説明

加熱調理装置

【課題】特に、加熱調理の使用頻度が高く、省エネ性能ならび高耐久性能が求められるコンビニエンスストアなどのユーザーに好適となる加熱調理装置を提供すること。
【解決手段】被加熱物を収納する加熱室10と、前記加熱室10を照射する庫内灯13と、前記庫内灯13を制御する制御部100と、制御部100を操作する操作部14を有し、庫内灯13は複数のLED素子21が実装されたLED基板20で構成され、前記制御部100は調理の開始・終了時と調理途中でのLEDの点灯制御を変えることにより、調理途中の消費電力を削減することで省エネ性能を向上し、また、LEDの点灯時間も少なくなるので耐久性も向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱調理装置を構成する庫内灯にLEDを使用した加熱調理装置に関し、特に普段調理途中に加熱室内の視認を行わない業務用での利用で、調理の時間の大半を占める調理中の消費電力を削減する省エネに有効な加熱調理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱調理装置は、高周波を出力する高周波発生手段(マグネトロン)を備え、加熱室内の被加熱物に対して、短時間で効率の良い加熱ができる電子レンジとして急速に普及したが、近年、省エネ性能が求められる中、加熱室内に照射する庫内灯を電球からLEDへ置き換え消費電力を抑えることが認知されるようになってきた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−139336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、コンビニエンスストアなど、おもに業務用として使用される加熱調理装置においては加熱調理の使用頻度が高く、更なる省エネ性能ならび高耐久性能が求められるようになった。特に、コンビニエンスストアなどでは接客カウンターの背後に加熱調理装置が設置される場合が多く、調理開始後も接客のため加熱調理装置に背を向けているため加熱中に調理の確認をすることが少なく、調理中に庫内灯の明るさが必ずしも必要というわけではなかった。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、調理中に庫内灯として照射するLEDの点灯する個数を制御して、加熱調理装置動作中の消費電力を削減し、省エネ性能と耐久性能の向上を図ることができる加熱調理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理装置は、被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室を照射する庫内灯と、前記庫内灯を制御する制御部と、制御部を操作する操作部とを有し、前記庫内灯は複数のLED素子が実装された基板で構成され、前記制御部は調理の開始・終了時と調理途中でのLEDの点灯制御を変えるとしたものである。
【0007】
これによって、コンビニエンスストアなどで調理を開始した後も、接客の為に調理を確認していない時間である調理途中のLEDの制御を変更して、消費電力を削減することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の加熱調理装置は、調理の開始・終了時と調理途中でのLEDの点灯制御を変えることで、コンビニエンスストアなどのユーザーが調理を確認しない時間である、調理途中の消費電力を削減することで省エネ性能を向上し、また、LEDの点灯時間も少なくなるので耐久性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1における加熱調理装置の扉を開いた状態の斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における加熱調理装置の庫内灯の取り付け部の構成を示す要部斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における加熱調理装置のLEDを実装した基板の概略図
【図4】本発明の実施の形態1における加熱調理装置のブロック図
【図5】本発明の実施の形態1における加熱調理装置の最も単純な調理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明は被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室を照射する庫内灯と、前記庫内灯を制御する制御部と、制御部を操作する操作部とを有し、前記庫内灯は複数のLED素子が実装された基板で構成され、前記制御部は調理の開始・終了時と調理途中でのLEDの点灯制御を変えるとすることにより、コンビニエンスストアなどのユーザーが調理を確認しない調理途中の消費電力を削減することで省エネ性能を向上し、また、LEDの点灯時間も少なくなるので耐久性も向上させることができる。
【0011】
また、調理終了近くになると庫内灯の明るさが変わるので、複数の加熱調理装置を同時に動作させている状態でも、容易に調理が終了する加熱調理装置を見つけることができる。
【0012】
第2の発明は、特に、第1の発明の制御部が調理の開始・終了時と調理途中で、庫内灯の照射するLEDの素子数を変えるとしたことにより、LED素子が実装されている基板の回路を切り替えることで庫内灯の明るさが変わるので、簡単な構成で信頼性が高く安価な構成を提供することができる。
【0013】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の操作部に庫内灯を操作する専用キーを設ける構成とすることにより、加熱室内を確認したいときに庫内灯の明るさを自由に変えることができる。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理装置の扉を開いた状態の斜視図、図2は本発明の第1の実施の形態における加熱調理装置の庫内灯の取り付け部の構成を示す要部斜視図である。
【0016】
図1において、加熱調理装置1は、前面を開放した加熱室10を区画形成した加熱調理装置本体17と、加熱室10の前面開口を開閉する扉11と、加熱室10内を加熱する加熱手段(マグネトロン(図示せず))とを備えている。
【0017】
加熱室10内の側壁面には、庫内灯窓12が形成されている。庫内灯窓12は、複数の細かいパンチ孔で形成した透光性の開口部であり、加熱室からの熱気や被加熱物から飛び散った汚れなどを防ぐ目的で、半透明のシート(図示せず)で遮蔽されている。
【0018】
また、加熱室10の前面開口上部には、加熱条件などの設定を行う操作部14と、この操作部14で設定された各種条件や残時間などを表示する表示部15が装備されている。操作部14で設定された設定条件は制御基板100(制御部)へ信号出力される。
【0019】
図2において、庫内灯13は加熱室10と外装16の間の空間に、庫内灯取付板18に
より庫内灯窓12に対向する面に傾斜をもたせて固定されており、加熱室10の前面開口からの視野方向に対して死角となる位置に配置されている。
【0020】
図3は本発明の第1の実施の形態における加熱調理装置のLEDを実装した基板の概略図である。
【0021】
図3において、庫内灯13はLED基板20にLED素子21(半導体発光素子)を複数個実装した形態をしている。また、複数個のLED素子21でセルを構成し、セル単位で並列にL1、L2、L3の回路が接続され、接続端子22を介して制御基板100に信号が伝達される。
【0022】
複数のLEDでセルを構成することでそれぞれのセルの光源が広がり、直進性の強いLEDの光源でも加熱室を広範囲に照らしだし、加熱室内の明暗を低減することができる。また、本実施の形態では複数個のLED素子でセルを構成する説明を行ったが、輝度などLEDの特性によっては単品のLEDで構成することも可能である。
【0023】
図4は本発明の第1の実施の形態における加熱調理装置のブロック図である。
【0024】
図4において、制御基板100にはマイコン101が実装され、マイコン101は調理加熱装置の動作にまつわる全機能を制御する。また、制御基板100にはリレーやトライアックといった加熱装置駆動手段111やモータ駆動手段112が実装されている。
【0025】
マイコン101は操作部14から入力された情報を元に、加熱装置駆動手段111やモータ駆動手段112を制御して加熱手段121やモータ122を駆動させる。また、同時にマイコン101は庫内灯13や表示部15に対して直接電源を供給して駆動制御をおこなう。さらに、センサー102からの情報を元に最適な調理を行うために、加熱装置駆動手段111の強弱や駆動時間を制御したり、危険を検知して表示部15にエラーを表示して加熱手段121を停止させたりする。
【0026】
図5は本発明の第1の実施の形態における加熱調理装置の最も単純な調理を示すフローチャートである。
【0027】
図5において、操作部14より調理開始が入力されると加熱装置駆動手段111およびモータ駆動手段112の制御を開始し、加熱手段121およびモータ122への電源供給をONにする。
【0028】
また、庫内灯13の制御を開始し、L1、L2、L3に電源を供給するとともに、表示部15には残時間等の調理中の情報を開示する(S301)。
【0029】
事前に決められた所定時間が経過すると(S302)、庫内灯13の制御をL2のみに電源を供給するように変更し、表示部15には残時間等の調理中の情報を開示する(S303)。
【0030】
これにより、庫内灯13に供給する電力を抑制し、より高い省エネ性能を得ることができる。また、本実施の形態では所定時間経過後の庫内灯13の制御をL2のみに電源を供給する構成を説明したが、点灯するセルは自由に設定することが可能で、複数のセルを点灯させても良い。
【0031】
また、操作部14には庫内灯13を操作する専用キーが設けられており、調理途中で使用者が調理状況の確認を行う場合内にこのキーを操作して調理室内の明るさを変更するこ
とができる。
【0032】
事前に決められた終了の所定時間前になると(S304)、庫内灯13の制御をL1、L2、L3に電源を供給するように変更し、まもなく調理が終了することを使用者に報知する(S305)。
【0033】
残時間が0になると(S306)、加熱装置駆動手段111およびモータ駆動手段112を停止させ、庫内灯13を消灯し、ブザー(図示せず)などにより調理終了を報知し調理が終了する。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上のように、本発明にかかる加熱調理装置は、超寿命で且つ消費電力が少ないLEDを庫内灯として使用し、調理の開始・終了時と調理途中でのLEDの点灯制御を変えることで、調理途中の消費電力を削減して省エネ性能を向上し、またLEDの点灯時間も少なくなるので耐久性も向上させることができることから、加熱調理の使用頻度が高く、省エネ性能ならび高耐久性能が求められる、コンビニエンスストアなどのユーザーに利用される業務用の加熱調理装置に適用できる。
【符号の説明】
【0035】
10 加熱室
12 庫内灯窓
13 庫内灯
14 操作部
20 LED基板
21 LED素子
100 制御基板(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室を照射する庫内灯と、前記庫内灯を制御する制御部と、前記制御部を操作する操作部とを有し、前記庫内灯は複数のLED素子が実装された基板で構成され、前記制御部は調理の開始・終了時と調理途中でのLEDの点灯制御を変える加熱調理装置。
【請求項2】
制御部は調理の開始・終了時と調理途中で、庫内灯の照射するLEDの素子数を変える請求項1に記載の加熱調理装置。
【請求項3】
操作部は庫内灯を操作する専用キーを設けてあり、加熱室内を確認したいときに庫内灯の明るさを変えることができるとした請求項1または2に記載の加熱調理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−87962(P2013−87962A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225581(P2011−225581)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】