説明

加熱調理器

【課題】加熱調理器使用後の天板の高温部分をより判るように指示し、火傷などを防止できる加熱調理器を提供する。
【解決手段】天板2の中央近傍に配置された主表示部8と、天板2に主表示部8の周辺に配置され、調理容器の載置位置を示す複数の加熱口3、4、5と、調理器本体内に複数の加熱口3、4、5に対向して収納された複数の加熱手段と、天板2の側面に凹部を設け、この凹部に差し込むように取り付けられた複数の発光部80と、複数の加熱手段のうち少なくとも1つの加熱手段により調理が終了したとき、主表示部8に高温注意のメッセージを表示し、かつ、複数の発光部80を点灯して天板2のほぼ全面が光るようにし、これを加熱口の温度が所定温度より低くなるまで行う制御部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板の下方に加熱源が配置された加熱調理器、特に加熱源により天板の温度が高温のときに高温注意を促す加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱調理器には、天板のほぼ中央部に表示器が配置され、天板の温度が所定温度よりも高いときに表示器を点灯又は点滅し、表示器を介して高温注意を使用者に促しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−249318号公報(第5頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の加熱調理器では、調理終了時に天板から鍋などを外した後、天板のどの部分が高温なのか判り難くなり、誤って天板の高温部分に手を触れて火傷するという恐れがあった。
【0005】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、実際に高温になっている部分をより判るように指示し、火傷などを防止できる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る加熱調理器は、調理器本体の上部に設置された天板と、天板の中央近傍に配置された表示部と、天板に表示部の周辺に配置され、調理容器の載置位置を示す複数の加熱口と、調理器本体内に複数の加熱口に対向して収納された複数の加熱手段と、天板の側面に凹部を設け、この凹部に差し込むように取り付けられた複数の発光部と、複数の加熱手段のうち少なくとも1つの加熱手段により調理が終了したとき、表示部に高温注意のメッセージを表示し、かつ、複数の発光部を点灯して天板のほぼ全面が光るようにし、これを加熱口の温度が所定温度より低くなるまで行う制御部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、複数の加熱手段のうち少なくとも1つの加熱手段により調理が終了したとき、表示部に高温注意のメッセージを表示し、かつ、複数の発光部を点灯して天板のほぼ全面が光るようにし、これを加熱口の温度が所定温度より低くなるまで行うようにしている。この構成により、確実に使用者を火傷から守ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の外観を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る加熱調理器の概略構成を示す回路ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態2の加熱調理器における天板の平面図である。
【図4】本発明の実施の形態3の加熱調理器における天板の平面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る加熱調理器の外観を示す斜視図、図2は実施の形態1に係る加熱調理器の概略構成を示す回路ブロック図である。
図1、2において、調理器本体1の上部には、枠体1aによって固着された耐熱強化ガラス製の天板2が載置されている。この天板2には、鍋やフライパンなどの調理容器の載置位置を示す例えば左加熱口3、右加熱口4及び中央加熱口5が配置されている。調理器本体1内に左加熱口3に対向して収納された左加熱コイル3aが設置され、右加熱口4に対向して右加熱コイル4aが設置され、また、調理器本体1内に中央加熱口5に対向してラジエントヒータからなる中央ヒータ5aが設置されている。天板2の手前側の枠体1aには、左及び右加熱コイル3a、4aと中央ヒータ5aの操作キー、調理器本体1に収納されたグリルの操作キー、左及び右加熱コイル3a、4aの火力をそれぞれ表示する火力表示器などが配置された上面操作・表示部6が設けられ、天板2の後部側には吸排気口7が設けられている。
【0010】
また、天板2の左加熱口3と右加熱口4の間のほぼ中央部分には、主表示部8(表示部)が設けられている。さらに、主表示部8から各加熱口3、4、5側に向かって延びる矢印状の高温位置指示器9、10、11が設けられている。天板2の手前側の左角部には左加熱コイル3aの動作状態を表示する左表示部12が配置され、天板2の手前側の右角部には右加熱コイル4aの動作状態を表示する右表示部13が配置されている。前述の主表示部8は、中央ヒータ5a、グリルの動作状態を表示し、各加熱口3、4、5による調理が終了したときは高温注意のメッセージを表示する。
【0011】
調理器本体1の前面側には、グリルの扉14が開閉自在に設けられ、この扉14の両側には左前面操作部15と右前面操作部16が配置されている。左前面操作部15には、左加熱コイル3aの火力を調節する火力調節ダイヤル15aが取り付けられている。右前面操作部16には、右加熱コイル4aの火力を調節する火力調節ダイヤル16aと電源スイッチ16bが取り付けられている。火力調節ダイヤル15a、16aは、押されると手前側に突出して火力調整可能にし、押し込まれたときはオフ状態にする。
【0012】
左加熱コイル3aには、図2に示すように、温度センサ20と、交流電源を入り切りする例えばリレースイッチ21と、交流を直流に変換する直流電源回路22と、直流電源回路22の出力を高周波に変換するインバータ回路23と、インバータ回路23のスイッチング素子(例えばIGBT)を駆動する駆動回路24と、リレースイッチ21及び駆動回路24を制御する左制御部25とが設けられている。右加熱コイル4aには、前記と同様に、温度センサ30と、リレースイッチ31と、直流電源回路32と、インバータ回路33と、駆動回路34と、右制御部35とが設けられている。また、中央ヒータ5aには、温度センサ40と、交流電源を入り切りする例えばリレースイッチ41と、主制御部50からの制御に基づいて中央ヒータ5aの通電率を可変するヒータ通電回路42とが設けられている。前述の温度センサ20は、左加熱コイル3aの中央部に位置する天板2の裏面に接触して設置され、温度センサ30は、右加熱コイル4aの中央部に位置する天板2の裏面に接触して設置されている。また、温度センサ40は、中央ヒータ5aの近傍の天板2裏面に接触して設置されている。
【0013】
左制御部25は、例えば、左前面操作部15の操作を検知し、さらに、上面操作・表示部6の操作による火力設定を主制御部50を介して検知したとき、リレースイッチ21をオンして直流電源回路22に交流電源を印加し、温度センサ20の検出温度を監視しながら左加熱コイル3aの火力が設定火力になるよう駆動回路24を制御する。右制御部35は、例えば、右前面操作部16の操作を検知し、さらに、上面操作・表示部6の操作による火力設定を主制御部50を介して検知したとき、リレースイッチ31をオンして直流電源回路32に交流電源を印加し、温度センサ30の検出温度を監視しながら右加熱コイル4aの火力が設定火力になるよう駆動回路34を制御する。
【0014】
主制御部50は、左加熱コイル3aに通電が行われているとき、左加熱コイル3aの動作状態を左表示部12に表示し、右加熱コイル4aに通電が行われているとき、右加熱コイル4aの動作状態を右表示部13に表示する。また、主制御部50は、上面操作・表示部6の操作から中央ヒータ5aへの通電を検知したとき、リレースイッチ41をオンしてヒータ通電回路42に交流電源を印加し、温度センサ40の検出温度を監視しながらヒータ通電回路42を制御すると共に、主表示部8に中央ヒータ5aの動作状態を表示する。
【0015】
前述した高温位置指示器9、10、11には、例えば、主表示部8から各加熱口3、4、5に向かってそれぞれ3個のLED(図示せず)が並べられている。LED制御回路60は、主制御部50からの指示に従って主表示部8側のLEDから順に点灯し、これを主制御部50からの点灯停止の指示を受けるまで繰り返し行う。
【0016】
前記のように構成された加熱調理器において、調理終了時の高温注意表示の動作について説明する。
例えば、左加熱コイル3aと右加熱コイル4aによる調理が終了すると、主制御部50は、左加熱コイル3aの中央部に設けられた温度センサ20の検出温度、及び右加熱コイル4aの中央部に設けられた温度センサ30の検出温度をそれぞれ読み込んで、天板2上の左加熱口3と右加熱口4の温度が所定温度(例えば60℃)以上かどうかを判定する。各温度センサ20、30の検出温度が所定温度以上のときは、主表示部8に高温注意を促すメッセージを表示すると共に、LED制御回路60に対し高温位置指示器9、11を点灯させる指示を出す。LED制御回路60は、その指示を受けたとき、高温位置指示器9の3個のLEDを矢印方向に向かって順に点灯すると共に、高温位置指示器11の3個のLEDを矢印方向に向かって順に点灯し、これを繰り返し行う。
【0017】
一方、主制御部50は、天板2上の左加熱口3と右加熱口4の温度が所定温度以上かどうかを温度センサ20、30の検出温度を介して判定しており、両方の加熱口3、4の温度が所定温度より低くなったとき、主表示部8に表示した高温注意のメッセージを消すと共に、高温位置指示器9、11によるLED点灯を消灯させる指示をLED制御回路60に通知し、高温注意表示の動作を終了する。
【0018】
以上のように実施の形態1によれば、加熱調理器を使用した後、高温注意を促すメッセージを主表示部8に表示すると共に、高温位置指示器9、10、11により高温の加熱口3、4、5を指し示すようにしたので、高温の加熱口3、4、5を具体的に示すことができ、使用者を火傷から守ることが可能になる。
【0019】
実施の形態2.
実施の形態1では、矢印状の高温位置指示器9、10、11により高温の加熱口3、4、5を指し示すようにしたが、実施の形態2は、高温位置指示器9、10、11に加えて、各加熱口3、4、5の近傍に円弧状の高温表示器を配置したものである。
図3は本発明の実施の形態2の加熱調理器における天板の平面図である。なお、図1及び図2で説明した実施の形態1と同様の部分には同じ符号を付している。
【0020】
実施の形態2においては、左加熱口3の高温位置指示器9側の位置に円弧状の高温表示器70が設けられ、右加熱口4の高温位置指示器11側の位置に前記と同様の円弧状の高温表示器72が設けられ、また、中央加熱口5の高温位置指示器10側の位置に円弧状の高温表示器71が設けられている。各高温表示器70、71、72の両端には、LED制御回路60の制御によって点灯或いは点滅するLED(図示せず)が取り付けられている。
【0021】
前記のように構成された加熱調理器において、調理終了時の高温注意表示の動作について説明する。
例えば、左加熱コイル3aによる調理が終了すると、主制御部50は、左加熱コイル3aの中央部に設けられた温度センサ20の検出温度を読み込んで、天板2上の左加熱口3の温度が所定温度(例えば60℃)以上かどうかを判定する。温度センサ20の検出温度が所定温度以上のときは、主表示部8に高温注意を促すメッセージを表示すると共に、LED制御回路60に対し高温位置指示器9及び高温表示器70を点灯させる指示を出す。
【0022】
LED制御回路60は、その指示を受けたとき、高温位置指示器9の3個のLEDを矢印方向に向かって順に点灯し、これを繰り返し行う。また、LED制御回路60は、左加熱口3の高温位置指示器9側の位置に設けられた円弧状の高温表示器70のLEDを点灯し、高温表示器70を介して左加熱口3が高温である旨を使用者に知らせる。
【0023】
一方、主制御部50は、天板2上の左加熱口3の温度が所定温度以上かどうかを温度センサ20の検出温度を介して判定しており、左加熱口3の温度が所定温度より低くなったとき、主表示部8に表示した高温注意のメッセージを消すと共に、高温位置指示器9及び高温表示器70によるLED点灯を消灯させる指示をLED制御回路60に通知し、高温注意表示の動作を終了する。
【0024】
以上のように実施の形態2によれば、加熱調理器を使用した後、高温注意を促すメッセージを主表示部8に表示すると共に、高温位置指示器9、10、11により高温の加熱口3、4、5を指し示し、かつ、円弧状の高温表示器70、71、72を点灯するようにしたので、高温の加熱口3、4、5をより明確に示すことができ、使用者を火傷から守ることが可能になる。
【0025】
実施の形態3.
実施の形態3は、天板2が高温(所定温度以上)のとき、天板2のほぼ全面が光るようにしたものである。
図4は本発明の実施の形態3の加熱調理器における天板の平面図及び側面図である。なお、図1及び図2で説明した実施の形態1と同様の部分には同じ符号を付している。
【0026】
実施の形態3においては、例えば、耐熱強化ガラスである天板2の手前側の側面に所定間隔に配置された凹部が設けられ、各凹部に発光部分が差し込まれた複数のLED80が配置されている。この複数のLED80の点灯/消灯は、LED制御回路60によって行われる。
【0027】
前記のように構成された加熱調理器において、調理終了時の高温注意表示の動作について説明する。
加熱調理器による調理が終了すると、主制御部50は、調理に使用した例えば中央加熱口5の温度を温度センサ40から読み込んで、所定温度(例えば60℃)以上かどうかを判定する。温度センサ40の検出温度が所定温度以上のときは、主表示部8に高温注意を促すメッセージを表示すると共に、LED制御回路60に対し複数のLED80を点灯させる指示を出す。LED制御回路60は、その指示を受けたとき、複数のLED80を同時に点灯して天板2内に導光させ、天板2のほぼ全面が光るようにする(図4参照)。
【0028】
一方、主制御部50は、温度センサ40の検出温度を介して中央加熱口5の温度が所定温度以上かどうかを判定しており、中央加熱口5の温度が所定温度より低くなったとき、主表示部8に表示した高温注意のメッセージを消すと共に、複数のLED80による天板2からの光を消灯させる指示をLED制御回路60に通知し、高温注意表示の動作を終了する。
【0029】
以上のように実施の形態3によれば、加熱調理器を使用した後、高温注意を促すメッセージを主表示部8に表示すると共に、複数のLED80を点灯して天板2のほぼ全面を光らせるようにしたので、確実に使用者を火傷から守ることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 調理器本体、1a 枠体、2 天板、3 左加熱口、3a 左加熱コイル、4 右加熱口、4a 右加熱コイル、5 中央加熱口、5a 中央ヒータ、6 上面操作・表示部、8 主表示部、9〜11 高温位置指示器、12 左表示部、13 右表示部、15 左全面操作部、16 右全面操作部、20、30、40 温度センサ、60 LED制御回路、70〜72 円弧状の高温表示器、80 LED。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器本体の上部に設置された天板と、
前記天板の中央近傍に配置された表示部と、
前記天板に前記表示部の周辺に配置され、調理容器の載置位置を示す複数の加熱口と、
調理器本体内に前記複数の加熱口に対向して収納された複数の加熱手段と、
前記天板の側面に凹部を設け、この凹部に差し込むように取り付けられた複数の発光部と、
前記複数の加熱手段のうち少なくとも1つの加熱手段により調理が終了したとき、前記表示部に高温注意のメッセージを表示し、かつ、前記複数の発光部を点灯して前記天板のほぼ全面が光るようにし、これを前記加熱口の温度が所定温度より低くなるまで行う制御部と
を備えたことを特徴とする加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−29308(P2013−29308A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−220257(P2012−220257)
【出願日】平成24年10月2日(2012.10.2)
【分割の表示】特願2008−323993(P2008−323993)の分割
【原出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】