冷却風として内部の電子回路基板12の被冷却物を冷却した後、基板ケースユニット排気口22より排気される。
【0028】
基板ケースユニット排気口22から基板ケースユニット15を出た冷却風は、チャンバ16内に流入し、チャンバ16の上面に設けられた吹出口16aから吹き出されて誘導加熱コイルユニット11に吹き付けられ、誘導加熱コイルユニット11を冷却する。誘導加熱コイルユニット11を冷却した冷却風は、調理室収納部19の上方を後方に向かって流れ、冷却風排気風路流入口20から冷却風排気ダクト14に流入して、筐体排気口9を経て筐体2外へ排気される。吸排気口カバー5から排気された空気の温度は、その排気に人が触れても問題無い温度となっている。このように冷却ファン18を駆動して筐体2内を冷却することにより、加熱調理に伴う筐体2内の温度上昇により筐体2内部の各部品が機能しなくなることや寿命が短くなることを回避している。
【0029】
なお、本実施の形態1においては、筐体吸気口8から、基板ケースユニット15、チャンバ16、冷却風排気風路流入口20、及び冷却風排気ダクト14を経て、筐体排気口9へと至る風路が、本発明の筐体内冷却風路に相当する。
【0030】
[調理室、調理室排気構造]
図5は、実施の形態1に係る調理室17全体を示す斜視図である。図6は、実施の形態1に係る調理室17の上板23a及び調理室扉7を取り外した状態の斜視図である。図7は、実施の形態1に係る調理室17の上板23a、調理室扉7、調理台26、受皿27を取り外した状態の遮蔽部材40の取付状態を示す分解斜視図である。
【0031】
(調理室17)
調理室17は、後壁17a、右側壁17b、左側壁17c、上板23a、及び底板23bによって囲まれている。調理室17の前面側は開口しており、この開口部分は調理室扉7によって開閉自在に覆われる。
【0032】
調理室17の後壁17aには、板金等の板状部材で構成され内部に通風空間を有する調理室排気ダクト10が接続されている。調理室排気ダクト10は、調理室17の内部と連通しており、調理室17内で調理時に発生する煙等は、この調理室排気ダクト10を通って排気される。
【0033】
調理室17と他の部材との接触部・接合部、調理室扉7、及び調理室17の壁(後壁17a、右側壁17b、左側壁17c、上板23a、底板23b)のうち少なくともいずれかには、吸気可能な開口(図示せず)が設けられている。調理室17からの排気に伴う吸気は、この開口を介してスムースに行われ、排気が妨げられることはない。
【0034】
調理室17の内部上方には上方加熱装置24が配置され、内部下方には下方加熱装置25が配置されている。また、上方加熱装置24の下方には被加熱物を載置するための調理台26が配置され、下方加熱装置25の下方には受皿27が配置されている。
【0035】
上方加熱装置24は、調理室17内を被加熱物の上方から輻射や熱伝達で加熱する加熱手段である。下方加熱装置25は、調理室17内を被加熱物の下方から輻射や熱伝達で加熱する加熱手段である。
上方加熱装置24と下方加熱装置25は、例えば、抵抗発熱体であるシーズヒーターや遠赤外線ヒーターを用いてもよいし、フラットヒーターで天板を加熱してもよく、また、誘導加熱コイルで天板や抵抗発熱体を発熱させるもの等でもよく、具体的な構成を限定するものではない。本実施の形態では、上方加熱装置24と下方加熱装置25は奥行き方向及び幅方向に折り曲げられており、調理室17の上方の広範囲を加熱できるようになっている。上方加熱装置24、下方加熱装置25の端子は、調理室17の後壁を通過して調理室17の外部に露出している。
【0036】
なお、本実施の形態1においては、上方加熱装置24と下方加熱装置25により、調理台26に載置される被加熱物を上下方向より一度で加熱する構成としている。しかし、調理室17内を加熱する加熱装置の数や配置等の構成はこれに限らず、例えば上方のみに加熱手段を設けてもよく、この場合には使用者が被加熱物の上下を反転させることにより被加熱物の上下両面を加熱調理することが可能である。
【0037】
調理台26は、被加熱物を載置するための台であり、上方加熱装置24と下方加熱装置25との間に配置される。本実施の形態1では、調理台26の被加熱物の載置面は、例えば前後方向に延びる棒状のステンレス鋼を複数並べて構成された、いわゆるストレートタイプの焼き網を例示している。調理台26の素材は、耐熱性のある素材で調理に適した毒性のない素材であればステンレス鋼以外でもよく、また、素材の表面に非粘着性や防汚性を備えた無機セラミックコーティング剤等を塗布してもよい。
【0038】
受皿27は、被加熱物から落下した油や被加熱物の一部を受けるための皿であり、下方加熱装置25の下側に配置されている。
調理台26と受皿27は、調理室扉7の開閉に伴って、調理室17から引き出されあるいは調理室17内に収容される。
【0039】
(調理室排気構造)
調理室17の後壁17aには、調理室17の内部と外部とを連通させる排気用開口部30が開口している。排気用開口部30は、前面から見てほぼ矩形に開口している。
【0040】
調理室17の後壁17aには、排気用開口部30と相対する位置に、遮蔽部材40が取り付けられている。遮蔽部材40は、後壁17aとの間に隙間を設けて調理室排気口28を形成している。調理室排気口28は、調理室17の高さ方向の中心よりも上方に位置し、調理室17の上方に向かって開口している。遮蔽部材40は、下方から上方に向かって調理室17の内部方向(前面方向)に突出するように傾斜した傾斜面を構成する前部41a(傾斜面)と、この前部41aの側端部から後方に向けて延びる側部41bとからなる遮蔽壁41を備えている。排気用開口部30の前面側には遮蔽部材40が相対配置され、前面から見ると排気用開口部30の大部分が遮蔽部材40によって覆われている。
【0041】
遮蔽部材40の上部内側には、空気流れ方向にほぼ平行に延びる複数の仕切板42が設けられている。この仕切板42により、調理室排気口28は、スリット状の複数の開口部に仕切られている。調理室排気口28において複数の開口部に仕切られた面を、選択透過面29と称する。被加熱物に含まれる水分等が被加熱物内で気化する際に被加熱物が破裂して飛散した破片や、加熱調理により炭化した塵などの固形物であって、選択透過面29のスリット状の開口部を通過できないものは、調理室排気口28から調理室排気ダクト10内に侵入できないようになっている。
【0042】
なお、本実施の形態1では、仕切板42により仕切られたスリット状の開口部により選択透過面29を構成しているが、例えば、調理室排気口28を平面視円形、四角形、六角形等の複数の開口部に仕切って選択透過面29を構成してもよい。選択透過面29の形状は例示のものに限らず、調理室排気ダクト10内への固形物の侵入を抑制し、また、排気が通過できる構成であれば、任意の形状、寸法の複数の開口部を形成することができる。また、網や微細なスリットを用いた油煙フィルターを調理室排気口28に取り付け、これを選択透過面29としてもよい。このようにすることで、選択透過面29で排気から油分を除去し、回収した油分を重力により選択透過面29の傾斜に沿って流動、下降させて調理室17に導き、調理室排気ダクト10内に設けた触媒体32(後述する)での油分の分解・除去の負荷を低減することができる。また、本実施の形態1では、遮蔽部材40に仕切板42を一体に取り付けて選択透過面29を構成しているが、選択透過面29を構成する別部材を遮蔽部材40に取り付けてもよい。
【0043】
(調理室排気ダクト10)
排気用開口部30の排気側には、調理室排気ダクト10が接続されている。調理室排気ダクト10は、概ね、排気用開口部30の背面側からほぼ水平に延び、その後ほぼ垂直に延びており、立体形状が略L字形に形成されている。便宜上、調理室排気ダクト10においてほぼ水平に延びる部分を奥行き部10A、ほぼ垂直に延びる部分を上昇部10Bと称する。
【0044】
また、奥行き部10Aのうち、排気用開口部30との接続位置から所定長さの管路は、それよりも下流の管路に比べて流路断面積が大きくなっており、この部分を接続部10Cと称する。すなわち、調理室排気ダクト10の奥行き部10A、上昇部10Bは、接続部10Cよりも風路幅が小さくなるよう構成されており、調理室排気ダクト10は、排気流れ上流側(接続部10C)に対し下流側(奥行き部10A、上昇部10B)の方が流路断面積が小さい。奥行き部10Aと上昇部10Bは、前面から見て接続部10Cの幅の範囲内に配置されている。
【0045】
奥行き部10Aの上面10aは、接続部10Cとの接続部から背面側に向かって高くなるよう傾斜し、上昇部10Bの垂直部前面10bに接続されている。上昇部10Bの上面は開口しており、この開口を上面開口部10cと称する。
【0046】
調理室排気ダクト10の底面10dにおいて、上面開口部10cと概ね対向する位置には、ノズル34が設けられている。調理室17及び調理室排気ダクト10を筐体2内に収容した状態において、ノズル34は冷却風排気風路流入口20と連通している。
【0047】
冷却ファン18により送出された冷却風が、冷却風排気風路流入口20に流入し、その冷却風の一部がノズル34から調理室排気ダクト10内に吹き出されることでエゼクタ効果を生じさせ、調理室17内の空気を吸引(誘引)して排気することができるようになっている。本実施の形態1のノズル34は、調理室排気ダクト10の幅方向に延びるスリット状に形成されている。本実施の形態1においては、冷却ファン18が、本発明に係る送風機に相当する。
【0048】
また、奥行き部10Aの上面10aの背面側の方が高く構成されており、加熱調理による空気の温度上昇から生じる上昇気流(ドラフト)を排気に利用してアシストすることができ、エゼクタによる誘引(吸引)の負荷を低減して排気能力を高めている(風量・静圧を増加)。このようにすることで、調理室17の排気の吸引に必要なノズル34への空気流入量、すなわち冷却ファン18の能力を抑えることができ、低騒音と省エネルギーの効果を得ることができる。
【0049】
なお、本実施の形態1においては、エゼクタを主に用いて調理室17内の吸引・排気を行っているが、調理室17内の吸引・排気機構はこれに限らない。例えば、ノズル34を設けず、調理室17内の加熱による上昇気流のみを用いて調理室17内の排気を行うこともできる。また、排気用の送風機を別途設け、この送風機の作用により調理室17内の空気を直接吸引してもよい。
【0050】
(触媒体32)
接続部10C内には、調理室排気口28と概ね同じ幅を有する矩形の触媒体32が収納されている。接続部10C内において触媒体32よりも前面側には、触媒加熱装置33が配置されている。触媒加熱装置33の接続端子部は、調理室排気ダクト10の側方から露出している。
【0051】
触媒体32には、パラジウムやプラチナ等の酸化触媒が添着されている。
触媒加熱装置33には、例えばシーズヒーター等の電気ヒーターが用いられる。触媒加熱装置33により触媒体32が300℃以上に加熱され、これによって触媒体32の触媒活性を高めることで、排気に含まれる油煙や臭気成分等の室内空気汚染物質を酸化分解して浄化している。
【0052】
触媒体32は、接続部10Cに嵌合されており、接続部10Cとほぼ同じ幅である。すなわち、触媒体32の幅は、奥行き部10A、上昇部10Bの風路幅よりも大きい。そして、前面(正面)から見ると、触媒体32の幅の範囲内に、奥行き部10A、上昇部10Bが配置されている。
【0053】
(遮蔽部材40の取付構造)
調理室17の後壁17aの排気用開口部30の両側には、遮蔽部材40を後壁17aに取り付けるための締結部51としてネジ穴が設けられている。また、遮蔽部材40の左右両側には、取り付け穴が設けられた取付部43が設けられている。ネジ等の締結部材50を、取付部43の取り付け穴を介して締結部51に締め付けることで、遮蔽部材40を後壁17aに着脱自在に取り付けることができる。調理室17の内側から締結部材50の締結・締結解除が行え、調理室17の内側から遮蔽部材40を着脱できるようになっている。このようにすることで、使用者は、調理室扉7を開放して遮蔽部材40を調理室17の外へ取り出すことができ、遮蔽部材40や仕切板42に付着した汚れの除去やメンテナンスを行うことができる。なお、遮蔽部材40の取付構造はこれに限らず、調理室17の内側から遮蔽部材40が着脱可能な構造であれば、任意の構造を採用することができる。
【0054】
(調理室排気口28、遮蔽部材40)
図8は、実施の形態1に係る本体1の調理室排気ダクト10部分における側面断面図である。図9は、実施の形態1に係る調理室排気口28近傍を説明する図であり、(a)は断面模式図、(b)は調理室排気口28を斜め上方から見た図である。
【0055】
調理室17の後壁17aと遮蔽部材40との間に形成される調理室排気口28は、調理室17の上板23a側に向けて開口している。本実施の形態1では、調理室排気口28は、後壁17aから調理室17内部方向に向かって下方に傾斜する開口面を有している。調理室排気口28の開口面が傾斜しているため、被加熱物からの飛散物が調理室排気口28の開口面の周縁に載った場合でも、その飛散物は重力により調理室開口部28に沿って滑り落ち、調理室17内に落下する。このため、このような固形物が調理室排気口28から調理室排気ダクト10内へと侵入するのを軽減することができる。
【0056】
遮蔽部材40の遮蔽壁41の前部41aは、排気用開口部30の下端に接続され、上方が調理室17の内部方向に突出するように傾斜している。言い替えると、遮蔽部材40の遮蔽壁41は、上方に対し下方の方が後壁17aからの突出が小さくなるよう構成されている。
【0057】
(調理室排気口28に関連する寸法関係)
ここで、調理室排気口28に関連する寸法関係について説明する。図9(a)では、調理室排気口28の上端部をX1、調理室排気口28の下端部(すなわち、遮蔽壁41の前部41aの上端部)を、Y1と称している。
【0058】
図9に示すように、調理室排気口28の上端部X1は、後壁17aに設けられた排気用開口部30の上端部と同じ高さである。そして、調理室排気口28の下端部Y1は、上端部Y1よりも低い位置にある。このような構成により、後壁17aから調理室17内部方向に向かって下方に傾斜する調理室排気口28の開口面が構成されている。
【0059】
また、遮蔽壁41の前部41aの上端部(調理室排気口28の下端部Y1)における後壁17aからの突出寸法をW1とし、遮蔽壁41の前部41aの上端部(調理室排気口28の下端部Y1)と上板23aとの距離をW0とすると、本実施の形態1においては、W0とW1とが概ね同等か、W1がW0より少ない寸法としている(W1≦W0)。これは、調理室17内の空気を、圧力損失の増加少なく排気し、スムースな排気を行うための構成である。
例えば、本実施の形態1とは異なりW0<W1となる場合は、調理室17内の空気が調理室排気口28に流入する場合に、風路が一端縮小(W0)して拡大(W1)することとなり、圧力損失の増加が大きい。
【0060】
また、調理室17の底面から調理室排気口28の下端部Y1までの距離W3は、調理室17内の高さの1/2よりも大きく、調理室排気口28は調理室17内の上方に開口している。調理室排気口28を調理室17内の上方に配置することで、調理に伴う加熱による上昇気流で調理室17上方に溜まった煙や臭気成分等の汚染物質を多く含む排気を、調理室排気口28から吸い込みやすくしている。言い替えると、調理室17の上方の空気よりも煙や臭気成分等の汚染物質の少ない下方の空気は、調理室排気口28から吸い込まれにくくなっている。
【0061】
なお、調理室17の上方に溜まる汚染物質をより多く含む排気を吸い込みやすくするという点では、調理室排気口28を調理室17のなるべく上方に設けるのが好ましいが、この場合、調理室排気口28の下端と上板23aとの距離W0が小さくなる。そうすると、W1≦W0の関係を満たすために、遮蔽部材40の後壁17aからの突出寸法W1も小さくなり、調理室排気口28の開口面積の縮小に繋がり、排気効率に影響する。このため、適正な排気効率を確保できるように調理室排気口28の開口面積を設定することと、汚染物質濃度の高い排気を吸い込みやすくすることを考慮して、調理室排気口28の高さを設定する。
【0062】
また、調理室排気ダクト10(接続部10C)の底面10dと、遮蔽部材40の底面とがなす角θは、鈍角に形成されている。このように角θを鈍角とすることで、遮蔽部材40内の排気が接続部10Cへ進む際の気流の曲げを緩やかにすることができ、気流の曲げに伴う圧力損失の増加を軽減している。
【0063】
また、触媒体32の前面側の面積は、排気用開口部30の上端辺と遮蔽部材40(遮蔽壁41)の上端辺とにより囲まれた面(図9(b)に網掛け表示する面。本実施の形態1においては、調理室排気口28の流路断面積に等しい。)の面積よりも大きくなるように構成されている。このようにするため、本実施の形態1においては、触媒体32の幅を、概ね調理室排気口28の幅(左右方向の幅)と同じとし、触媒体32の高さを、排気用開口部30の上端部から遮蔽部材40の上端部までの距離(図9のW2)よりも大きくしている。このような触媒体32の寸法関係により、触媒体32における排気の通過風速を遅くして触媒体32を通過するときの圧力損失を低減している。また、触媒体32における排気の通過風速を遅くすることで、触媒体32の表面に添着された触媒との接触率を高め、触媒体32による油煙や臭気成分等の室内空気汚染物質の除去性能を高めている。
【0064】
[加熱調理器の動作]
次に、加熱調理器の動作について説明する。
(トッププレート上での加熱調理)
操作部6に対する加熱開始指示等の操作を受けると、電子回路基板12より誘導加熱コイルユニット11やラジエントヒーター13や調理室17内の加熱装置が駆動され、これら加熱装置による加熱調理が行われる。
調理室17の他に誘導加熱コイルユニット11やラジエントヒーター13を設けてトッププレート4上での加熱調理を可能としたことにより、調理室17以外でも加熱調理を行え広範な調理を可能としている。
【0065】
(調理室での加熱調理)
次に、本発明と主に関係する調理室17での調理が指示された場合の動作を説明する。
ここで、調理室17内においては、被加熱物は調理台26に載置され加熱調理される。被加熱物は魚等の食材そのままでもよいし、ラッピングされたものや調理容器等に収納されたものでもよい。
【0066】
ユーザーによる操作部6に対する操作により調理室17での調理が選択・指示されると、上方加熱装置24、下方加熱装置25、及び触媒加熱装置33による加熱を開始する。上方加熱装置24、下方加熱装置25が駆動されることにより、被加熱物が加熱される。また、触媒加熱装置33が駆動されることにより、触媒体32が加熱される。なお、これら加熱装置による加熱開始/停止タイミングや、火力変更のタイミングは、操作部6にて設定された動作指示や調理メニューと、調理室17内の温度センサ(図示せず)が検知した温度データに基づいて制御される。
【0067】
加熱装置による加熱が開始されると、冷却ファン18も駆動される。
次に、調理室17の吸排気動作について説明する。
【0068】
(調理室の吸排気動作)
調理室17での加熱が開始されると、調理メニューにより異なるが、一例としては上方加熱装置24と下方加熱装置25は500〜800℃に発熱し、調理室17内の温度は200〜350℃となる。このため、調理室17の壁面に一定の断熱手段を備えていても、放射や熱伝達により筐体2内の温度は上昇する。したがって、調理室17の使用時は、筐体2内の温度上昇により筐体2内部の各部品が機能しなくなることや寿命が短くなることを回避するため、冷却ファン18を駆動し、筐体2内の各部品が耐熱温度以下となるよう冷却するようにしている。
【0069】
冷却ファン18が動作すると、外部の空気は吸排気口カバー5を通過して、筐体吸気口8から基板ケースユニット15の基板ケースユニット吸気口21に流入し、冷却ファン18に吸引・送出される。そして、基板ケースユニット15を流れる空気は、基板ケースユニット15内の電子回路基板12に実装された部品の動作による自己発熱を冷却した後、基板ケースユニット排気口22から送出されチャンバ16に流入する。チャンバ16に流入した冷却風は、チャンバ16の上面の吹出口16aより吹き出され、上方に配置された誘導加熱コイルユニット11の冷却を行った後、背面側の冷却風排気風路流入口20へ流入する。
【0070】
冷却風排気風路流入口20へ流入した冷却風の一部は、冷却風排気ダクト14内へ進入してこれを通過し、筐体排気口9から吸排気口カバー5を経て筐体外へ排気される。
【0071】
また、冷却風排気風路流入口20へ流入した冷却風の一部は、ノズル34から調理室排気ダクト10内へ侵入して上昇部10Bを通過し、上面開口部10cから出て、筐体排気口9、吸排気口カバー5を経て筐体外へ排気される。このノズル34から吹き出される空気は、駆動流体として機能し、調理室排気ダクト10内にエゼクタを生じさせる。これにより、排気用開口部30、調理室排気口28に吸引力が生じ、調理室17内の空気が吸引される。
なお、冷却ファン18の動作タイミング・動作時間の制御は、製品の動作・品質を損なわない範囲において、応用が可能である。例えば、調理開始より所定時間、または、調理室17内や筐体2内部に設けた温度検知手段(図示せず)の検知温度が所定の温度になるまで、冷却ファン18の動作をさせないようにすることができる。このようにすることで、冷却ファン18の停止中に調理室17の排気を行わず、調理室17内の昇温が速められて加熱効率を向上させて調理時間を短縮することができ、また、触媒加熱手段33からの加熱による触媒体32の昇温を速めて調理開始初期の汚染物の浄化性能を高めることができる。
【0072】
次に、調理室17内での加熱調理中に発生する汚染要因とその挙動について説明する。
調理室17内で加熱調理を行うと、被加熱物である食材の表面部分が焦げて炭化し、調理室17の内部の上昇気流等により塵として飛散しうる。また、食材内部の水分等が気化する際に食材内部が破裂し、食材を構成する固形物や汁気・油分の一部が飛散しうる。これらの飛散した物質は、汚染物として調理室17内の壁面や上面に衝突・付着するが、調理室排気ダクト10の内部や触媒体32に汚染物が付着すると、排気効率の低下や触媒体32による油煙や臭気成分の分解機能が低下しうる。
【0073】
本実施の形態1においては、調理室排気ダクト10への入口である排気用開口部30の調理室17の内部側には、遮蔽部材40が配置されている。このため、調理台26上の被加熱物から発生した汚染物質の多くは、遮蔽部材40に遮られ、排気用開口部30から調理室排気ダクト10内へと侵入しにくくなっている。また、遮蔽部材40と後壁17aとの間に形成された調理室排気口28は、概ね調理室17の上板23aに向けて開口しているので、調理室排気口28を経由して汚染物が調理室排気ダクト10へ侵入することも少ない。また、調理室排気口28には選択透過面29が設けられているので、選択透過面29の開口部を通過できない固形物は、調理室排気ダクト10内に侵入することがない。
【0074】
選択透過面29の開口部を通過した微細な固形物は、調理室排気口28を経て調理室排気ダクト10内に侵入しうるが、調理室排気ダクト10内の空気の流れにより、排気とともに本体1の外部へ送出される。また、排気とともに排出されなかった微細な固形物が調理室排気ダクト10や触媒体32に残存しても、遮蔽部材40を後壁17aから取り外すことで排気用開口部30が露出するので、ユーザーは触媒体32や調理室排気ダクト10内に付着した微細な固形物や、凝縮して固着した油脂分等の汚染物を清掃・除去することができ、メンテナンスが容易である。
【0075】
また、遮蔽部材40を取り外して調理室17の外へ取り出すことができるので、遮蔽部材40自身や遮蔽部材40に設けられた仕切板42の清掃・メンテナンスが容易となる。容易に清掃・メンテナンスが可能であるので、ユーザーは、選択透過面29における選択透過性能を長期に亘って維持しやすく、また、性能が低下した場合には容易に交換して選択透過性能を回復・維持することができる。
【0076】
次に、調理室17からの排気の経路について説明する。
加熱調理の過程において、被加熱物からは湯気、油煙、臭気成分等が発生する。また、食材から飛散した汁気や油分が受皿27や下方加熱装置25と接触して揮発することにより、湯気や油煙・臭気成分等が発生する。これらの湯気、油煙、臭気成分等は、調理室17内に拡散された後、上述した冷却ファン18の駆動によるエゼクタ効果を主とした吸引作用により、調理室排気口28から吸気される。
【0077】
遮蔽壁41の前部41aの上端部における後壁17aからの突出寸法W1を、遮蔽壁41の前部41aの上端部と上板23aとの距離W0と概ね等しくしたことで、遮蔽壁41の前部41aの上端部から調理室排気口28に至る排気の流入経路において、流路断面の面積変化を少なくできる。これにより、調理室排気口28への空気流の圧力損失の増加を抑制している。
【0078】
調理室排気口28から吸引された排気は、触媒体32で一部浄化される。触媒体32の近傍手前には触媒加熱装置33が設けられ、触媒体32の温度を上昇させることで触媒活性を高め浄化性能を高めている。
【0079】
また、触媒体32の前面側の面積は、排気用開口部30の上端辺と遮蔽部材40の上端辺とにより囲まれた面の面積よりも大きくなるように構成されている。このようにするため、本実施の形態1においては、触媒体32の幅を、概ね調理室排気口28と同じ幅とし、触媒体32の高さ寸法を、排気用開口部30の上端辺と遮蔽部材40の上端辺とを結ぶ距離W2より大きくしている。これにより、調理室排気口28における流入面積よりも触媒体32の前面面積を大きくし、触媒体32への排気の流入風速を遅くなるようにしている。このため、触媒体32を排気が通過するときの圧力損失の増加を軽減している。また、触媒体32を通過する排気の風速を低減することで、触媒体32に添着された触媒への排気の接触時間が長くなり、汚染物をより多く浄化でき排気の清浄度を高くすることができる。
【0080】
触媒体32を通過した排気は、接続部10C、調理室排気ダクト10の奥行き部10Aを通過して、上昇部10Bへ進む。奥行き部10Aの上面10aは、背面方向に上昇する傾斜面で構成されているので、高温の排気の上昇気流(ドラフト)を排気の流動に利用することができ、ノズル34のエゼクタによる吸引(誘引)による排気をアシストして排気の能力を高めている。
【0081】
調理室排気ダクト10内の排気は、上面開口部10cから調理室排気ダクト10を出て、筐体排気口9から本体1の外へ排気される。ここで、調理室排気ダクト10は、冷却風排気ダクト14内に配置されている。冷却風排気ダクト14においては、基板ケースユニット15内や誘導加熱コイルユニット11を冷却した後の冷却風が流れるのに対し、調理室排気ダクト10を流れる排気は、調理室17内で加熱された高温の排気であって、基板ケースユニット15内や誘導加熱コイルユニット11を冷却した後の冷却風よりも高温である。このため、冷却風排気ダクト14内を流れる比較的低温の冷却風により、比較的高温の調理室排気ダクト10が冷却され、調理室排気ダクト10内の排気が低温化する。さらに、調理室排気ダクト10から排気は冷却風排気ダクト14からの冷却風と混合され、低温となって筐体排気口9から筐体2の外へと流出する。
【0082】
なお、本実施の形態1においては、冷却ファン18により送出される冷却風は、誘導加熱調理器100の各種部品(誘導加熱コイルユニット11等)を冷却するとともに、調理室17の排気を誘引する駆動流として機能する。したがって、この両方の機能が適切に実現されるよう、冷却風を両方に分配する必要がある。本実施の形態1においては、冷却風排気ダクト14の風路断面に対する調理室排気ダクト10の占有率により、冷却風の分配をコントロールしている。冷却風排気ダクト14の風路断面積に対する調理室排気ダクト10の占有率を設定するにあたっては、以下の事項を考慮する。
【0083】
(1)冷却風排気ダクト14における冷却風の排気に伴う圧力損失の増加量
この圧力損失の増加量が大きくなると、筐体2内の各種部品を冷却するために冷却ファン18の能力を増やす必要が生じ、そうなると冷却ファン18による騒音と消費電力が増加してしまう。このため、冷却ファン18の冷却能力と、冷却風排気ダクト14における冷却風の排気に伴う圧力損失の増加量とのバランスを考慮して、冷却風排気ダクト14の風路断面に対する調理室排気ダクト10の占有率を設定する。
【0084】
(2)調理室排気ダクト10のノズル34への冷却風の流入量
(1)と関連して、冷却風排気ダクト14における冷却風の排気に伴う圧力損失が極端に低い場合は、冷却風排気ダクト14に多くの冷却風が流れてしまい、調理室排気ダクト10のノズル34への冷却風の流入量が減少し、これによってエゼクタ効果が低下してしまう。こうなると、調理室17からの排気が十分になされなくなってしまう。このため、本実施の形態1においては、調理室17からの適切な排気を可能とするようなノズル34への冷却風の流入量を確保すること、そのために冷却風排気ダクト14における冷却風の排気に伴う圧力損失が極端に低くならないようにすること、を考慮して、冷却風排気ダクト14の風路断面に対する調理室排気ダクト10の占有率を設定する。
【0085】
そして、本実施の形態1においては、冷却風排気ダクト14の風路断面に占める調理室排気ダクト10の占有率を低減するために、調理室排気ダクト10の奥行き部10Aと上昇部10Bの風路幅は、触媒体32の幅よりも狭くなるよう構成している。この場合、触媒体32の幅内に調理室排気ダクト10を設けることで、流路幅の縮小に伴う圧力損失の増加は生じるものの、クランク状の曲げ等を設けないことで圧力損失の増加を抑制している。これにより、エゼクタによる誘引性能を低下でき、駆動気流を生じさせる冷却ファンの能力を増加させないことで低騒音と省エネの効果が得られる。
【0086】
冷却風排気ダクト14の風路断面積に対する調理室排気ダクト10の占有率は、上記(1)、(2)の事項のほか、冷却ファン18の能力や各風路断面積等をも考慮して設定する必要があるが、例えば、実施の形態1に示した誘導加熱調理器100においては、50%以下であることが好ましい。また、本実施の形態1に示す誘導加熱調理器100の場合、調理室排気ダクト10を流れる排気は、冷却風排気ダクト14を流れる冷却風の1/5から1/10の風量とする。このように、調理室排気ダクト10の風路断面を冷却風排気ダクト14より小さくすることで、誘導加熱調理器100の全体としての排気の圧力バランスが適正化され、冷却ファン18の送風負荷が軽減され、冷却ファン18の騒音を低くできる。
【0087】
以上のように本実施の形態1では、調理室排気口28を、調理室17の上方に設けた。より具体的には、調理室17内の高さ方向中心よりも上方に調理室排気口28を開口させた。これにより、調理に伴う加熱による上昇気流で調理室17上方に溜まった煙や臭気成分等の汚染物質を、少ない排気風量で効率良く排気できる。汚染物質を排気することにより、汚染物質の被加熱物への接触が減り、良好な調理効果・仕上がりが得られる。また、汚染物質の濃度の低い調理室17下方の空気は排気しにくいので、汚染物質の除去効率の低い余分な排気を低減でき、これにより調理室17の排熱を軽減できる。調理室17内の排熱を軽減することで調理室17内の温度低下を抑制できるので、加熱効率が高まり、省エネルギー、短時間で加熱調理を行える。このように、調理性能が高く、環境負荷の低い加熱調理器とすることができる。
【0088】
また、調理室17の後壁17aに排気用開口部30を設け、この排気用開口部30に調理室排気ダクト10を接続し、調理室17の上方に調理室排気ダクト10を配置しない構成として両者が高さ方向に重ならない構成とした。このため、誘導加熱調理器100の全体の高さ寸法が標準化等により規定されている場合でも、調理室17の室内高さを低くすることなく、誘導加熱コイルユニット11やラジエントヒーター13を内蔵するスペースも確保しやすい。また、調理室17の室内高さを確保できるので、調理室17内での被加熱物の高さ寸法制約が小さく、調理範囲が広く使い勝手のよい高機能な加熱調理器とすることができる。
【0089】
また、調理室排気口28の下端部における遮蔽部材40の後壁17aからの突出寸法W1は、上板23aと調理室排気口28の下端との距離W0と概ね等しいか、W1がW0より少ない寸法とした。これにより、調理室17内から調理室排気口28への排気の流入に伴う圧力損失の増加が軽減され、低い吸引(誘引)性能で排気できる。このため、冷却ファン18の送風機負荷を軽減でき、省エネルギーで低騒音の加熱調理器とすることができる。
【0090】
また、調理室排気ダクト10に触媒体32を備え、触媒体32の幅は調理室排気口28の幅と概ね同一とし、触媒体32の高さは排気用開口部30の上端辺と遮蔽部材40の上端辺とを結ぶ距離W2よりも大きくした。このように調理室排気口28から触媒体32に至る風路の幅は縮小しないので、風路幅縮小に伴う圧力損失を生じさせない。また、触媒体32の高さ寸法を拡大して前面風速を低減し、圧力損失を低減させるので、冷却ファン18の送風機負荷を軽減することができ、省エネルギーで低騒音の加熱調理器とすることができる。また、触媒体32における流路断面積を調理室排気口28における流路断面積よりも大きくすることで、触媒体32における排気の通過風速を低下させ、浄化性能を高めることができる。このため、調理室排気ダクト10から外部へと出る排気の清浄度が高くて煙や臭いが少なく、加熱調理器が設置される調理環境・作業環境を良好に保つことができる。
【0091】
また、調理室排気口28の開口面を、後壁17aから調理室17の内側に向けて下降する傾斜面としたので、調理室排気口28上に載った異物や液体を、調理室17内へ落下させることができ、調理室排気ダクト10内への異物や液体の侵入を軽減できる。また、調理室排気口28に選択透過面29に設けたことにより、比較的大きな異物については調理室排気口28から調理室排気ダクト10内へ侵入できないようにした。このように、調理室排気ダクト10内への異物や液体の侵入を軽減でき、調理室排気ダクト10内への汚染物の付着・堆積も軽減できる。触媒体32への汚染物の付着も軽減されるので、触媒体32に汚染物が付着して圧力損失が増加することによる排気風量の低下も抑制でき、また、触媒体32に付着した汚染物から臭気が発生することによるユーザーの不快感を抑制できる。また、触媒体32の浄化性能の低下を遅らせることができるので、長期的に安定した排気・浄化性能を維持することができ、製品寿命が長く環境負荷の低い加熱調理器とすることができる。
【0092】
また、冷却ファン18を設け、この冷却ファン18は、基板ケースユニット15内の電子回路基板12や誘導加熱コイルユニット11等、誘導加熱調理器100を構成する各種部品の冷却風を送出し、各部の温度上昇を抑制して製品機能の維持や寿命の長期化に貢献している。さらに、冷却ファン18の動作により筐体2内に生じる冷却風をノズル34から調理室排気ダクト10内に流入させ、これによりエゼクタ効果を生じさせて調理室17からの排気を誘引するようにした。すなわち、冷却ファン18を、調理室17からの排気を誘引するための駆動気流として機能させている。このようにすることで、調理室17内の空気を排気でき、被加熱物である食材への煙や臭いの付着が軽減され、良好な調理効果・仕上がりを得ることができる。このように、冷却ファン18は、誘導加熱調理器100の各種部品の冷却機能を実現するとともに、調理室17の排気を誘引する機能を実現している。調理室17の排気を誘引する送風機を別途設ける場合と比べて、部品点数を低減でき、誘導加熱調理器100を小型化できる。
【0093】
また、基板ケースユニット15内や誘導加熱コイルユニット11を冷却した後の冷却風が流れる冷却風排気ダクト14内に、調理室排気ダクト10を設けた。このようにすることで、冷却風排気ダクト14内を流れる比較的低温の冷却風によって、調理室排気ダクト10内を流れる比較的高温の排気を低温化させることができる。さらに、冷却風排気ダクト14からの冷却風と調理室排気ダクト10からの排気とが混合されて筐体排気口9から外部へ流出するよう構成しているので、筐体2から出る排気の温度を低下させることができる。このように、筐体2からの排気を低温化することで、排気がユーザーに接触した場合における安全性を向上させることができる。
【0094】
また、遮蔽部材40を調理室17から着脱自在に構成した。そして、遮蔽部材40の着脱は、調理室17の内側から取り付け及び取り外しを可能な構成とし、調理室17の前面側から遮蔽部材40を調理室17外へと搬出できるようにした。これにより、ユーザーは、遮蔽部材40を取り外すことで、調理室17の内側から調理室排気ダクト10の内側や、触媒体32の清掃・メンテナンスを行うことができる。また、遮蔽部材40を取り外して調理室17の外へ取り出すことができるので、遮蔽部材40や選択透過面29を構成する仕切板42を容易にメンテナンスすることができる。選択透過面29を構成する小さな開口部には、被加熱物が付着して、選択透過面29における排気風量が低下しうるが、遮蔽部材40を取り外してメンテナンスすることで選択透過面29における排気の性能回復・維持が行いやすく、また、遮蔽部材40を交換することも容易である。このように、適切な排気風量や排気の清浄性を維持でき、製品寿命が長く環境負荷の低い加熱調理器とすることができる。
【0095】
実施の形態2.
前述の実施の形態1では、冷却ファン18の作動により調理室17から排気を吸引する構成であったが、本実施の形態2では、調理室17から排気を吸引するための別の構成を備えている。
また、実施の形態1においては、調理室17の後壁17aに設けられた排気用開口部30に接続された接続部10Cに触媒体32を配置し、排気用開口部30の手前側に遮蔽部材40を取り付ける構成であったが、本実施の形態2では、遮蔽部材400に触媒体32を設けている。また、本実施の形態2では、実施の形態1における触媒加熱装置33を備えていない。
それ以外は実施の形態1と同様であり、以下では実施の形態2において実施の形態1と異なる部分を主に記載する。
【0096】
実施の形態2の加熱調理器は、図1〜図4に示す構成は実施の形態1と同様である。
【0097】
(駆動気流ダクト35)
図10は、実施の形態2に係る調理室17全体を示す上方斜視図である。図11は、実施の形態2に係る調理室17全体を下方から見た斜視図である。
実施の形態1においては調理室排気ダクト10に触媒加熱装置33を設けており、調理室排気ダクト10の側方に触媒加熱装置33の接続端子が露出する構成であったが、本実施の形態2では、触媒加熱装置33を備えていない。
【0098】
調理室排気ダクト10の下方には、駆動気流ダクト35が設けられている。
駆動気流ダクト35は、調理室排気ダクト10の底面10dに設けられたノズル34と、それよりも下方の空間とを結ぶ管路である。ノズル34は、前述の実施の形態1では冷却風排気風路流入口20を介して筐体内冷却風路と連通していたが、本実施の形態2では駆動気流ダクト35内と連通している。駆動気流ダクト35の底面は開口しており、この開口部を入口側開口部37と称する。
駆動気流ダクト35は、締結部材50により着脱自在に調理室排気ダクト10と接合されている。
【0099】
駆動気流ダクト35内には、駆動気流ファン36が設けられている。
そして、筐体2の底面には駆動気流吸込口38が開口しており、この駆動気流吸込口38と入口側開口部37とが対向するようにして、駆動気流ダクト35が配置される(後述の図15参照)。駆動気流ファン36が動作することにより、駆動気流吸込口38、入口側開口部37を介して、筐体2の外部の空気が駆動気流ダクト35内に吸引される。吸気された空気は、調理室排気ダクト10の底面10dのノズル34から調理室排気ダクト10内へ駆動流体として吹き出される。ノズル34から駆動気流が吹き出されることによりエゼクタ効果が生じ、調理室17内の空気が、調理室排気ダクト10内へと吸引(誘引)される。本実施の形態2においては、駆動気流ファン36が、本発明に係る送風機に相当する。なお、筐体2は、駆動気流吸込口38の下側に空気を吸い込むための空間が確保されるようにして、キッチン等の上に載置される。
【0100】
調理室排気ダクト10の底面と、駆動気流ダクト35の上面開口部とは、密閉性高く接続されており、駆動気流ファン36から送出された気流は、概ねノズル34より噴出される。ノズル34から調理室排気ダクト10内へ空気を吹き出すための専用の駆動気流ファン36を設けたことにより、より高いエゼクタ効果が得られ、調理室17からのより高い吸引(誘引)性能を得ることができる。これによって、触媒体32の選択の自由度が高まる。すなわち、触媒体32としては、目が細かく排気が通過する開口部が小さいものや、厚みが大きく流路の長いものなど、排気との接触面積が大きく浄化性能は高いが圧力損失の大きいものもあるが、駆動気流ファン36による高い吸引(誘引)性能により、このような触媒体32を採用することが可能となる。このような浄化性能の高い触媒体32を用いることで、排気の清浄度を高めることができる。
【0101】
図12は、実施の形態2に係る調理室17の上板23a及び調理室扉7を取り外した状態の斜視図である。図13は、実施の形態2に係る調理室17の上板23a、調理室扉7、調理台26、受皿27を取り外した状態の遮蔽部材400の取付状態を示す分解斜視図である。図14は、実施の形態2に係る遮蔽部材400への触媒体32の保持状態の分解斜視図である。図15は、実施の形態2に係る本体1の調理室排気ダクト10部分における側面断面図である。図16は、実施の形態2に係る調理室排気口280近傍を説明する図であり、(a)は断面模式図、(b)は調理室排気口280を斜め上方から見た図である。
【0102】
(遮蔽部材400)
調理室17の後壁17aには、この後壁17aとの間に隙間を設けて調理室排気口280を形成する遮蔽部材400が設けられている。
遮蔽部材400は、遮蔽壁401と、触媒体32を保持する触媒体保持部402、403を備える。遮蔽壁401は、下方から上方に向かって調理室17の内部方向(前面方向)に突出するように傾斜した前部401aと、この前部401aの側端部から後方に向けて延びる側部401bとからなる壁構造である。遮蔽壁401は、調理室17の後壁17aに設けられた排気用開口部30の少なくとも一部を、調理室17の内部側から遮蔽する。
【0103】
触媒体保持部402は、高さ方向に延びる前後一対のガイド部402a、402bを有し、この一対のガイド部402a、402bの間に、板状の触媒体32の左右端部を保持する。触媒体保持部403は、遮蔽壁401の下端から背面側に向かって延びる底部403aと、底部403aの背面側端部から起立したガイド部403bとを有する。本実施の形態2の触媒体保持部403は、遮蔽壁401の幅方向に沿って設けられており、ガイド部403bと遮蔽壁401の下端部との間に、板状の触媒体32の下部を保持する。触媒体32を遮蔽部材400の上方から触媒体保持部402に沿って下方にスライドさせることで、触媒体32を遮蔽部材400に取り付けることができる。触媒体32は、遮蔽部材400に対して着脱自在である。なお、本実施の形態2で示した触媒体保持部402、403の構造は一例であり、触媒体32が着脱可能であって、排気用開口部30に対してほぼ隙間なく触媒体32を嵌合可能な構成であれば、任意のものを採用することができる。
【0104】
触媒体32が装着された遮蔽部材400を調理室17に取り付ける際には、遮蔽部材400の触媒体保持部402、403を、後壁17aの排気用開口部30内に挿入する。排気用開口部30の開口形状と触媒体32の正面から見た形状はほぼ一致しており、排気用開口部30に触媒体32が嵌合される。後壁17aの排気用開口部30の下部には、ネジ等の締結部材50を取り付けるための締結部51としてネジ穴が設けられている。また、遮蔽部材400の下部には締結部材50が挿入される取付穴が形成された取付部404が設けられ、締結部材50を、取付部404の取付穴を介して締結部51に締め付けることで、遮蔽部材400を後壁17aに着脱自在に取り付けることができる。調理室17の内側から締結部材50の締結・締結解除が行え、調理室17の内側から遮蔽部材400を着脱できるようになっている。使用者は、調理室扉7を開放した状態で遮蔽部材400を調理室17の外へ取り出すことができ、圧力損失の増加や浄化性能低下の要因となりうる汚染物を除去する清掃を行ったり、遮蔽部材400や触媒体32を交換して浄化性能を回復させたりすることが可能となっている。なお、遮蔽部材400の取付構造はこれに限らず、調理室17の内側から遮蔽部材400が着脱可能な構造であれば、任意の構造を採用することができる。
【0105】
(調理室排気口280)
遮蔽部材400の遮蔽壁401と、後壁17aとの間には、隙間が設けられて調理室排気口280が形成されている。調理室排気口280は、後壁17aから調理室17の内部方向に向かって下方に傾斜する開口面を有している。実施の形態1の調理室排気口28の開口面の上端部X1は、排気用開口部30の上端部と同じ高さに設けられていたが、本実施の形態2の調理室排気口280の開口面の上端部X2(図16参照)は、排気用開口部30の上端部よりも低い位置に設けられている。また、調理室排気口280の開口面の下端部Y2は、上方加熱装置24よりも下側に位置している。そして、排気用開口部30を正面(前面側)から見たときに、遮蔽部材400の傾斜壁401の上端よりも高い位置に触媒体32の一部を配置されるよう、触媒体32が遮蔽部材400を介して調理室排気口10内に嵌入されている。
【0106】
このようにすることで、排気用開口部30内に嵌入された触媒体32に対し、上方加熱装置24からの輻射熱が、より広い部分に直接的に到達しやすくしている。これにより、実施の形態1のように触媒加熱装置33を備えていなくとも、触媒体32を加熱・昇温させて触媒活性を高め、排気に含まれる汚染物質の酸化分解・浄化を可能としている。例えば実施の形態1のように専用の触媒加熱装置33を設けた場合と比較すると、本実施の形態2の構成においては触媒体32の温度は低下する場合もある。しかし、触媒体32に添着する触媒として白金やマンガン等の比較的低温で触媒活性が得られる酸化触媒を用いる、触媒の添着量を増やす、触媒体32と排気との接触面積を増加させる、等により、良好な浄化性能を得ることができる。
【0107】
なお、本実施の形態2の調理室排気口280は、実施の形態1で示した選択透過面29を備えていないが、これは、上方加熱装置24からの輻射熱を遮ることなくより多くの輻射熱を触媒体32に到達させることを優先させた構成としたためである。必要とする浄化性能に応じて、調理室排気口280に選択透過面29を設けてもよい。また、この場合、選択透過面29の非開口部(実施の形態1における仕切板42)を、赤外線透過部材で構成することで、輻射熱の到達性と汚染物質の侵入防止とを両立させることができる。
【0108】
なお、本実施の形態2においても実施の形態1と同様に、調理室17の底面から調理室排気口280の下端部Y2までの距離W3は、調理室17内の高さの1/2よりも大きく、調理室排気口280は調理室17内の上方に開口している。これにより、調理室17上方に調理に伴う加熱による上昇気流で溜まった煙や臭気成分等の汚染物質を多く含む排気を、調理室排気口280から吸い込みやすくしている。
【0109】
また、遮蔽壁401の前部401aの上端部(調理室排気口280の下端部Y2)における後壁17aからの突出寸法をW1とし、遮蔽壁401の前部401aの上端部(調理室排気口280の下端部Y2)と上板23aとの距離をW0とすると、実施の形態1と同様に、W0とW1(遮蔽部材40の突出寸法)とが概ね同等か、W1がW0より少ない寸法としている(W1≦W0)。これは、前述の実施の形態1で述べたように、調理室17内の空気を、圧力損失の増加少なく排気し、スムースな排気を行うための構成である。
【0110】
また、触媒体32の前面側の面積は、排気用開口部30の上端辺と遮蔽部材400の上端辺とにより囲まれた面(図16(b)に網掛け表示する面)の面積よりも大きくなるように構成されている。このようにするため、本実施の形態2においては、触媒体32の幅を、概ね調理室排気口280と同じ幅とし、触媒体32の高さ寸法を、排気用開口部30の上端辺と遮蔽部材400の上端辺とを結ぶ距離W2より大きくしている。このような触媒体32の寸法関係により、実施の形態1で述べたように、触媒体32における排気の通過風速を遅くして触媒体32を通過するときの圧力損失を低減している。また、触媒体32における排気の通過風速を遅くすることで、触媒体32の表面に添着された触媒との接触率を高め、触媒体32による油煙や臭気成分等の室内空気汚染物質の除去性能を高めている。
【0111】
また、調理室排気ダクト10(接続部10C)の底面10dと、遮蔽部材40の底面とがなす角θは、鈍角に形成されている。実施の形態1で述べたように、このように角θを鈍角とすることで、遮蔽部材400内の排気が接続部10Cへ進む際の気流の曲げを緩やかにすることができ、気流の曲げに伴う圧力損失の増加を軽減している。
【0112】
(調理室の吸排気動作)
調理室17において加熱を開始するのと併せて、駆動気流ファン36も動作を開始する。駆動気流ファン36が動作すると、外部の空気が、駆動気流吸込口38、入口側開口部37から駆動気流ダクト35内に流入し、駆動気流ファン36に吸引・送出され、ノズル34から調理室排気ダクト10内へと流入する。そして、ノズル34から調理室排気ダクト10へ流入した空気は、駆動気流として調理室排気ダクト10の上昇部10B内を上面開口部10cに向かって噴出されることで、調理室排気ダクト10内に噴流が形成され、エゼクタとして機能する。これにより、排気用開口部30、調理室排気口280に吸引力が生じ、調理室17内の空気が吸引される。
【0113】
調理室17内から吸引された空気は、排気用開口部30に設けられた触媒体32を通過する過程において触媒体32で一部浄化される。触媒体32は、高温の排気の通過に伴って高温化するとともに(排気の排熱利用)、上方加熱装置24からの輻射を受けて加熱され、触媒活性が高まる。これにより、排気に含まれる汚染物の酸化分解の反応速度が速まり、浄化能力を向上させることができる。したがって、排気の清浄度が高く、良好な調理作業環境が得られる加熱調理器とすることができる。
なお、駆動気流ファン36の動作タイミング・動作時間の制御は、製品の動作・品質を損なわない範囲において、応用が可能である。例えば、調理開始より所定時間または、調理室17内に設けた温度検知手段(図示せず)の検知温度が所定の温度になるまで、駆動気流ファン36の動作をさせないようにすることができる。このようにすることで、駆動気流ファン36の停止中に調理室17の排気を行わず、調理室17内の昇温が速められて加熱効率を向上させて調理時間を短縮することができ、また、上方加熱装置24からの輻射による触媒体32の昇温を速めて調理開始初期の汚染物の浄化性能を高めることができる。
【0114】
また、実施の形態1における触媒加熱装置33を設けない構成としたため、触媒加熱装置33の消費電力(例えば300W程度)が不要となり省エネとなり環境負荷の低い加熱調理器とすることができる。また、触媒加熱装置33を設けない構成としたことで部品コスト・組立コストを低減でき安価な加熱調理器とすることができる。
【0115】
また、駆動気流ファン36を備えたことで、ノズル34からの空気の吹き出し流速を早くすることができ、高いエゼクタ効果を得ることができる。このため、調理室17内の排気の吸引(誘引)性能を高めることができる。したがって、触媒体32の選択の自由度が高まる。すなわち、触媒体32としては、目が細かく排気が通過する開口部が小さいものや、厚みが大きく流路の長いものなど、排気との接触面積が大きく浄化性能は高いが圧力損失の大きいものもあるが、駆動気流ファン36による高い吸引(誘引)性能により、このような触媒体32を採用することが可能となる。このような浄化性能の高い触媒体32を用いることで、排気の清浄度を高めることができる。
【0116】
また、実施の形態1と同様に、冷却風排気ダクト14の空間の一部に調理室排気ダクト10が設けており、冷却風排気ダクト14の風路断面における調理室排気ダクト10の占有率は、冷却風排気ダクト14と調理室排気ダクト10の圧力損失のバランスを考慮して決定する。より具体的には、冷却ファン18の動作点の騒音と駆動気流ファン36の騒音の合計が低くなるよう設定する。このようにすることで、動作騒音の低い加熱調理器を得ることができる。例えば、実施の形態2に示した誘導加熱調理器100においては、冷却風排気ダクト14の風路断面における調理室排気ダクト10の占有率は、50%以下であることが好ましい。
【0117】
また、遮蔽部材400に触媒体32が保持され一体的に着脱されるとともに、調理室扉7の開口より遮蔽部材400と触媒体32を調理室17外へ搬入・搬出できるようにした。このため、触媒体32の清掃・メンテナンスが容易となり、触媒体32の性能を維持することができる。触媒体32の触媒寿命により浄化機能が低下した場合は、触媒体32の交換も可能なことから、長期的に安定した浄化性能が維持でき、信頼性が高く製品寿命の長い加熱調理器とすることができる。
【0118】
以上説明したように、本実施の形態2によれば実施の形態1と同様の作用効果が得られるとともに、実施の形態1と異なる構成部分により以上に説明した作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0119】
1 本体、2 筐体、3 筐体上枠、4 トッププレート、5 吸排気口カバー、6 操作部、7 調理室扉、8 筐体吸気口、9 筐体排気口、10 調理室排気ダクト、10A 奥行き部、10B 上昇部、10C 接続部、10a 上面、10b 垂直部前面、10c 上面開口部、10d 底面、11 誘導加熱コイルユニット、12 電子回路基板、13 ラジエントヒーター、14 冷却風排気風路、15 基板ケースユニット、16 チャンバ、16a 吹出口、17 調理室、17a 後壁、17b 右側壁、17c 左側壁、18 冷却ファン、19 調理室収納部、20 冷却風排気風路流入口、21 基板ケースユニット吸気口、22 基板ケースユニット排気口、23a 上板、23b 底板、24 上方加熱装置、25 下方加熱装置、26 調理台、27 受皿、28 調理室排気口、29 選択透過面、30 排気用開口部、32 触媒体、33 触媒加熱装置、34 ノズル、35 駆動気流ダクト、36 駆動気流ファン、37 入口側開口部、38 駆動気流吸込口、40 遮蔽部材、41 遮蔽壁、42 仕切板、43 取付部、50 締結部材、51 締結部、100 誘導加熱調理器、280 調理室排気口、400 遮蔽部材、401 遮蔽壁、402 触媒体保持部、402a ガイド部、402b ガイド部、403 触媒体保持部、403a 底部、403b ガイド部、404 取付部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置され、壁面の一部に排気用開口部が形成された調理室と、
前記調理室内に配置された加熱手段と、
上面から見て前記調理室と重ならない位置に配置され、前記排気用開口部と筐体外とを連通させる調理室排気ダクトと、
前記排気用開口部と相対して前記調理室内に設けられ、前記排気用開口部が設けられた前記壁面との間に隙間を設けて調理室排気口を形成する遮蔽部材とを備え、
前記調理室排気口は、前記調理室内部の高さ方向の中央よりも上方に形成されている
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記遮蔽部材の前記調理室内部側の面は、前記排気用開口部の下部から上部に向かって前記調理室の内部方向に傾斜する傾斜面であり、
前記傾斜面の上端部において前記排気用開口部が設けられた前記壁面からの突出寸法は、前記傾斜面の上端部と前記調理室の天井面との距離と概ね等しいか、または小さい
ことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記調理室排気ダクトに嵌入された触媒体を備え、
前記触媒体の前面面積は、前記排気用開口部の上端辺と前記遮蔽部材の上端辺とにより囲まれた面積よりも大きい
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記触媒体の前面、及び、前記排気用開口部の上端縁と前記遮蔽部材の上端縁とを結ぶ面は、ともにほぼ矩形であり、
前記触媒体の前面の幅を、前記排気用開口部の上端縁と前記遮蔽部材の上端縁とを結ぶ面とほぼ同じ幅とし、
前記触媒体の前面の高さを、前記排気用開口部の上端縁と前記遮蔽部材の上端縁とを結ぶ面よりも大きい高さとした
ことを特徴とする請求項3記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記調理室排気口の開口面は、前記排気用開口部が設けられた前記壁面から前記調理室内部に向かって下降するように傾斜している
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記調理室排気口を複数の開口部に仕切る仕切部材を備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記加熱手段を、前記調理室内の上方に配置し、
前記調理室排気口の開口面の下端部を、前記加熱手段よりも低い位置に設けた
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記調理室排気口の上端部を、前記排気用開口部の上端部よりも低い位置とし、
前記排気用開口部を正面から見たときに前記遮蔽部材の前記傾斜面の上端よりも高い位置に前記触媒体の一部を配置した
ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項9】
前記調理室排気ダクトの底面に開口したノズルから前記調理室排気ダクト内に空気を噴出させるための空気流を送出する送風機を備え、
前記調理室排気ダクト内に噴出された噴出流により、前記調理室内の空気を前記調理室排気ダクト内に誘引する
ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項10】
前記触媒体における冷却風の風路幅に対し、前記触媒体よりも下流側における前記調理室排気ダクトの風路幅を狭い幅とした
ことを特徴とする請求項3、または請求項3に従属する請求項4〜請求項9のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項11】
正面から見て前記触媒体の幅の範囲内に、前記調理室排気ダクトの幅が納まるように配置された
ことを特徴とする請求項10記載の加熱調理器。
【請求項12】
前記調理室排気ダクトは、側面視略L字状に構成されており、
前記調理室排気ダクトの上面は、排気流れの上流側に対し下流側が高くなるよう構成されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項13】
前記筐体は、
前記筐体内と外部とを連通させる筐体吸気口及び筐体排気口と、
前記筐体吸気口から前記筐体排気口へと至る筐体内冷却風路とを備え、
前記送風機を前記筐体内冷却風路内に設け、
前記送風機から送出される空気流を、前記筐体内冷却風路を流れる冷却風とするとともに、前記ノズルから前記調理室排気ダクト内に噴出される噴出流とした
ことを特徴とする請求項9、または請求項9に従属する請求項10〜請求項12のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項14】
前記調理室排気ダクトの下方に配置され、前記ノズルと前記筐体の外部とを連通させる駆動気流ダクトを備え、
前記送風機を前記駆動気流ダクト内に設けた
ことを特徴とする請求項9、または請求項9に従属する請求項10〜請求項12のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項15】
前記筐体は、
前記筐体内と外部とを連通させる筐体吸気口及び筐体排気口と、
前記筐体吸気口から前記筐体排気口へと至る風路であって、内部を冷却風が流れる筐体内冷却風路とを備えた
ことを特徴とする請求項14記載の加熱調理器。
【請求項16】
前記筐体内冷却風路の一部を構成し、前記筐体排出口に接続される筐体排気ダクトを備え、
前記調理室排気ダクトは、前記筐体排気ダクト内に配置されている
ことを特徴とする請求項13または請求項15記載の加熱調理器。
【請求項17】
前記筐体排気ダクトの流路断面に占める前記調理室排気ダクトの流路断面の占有率は、50%以下である
ことを特徴とする請求項16記載の加熱調理器。
【請求項18】
前記調理室内から前記遮蔽部材を着脱可能とした
ことを特徴とする請求項1〜請求項17のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項19】
前記触媒体は、前記遮蔽部材に着脱自在に保持されており、前記遮蔽部材を介して前記排気用開口部に着脱自在に嵌入される
ことを特徴とする請求項1〜請求項18のいずれか一項に記載の加熱調理器。
【請求項20】
調理開始より所定時間、または、前記調理室または前記筐体に設けられた温度検知手段の検知温度が所定温度に到達するまでは、前記送風機が動作しない
ことを特徴とする請求項9、または請求項9に従属する請求項10〜請求項19のいずれか一項に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図9】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−29274(P2013−29274A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166573(P2011−166573)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【特許番号】特許第5094997号(P5094997)
【特許公報発行日】平成24年12月12日(2012.12.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】